上述したように、垂直方向又は水平方向の一次元走査(測角)以外にも、垂直方向及び水平方向の2次元におけるビーム走査を行う場合にも、仮想受信アレーを構成するMIMOレーダが適用可能である。
一例として、図1Aは、垂直方向に配置された4個の送信アンテナ(Tx#1〜Tx#4)を含む送信アレーアンテナ、及び、垂直方向に配置された4個の受信アンテナ(Rx#1〜Rx#4)を含む受信アレーアンテナを示す。図1Aにおいて、送信アンテナは、垂直方向に等間隔(dV)に配置され、受信アンテナは、水平方向に等間隔(dH)に配置されている。
図1Bは、図1Aに示すアンテナ配置の送受信アレーアンテナを含む仮想受信アレーを示す。図1Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に4アンテナ及び垂直方向に4アンテナが矩形状に配置された16素子の仮想受信アンテナ(VA#1〜VA#16)から構成される。図1Bでは、仮想受信アレーの水平方向及び垂直方向の素子間隔は、それぞれ、dH、dVとなる。すなわち、仮想受信アレーの水平方向及び垂直方向の開口長DH、DVは、それぞれ、3dH、3dVとなる。
図2A及び図2Bは、図1A及び図1Bに示したMIMOレーダのアンテナ配置において、水平方向の素子間隔dH=0.5λとし、垂直方向の素子間隔dV=0.5λとした場合の水平0°、垂直0°方向に向けたフーリエビームパターンを示す。なお、λはレーダ搬送波の波長を示す。
図2A及び図2Bに示すように、水平0°、垂直0°方向にメインビーム(メインローブ)が形成される。ここで、メインビームのビーム幅が狭いほど、複数のターゲットに対する角度分離性能が向上する。例えば、図2A及び図2Bでは、3dBビーム幅は26°程度である。また、図2A及び図2Bに示すように、メインビームの周辺には、サイドローブが発生している。レーダ装置において、サイドローブは虚像として誤検出の要因となる。このため、サイドローブのピークレベルが低いほど、レーダ装置において虚像として誤検出される確率が低減される。図2A及び図2Bでは、メインビームのピークレベルによって正規化したサイドローブのピークレベルに対する電力比(ピークサイドローブ比)は約−13dBとなる。
レーダ装置において検出範囲を拡大するには、利得の高いアンテナを用いることが有効である。例えば、アンテナの指向性(ビーム幅)を狭くすることにより、アンテナ利得を向上させることができる。また、アンテナの指向性を狭くするには、アンテナの開口面を広げる必要があり、アンテナサイズが大きくなる。
また、アンテナの指向性を狭くするために、アンテナ構成として、複数のアンテナ素子を直列的に給電した構成のサブアレーアンテナ(サブアレー化したアンテナ素子)を用いることがある。例えば、車両に搭載されるレーダ装置(車載レーダ)等では、垂直方向の指向性を狭めるために、垂直方向に複数のアンテナ素子を並べて構成したサブアレーアンテナを用いる(例えば、非特許文献3を参照)。これにより、垂直方向のアンテナ利得を向上でき、路面等の不要な方向の反射波を低減する効果が得られる。
しかしながら、上記のようなサブアレーアンテナを、送信アレーアンテナあるいは受信アレーアンテナを構成するアンテナ素子として用いる場合、アレーアンテナの素子間隔は、サブアレーアンテナのサイズよりも狭い間隔には配置困難である。例えば、サブアレーアンテナを構成するアンテナ素子を垂直方向に配置する場合、サブアレーアンテナのサイズが1波長以上となる。例えば、図1Aに示すMIMOレーダにおいて垂直方向にサブアレーアンテナを用いる場合には、垂直方向の素子間隔dVを1波長以上に広げる必要がある。
図3A及び図3Bは、図1Aに示すMIMOレーダの送受信アンテナ配置において垂直方向の素子間隔dVを1波長(λ)以上とした場合に、水平0°、垂直0°方向に向けたフーリエビームパターンの一例を示す。なお、図3A及び図3Bでは、垂直方向にサブアレー化したアンテナ素子単体の指向性は考慮していない。
また、図3Aでは、垂直方向の素子間隔dV=λ、水平方向の素子間隔dH=0.5λであり、図3Bでは、垂直方向の素子間隔dV=2λ、水平方向の素子間隔dH=0.5λである。
図3A及び図3Bに示すように、水平0°、垂直0°方向にメインビーム(メインローブ)が向き、メインビームの周辺の垂直方向に高いレベルのサイドローブ(グレーティングローブ)が発生している。図3A及び図3Bでは、ピークサイドローブ比は0dBとなる。また、図3B(dV=2λ)では、図3A(dV=λ)と比較して、垂直方向に高いレベルのサイドローブ(グレーティングローブ)が発生する角度間隔が狭くなっている。すなわち、垂直方向の素子間隔dVが広くなるほど、サイドローブ(グレーティングローブ)が発生する角度間隔が狭まる性質が確認できる。
このように、レーダ装置は、垂直方向のアンテナサイズが大きくなるほど、垂直方向の素子間隔を広げる必要があり、メインビームに比較的近い角度にグレーティングローブが発生しやすくなる。このため、レーダ装置で想定する検知角範囲が、グレーティングローブの発生する角度以上に広い場合には、レーダ装置は、検知角度範囲内において、グレーティングローブに起因する偽のピークを誤ってターゲット(物標)として検出する確率が増加し、レーダ装置の検出性能が劣化する課題が生じる。
本開示に係る一態様は、MIMOレーダを用いて垂直方向及び水平方向の2次元においてビーム走査を行う場合に、レーダ装置の検出性能を劣化させずに、垂直方向及び水平方向の仮想受信アレーの開口長を最大限拡大する。このような仮想受信アレーを用いることで、少ないアンテナ素子数による角度分解能の向上を可能とする。
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
なお、以下では、レーダ装置において、送信ブランチにおいて、複数の送信アンテナから符号分割多重された異なる送信信号を送出し、受信ブランチにおいて、各送信信号を分離して受信処理を行う構成について説明する。しかし、レーダ装置の構成は、これに限定されず、送信ブランチにおいて、複数の送信アンテナから周波数分割多重された異なる送信信号を送出し、受信ブランチにおいて、各送信信号を分離して受信処理を行う構成でもよい。また、同様に、レーダ装置の構成は、送信ブランチで複数の送信アンテナから時分割多重された送信信号を送出し、受信ブランチで、受信処理を行う構成でもよい。
[実施の形態1]
[レーダ装置の構成]
図4は、本実施の形態に係るレーダ装置10の構成を示すブロック図である。
レーダ装置10は、レーダ送信部(送信ブランチ)100と、レーダ受信部(受信ブランチ)200と、基準信号生成部300と、を有する。
レーダ送信部100は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号に基づいて高周波(無線周波数:Radio Frequency)のレーダ信号(レーダ送信信号)を生成する。そして、レーダ送信部100は、複数の送信アンテナ106−1〜106−Ntによって構成される送信アレーアンテナを用いて、レーダ送信信号を所定の送信周期にて送信する。
レーダ受信部200は、ターゲット(図示せず)により反射したレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ202−1〜202−Naを含む受信アレーアンテナを用いて受信する。レーダ受信部200は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を用いて、下記の処理動作を行うことで、レーダ送信部100と同期した処理を行う。すなわち、レーダ受信部200は、各受信アンテナ202において受信した反射波信号を信号処理し、少なくともターゲットの有無検出、方向推定を行う。なお、ターゲットはレーダ装置10が検出する対象の物体であり、例えば、車両(4輪及び2輪を含む)又は人を含む。
基準信号生成部300は、レーダ送信部100及びレーダ受信部200のそれぞれに接続されている。基準信号生成部300は、基準信号としてのリファレンス信号をレーダ送信部100及びレーダ受信部200に供給し、レーダ送信部100及びレーダ受信部200の処理を同期させる。
[レーダ送信部100の構成]
レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部101−1〜101−Ntと、送信無線部105−1〜105−Ntと、送信アンテナ106−1〜106−Ntと、を有する。すなわち、レーダ送信部100は、Nt個の送信アンテナ106を有し、各送信アンテナ106は、それぞれ個別のレーダ送信信号生成部101及び送信無線部105に接続されている。
レーダ送信信号生成部101は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を所定数倍したタイミングクロックを生成し、生成したタイミングクロックに基づいてレーダ送信信号を生成する。そして、レーダ送信信号生成部101は、所定のレーダ送信周期(Tr)にてレーダ送信信号を繰り返し出力する。レーダ送信信号は、rz(k, M)=Iz(k, M)+j Qz(k, M)で表される。ここで、zは各送信アンテナ106に対応する番号を表し、z=1,…,Ntである。また、jは虚数単位を表し、kは離散時刻を表し、Mはレーダ送信周期の序数を表す。
各レーダ送信信号生成部101は、符号生成部102と、変調部103と、LPF(Low Pass Filter)104とを含む。以下、第z番目(z=1,…,Nt)の送信アンテナ106に対応するレーダ送信信号生成部101−zにおける各構成部について説明する。
具体的には、符号生成部102は、レーダ送信周期Tr毎に、符号長Lの符号系列の符号a(z)n(n=1,…,L)(パルス符号)を生成する。各符号生成部102−1〜102−Ntにおいて生成される符号a(z)n(z=1,…,Nt)には、互いに低相関又は無相関となる符号が用いられる。符号系列としては、例えば、Walsh-Hadamard符号、M系列符号、Gold符号などが挙げられる。
変調部103は、符号生成部102から受け取る符号a(z)nに対してパルス変調(振幅変調、ASK(Amplitude Shift Keying)、パルスシフトキーイング)又は位相変調(Phase Shift Keying)を行い、変調信号をLPF104へ出力する。
LPF104は、変調部103から受け取る変調信号のうち、所定の制限帯域以下の信号成分を、ベースバンドのレーダ送信信号として送信無線部105へ出力する。
第z(z=1,…,Nt)番目の送信無線部105は、第z番目のレーダ送信信号生成部101から出力されるベースバンドのレーダ送信信号に対して周波数変換を施してキャリア周波数(Radio Frequency:RF)帯のレーダ送信信号を生成し、送信増幅器により所定の送信電力P[dB]に増幅して第z番目の送信アンテナ106へ出力する。
第z(z=1,…,Nt)番目の送信アンテナ106は、第z番目の送信無線部105から出力されるレーダ送信信号を空間に放射する。
図5は、レーダ送信部100のNt個の送信アンテナ106から送信されるレーダ送信信号を示す。符号送信区間Tw内には符号長Lのパルス符号系列が含まれる。各レーダ送信周期Trのうち、符号送信区間Twの間にパルス符号系列が送信され、残りの区間(Tr-Tw)は無信号区間となる。1つのパルス符号(a(z)n)あたり、No個のサンプルを用いたパルス変調が施されることにより、各符号送信区間Tw内には、Nr(=No×L)個のサンプルの信号が含まれる。すなわち、変調部103におけるサンプリングレートは、(No×L)/Twである。また、無信号区間(Tr-Tw)には、Nu個のサンプルが含まれる。
なお、レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部101の代わりに、図6に示すレーダ送信信号生成部101aを備えてもよい。レーダ送信信号生成部101aは、図4に示す符号生成部102、変調部103及びLPF104を有さず、代わりに符号記憶部111及びDA変換部112を備える。符号記憶部111は、符号生成部102(図4)において生成される符号系列を予め記憶し、記憶している符号系列を巡回的に順次読み出す。DA変換部112は、符号記憶部111から出力される符号系列(デジタル信号)をアナログ信号に変換する。
[レーダ受信部200の構成]
図4において、レーダ受信部200は、Na個の受信アンテナ202を備え、アレーアンテナを構成する。また、レーダ受信部200は、Na個のアンテナ系統処理部201−1〜201−Naと、方向推定部214と、を有する。
各受信アンテナ202は、ターゲット(物体)に反射したレーダ送信信号である反射波信号を受信し、受信した反射波信号を、対応するアンテナ系統処理部201へ受信信号として出力する。
各アンテナ系統処理部201は、受信無線部203と、信号処理部207とを有する。
受信無線部203は、増幅部204と、周波数変換器205と、直交検波器206と、を有する。受信無線部203は、基準信号生成部300から受け取るリファレンス信号を所定数倍したタイミングクロックを生成し、生成したタイミングクロックに基づいて動作する。具体的には、増幅器204は、受信アンテナ202から受け取る受信信号を所定レベルに増幅し、周波数変換器205は、高周波帯域の受信信号をベースバンド帯域に周波数変換し、直交検波器206は、ベースバンド帯域の受信信号を、I信号及びQ信号を含むベースバンド帯域の受信信号に変換する。
信号処理部207は、AD変換部208、209と、分離部210−1〜210−Ntと、を有する。
AD変換部208には、直交検波器206からI信号が入力され、AD変換部209には、直交検波器206からQ信号が入力される。AD変換部208は、I信号を含むベースバンド信号に対して、離散時間でのサンプリングを行うことにより、I信号をデジタルデータに変換する。AD変換部209は、Q信号を含むベースバンド信号に対して、離散時間でのサンプリングを行うことにより、Q信号をデジタルデータに変換する。
ここで、AD変換部208,209のサンプリングでは、レーダ送信信号における1つのサブパルスの時間Tp(=Tw/L)あたり、Ns個の離散サンプルが行われる。すなわち、1サブパルスあたりのオーバーサンプル数はNsとなる。
以下の説明では、I信号Ir(k, M)及びQ信号Qr(k, M)を用いて、AD変換部208,209の出力としての第M番目のレーダ送信周期Tr[M]の離散時間kにおけるベースバンドの受信信号を複素数信号x(k, M)=Ir(k, M)+j Qr(k, M)と表す。また、以下では、離散時刻kは、レーダ送信周期(Tr)の開始するタイミングを基準(k=1)とし、信号処理部207は、レーダ送信周期Trが終了する前までのサンプル点であるk=(Nr+Nu)Ns/Noまで周期的に動作する。すなわち、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noとなる。ここで、jは虚数単位である。
信号処理部207は、送信アンテナ106の個数分の系統数に等しいNt個の分離部210を含む。各分離部210は、相関演算部211と、加算部212と、ドップラー周波数解析部213と、を有する。以下、第z(z=1,…,Nt)番目の分離部210の構成について説明する。
相関演算部211は、レーダ送信周期Tr毎に、AD変換部208,209から受け取る離散サンプル値Ir(k, M)及びQr(k, M)を含む離散サンプル値x(k, M)と、レーダ送信部100において送信される符号長Lのパルス符号a(z)n(ただし、z=1,…,Nt、n=1,…,L)との相関演算を行う。例えば、相関演算部211は、離散サンプル値x(k, M)と、パルス符号a(z)nとのスライディング相関演算を行う。例えば、第M番目のレーダ送信周期Tr[M]における離散時刻kのスライディング相関演算の相関演算値AC(z)(k, M)は、次式に基づき算出される。
上式において、アスタリスク(*)は複素共役演算子を表す。
相関演算部211は、例えば、式(1)に従って、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noの期間に渡って相関演算を行う。
なお、相関演算部211は、k=1,…,(Nr+Nu)Ns/Noに対して相関演算を行う場合に限定されず、レーダ装置10の測定対象となるターゲットの存在範囲に応じて、測定レンジ(すなわち、kの範囲)を限定してもよい。これにより、レーダ装置10では、相関演算部211の演算処理量の低減が可能となる。例えば、相関演算部211は、k=Ns(L+1),…,(Nr+Nu)Ns /No-NsLに測定レンジを限定してもよい。この場合、図7に示すように、レーダ装置10は、符号送信区間Twに相当する時間区間では測定を行わない。
これにより、レーダ装置10は、レーダ送信信号がレーダ受信部200に直接的に回り込むような場合でも、レーダ送信信号が回り込む期間(少なくともτ1未満の期間)では相関演算部211による処理が行われないので、回り込みの影響を排除した測定が可能となる。また、測定レンジ(kの範囲)を限定する場合、以下で説明する加算部212、ドップラー周波数解析部213及び方向推定部214の処理に対しても、同様に測定レンジ(kの範囲)を限定した処理を適用すればよい。これにより、各構成部での処理量を削減でき、レーダ受信部200における消費電力を低減できる。
加算部212は、第M番目のレーダ送信周期Trの離散時刻k毎に相関演算部211から受け取る相関演算値AC(z)(k, M)を用いて、所定回数(Np回)のレーダ送信周期Trの期間(Tr×Np)に渡って、相関演算値AC(z)(k, M)を加算(コヒーレント積分)する。期間(Tr×Np)に渡る加算数Npの加算(コヒーレント積分)処理は次式で表される。
ここで、CI(z)(k, m)は相関演算値の加算値(以下、相関加算値と呼ぶ)を表し、Npは1以上の整数値であり、mは加算部212における加算回数Npを1個の単位とした場合における加算回数の序数を示す1以上の整数である。また、z=1,…,Ntである。
