JP2011202510A - 可変容量圧縮機の容量制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、可変容量圧縮機を効果的に動作させることができる容量制御弁を提供することを課題とする。
【解決手段】カークーラーの冷凍サイクルに組み込まれる可変容量圧縮機に取り付けられる容量制御弁1は、圧縮機の調圧室と吐出室を連絡した流路を開閉する弁体12を有し、圧縮機の吸入室の圧力Psが予め設定したしきい値より低くなった場合、または圧縮機の吐出室の圧力Pdが予め設定した別のしきい値を超えて高くなった場合、弁体12を開いて調圧室の圧力Pcを吐出室の圧力Pdと同じ圧力まで上昇させる。
【選択図】 図2
【解決手段】カークーラーの冷凍サイクルに組み込まれる可変容量圧縮機に取り付けられる容量制御弁1は、圧縮機の調圧室と吐出室を連絡した流路を開閉する弁体12を有し、圧縮機の吸入室の圧力Psが予め設定したしきい値より低くなった場合、または圧縮機の吐出室の圧力Pdが予め設定した別のしきい値を超えて高くなった場合、弁体12を開いて調圧室の圧力Pcを吐出室の圧力Pdと同じ圧力まで上昇させる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、例えば、カークーラーの冷凍サイクルの途中で冷媒ガスを圧縮する可変容量圧縮機に使用される容量制御弁に関する。
従来、容量制御弁として、例えば、自動車用空調装置の冷凍サイクルの途中で冷媒ガスを圧縮する可変容量圧縮機に取り付けられた容量制御弁が知られている。
可変容量圧縮機は、その圧力を調整することで揺動板の傾斜角度を制御する調圧室、冷凍サイクルの蒸発器から送り込まれる低温・低圧の冷媒を受け入れる吸入室、および高温・高圧の冷媒を凝縮器へ送り出す吐出室を有する。吸入室および吐出室は、それぞれ、揺動板の回転運動を往復運動に変えるピストンを収容配置したシリンダーに接続されている。
エンジンの駆動力により可変容量圧縮機の揺動板が回転されると、ピストンが往復運動して、蒸発器から送り込まれた低温・低圧の冷媒が吸入室を介してシリンダー内に流入し、加圧された高温・高圧の冷媒として吐出室を介して凝縮器へ流出される。可変容量圧縮機の能力(容量)、すなわちピストンのストロークは、揺動板の傾斜角度を大きくすると高く(長く)なり、傾斜角度を小さくすると低く(短く)なる。
この可変容量圧縮機は、自動車のエンジンによって駆動されるため、その回転数がエンジンの回転数に依存し、回転数を制御することができない。このため、エンジンの回転数が上がると圧縮機も高速運転され、回転数が下がると圧縮機も低速にされる。可変容量圧縮機の能力をエンジンの回転数によらずに所望する値に制御するため、可変容量圧縮機の容量(ピストンのストローク、すなわち揺動板の傾斜角度)をコントロールするための容量制御弁が必要となる。
この種の容量制御弁の一例として、可変容量圧縮機の調圧室と吐出室を連通した冷媒の流路を開閉する弁体と、非通電状態のときに弁体を全開にするソレノイドと、吸入室の圧力Psがソレノイドにより与えられたしきい値より小さくなったときに弁体を開く方向に付勢するバネと、を有する制御弁が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この制御弁は、ソレノイドを非通電状態にしたときに弁体を開き易くするため、弁体を一体に備えた感圧ピストンの外径より弁孔の内径をわずかに大きくした構造を特徴としている。
このように、感圧ピストンの外径より弁孔の内径を大きくすることにより、吐出室の圧力Pdが弁体を開く方向に作用する力が弁体を閉じる方向に作用する力より大きくなり、ソレノイドOFFのときに弁体を開き易くできる。
しかし、この特許文献1に開示された制御弁によると、単に、感圧ピストンの外径より弁孔の内径を大きくしているに過ぎず、[発明の詳細な説明]では、[0020]段落に「弁孔の内径Aを感圧ピストン20の外径よりもたとえば3%程度大きくし」と記載があるだけで、その差は極僅かなものであり、径の大小関係を規定しているに過ぎない。
このため、この特許文献1に記載の発明の効果も、ソレノイドOFFのとき弁体を僅かに開き易くできるだけであり、カークーラーによって車室内温度を設定温度に保持するための通常制御では、特許文献1の制御弁は、特別な効果を奏することはない。
この発明の目的は、可変容量圧縮機を効果的に動作させることができる容量制御弁を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の容量制御弁は、その圧力を調整することによって冷媒の圧縮容量を変化させる調圧室、冷凍サイクルの蒸発器から送り込まれる低温・低圧の冷媒を受け入れる吸入室、および上記冷凍サイクルの凝縮器へ高温・高圧の冷媒を送り出す吐出室を有する可変容量圧縮機に取り付けられるものであって、上記吐出室を上記調圧室に連通する流路に設けられた弁座と、この弁座の開口部を上記調圧室側から開閉する弁体と、この弁体を一端に備え上記開口部を通って該弁体の開閉方向に沿って移動可能に延設された可動ロッドと、上記弁体を上記弁座に押し付ける方向に上記可動ロッドを付勢する電磁アクチュエーターと、この電磁アクチュエーターによる付勢力を消失させた状態で上記弁体を上記弁座から離間する方向に付勢して開く付勢部材と、上記吸入室の圧力Psが予め設定した第1のしきい値T1を下回ったときに、上記電磁アクチュエーターによる付勢力に抗して上記弁体を開く第1の開き手段と、上記吐出室の圧力Pdが予め設定した第2のしきい値T2を超えたときに、上記弁体を開く第2の開き手段と、を有する。
