JP2019071262A - 電池用包装材料、その製造方法及び電池 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法及び電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高温かつ高湿度の環境におけるデラミネーションが抑制された電池用包装材料を提供する。【解決手段】少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、前記金属層の前記基材層の側の表面に、下地皮膜を備えており、前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面に耐酸性皮膜を備えており、前記下地皮膜は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる、電池用包装材料。【選択図】なし

Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法及び電池に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質などの電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/金属層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このような電池用包装材料においては、一般的に、成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、熱融着性樹脂層同士を熱融着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。
特開2008−287971号公報
前記電解液は、熱融着性樹脂層に対して浸透性が高く熱融着性樹脂層に電解液が浸透すると、浸透した電解液が金属層と熱融着性樹脂層間のラミネート強度を低下させ最終的に電解液が外部に漏れだすことがある。また、リチウムイオン電池である場合、電荷液としてLiPF6などのリチウム塩が用いられており、電池容器内に水分が侵入するとリチウム塩が加水分解されフッ酸が発生し、金属面の腐食し金属層と熱融着性樹脂層間のラミネート強度の低下を引き起こす。このように、ラミネートフィルムのような多層構成の電池用包装材料では、電解液に起因する金属箔の腐食及びラミネート強度の低下を抑制することが重要である。また、自動車、携帯電話などは、高温かつ高湿度の環境で使用されることがあり、これらに使用される電池についても、高温かつ高湿度の環境に晒されることがある。金属製の包装材料とは異なり、電池用包装材料として、フィルム状の積層体が電池に使用される場合、高温かつ高湿度の環境に晒されると、積層体の基材層と金属層間で剥離(浮き)する(所謂デラミネーション)という問題が発生することがある。この現象は、前述の通り、電池用包装材料においては、一般に、電池素子を配置する空間を形成するために、冷間成形により深絞りにして凹部を形成するため、冷間成形品の成形隅部のような大きな歪がある部位において冷間成形時に発生した残留応力と、高温高湿環境における応力緩和の影響により基材層が収縮することで基材と金属層間に浮き(剥離)が発生する現象である。また、前述のようにリチウムイオン電池に用いられる電解液は、水分により影響を受けやすいため、リチウムイオン電池の製造は、ドライルーム環境内で行われており、基材層の吸湿による水分の影響を抑制するために、冷間成形した電池用包装材料を100℃前後の環境で(必要に応じ減圧環境下)数時間から数日保管し、水分を除去する工程を有する。この工程においても同様の要因で基材層と金属層間に浮き(剥離)が発生することがある。
一方、電解液に起因する金属層の腐食及びラミネート強度の低下を防止するために、金属材料の耐酸性処理においては安価であることから6価クロムを含有した表面処理剤を用いるクロメート処理が多用されてきたが、人体への影響のみならず地球環境保全を目的として6価クロムを一切使用しない処理剤が提案されており、3価クロムも含まないクロムフリー処理剤(すなわち、クロムを含まない下地皮膜)の開発が望まれている。
このような状況下、本発明は、電解液に起因する金属層の腐食及びラミネート強度の低下を防止するとともに、高温かつ高湿度の環境におけるデラミネーションが抑制された電池用包装材料を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該電池用包装材料の製造方法、及び当該電池用包装材料を用いた電池を提供することも目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成された電池用包装材料において、金属層の前記基材層側の表面に、下地皮膜を備えており、前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面に耐酸性皮膜を備えており、当該下地皮膜が、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいるものは、高温かつ高湿度の環境におけるデラミネーションが抑制されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記金属層の前記基材層の側の表面に、下地皮膜を備えており、
前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面に、耐酸性皮膜を備えており、
前記下地皮膜は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる、電池用包装材料。
項2. 前記下地皮膜に含まれる前記(A)成分の含有量が、1質量%以上90質量%以下である、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記下地皮膜に含まれる前記(C)成分の含有量が、5質量%以上95質量%以下である、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記金属層が、アルミニウム合金箔またはステンレス鋼箔により構成されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記基材層が、ポリエステル及びポリアミドの少なくとも一方を含んでいる、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記耐酸性皮膜は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
項8. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記金属層として、前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面及び前記基材層の側の表面に、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる下地皮膜が形成されたものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