加算部212は、レーダ送信周期Trを単位として得られた相関演算部211の出力を一つの単位として、Np回の加算を行う。つまり、加算部212は、相関演算値AC(z)(k, Np(m-1)+1)〜AC(z)(k, Np×m)を一単位として、離散時刻kのタイミングを揃えて加算した相関値CI(z)(k, m)を離散時刻k毎に算出する。これにより、加算部212は、相関演算値のNp回に渡る加算の効果により、ターゲットからの反射波信号が高い相関を有する範囲において、反射波信号のSNRを向上できる。よって、レーダ受信部200は、ターゲットの到来距離の推定に関する測定性能を向上できる。
なお、理想的な加算利得を得るためには、相関演算値の加算回数Npの加算区間において、相関演算値の位相成分がある程度の範囲で揃う条件が必要である。つまり、加算回数Npは、測定対象となるターゲットの想定最大移動速度に基づいて設定されることが好ましい。これは、ターゲットの想定最大速度が大きいほど、ターゲットからの反射波に含まれるドップラー周波数の変動量が大きい。このため、高い相関を有する時間期間が短くなるため、加算回数Npは小さい値となり、加算部212での加算による利得向上効果が小さくなるためである。
ドップラー周波数解析部213は、離散時刻k毎に得られた加算部212のNc個の出力であるCI(z)(k, Nc(w-1)+1)〜CI(z)(k,Nc×w)を一単位として、離散時刻kのタイミングを揃えてコヒーレント積分を行う。例えば、ドップラー周波数解析部213は、次式に示すように、2Nf個の異なるドップラー周波数fsΔΦに応じた位相変動Φ(fs)=2πfs(Tr×Np)ΔΦを補正した後に、コヒーレント積分を行う。
ここで、FT_CI(z) Nant(k, fs, w)は、ドップラー周波数解析部213における第w番目の出力であり、第Nant番目のアンテナ系統処理部201における離散時刻kでのドップラー周波数fsΔΦのコヒーレント積分結果を示す。ただし、Nant=1〜Naであり、fs=-Nf+1,…,0,…,Nfであり、k=1,…, (Nr+Nu)Ns/Noであり、wは1以上の整数であり、ΔΦは位相回転単位である。
これにより、各アンテナ系統処理部201は、離散時刻k毎の2Nf個のドップラー周波数成分に応じたコヒーレント積分結果であるFT_CI(z) Nant(k, -Nf+1,w),…, FT_CI(z) Nant(k, Nf-1, w)を、レーダ送信周期間Trの複数回Np×Ncの期間(Tr×Np×Nc)毎に得る。なお、jは虚数単位であり、z=1,…,Ntである。
ΔΦ=1/Ncとした場合、上述したドップラー周波数解析部213の処理は、サンプリング間隔Tm=(Tr×Np)、サンプリング周波数fm=1/Tmで加算部212の出力を離散フーリエ変換(DFT)処理していることと等価である。
また、Nfを2のべき乗の数に設定することで、ドップラー周波数解析部213では、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理を適用でき、演算処理量を削減できる。なお、Nf>Ncでは、q>Ncとなる領域においてCI(z)(k、Nc(w-1)+q)=0とするゼロ埋め処理を行うことで、同様にFFT処理を適用でき、演算処理量を削減できる。
また、ドップラー周波数解析部213において、FFT処理の代わりに、上式(3)に示す積和演算を逐次的に演算する処理を行ってもよい。つまり、ドップラー周波数解析部213は、離散時刻k毎に得られた加算部212のNc個の出力であるCI(z)(k, Nc(w-1)+q+1)に対して、fs=-Nf+1,…,0,…,Nf-1に対応する係数exp[-j2πfsTrNpqΔφ]を生成し、逐次的に積和演算処理してもよい。ここで、q=0〜Nc−1である。
なお、以下の説明では、Na個のアンテナ系統処理部201の各々において同様の処理を施して得られた第w番目の出力FT_CI(z) 1(k, fs, w), FT_CI(z) 2(k, fs, w),…, FT_CI(z) Na(k, fs, w)を、次式のように仮想受信アレー相関ベクトルh(k, fs, w)として表記する。仮想受信アレー相関ベクトルh(k, fs, w)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積であるNt×Na個の要素を含む。仮想受信アレー相関ベクトルh(k, fs, w)は、後述する、ターゲットからの反射波信号に対して受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理の説明に用いる。ここで、z=1,…,Ntであり、b=1, …, Naである。
以上、信号処理部207の各構成部における処理について説明した。
方向推定部214は、アンテナ系統処理部201−1〜201−Naから出力されるw番目のドップラー周波数解析部213の仮想受信アレー相関ベクトルh(k, fs, w)に対してアレー補正値h_cal[y]を用いてアンテナ系統処理部201間の位相偏差及び振幅偏差を補正した仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k, fs, w)を算出する。仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k, fs, w)は次式で表される。なお、y=1,…,(Nt×Na)である。
アンテナ間偏差を補正した仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k, fs, w)は、Na×Nr個の要素からなる列ベクトルである。以下では、仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k, fs, w)の各要素をh1(k, fs, w),…,hNa×Nr(k, fs, w)と表記して、方向推定処理の説明に用いる。
[レーダ装置10におけるアンテナ配置]
以上の構成を有するレーダ装置10におけるNt個の送信アンテナ106及びNa個の受信アンテナ202の配置について説明する。
Nt個の送信アンテナ106(送信アレーアンテナ)は、垂直方向の位置(垂直位置と呼ぶ)が同一であり、水平方向の位置(水平位置と呼ぶ)が異なる複数の送信アンテナ106(つまり、水平方向に配置される複数の送信アンテナ106)を含む「第1のアンテナ群」と、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ106の垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置される送信アンテナ106である「第2のアンテナ」とを含む。
また、Na個の受信アンテナ202(受信アレーアンテナ)は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる複数の受信アンテナ202(つまり、水平方向に配置される複数の受信アンテナ202)を含む「第3のアンテナ群」と、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ202の垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置された受信アンテナ202である「第4のアンテナ」とを含む。
以下、本実施の形態における送受信アンテナの配置例について説明する。
図8Aは、送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図8Bは、図8Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
(1)送受信アンテナの配置
図8Aでは、送信アンテナ106の個数Nt=3個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、3個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#3で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図8Aにおいて、受信アンテナRx#1〜Rx#3は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第3のアンテナ群を構成する。具体的には、図8Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)である。
また、図8Aにおいて、受信アンテナRx#4は、第3のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第4のアンテナである。具体的には、図8Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図8Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に間隔DRH離れた位置である。
また、図8Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置である。
一方、図8Aにおいて、送信アンテナTx#1、Tx#2は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第1のアンテナ群を構成する。また、図8Aにおいて、送信アンテナTx#3は、第1のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第2のアンテナである。
具体的には、図8Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DRHを加えた間隔(DZ+DRH)である。例えば、第1のアンテナ群の素子間隔DTHにおいて、アンテナ開口長DZに加える間隔DRHは、上述した第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(図8AではRx#3とRx#4との間隔DRH)と等しい。
また、図8Aにおいて、第2のアンテナである送信アンテナTx#3の水平位置は、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の内側の位置である。具体的には、送信アンテナTx#3の水平位置は、(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図8Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、水平方向に間隔DT2Hずらした位置である。
例えば、図8Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図8Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図8Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
すなわち、水平方向において、第3のアンテナ群(図8AではRx#1〜Rx#3)のうち、第4のアンテナ(Rx#4)の配置位置に近い側(第1の側。図8Aでは右側)と反対側(第2の側。図8Aでは左側)の端部に位置する受信アンテナ(図8AではRx#1)と、第3のアンテナ群に含まれる他の受信アンテナ(図8AではRx#2、Rx#3)の各々との素子間隔(図8AではDRH又は2DRH)は、水平方向において、第1のアンテナ群に含まれる隣接する送信アンテナTx#1、Tx#2のうちの上記第1の側と同じ側(図8Aでは右側)の送信アンテナTx#2と、第2のアンテナに含まれる送信アンテナ(Tx#3)の各々との素子間隔(図8AではDRH)と同一である。
換言すると、水平方向において、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(図8AではTx#1、Tx#2)のうち一方の側(図8Aでは右側)の送信アンテナ(図8Aでは右端アンテナTx#2)と、第2のアンテナ(Tx#3)との素子間隔(図8AではDT2H=DRH)は、受信アレーアンテナにおける、第1のアンテナ群の上記一方の側と反対側(図8Aでは左側)の端部に位置する受信アンテナ(図8Aでは左端アンテナRx#1)と他の受信アンテナ(図8AではRx#2、Rx#3)との素子間隔(図8AではDRH又は2DRH)と、同一である。
また、図8Aにおいて、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からDTV離れた位置である。
ここで、間隔DTVは、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間の垂直方向の間隔DRVと異なる間隔である。換言すると、間隔DTV及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナの垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図8Aに示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#3の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#3の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。同様に、図8Aに示すように、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。
(2)仮想受信アレーの配置
上述した図8Aに示すアンテナ配置によって構成される、図8Bに示す仮想受信アレー(仮想アンテナVA#1〜VA#12)の配置は以下のような特徴を有する。
ここで、仮想受信アレーの配置は、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナの位置(給電点の位置)、及び、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの位置(給電点の位置)から、次式のように表すことができる。ここで、mod(x,y)は除算後の剰余 (モジュロ演算)を算出する演算子であり、xをyで割ったときの余りを返す。また、ceil(x)はx 以上の最も近い整数に丸めた値を返す演算子である。
ここで、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナの位置座標を(XT_#n,YT_#n)(ただし、n=1,..,, Nt)とし、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの位置座標を(XR_#m,YR_#m)(ただし、m=1,..,, Na)とし、仮想受信アレーアンテナを構成する仮想アンテナの位置座標を(XV_#k,YV_#k)(ただし、k=1,..,, Nt×Na)とする。なお、式(7)では、VA#1を仮想受信アレーの位置基準(0,0)として表している。
図8Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(図8Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#4, VA#7, VA#2, VA#5, VA#8)から成る水平方向仮想直線アレーアンテナHLAを含む構成となる。図8Bに示すHLAは、図8Aにおいて水平方向に素子間隔DTHによって配置された第1のアンテナ群に含まれる2つの送信アンテナTx#1,Tx#2と、水平方向に素子間隔DRHによって配置された第3のアンテナ群に含まれる3つの受信アンテナRx#1, Rx#2, Rx#3との水平位置関係から得られる。具体的には、水平方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、第1のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図8Aでは2個)と第3のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図8Aでは3個)との積(図8Bでは6個)となる関係を有する。
また、図8Aでは、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔はDRHで等しい。また、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ間の素子間隔(DRH)と、水平方向における第3のアンテナ群と第4のアンテナ(Rx#4)との間隔(DRH)とは等しい。これにより、図8Bに示す仮想受信アレーのHLAにおいて、6個の仮想アンテナは、水平方向にそれぞれ直線上に等間隔に配置される。
また、図8Bに示す仮想受信アレーは、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された3個の仮想アンテナ(図8Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#10, VA#6)から成る垂直方向仮想直線アレーアンテナVLAを含む構成となる。垂直方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、「(第2のアンテナに含まれるアンテナ数)+(第4のアンテナに含まれるアンテナ数)+1」(図8Bでは3個)となる関係を有する。
VLAでは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置を基準として、DTV、DRVの小さい順に仮想アンテナが並ぶ配置となる。例えば、DTV>DRVの場合、VLA内の仮想アンテナの素子間隔はDRV、(DTV―DRV)となる。また、DTV<DRVの場合は、VLA内の仮想アンテナの素子間隔はDTV 、(DRV―DTV)となる。
