JP2019069908A - ジピリジルエチレンの製造方法 - Google Patents

ジピリジルエチレンの製造方法 Download PDF

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栄作 加藤
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Abstract

【課題】安価な材料でかつ高い収率でジピリジルエチレンを得ることができるジピリジルエチレンの製造方法の提供。【解決手段】式(1)で表される反応スキームに従い、途中生成物のホルミルピリジンを単離精製せず工程(a)〜(e)を経て製造する方法。(a)シアノピリジンに、酸性かつ金属触媒存在条件下で水素添加を行いホルミルピリジンを生成する工程(b)水素添加後の反応液をpH4(25℃換算値)以上まで中和することにより生成した前記ホルミルピリジンを遊離させる工程(c)生成した前記ホルミルピリジンを有機溶剤で抽出する工程(d)前記抽出により得たホルミルピリジン溶液を濃縮する工程(e)濃縮した溶液中のホルミルピリジンと、メチルピリジンとを酸無水物又は酸ハライドを用いて縮合する工程[R′及びR″はH、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子]【選択図】なし

Description

本発明は、ジピリジルエチレンの製造方法に関し、特に、安価な材料で、かつ、高い収率でジピリジルエチレンを得ることができるジピリジルエチレンの製造方法に関する。
近年、ゼオライト代替のガス吸着材として、多孔性金属錯体の研究が活発に行われており、その配位子としてジピリジルエチレンが注目されている。
しかしながら、ジピリジルエチレンの原材料となるホルミルピリジンは、酸化されやすく取り扱いに難があり、有用な工業的な合成法が無く高価な材料のため、実用化の障害となっている。
一般に、ホルミルピリジンの合成法としては、(イソ)ニコチン酸エステル等の還元を行う方法や、メチルピリジンを酸化する方法等があるが、金属水素化物等の取り扱いに難がある還元剤の使用や、気相法酸化等、特殊設備を使用し、製造設備が大がかりになるといった課題があった。また、生成したホルミルピリジンは感作性等を有し、扱いに注意を要することがある。
安価な原材料を使用した合成法では、シアノピリジンの還元(例えば、特許文献1参照。)があるが、精製方法までの開示が無く、使用用途が不明確であった。また、生成したホルミルピリジンは空気中で不安定であるため、精製時のロスが大きいという問題もあった。
特開2001−261650号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、安価な材料で、かつ、高い収率でジピリジルエチレンを得ることができるジピリジルエチレンの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、シアノピリジンを原料とし、途中生成物であるホルミルピリジンを単離精製することなくジピリジルエチレンを製造することで、安価な材料で、かつ、高い収率でジピリジルエチレンを得ることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シアノピリジンを原料とするジピリジルエチレンの製造方法であって、
下記式(1)で表される反応スキームに従い、かつ、途中生成物であるホルミルピリジンを単離精製することなく、少なくとも下記工程(a)〜(e)を経てジピリジルエチレンを製造することを特徴とするジピリジルエチレンの製造方法。
(a)シアノピリジンに、酸性かつ金属触媒存在条件下で、水素添加を行い、ホルミルピリジンを生成する工程
(b)前記水素添加後の反応液をpH4(25℃換算値)以上まで中和することにより生成した前記ホルミルピリジンを遊離させる工程
(c)生成した前記ホルミルピリジンを有機溶剤で抽出する工程
(d)前記抽出により得たホルミルピリジン溶液を濃縮する工程
(e)濃縮した溶液中のホルミルピリジンと、メチルピリジンとを酸無水物又は酸ハライドを用いて縮合する工程
Figure 2019069908
[式中、R′及びR″は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子を表す。]
2.前記工程(b)と前記工程(c)との間に酸無水物又は酸ハライドを添加する工程を設けることを特徴とする第1項記載のジピリジルエチレンの製造方法。
3.前記工程(a)で用いる前記金属触媒が、被毒ニッケル触媒であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
