JP2019073584A - 絶縁塗料、及びエナメル線 - Google Patents

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shuta Nabeshima
秀太 鍋島
祐樹 本田
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Abstract

【課題】高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するエナメル線を得るのに好適な絶縁塗料、及びエナメル線を提供する。【解決手段】絶縁塗料は、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、前記ポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、インバータ駆動のモータを構成するコイルに使用されるエナメル線の絶縁被覆に好適な絶縁塗料、及びエナメル線に関する。
インバータ駆動のモータを構成するコイルには、例えば、部分放電の発生によって絶縁被覆が劣化しにくい高い耐部分放電性を有するエナメル線が使用されることがある。このようなエナメル線としては、例えば、銅やアルミニウム等の金属線からなる導体の外周に、ポリアミドイミド樹脂等の絶縁性を有する樹脂と、シリカ等の無機微粒子とからなる絶縁被覆を有するエナメル線が使用されている。
このような高い耐部分放電性を有するエナメル線において、絶縁被覆は、例えば、ポリアミドイミド樹脂に金属酸化物微粒子ゾル、又はケイ素酸化物微粒子ゾルを分散させた絶縁塗料によって形成される(例えば、特許文献1)。
特開2001−307557号公報
近年のハイブリッド自動車や電気自動車等に使用されるモータとして、例えば、最高出力や最大トルクをさらに高めたインバータ駆動のモータが望まれている。このようなインバータ駆動のモータを構成するコイルでは、インバータ駆動中に高い熱、及び部分放電が発生する。そのため、このようなコイルには、高い熱が加わっても絶縁被覆が脆化しない高い耐熱性を有し、かつ部分放電が発生しても絶縁被覆が劣化しにくい高い耐部分放電性を有するエナメル線を適用する検討がなされている。
現時点で実用化されているエナメル線において、高い耐部分放電性を有するエナメル線の耐熱性は、JIS C 3216−6に準拠する測定方法によって求められる温度指数が最高で220℃である。そして、高い耐部分放電性を有するエナメル線を、例えば、最高出力や最大トルクをさらに高めたインバータ駆動のモータを構成するコイルに適用する場合には、温度指数を220℃よりも高くし、耐熱性をさらに高めたエナメル線とすることが望まれる。そのためには、高い耐部分放電性を有するエナメル線において、絶縁被覆に使用する絶縁塗料の改善が必要である。
したがって、本発明の目的は、高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するエナメル線を得るのに好適な絶縁塗料、及びエナメル線を提供することである。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記の絶縁塗料、及びエナメル線を提供する。
[1]脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、前記ポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、を有する絶縁塗料。
[2]前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうちの1つ以上からなる上記[1]に記載の絶縁塗料。
[3]前記脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物からなる上記[1]に記載の絶縁塗料。
[4]前記脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートは、2,4−ジイソシアン酸トリレンからなる上記[1]に記載の絶縁塗料。
[5]前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、前記4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と前記3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とが[A]/[B]=10/90以上70/30以下の割合で含有されている上記[2]に記載の絶縁塗料。
[6]導体の周囲に、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、前記ポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有されている無機微粒子と、を有する絶縁被覆を備えるエナメル線。
[7]前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうちの1つ以上からなる上記[6]に記載のエナメル線。
[8]前記脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物からなる上記[6]に記載のエナメル線。
[9]前記脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートは、2,4−ジイソシアン酸トリレンからなる上記[6]に記載のエナメル線。
[10]前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、前記4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と前記3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とが[A]/[B]=10/90以上70/30以下の割合で含有されている上記[7]に記載のエナメル線。
本発明によれば、高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するエナメル線を得るのに好適な絶縁塗料、及びエナメル線を提供することができる。
(a)、及び(b)は、エナメル線の構成例を示す概略横断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る絶縁塗料、及びエナメル線について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエナメル線の構成例を示す概略横断面図である。
〔絶縁塗料〕