本発明によれば、電解液に起因する金属層の腐食及びラミネート強度の低下を防止するとともに、高温かつ高湿度の環境におけるデラミネーションが抑制された電池用包装材料を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該電池用包装材料の製造方法、及び当該電池用包装材料を用いた電池を提供することもできる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。 電池用包装材料の湿熱環境における基材層の密着性の評価方法を説明するための図である。 電池用包装材料の絶縁性の評価方法を説明するための図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成された電池用包装材料において、金属層の基材層の側の表面に下地皮膜を備えており、金属層の熱融着性樹脂層の表面に耐酸性皮膜を備えており、下地皮膜が、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
なお、本明細書において、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料10は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、金属層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体からなる。また、金属層3の基材層1側の表面には、下地皮膜3aを備えている。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料10は、図2に示すように、金属層3の熱融着性樹脂層4側の表面に、必要に応じて、耐酸性皮膜3bをさらに有していてもよい。また、本発明の電池用包装材料10は、図3及び図4に示すように、基材層1と下地皮膜3aとの間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2が設けられていてもよい。また、図4に示すように、金属層3と熱融着性樹脂層4との間(耐酸性皮膜3bを有する場合には、耐酸性皮膜3bと熱融着性樹脂層4との間)に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。また、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の外側(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層(図示を省略する)を設けてもよい。
本発明の電池用包装材料10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くして電池のエネルギー密度を高める観点からは、例えば約180μm以下、好ましくは約150μm以下、より好ましくは60〜180μm程度、さらに好ましくは60〜150μm程度が挙げられる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料10において、基材層1は、最外層側に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。これらの中でも、基材層1は、ポリエステルにより形成された層及びポリアミドにより形成された層のうち少なくとも一方の層を有していることが好ましい。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材を金属層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化(多層構造化)することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数積層させた多層構造などが挙げられる。基材層1が多層構造である場合、2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、2軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、2軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。例えば、基材層1を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、またはポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、またはポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。また、2軸延伸ポリエステルは、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、基材層1が2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体の多層構造である場合、基材層1は、金属層3側から2軸延伸ナイロンと2軸延伸ポリエステルをこの順に有する積層体であることが好ましい。基材層1を多層構造とする場合、各層の厚みとして、好ましくは3〜25μm程度が挙げられる。
基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出しラミネート法、サンドイッチラミネート法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、電子線硬化型や紫外線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の具体例としては、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが挙げられる。また、接着剤の厚みについても、接着剤層2と同様とすることができる。
本発明において、電池用包装材料の成形性を高める観点からは、基材層1側の表面には、滑剤が付着していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1側の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、温度24℃、相対湿度60%の環境において、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4〜15mg/m2程度、さらに好ましくは5〜14mg/m2程度が挙げられる。
基材層1の厚さとしては、電池用包装材料10の厚みを薄くしつつ、成形性に優れた電池用包装材料10とする観点からは、好ましくは約4μm以上、より好ましくは10〜75μm程度、さらに好ましくは10〜50μm程度が挙げられる。
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料10において、接着剤層2は、基材層1と金属層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着剤層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
[金属層3]
電池用包装材料において、金属層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。金属層3としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン鋼などが挙げられ、好ましくはアルミニウムまたはステンレス鋼が挙げられる。金属層電池用包装材料の製造時に、金属層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、金属層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H−O、JIS H4160:1994 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系のステンレス鋼箔、フェライト系のステンレス鋼箔などが挙げられる。ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