また、DTV=2DRVとすることで、VLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。また、2DTV=DRVとすることで、 VLA内では、仮想アンテナが等間隔(DTV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。
図8Bは、一例として、DTV=2DRVの例(つまり、DTV>DRVの場合)を示す。すなわち、図8Bでは、VLAにおいて、VA#2、VA#10、VA#6は、等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。これにより、垂直方向においてピークサイドローブ比を低減することができる。
なお、DTV=2DRV又は2DTV=DRVに限定されない。すなわち、垂直方向において第1のアンテナ群の位置と第3のアンテナ群の位置とを同一とした場合に、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)(又は第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3))と、第2のアンテナ(Tx#3)と、第4のアンテナ(RX#4)と、における垂直方向の隣接するアンテナの素子間隔は等間隔でもよく、不等間隔でもよい。不等間隔の場合(DTV=2DRV、2DTV=DRV以外の場合)、VLAは不等間隔アレーとなり、VLAの開口長を拡げることができるため、メインローブが狭まり、垂直方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。
ここで、式(4)及び式(7)、図8Bに示すように、仮想アンテナVA#1は、受信アンテナRx#1と送信アンテナTx#1との関係より得られる。また、VA#1の位置(垂直位置、水平位置)を基準位置(0,0)として、VLAを構成する仮想アンテナVA#2は、受信アンテナRx#1と送信アンテナTx#2との関係により得られ、VLAを構成する仮想アンテナVA#6は、受信アンテナRx#2と送信アンテナTx#3との関係により得られ、VLAを構成する仮想アンテナVA#10は、受信アンテナRx#4と送信アンテナTx#1との関係により得られる。
上述したように、第1のアンテナ群の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群の開口長DZと水平方向における第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間隔DRHとの和、つまり、受信アレーアンテナの水平方向の開口長と等しい。これにより、基準位置であるVA#1から水平方向に第1のアンテナ群の素子間隔DTH離れた位置に配置されるVA#2(Rx#1とTx#2との関係から得られる仮想アンテナ)の水平位置と、基準位置であるVA#1から水平方向に受信アレーアンテナの開口長(DZ+DRH)離れた位置に配置されるVA#10(Rx#4とTx#1との関係から得られる仮想アンテナ)の水平位置とが同一(図8Bでは基準位置から3DRHの位置)となる。また、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの垂直位置がDRH異なるので、VA#2とV#10との垂直位置もDRV異なる。これにより、VA#2とVA#10とは、同一の水平位置に配置され、かつ、垂直方向に並んで配置される。
また、水平方向において、第1のアンテナ群の右端部(図8AではTx#2)と第2のアンテナ(Tx#3)との素子間隔DT2Hは、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群の他の受信アンテナ(例えば、Rx#2)との素子間隔DRHと等しい。これにより、Rx#1とTx#2との関係から得られる仮想アンテナVA#2の水平位置と、Rx#2とTx#3との関係から得られる仮想アンテナVA#6の水平位置とが同一(図8Bでは基準位置から3DRHの位置)となる。また、第1のアンテナ群と第2のアンテナとの垂直位置が異なるので、VA#2とV#6との垂直位置もDTV異なる。これにより、VA#2とVA#6とは、同一の水平位置に配置され、かつ、垂直方向に並んで配置される。
また、垂直方向において、基準位置(第1のアンテナ群の垂直位置及び第3のアンテナ群の垂直位置)と、第2のアンテナの位置(間隔DTV)と、第4のアンテナの位置(間隔DRV)とがそれぞれ異なる。これにより、仮想受信アレーにおいて、垂直方向の基準位置に配置されるVA#2に対して、VA#10及びVA#6はそれぞれ異なる垂直位置に配置される。
以上より、VLAを構成するVA#2、VA#10、VA#6は、同一の水平位置かつ異なる垂直位置に配置されることになる。
このように、図8Aに示す送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=4の限られたアンテナ数で、図8Bに示す仮想受信アレー(VA#1,…, VA#12)の配置が、水平方向に直線上に6アンテナ(HLA)、垂直方向に直線上に3アンテナ(VLA)を含む配置となり、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
方向推定部214は、上述した送受信アンテナの配置(図8Aを参照)から得られる仮想受信アレー(図8Bを参照)の受信信号を用いて、水平方向及び垂直方向の方向推定処理を以下のように行う。
上記仮想受信アレーの素子番号(VA#の番号)は、式(6)に示すアンテナ間偏差を補正した仮想受信アレー相関ベクトルh_after_cal(k、fs, w)の列ベクトルの要素番号に対応する。例えば、VA#1はh_after_cal(k、fs, w)の列ベクトル要素の1番目の要素h1(k、fs, w)に対応する。他のVA#2〜VA#12についても同様である。
水平方向及び垂直方向の到来方向推定において、方向推定部214は、方向推定評価関数値P(θ、φ、k、fs、w)における方位方向θ及び仰角方向φを所定の角度範囲内で可変として空間プロファイルを算出し、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの方位方向、仰角方向を到来方向推定値として出力する。
なお、評価関数値P(θ、φ、k、fs、w)は、到来方向推定アルゴリズムによって各種の方法がある。例えば参考非特許文献に開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いてもよい。
(参考非特許文献)Direction-of-arrival estimation using signal subspace modeling Cadzow, J.A.; Aerospace and Electronic Systems, IEEE Transactions on Volume: 28 , Issue: 1 Publication Year: 1992 , Page(s): 64 - 79
例えばビームフォーマ法は次式のように表すことができる。他にも、Capon, MUSICといった手法も同様に適用可能である。
ここで、上付き添え字Hはエルミート転置演算子である。また、a(θu,φv)は、方位方向θ及び仰角方向φの到来波に対する仮想受信アレーの方向ベクトルを示す。
以上のように、方向推定部214は、算出した到来方向推定値とともに、到来方向推定値の算出時の離散時刻k、ドップラー周波数fsΔΦをレーダ測位結果として出力する。
また、方位方向θuは到来方向推定を行う方位範囲内を所定の方位間隔β1で変化させたベクトルである。例えば、θuは以下のように設定される。
θu=θmin + uβ1、u=0,…, NU
NU=floor[(θmax-θmin)/β1]+1
ここでfloor(x)は、実数xを超えない最大の整数値を返す関数である。
また、φvは到来方向推定を行う仰角範囲内を所定の方位間隔β2で変化させたものである。例えば、φvは以下のように設定される。
φv=φmin + vβ2、v=0,…, NV
NV=floor[(φmax-φmin)/β2]+1
なお、本実施の形態では、仮想受信アレー配置VA#1,…, VA#(Nt×Na)に基づいて仮想受信アレーの方向ベクトルa(θu,φv)が予め算出されている。ここで、方向ベクトルa(θu,φv)は、方位方向θ及び仰角方向φからレーダ反射波が到来した場合の仮想受信アレーの複素応答を要素とした(Nt×Na)次の列ベクトルである。また、仮想受信アレーの複素応答a(θu,φv)は、アンテナ間の素子間隔で幾何光学的に算出される位相差を表す。
また、上述した時刻情報kは、距離情報に変換して出力されてもよい。時刻情報kを距離情報R(k)に変換するには次式を用いればよい。ここで、Twは符号送信区間を表し、Lはパルス符号長を表し、C0は光速度を表す。
また、ドップラー周波数情報(fsΔΦ)は相対速度成分に変換して出力されてもよい。ドップラー周波数fsΔΦを相対速度成分vd(fs)に変換するには、次式を用いて変換することができる。ここで、λは送信無線部105から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長である。
以上のように、図8Aに示すアレー配置を用いることで、レーダ装置10(MIMOレーダ)において垂直方向にアンテナが重ならないので、垂直方向において任意のサイズのサブアレーアンテナを用いることができる。また、図8Aに示すアレー配置を用いることで、図8Bに示す仮想受信アレーの水平方向及び垂直方向によって構成される開口面を最大化することができる。
よって、本実施の形態によれば、レーダ装置10は、MIMOレーダを用いて垂直方向及び水平方向の2次元でのビーム走査を行う場合に、垂直方向及び水平方向の仮想受信アレーの開口長を最大限拡大することができ、垂直方向及び水平方向において高分解能測角が可能となる。すなわち、本実施の形態では、レーダ装置の検出性能を劣化させずに、垂直方向及び水平方向の仮想受信アレーの開口長を最大限拡大し、少ないアンテナ素子数による角度分解能の向上を可能とする。
なお、図8Aにおいて、送信アンテナTx#1〜Tx#3と、受信アンテナRx#1〜Rx#4との間隔は、仮想受信アレーの配置には影響しない。ただし、送信アンテナTx#1〜Tx#3と受信アンテナRx#1〜Rx#4とが近接することにより送受信アンテナ間の結合度が高まるので、送信アンテナTx#1〜Tx#3と受信アンテナRx#1〜Rx#4とは、許容されるアンテナサイズ内においてできるだけ離す配置の方がより好適である。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。
また、図8Aでは、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から下方側にDTV離した位置であり、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から下方側にDRV離した位置である。しかし、本実施の形態では、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から上方側にDTV離した位置とし、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から上方側にDRV離した位置としてもよい。
また、本実施の形態では、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=4の場合を一例として説明したが、受信アンテナ数Naは4個に限定されない。例えば、第1のアンテナ群には少なくとも2個の送信アンテナ106が含まれ、第3のアンテナ群には少なくとも2個の受信アンテナ202が含まれればよい。よって、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数が2個以上、又は、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数が2個以上であれば、本実施の形態と同様に仮想受信アレーを配置でき、同様な効果が得られる。すなわち、本実施の形態における最小アンテナ構成は、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=3である。なお、後述する他のアンテナ配置についても、同様に、最小アンテナ構成は、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=3である。
例えば、仮想受信アレーにおけるHLAを構成する仮想アンテナ数は、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数と第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数との積に相当する。よって、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数、又は、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数が増加するほど、HLAを構成する仮想アンテナ数が増加し、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。
一例として、図9Aは、最小アンテナ構成となる送信アンテナ数Nt=3(Tx#1、Tx#2、Tx#3)及び受信アンテナ数Na=3(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の場合の配置を示し、図9Bは、図9Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図9Aにおいて、送信アレーアンテナは、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる複数の送信アンテナ(Tx#1、Tx#2)を含む第1のアンテナ群と、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナの垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置された第2のアンテナ(Tx#3)とから構成される。
また、受信アレーアンテナは、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる複数のアンテナ(Rx#1、Rx#2)を含む第3のアンテナ群と、第3のアンテナ群に含まれるアンテナの垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置された第4のアンテナ(Rx#3)とから構成される。
ここで、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1、Rx#2)の水平方向における素子間隔をDRHとし、第4のアンテナ(Rx#3)の水平位置を、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#2。図9Aの例では右端アンテナRx#2)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に間隔DRH離れた位置である。
また、図9Aにおいて、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2)の水平方向のアンテナ開口長DZと間隔DRHとを加算した間隔(DTH=Dz+DRH)である。
また、第2のアンテナ(Tx#3)の水平位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図9Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、水平方向に間隔DT2Hずらした位置である。
例えば、図9Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#3)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#2の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図9Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#3)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#2を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図9Aに示す第3のアンテナ群の場合、DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、図9Aにおいて、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からDTV離れた位置であり、第4のアンテナ(Rx#3)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2)の垂直位置からDTVとは異なる間隔であるDRV離れた位置である。
上述した図9Aに示すアンテナ配置によって構成される、図9Bに示す仮想受信アレー(仮想アンテナVA#1〜VA#9)の配置は以下のような特徴を有する。
図9Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された4個の仮想アンテナ(VA#1, VA#4, VA#2, VA#5)から成る水平方向仮想直線アレーアンテナHLAを含む構成となる。また、図9Bに示す仮想受信アレーは、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された3個のアンテナ(VA#2, VA#7, VA#6)から成る垂直方向仮想直線アレーアンテナVLAを含む構成となる。
