JP2019073037A - 牽引車両の運動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 牽引車両の揺動を抑制する牽引車両の運動制御装置において、安定的に各輪目標制動力が決定され得るものを提供する。【解決手段】 牽引車両の運動制御装置は、実ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサと、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、実ヨーレイトに基づいて各車輪の制動力を増加し、トレーラに起因する牽引車両の周期的なヨー運動を減衰させる減衰制御を実行するコントローラと、を備える。コントローラは、車輪速度に基づいて車体速度を演算する。更に、コントローラは、車体速度に基づいて制動力の総和(総制動力)を演算し、これを、ヨーレイトに基づいて、各車輪の制動力に配分する。例えば、コントローラは、実ヨーレイトに基づいて、ヨー運動の程度を表すヨー指標を演算し、ヨー指標が大きいほど、総制動力を大きく修正する。【選択図】 図4
Description
本発明は、牽引車両の運動制御装置に関する。
特許文献1には、「スウェイ状態抑制のためのアンチヨーモーメントの生成を制動力配分制御により実行する挙動制御装置であって、アンチヨーモーメントの生成時に車両の減速が為されないようにして、運転者の違和感や後続車両への影響が回避できるようになった挙動制御装置を提供すること」を目的に、「スウェイ状態の発生時に各輪の制動力配分制御によりスウェイ状態を抑制するヨーモーメントを発生すると伴に、制動力配分制御によって各輪に生ずる制動力による車両の減速量に基づいて決定される駆動力を車両の駆動輪に付与すること」が記載されている。
更に、特許文献1には、各輪の制動力配分の決定方法として、「トラクタに於いてアンチヨーモーメントを発生させる場合には、車両の前後加速度、ピッチ角等の値から任意の手法にてトラクタの重心位置又は前後重量配分を検出した後、トラクタのヨーレイトγ、横加速度Gy若しくは車体スリップ角速度β’のスウェイ振動の周波数帯域の成分の値(挙動状態量)に基づいて任意の手法にて発生されるべきアンチヨーモーメントMcが決定され、かかるアンチヨーモーメントを達成する各輪の制動力Fmbiの目標値が決定される。なお、アンチヨーモーメントMcを発生させる制動力は、片側の前後輪の双方に分散して付加されてもよく、或いは、非駆動輪(前輪)のみにより付加されてもよい」旨が記載されている。
加えて、特許文献1では、「スウェイ状態を抑制し車両の安定化を図るべくアンチヨーモーメントを発生させる際には、トラクタ又はトレーラの車輪に制動力を付与するために、車両が減速され、運転者の違和感や後続車両への影響が生じ得る。そこで、アンチヨーモーメントの生成、即ち、制動力配分制御と伴に、制動力配分制御によって生ずる減速量に基づいて車両の駆動輪に駆動力が付与され、制動力配分制御による車両の減速の程度に応じてその緩和が図られる。そして、かかる車両の減速の緩和によって、運転者の違和感や後続車両への影響を低減される」ことが記載されている。
特許文献1の装置では、スウェイ挙動(「揺動」ともいう)を抑制する揺動抑制制御において、各輪制動力の目標値の決定には、重心位置、又は、前後重量配分の検出が必要となる。該検出は、車両の前後加速度、ピッチ角等の値に基づいて行われるとしているが、検出精度の確保が課題となり得る。このため、各輪目標制動力の決定において、より簡略化され、ロバスト性の高い方法が望まれている。
加えて、特許文献1の揺動抑制制御では、制動力のみならず、駆動力も付与される。しかし、車両の揺動を抑制するためには、ヨーモーメントの生成に加え、車体速度を低減することが肝要である。このため、運転者の走行フィーリングを加味した上で、車両の揺動状態に応じて、各車輪の制動力が適切に調整される必要がある。
本発明の目的は、牽引車両のスウェイ挙動を抑制する車両の運動制御装置において、安定的に各輪目標制動力が決定され得るものを提供することである。
本発明は、トラクタ(VH)と該トラクタ(VH)により牽引されるトレーラ(TR)とを含む牽引車両に係る。本発明に係る牽引車両の運動制御装置は、前記トラクタ(VH)の実ヨーレイト(Yr)を検出するヨーレイトセンサ(YR)と、前記トラクタ(VH)の各車輪(WH)の速度を車輪速度(Vw)として検出する車輪速度センサ(VW)と、前記実ヨーレイト(Yr)に基づいて前記各車輪(WH)の制動力を増加し、前記トレーラ(TR)に起因する前記牽引車両の周期的なヨー運動を減衰させる減衰制御を実行するコントローラ(ECU)と、を備える。
本発明に係る牽引車両の運動制御装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記車輪速度(Vw)に基づいて前記トラクタ(VH)の車体速度(Vx)を演算し、前記車体速度(Vx)に基づいて前記トラクタ(VH)に作用する制動力の総和を総制動力(Fv)として演算し、前記実ヨーレイト(Yr)に基づいて、前記総制動力(Fv)を前記各車輪(WH)の制動力(Fw)に配分するよう構成されている。
車体速度Vxに基づいて総制動力Fv(目標値)が演算され、これが、実際のヨーレイトYrに基づいて、各車輪WH**の制動力Fw**に配分される。例えば、実ヨーレイトYrに基づいて、トタクタVHの旋回方向において、旋回外側車輪と旋回内側車輪とが判別される。旋回外側車輪の制動力が、旋回内側車輪の制動力よりも大きくなるよう、総制動力Fvが左右車輪に配分される。
揺動は、車体速度Vxが大きいほど発生され易く、車体速度Vxが小さいほど発生され難い。上記構成によれば、車両全体に作用する制動力に過不足がなく、常時、安定した揺動抑制制御が実行され得る。また、旋回外側車輪の制動力が、旋回内側車輪の制動力よりも大きくされるため、揺動を打ち消すヨーモーメントが効果的に形成され得る。
本発明に係る牽引車両の運動制御装置では、前記コントローラ(ECU)は、前記実ヨーレイト(Yr)に基づいて、前記ヨー運動の程度を表すヨー指標(Jp)を演算し、前記ヨー指標(Jp)が大きいほど、前記総制動力(Fv)を大きく修正するよう構成される。上記構成によれば、総制動力Fvの決定において、揺動の程度が参酌される。そして、揺動の程度が大きいほど、より大きな車両減速が得られるよう、総制動力Fvが増加調整される。これにより、揺動が確実に抑制され得る。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字、及び、移動方向>
本発明に係る牽引車両の運動制御装置CSの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、各種記号の末尾に付された添字「**」は、トラクタVHの前後左右の4輪、又は、トレーラTRの左右の2輪のうちの何れに関するものであるかを示す。具体的には、各添字は、トラクタVHにおいて、「fl」が左前輪に、「fr」が右前輪に、「rl」が左後輪に、「rr」が右後輪に、夫々、対応している。また、トレーラTRにおいて、「tl」が左輪、「tr」が右輪に対応している。