上記発明によると、吸入室の圧力Psが予め設定した第1のしきい値T1を下回ったときに弁体を開くとともに、吐出室の圧力Pdが予め設定した第2のしきい値T2を超えたときに弁体を開くため、可変容量圧縮機をより効果的に動作させることができる。
また、他の発明によると、上記弁体が開く方向に上記吐出室の圧力を受ける第1の受圧面の直径をD1とし、上記開口部を通る上記可動ロッドの外径をD2とし、上記弁体が閉じる方向に上記吸入室の圧力を受ける第2の受圧面の直径をD3とした場合、D12=(Ps−T1)・D32/(T2−Pc)+D22を満たすように上記第2のしきい値T2を設定する。この発明によると、吐出室の圧力Pdの変化に基づいて弁体を開く第2のしきい値T2を所望する値に設定できる。
また、他の発明によると、上記第1の受圧面は、上記弁座の開口部の直径より大きい直径で、上記弁体が上記弁座に対向する面に形成された環状凹部に設けられている。この発明によると、弁座の開口部の内径に関係なく、圧力Pdを受ける受圧面の大きさを設定することができるため、設計変更の際に、弁体の構造のみを変更すれば良い。
更に、他の発明によると、上記可動ロッドは磁性材料によって形成されており、上記電磁アクチュエーターのプランジャーに磁着される。
この発明の容量制御弁は、上記のような構成および作用を有しているので、可変容量圧縮機を効果的に動作させることができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る容量制御弁1を備えた可変容量圧縮機10を含むカークーラーの冷凍サイクル100を示すブロック図である。ここでは、本発明をカークーラーの冷凍サイクルに適用した実施形態について説明するが、本発明は、これに限らず、他の熱交換サイクルにも適用可能である。なお、ここでは、説明を分かり易くするため、容量制御弁1を可変容量圧縮機10と別体に図示したが、容量制御弁1は、可変容量圧縮機10に組み込まれるのが一般的である。
図1は、この発明の実施の形態に係る容量制御弁1を備えた可変容量圧縮機10を含むカークーラーの冷凍サイクル100を示すブロック図である。ここでは、本発明をカークーラーの冷凍サイクルに適用した実施形態について説明するが、本発明は、これに限らず、他の熱交換サイクルにも適用可能である。なお、ここでは、説明を分かり易くするため、容量制御弁1を可変容量圧縮機10と別体に図示したが、容量制御弁1は、可変容量圧縮機10に組み込まれるのが一般的である。
本実施の形態の冷凍サイクル100は、可変容量圧縮機10(コンプレッサー)の他に、液体容器102(レシーバータンク)、膨張弁104(エキスパンションバルブ)、蒸発器106(エバポレーター)、および凝集器108(コンデンサー)を有する。
液体容器102は、冷凍サイクルを循環していない余分な冷媒を液体の状態で一時的に貯蔵する。冷媒は、気体、液体、或いは両方が混ざった状態で冷凍サイクル100を流れる。冷凍サイクル100を循環する冷媒の量は、エンジンの回転数や外気温度によって変動するため、この変動を吸収するための冷媒の一時貯蔵庫が必要となる。
膨張弁104は、蒸発器106内を低圧にするため、液体容器102で貯蔵した冷媒を高圧で小さな孔から噴射させて、低圧・低温の霧状の冷媒にする。これにより、蒸発器106では、冷媒を気化(蒸発)し易くなる。
蒸発器106は、膨張弁104を通して霧状にされた冷媒を図示しないパイプに流通させて、パイプの外側から熱を奪ってパイプ内を通る冷媒を急激に気化させる。この際、ファン107を用いてパイプの外側で空気を流通させることで、パイプによって熱を奪われた冷気を作ることができる。この冷気を車室内に送り込んで車室内を冷房する。
可変容量圧縮機10は、蒸発器106から送り込まれた低温・低圧の冷媒ガスを図示しないエンジンの駆動力を利用して圧縮し、高温・高圧の冷媒ガスにして凝集器108へ送り出す。エンジンの駆動力は、プーリー101を介して可変容量圧縮機10に伝達される。この可変容量圧縮機10については、後で説明する。
凝集器108は、可変容量圧縮機10から送り込まれた高温・高圧の冷媒ガスを冷やして液化する。このとき、凝集器108は、パイプを通して高温・高圧の冷媒ガスを流通させ、パイプの外側を通して空気を流通させてパイプを冷やす。つまり、ファン109を用いてパイプに空気をあてて、パイプ内を流れる冷媒を冷やす。凝集器108で冷やされた冷媒は、液体容器102に戻されて再利用に供される。
可変容量圧縮機10として、一般に、斜板の回転運動をピストンの往復運動に変えて出力を取り出す斜板式のコンプレッサーが知られている。本実施の形態では、可変容量圧縮機10として、この斜板式のコンプレッサーを用いた。この可変容量圧縮機10は、プーリー101を介して伝達されるエンジンの駆動力によって図示しない斜板を回転し、この回転によって図示しないピストンを往復移動させ、図示しないシリンダーに蒸発器106からの低温・低圧の冷媒ガスを送り込んで圧縮し、シリンダーで圧縮した高温・高圧の冷媒ガスを凝集器108へ送り出すよう機能する。