金属層3の厚みは、水蒸気などの金属層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くする観点からは、好ましくは約100μm以下、より好ましくは10〜100μm程度、さらに好ましくは10〜80μm程度が挙げられる。
[下地皮膜3a及び耐酸性皮膜3b]
本発明の電池用包装材料において、下地皮膜3aは、金属層3の基材層1側の表面に形成されている。また、耐酸性皮膜3bは、金属層3の熱融着性樹脂層4側の表面に、必要に応じて形成されている。なお、耐酸性皮膜3bを備える場合、下地皮膜3aと耐酸性皮膜3bの組成や厚みなどは同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、クロム酸クロメート処理、リン酸処理、クロメート処理などによって形成された耐酸性皮膜が金属層3の熱融着性樹脂層4側の表面に形成されていてもよい。
本発明の電池用包装材料においては、金属層3の基材層1側の表面に下地皮膜3aが形成されているため、電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合にも、基材層1と金属層3との間のデラミネーションが効果的に抑制されている。また、金属層3の熱融着性樹脂層4側の表面にも、耐酸性皮膜3bが形成されている場合には、金属層3と熱融着性樹脂層4とのデラミネーションについても効果的に抑制することが可能となる。以下、下地皮膜3aについて、詳細に説明するが、以下の説明は、耐酸性皮膜3bにも適用することができる。
下地皮膜3aは、以下の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含んでいることを特徴としている。耐酸性皮膜3bについても、以下の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含んでいてもよい。下地皮膜3aは、例えば、これらの成分を含む化成処理液を金属層の表面に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。下地皮膜3aは、クロムを実質的に含まない(所謂クロムフリーである)。また、耐酸性皮膜3bについても、例えば、これらの成分を含む化成処理液を金属層の表面に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。以下、これらの成分について、詳述する。
(A)成分
(A)成分は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である。これらの具体例としては、酸化ジルコニウム(IV)(ZrO2)、酸化チタン(IV)(TiO2)、酸化ハフニウム(IV)(HfO2)などが挙げられる。(A)成分の中でも、ジルコニウム酸化物が好ましい。
(A)成分は、その固体粒子を予め水性溶媒中に分散した分散溶液(例えばゾル等)として、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)の形成に利用することが好ましい。この分散溶液は、(A)成分の固体粒子そのものよりも取り扱いが容易であり、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液の調製が容易という利点を有する。
水性溶媒に含まれる水以外の溶媒としては、有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(A)成分の平均粒子径としては、特に制限されないが、電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合の層間のデラミネーションを効果的に抑制する観点から、その上限値としては、好ましくは約500nm以下、より好ましくは約250nm以下、さらに好ましくは約100nm以下が挙げられる。また、下限値としては、好ましくは約1nm以上、より好ましくは約5nm以上が挙げられる。また、(A)成分の平均粒子径の好ましい範囲としては、1〜500nm程度、5〜500nm程度、1〜250nm程度、5〜250nm程度、1〜100nm程度、5〜100nm程度が挙げられる。
なお、(A)成分の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である。
電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合の層間のデラミネーションを効果的に抑制する観点から、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液中(全固形分量)における(A)成分の含有量の下限値としては、好ましくは約1質量%、より好ましくは約5質量%が挙げられる。また、上限値としては、約90質量%が挙げられる。(A)成分の含有量の範囲としては、好ましくは1〜90質量%程度、より好ましくは5〜90質量%程度が挙げられる。これら(A)成分の含有量は、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)に含まれている(A)成分の含有量に対応する。
(B)成分
(B)成分は、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である。リン化合物としては、例えば、リン酸化合物、リン酸エステル、有機ホスホン酸等が挙げられる。これらの具体例としては、リン酸(オルトリン酸)、メタリン酸、ポリリン酸を包含する縮合リン酸、及びその塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩等)を挙げることができる。なお、メタリン酸は、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等を包含する。また、ポリリン酸は、鎖状のリン酸縮合物であって、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等を包含する。リン酸エステルとしては、具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、エチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、フィチン酸及びその塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩等)、リボフラビンリン酸エステル等を挙げることができる。有機ホスホン酸としては、具体的には、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸等を挙げることができる。リン化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
してもよい。