本発明の絶縁塗料は、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、このポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、を含んでなるものである。
(ポリアミドイミド樹脂)
絶縁塗料に含まれるポリアミドイミド樹脂は、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンと、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物と、脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートと、を極性溶媒に溶解して合成反応させて得られるものである。より具体的には、主溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含む極性溶媒に、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートを投入し、溶液重合を行なうことにより、ポリアミドイミド樹脂を合成反応させる。
溶液重合を行うための極性溶媒としては、NMPやN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のうちの少なくとも1種を主溶媒として含有するものが使用できる。なお、絶縁塗料中での無機微粒子の分散性をさらに向上させるために、γ−ブチロラクトンやN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等を、主溶媒であるNMPやDMFとともに含有させることができる。
なお、絶縁塗料では、当該絶縁塗料に含有されているポリアミドイミド樹脂の濃度を調整するために、希釈溶媒としてγ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、又は芳香族アルキルベンゼン類等のうちの1種以上を、ポリアミドイミド樹脂の溶解性を低下させない含有量で含有していてもよい。また、本発明の絶縁塗料では、キシレン等の共沸溶媒を含有させてもよい。
絶縁塗料において、ポリアミドイミド樹脂を構成する脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA)、及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)のうちの1つ以上からなる。なお、本発明の絶縁塗料では、これらの芳香族ジアミンの他に、例えば、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等のうちの1つ以上からなる芳香族ジアミンが含まれていてもよい。
絶縁塗料では、ポリアミドイミド樹脂が4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうちの1つ以上からなることにより、高い耐熱性(すなわち、温度指数を220℃よりも高くすること)と高い耐部分放電性とを有する絶縁被覆を得るのに好適な絶縁塗料とすることができる。特に、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とを併用する場合は、それらが[A]/[B]=10/90以上70/30以下の割合で含有されていることが好ましく、20/80以上50/50以下であることがさらに好ましい。また、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、上記の割合で4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とが含有されていることにより、絶縁塗料中に含まれる無機微粒子の分散性を高めることに有効であるため、このような絶縁塗料から得られる絶縁被覆は、高い部分放電性を有する。
絶縁塗料において、ポリアミドイミド樹脂を構成する脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物(TMA)が好ましい。この脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物の含有量は、モル比で、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンの含有量の1.9倍以上2.1倍以下となるように絶縁塗料中に含有されていることが好ましく、2.0倍となることがさらに好ましい。脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、このような含有量で含有されていることにより、ポリアミドイミド樹脂の分子量を上げることができるため、耐熱性、耐部分放電性、及び可とう性を向上させるのに有効である。
また、絶縁塗料において、ポリアミドイミド樹脂を構成する脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートは、2,4−ジイソシアン酸トリレン(TDI)が好ましい。脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートの含有量と脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンの含有量とを合わせた含有量は、モル比で、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物の含有量の0.95倍以上1.05倍以下であることが好ましく、1.00倍であることがさらに好ましい。脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートと脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンの含有量とは、このような含有量で含有されていることにより、ポリアミドイミド樹脂の分子量を上げることができるため、耐熱性、耐部分放電性、及び可とう性を向上させるのに有効である。
絶縁塗料では、ポリアミドイミド樹脂が上述したような脂肪族基を含有しない芳香族ジアミン、トリカルボン酸無水物、及び芳香族イソシアネートからなることにより、後述する無機微粒子が特定の含有量で均一に分散した状態(すなわち、絶縁塗料が濁りのない状態)を維持したまま、ポリアミドイミド樹脂の樹脂骨格において、芳香族ジアミンとトリカルボン酸無水物と芳香族イソシアネートとが互いに連結される部分の連結基に脂肪族基を含有させないようにすることができる。そのため、本発明の絶縁塗料を用いて形成された絶縁被覆は、部分放電の発生によって劣化しにくく、かつJIS C 3216−6に準拠する測定方法によって求められる温度指数を240℃までに向上させたものとなる。すなわち、本発明の絶縁塗料は、導体の周囲に絶縁被覆を備え、高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するエナメル線を得るのに好適である。