この可変容量圧縮機10の運転能力、すなわち容量を変える場合、この圧縮機10の図示しない調圧室内における冷媒の圧力Pcを変化させて、斜板の傾斜角度を変化させ、ピストンのストロークを変化させる。自動車のエンジンによって駆動される圧縮機は、回転数を制御することができないため、このように冷媒の流れを利用して容量を変えることで、冷媒の単位時間当りの圧縮量をコントロールする。
斜板式の容量可変のコンプレッサーについては、一般によく知られているため、ここでは、これ以上の詳細な説明は省略するが、具体的には、調圧室の圧力Pcを高くすると、斜板の傾斜角度が小さくなってピストンのストロークが短くなり、エンジンの負荷となる可変容量圧縮機10の負荷および容量が小さくなる。一方、調圧室の圧力Pcを低くすると、斜板の傾斜角度が大きくなってピストンのストロークが長くなり、エンジンの負荷となる可変容量圧縮機10の負荷および容量が大きくなる。
つまり、自動車の運転中、急な上り坂などでエンジンの回転数が上がって可変容量圧縮機10の回転数が高くなった場合、エンジンの力を自動車の駆動力としてフルに使うため、可変容量圧縮機10の負荷を軽くするとともに、必要以上にカークーラーが利き過ぎないようにするため、調圧室の圧力Pcを高めて可変容量圧縮機10の容量を小さくし、単位時間当りに圧縮する冷媒の量を少なくする。これにより、エンジンの回転数に関係なく、冷凍サイクルを循環する冷媒の量をコントロールでき、カークーラーを所望する温度で運転できるとともに、自動車の駆動力を低下させることがない。
この種の可変容量圧縮機10は、一般に、調圧室の圧力Pcを所望する圧力範囲に制御するための容量制御弁1を備えている。以下、本実施の形態の容量制御弁1について、図2および図3を参照して説明する。なお、以下の説明では、可変容量圧縮機10の図示しないピストンシリンダーに低圧・低温の冷媒ガスを送り込む図示しない吸入室の圧力をPsとし、シリンダーで圧縮された高温・高圧の冷媒ガスを送り出す吐出室の圧力をPdとする。
本実施の形態の容量制御弁1は、可変容量圧縮機10に取り付けた状態で、可変容量圧縮機10の調圧室と吐出室を連通する冷媒のための流路を有するとともに、この流路を開閉する弁体12を有する。カークーラーの温度を設定する場合、この容量制御弁1の後述するソレノイド21に給電する電流値を調節して、弁体12を開くためのしきい値T1(第1のしきい値)をコントロールする。
つまり、この容量制御弁1は、基本的に、吸入室の圧力Psが後述するソレノイド21によって与えられる圧力のしきい値T1(本実施の形態では、1.5bar)より低くなった場合に、吐出室を調圧室に連通するように弁体12を開き、調圧室の圧力Pcを吐出室の圧力Pdに近付くように上昇させる。ソレノイド21によって与えられる上述した吸入側のしきい値T1は、ソレノイド21に給電する電流値を変えることで任意に変更可能である。
なお、この吸入側のしきい値T1は、カーエアコンによる車室内温度を決めるものであり、このしきい値T1を高目に設定(すなわち、ソレノイド21に給電する電流値を小さく)すると、車室内温度を高目にコントロールすることができ、このしきい値T1を低目に設定(すなわち、ソレノイド21に給電する電流値を大きく)すると、車室内温度を低目にコントロールすることができる。
また、この容量制御弁1は、吐出室の圧力Pdが予め設定された別のしきい値T2(第2のしきい値)(本実施の形態では、20bar)を超えた場合にも、吐出室を調圧室に連通するように弁体12を開き、調圧室の圧力Pcを吐出室の圧力Pdに近付くように上昇させる。なお、この吐出側のしきい値T2は、後述する計算式に基づいて、容量制御弁1の要部の寸法を設計することで、所望する値に設定することができる。
なお、吸入室の圧力Psが上述した吸入側のしきい値T1以上で且つ吐出室の圧力Pdが上述した吐出側の別のしきい値T2以下である通常の制御をしているときには、弁体12は、閉じられて調圧室の圧力Pcが維持される。この状態で、車室内温度が、ソレノイド21に給電する電流値に基づいて決定される温度に調節される。
図2に示すように、容量制御弁1は、略円柱形の非磁性材料によって形成された本体2を有する。本実施の形態では、本体2を真鍮によって形成した。本体2の外形は、その中心軸を横切る断面が、図中上方に向かって段々に小さくなっており、可変容量圧縮機10側の図示しない取り付けスロットに対して、図中上端側を先頭にして挿入して取り付け可能となっている。
本体2の外周上には、容量制御弁1の後述する各圧力室を区画してシールするための複数本のOリング3a、3b、3c、3dをそれぞれ取り付けるための複数本の円環状の取り付け溝2a、2b、2c、2dが互いに軸方向に離間して設けられている。これらOリング3a〜3dは、容量制御弁1を可変容量圧縮機10の取り付けスロットに装着した状態で、スロットの図示しない内壁に密着し、容量制御弁1をスロット内に気密に装着するよう機能する。
本体2の図中上端側には、可動体11を挿通して本体2内に取り付けるための略円筒形の圧力室31が形成されている。この圧力室31は、本体2と同軸に設けられている。また、この圧力室31は、容量制御弁1を可変容量圧縮機10に取り付けた状態で、可変容量圧縮機10の調圧室に連通するため、調圧室の圧力Pcと同じ圧力になる。