リン化合物としては、これらの中でも、リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩;ポリリン酸(ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等を包含する。)を包含する縮合リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩;フィチン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩;並びに、有機ホスホン酸(アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸を包含する。)のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
フッ素化合物としては、フッ酸、ケイフッ酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、フルオロジルコニウム酸、フルオロジルコニウム酸アンモニウム、フルオロチタン酸、フルオロチタン酸アンモニウム等が挙げられる。フッ素化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
フッ素化合物としては、これらのなかでも、フッ化水素酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びリチウム塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合の層間のデラミネーションを効果的に抑制する観点から、(B)成分の含有量としては、(A)成分の総モル量に対する(B)成分の総モル量の割合((B)成分の総モル量/(A)成分の総モル量)が、0.005〜5.0の範囲内であることが好ましく、0.01〜2.0の範囲内であることがより好ましく、0.02〜0.5の範囲であることがさらに好ましい。
(C)成分
(C)成分は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である。
(C)成分であるこれらバインダー樹脂は、水溶性または水分散性(エマルジョン、ディスパージョン)を備えており、(C)成分を、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液に用いる場合に、水溶液または水分散体として用いることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−CHDM、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールとを縮合させたポリエステルポリオール;多塩基酸と、ポリマーポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタジオール等のポリオールとを縮合させた縮合樹脂等を挙げることができる。
また、モノマーの一部にトリメリット酸やピロメリット酸等のカルボキシル基を3個以上持つモノマーを使用し、未反応のカルボン酸をアルカリで中和して可溶化又は水分散化させた樹脂、或いは、モノマーの一部にスルホフタル酸等のスルホン化したモノマーを使用して可溶化又は水分散化させた樹脂も使用することができる。
ウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族イソシアネート及び/又は芳香族ポリイソシアネート化合物との縮重合物であるウレタン樹脂であって、前記ポリオールの一部としてポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリオキシエチレン鎖を有するポリオールを用いて得られたポリウレタン等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、ポリオキシエチレン鎖の導入割合を高くすることより、非イオンの状態で水溶化又は水分散化させることができる。また、ポリイソシアネートとポリオールとから、両端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを製造し、これにヒドロキシル基を2個以上有するカルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて両端にイソシアネート基を有する誘導体とし、次いで、トリエタノールアミン等を加えてアイオノマー(トリエタノールアミン塩)とし、そのアイオノマーを水に加えてエマルジョン又はディスパージョンとし、さらに必要に応じてジアミンを加えて鎖延長を行うことにより、アニオン性のウレタン樹脂を得ることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン;ポリエチレン;プロピレンとエチレンとα−オレフィンとの共重合体等のポリオレフィンを、不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸やメタクリル酸)で変性した変性ポリオレフィン;エチレンとアクリル酸(メタクリル酸)との共重合体等を挙げることができる。これらのポリオレフィン樹脂に、さらに他のエチレン性不飽和モノマーを少量、共重合させたものでもよい。水性化の手段としては、ポリオレフィン樹脂に導入したカルボン酸を、アンモニアやアミン類で中和する手段を挙げることができる。
アクリル樹脂としては、アクリルモノマーの単独重合物又は共重合物、さらにはこれらのアクリルモノマーと共重合し得る付加重合性モノマーとの共重合物等を挙げることができる。アクリル樹脂は、化成処理液中で安定して存在し得るものであれば特に重合形態は限定されない。
アクリルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スルホエチルアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等を挙げることができる。アクリルモノマーと共重合し得る付加重合性モノマーとしては、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、アクリロニトリル、ビニルスルホン酸等を挙げることができる。
ポリビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物若しくは完全ケン化物、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物及び完全ケン化物、並びに、酢酸ビニルと他のモノマーとの共重合物の部分ケン化物及び完全ケン化物を包含する。さらに、重合後のポリマーに、例えばカルボン酸、スルホン酸、リン酸等のアニオン基を導入した変性ポリマー;又は、ジアセトンアクリルアミド基、アセトアセチル基、メルカプト基、シラノール基等の架橋反応性を有する官能基を導入した変性ポリマー等も適用することができる。
酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アクリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸;(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩;N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等を挙げることができる。
ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂を挙げることができる。ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂の水性化は、構造中にカルボキシル基を導入させて行われる。