本発明に係る牽引車両の運動制御装置CSの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、各種記号の末尾に付された添字「**」は、トラクタVHの前後左右の4輪、又は、トレーラTRの左右の2輪のうちの何れに関するものであるかを示す。具体的には、各添字は、トラクタVHにおいて、「fl」が左前輪に、「fr」が右前輪に、「rl」が左後輪に、「rr」が右後輪に、夫々、対応している。また、トレーラTRにおいて、「tl」が左輪、「tr」が右輪に対応している。
「f*」はトラクタVHの左右前輪、「r*」はトラクタVHの左右後輪、「t*」はトレーラTRの左右輪を表す。さらに、添字「**」は、省略されることもある。「**」が省略された場合には、記号は該当する部材等の総称を表す。例えば、車輪速センサVWf*は、前輪用の車輪速度センサVWfl、VWfrを表し、車輪速度センサVWr*は、後輪用の車輪速度センサVWrl、VWrrを示す。車輪速度センサVW**(添字「**」が省略された場合には、「VW」とも表記)は、トラクタVHの4つの車輪速度センサVWfl、VWfr、VWrl、VWrrを包括的に示す。
<本発明に係る牽引車両の運動制御装置の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る運動制御装置CSについて説明する。車両は、トラクタVH、及び、該トラクタVHにより牽引されるトレーラTRによって構成される、所謂、牽引車両である。
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る運動制御装置CSについて説明する。車両は、トラクタVH、及び、該トラクタVHにより牽引されるトレーラTRによって構成される、所謂、牽引車両である。
運動制御装置CSを備える牽引車両(特に、トラクタVH)には、制動操作部材BP、制動操作量センサBA、操舵操作部材SW、操舵角センサSA、車輪速度センサVW**、ヨーレイトセンサYR、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、制動液圧センサPW**、制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BR、及び、コントローラECUが備えられる。また、トラクタVHには、牽引車両を加速し、定速走行するため、動力源PR、及び、変速機TNが備えられている。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速させるために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WH**(単に、「WH」とも表記)に対する制動トルクが調整され、車輪WH**に制動力F**が発生される。
運転者による制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baを検出するよう、制動操作量センサ(単に、「操作量センサ」ともいう)BAが設けられる。具体的には、制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)を検出するマスタシリンダ液圧センサ、制動操作部材BPの操作変位を検出する操作変位センサ、及び、制動操作部材BPの操作力を検出する操作力センサのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、制動操作量Baは、マスタシリンダ液圧、制動操作変位、及び、制動操作力のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)SWは、運転者が車両を旋回させるために操作する部材である。操舵操作部材SWが操作されることによって、操向車輪(例えば、前輪WHf*)に操舵角Saが付与され、車輪WH**に横力が発生され、車両が旋回される。
操舵操作部材SWの回転角度(操舵角)Saを検出するよう、操舵角センサSAが設けられる。例えば、操舵角Saは、車両の直進走行に対応する操舵中立位置「Sa=0」からの回転角度である。操舵角Saでは、左旋回方向が正符号で、右旋回方向が負符号で表現される。
更に、図示されていないが、運転者が、車両の動力源PRの出力を調整して、車両を加速させるために操作する加速操作部材(例えば、アクセルペダル)が備えられる。また、変速機TNによって、変速操作を行うための変速操作部材(例えば、シフトレバー)が備えられる。そして、加速操作部材の操作量を検出する加速操作量センサと、変速操作部材のシフト位置を検出するシフト位置センサと、が設けられる。
動力源PR(例えば、内燃機関)には、スロットル開度Thを検出するスロットルセンサTH、燃料噴射量Fiを検出する噴射量センサFI、及び、駆動回転数Neを検出る回転数センサNEが設けられる。また、変速機TNには、変速比(ギヤ位置)Grを検出するためのギヤ位置センサGRが設けられている。スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、動力源の駆動回転数Ne、及び、ギヤ位置Grは、車両のパワートレイン(動力源PR、変速機TNの総称)の出力(駆動トルク)を演算するために採用される。なお、動力源PRが、駆動用の電気モータである場合には、動力源PRへの通電量(例えば、電流値)が検出され得る。各センサによって得られた信号は、通信バスBSを介して、コントローラECUに入力される。
トラクタVHには、車輪WH**の回転速度である車輪速度Vw**を検出する車輪速度センサVW**が備えられる。トタクタVHには、車両の運動状態を検出する車両挙動センサが備えられる。具体的には、車両の実際のヨーレイト(ヨー角速度)Yrを検出するヨーレイトセンサYR、車両の前後方向における加速度(前後加速度)Gxを検出する前後加速度センサGX、及び、車両の横方向における加速度(横加速度)Gyを検出する横加速度センサGYが設けられる。
車両の各車輪WH**には、ブレーキキャリパCP**、ホイールシリンダCW**、回転部材KT**、及び、摩擦部材MSが備えられる。具体的には、車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスクであり、単に、「KT」とも表記)KT**が固定され、これを挟み込むようにブレーキキャリパCP**(単に、「CP」とも表記)が配置されている。ブレーキキャリパ(単に、「キャリパ」ともいう)CPには、ホイールシリンダCW**(単に、「CW」とも表記)が設けられる。ホイールシリンダCW内の液圧が調整(増減)されることによって、ホイールシリンダCW内のピストンが回転部材KTに対して移動(前進、又は、後退)される。このピストンの移動によって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられ、押圧力が発生する。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するように固定されている。このため、押圧力にて生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(結果、制動力F)が発生される。トタクタVHには、ホイールシリンダCW**の制動液圧Pw**を検出するよう、制動液圧センサPW**が備えられる。