図3にも拡大して示すように、可動体11は、上述した弁体12を可動ロッド13の図中上端に一体且つ同軸に取り付けた構造を有する。可動ロッド13は、鉄などの磁性材料によって形成されている。可動体11は、可動ロッド13の図中下端側から圧力室31内に挿通されることで本体2内に装着される。つまり、磁性材料でできた可動体11の可動ロッド13の大部分は、後述する弁座41の開口部42を通って、圧力室31の図中下方に突出する。
圧力室31の底部には、圧力室31内で軸方向に移動する弁体12が離接する弁座41が設けられている。弁座41の開口部42の内径、すなわち、弁座41の開口径は、圧力室31の内径より狭くされており、可動体11の可動ロッド13の外径より一周り大きくされている。当然のことながら、この弁座41の開口径は、上述した弁体12の外径より小さい。
すなわち、圧力室31の図中上端側の開口部から挿通された可動体11の可動ロッド13は、その図中下端が弁座41の開口部42を通って差し込まれて装着される。そして、弁体41の図中下端面が、弁座41の図中上面に接触して、弁体12が弁座41に接触して密着される。この状態で、圧力室31の下端にある弁座41の開口部42が閉じられて、可変容量圧縮機10の調圧室と吐出室を連絡した流路が閉じられる。
上述した可動体11を挿入配置した後、圧力室31には、押さえバネ14を介して、中心に孔が開いた略円筒形のネジ部材15が螺合される。圧力室31の図中上端寄りの内周壁には、ネジ部材15の外周面のネジ山に螺合するネジ溝が形成されている。ネジ部材15は、圧力室31を調圧室に連通するための連通孔15aを同軸に有する。
ネジ部材15は、押さえバネ14が可動ロッド13の弁体12を弁座41に押し付ける力を生じるように、押さえバネ14を少なくとも僅かに押し縮めるまで圧力室31内にねじ込まれる。しかし、この押さえバネ14は、あくまでも弁体12を押えるために設けられたものであり、弁体12が開くときに弁座41から図中上方に離間する動作を妨げるものではない。
圧力室31の図中下方、すなわち弁座41の下方には、容量制御弁1を可変容量圧縮機10の図示しないスロットに装着した状態で、圧縮機の吐出室に連通する圧力室32が設けられている。言い換えると、この圧力室32は、弁座41の開口部42を介して、上述した圧力室31に連通している。なお、この圧力室32は、可変容量圧縮機10の吐出室に連通しているため、弁体12を閉じた状態(図示の状態)で、吐出室の圧力Pdと同じ圧力になる。
すなわち、調圧室に連通した比較的大径の圧力室31、弁座41の開口部42、および吐出室に連通した圧力室32が、可変容量圧縮機10の吐出室を調圧室に連絡する冷媒の流路として機能する。そして、可動体11の弁体12が、弁座41の開口部42を吐出室側から開閉するよう、弁座41の図中上面に対して軸方向に離接可能に設けられている。
圧力室32の図中下方には、可動体11の可動ロッド13をスライド可能に挿通する円筒形の長孔43が設けられている。この長孔43の内径は、可動ロッド13の外径D2より僅かに大きい内径に設計されている。つまり、弁体12を開閉移動させるため、可動ロッド13が長孔43に沿って軸方向にスライド可能になっている。
特に、この長孔43は、本体2と同軸に形成されており、可動ロッド13を本体2の中心軸に沿って真っ直ぐにスライド可能に、可動ロッド13を気密に収容配置している。言い換えると、長孔43の内周面と可動ロッド13の外周面との間には殆ど隙間は無く、可動体11に外力が加わった場合であっても、可動ロッド13のスライド軸がぶれることはない。
このため、可動ロッド13に一体に取り付けられた弁体12が弁座41に密着して閉じた状態で可動ロッド13に外力が加わった場合であっても、弁体12の下面と弁座41の上面との間に隙間が形成されることがなく、開口部42が密閉されて流路が確実に閉じられる。
長孔43の図中下端は、可変容量圧縮機10の吸入室に連通した圧力室33(図2)に連絡している。この圧力室33は、容量制御弁1を可変容量圧縮機10に取り付けた状態で、圧縮機10の吸入室に連通するため、吸入室の圧力Psと同じ圧力にされる。可動体11の可動ロッド13の図中下端は、長孔43を通り抜けて、この圧力室33まで延びている。
圧力室33まで延びた可動ロッド13の下端には、円筒形の磁性部材によって形成された磁着リング44が略隙間の無い状態で環装されている。本実施の形態では、この磁着リング44を鉄などの磁性材料によって形成した。この磁着リング44は、可動ロッド13に対して軸方向に移動可能に装着される。また、可動ロッド13の下端は、磁着リング44を貫通してさらに下方へ延びている。
一方、本体2の図中下側には、圧力室33まで延びた可動ロッド13の下端を磁着リング44とともに図中下方に引っ張って弁体12を弁座41に押し付けるためのソレノイド21(電磁アクチュエーター)が設けられている。このソレノイド21は、後述するコイル23に給電する電流値をコントロールすることで、後述するプランジャー24による引っ張り力をコントロールし、吸入室の圧力低下に基づいて弁体12を開く際の動作のしきい値T1を所望する値に設定する。