4.前記工程(a)が、硫酸酸性条件下で水素添加を行うことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
5.前記工程(d)の前又は後に、脱水工程を設けることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
6.前記工程(a)における前記シアノピリジンが、4−シアノピリジンであり、
前記工程(e)における前記メチルピリジンが、4−メチルピリジンであることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
本発明の上記手段により、安価な材料で、かつ、高い収率でジピリジルエチレンを得ることができるジピリジルエチレンの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
安価な材料であるシアノピリジンを用いて、中間体であるホルミルピリジンを単離精製することなくジピリジルエチレンを製造するので、ジピリジルエチレンを安価に提供することができる。また、ジピリジルエチレンは安定性が高く、結晶性も良いため、再結晶等による精製が容易である。また、安定性の低いホルミルピリジンを単離精製することなく未精製のまま、製造後、劣化が少ない状態で使用することから、ロスが少なく、得られるジピリジルエチレンの収率が高くなる。
本発明のジピリジルエチレンの製造方法は、シアノピリジンを原料とするジピリジルエチレンの製造方法であって、上記式(1)で表される反応スキームに従い、かつ、途中生成物であるホルミルピリジンを単離精製することなく、少なくとも上記工程(a)〜(e)を経てジピリジルエチレンを製造することを特徴とする。
この特徴は、本実施形態に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記工程(b)と前記工程(c)との間に酸無水物又は酸ハライドを添加する工程を設けることが、ホルミルピリジンの抽出が容易で、ホルミルピリジンを高い収率で回収することができる点で好ましい。
また、前記工程(a)で用いる前記金属触媒が、被毒ニッケル触媒であることが、価格及び活性の点で好ましい。
また、前記工程(a)が、硫酸酸性条件下で水素添加を行うことが、溶解性、コストの点で好ましい。
前記工程(d)の前又は後に脱水工程を設けることが、収率の点で好ましい。
また、前記工程(a)における前記シアノピリジンが4−シアノピリジンであり、前記工程(e)における前記メチルピリジンが4−メチルピリジンであることが、高収率の点で好ましい。
[本発明の概要]
本発明のジピリジルエチレンの製造方法は、シアノピリジンを原料とするジピリジルエチレンの製造方法であって、下記式(1)で表される反応スキームに従い、かつ、途中生成物であるホルミルピリジンを単離精製することなく、少なくとも下記工程(a)〜(e)を経てジピリジルエチレンを製造することを特徴とする。
(a)シアノピリジンに、酸性かつ金属触媒存在条件下で、水素添加を行い、ホルミルピリジンを生成する工程
(b)前記水素添加後の反応液をpH4(25℃換算値)以上まで中和することにより生成した前記ホルミルピリジンを遊離させる工程
(c)生成した前記ホルミルピリジンを有機溶剤で抽出する工程
(d)前記抽出により得たホルミルピリジン溶液を濃縮する工程
(e)濃縮した溶液中のホルミルピリジンと、メチルピリジンとを酸無水物又は酸ハライドを用いて縮合する工程
Figure 2019069908
[式中、R′及びR″は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子を表す。]
本発明において、「シアノピリジン」という用語は、上記(1)で表される反応スキームに示された化学構造式から明らかなように、シアノピリジン自体とそのピリジン環上に置換基を有する誘導体をも含む総称として使用する。したがって、「ホルミルピリジン」及びジピリジルエチレンも、同様に、それぞれ、当該「シアノピリジン」を原料として合成される化合物の総称として使用する。
上記式(1)で表される反応スキームにおいて、R′及びR″は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子を表す。中でも、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、錯体形成能の点で水素原子が最も好ましい。
なお、アルキル基の場合は、ピリジン環3位の置換が、副反応抑制の点で好ましい。