図9Aに示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#3の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#3の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。同様に、図9Aに示すように、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#3の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#3の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。
さらに、図9Aに示す送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=3の限られたアンテナ数で、図9Bに示す仮想受信アレー配置(VA#1,…, VA#9)が、水平方向に直線上に4アンテナ(HLA)、垂直方向に直線上に3アンテナ(VLA)を含む配置となり、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
(実施の形態1のバリエーション1)
図8A又は図9Aでは、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナの垂直位置を配置する方向(下方側)と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向(下方側)とを一致させた場合について示した。しかし、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナの垂直位置を配置する方向と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向とを一致させなくてもよい。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。
図10Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図10Bは、図10Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図10Aでは、図8Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=3個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、3個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#3で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
また、図10Aでは、図8Aと同様、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)であり、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図10Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DRH離れた位置である。
また、図10Aでは、図8Aと同様、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DRHを加えた間隔(DZ+DRH)であり、第2のアンテナである送信アンテナTx#3の水平位置は、第1のアンテナ群に含まれる端部の送信アンテナ(Tx#1又はTx#2。図10Aの例ではTx#2)の水平位置から水平方向に内側に間隔DT2H=DRH離れた位置である。
また、図10Aにおいて、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から下方側にDTV離れた位置である。一方、図10Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から上方側にDRV離れた位置である。すなわち、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナの垂直位置を配置する方向と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向とは異なる。
例えば、図10Aでは、DTV=DRVである。ここで、図10Aにおいて、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。同様に、図10Aにおいて、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。この場合、図10Aにおいて、第2のアンテナ(Tx#3)は、第1のアンテナ群に対してマイナス方向に間隔DTV離れた位置に配置される一方、第4のアンテナ(Rx#4)は、第3のアンテナ群に対してプラス方向に間隔DRV離れた位置に配置されることになる。すなわち、DTV=DRVであっても、プラス方向/マイナス方向がそれぞれ異なるため、間隔DTV及び間隔DRVは、異なる間隔であると見なす。
また、DTV=DRVに限定されず、間隔DTV及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナの垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
この場合でも、図10Bに示す仮想受信アレーは、図8Bと同様、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(図8Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#4, VA#7, VA#2, VA#5, VA#8)から成るHLAを含む構成となる。また、図10Bに示す仮想受信アレーは、図8Bと同様、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された3個の仮想アンテナ(図10Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#10, VA#6)から成るVLAを含む構成となる。
なお、図10Bにおいて、VA#8とVA#12とは同一の位置に配置されるため、VA#12を括弧書きで示している。後述する他のアンテナ配置においても同様に、仮想受信アレーの配置において仮想アンテナが同一位置に重複して配置される場合にはこれらの仮想アンテナを括弧書きで示す。
また、DTV=DRVとすることで、図10Bに示すVLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。一方、2DTV=DRVとすることで、VLA内では、仮想アンテナが不等間隔で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる(図示せず)。
このような本バリエーションに係るアンテナ配置でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態1のバリエーション2)
図8Bでは、水平方向に等間隔(DRH)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(VA#1, VA#4, VA#7, VA#2, VA#5, VA#8)から成るHLAを含む構成について説明した。しかし、HLAは、等間隔に配置された仮想アンテナから構成される場合に限定されず、不等間隔に配置された仮想アンテナから構成されてもよい。
図11Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図11Bは、図11Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図11Aでは、図8Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=3個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、3個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#3で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図11Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは、図8Aと同様、一定(等間隔)である。一方、図11Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図11Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DH離れた位置とする。ここで、素子間隔DHは、間隔DRHと異なる値である。
また、図11Aにおいて、第2のアンテナである送信アンテナTx#3の水平位置は、図8Aと同様、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図11Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、内側に水平方向に間隔DT2Hずらした位置である。
例えば、図11Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図11Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図11Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、図11Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(DH)を加えた間隔(DZ+DH)である。
また、図11Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置であり、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からDTV離れた位置である。ここで、上述したように、間隔DTV及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナの垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図11Bは、一例として、図11AにおいてDH=1.5DRHとし、DTV=2DRVとした場合の仮想受信アレーの配置を示す。なお、DHとDRHとの関係及びDTVとDRVとの関係はこれらに限定されない。
図11Bに示す仮想受信アレーにおいて、HLAでは、6個の仮想アンテナ(図11Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#4, VA#7, VA#2, VA#5, VA#8)が水平方向に不等間隔(DH、DRH)でそれぞれ直線上に配置されている。また、図11Bに示すVLAでは、図8Bと同様、3個の仮想アンテナ(図11Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#10, VA#6)が垂直方向に等間隔(DRV)でそれぞれ直線上に配置されている。
ここで、DH=DRHとした場合には、図8Bと同様、HLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRH)で並ぶことになる。これにより、ピークサイドローブ比を低減することができる。
一方、DH>DRHとすることで、図11Bに示すように、HLA内では、仮想アンテナが不等間隔に直線上に並ぶ配置となり、HLAの開口長が拡がる。例えば、図8Bでは、HLAの開口長が5DRHであるのに対して、図11Bでは、HLAの開口長が5.5DRHに拡がっている。これにより、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。なお、間隔DHを拡げると、メインローブが狭まる一方、サイドローブレベルが上昇するというトレードオフの関係がある。
(実施の形態1のバリエーション3)
図8A、図10A及び図11Aでは、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向の素子間隔を一定(DRH)にする場合について説明したが、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向の素子間隔は不等間隔でもよい。この場合、仮想受信アレーのHLAは、実施の形態1のバリエーション2と同様、不等間隔に配置された仮想アンテナから構成される。
図12Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図12Bは、図12Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図12Aでは、図8Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=3個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、3個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#3で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図12Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔の最小値をDRHとする。図12Aでは、受信アンテナRx#1とRx#2との素子間隔がDRHであり、受信アンテナRx#2とRx#3との素子間隔が2DRHである。すなわち、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナRx#1〜Rx#3間の素子間隔は異なる。なお、第3のアンテナ群における素子間隔は、これらに限定されない。
また、図12Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図12Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に間隔DH離れた位置とする。ここで、素子間隔DHは、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔(DRH、2DRH)と同一でもよく、異なる値でもよい。
また、図12Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(DH)を加えた間隔(DZ+DH)である。
また、図12Aにおいて、第2のアンテナである送信アンテナTx#3の水平位置は、図8Aと同様、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図12Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、水平方向に内側に間隔DT2Hずらした位置である。
例えば、図12Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図12Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図12Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔2DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2Hとして用いてもよい。
また、図12Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置であり、第2のアンテナ(Tx#3)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からDTV離れた位置である。ここで、上述したように、間隔DTV及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナの垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図12Bは、一例として、図12AにおいてDH=1.5DRHとし、DTV=2DRVとした場合の仮想受信アレーの配置を示す。なお、DHとDRHとの関係及びDTVとDRVとの関係はこれらに限定されない。
図12Bに示す仮想受信アレーにおいて、HLAでは、6個の仮想アンテナ(図11Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#4, VA#7, VA#2, VA#5, VA#8)が水平方向に不等間隔(DH、DRH、2DRH)でそれぞれ直線上に配置されている。また、図12Bに示すVLAでは、図8Bと同様、3個の仮想アンテナ(図12Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#10, VA#6)が垂直方向に等間隔(DRV)でそれぞれ直線上に配置されている。
図12Bに示すHLA内では、仮想アンテナが不等間隔に直線上に並ぶ配置となり、HLAの開口長が拡がる。例えば、図8Bでは、HLAの開口長が5DRHであるのに対して、図12Bでは、HLAの開口長が7.5DRHに拡がっている。これにより、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。なお、第3のアンテナ群における素子間隔(図12Aでは2DH)を拡げると、メインローブが狭まる一方、サイドローブレベルが上昇するというトレードオフの関係がある。
以上、本実施の形態のバリエーション1〜3について説明した。
なお、図8A、図9A、図10A、図11A及び図12Aにおける送信アンテナ配置を受信アンテナ配置とし、受信アンテナ配置を送信アンテナ配置とした場合でも、図8B、図9B、図10B、図11B、図12Bに示す仮想受信アレーの配置と同様な構成が得られ、同様な効果を得ることができる。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。なお、この場合、送信アンテナ数Ntは3個以上となり、受信アンテナ数Naは3個以上となる。