ソレノイド21は、本体2に固定的に埋設された概ね円筒状の固定鉄心22、この固定鉄心22の外側に離間して取り付けられたコイル23、および固定鉄心22の図中上方で固定鉄心22に対して軸方向に離接可能に配置された鉄などの磁性材料によって形成されたプランジャー24(可動鉄心)を有する。
プランジャー24は、固定鉄心22に対向する図中下端に、円錐形の環状テーパー面24aを有する。一方、固定鉄心22がプランジャー24に対向する図中上端には、プランジャー24の環状テーパー面24aに対向する円錐形の環状テーパー面22aが設けられている。これら2つの環状テーパー面22a、24aは、互いに略同じ角度で傾斜している。
また、プランジャー24の図中上面24bには、可動ロッド13の図中下端を遊びを介してゆるく受け入れる円形穴24cが同軸に形成されている。言い換えると、円形穴24cの内径は、可動ロッド13の外径より一周り大きい。また、プランジャー24の上面24bは、上述した磁着リング44の図中下面44aが面で接触可能な平らな面となっている。
しかして、ソレノイド21のコイル23に通電すると、固定鉄心22が励磁されて、プランジャー24の環状テーパー面24aが固定鉄心22の環状テーパー面22aに吸引され、プランジャー24も励磁される。一方、これら2つの環状テーパー面22a、24aは、固定鉄心22とプランジャー24との間に配置された中間バネ26(付勢部材)によって、互いに離間する方向に付勢されている。このため、ソレノイド21の非通電状態からコイル23に通電すると、プランジャー24が固定鉄心22に近付く方向(図中下方)に引っ張られる。
このとき、プランジャー24が磁化されると同時に、磁性材料によって形成された可動ロッド13と磁着リング44もプランジャー24に磁気的に吸引されて吸着される。このとき、磁着リング44は、可動体11のプランジャー24に対する磁気的な吸着力を強める目的で設けられている。つまり、可動ロッド13の比較的小さな下端面がプランジャー24の円形穴24cの底面に接触して磁着されるとともに、磁着リング44の比較的広い下面44aがプランジャー24の上面24bに接触して磁着される。
このように、磁着リング44の比較的広い下面44aをプランジャー24の上面24bに磁着させることで、可動ロッド13とプランジャー24の円形穴24cとの間の比較的弱い吸着力を補うことができ、ソレノイド21をONにした状態で、可動ロッド11の下端をプランジャー24に対してより強固に吸着させることができる。
また、可動ロッド11の下端とプランジャー24の円形穴24cとの間に遊びを設けることで、プランジャー24の中心軸と可動ロッド11の中心軸との間のズレを吸収することができる。
つまり、ソレノイド21のコイル23に通電すると、プランジャー24が固定鉄心22に吸引されて図中下方に引っ張られると同時に、プランジャー24に一体に磁着された可動ロッド13と磁着リング44も図中下方に引っ張られる。この結果、弁体12が弁座41に押し付けられ、圧力室31、32を連絡する流路が閉じられる。
逆に、コイル23への通電をやめると、中間バネ26によって図中上方に付勢されているプランジャー24が消磁されて固定鉄心22から離間する図中上方に押し上げられ、プランジャー24の円形孔24cの底面に下端面を接触せしめている可動ロッド13が図中上方に押し上げられる。これにより、弁体12が弁座41から離間して流路が開かれる。言い換えると、中間バネ26は、ソレノイド21をOFFにしたとき、弁体12を全開にできる程度のバネ定数を有する。
なお、可動体11は、その上端に弁体12を備えているため、圧力室31から弁座41の開口部42に挿通して装着する必要がある。一方、プランジャー24や磁着リング44は、本体2を図2のように組み立てる前に圧力室33内に挿入して取り付ける必要がある。このため、可動体11の図中下端とプランジャー24の円形穴24cとの間は分離可能な構造にする必要がある。つまり、磁着リング44は、このような理由で分離する必要がある可動体11とプランジャー24を必要に応じて強固に結合させるため、必要な磁力を発生させる。
この他に、ソレノイド21の固定鉄心22の内部には、吸入室の圧力低下を検知したことをトリガーとして、プランジャー24を図中上方に押し上げるための非磁性材料によって形成されたプッシュバー25が挿入配置されている。プランジャー24は、その下端側からプッシュバー25の図中上端を受け入れる長穴24dを有する。長穴24dの内径は、プッシュバー25の外径より大きい。長穴24dの図中上端は閉じている。プッシュバー25は、上述した中間バネ26の内部を通って取り付けられている。
プッシュバー25の図中下端には、略円形のダイアフラム27に比較的広い面で接触する略円形の受圧面25aが設けられている。ダイアフラム27は、剛性を付与することで取り付け作業を容易にするための円環状のリブ27aを、加圧によって変形可能な円形の薄い金属板27bの周縁部に溶接で接着した構造を有する。ダイアフラム27の薄い金属板27bは、例えば、0.06mm〜0.08mm程度の厚さを有するSUSなどの金属箔によって形成されている。