アルキル基としては、メチル基、プロピル基、イソプロ基、及びブチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基及びナフチル基等が挙げられる。複素環基としては、フリル基、チエニル基、及びピロール基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びフッ素原子等が挙げられる。
<工程(a)>
工程(a)では、シアノピリジンに、酸性かつ金属触媒存在条件下で、水素添加を行い、ホルミルピリジンを生成する。
(シアノピリジン)
シアノピリジンとしては、例えば、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジンが挙げられるが、高収率の観点から4−シアノピリジンが好ましい。
(酸)
前記酸性条件下で用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも使用することができる。無機酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等が挙げられ、有機酸としては、メタンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。これらの中でも、硫酸を用いることが溶解性及びコストの点で好ましい。
酸の使用量は、シアノピリジン1モルに対して1当量以上が好ましく、1〜3当量がより好ましい。このような範囲とすることで、アンモニアを中和するために十分な量となり、アンモニアと、生成したホルミルピリジンとが反応して収率が低下するのを防ぐことができる。
(金属触媒)
金属触媒としては、例えば、パラジウム(Pd)触媒、スポンジニッケル触媒、スポンジ鉄触媒等が挙げられる。中でも、スポンジニッケル触媒が価格及び活性の点で好ましい。
前記スポンジニッケル触媒とは、ニッケル−アルミニウム合金を塩基で処理したスポンジ状形態のニッケルを主成分とする触媒である(例えば、久保松照夫、小松信一郎、『ラネー触媒』、共立出版(1971)参照。)。
ラネーニッケル触媒の場合、ニッケル(通常含有量40〜50質量%)とアルミニウム、場合によってはマンガン、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属が添加された合金を苛性ソーダ水溶液で展開しアルミニウムを溶出させて調製することができる。展開の条件は、−20℃〜+120℃の範囲内で、苛性ソーダ/ニッケル−アルミニウム合金の質量比は1/1〜1.5/1の範囲内、処理時間は50分から12時間程度の範囲であり、これらの条件を適宜組み合わせることによって調製することができる。
また、前記触媒は、銅(Cu)又は鉛(Pb)で被毒処理した触媒であることが好ましい。このような触媒を用いることで、一段回目の還元終点が見極めやすく、ホルミルピリジンがさらに還元を受けてヒドロキシメチルピリジンまで行きにくくなる。
銅で被毒処理したスポンジニッケル触媒は、種々の方法により容易に得ることができる。
例えば、市販のスポンジニッケル触媒を銅塩溶剤中に分散、懸濁する方法以外に、ニッケル合金を常法に従って展開する際に銅塩を添加する方法や、スポンジニッケル触媒をシアノピリジンの水素還元を行う前に、反応溶剤中で銅塩と作用させる方法等によって、銅塩溶液で処理したスポンジニッケル触媒を得ることができる。
以下、市販のスポンジニッケル触媒を銅塩溶液中に分散、懸濁する方法について説明する。
一般に、スポンジニッケル触媒は含水物として市販されている。したがって、銅塩溶液は水溶液が好ましい。
銅塩としては、種々のものが使用でき、硫酸銅、水酸化銅、酢酸銅及びこれらの水和物等が好ましく使用される。
銅塩の水溶液中に市販のスポンジニッケル触媒を添加して撹拌する。この後、必要に応じてこの懸濁液を静置して、触媒を沈殿させ、上澄みをデカンテーションにより除去する。次いで、残渣に水を加えて撹拌し、静置してデカンテーションを行い、触媒を洗浄する。この洗浄を数回繰り返せば、銅塩溶液で処理したスポンジニッケル触媒を容易に得ることができる。
鉛で被毒処理したスポンジニッケル触媒も、銅で被毒処理したスポンジニッケル触媒と同様の方法で調製することができる。
例えば、市販のスポンジニッケル触媒を鉛塩溶剤中に分散、懸濁する方法の他、ニッケル合金を常法に従って展開する際に鉛を添加する方法や、常法により調製された鉛を含まないスポンジニッケル触媒を用いて、水素還元を行なう前に鉛塩を添加する方法によって得ることができる。
鉛塩としては種々のものが使用できるが、酢酸鉛、塩基性炭酸鉛及びこれらの水和物等が、水溶性が高い点から好ましい。
本発明における触媒の使用量は、シアノピリジン100質量部に対して、1〜50質量部の範囲内であることが、反応の進行が速い点で好ましく、5〜30質量部の範囲内がより好ましい。
(溶剤)