また、上記実施の形態では、垂直方向において送信アンテナ及び受信アンテナが重ならないように配置される場合について説明したが、垂直方向以外の方向(例えば、水平方向)において送信アンテナ及び受信アンテナが重ならないように配置されてもよい。例えば、図8A、図10A、図11A及び図12Aにおいて、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナの配置を90°又は−90°回転した配置としてもよい。この場合、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、水平方向にアンテナが重ならない配置となる。これにより、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの水平方向のサイズを任意のサイズとすることができる。また、この場合、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=3以上の限られたアンテナ数によって、仮想受信アレーは、垂直方向に(第2のアンテナに含まれる送信アンテナ数+第4のアンテナに含まれる受信アンテナ数+1)個の仮想アンテナを並べることができ、水平方向に第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数と第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数との積の個数の仮想アンテナを直線上に並べることができ、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態1に係るレーダ装置10と基本構成が共通するので、図4を援用して説明する。
実施の形態1では、送信アレーアンテナが、第1のアンテナ群と、1つの送信アンテナ106から成る第2のアンテナとで構成される場合について説明した。これに対して、本実施の形態では、送信アレーアンテナが、第1のアンテナ群と、複数の送信アンテナ106を含む第「2のアンテナ群」によって構成される場合について説明する。
すなわち、本実施の形態では、Nt個の送信アンテナ106(送信アレーアンテナ)は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる複数の送信アンテナ106を含む「第1のアンテナ群」と、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ106の垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置された複数の送信アンテナ106を含む「第2のアンテナ群」とを含む。
また、本実施の形態では、Na個の受信アンテナ202(受信アレーアンテナ)は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる複数の受信アンテナ202を含む「第3のアンテナ群」と、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ202の垂直位置及び水平位置とは異なる位置に配置された受信アンテナ202である「第4のアンテナ」とを含む。
以下、本実施の形態における送受信アンテナの配置例について説明する。
図13Aは、送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図13Bは、図13Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
(1)送受信アンテナの配置
図13Aでは、送信アンテナ106の個数Nt=4個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、4個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#4で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図13Aにおいて、受信アンテナRx#1〜Rx#3は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第3のアンテナ群を構成する。具体的には、図13Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)である。
また、図13Aにおいて、受信アンテナRx#4は、第3のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第4のアンテナである。具体的には、図13Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図13Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DRH離れた位置である。
また、図13Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置である。
一方、図13Aにおいて、送信アンテナTx#1、Tx#2は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第1のアンテナ群を構成する。また、図13Aにおいて、送信アンテナTx#3、Tx#4は、第1のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第2のアンテナ群を構成する。
具体的には、図13Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DRHを加えた間隔(DZ+DRH)である。例えば、第1のアンテナ群の素子間隔DTHにおいて、アンテナ開口長DZに加える間隔DRHは、上述した第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(図13AではDRH)と等しい。
また、図13Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4の水平位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図13Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、内側に水平方向にそれぞれ間隔DT2H1、DT2H2ずらした位置である。
例えば、図13Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図13Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図13Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
すなわち、水平方向において、第3のアンテナ群(図13AではRx#1〜Rx#3)のうち、第4のアンテナ(Rx#4)の配置位置に近い側(第1の側。図13Aでは右側)と反対側(第2の側。図13Aでは左側)の端部に位置する受信アンテナ(図13AではRx#1)と、第3のアンテナ群に含まれる他の受信アンテナ(図13AではRx#2、Rx#3)の各々との素子間隔(図13AではDRH又は2DRH)は、水平方向において、第1のアンテナ群に含まれる隣接する送信アンテナTx#1、Tx#2のうちの上記第1の側と同じ側(図13Aでは右側)の送信アンテナTx#2と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3、Tx#4)の各々との素子間隔(図13Aでは2DRH、DRH)と同一である。
換言すると、水平方向において、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(図13AではTx#1、Tx#2)のうち一方の側(図13Aでは右側)の送信アンテナ(図13Aでは右端アンテナTx#2)と、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)の各々との素子間隔(図13AではDT2H1=2DRH、DT2H2=DRH)は、受信アレーアンテナにおける、第1のアンテナ群の上記一方の側と反対側(図13Aでは左側)の端部に位置する受信アンテナ(図13Aでは左端アンテナRx#1)と他の受信アンテナ(図13AではRx#2、Rx#3)との素子間隔(図13AではDRH又は2DRH)と、同一である。
また、図13Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からそれぞれDTV1、DTV2離れた位置である。
ここで、間隔DTV1、DTV2は、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間の垂直方向の間隔DRVと異なる間隔である。換言すると、間隔DTV1、DTV2及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3、Tx#4)の各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図13Aに示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#4の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#4の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。同様に、図13Aに示すように、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の配置は、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。
(2)仮想受信アレーの配置
上述した図13Aに示すアンテナ配置によって構成される、図13Bに示す仮想受信アレー(仮想アンテナVA#1〜VA#16)の配置は以下のような特徴を有する。
図13Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(図13Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#5, VA#9, VA#2, VA#6, VA#10)から成る水平方向仮想直線アレーアンテナHLAを含む構成となる。図13Bに示すHLAは、図13Aにおいて水平方向に素子間隔DTHによって配置された第1のアンテナ群に含まれる2つの送信アンテナTx#1,Tx#2と、水平方向に素子間隔DRHによって配置された第3のアンテナ群に含まれる3つの受信アンテナRx#1, Rx#2, Rx#3との水平位置関係から得られる。具体的には、水平方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、第1のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図13Aでは2個)と第3のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図13Aでは3個)との積(図13Aでは6個)となる関係を有する。
また、図13Aでは、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔はDRHで等しい。また、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ間の素子間隔(DRH)と、水平方向における第3のアンテナ群と第4のアンテナ(Rx#4)との間隔(DRH)とは等しい。これにより、図13Bに示す仮想受信アレーのHLAにおいて、6個の仮想アンテナは、水平方向にそれぞれ直線上に等間隔に配置される。
また、図13Bに示す仮想受信アレーは、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された4個の仮想アンテナ(図13Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#13, VA#8, VA#11)から成る垂直方向仮想直線アレーアンテナVLAを含む構成となる。垂直方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、「(第2のアンテナに含まれるアンテナ数)+(第4のアンテナに含まれるアンテナ数)+1」(図13Bでは4個)となる関係を有する。
VLAでは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置を基準として、DTV1、DTV2、DRVの小さい順に仮想アンテナが並ぶ配置となる。例えば、DTV1>DTV2>DRVの場合、VLA内の仮想アンテナの素子間隔はDRV、(DTV2―DRV)、(DTV1―DTV2)となる。また、DTV2>DTV1>DRVの場合、VLA内の仮想アンテナの素子間隔はDRV、(DTV1―DRV)、(DTV2―DTV1)となる。
ここで、DTV1=2DRV、DTV2=3DRV、又は、DTV1=3DRV、DTV2=2DRVとすることで、VLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。また、DRV=2DTV1、DTV2=3DTV1とすることで、VLA内では、仮想アンテナが等間隔(DTV1)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。また、DRV=2DTV2、DTV1=3DTV2とすることで、VLA内では、仮想アンテナが等間隔(DTV2)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。
図13Bは、一例として、DTV1=3DRV、DTV1=2DRVの例(つまり、DTV1>DTV2>DRVの場合)を示す。すなわち、図13Bでは、VLAにおいて、VA#2、VA#13、VA#8、VA#11は、等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。これにより、垂直方向においてピークサイドローブ比を低減することができる。
すなわち、垂直方向において第1のアンテナ群の位置と第3のアンテナ群の位置とを同一とした場合における、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)(又は第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3))と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3、Tx#4)の各々と、第4のアンテナ(RX#4)と、の間隔はそれぞれ等間隔でもよく、不等間隔でもよい。
例えば、DTV1>DTV2>DRVの場合に、VLA内の仮想アンテナの素子間隔をDRV、(DTV2―DRV )>DRV、(DTV1―DTV2)>DRVとなるように配置すると、VLAは不等間隔アレーとなる。VLAを不等間隔アレーとすることで、VLAの開口長を拡げることができるため、メインローブが狭まり、垂直方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。
ここで、式(4)及び式(7)、図13Bに示すように、VA#1の位置(垂直位置、水平位置)を基準位置(0,0)として、VLAを構成する仮想アンテナVA#2は、受信アンテナRx#1と送信アンテナTx#2との関係により得られ、VLAを構成する仮想アンテナVA#8は、受信アンテナRx#2と送信アンテナTx#4との関係により得られ、VLAを構成する仮想アンテナVA#11は、受信アンテナRx#3と送信アンテナTx#3との関係により得られ、VLAを構成する仮想アンテナVA#13は、受信アンテナRx#4と送信アンテナTx#1との関係により得られる。
このとき、実施の形態1で説明したように、第1のアンテナ群の素子間隔DTHを、第3のアンテナ群の開口長DZと、水平方向における第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間隔DRHとの和、つまり、受信アレーアンテナの水平方向の開口長と等しくすることにより、VLAを構成する仮想アンテナVA#2、VA#13は、同一の水平位置に配置され、かつ、垂直方向に並んで配置される。
また、水平方向において、第1のアンテナ群の右端部(図13Aでは右端アンテナTx#2)と第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3との素子間隔DT2H1は、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群の他の受信アンテナRx#3との素子間隔2DRHと等しい。これにより、Rx#1とTx#2との関係から得られる仮想アンテナVA#2の水平位置と、Rx#3とTx#3との関係から得られる仮想アンテナVA#11の水平位置とが同一(図13Bでは基準位置から3DRHの位置)となる。同様に、水平方向において、第1のアンテナ群の右端部(図13Aでは右端アンテナTx#2)と第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#4との素子間隔DT2H2は、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群の他の受信アンテナRx#2との素子間隔DRHと等しい。これにより、Rx#1とTx#2との関係から得られる仮想アンテナVA#2の水平位置と、Rx#2とTx#4との関係から得られる仮想アンテナVA#8の水平位置とが同一(図13Bでは基準位置から3DRHの位置)となる。