ダイアフラム27の図中下側には、リブ27aを図中下側から押える略円筒形のストッパー45が取り付けられている。ストッパー45は、その外周面から突出した円環状のフランジ45aを、本体2の外周に配置した円筒形のカバー46で固定することで、本体2の図中下端に固定される。ダイアフラム27を取り付ける場合、Oリング3eを介してダイアフラム27を取り付けて、ストッパー45で押さえた状態で、カバー46でストッパー45を本体2に固定する。
また、ストッパー45の内部であってダイアフラム27の図中下側には、上述したプッシュバー25の受圧面25aと同じ形の押圧面をその上端に有する支え部材28が取り付けられている。支え部材28は、その下面側に、略円筒形の脚部28aを有し、この脚部28aの外側に押圧バネ29が環装されている。そして、この押圧バネ29の図中下端側には、ストッパー45内に螺合する調圧ネジ47が取り付けられている。
しかして、調圧ネジ47のねじ込み量を調節することで、押圧バネ29の縮み量を調節でき、支え部材28によるダイアフラム27の金属板27bに対する押圧力を調節できる。基本的に、この調圧ネジ47のねじ込み量は、ダイアフラム27の金属板27bの図中上面側から付与される所定の圧力のとき、金属板27bの図中下面側から付与される圧力がバランスするように決められる。
ダイアフラム27の上面側には、金属板27bの有効面積(直径D3の円の面積)に対し、圧力室33と同じ圧力Psが加えられる。つまり、圧力室33が、プランジャー24の外周面とスリーブ49の内周面との間の隙間、プランジャー24の環状テーパー面24aと固定鉄心22の環状テーパー面22aとの間の隙間、およびプッシュバー25と固定鉄心22の長孔との間の隙間を介して、ダイアフラム27の上面側の空間に連通しているため、ダイアフラム27の上面(第1の受圧面)側には、圧力室33と同じ圧力Psが加えられる。
この他に、ダイアフラム27の上面側には、調圧室の圧力Pcが加えられる。しかし、ダイアフラム27の有効面積、すなわち金属板27bの直径D3は、圧力Pcを受ける可動ロッド13の直径D2より数倍大きく、圧力Pc自体も3bar程度であるため、ダイアフラム27に加えられる圧力Pcに基づく力は動作説明時には省略して考えることができる程度のものである。例えば、本実施の形態では、D3が13mmであるのに対し、D2が2mmであるため、圧力が加わる面積の比にすると、その差は40倍ほどになる。
このため、本実施の形態では、可変容量圧縮機10の吸入室の圧力Psが2bar程度であるものとして、この圧力がちょうどバランスするように、調圧ネジ47のねじ込み量を調節した。つまり、ソレノイド21をOFFにして、圧力室31に圧力Pcを加えて、圧力室32に圧力Pdを加えて、且つ、圧力室33に圧力Psを加えた状態で、ダイアフラム27の両面に加えられる圧力が同じになるように、調圧ネジ47のねじ込み量を調節した。
上記のように組み立てられた容量制御弁1は、カークーラーの冷凍サイクル100の可変容量圧縮機10に取り付けられた状態で、以下のように機能する。
可変容量圧縮機10に装着された容量制御弁1の圧力室31は、圧縮機の調圧室と同じ圧力Pc(本実施の形態では約3bar)にされ、圧力室32は、吐出室と同じ圧力Pd(本実施の形態では約10bar)にされ、圧力室33は、吸入室と同じ圧力Ps(本実施の形態では約2bar)にされる。可変容量圧縮機10の動作時には、これらの圧力Pc、Pd、Psは、ダイナミックに変動するが、以下の説明では、自動車が平らな道を一定速度で走行しているような定常状態で、Pc=3bar、Pd=10bar、Ps=2barであるものとする。
上述した定常状態でソレノイド21がOFFの状態では、ダイアフラム27の両面に加わる圧力がちょうどバランスしているため、吸入室の圧力Psが2barを僅かでも下回ると、ダイアフラム27両面の圧力バランスが崩れて、ダイアフラム27の金属板27bが図中上方に僅かに凸をなすように変形し、プッシュバー25が図中上方に押し上げられる。
このとき、弁体12は、ソレノイド21をOFFにした時点で、上述した中間バネ26によって上方に既に押し上げられているため、プッシュバー25の動作状態に関係なく、弁体12は開いている。
一方、ソレノイド21をONにした状態では、コイル23に流す電流値に応じて、Psの低下によって弁体12が開くときの動作のしきい値T1を変えることができる。例えば、ダイアフラム27の図中上面側に加わる圧力に換算して0.5barに相当する圧力を生じるようにコイル23に流す電流値をコントロールすると、Psが2barからわずかに低下しただけでは弁体12が開くことはない。つまり、この場合、ダイアフラム27の上面側には、見かけ上、2.5barの圧力が加えられているため、Psが0.5bar以上下がらないと弁体12が開くことはない。言い換えると、この場合、可変容量圧縮機10の吸入圧Psが1.5barを下回ったときに弁体12が動作することになり、この場合の動作のしきい値T1は1.5barとなる。
また、本実施の形態の容量制御弁1は、可変容量圧縮機10の吐出室の圧力Pdが別のしきい値T2(本実施の形態では20barとした)を超えて高くなった場合にも、弁体12を開いて吐出室を調圧室に連通させるようにしている。以下、この場合の別のしきい値T2の設定方法について、図4の簡略化した構造の弁体12を有する容量制御弁1を用いて説明する。