上記式(1)で表される反応スキームにおいて、シアノピリジン1モルに対して水1モルが必要であることから、この量以上の水の存在下で反応を行う。
溶剤としては、水が好ましく、その他、水に可溶な溶剤中に、反応に必要な量の水を添加した含水溶剤を使用してもよい。
水と可溶な溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類を挙げることができる。
溶剤の使用量は、シアノピリジン1質量部に対して1〜15質量部の範囲内、好ましくは3〜13質量部の範囲内である。
工程(a)では、上述したシアノピリジン、酸、金属触媒及び溶剤を上述した範囲内で反応器に仕込み、水素で反応基を置換した後、撹拌下、水素を導入しながら水素圧を1.0×10〜2.0×10Paの範囲内、好ましくは5.0×10〜1.0×10Paの範囲内に保持して反応を行う。水素圧を上記範囲とすることにより、反応の進行が速くなり、また、副反応が進行しにくくなり、収率が高くなる。
反応温度は、30〜100℃の範囲内が好ましく、40〜80℃の範囲内がより好ましい。このようにして還元を行い、反応を終了させる。反応温度を上記範囲内とすることにより、反応の進行が速く、生成物の収率が高くなる。
<工程(b)>
工程(b)では、前記水素添加後の反応液(還元が終了した還元液)をpH4(25℃換算値)以上まで中和することにより生成したホルミルピリジンを遊離させる。
具体的には、前記還元液を濾過して触媒を除去し、次いで、還元液にアルカリを加えてpH(25℃換算値)を4以上とする。pHを4以上とすることにより、ホルミルピリジンの抽出が容易となる。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるがこれらに限定されない。
ここで、生成されたホルミルピリジンとしては、原料に応じて2−ホルミルピリジン、3−ホルミルピリジン、4−ホルミルピリジンが挙げられるが、高収率の点で4−ホルミルピリジンであることが好ましい、
<工程(c)>
工程(c)では、工程(b)で生成したホルミルピリジンを有機溶剤で抽出する。
前記有機溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン等が挙げられ、環境の観点から酢酸エチル、トルエンが好ましく、回収率の観点からは酢酸エチルが好ましい。
抽出時のpH(25℃換算値)は、3〜6の範囲内が好ましく、4.5〜5.5の範囲内がより好ましい。pHを上記範囲内とすることで、抽出率が良好で、ホルミルピリジンの劣化を抑制することができる。
また、前記工程(b)と下記工程(c)との間に酸無水物又は酸ハライドを添加する工程を設けることが好ましい。
すなわち、工程(b)におけるpH(25℃換算値)が4以上の還元液に酸無水物又は酸ハライドを添加することにより、ホルミルピリジンの抽出が容易となり、ホルミルピリジンを高い収率で回収することができる。
前記酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水メタンスルホン酸、ポリリン酸、五酸化二リン等が挙げられる。
前記酸ハライドとしては、塩化アセチル、塩化プロピオニル、クロル硫酸、2塩化シュウ酸等が挙げられる。これらの中で、無水酢酸、無水マレイン酸、ポリリン酸等が好ましい。
酸無水物又は酸ハライドの添加量は、シアノピリジン100質量部に対して、20〜200質量部の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることで、抽出に適したpHにすることができる。
また、酸無水物又は酸ハライド添加時のpH(25℃換算値)は、3.5〜5.5の範囲内であることが好ましい。pHを上記範囲内とすることで、副生物アミンとの反応が進行しやすく、また、酸無水物又は酸ハライドの分解が速くなることを抑制できる。
また、酸無水物の添加の前に、あらかじめ還元液を塩基により、pH(25℃換算値)を3.5〜6.0、より好ましくはpH4〜5に調整しておき、酸無水物とアルカリを交互に加え反応液全体のpHが3.5〜6.0の間に入るように添加することが酸無水物の分解の防止、無機塩の析出防止の観点から好ましい。
前記酸無水物を添加することによる効果に関しては、以下のように推察される。
シアノピリジンを接触還元すると、ホルミルピリジンだけでなく、一級アミンまで還元された副生物が生成し、反応液に含まれている。
4−シアノピリジンを例にとると、反応液を中和又は加熱した際、副生した一級アミンと生成した4−ホルミルピリジンが縮合してシッフ塩基を形成し、実質的に4−ホルミルピリジンを消費するため、還元液での4−ホルミルピリジン含量から予測される精製量を得られないものと考えられる。