制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BRは、ホイールシリンダCW**に、制動配管HK**を介して接続されている。アクチュエータBRは、マスタシリンダCM、及び、液圧ユニットHUにて構成される。例えば、液圧ユニットHUは、複数の電磁弁、流体ポンプ、電気モータ等を含んで構成される。
揺動抑制制御(減衰制御)を含む制動制御の非実行時には、アクチュエータBR(特に、マスタシリンダCM)によって、運転者による制動操作部材BPの操作に応じた制動液圧Pw**が、各車輪WH**のホイールシリンダCW**に、夫々、供給される。そして、各車輪WHに対して、制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baに応じた制動トルクが付与される。結果、車輪WH**に制動力F**が発生される。
アンチスキッド制御、トラクション制御、車両安定化制御(揺動抑制制御を含む)、等の制動制御の実行時には、アクチュエータBR(特に、液圧ユニットHU)によって、制動操作部材BPの操作とは独立して、ホイールシリンダCW毎で制動液圧Pwが制御される。即ち、各車輪WHの制動力Fが、独立して調整される。
車両には、アクチュエータBR、及び、上記の各種センサ(YR等)と電気的に接続された電子制御ユニットECU(マイクロコンピュータ)が備えられる。電子制御ユニット(「コントローラ」ともいう)ECUは、通信バスBSにて接続された、複数の独立したコントローラECU(ECB、ECP等)から構成されている。コントローラECU内の各コントローラ(ECB等)では、専用の制御プログラムが、夫々、実行される。各種センサの信号(センサ値)、及び、各コントローラ内で演算された信号(内部演算値)は、通信バスBSを介して共有されている。
例えば、制動コントローラECBは、アクチュエータBR用のコントローラである。制動コントローラECBには、制動操作量Ba、操舵角Sa、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、前後加速度Gx、横加速度Gy、制動液圧Pwが入力される。コントローラECBでは、プログラムされた制御アルゴリズムに基づいて、上記の制動制御を実行するよう、液圧ユニットHUに駆動信号Huを指示する。この駆動信号Huによって、液圧ユニットHU内の電気モータ、電磁弁が駆動され、制動制御が実現される。
駆動コントローラECPは、動力源PR用のコントローラである。駆動コントローラECPには、スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、動力源の駆動回転数Ne、ギヤ位置Grが入力される。また、駆動コントローラECPは、通信バスBSを介して、制動コントローラECBからの指示信号が入力される。駆動コントローラECPでは、該指示信号に基づいて、トラクション制御、車両安定化制御の実行時には、動力源PRの出力が減少される。
<揺動抑制制御の演算処理>
図2の制御フロー図を参照して、揺動抑制制御(減衰制御)の演算処理について説明する。「揺動抑制制御」は、トレーラTRに起因する牽引車両の周期的な揺動(スウェイ挙動)を抑制(減衰)するものであり、「減衰制御」、又は、「トレーラスウェイ制御」とも称呼される。揺動抑制制御の処理は、電子制御ユニットECU内(例えば、制動用コントローラECB)にプログラムされている。
図2の制御フロー図を参照して、揺動抑制制御(減衰制御)の演算処理について説明する。「揺動抑制制御」は、トレーラTRに起因する牽引車両の周期的な揺動(スウェイ挙動)を抑制(減衰)するものであり、「減衰制御」、又は、「トレーラスウェイ制御」とも称呼される。揺動抑制制御の処理は、電子制御ユニットECU内(例えば、制動用コントローラECB)にプログラムされている。
ステップS110にて、操舵角センサSA、車輪速度センサVW、ヨーレイトセンサYR、横加速度センサGY、等からの信号(Sa、Vw、Yr、Gy等)が読み込まれる。
ステップS120にて、実ヨーレイトYrに基づいて、ヨー角加速度dYが演算される。具体的には、実際のヨーレイトYrが時間微分されて、ヨー角加速度dYが演算される。ヨー角加速度dYは、単位時間当たりの実ヨーレイトYrの変化量である。
ステップS130にて、操舵角Sa、車輪速度Vw、及び、ヨーレイトYrに基づいて、ヨーレイト偏差hYが演算される。先ず、ステップS130では、車輪速度センサVWによって検出された各車輪WHの車輪速度Vwに基づいて、車両の走行速度(車体速度)Vxが演算される。例えば、制動時(制動操作部材BPが操作されている場合)には、4つの車輪速度Vwのうちで、最速のものに基づいて、車体速度Vxが演算される。また、非制動時(制動操作部材BPが操作されていない場合)には、4つの車輪速度Vwのうちで、最遅のものに基づいて、車体速度Vxが演算される。
そして、操舵角Sa、及び、車体速度Vxに基づいて、規範ヨーレイトYtが演算される。規範ヨーレイトYtは、車輪WHが走行路面にグリップし、車両に、過度のアンダステア、オーバステア挙動が発生していない基準状態を表現する状態量である。規範ヨーレイトYt、及び、実際のヨーレイトYrに基づいて、実ヨーレイトYr(検出値)から規範ヨーレイトYt(規範値)が減算されて、ヨーレイト偏差hY(=Yr−Yt)が演算される。
ステップS140にて、実際のヨーレイトYr(検出値)に基づいて、ヨーレイトピーク値Ypが演算される。ヨーレイトYrの時系列での変化に基づいて、ヨーレイトYrについての、極小値Yc、及び、極大値Yoが決定される。極小値Yc、及び、極大値Yoの絶対値が、ヨーレイトピーク値Ypとされる。
ステップS150にて、ヨー角加速度dY、ヨーレイト偏差hY、及び、ヨーレイトピーク値Ypのうちの少なくとも1つに基づいて、ヨー指標Jpが演算される。ヨー指標Jpは、車両の周期的なヨー運動(即ち、揺動、スウェイ挙動)の大きさ(程度)を表す状態量であり、「揺動指標Jp」とも称呼される。例えば、ヨー指標Jpとして、ヨー角加速度dYのピーク値(ヨー角加速度ピーク値)dYpが採用される。つまり、ヨー角加速度dYが時系列で(演算周期毎に)記憶され、記憶されたヨー角加速度dYのピーク値(1周期における極大値Do、極小値Dcの絶対値)が、ヨー角加速度ピーク値dYpとして決定される。
また、ヨーレイト偏差hYのピーク値(ヨーレイト偏差ピーク値)hYpが、ヨー指標(揺動指標)Jpとして決定されてもよい。ヨー角加速度ピーク値dYpと同様に、ヨーレイト偏差hYが演算周期毎に記憶され、1周期における極大値Ho、極小値Hcの絶対値が、ヨーレイト偏差ピーク値hYpとして決定される。
更に、ステップS140にて演算されたヨーレイトピーク値Yp(極値Yc、Yoの絶対値)が、そのまま、ヨー指標(揺動指標)Jpとして決定され得る。この場合、振動的なヨーレイト(揺動)Yrにおいて、ヨーレイトYrの周期毎に、ヨー指標Jpが更新される。なお、ヨー指標Jpは、ヨー角加速度ピーク値dYp、ヨーレイト偏差ピーク値hYp、及び、ヨーレイトピーク値Ypの2つ以上が組み合わされて演算されてもよい。
ステップS160にて、「揺動抑制制御が実行中であるか、否か」が判定される。揺動抑制制御が実行中である場合には、ステップS160は肯定され、処理は、ステップS180に進む。一方、揺動抑制制御が実行されていない場合には、ステップS160は否定され、処理は、ステップS170に進む。