多糖類としては、キトサン及びその誘導体等を挙げることができる。キトサンとは、カニやエビ等の甲殻類より抽出される天然高分子であるキチンを60〜100モル%脱アセチル化することで得られる。例えば、100モル%脱アセチル化したキトサンは、N−アセチル−β−D−グルコサミンが1位と4位で結合した高分子物質である。
キトサン誘導体は、キトサンが持つ水酸基及び/又はアミノ基に対して、カルボキシル化、グルコール化、トシル化、硫酸化、リン酸化、エーテル化又はアルキル化した反応生成物である。具体的には、キトサン、カルボキシメチルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシブチルキトサン、グリセリル化キトサン及びそれらの酸との塩等を挙げることができる。また、3級若しくは4級アミノ基又はその両方を持つ化合物を用い、キトサンにその3級化若しくは4級化アミノ基を導入した反応生成物;キトサンの持つアミノ基を直接アルキル化剤でアルキル化し、直接3級化若しくは4級化した3級又は4級アミノ基、又は、その両方を分子内に有する所謂カチオン化キトサン;及びそれらの酸との塩であってもよい。
エポキシ樹脂としては、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物;2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物にエチレンジアミン等のジアミンを作用させてカチオン化して得られるエポキシ樹脂;2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物の側鎖にポリエチレングリコールを付加させたノニオン性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ化合物の具体例としては、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2以上を併用して用いてもよい。
エラストマーとしては、従来公知のエラストマーを使用することができる。具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム、メタクリル酸メチルブタジエンゴムなどジエン系ゴム;ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ふっ素ゴム、等の、水に分散させることができるものを挙げることができる。これらのエラストマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらのエラストマーは、アミノ基、ヒドロキシル基、メチロール基等のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、等の官能基で変性したものであってもよい。これらのエラストマーのうち、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、メタクリル酸メチルブタジエンゴム、アクリルゴム等を用いることが好ましい。
電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合の層間のデラミネーションを効果的に抑制する観点から、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液中(全固形分量)における(C)成分の含有量の下限値としては、好ましくは約5質量%、より好ましくは約10質量%、さらに好ましくは約30質量%が挙げられる。また、上限値としては、好ましくは約95質量%、より好ましくは90質量%が挙げられる。(C)成分の含有量の好ましい範囲としては、5〜95質量%程度、5〜90質量%程度、10〜95質量%程度、10〜90質量%、30〜95質量%程度、30〜90質量%程度が挙げられる。これら(C)成分の含有量は、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)に含まれている(C)成分の含有量に対応する。
他の成分
下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)の形成に使用される化成処理液には、必要に応じて、他の成分として、溶媒を配合することができる。なお、化成処理液を用いて下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する過程において、乾燥されるため、溶媒は、実質的に下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)には含まれない。溶媒としては、水;ヘキサン、ペンタン等のアルカン系;ベンゼン、トルエン等の芳香族系;エタノール、1−ブタノール、エチルセロソルブ等のアルコール系;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系;酢酸エチル、酢酸ブトキシエチル等のエステル系;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系;ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶媒;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のリン酸アミド等が挙げられる。溶媒は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)には、他の成分として、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、架橋剤、可塑剤、防菌防黴剤、着色剤等を適宜配合してもよい。
下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液の調製法としては、特に制限されず、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、さらに必要に応じて配合される他の成分を、ミキサーなどで混合することによって調製することができる。
また、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)は、例えば化成処理液を金属層3の表面に塗布(塗布工程)、乾燥させる(乾燥工程)ことにより形成することができる。なお、金属層3の表面を予め脱脂又は酸洗等する処理を行ってもよい。
塗布工程は、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成する化成処理液を金属層3の表面に塗布する工程である。塗布方法は、特に限定されず、例えば、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、これらの組み合わせ等が挙げられる。
また、乾燥工程は、塗布工程の後に水洗することなく乾燥する工程である。この工程によって、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)を形成することができる。乾燥条件としては、最高到達温度が50℃以上、250℃以下の範囲内であることが好ましい。最高到達温度が50℃未満の場合は、化成処理液中の溶媒の蒸発に非常に長い時間を要してしまうことがあり、実用上好ましくない。一方、最高到達温度が250℃を超えると、経済的な観点から好ましくない。乾燥方法としては、特に限定されず、バッチ式の乾燥炉、連続式の熱風循環型乾燥炉、コンベアー式の熱風乾燥炉、又は、IHヒーターを用いた電磁誘導加熱炉等を利用した乾燥方法が挙げられる。乾燥方法で設定する風量や風速等は任意に設定される。