上述した定常状態(Pc=3bar、Pd=10bar、Ps=2bar)で可変容量圧縮機10が動作しているとき、吐出室の圧力Pdの上昇に応じて容量制御弁1の弁体12を開くためには、弁座の開口径D1を可動ロッド13の外径D2より大きくする必要がある。しかし、単にD1>D2としただけでは、弁体12を開くための圧力Pdのしきい値T2を所望する値に設定することはできないばかりか、他の条件によっては、吐出室の圧力Pdが僅かに上昇しただけでは、弁体12を開くことすらできない。
このため、本実施の形態では、容量制御弁1の要部の寸法D2、D3、各圧力室の定常状態における圧力Pc、Ps、所望するしきい値T1、T2などに合せて、弁座41の開口径D1をコントロールすることで、上述したしきい値T2を所望する値に設定するようにした。
つまり、ソレノイド21によって与えられる上述した吸入側の圧力Psのしきい値をT1とし、所望する吐出側の圧力Pdのしきい値をT2とし、可動ロッド13の外径をD2とし、上述したダイアフラム27の金属板27bの有効径をD3とした場合、弁座41の開口径D1を、下式(1)を満たす最小の値に設定することで、しきい値T2を所望する値に設定できる。
D12=(Ps−T1)・D32/(T2−Pc)+D22・・・(1)
すなわち、弁体12に図中上方から下向きに加えられる力は、圧力Psのしきい値T1を設定するためソレノイド21によって与えられるK(Ps−T1)D32(Kは比例定数)であり、弁体12に図中下方から上向きに加えられる力は、K(Pd−Pc)(D12−D22)(Kは比例定数)である。よって、吐出室の圧力Pdを所望するしきい値T2に置き換えて、弁体12の上下に加わる力をイコールで結ぶと、上述した式(1)が導かれる。
D12=(Ps−T1)・D32/(T2−Pc)+D22・・・(1)
すなわち、弁体12に図中上方から下向きに加えられる力は、圧力Psのしきい値T1を設定するためソレノイド21によって与えられるK(Ps−T1)D32(Kは比例定数)であり、弁体12に図中下方から上向きに加えられる力は、K(Pd−Pc)(D12−D22)(Kは比例定数)である。よって、吐出室の圧力Pdを所望するしきい値T2に置き換えて、弁体12の上下に加わる力をイコールで結ぶと、上述した式(1)が導かれる。
なお、上述した式(1)を満たすには、弁座41の開口径D1を変える代りに、可動ロッド13の外径D2やダイアフラム27の有効径D3を変えても良い。また、D1、D2、D3をそれぞれ変更しても良い。いずれにしても、式(1)を満たすことで、圧力Pdのしきい値T2を所望する値に設定することができる。
しかし、しきい値T2を設定するため、弁座41の開口径D1、可動ロッド13の外径D2、および/或いはダイアフラム27の有効径D3を変更することは容易ではない。つまり、弁座41の開口径D1を変更するためには容量制御弁1の本体の形状を変更する必要があり、可動ロッド13の外径D2を変更するためには長孔43の内径、すなわち本体2の構造を変更する必要があり、ダイアフラム27の有効径D3を変更するためにはリブ27aの内径を変更するだけではなく、ストッパー45の形状や本体2の形状を変更する必要がある。
このため、本実施の形態では、図3に示すような弁体12の構造を採用した上で、弁座41の開口径D1を変える代わりに弁体12の構造を変更することで、しきい値T2を所望する値に設定するようにした。
つまり、本実施の形態の弁体12は、弁座41の図中上面に接触する下面側に、吐出室の圧力Pdを受ける直径D1の環状凹部12aを有する。この場合、可動ロッド13の図中上端は、この環状凹部12a内に一体に接続している。
この構造の弁体12を用いた場合、弁体12を閉じた状態で、圧力室32が弁座41の開口部42を介して環状凹部12aに連通し、吐出室の圧力Pdが環状凹部12aの図中上面に作用することになる。この場合、環状凹部12aの上面の圧力Pdを受ける面積(第2の受圧面)は、D1に依存することになる。言い換えると、環状凹部12aの直径を変更するだけで、弁体12が図中下方から上向きに受ける力の大きさを変えることができる。
すなわち、本実施の形態の弁体12を用いることで、弁座41の開口径D1、可動ロッド13の外径D2、ダイアフラム27の有効径D3などを変更することなく、弁体12の構造を変更(すなわち、可動体11を交換)するだけで、吐出室の圧力Pdのしきい値T2を設定することができ、大きな設計変更の必要がなく、設計変更に伴うコストを低減することができる。また、本実施の形態の弁体12を用いる場合、弁座41の開口部42の寸法を適宜設定することができる。
つまり、この場合、弁座41の開口部42の内径は、可動ロッド13の外径より僅かに大きい径にすれば良く、環状凹部12aの直径D1より少なくとも小さくすれば良い。見方を変えると、本実施の形態の弁体12を用いる場合、弁座41の開口部42を比較的小さい内径にすることが有効であり、開口部42の内径を小さくすることで、環状凹部12aの直径を短くする変更(すなわち、弁体12が下方から上向きに受ける力を小さくする変更)にも対応できる。
[実施例]
可動ロッド13の外径D2を2mmに設計し、ダイアフラム27の有効径D3を13mmに設計し、吸入室の圧力Psを2barとし、調圧室の圧力Pcを3barとし、吸入室の圧力Psのしきい値T1を1.5barとして、吐出室の圧力Pdのしきい値T2を20barに設定するための弁体12の環状凹部12aの直径D1を算出した。その結果、圧力Pdのしきい値T2を20barにするための直径D1は、約3mmとなった。