(無機微粒子)
絶縁塗料では、ポリアミドイミド樹脂と共に無機微粒子が含有されている。この無機微粒子としては、シリカ、アルミナ等からなる。この無機微粒子は、特に、当該無機微粒子が分散溶媒中に分散されてなるオルガノゾルの状態で絶縁塗料中に含有されていることが好ましい。無機微粒子は、オルガノゾルの状態で絶縁塗料中に含有されていることにより、絶縁塗料が濁りのない状態となるように無機微粒子を絶縁塗料中に均一に分散させることができる。オルガノゾルを構成する分散溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等が使用される。
無機微粒子は、その平均粒子径が100nm以下であることが好ましく、15nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。無機微粒子は、このような平均粒子径からなることにより、絶縁塗料中に無機微粒子が均一に分散しやすくなり、絶縁塗料を濁りにくくすることができる。なお、無機微粒子の「平均粒子径」は、例えば、比表面積測定(BET)等によって測定することができる。
絶縁塗料において、無機微粒子の含有量は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、15質量部以上35質量部以下(すなわち、15phr以上35phr以下)で含有されていることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。なお、無機微粒子が分散溶媒中に分散されてなるオルガノゾルの状態で絶縁塗料中に含まれる場合は、絶縁塗料に含有されるポリアミドイミド樹脂の濃度とオルガノシリカゾルの濃度とに基づいて無機微粒子の含有量が上記範囲内となるように調整する。
〔エナメル線〕
図1は、本発明の一実施形態に係るエナメル線の構成例を示す概略横断面図である。図1に示すエナメル線3は、導体1と、導体1の周囲に有する絶縁被覆2とを備える。
(導体)
導体1は、銅やアルミニウム等の金属線材で構成される。導体1の横断面は、図1(a)に示すような四隅の角部が湾曲した平角形状、あるいは、図1(b)に示すような円形状からなる。導体1の大きさは、絶縁被覆を形成することが可能な大きさであればよい。
(絶縁被覆)
導体1の周囲に有する絶縁被覆2は、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、このポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、で構成される。絶縁被覆2の厚さは、高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するために10μm以上が好ましく、10μm以上100μm以下がさらに好ましい。
絶縁被覆2は、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、このポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、を含んでなる絶縁塗料を導体1の周囲に塗布し、導体1の周囲に塗布された絶縁塗料を加熱炉にて加熱することによって形成される。
なお、エナメル線3は、図1において、導体1の周囲に当該導体1と接するように絶縁被覆2を有する構造を示しているが、導体1と絶縁被覆2との間、及び/又は絶縁被覆2の周囲のうちの少なくとも一方に他の絶縁被覆を有する構造であってもよい。例えば、エナメル線3では、導体1と絶縁被覆2との間に絶縁性と密着性とを兼ね備えた他の絶縁被覆を有する構造、及び/又は絶縁被覆2の周囲に絶縁性と潤滑性とを兼ね備えた他の絶縁被覆を有する構造であってもよい。
実施例1〜4及び比較例1〜3は、下記のように実施した。
(実施例1〜4、比較例2〜3)
実施例1〜4、比較例2〜3では、撹拌機、還流冷却管、窒素流入管、温度計を備えたフラスコに、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸であるトリメリット酸無水物(TMA)、及び脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンを、トリメリット酸無水物の含有量(モル量)が芳香族ジアミンの含有量(モル量)の2.0倍となるように添加し、さらに極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、及び共沸溶媒であるキシレン(極性溶媒の10重量%程度)を添加した後、攪拌回転数180rpm、窒素流量1L/min、及び系内の温度180℃で4時間〜6時間溶液重合を行うことによって合成反応させた。なお、溶液重合の際の脱水反応中に生成される水、及びキシレンは、一旦、受け器に溜め、適宜系外へ留去した。合成反応の後に、系内の温度を90℃まで冷却し、脂肪族を含有しない芳香族イソシアネートである2,4−ジイソシアン酸トリレン(TDI)を添加し、攪拌回転数150rpm、窒素流量0.1L/min、及び系内の温度130℃で1時間溶液重合を行うことによって合成反応させた。その後、希釈溶媒であるγ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、及び封止剤であるベンジルアルコールを添加してポリアミドイミド樹脂とし、最後にポリアミドイミド樹脂100質量部に対して無機微粒子であるシリカの含有量が表1に示す量となるように、オルガノシリカゾル(分散溶媒:シクロヘキサノン)の状態で添加することにより、絶縁塗料を作製した。
(比較例1)
比較例1では、撹拌機、還流冷却管、窒素流入管、温度計を備えたフラスコに、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸であるトリメリット酸無水物(TMA)、及び脂肪族基を含有する芳香族イソシアネートである4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを添加し、さらに極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトンを添加した後、攪拌回転数120rpm、窒素流量1L/min、及び系内の温度120〜140℃で4〜6時間溶液重合を行うことによって合成反応させた。その後、希釈溶媒であるγ−ブチロラクトン、封止剤であるベンジルアルコールを添加してポリアミドイミド樹脂とし、最後にポリアミドイミド樹脂100質量部に対して無機微粒子であるシリカの含有量が表1に示す量となるように、オルガノシリカゾル(分散溶媒:シクロヘキサノン)の状態で添加することにより、絶縁塗料を作製した。