また、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置を基準位置としたとき、送信アンテナTx#3、Tx#4、受信アンテナRx#4の垂直位置は、それぞれ、DTV1、DTV2、DRV異なる。よって、仮想受信アレーにおいても、VA#2の垂直位置に対して、VA#8、VA#13、V#11の垂直位置は、それぞれ、DTV1、DTV2、DRV異なる。
以上より、VLAを構成するVA#2、VA#13、VA#8、VA#11は、同一の水平位置かつ異なる垂直位置に配置されることになる。
このように、図13Aに示す送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4の限られたアンテナ数で、図13Bに示す仮想受信アレー(VA#1,…, VA#16)の配置が、水平方向に直線上に6アンテナ(HLA)、垂直方向に直線上に4アンテナ(VLA)を含む配置となり、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
方向推定部214は、上述した送受信アンテナの配置(図13Aを参照)から得られる仮想受信アレー(図13Bを参照)の受信信号を用いて、実施の形態1と同様にして、水平方向及び垂直方向の方向推定処理を行う。
以上のように、図13Aに示すアレー配置を用いることで、レーダ装置10(MIMOレーダ)において垂直方向にアンテナが重ならないので、垂直方向において任意のサイズのサブアレーアンテナを用いることができる。また、図13Aに示すアレー配置を用いることで、図13Bに示す仮想受信アレーの水平方向及び垂直方向によって構成される開口面を最大化することができる。
また、本実施の形態では、送信アレーアンテナにおいて複数の送信アンテナ106を第2のアンテナ群に含めることにより、実施の形態1と比較して、仮想受信アレーにおいてVLA内の仮想アンテナ数、つまり、垂直方向における開口長を増加させることができる。
よって、本実施の形態によれば、レーダ装置10は、MIMOレーダを用いて垂直方向及び水平方向の2次元でのビーム走査を行う場合に、垂直方向及び水平方向の仮想受信アレーの開口長を最大限拡大することができ、垂直方向及び水平方向において高分解能測角が可能となる。すなわち、本実施の形態では、レーダ装置の検出性能を劣化させずに、垂直方向及び水平方向の仮想受信アレーの開口長を最大限拡大し、少ないアンテナ素子数による角度分解能の向上を可能とする。
なお、図13Aにおいて、送信アンテナTx#1〜Tx#4と、受信アンテナRx#1〜Rx#4との間隔は、仮想受信アレーの配置には影響しない。ただし、送信アンテナTx#1〜Tx#4と受信アンテナRx#1〜Rx#4とが近接することにより送受信アンテナ間の結合度が高まるので、送信アンテナTx#1〜Tx#4と受信アンテナRx#1〜Rx#4とは、許容されるアンテナサイズ内においてできるだけ離す配置の方がより好適である。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。
また、図13A(及び後述する図14A、図15、図16、図17A及び図18Aの配置も含まれる)では、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4の場合を一例に説明を行ったが、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4に限定されない。本実施の形態では、例えば、第2のアンテナ群には、少なくとも2個の送信アンテナが含まれ、第3のアンテナ群には、少なくとも3個の受信アンテナが含まれれば、上記実施の形態と同様な効果が得られる。また、第1のアンテナ群には、少なくとも2個の送信アンテナが含まれればよい。すなわち、本実施の形態における最小アンテナ構成は、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4である。なお、後述する他のアンテナ配置についても、同様に、最小アンテナ構成は、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4である。
例えば、仮想受信アレーにおけるHLAを構成する仮想アンテナ数は、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数と第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数との積に相当する。よって、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数、又は、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数が増加するほど、HLAを構成する仮想アンテナ数が増加し、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。
同様に、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナの数が増加すると、仮想受信アレーにおけるVLAを構成する仮想アンテナ数が増加し、垂直方向のメインローブが狭まり、垂直方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。
(実施の形態2のバリエーション1)
図13Aでは、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナ群の垂直位置を配置する方向(下方側)と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向(下方側)を一致させた場合について示した。しかし、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナ群の垂直位置を配置する方向と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向とを一致させなくてもよい。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。
図14Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図14Bは、図14Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図14Aでは、図13Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=4個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、4個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#4で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
また、図14Aでは、図13Aと同様、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)であり、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図14Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DRH離れた位置である。
また、図14Aでは、図13Aと同様、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DRHを加えた間隔(DZ+DRH)であり、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4の水平位置は、第1のアンテナ群に含まれる端部の送信アンテナ(Tx#1又はTx#2。図14Aの例ではTx#2)の水平位置から水平方向に内側にそれぞれ間隔DT2H1(=2DRH)、DT2H2(=DRH)離れた位置である。
また、図14Aにおいて、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から下方側にそれぞれDTV1、DTV2離れた位置である。一方、図14Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から上方側にDRV離れた位置である。すなわち、第1のアンテナ群の垂直位置に対して第2のアンテナの垂直位置を配置する方向と、第3のアンテナ群の垂直位置に対して第4のアンテナの垂直位置を配置する方向とは異なる。
例えば、図14Aでは、DTV1=2DRV、DTV2=DRVである。ここで、図14Aにおいて、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。同様に、図14Aにおいて、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。この場合、図14Aにおいて、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)は、第1のアンテナ群に対してマイナス方向に間隔DTV1、DTV2離れた位置に配置される一方、第4のアンテナ(Rx#4)は、第3のアンテナ群に対してプラス方向に間隔DRV離れた位置に配置されることになる。すなわち、DTV2=DRVであっても、プラス方向/マイナス方向がそれぞれ異なるため、間隔DTV2及び間隔DRVは、異なる間隔であると見なす。
また、ただし、DTV1=2DRV、DTV2=DRVに限定されず、間隔DTV1、DTV2及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群の送信アンテナの各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
この場合でも、図14Bに示す仮想受信アレーは、図13Bと同様、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(図14Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#5, VA#9, VA#2, VA#6, VA#10(VA#16))から成るHLAを含む構成となる。
また、図14Bに示す仮想受信アレーは、図13Bと同様、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された4個の仮想アンテナ(図14Bに示す破線で囲まれた、VA#13, VA#2, VA#8, VA#11)から成るVLAを含む構成となる。
図14A及び図14Bに示すように、第2のアンテナ群の垂直位置を第1のアンテナ群の垂直位置から下方側に離して配置した場合、VLAは、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として下方側にDTV1(=2DRV)、DTV2(=DRV)離れた位置にそれぞれ配置された仮想アンテナを含む。また、図14A及び図14Bに示すように、第3のアンテナの垂直位置を第3のアンテナ群の垂直位置から上方側に離して配置した場合、VLAは、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として上方側にDRV離れた位置に配置された仮想アンテナを含む。
ここで、DTV1=2DRV、DTV2=DRVとすることで、図14Bに示すVLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる。
なお、垂直方向において、第1のアンテナ群の垂直位置に対する第2のアンテナ群の各送信アンテナ106が配置される垂直位置、及び、第3のアンテナ群の垂直位置に対する第4のアンテナが配置される垂直位置は、図14Aに示す例に限定されない。
例えば、図15に示すアンテナ配置例では、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)のうち、Tx#3の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から下方側(マイナス方向)にDTV1離して配置され、Tx#4の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から上方側(プラス方向)にDTV2離して配置される。また、図15では、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から下方側(マイナス方向)にDRV離して配置される。この場合、図15のアンテナ配置から得られる仮想受信アレーにおけるVLA(図示せず)は、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として下方側にDTV1離れ、上方側にDTV2離れた位置にそれぞれ配置された仮想アンテナ、及び、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として下方側にDRV離れた位置に配置された仮想アンテナを含む。また、例えば、DTV1=2DRV、DTV2=DRVとすることで、図15のアンテナ配置から得られる仮想受信アレーにおけるVLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる(図示せず)。
また、例えば、図16に示すアンテナ配置では、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)の垂直位置を第1のアンテナ群の垂直位置から上方側(プラス方向)にそれぞれDTV1、DTV2離して配置し、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置を第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置から下方側(マイナス方向)にDRV離して配置してもよい。この場合、図16のアンテナ配置から得られる仮想受信アレーにおけるVLA(図示せず)は、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として上方側にDTV1、DTV2離れた位置にそれぞれ配置された仮想アンテナ、及び、第1のアンテナ群の垂直位置を基準として下方側にDRV離れた位置に配置された仮想アンテナを含む。また、例えば、DTV1=2DRV、DTV2=DRVとすることで、図16のアンテナ配置から得られる仮想受信アレーにおけるVLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRV)で垂直方向に直線上に並ぶ配置となる(図示せず)。
このような本バリエーションに係るアンテナ配置でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2のバリエーション2)
図13Bでは、水平方向に等間隔(DRH)でそれぞれ直線上に配置された6個の仮想アンテナ(VA#1, VA#5, VA#9, VA#2, VA#6, VA#10)から成るHLAを含む構成について説明した。しかし、HLAは、等間隔に配置された仮想アンテナから構成される場合に限定されず、不等間隔に配置された仮想アンテナから構成されてもよい。
図17Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図17Bは、図17Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図17Aでは、図13Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=4個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、3個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#4で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図17Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは、図13Aと同様、一定(等間隔)である。一方、図17Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図17Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DH離れた位置とする。ここで、素子間隔DHは、間隔DRHと異なる値である。
また、図17Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4の水平位置は、図13Aと同様、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図17Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、内側に水平方向にそれぞれ間隔DT2H1、DT2H2ずらした位置である。
例えば、図17Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図17Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図17Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、図17Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(DH)を加えた間隔(DZ+DH)である。