ステップS170にて、ヨーレイトピーク値Ypに基づいて、「揺動抑制制御の開始条件が満足されるか、否か」が判定される。ステップS170が肯定される場合には、処理はステップS190に進み、揺動抑制制御が開始される。一方、ステップS170が否定される場合には、処理はステップS110に戻される。
ステップS180にて、ヨーレイトピーク値Ypに基づいて、「揺動抑制制御の終了条件が満足されるか、否か」が判定される。ステップS180が否定される場合には、処理はステップS190に進み、揺動抑制制御が継続される。一方、ステップS180が肯定される場合には、揺動抑制制御は終了され、処理はステップS110に戻される。ステップS170、及び、ステップS180での、揺動抑制制御の開始、終了判定の詳細については後述する。
ステップS190、ステップS200、及び、ステップS210にて、揺動抑制制御が実行される。ステップS190にて、車体速度Vx、制動操作量Ba、及び、ヨー指標Jpに基づいて、総制動力Fvが演算される。総制動力Fvは、車両全体に及ぼされる制動力F**の目標値である。ステップS200にて、総制動力Fv、及び、ヨー指標Jpに基づいて、各車輪WH**の制動力の目標値Fw**が演算される。そして、ステップS210にて、各輪制動力Fw**(目標値)に基づいて、各車輪WH**に付与される制動トルクがサーボ制御される。ステップS190からステップS210までの詳細な処理については後述する。
<ヨーレイトピーク値Ypの演算、及び、制御の開始、終了の判定>
図3の時系列線図を参照して、ヨーレイトピーク値Ypの演算、及び、制御開始、終了判定について説明する。
図3の時系列線図を参照して、ヨーレイトピーク値Ypの演算、及び、制御開始、終了判定について説明する。
実際のヨーレイトYrの極大値Yo、及び、極小値Ycが、フィルタ処理された後のヨーレイトYrの時系列データに基づいて演算される。ここで、極大値Yo、及び、極小値Ycが、「ピーク値Yp」と称呼されるヨーレイトピーク値Ypは、ヨーレイトYrにおいて、前回演算値Yr(n−1)と今回演算値Yr(n)との比較に基づいて決定される。
ヨーレイトYrが増加している場合には、「Yr(n)>Yr(n−1)」から、「Yr(n)<Yr(n−1)」に切り替わった時点(演算周期)にて、ヨーレイトYr(n−1)が、極大値Yoとして記憶される。ここで、「n」は、演算周期を表す。ヨーレイトYrの増加中と同様に、ヨーレイトYrが減少している場合に、「Yr(n)<Yr(n−1)」から、「Yr(n)>Yr(n−1)」に切り替わった時点(演算周期)にて、ヨーレイトYr(n−1)が、極小値Ycとして記憶される。そして、ヨーレイトピーク値Yp(即ち、極値Yo、Yc)に基づいて、揺動の振幅Ayが演算される。具体的には、極大値Yoと極小値Ycとの偏差(絶対値)Ayが演算される。
揺動抑制制御の実行開始は、ヨーレイトの振幅Ay、しきい振幅ax、及び、しきい回数nxに基づいて判定される。そして、ヨーレイト振幅Ayがしきい振幅ax以上(Ay≧ax)である場合には、揺動回数Nyに「1(回)」が加えられる。しかし、振幅Ayがしきい振幅ax未満(Ay<ax)である場合には、揺動回数Nyに「1」は加えられず、そのままとされる。つまり、「Ay≧ax」の条件が成立した回数(揺動回数)Nyが演算される。揺動回数Nyが、しきい回数nxに達した時点(演算周期)にて、揺動抑制制御の開始が判定される。ここで、しきい振幅axは、揺動の振幅を判定するためのしきい値であり、予め設定された定数である。また、しきい回数nxは、揺動の出現回数Nyを判定するためのしきい値であり、予め設定された定数である。しきい回数nxが設定されていることによって、ノイズ等の影響が回避され得る。
揺動抑制制御の終了は、揺動回数Nyに基づいて判定される。具体的には、揺動回数Nyが増加されない状態が継続された時間(「Ay<ax」の条件が成立し続ける時間)が、所定時間ts以上になった時点(演算周期)にて、揺動抑制制御が終了される。また、車体速度Vxが、所定速度vs未満になった時点にて、揺動抑制制御が終了され得る。ここで、所定時間ts、及び、所定速度vsは、予め設定された終了判定用のしきい値(所定値)である。
例えば、しきい回数nxが、「3」に設定された場合を想定して説明する。牽引車両の揺動が始まり、ヨーレイトYrのピーク値(極大値、極小値)Ypが演算される。ヨーレイトYrの極大値Yo[0]が実際に発生した後の時点t0にて、極大値Yo[0]が決定され、記憶される。その後、ヨーレイトYrの極小値Yc[1]が実際に発生した後の時点t1にて、極小値Yc[1]が演算される。時点t1にて、振幅Ay[1]が、「Yc[1]−Yo[0]」の絶対値として演算される。時点t1では、振幅Ay[1]は、しきい振幅ax未満であるため、揺動回数Nyは、「0」のままとされる。該処理が、順次、継続される。
時点t5にて、今回の演算周期における極小値Yc[5]と、記憶された極大値Yo[4]とが比較されて、振幅Ay[5](=Ay[5]−Ay[4])が演算される。時点t5では、振幅Ay[5]がしきい振幅ax以上であるため、揺動回数Nyが、「0」から「1」だけ増加される。しかし、揺動回数Nyは、しきい回数nx(=3)未満であるため、揺動抑制制御は開始されない。
時点t6にて、振幅Ay[6](=Ay[6]−Ay[5])が演算され、「Ay[6]≧ax」を満足するため、揺動回数Nyは、「2」に増加される。さらに、時点t7にて、振幅Ay[7](=Ay[7]−Ay[6])が演算され、「Ay[7]≧ax」を満足するため、揺動回数Nyは、「3」に増加される。時点t7にて、揺動回数Nyが、しきい回数nxに達するため、揺動抑制制御の実行が開始される。該時点で、揺動抑制制御の実行状態を表現する制御フラグFLが、「0(非実行)」から「1(実行中)」に変更される。
時点t8にて、振幅Ay[8]が演算され、「Ay[8]≧ax」を満足するため、揺動抑制制御が実行されている状態で、揺動回数Nyは、「4」に増加される。揺動回数Nyが、順次、増加されていく場合には、揺動抑制制御の実行は継続され、制御フラグFLが、「1(実行)」のまま、維持される。
揺動抑制制御の実行により、車体速度Vxが減少され、牽引車両の揺動(スウェイ挙動)が収束してくると、ヨーレイトYrの振幅Ayは小さくなる。例えば、時点t13にて、振幅Ay[13]が演算されるが、「Ay[13]<ax」であるため、揺動回数Nyは増加されない。そして、この状態が、所定時間tsに亘って継続された、時点t16にて、揺動抑制制御は終了され、制御フラグFLが、「1」から「0」に切り替えられる。なお、時点t16の前に、「Vx<vs」の条件が満足された場合には、その時点にて、揺動抑制制御の実行が終了され得る。
「Ay≧ax」が満足された時点にて、直ちに、揺動抑制制御が開始されず、「Ay≧ax」が満足された回数Nyに基づいて、揺動抑制制御の開始が判定される。このため、ノイズの影響が補償され、確実な揺動抑制制御の実行が達成され得る。