本発明に係る酸無水物を添加することにより、副生物の一級アミンとホルミルピリジンが縮合する前に、副生物の一級アミンと酸無水物が縮合し、ホルミルピリジンの消費を抑えているため、還元液から予想される収量の約80%のホルミルピリジンを精製できるものと考えられる。
特に、4−シアノピリジンの還元は、シアノピリジンからホルミルピリジンを得る反応の中でも終点が見極め難く、一級アミンまで還元される割合が他のシアノピリジン類に比べ大きいため、本発明の効果が顕著に出るものと推測している。
<(d)工程>
(d)工程では、(c)工程で抽出により得たホルミルピリジン溶液を濃縮する。
濃縮方法としては、例えば、減圧濃縮等が挙げられる。
また、前記工程(d)の前又は後に、脱水工程を設けることが好ましい。具体的には、工程(d)の濃縮前に乾燥剤を用いて脱水するか、又は、工程(d)の濃縮後に共沸脱水を行うことが好ましく、作業性の観点からは、濃縮後に共沸脱水を行うことが好ましい。
乾燥剤としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
共沸脱水では、トルエン又はジクロロメタン等を用いることが好ましい。
<(e)工程>
(e)工程では、(d)工程で濃縮した溶液中のホルミルピリジンと、メチルピリジンとを酸無水物又は酸ハライドを用いて縮合する。
前記メチルピリジンとしては、例えば、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジンが挙げられるが、高収率の観点から4−メチルピリジンが好ましい。
前記酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水メタンスルホン酸、ポリリン酸、五酸化二リン等が挙げられる。
前記酸ハライドとしては、塩化アセチル、塩化プロピオニル、クロル硫酸、2塩化シュウ酸等が挙げられる。これらの中で、無水酢酸、無水マレイン酸、ポリリン酸等が好ましい。
前記ホルミルピリジンとメチルピリジンの混合比率は、ホルミルピリジン:メチルピリジン=1:3〜3:1のモル比の範囲内が好ましく、1:1.5〜1.5:1のモル比の範囲内であることがより好ましい。この範囲内とすることにより、得られるジピリジルエチレンの収率が高く、副反応も抑えることができる。
また、メチルピリジンと、前記酸無水物又は酸ハライドの混合比率は、メチルピリジン:酸無水物又は酸ハライド=3:1〜1:3のモル比の範囲内が好ましく、2:1〜1:2のモル比の範囲内であることがより好ましい。この範囲内とすることにより、得られるジピリジルエチレンの収率が高く、未反応の原料の残留も少なくなる。
反応温度は、60〜150℃の範囲内が好ましく、80〜130℃の範囲内がより好ましい。反応時間は、1〜24時間が好ましく、2〜4時間がより好ましい。
縮合反応には、無溶剤でも、反応に不活性な溶剤を用いてもよい。
縮合反応に利用できる溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
縮合反応は、ホルミルピリジンの安定性の観点から、嫌気下で行うことが好ましい。より具体的には、アルゴン又は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
縮合反応が終了したことは、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーにより原料の残存量を定量することにより確認することができる。反応終了後、得られた混合液に塩基性水溶液を加え、濾過により沈殿物を集め、有機溶剤又は水を用いて再結晶することにより、目的とするジピリジルエチレンを得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)本発明例
[ニッケル触媒の調製]
硫酸銅・5水和物6gを水600mLに溶解した溶液中にスポンジニッケル(NDHT−90・含水率50%)を加え、室温で30分撹拌した。その後、この懸濁液を静置し、触媒を沈降させて上澄みを除去した。残渣に水400mLを加え、撹拌し、静置後、上澄みを除去する方法で洗浄を行った。この洗浄操作を合計5回繰り返して銅塩溶液により被毒処理したスポンジニッケル触媒を調製した。
[4−シアノピリジンの還元]
4−シアノピリジン120g、97%硫酸275g、水173mL及び上記調製したニッケル触媒(含水率50%)12gをオートクレーブに仕込み、水素に置換した後、導入管を通じて水素圧を5.0×10Paに保ちながら、撹拌下、50℃で反応させた。
水素導入開始後、水素の吸収速度が低下したら(約3時間)、撹拌を停止して反応を終了した。反応終了後、反応液を濾過して触媒を濾別し、230mLの精製水で洗浄し、濾液を得た。