また、図17Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置であり、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からそれぞれDTV1、DTV2離れた位置である。ここで、上述したように、間隔DTV1、DTV2及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3、Tx#4)の各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図17Bは、一例として、図17AにおいてDH=1.5DRHとし、DTV1=3DRV、DTV2=2DRVとした場合の仮想受信アレーの配置を示す。なお、DHとDRHとの関係及びDTV1、DTV2とDRVとの関係はこれらに限定されない。
図17Bに示す仮想受信アレーにおいて、HLAでは、6個の仮想アンテナ(図17Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#5, VA#9, VA#2, VA#6, VA#10)が水平方向に不等間隔(DH、DRH)でそれぞれ直線上に配置されている。また、図17Bに示すVLAでは、図13Bと同様、4個の仮想アンテナ(図17Bに示す破線で囲まれた、VA#2, VA#13, VA#8, VA#11)が垂直方向に等間隔(DRV)でそれぞれ直線上に配置されている。
ここで、DH=DRHとした場合には、図13Bと同様、HLA内では、仮想アンテナが等間隔(DRH)で並ぶことになる。これにより、ピークサイドローブ比を低減することができる。
一方、DH>DRHとすることで、図17Bに示すように、HLA内では、仮想アンテナが不等間隔に直線上に並ぶ配置となり、HLAの開口長が拡がる。例えば、図13Bでは、HLAの開口長が5DRHであるのに対して、図17Bでは、HLAの開口長が5.5DRHに拡がっている。これにより、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。なお、間隔DHを拡げると、メインローブが狭まる一方、サイドローブレベルが上昇するというトレードオフの関係がある。
(実施の形態1のバリエーション3)
図13A、図14A、図15、図16及び図17Aでは、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向の素子間隔を一定(DRH)にする場合について説明したが、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナ(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向の素子間隔は不等間隔でもよい。この場合、仮想受信アレーのHLAは、実施の形態2のバリエーション2と同様、不等間隔に配置された仮想アンテナから構成される。
図18Aは、本バリエーションにおける送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置例を示す。また、図18Bは、図18Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。
図18Aでは、図13Aと同様、送信アンテナ106の個数Nt=4個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とする。また、4個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#4で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図18Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔の最小値をDRHとする。図18Aでは、受信アンテナRx#1とRx#2との素子間隔がDRHであり、受信アンテナRx#2とRx#3との素子間隔が2DRHである。すなわち、第3のアンテナ群に含まれる複数の受信アンテナRx#1〜Rx#3間の素子間隔は異なる。なお、第3のアンテナ群における素子間隔は、これらに限定されない。
また、図18Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図12Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に間隔DH離れた位置とする。ここで、素子間隔DHは、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔(DRH、2DRH)と同一でもよく、異なる値でもよい。
また、図18Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔DH(図18Aでは、DH=DRH)を加えた間隔(DZ+DH)である。
また、図18Aにおいて、第2のアンテナである送信アンテナTx#3、Tx#4の水平位置は、図13Aと同様、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図18Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、水平方向に内側にそれぞれ間隔DT2H1、DT2H2ずらした位置である。
例えば、図18Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(図18Aでは右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図18Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(図18Aでは左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図18Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔2DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、図18Aにおいて、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。同様に、図18Aにおいて、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置を基準として上方向を「プラス方向」とし、下方向を「マイナス方向」とする。この場合、図18Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置から上側(プラス方向)にDRV離れた位置であり、第2のアンテナ群(Tx#3、Tx#4)の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置から下側(マイナス方向)にDTV1、DTV2離れた位置である。ただし、上述したように、間隔DTV1、DTV2及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1、Rx#2、Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3、Tx#4)の各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図18Bは、一例として、図18AにおいてDH=1.5DRHとし、DTV1=2DRV、DTV2=DRVとした場合の仮想受信アレーの配置を示す。なお、DHとDRHとの関係及びDTV1、DTV2とDRVとの関係はこれらに限定されない。
図18Bに示す仮想受信アレーにおいて、HLAでは、6個の仮想アンテナ(図18Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#5, VA#9, VA#2, VA#6, VA#10(VA#16))が水平方向に不等間隔(DRH、2DRH)でそれぞれ直線上に配置されている。また、図18Bに示すVLAでは、図13Bと同様、4個の仮想アンテナ(図18Bに示す破線で囲まれた、VA#13、VA#2, VA#8, VA#11)が垂直方向に等間隔(DRV)でそれぞれ直線上に配置されている。
図18Bに示すHLA内では、仮想アンテナが不等間隔に直線上に並ぶ配置となり、HLAの開口長が拡がる。例えば、図13Bでは、HLAの開口長が5DRHであるのに対して、図18Bでは、HLAの開口長が7DRHに拡がっている。
これにより、水平方向のメインローブが狭まり、水平方向の角度分離性能が向上する効果が得られる。なお、第3のアンテナ群における素子間隔(図18Aでは2DH)を拡げると、メインローブが狭まる一方、サイドローブレベルが上昇するというトレードオフの関係がある。
以上、本実施の形態のバリエーション1〜3について説明した。
なお、図13A、図14A、図15、図16、図17A及び図18Aにおける送信アンテナ配置を受信アンテナ配置とし、受信アンテナ配置を送信アンテナ配置とした場合でも、図13B、図14B、図17B及び図18Bに示す仮想受信アレーの配置(図15、図16に対応する仮想受信アレーは図示せず)と同様な構成が得られ、同様な効果を得ることができる。このことは、後述する他のアンテナ配置においても同様である。なお、この場合、送信アンテナ数Ntは4個以上となり、受信アンテナ数Naは4個となる。
また、上記実施の形態では、垂直方向において送信アンテナ及び受信アンテナが重ならないように配置される場合について説明したが、垂直方向以外の方向(例えば、水平方向)において送信アンテナ及び受信アンテナが重ならないように配置されてもよい。例えば、図13A、図14A、図15、図16、図17A及び図18Aにおいて、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナの配置を90°又は−90°回転した配置としてもよい。この場合、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、水平方向にアンテナが重ならない配置となる。これにより、送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの水平方向のサイズを任意のサイズとすることができる。また、この場合、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=4以上の限られたアンテナ数によって、仮想受信アレーは、垂直方向に(第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数+第4のアンテナに含まれる受信アンテナ数+1)個の仮想アンテナを並べることができ、水平方向に第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数と第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数との積の個数の仮想アンテナを直線上に並べることができ、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
以上、本開示の一態様に係る実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態、及び、各バリエーションに係る動作を適宜組み合わせて実施してもよい。
[他の実施の形態]
(1)送信アンテナ数Ntは3素子又は4素子に限らず、受信アンテナ数Naは3素子又は4素子に限らない。例えば、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数をn個(1以上の整数)とした場合、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ数を少なくとも(n+1)個とすればよい。
一例として、送信アンテナNt=5、受信アンテナ数Na=5の場合について説明する。
図19Aは、送信アンテナ106の個数Nt=5個とし、受信アンテナ202の個数Na=5個とした場合のアンテナ配置例を示す。図19Bは、図19Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。5個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#5で表し、5個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#5で表す。
図19Aにおいて、受信アンテナRx#1〜Rx#4は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第3のアンテナ群を構成する。具体的には、図19Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#4の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)である。
また、図19Aにおいて、受信アンテナRx#5は、第3のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第4のアンテナである。具体的には、図19Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#5の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#4。図19Aの例では右端アンテナRx#4)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DH離れた位置である。ここで、素子間隔DHは、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ(Rx#1〜Rx#4)間の素子間隔(DRH)と同一でもよく、異なる値でもよい。
また、図19Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#5)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#4)の垂直位置からDRV離れた位置である。
一方、図19Aにおいて、送信アンテナTx#1、Tx#2は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第1のアンテナ群を構成する。また、図19Aにおいて、送信アンテナTx#3、Tx#4、Tx#5は、第1のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第2のアンテナ群を構成する。
具体的には、図19Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2の水平方向の素子間隔DTHは、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#4)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DHを加えた間隔(DZ+DH)である。図19Aでは、第1のアンテナ群の素子間隔DTHにおいて、アンテナ開口長DZに加える間隔DHは、上述した第3のアンテナ群と第4のアンテナとの水平方向の間隔(DRH)と等しい。
また、図19Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4、Tx#5の水平位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図19Aでは端点のアンテナTx#1とTx#2との水平位置の内側の範囲内)において、内側に水平方向にそれぞれ間隔DT2H1、DT2H2、DT2H3ずらした位置である。
例えば、図19Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#5)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#4の水平位置より外側(図19Aでは右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図19Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、Rx#1とRx#3との間隔2DRH、又は、Rx#1とRx#3との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#2の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2、DT2H3として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(図19Aでは左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#4を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図19Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#4とRx#3との間隔DRH、Rx#4とRx#2との間隔2DRH、又は、Rx#4とRx#1との間隔3DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2、DT2H3として用いてもよい。
また、図19Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#3、Tx#4、Tx#5の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置からそれぞれDTV1、DTV2、DTV3離れた位置である。