以上では、実際のヨーレイトYrのピーク値Yp(極大値Yo、極小値Ycの絶対値)に基づく、揺動抑制制御の開始、終了の処理について説明した。他の処理例として、実際のヨーレイトYrに代えて、実際の横加速度Gyを車体速度Vxにて除した値「Gy/Vx」が採用され得る。ここで、状態量「Gy/Vx」は、ヨーレイトYrと同一次元の物理量であるため、「演算ヨーレイトYe」と称呼される。上記と同様に、フィルタ処理後の演算ヨーレイトYeの時系列データに基づいて、演算ヨーレイトYeの極大値Eo、及び、演算ヨーレイトYeの極小値Ecが演算される。そして、極大値Eoと極小値Ecとの偏差が、演算ヨーレイトYeの振幅Aeとして演算され、しきい振幅axと比較される。振幅Ae(絶対値)が、しきい振幅ax以上(Ae≧ax)である場合には、揺動回数Nyが、「1(回)」ずつ、増加される。揺動回数Nyが、しきい回数nx以上になった場合に(「Ny=nx」が成立した時点で)、揺動抑制制御が開始される。
揺動回数Nyの積算には、操舵角Saが参照され得る。具体的には、揺動回数Nyが増加される条件として、「操舵角Saの方向と、実際のヨーレイトYr(又は、演算ヨーレイトYe、即ち、実横加速度Gy)の方向とが一致していないこと」が付け加えられ得る。換言すれば、「Ay≧ax(又は、「Ae≧ax)」の条件が満足されたとしても、操舵角Saと実ヨーレイトYr(又は、演算ヨーレイトYe)とが同一方向である場合には、揺動回数Nyは増加されない。該条件によって、操舵角Saに起因する揺動が峻別され得る。なお、「方向」とは、車両が旋回する向き(右方向、又は、左方向)であり、状態量(Sa、Yr、Gy等)の符号で表現される。
操舵角Saの影響を低減するため、実ヨーレイトYr、演算ヨーレイトYeに代えて、ヨーレイト偏差hYが採用され得る。操舵角Sa、及び、車体速度Vxに基づいて、規範ヨーレイトYtが演算される。実際のヨーレイトYrと規範ヨーレイトYtとの差が、ヨーレイト偏差hYとして決定される(即ち、「hY=Yr−Yt」)。上記同様に、ヨーレイト偏差hYの時系列データに基づいて、極大値Hoと極小値Hcとが演算される。ヨーレイト偏差hYにおいて、極大値Hoと極小値Hcとの差が、振幅Ahとして演算され、しきい振幅axと対比される。振幅Ah(絶対値)が、しきい振幅ax以上(Ah≧ax)である場合には、揺動回数Nyが、「1」ずつ、増加され、揺動回数Nyが、しきい回数nx以上になった場合に(「Ny=nx」が成立した時点で)、揺動抑制制御が開始され得る。
揺動抑制制御の開始、及び/又は、終了は、複数の状態量(Yr等)の時系列データに基づいて判定され得る。従って、揺動抑制制御の開始、終了は、実ヨーレイト(検出ヨーレイト)Yr、演算ヨーレイトYe(=Gy/Vx)、及び、ヨーレイト偏差hY(=Yr−Yt)のうちの少なくとも1つに基づいて判定され得る。つまり、3つの振幅Ay、Ae、Ahのうちの少なくとも1つが演算され、しきい振幅axと比較されて、揺動回数Nyが演算される。そして、揺動回数Nyが、しきい回数nxに比較され、揺動抑制制御の開始が判定される。また、「揺動回数Nyが増加されない時間が所定時間ts以上」、及び、「車体速度Vxが所定速度vs未満」のうちの何れか1つが満足された時点にて、揺動抑制制御が終了される。
<各輪制動力制御の演算処理>
図4の機能ブロック図を参照して、ステップS190、乃至、ステップS210における、各車輪WH**での制動力制御の処理について説明する。
図4の機能ブロック図を参照して、ステップS190、乃至、ステップS210における、各車輪WH**での制動力制御の処理について説明する。
上述したように、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、各種記号の末尾に付された添字「**」は、トラクタVHの前後左右の4輪、又は、トレーラTRの左右の2輪のうちの何れかに関するものであるかを示す。具体的には、各添字は、トラクタVHにおいて、「fl」が左前輪に、「fr」が右前輪に、「rl」が左後輪に、「rr」が右後輪に、夫々、対応している。トレーラTRにおいて、「tl」が左輪、「tr」が右輪に対応している。さらに、添字「**」は、省略されることもある。また、「f*」はトラクタVHの左右前輪、「r*」はトラクタVHの左右後輪、「t*」はトレーラTRの左右輪を表す。
ステップS130に含まれる車体速度演算ブロックVXでは、各車輪WHの車輪速度センサVWによって検出された車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。例えば、車両の非制動時(加速時を含む)には、車輪速度Vwのうちで、最遅のものに基づいて、車体速度Vxが決定される。また、車両の制動時には、車輪速度Vwのうちで、最速のものに基づいて、車体速度Vxが決定される。
ステップS150に含まれる、ヨー指標演算ブロックJPでは、ヨーレイトYr等に基づいて、ヨー指標Jpが演算される。ヨー指標Jpは、揺動(周期的なヨー運動)の程度(大きさ)を表現する指標である。ヨー指標演算ブロックJPでは、ヨーレイトYrに基づいて演算されたヨーレイトピーク値Ypが、ヨー指標Jpとして決定される。ここで、ヨーレイトピーク値Ypは、実ヨーレイトYrの変動の1周期における極大値Yo、及び、極小値Ycの絶対値である。従って、ヨーレイトピーク値Ypが大であることは、揺動の程度が大きいことを示している。
実際のヨーレイトYrのピーク値Ypに代えて、実際の横加速度Gyを車体速度Vxにて除した値(演算ヨーレイト)Ye(=Gy/Vx)のピーク値Ep(極小値Ec、極大値Eoの絶対値)が、ヨー指標Jpとして採用され得る。演算ヨーレイトYeは、ヨーレイトYrと等価の状態量であることに基づく。
実ヨーレイトYr、及び/又は、演算ヨーレイトYeに代えて、ヨーレイト偏差hYに基づいて、ヨー指標Jpが演算され得る。つまり、ヨーレイト偏差hYにおいて、極大値Ho、及び、極小値Hcの絶対値hYpが、ヨー指標Jpとして決定される。ヨー指標Jpの演算において、ヨーレイト偏差hYが採用されることによって、操舵角Saの影響が抑制され得る。
ヨー角加速度dYのピーク値(ヨー角加速度ピーク値)dYpが、ヨー指標Jpとして採用され得る。つまり、ヨー角加速度dY(ヨーレイトYrの微分値)の変動において、その極大値Do、及び、極小値Dcの絶対値(ヨー角加速度ピーク値)dYpが、ヨー指標Jpとして決定され得る。
以上では、各種状態量におけるピーク値Yp、Ep、hYp、dYpが、ヨー指標Jpとして決定された。これに代えて、実ヨーレイトYr、演算ヨーレイトYe、ヨーレイト偏差hY、ヨー角加速度dYの最大値Ym、Em、hYm、dYmが、ヨー指標Jpとして採用され得る。ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpは、揺動の各周期でのピーク値であるが、最大値Ym、Em、hYm、dYmは、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpのうちの最も大きいものである。従って、最大値Ym、Em、hYm、dYmは、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpに基づいて決定される。しかし、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpは、時々刻々と変化する揺動において、各周期での揺動の程度を表している。このため、牽引車両の周期的なヨー運動を表す状態量(ヨー指標)Jpとして、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpが採用されることが好適である。