電池用包装材料が高温かつ高湿度の環境に置かれた場合の層間のデラミネーションを効果的に抑制し、さらに電池用包装材料の絶縁性を向上させる観点から、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)の皮膜量は、好ましくは5〜5000mg/m2程度、より好ましくは10〜3000mg/m2程度、さらに好ましくは100〜2500mg/m2程度の範囲内が挙げられる。
また、同様の観点から、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)の厚みとしては、下限は、好ましくは約0.05μm以上、より好ましくは約0.1μm以上、さらに好ましくは約0.5μm以上が挙げられ、上限は、好ましくは約2.5μm以下、より好ましくは約2.1μm以下が挙げられる。下地皮膜3aの好ましい厚みの範囲としては、0.05〜2.5μm程度、0.05〜2.1μm程度、0.1〜2.5μm程度、0.1〜12.1μm程度、0.5〜2.5μm程度、0.5〜2.1μm程度が挙げられる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。すなわち、熱融着性樹脂層4を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。熱融着性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸等の酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
前記酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記酸変性ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
本発明において、電池用包装材料の成形性を高める観点からは、熱融着性樹脂層の表面には、滑剤が付着していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、前述のものが挙げられる。
熱融着性樹脂層の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、温度24℃、相対湿度60%の環境において、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4〜15mg/m2程度、さらに好ましくは5〜14mg/m2程度が挙げられる。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、好ましくは約60μm以下、より好ましくは15〜60μm程度、さらに好ましくは15〜40μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、金属層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、金属層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類等は、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。金属層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。すなわち、接着層5を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。接着層5を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、熱融着性樹脂層4で例示したカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンと同じものが例示できる。
また、硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
エポキシ系硬化剤は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
多官能イソシアネート系硬化剤は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
オキサゾリン系硬化剤は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン系硬化剤としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5による金属層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1〜50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.1〜30質量%程度の範囲にあることがより好ましく、0.1〜10質量%程度の範囲にあることがさらに好ましい。
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層2で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2〜50μm程度、より好ましくは10〜40μm程度が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは30μm以下、より好ましくは0.1〜20μm程度、さらに好ましくは0.5〜5μm程度が挙げられる。なお、接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱等により硬化させることにより、接着層5を形成することができる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の外側(基材層1の金属層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層を設けてもよい。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。添加剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の外側の表面に塗布する方法が挙げられる。添加剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂に添加剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層中の添加剤の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは0.05〜1.0質量%程度、より好ましくは0.1〜0.5質量%程度が挙げられる。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、金属層3、及び熱融着性樹脂層4がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、金属層3として、金属層3の基材層1側の表面に、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる下地皮膜3aが形成されたものを用いる製造方法を採用することができる。すなわち、金属層3として、「2.電池用包装材料を形成する各層」の欄で説明した、金属層3の基材層1側の表面に下地皮膜3aが形成されたものを用いて、各層を積層することにより、本発明の電池用包装材料を製造することができる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、必要に応じて設けられる接着剤層2、金属層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理された金属層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該金属層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。このとき、金属層3としては、金属層3の基材層1側の表面に、予め前述の下地皮膜3a、さらに必要に応じて熱融着性樹脂層側の表面に耐酸性皮膜3bが形成されたものを用いる。なお、下地皮膜3a(さらには耐酸性皮膜3b)の形成方法は、前述の通りである。