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた絶縁塗料を0.8mmの銅線からなる導体の周囲に塗布し、塗布した絶縁塗料を加熱することによって厚さ35μmの絶縁被覆を導体の周囲に有するエナメル線を得た。
実施例、及び比較例における絶縁塗料の成分組成、及びエナメル線の特性については、表1に示す。
なお、エナメル線の可とう性は、JIS C 3216−3に準拠する方法で試験した。なお、本試験では、無伸長のエナメル線を、当該エナメル線の外径と同じ外径を有するマンドレルの表面に巻き付けしたときに、絶縁被覆に割れが発生するか否かを評価した。また、エナメル線の温度指数は、JIS C 3216−6に準拠する方法で試験した。また、絶縁塗料の分散性は、目視、及び濁度計に基づいて透明性を確認し、濁りがないものを分散性が良好、濁りが強いものを分散性が不良として評価した。
エナメル線のV−t特性は、得られたエナメル線から500mmのサンプルを2本採取する。次いで、採取した2本のサンプルを用いてツイストペア(撚り線)を作製し、このツイストペアに対して印加電圧1.4kVrms、正弦波10kHz、常温中(40℃)の条件で測定を実施し、ツイストペアが絶縁破壊に至るまでの時間を計測して評価した。なお。表1では、実施例1のツイストペアが絶縁破壊に至るまでの時間を1.0とし、指数化することによって示した。
〔本実施形態に係る効果〕
本実施形態によれば、絶縁塗料に含まれるポリアミドイミド樹脂が脂肪族基を含まない原料(芳香族ジアミン、トリカルボン酸無水物、及び芳香族イソシアネート)からなることにより、無機微粒子が特定の含有量で均一に分散した状態(すなわち、絶縁塗料が濁りのない状態)を維持したまま、芳香族ジアミン、トリカルボン酸無水物、及び芳香族イソシアネートが連結される連結基に熱によって劣化しやすい脂肪族基を含まない樹脂骨格を有するポリアミドイミド樹脂とすることができる。そのため、本実施形態に係る絶縁塗料からなる絶縁被覆は、部分放電の発生によって劣化しにくく、かつJIS C 3216−6に準拠する測定方法によって求められる温度指数を240℃までに高めることができると考えられる。すなわち、本実施形態に係る絶縁塗料は、導体の周囲に絶縁被覆を備え、高い耐部分放電性と高い耐熱性とを有するエナメル線を得るのに好適である。そして、本実施形態に係るエナメル線は、近年のハイブリッド自動車や電気自動車等に使用されるモータとして、例えば、最高出力や最大トルクをさらに高めたインバータ駆動のモータが適用される際に、モータを構成するコイルの耐熱性と耐部分放電性とを高めることができる。また、モータを構成するコイルに適用されるエナメル線には、JIS C 3216−3に準拠する可とう性が要求されるが、本実施形態のエナメル線では、その可とう性を有している。
以上、本発明の実施形態、及び実施例を説明したが、本発明は、上述の実施形態、及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
上述の実施形態、及び実施例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、上述の実施形態、及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 導体
2 絶縁被覆
3 エナメル線

Claims (10)

  1. 脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、前記ポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有される無機微粒子と、を有する絶縁塗料。
  2. 前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうちの1つ以上からなる請求項1に記載の絶縁塗料。
  3. 前記脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物からなる請求項1に記載の絶縁塗料。
  4. 前記脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートは、2,4−ジイソシアン酸トリレンからなる請求項1に記載の絶縁塗料。
  5. 前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、前記4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と前記3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とが[A]/[B]=10/90以上70/30以下の割合で含有されている請求項2に記載の絶縁塗料。
  6. 導体の周囲に、脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミン、脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物、及び脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートからなるポリアミドイミド樹脂と、前記ポリアミドイミド樹脂に対して15phr以上35phr以下の割合で含有されている無機微粒子と、を有する絶縁被覆を備えるエナメル線。
  7. 前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうちの1つ以上からなる請求項6に記載のエナメル線。
  8. 前記脂肪族基を含有しないトリカルボン酸無水物は、トリメリット酸無水物からなる請求項6に記載のエナメル線。
  9. 前記脂肪族基を含有しない芳香族イソシアネートは、2,4−ジイソシアン酸トリレンからなる請求項6に記載のエナメル線。
  10. 前記脂肪族基を含有しない二価の芳香族ジアミンは、前記4,4’−ジアミノジフェニルエーテル[A]と前記3,4’−ジアミノジフェニルエーテル[B]とが[A]/[B]=10/90以上70/30以下の割合で含有されている請求項7に記載のエナメル線。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111599512A (zh) * 2020-04-24 2020-08-28 张宏涛 一种铝漆包线

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