ここで、間隔DTV1、DTV2、DTV3は、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間の垂直方向の間隔DRVと異なる間隔である。換言すると、間隔DTV1、DTV2、DTV3及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#4)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#3〜Tx#5)の各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図19Aに示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#5の配置は、上記実施の形態と同様、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#5の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。同様に、図19Aに示すように、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#5の配置は、上記実施の形態と同様、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#5の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。
上述した図19Aに示すアンテナ配置によって構成される、図19Bに示す仮想受信アレー(仮想アンテナVA#1〜VA#25)の配置は以下のような特徴を有する。
図19Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された8個の仮想アンテナ(図19Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#6, VA#11, VA#16, VA#2, VA#7(VA#23), VA#12, VA#17)から成る水平方向仮想直線アレーアンテナHLAを含む構成となる。すなわち、水平方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、第1のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図19Aでは2個)と第3のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図19Aでは4個)との積(図19Aでは8個)となる関係を有する。
また、図19Bに示す仮想受信アレーは、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された5個の仮想アンテナ(図19Bに示す破線で囲まれた、VA#21, VA#10, VA#2, VA#14, VA#18)から成る垂直方向仮想直線アレーアンテナVLAを含む構成となる。垂直方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、「(第2のアンテナに含まれるアンテナ数)+(第4のアンテナに含まれるアンテナ数)+1」(図19Bでは5個)となる関係を有する。
このように、図19Aに示す送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、送信アンテナ数Nt=5、受信アンテナ数Na=5の限られたアンテナ数で、図19Bに示す仮想受信アレー(VA#1,…, VA#25)の配置が、水平方向に直線上に8アンテナ(HLA)、垂直方向に直線上に5アンテナ(VLA)を含む配置となり、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
(2)上記実施の形態では、送信アレーアンテナの第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数が2個(Tx#1、Tx#2)の場合について説明したが、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナ数は3個以上でもよい。
一例として、送信アンテナNt=5、受信アンテナ数Na=4の場合について説明する。
図20Aは、送信アンテナ106の個数Nt=5個とし、受信アンテナ202の個数Na=4個とした場合のアンテナ配置例を示す。図20Bは、図20Aに示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置を示す。5個の送信アンテナ106をTx#1〜Tx#5で表し、4個の受信アンテナ202をRx#1〜Rx#4で表す。
図20Aにおいて、受信アンテナRx#1〜Rx#3は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第3のアンテナ群を構成する。具体的には、図20Aにおいて、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナRx#1〜Rx#3の水平方向の素子間隔DRHは一定(等間隔)である。なお、第3のアンテナ群における素子間隔は、これらに限定されない。
また、図20Aにおいて、受信アンテナRx#4は、第3のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第4のアンテナである。具体的には、図20Aにおいて、第4のアンテナである受信アンテナRx#4の水平位置は、第3のアンテナ群に含まれる端部の受信アンテナ(左端アンテナRx#1又は右端アンテナRx#3。図20Aの例では右端アンテナRx#3)の水平位置よりも水平方向に外側(右側)に素子間隔DH離れた位置である。ここで、素子間隔DHは、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔(DRH)と同一でもよく、異なる値でもよい。図20Aでは、DH=DRHである。
また、図20Aにおいて、第4のアンテナ(Rx#4)の垂直位置は、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置からDRV離れた位置である。
一方、図20Aにおいて、送信アンテナTx#1、Tx#2、Tx#4は、垂直位置が同一であり、水平位置が異なる第1のアンテナ群を構成する。また、図20Aにおいて、送信アンテナTx#4、Tx#5は、第1のアンテナ群が配置された水平位置及び垂直位置の双方と異なる位置に配置された第2のアンテナ群を構成する。
具体的には、図20Aにおいて、第1のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#1、Tx#2、Tx#3の水平方向の素子間隔DTHは、それぞれ、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の水平方向のアンテナ開口長DZに、間隔DHを加えた間隔(DZ+DH)である。ここで、素子間隔DHは、第3のアンテナ群に含まれる受信アンテナ(Rx#1〜Rx#3)間の素子間隔(DRH、2DRH)と同一でもよく、異なる値でもよい。図20Aでは、DH=DRHである。なお、第1のアンテナ群において、少なくとも1組の隣接する送信アンテナ106において間隔DTHであればよく、他の隣接する送信アンテナ106の素子間隔は、間隔DTHと異なってもよい。
また、図20Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#4、Tx#5の水平位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2、Tx#3)の何れかのアンテナの水平位置から、第1のアンテナ群の水平方向の開口の範囲内(図20Aでは端点のアンテナTx#1とTx#3との水平位置の内側の範囲内)において、内側に水平方向にそれぞれ間隔DT2H1、DT2H2ずらした位置である。図20Aでは、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#4、Tx#5は、Tx#3の水平位置から左側に間隔2DRH、DRHずらした位置に配置されている。
例えば、図20Aに示すように、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3の水平位置より外側(図20Aでは右側)にある場合、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(図20Aの場合、Rx#1とRx#2との間隔DRH、Rx#1とRx#3との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の右端アンテナTx#3(又は端点ではないアンテナTx#2)の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、第4のアンテナ(Rx#4)の水平位置が、第3のアンテナ群の左端アンテナRx#1の水平位置より外側(図20Aでは左側)にある場合(図示せず)、第3のアンテナ群の右端アンテナRx#3を基準とした第3のアンテナ群におけるアンテナ間の素子間隔(例えば、図20Aに示す第3のアンテナ群の場合、Rx#3とRx#2との間隔DRH、又は、Rx#3とRx#1との間隔2DRH)を、第1のアンテナ群の左端アンテナTx#1(又は端点ではないアンテナTx#2)の水平位置からの間隔DT2H1、DT2H2として用いてもよい。
また、図20Aにおいて、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナTx#4、Tx#5の垂直位置は、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2、Tx#3)の垂直位置からそれぞれDTV1、DTV2離れた位置である。
ここで、間隔DTV1、DTV2は、第3のアンテナ群と第4のアンテナとの間の垂直方向の間隔DRVと異なる間隔である。換言すると、間隔DTV1、DTV2及び間隔DRVは、第1のアンテナ群(Tx#1、Tx#2、Tx#3)の垂直位置と、第3のアンテナ群(Rx#1〜Rx#3)の垂直位置と、を同一とした場合(仮に一致させた場合)に、第1のアンテナ群及び第3のアンテナ群の垂直位置(基準位置)と、第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナ(Tx#4、Tx#5)の各々の垂直位置と、第4のアンテナの垂直位置と、がそれぞれ異なる位置となるように(重ならないように)設定されればよい。
図20Aに示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#5の配置は、上記実施の形態と同様、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナTx#1〜Tx#5の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。同様に、図20Aに示すように、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の配置は、上記実施の形態と同様、垂直方向にアンテナが重ならない配置である。このため、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナRx#1〜Rx#4の垂直方向のサイズは、任意のサイズとすることができる。
上述した図20Aに示すアンテナ配置によって構成される、図20Bに示す仮想受信アレー(仮想アンテナVA#1〜VA#20)の配置は以下のような特徴を有する。
図20Bに示す仮想受信アレーは、水平方向に素子間隔DRH(等間隔)でそれぞれ直線上に配置された9個の仮想アンテナ(図20Bに示す破線で囲まれた、VA#1, VA#6, VA#11, VA#2, VA#7, VA#12(VA#20), VA#3, VA#8, VA#13(VA#20))から成る水平方向仮想直線アレーアンテナHLAを含む構成となる。すなわち、水平方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、第1のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図20Aでは3個)と第3のアンテナ群に含まれるアンテナ数(図20Aでは3個)との積(図20Aでは9個)となる関係を有する。
また、図20Bに示す仮想受信アレーは、垂直方向にそれぞれ直線上に配置された4個の仮想アンテナ(図20Bに示す破線で囲まれた、VA#17, VA#3, VA#10, VA#14)から成る垂直方向仮想直線アレーアンテナVLAを含む構成となる。垂直方向に直線上に仮想アンテナが並ぶ個数は、「(第2のアンテナに含まれるアンテナ数)+(第4のアンテナに含まれるアンテナ数)+1」(図20Bでは4個)となる関係を有する。
このように、図20Aに示す送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、送信アンテナ数Nt=5、受信アンテナ数Na=4の限られたアンテナ数で、図20Bに示す仮想受信アレー(VA#1,…, VA#20)の配置が、水平方向に直線上に9アンテナ(HLA)、垂直方向に直線上に4アンテナ(VLA)を含む配置となり、仮想受信アレーの開口長を最大限に拡げることができる。
(3)上記実施の形態では、符号化パルスレーダを用いる場合について説明したが、本開示は、チャープ(Chirp)パルスレーダのような周波数変調したパルス波を用いたレーダ方式についても適用可能である。
(4)図4に示すレーダ装置10において、レーダ送信部100及びレーダ受信部200は、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。
(5)レーダ装置10は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)等の作業用メモリを有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。但し、レーダ装置10のハードウェア構成は、かかる例に限定されない。例えば、レーダ装置10の各機能部は、集積回路であるIC(Integrated Circuit)として実現されてもよい。各機能部は、個別に1チップ化されてもよいし、その一部または全部を含むように1チップ化されてもよい。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
<本開示のまとめ>
本開示のレーダ装置は、送信アレーアンテナを用いてレーダ信号を送信するレーダ送信部と、受信アレーアンテナを用いて、前記レーダ信号がターゲットにおいて反射された反射波信号を受信するレーダ受信部と、を具備し、前記送信アレーアンテナは、第1の方向に配置される複数の送信アンテナを含む第1のアンテナ群と、前記第1の方向において前記第1のアンテナ群における少なくとも1組の隣接する送信アンテナの内側の位置、かつ、前記第1の方向と直交する第2の方向において前記第1のアンテナ群と異なる位置に配置される、少なくとも1つの送信アンテナを含む第2のアンテナ群と、から構成され、前記受信アレーアンテナは、前記第1の方向に配置される複数の受信アンテナを含む第3のアンテナ群と、前記第1の方向において前記第3のアンテナ群の端部よりも外側の位置、かつ、前記第2の方向において前記第3のアンテナ群と異なる位置に配置される1つの受信アンテナである第4のアンテナと、から構成され、前記第1の方向において、前記隣接する送信アンテナの素子間隔は、前記第3のアンテナ群の開口長と、前記第1の方向における前記第3のアンテナ群と前記第4のアンテナとの間隔と、の和であり、前記第3のアンテナ群のうち、前記第4のアンテナの配置位置に近い第1の側と反対側の第2の側の端部に位置する受信アンテナと前記第3のアンテナ群に含まれる他の受信アンテナの各々との前記第1の方向の素子間隔は、前記第1の方向において、前記隣接する送信アンテナにおける前記第1の側と同じ側の送信アンテナと、前記第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナの各々との前記第1の方向の素子間隔と同一であり、前記第2の方向において前記第1のアンテナ群の位置と前記第3のアンテナ群の位置とを同一とした場合における、前記第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナの各々の前記第2の方向の位置、及び、前記第4のアンテナの前記第2の方向の位置はそれぞれ異なる。
本開示のレーダ装置において、前記第3のアンテナ群に含まれる前記複数の受信アンテナ間の素子間隔は等しい。
本開示のレーダ装置において、前記第3のアンテナ群に含まれる前記複数の受信アンテナ間の素子間隔と、前記第1の方向における前記第3のアンテナ群と前記第4のアンテナとの間隔と、は等しい。
本開示のレーダ装置において、前記第3のアンテナ群に含まれる前記複数の受信アンテナ間の素子間隔は異なる。
本開示のレーダ装置において、前記第3のアンテナ群に含まれる前記複数の受信アンテナ間の素子間隔と、前記第1の方向における前記第3のアンテナ群と前記第4のアンテナとの間隔と、は異なる。
本開示のレーダ装置において、前記第2の方向において前記第1のアンテナ群の位置と前記第3のアンテナ群の位置とを同一とした場合に、前記第1のアンテナ群と、前記第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナの各々と、前記第4のアンテナと、における前記第2の方向の隣接するアンテナの素子間隔は等間隔である。
本開示のレーダ装置において、前記第2の方向において前記第1のアンテナ群の位置と前記第3のアンテナ群の位置とを同一とした場合に、前記第1のアンテナ群と、前記第2のアンテナ群に含まれる送信アンテナの各々と、前記第4のアンテナと、における前記第2の方向の隣接するアンテナの素子間隔は不等間隔である。
本開示のレーダ装置において、前記第2のアンテナ群はn(1以上の整数)個の送信アンテナを含み、前記第3のアンテナ群は、少なくとも(n+1)個の受信アンテナを含む。
本開示のレーダ装置において、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの少なくとも1つのアンテナは、前記第2の方向に配置された複数のサブアレー素子で構成される。