ステップS190、乃至、ステップS210での各輪制動力制御は、指示減速度演算ブロックGQ、要求減速度演算ブロックGV、総制動力演算ブロックFV、左右配分比演算ブロックHA、前後配分比演算ブロックHB、各輪制動力演算ブロックFW、及び、各輪サーボ処理ブロックSVにて構成される。
指示減速度演算ブロックGQでは、制動操作量Ba、及び、演算マップZgqに基づいて、指示減速度Gqが演算される。指示減速度Gqは、運転者の制動操作に対応する車両の前後加速度に相当する。具体的には、演算マップZgqに基づいて、制動操作量Baが、所定値ba0未満では、指示減速度Gqは、「0」にされる。制動操作量Baが、値ba0以上、値ba1(所定値)未満では、制動操作量Baの増加に従って、指示減速度Gqが増加するように演算される。そして、制動操作量Baが、値ba1以上では、指示減速度Gqは、値gq1(所定値)に演算される。ここで、所定値ba0は、制動操作部材BPの遊びに相当する、予め設定された定数である。
要求減速度演算ブロックGVにて、車体速度Vx、及び、演算マップZgvに基づいて、要求減速度Gvが演算される。要求減速度Gvは、牽引車両の周期的な揺動を減衰させるために必要な、揺動抑制制御によって発生される車両の減速度(目標値)である。具体的には、演算マップZgvに基づいて、車体速度Vxが、値vs未満では、要求減速度Gvは、演算されず(又は、「0」のままであり)、揺動抑制制御は実行されない。しかし、車体速度Vxが、値vs以上、値vx1未満では、要求減速度Gvは、値gv1に演算される。車体速度Vxが値vx1以上、値vx2未満では、車体速度Vxの増加に従って、要求減速度Gvが増加するように演算される。そして、車体速度Vxが、値vx2以上では、要求減速度Gvは、値gv2に演算される。つまり、要求減速度演算ブロックGVでは、演算マップZgvに基づいて、車体速度Vxが大きいほど、要求減速度Gvは大きくなるよう演算され、車体速度Vxが小さいほど、要求減速度Gvは小さくなるよう演算される。ここで、値vs、値vx1、値vx2、値gv1、及び、値gv2は、演算マップZgv用に、予め設定された所定値である。
指示減速度Gq、及び、要求減速度Gvが加算されて、目標減速度Gtが演算される。目標減速度Gtは、運転者の制動操作が考慮された、車両減速度の最終的な目標値である。なお、制動操作部材BPが操作されていない非制動時においては、「Gq=0」であるため、「Gt=Gv」として決定される。目標減速度Gtは、総制動力演算ブロックFVに入力される。
総制動力演算ブロックFV(ステップS190に対応)にて、目標減速度Gtに基づいて、総制動力Fv(目標値)が演算される。具体的には、総制動力演算ブロックFVでは、車両質量Mvに、目標減速度Gtが乗算されて、総制動力Fv(=Mv・Gt)が決定される。総制動力Fvは、車両全体に作用する制動力の合計(総和)の目標値である。ここで、車両質量Mvとして、予め設定された所定値が採用され得る。また、車両(トタクタVH+トレーラTR)が、直進走行している場合に、スロットル開度Th、動力源回転数Ne、及び、燃料噴射量Fiのうちの少なくとも1つに基づいて、動力源PRの出力が推定され、このときに発生する前後加速度Gx(又は、車体速度Vxの微分値である演算減速度Ge)に基づいて、質量Mvが演算され得る。
総制動力演算ブロックFVでは、ヨー指標Jpに基づいて、総制動力Fvが調整(修正)され得る。ヨー指標Jpは、揺動の程度(大きさ)を表す状態量であるが、ヨー指標Jpが大きいほど、総制動力Fv(目標値)が大きくなるよう調整される(又は、ヨー指標Jpが小さいほど、総制動力Fvが小さくなるよう調整される)。つまり、ヨー指標Jpの増加に応じて、目標とする総制動力Fvが大きくなるように修正が行われる。総制動力Fvは、各輪制動力演算ブロックFWに入力される。
以上の様に、総制動力演算ブロックFVでは、車体速度Vxに基づいて、総制動力Fvが決定される。揺動は、車体速度Vxが大きいほど発生され易く、車体速度Vxが小さいほど発生され難い。このため、車体速度Vxに基づいて、総制動力Fvが決定され、後述する各輪制動力演算ブロックFWにて、各車輪WH**の目標制動力Fw**に割り振られる(配分される)。このため、車両全体に作用する制動力に過不足がなく、安定した揺動抑制制御が達成される。
加えて、総制動力演算ブロックFVでは、ヨー指標Jpが参酌されて、車体速度Vxに基づいて決定された総制動力Fv(目標値)が修正される。ヨー指標Jpは、揺動の程度を表す状態量であるが、ヨー指標Jpが大きいほど、総制動力Fvが大きくなるように調整が行われる。これにより、揺動が確実に抑制され得る。
左右配分比演算ブロックHAにて、ヨー指標Jp、及び、演算マップZhaに基づいて、左右配分比Haが演算される。左右配分比Haは、目標減速度Gtを達成するための総制動力Fvを、左右車輪の制動力に割り振るための左右車輪間(つまり、旋回方向に対して外側、内側に位置する車輪間)の配分比率である。ここで、旋回外側車輪、及び、旋回内側車輪は、実ヨーレイトYr(特に、その符号)に基づいて識別される。具体的には、車両(特に、トタクタVH)の旋回方向が左方向(即ち、左旋回)であり、実ヨーレイトYrが正符号である場合には、右前輪WHfr、及び、右後輪WHrrが旋回外側車輪として識別され、左前輪WHfl、及び、左後輪WHrlが旋回内側車輪として識別される。一方、車両(トタクタVH)の旋回方向が右方向(右旋回)であり、実ヨーレイトYrが負符号である場合には、左前輪WHfl、及び、左後輪WHrlが旋回外側車輪とされ、右前輪WHfr、及び、右後輪WHrrが旋回内側車輪とされる。なお、左右配分比Haは、旋回外側の前後車輪に対する比率である。従って、旋回内側の前後車輪に対する比率は、「1−Ha」である。
左右配分比(旋回外側の前後車輪の比率)Haは、演算マップZhaに基づいて、ヨー指標Jpが、値ja1未満では、値ha1(「0.5」より大きい値)に演算される。ヨー指標Jpが、値ja1以上、値ja2未満では、ヨー指標Jpの増加に従って、左右配分比Haが増加するように演算される。そして、ヨー指標Jpが、値ja2以上では、左右配分比Haは、値ha2(「1」以下の値)に演算される。ここで、値ja1、値ja2、値ha1、及び、値ha2は、演算マップZha用に、予め設定された所定値である。さらに、「ha1>0.5、ha2≦1」であるため旋回外側車輪の配分比Haは、「0.5」より大きく、「1」以下に決定される。例えば、「Ha=0.5」の場合には、左右車輪には均等に制動力が発生され、制動力の左右差によるヨーモーメントは発生されない。一方、「Ha=1」の場合には、旋回方向に対して内側の車輪には、揺動抑制制御の制動力は発生されず、外側車輪のみに制動力が付与される。
以上の様に、左右配分比演算ブロックHAでは、実ヨーレイトYrに基づいて、旋回外側車輪と旋回内側車輪とが識別され、旋回外側車輪の制動力が、旋回内側車輪の制動力よりも大きくなるように決定される。これにより、制動力の左右差によるヨーモーメントが発生され、揺動が効果的に抑制され得る。