可動ロッド13の外径D2を2mmに設計し、ダイアフラム27の有効径D3を13mmに設計し、吸入室の圧力Psを2barとし、調圧室の圧力Pcを3barとし、吸入室の圧力Psのしきい値T1を1.5barとして、吐出室の圧力Pdのしきい値T2を20barに設定するための弁体12の環状凹部12aの直径D1を算出した。その結果、圧力Pdのしきい値T2を20barにするための直径D1は、約3mmとなった。
この直径D1は、可動ロッド13の外径D2の1.5倍に相当し、面積比にして、環状凹部12aの面積は、可動ロッド13の断面積の約2.25倍になった。つまり、本実施例では、この面積比になるような大きさの環状凹部12aを有する弁体12を用いることで、吐出室の圧力Pdのしきい値を20barにできることがわかった。
なお、上述した計算式の圧力Psや圧力Pcは、可変容量圧縮機10の動作中ダイナミックに変動するものであるため、上述した面積比にも適正範囲が存在する。すなわち、このような圧力変動を吸収するための手段としては、ソレノイド21による吸引力を調整する方法、すなわち電流値を調整する方法が考えられる。このため、ソレノイド21による圧力の調節可能範囲から、適正な面積比は、2.25bar±30%とすることができる。
以上のように、本実施の形態の容量制御弁1によると、可変容量圧縮機10の吸入室の圧力Psがソレノイド21によって与えられるしきい値T1を下回った場合に、弁体12を開いて調圧室の容量を少なくするよう動作するとともに、吐出室の圧力Pdが別のしきい値T2を超えた場合にも、弁体12を開くように動作する。つまり、本実施の形態の容量制御弁1は、このように、2つのしきい値T1、T2を有することを特徴としており、可変容量圧縮機10をより効果的に動作させることができる。
また、本実施の形態によると、しきい値T2を所望する値に設定するため、上述した式(1)を満たすように弁座12の開口径D1、可動ロッド13の外径D2、ダイアフラム27の有効径D3のうち少なくともいずれか1つを変更するだけで良く、容量制御弁1の使用環境に応じて、しきい値T1、T2を任意且つ容易に所望する値に設定することができる。
また、本実施の形態によると、図3に示す構造の弁体12を採用することで、上述したD1、D2、D3を変更する代りに環状凹部12aの直径D1を変更するだけで、しきい値T2を所望する値に設定することもできる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
この発明の容量制御弁は、例えば、カークーラーの冷凍サイクルに組み込まれる可変容量圧縮機に取り付けられる。
1…容量制御弁、2…本体、10…可変容量圧縮機、11…可動体、12…弁体、12a…環状凹部、13…可動ロッド、21…ソレノイド、22…固定鉄心、23…コイル、24…プランジャー、25…プッシュバー、27…ダイアフラム、31、32、33…圧力室、41…弁座、42…開口部、100…冷凍サイクル、102…液体容器、104…膨張弁、106…蒸発器、108…凝集器。
Claims (4)
- その圧力を調整することによって冷媒の圧縮容量を変化させる調圧室、冷凍サイクルの蒸発器から送り込まれる低温・低圧の冷媒を受け入れる吸入室、および上記冷凍サイクルの凝縮器へ高温・高圧の冷媒を送り出す吐出室を有する可変容量圧縮機に取り付けられる容量制御弁であって、
上記吐出室を上記調圧室に連通する流路に設けられた弁座と、
この弁座の開口部を上記調圧室側から開閉する弁体と、
この弁体を一端に備え上記開口部を通って該弁体の開閉方向に沿って移動可能に延設された可動ロッドと、
上記弁体を上記弁座に押し付ける方向に上記可動ロッドを付勢する電磁アクチュエーターと、
この電磁アクチュエーターによる付勢力を消失させた状態で上記弁体を上記弁座から離間する方向に付勢して開く付勢部材と、
上記吸入室の圧力Psが予め設定した第1のしきい値T1を下回ったときに、上記電磁アクチュエーターによる付勢力に抗して上記弁体を開く第1の開き手段と、
上記吐出室の圧力Pdが予め設定した第2のしきい値T2を超えたときに、上記弁体を開く第2の開き手段と、
を有することを特徴とする容量制御弁。 - 上記弁体が開く方向に上記吐出室の圧力を受ける第1の受圧面の直径をD1とし、上記開口部を通る上記可動ロッドの外径をD2とし、上記弁体が閉じる方向に上記吸入室の圧力を受ける第2の受圧面の直径をD3とした場合、
D12=(Ps−T1)・D32/(T2−Pc)+D22
を満たすように上記第2のしきい値T2を設定することを特徴とする請求項1に記載の容量制御弁。 - 上記第1の受圧面は、上記弁座の開口部の直径より大きい直径で、上記弁体が上記弁座に対向する面に形成された環状凹部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容量制御弁。
- 上記可動ロッドは磁性材料によって形成されており、上記電磁アクチュエーターのプランジャーに磁着されることを特徴とする請求項1に記載の容量制御弁。
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