これに24%NaOHを加えてpH4.5〜5.5(25℃換算値)の間で数回にわたり、無水酢酸161gを加えた。無水酢酸の添加終了後、24%NaOHを加えてpH5.5(25℃換算値)に調整し、酢酸エチル(又は塩化メチレン)700mLで3回抽出した。
合わせた酢酸エチルを減圧回収後、トルエン200mLを添加し、減圧下共沸脱水により水分除去を行った。得られた濃縮液には酢酸、トルエンが含有しているが、HPLCで定量することにより目的とするホルミルピリジン含量50%(収率59%)の濃縮液を得ることができた。
[1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンの製造]
反応容器内を窒素置換し、4−ピコリン54gを投入後、120℃まで加温撹拌した。同温度で、上記で得られた4−ホルミルピリジン48g(含量換算)、無水酢酸46gを1時間かけて滴下した。滴下後、120℃で3時間反応させた。35℃まで冷却し、水612Lを1時間かけて滴下した。さらに、25%NaOH 180gを1時間かけて滴下した(30〜40℃)。その後、20℃まで冷却し、1時間同温で保温後、析出物を濾過した。結晶を水672Lで洗浄した。得られた結晶を水80mL、エタノール40gを加え、70℃まで加温し溶解を確認後、20℃まで冷却し、1時間、同温度で撹拌した。析出した結晶を濾過し、水で洗浄後乾燥することにより、45g(収率55%)、HPLC純度99%の1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンが得られた。
(2)比較例
上記[4−シアノピリジンの還元]で得られた4−ホルミルピリジンを減圧下で蒸留精製し、当該ホルミルピリジンを用いて、上記と同様にして1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンを製造した。この場合、収率32%、HPLC純度95%の1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンが得られた。
以上より、本発明の製造方法により得られた1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンは、比較例のように、ホルミルピリジンを蒸留精製した上で製造した1,2−ジ(4−ピリジル)エチレンの場合に比べて、収率及び純度が高いことが認められる。

Claims (6)

  1. シアノピリジンを原料とするジピリジルエチレンの製造方法であって、
    下記式(1)で表される反応スキームに従い、かつ、途中生成物であるホルミルピリジンを単離精製することなく、少なくとも下記工程(a)〜(e)を経てジピリジルエチレンを製造することを特徴とするジピリジルエチレンの製造方法。
    (a)シアノピリジンに、酸性かつ金属触媒存在条件下で、水素添加を行い、ホルミルピリジンを生成する工程
    (b)前記水素添加後の反応液をpH4(25℃換算値)以上まで中和することにより生成した前記ホルミルピリジンを遊離させる工程
    (c)生成した前記ホルミルピリジンを有機溶剤で抽出する工程
    (d)前記抽出により得たホルミルピリジン溶液を濃縮する工程
    (e)濃縮した溶液中のホルミルピリジンと、メチルピリジンとを酸無水物又は酸ハライドを用いて縮合する工程
    Figure 2019069908
    [式中、R′及びR″は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子を表す。]
  2. 前記工程(b)と前記工程(c)との間に酸無水物又は酸ハライドを添加する工程を設けることを特徴とする請求項1記載のジピリジルエチレンの製造方法。
  3. 前記工程(a)で用いる前記金属触媒が、被毒ニッケル触媒であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
  4. 前記工程(a)が、硫酸酸性条件下で水素添加を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
  5. 前記工程(d)の前又は後に、脱水工程を設けることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
  6. 前記工程(a)における前記シアノピリジンが、4−シアノピリジンであり、
    前記工程(e)における前記メチルピリジンが、4−メチルピリジンであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のジピリジルエチレンの製造方法。
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