更に、ヨー指標Jpが大であることは、揺動が大きくて速い状態(急激に発生している状態)であることを表している。このため、ヨー指標Jpが大きいほど、旋回外側車輪の配分比率Haが大きく設定される。一方、旋回内側車輪の配分比率は、「1−Ha」にて決定され、ヨー指標Jpが大きいほど、小さく設定される。このためヨー指標Jpが大きいほど、制動力の左右差によって発生されるヨーモーメントが増加される。結果、車両の揺動に対抗するヨーモーメントが増大され、周期的な揺動が、効果的に打ち消される。
前後配分比演算ブロックHBにて、ヨー指標Jp、及び、演算マップZhbに基づいて、前後配分比Hbが演算される。前後配分比Hbは、目標減速度Gtを達成するための総制動力Fv(目標値)を、前後車輪の制動力に割り振るための前後車輪間の配分比率である。ここで、前後配分比Hbは、左右の前2輪に対する比率である。従って、後2輪の比率は、「1−Hb」である。
前後配分比(前2輪の比率)Hbは、演算マップZhbに基づいて、ヨー指標Jpが、値jb1未満では、値hb1(「0」以上の値)に演算される。ヨー指標Jpが、値jb1以上、値jb2未満では、ヨー指標Jpの増加に従って、前後配分比Hbが増加するように演算される。そして、ヨー指標Jpが、値jb2以上では、前後配分比Hbは、値hb2(「1」以下の値)に演算される。ここで、値jb1、値jb2、値hb1、及び、値hb2は、演算マップZhb用に、予め設定された所定値である。さらに、「hb1≧0、hb2≦1」であるため、前後配分比Hbは、「0」以上、「1」以下に決定される。「Hb=1」の場合には、揺動抑制制御によって、後輪WHr*には制動力Fr*は付与されず、前輪WHf*の制動力Ff*のみが増加される。一方、「Hb=0」の場合には、揺動抑制制御によって、前輪WHf*には制動力は付与されず、後輪WHr*の制動力のみが増加される。
後輪WHr*よりも前輪WHf*の方が制動力の発生キャパシティが大である。加えて、前輪WHf*の制動力Ff*を増加した方が、後輪WHr*の制動力Fr*を増加するよりも、揺動を抑制する効果が高い。しかし、前輪制動力Ff*を増加し過ぎると、瞬間的なアンダステア挙動が発生される場合がある。このアンダステア挙動は、非常に短時間ではあるが、運転者に違和感を与える。このため、ヨー指標Jpが大きいほど、前輪WHf*の制動力Ff*(目標値)が大きく設定され、後輪WHr*の制動力Fr*(目標値)が小さく設定される。
以上の様に、前後配分比演算ブロックHBでは、ヨー指標Jpが相対的に大である場合には、前輪WHf*用の配分比Hbが相対的に大きく設定され、前輪制動力Ff*によって、揺動が確実に抑制される。一方、ヨー指標Jpが相対的に小である場合には、前輪配分比Hbが相対的に小さく設定され、前輪制動力Ff*の増加に起因する、瞬間的なアンダステア挙動が抑制され得る。
各輪制動力演算ブロックFW(ステップS200に対応)にて、総制動力Fv、左右配分比Ha、及び、前後配分比Hbに基づいて、各車輪WH**の目標制動力Fw**が演算される。具体的には、総制動力Fvが、左右配分比Ha、及び、前後配分比Hbに基づいて、各車輪WH**の制動力(目標値)Fw**に配分される。例えば、旋回外側前輪の目標制動力Fwfsは、「Fwfs=Fv・Ha・Hb」、旋回外側後輪の目標制動力Fwrsは、「Fwrs=Fv・Ha・(1−Hb)」、旋回内側前輪の目標制動力Fwfuは、「Fwfu=Fv・(1−Ha)・Hb」、旋回内側後輪の目標制動力Fwruは、「Fwru=Fv・(1−Ha)・(1−Hb)」にて、夫々、演算される。
各輪サーボ処理ブロックSV(ステップS210に対応)にて、各輪制動力Fw**(目標値)に基づいて、各車輪WH**に付与される制動トルクがサーボ制御される。ここで、サーボ制御は、実際値を目標値に素早く近付ける(一致させる)制御である。例えば、各輪サーボ処理ブロックSVでは、状態変数として、制動液圧センサPWの検出値(制動液圧)Pw**が採用され、制動液圧Pwに基づくフィードバック制御が実行される。この場合、各輪制動力Fw**に基づいて、目標液圧Pt**が変換演算される。そして、目標液圧Pt、及び、制動液圧Pw(検出値)に基づいて、実際の制動液圧Pwが目標液圧Ptに一致するよう、制動アクチュエータBR(特に、液圧ユニットHU)において、フィードバック制御が実行される。
制動液圧センサPW**は、省略され得る。この場合には、各輪サーボ処理ブロックSVでは、車輪の減速スリップ(単に、「車輪スリップ」ともいう)Sw**を状態変数として、スリップサーボ制御が実行される。車輪スリップSwに基づくサーボ制御は、車輪の減速スリップSwが過大ではない場合(即ち、車輪スリップSwが所定の範囲内にある場合)には、車輪スリップSwと車輪制動力Fとは比例関係にあることに基づく。例えば、車輪スリップ(状態量)Sw**して、車輪速度Vw**と車体速度Vxと偏差(スリップ速度)hV**が用いられる。また、車輪スリップSw**として、上記の速度偏差hV**が車体速度Vxにて除算された車輪スリップ率が採用され得る。
具体的には、各輪サーボ処理ブロックSVにて、各輪目標制動力Fw**が、目標スリップSt**に変換演算される。また、車輪速度Vw**、及び、車体速度Vxに基づいて、実際の車輪スリップSw**が演算される。そして、実際の車輪の減速スリップSw**が、目標スリップSt**に近付き、一致するよう、制動アクチュエータBR(特に、液圧ユニットHU)において、車輪スリップに関するフィードバック制御が実行される。
<作用・効果>
以下、本発明に係る運動制御装置CSの作用・効果についてまとめる。
運動制御装置CSは、トラクタVHと、該トラクタVHにより牽引されるトレーラTRとで構成される牽引車両に搭載される。運動制御装置CSには、トラクタVHの実ヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサYRと、トラクタVHの各車輪WHの速度を車輪速度Vwとして検出する車輪速度センサVWと、実ヨーレイトYrに基づいて各車輪WHの制動力を増加し、トレーラTRに起因する牽引車両の周期的なヨー運動(揺動)を減衰させる減衰制御(揺動抑制制御)を実行するコントローラECUとが備えられる。
以下、本発明に係る運動制御装置CSの作用・効果についてまとめる。
運動制御装置CSは、トラクタVHと、該トラクタVHにより牽引されるトレーラTRとで構成される牽引車両に搭載される。運動制御装置CSには、トラクタVHの実ヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサYRと、トラクタVHの各車輪WHの速度を車輪速度Vwとして検出する車輪速度センサVWと、実ヨーレイトYrに基づいて各車輪WHの制動力を増加し、トレーラTRに起因する牽引車両の周期的なヨー運動(揺動)を減衰させる減衰制御(揺動抑制制御)を実行するコントローラECUとが備えられる。
運動制御装置CSでは、コントローラECUによって、車輪速度Vwに基づいてトラクタVHの車体速度(走行速度)Vxが演算される。トラクタVHの車体速度Vxに基づいてトラクタVHに作用する制動力F**の総和(総制動力)Fvが演算される。総制動力Fv(目標値)が、実際のヨーレイトYrに基づいて、各車輪WH**の制動力Fw**に配分される。例えば、実ヨーレイトYrに基づいて、トタクタVHの旋回方向において、旋回外側車輪と旋回内側車輪とが判別される。旋回外側車輪の制動力Fwfs、Fwrsが、旋回内側車輪の制動力Fwfu、Fwruよりも大きくなるよう、総制動力Fvが左右車輪に配分される。