次いで、積層体Aの金属層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。金属層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aの金属層3上に、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法などの方法により塗布すればよい。また、金属層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aの金属層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aの金属層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aの金属層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングし、高温で乾燥さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aの金属層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)などが挙げられる。
表面被覆層を設ける場合には、基材層1の金属層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面に金属層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層を形成した後、基材層1の表面被覆層とは反対側の表面に金属層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/表面が化成処理された金属層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、必要に応じて設けられる接着剤層2及び接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近赤外線式又は遠赤外線式などの加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃程度で1〜5分間程度が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性などを向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質などの電池素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本発明の電池用包装材料によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容して、電池とすることができる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料により形成された包装体中に電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシターなどが挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1−18及び比較例1−17)
<電池用包装材料の製造>
基材層としての延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)の上に、表1及び表2に記載の素材により構成された金属層(厚さ40μm)をドライラミネート法により積層させた。具体的には、下地皮膜及び耐酸性被膜が表面に形成された金属層の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、アルミニウム合金箔上に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、金属層上の接着剤層と基材層をドライラミネート法で積層した後、エージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/下地皮膜/金属層/耐酸性皮膜の積層体を作製した。
金属層の両面に形成された下地皮膜は、表1及び表2に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む処理液を塗布、加熱乾燥して形成した。なお、耐酸性皮膜についても、下地皮膜と同じ処理液を用い、下地皮膜の形成と同時に形成した。処理液の塗布量は、加熱乾燥後に表1及び表2の下地皮膜の厚さとなるように調整した。表1及び表2に示す各成分の詳細については、後述の通りである。
次に、得られた各積層体の耐酸性皮膜の上に、接着層としての酸変性ポリプロピレン(厚さ23μm)及び熱融着性樹脂層としてのポリプロピレン(厚さ23μm)を溶融共押し出しすることにより、耐酸性皮膜上に接着層と熱融着性樹脂層を積層させ、基材層/接着剤層/下地皮膜/金属層/耐酸性皮膜/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。
[デラミネーション評価]
上記で得られた各電池用包装材料について、下記の<湿熱環境における基材層の密着性>及び<耐電解液性>の試験に供して、電池用包装材料のデラミネーションの抑制効果を評価した。
<湿熱環境における基材層の密着性評価>
上記で得られた各電池用包装材料を裁断して、90mm(MD)×160mm(TD)の短冊片を作製し、これを試験サンプル(電池用包装材料10)とした(図5)。電池用包装材料のMDが、金属層の圧延方向(RD)に対応し、電池用包装材料のTDが、金属層のTDに対応する。またMD及びRDに同一平面垂直方向がTDとなる。金属層の圧延方向は、金属層の圧延によって確認することができる。図5に示されるように、31.6mm(MD方向)×54.5mm(TD方向)の口径を有する矩形状の成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659−1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)を用いて、押さえ圧(面圧)0.25MPaにて、それぞれ、6.5mmの成形深さとなるようにして、冷間成形(引き込み1段成形)を行い、成形部Mを形成した(図5(a))。雄型及び雌型のクリアランスは、0.3mmとした。次に成形した試験サンプル(電池用包装材料10)をTDの方向の中心部Pで折り返し(図5(b))、次に図5(c)に示す2辺を190℃、1MPa、3秒の条件でヒートシールした(図5(c)の斜線部がヒートシール部S)。シール後のサンプルを温度65℃、相対湿度90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽に入れ、72時間静置した。恒温恒湿槽から成形サンプルを取り出し、基材層とアルミニウム合金箔間で浮き(基材層の剥離)が発生していないかを目視確認し、デラミネーションが認められなかった場合をA、デラミネーションが認められた場合をCとして判定した。結果を表1及び表2に示す。