揺動は、車体速度Vxが大きいほど発生され易く、車体速度Vxが小さいほど発生され難い。運動制御装置CSでは、車体速度Vxに基づいて、総制動力Fvが決定され、これが、実ヨーレイトYrに基づいて、各輪制動力の目標値Fw**に配分される。このため、車両全体に作用する制動力に過不足がなく、常時、安定した揺動抑制制御が実行され得る。また、旋回外側車輪の制動力Fwfs、Fwrsが、旋回内側車輪の制動力Fwfu、Fwruよりも大きくされるため、揺動を打ち消すヨーモーメントが効果的に形成され得る。
運動制御装置CSでは、実ヨーレイトYrに基づいて、ヨー運動(即ち、揺動)の程度を表すヨー指標(揺動指標)Jpが演算される。そして、ヨー指標Jpに基づいて、ヨー指標Jpが大きいほど、総制動力Fvが大きくなるよう修正される。つまり、総制動力Fvの決定において、ヨー指標Jpが参酌される。揺動の程度が大きいほど、より大きな車両減速が得られるよう、総制動力Fvが増加調整される。これにより、揺動が確実に抑制され得る。
ヨー指標Jpとして、「実ヨーレイトYrのピーク値Yp(極値Yo、Ycの絶対値)」、「演算ヨーレイトYeのピーク値Ep(極値Eo、Ecの絶対値)」、「ヨー角加速度dYのピーク値dYp(極値Do、Dcの絶対値)」、及び、「ヨーレイト偏差hY(=Yr−Yt)のピーク値hYp(極値Ho、Hcの絶対値)」のうちの少なくとも1つが採用される。ここで、各ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpは、各状態量Yr、Ye、hY、dYにおいて、周期的な揺動の1周期における極大値、及び、極小値に基づいて決定される。
また、ヨー指標Jpとして、上記のピーク値Yp、Ep、hYp、dYpに代えて、各種状態量Yr、Ye、hY、dYの最大値Ym、Em、hYm、dYmが採用され得る。各最大値Ym、Em、hYm、dYmは、揺動の開始から終了までの複数周期における最大値である。従って、最大値Ym、Em、hYm、dYmは、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpに基づいて決定される。しかしながら、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpは、時々刻々と変化する揺動において、周期毎の揺動の程度を表している。このため、牽引車両の周期的なヨー運動を表す状態量(ヨー指標)Jpとして、ピーク値Yp、Ep、hYp、dYpが採用されることが望ましい。
加えて、制動力の前後配分において、ヨー指標Jpが大きいほど、前輪WHf*の制動力Ff*が大きく設定され、後輪WHr*の制動力Fr*が小さく設定される。揺動抑制において、前輪制動力Ff*の増加の方が、後輪制動力Fr*の増加よりも効果的である。しかし、過剰な前輪制動力Ff*の増加は、過渡的なアンダステア挙動を引き起こす場合があり、運転者は、これを違和に感じ得る。このため、前後輪の制動力の配分Hbが、ヨー指標Jpに基づいて調整される。結果、ヨー指標Jpが大である場合には、揺動が確実に抑制される。また、ヨー指標Jpが小である場合には、上記のアンダステア挙動が効果的に抑制され、運転者の違和感が低減され得る。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。
上記実施形態では、ディスク型制動装置(ディスクブレーキ)の構成が例示された。この場合、摩擦部材MSはブレーキパッドであり、回転部材KTはブレーキディスクである。ディスク型制動装置に代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)が採用され得る。ドラムブレーキの場合、キャリパCPに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材MSはブレーキシューであり、回転部材KTはブレーキドラムである。
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。
上記実施形態では、ディスク型制動装置(ディスクブレーキ)の構成が例示された。この場合、摩擦部材MSはブレーキパッドであり、回転部材KTはブレーキディスクである。ディスク型制動装置に代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)が採用され得る。ドラムブレーキの場合、キャリパCPに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材MSはブレーキシューであり、回転部材KTはブレーキドラムである。
上記実施形態では、車輪WHに制動トルクを付与する装置として、制動液を介した液圧式のものが例示された。これに代えて、電気モータによって駆動される、電動式のものが採用され得る。電動式装置では、電気モータの回転動力が、直線動力に変換され、これによって、摩擦部材MSが回転部材KTに押し付けられる。従って、制動液の圧力に依らず、電気モータによって、直接、制動トルクが発生される。さらに、前輪用として、制動液を介した液圧式のものが採用され、後輪用として、電動式のものが採用された、複合型の構成が形成され得る。
上記実施形態では、トレーラTRにおいて、2つの車輪WHt*を備えるものが例示された。トレーラTRは、4輪、又は、それ以上の車輪を備えるものでもよい。
VH…トラクタ、TR…トレーラ、CS…運動制御装置、ECU…コントローラ、BR…制動アクチュエータ、VW…車輪速度センサ、YR…ヨーレイトセンサ、GX…前後加速度センサ、GY…横加速度センサ、SA…操舵角センサ、BA…制動操作量センサ、Yr…実ヨーレイト(検出値)、Yp…ヨーレイトピーク値、Jp…ヨー指標、Vx…車体速度、Fv…総制動力(目標値)、Fw…各輪制動力(目標値)、Ha…左右配分比率(旋回外側前後輪の比率)、Hb…前後配分比率(前2輪の比率)。
Claims (2)
- トラクタと該トラクタにより牽引されるトレーラとを含む牽引車両の運動制御装置において、
前記トラクタの実ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサと、
前記トラクタの各車輪の速度を車輪速度として検出する車輪速度センサと、
前記実ヨーレイトに基づいて前記各車輪の制動力を増加し、前記トレーラに起因する前記牽引車両の周期的なヨー運動を減衰させる減衰制御を実行するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記車輪速度に基づいて前記トラクタの車体速度を演算し、
前記車体速度に基づいて前記トラクタに作用する制動力の総和を総制動力として演算し、
前記実ヨーレイトに基づいて、前記総制動力を前記各車輪の制動力に配分するよう構成された、牽引車両の運動制御装置。 - 請求項1に記載の牽引車両の運動制御装置において、
前記コントローラは、
前記実ヨーレイトに基づいて、前記ヨー運動の程度を表すヨー指標を演算し、
前記ヨー指標が大きいほど、前記総制動力を大きく修正するよう構成された、牽引車両の運動制御装置。
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