<耐電解液性>
上記で得られた各電池用包装材料を裁断して15mm×100mmの短冊片を作製し、これを試験サンプルとした。試験サンプルを、85℃の電解液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(体積比)に1molの6フッ化リン酸リチウムを添加したもの)に24時間浸漬した後、熱融着性樹脂層と金属層との間にデラミネーションが発生しているか否かを目視により観察した。デラミネーションが認められなかった場合をA、デラミネーションが認められた場合をCとして判定した。結果を表1及び表2に示す。
[絶縁性の評価]
図6に示すように、上記の製造例で得られた各電池用包装材料を裁断し、幅40mm長さ100mmの短冊片を作製して、これを試験サンプル(電池用包装材料10)とした(図6(a))。一方、幅30mm長さ100mm厚み100μmのアルミニウム板12の幅方向の中央に、直径25μm長さ70mmのステンレス製ワイヤー11を配置した(図6(b))。次に、試験サンプル(電池用包装材料10)の熱融着性樹脂層側と、アルミニウム板12のワイヤー11側とが対向するように配置した(図6(c))。このとき、試験サンプル(電池用包装材料10)の幅方向(TD)の中央とアルミニウム板12の幅方向(TD)の中央が一致するようにした。次に、テスターのプラス極をアルミニウム板12に、マイナス極を試験サンプル(電池用包装材料10)にそれぞれ接続した。テスターのマイナス極については、ワニ口クリップを試験サンプル(電池用包装材料10)の基材層側から金属層に到達するように挟み込み、テスターのマイナス極と金属層とを電気的に接続させた。テスターは印加電圧100V、抵抗200MΩ以下となったとき導通(短絡)信号が発するよう準備した。次にテスター間に100Vの電圧をかけ、この状態でステンレス製ワイヤー11がアルミニウム板12と試験サンプル(電池用包装材料10)との間に介在した状態でヒートシール(図6(c)の斜線部がヒートシール部Sである)し、短絡信号が発するまでの時間を計測した。ヒートシール条件は、幅7mm、温度190℃、圧力1MPaの条件とした。短絡するまでの時間が20秒以上であった場合をA、10秒以上20秒未満であった場合をB、10秒未満であった場合をCとして判定した。結果を表1及び表2に示す。
(下地皮膜及び耐酸性皮膜の形成に用いた化成処理液中の各成分)
(A)成分:
1a 酸化ジルコニウム(IV)ゾル(固形分20質量%、平均粒子径30nm)
1b 酸化ハフニウム(IV)ゾル(固形分15質量%、平均粒子径50nm)
1c 酸化チタン(IV)ゾル(固形分6質量%、平均粒子径20nm)
1d 酸化ジルコニウム(IV)ゾル(固形分15質量%、平均粒子径200nm)
1e フルオロチタン酸(固形分40質量%)
1f 炭酸ジルコニウムアンモニウム(固形分31質量%)
1g 酸化銅(II)ゾル(固形分20質量%、平均粒子径20nm)
(B)成分:
2a リン酸アンモニウム[(NH43PO4
2b トリポリリン酸ナトリウム[Na5310
2c ヘキサメタリン酸ナトリウム[(NaPO36
2d フッ化アンモニウム[NH4F]
2e 酸性フッ化ナトリウム[NaFHF]
2f フィチン酸[C618246
2g ヒドロキシエチリデンジホスホン酸[C2872
(C)成分:
3a ポリエステル樹脂
3b ウレタン樹脂
3c ポリオレフィン樹脂
3d アクリル樹脂
3e ポリビニルアルコール
3f ポリアミドイミド樹脂
3g 多糖類
3h エポキシ樹脂
3i エラストマー
表1及び表2における各成分の含有量は、下地皮膜中の含有量(質量%)である。また、Alはアルミニウム合金箔、SUSはステンレス鋼箔を示す。
表1及び表2に示される結果から明らかな通り、表1に示す(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて、金属層の表面に下地皮膜を形成した実施例1〜18では、成形後の電池用包装材料を高温かつ高湿度の環境に置いたにも拘わらず、基材層と金属層とのデラミネーションが効果的に抑制されていた。また、耐電解液性にも優れ、絶縁性にも優れていた。一方、(A)成分、(B)成分及び(C)成分のうち少なくとも1つの成分を含んでいない下地皮膜を形成した比較例1〜17では、高温かつ高湿度の環境により、基材層と金属層との間でデラミネーションが発生した。
1 基材層
2 接着剤層
3 金属層
3a 下地皮膜
3b 耐酸性皮膜
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
10 電池用包装材料
11 ワイヤー
12 アルミニウム板

Claims (8)

  1. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
    前記金属層の前記基材層の側の表面に、下地皮膜を備えており、
    前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面に、耐酸性皮膜を備えており、
    前記下地皮膜は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる、電池用包装材料。
  2. 前記下地皮膜に含まれる前記(A)成分の含有量が、1質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記下地皮膜に含まれる前記(C)成分の含有量が、5質量%以上95質量%以下である、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記金属層が、アルミニウム合金箔またはステンレス鋼箔により構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記基材層が、ポリエステル及びポリアミドの少なくとも一方を含んでいる、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記耐酸性皮膜は、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
  8. 少なくとも、基材層、金属層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記金属層として、前記金属層の前記熱融着性樹脂層の側の表面及び前記基材層の側の表面に、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、及びハフニウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である(A)成分、リン化合物及びフッ素化合物の少なくとも一方である(B)成分、並びに、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、多糖類、エポキシ樹脂、及びエラストマーからなる群より選択される少なくとも1種のバインダー樹脂である(C)成分を含んでいる下地皮膜が形成されたものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
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