JP2019069884A - 石膏ボード、石膏ボードの製造方法、及び吸着材組成物 - Google Patents

石膏ボード、石膏ボードの製造方法、及び吸着材組成物 Download PDF

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知隆 谷口
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成希 伊藤
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泰介 進藤
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Abstract

【課題】アルデヒド類等を吸着する機能を備え、かつ垂れ下がり等の不具合の発生が抑制された石膏ボード等の提供。【解決手段】本発明の石膏ボード1は、石膏を含むボード状の芯材2と、この芯材2の両面に貼り付けられる一対のボード用原紙3,4とを備える石膏ボード1であって、芯材2は、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも含む混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、石膏ボード、石膏ボードの製造方法、及び吸着材組成物に関する。
揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)であるアルデヒド類を吸着する機能を備えた石膏ボードが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。この種の石膏ボードでは、アルデヒド類を吸着させる吸着材として、芯材中に尿素やメラミン類、又はヒドラジド化合物が利用されている。
また、アクリル酸、エタノール及び水と、ブドウ糖、尿素及び/又はグリシンとを主成分として混合した混合物に放射線を照射して調製されたポリマーを含有するエマルションを、ホルムアルデヒドの吸着材として建材に含浸させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−187757号公報 特開2002−145655号公報 特開2003−93490号公報
ヒドラジド化合物は、取り扱いに注意が必要な薬剤であり、使用を控えたいという事情があった。また、アミノ化合物やメラミン類を吸着材として使用すると、石膏ボードの芯材の吸湿性が高くなってしまい、石膏ボードが垂れ下がる等の問題が生じる虞があった。
また、特許文献3において、前記エマルションからなる吸着材を建材に含浸等させることは開示されているものの、石膏ボードに対して具体的に、どのように適用すべきか等については、全く検討されていなかった。
本発明の目的は、アルデヒド類等を吸着する機能を備え、かつ垂れ下がり等の不具合の発生が抑制された石膏ボード、前記石膏ボードの製造方法、及び吸着材組成物を提供することである。
本発明に係る石膏ボードは、石膏を含むボード状の芯材と、この芯材の両面に貼り付けられる一対のボード用原紙とを備える石膏ボードであって、前記芯材は、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも含む混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを有する。
前記石膏ボードにおいて、前記芯材中における前記乳酸の含有量は、前記酒石酸の含有量よりも多いことが好ましい。
また、本発明に係る石膏ボードの製造方法は、焼石膏、及び水を含有するスラリーを硬化させてボード状の芯材を製造する工程を備える石膏ボードの製造方法であって、前記スラリーに、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも有する混合物に放射線を照射して形成された吸着ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを少なくとも含む吸着材組成物を添加する工程を含む。
また、本発明の吸着材組成物は、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも有する混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを有する。
本発明によれば、アルデヒド類等を吸着する機能を備え、かつ垂れ下がり等の不具合の発生が抑制された石膏ボード、前記石膏ボードの製造方法、及び吸着材組成物を提供することができる。
石膏ボードの構成を模式的に表した説明図
〔石膏ボード〕
図1は、石膏ボード1の構成を模式的に表した説明図である。本実施形態の石膏ボード1は、石膏を含むボード状の芯材2と、芯材2の両面に貼り付けられる一対のボード用原紙3,4とを備えている。
芯材2は、主として二水石膏(CaSO・2HO)からなる石膏を含有するボード状の部材であり、更に、吸着性ポリマー、乳酸、及び酒石酸を含んでいる。このような芯材2は、焼石膏(CaSO・1/2HO)、及び水を含む混合物に、吸着性ポリマー、乳酸、及び酒石酸を含む吸着材組成物を添加してなるスラリーを硬化させたもの(硬化体)からなる。なお、芯材2の厚みや密度等の諸条件は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はなく、適宜、設定される。また、前記スラリーには、必要に応じて、酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤、硬化遅延剤等の各種添加剤が添加されてもよい。
吸着性ポリマーは、主に、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類(VOCの一例)を化学的に吸着する機能を備えた吸着材であり、放射線重合の技術を利用して形成される。このような吸着性ポリマーは、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物と、有機高分子からなる基材と、前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーとを少なくとも含む混合物に放射線を照射して形成される。
前記アミノ化合物は、アルデヒド類等のVOCを捕捉するための官能基(吸着官能基)として、アミノ基を含んでいる。このアミノ基は、アルデヒド類等を捕捉するための吸着性ポリマーの官能基(吸着官能基)として利用される。前記アミノ化合物は、一分子中に少なくとも1つのアミノ基を含有している。また、前記アミノ化合物としては、1種又は2種以上のものが利用されてもよい。前記アミノ化合物は、例えば、捕捉対象物質の種類に応じて、適宜、選択される。具体的な前記アミノ化合物としては、例えば、尿素、エチレンジアミン、グアニジン、グリシン等のアミノ化合物が挙げられる。
前記アミノ化合物のアミノ基は、例えば、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類を捕捉すると、脱水反応により水を生成しつつ、イミン基を形成する。
基材は、有機高分子からなり、吸着性ポリマーの基本的な骨格部分(例えば、主鎖等)を構成する。前記有機高分子としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、グルコース(アミロース、アミロペクチン)、セルロース等の多糖類系高分子等が挙げられる。これらの中でも、特に、グルコースが好ましい。
重合性モノマーは、前記アミノ化合物と結合可能な官能基と、ラジカル重合性官能基とを有する化合物である。重合性モノマーは、放射線が照射されると、重合性モノマー同士が重合して、重合性モノマーの重合体を形成する。重合性モノマーの重合には、放射線の照射により生成したラジカルが利用される。また、重合性モノマーの重合体は、前記基材に多数の鎖が形成されるように重合しているものと推測される。更に、重合性モノマーは、前記アミノ化合物と結合可能な官能基を備えており、重合性モノマーの鎖上に、前記アミノ化合物が結合されている。重合性モノマー(又は重合性モノマーの重合体)が、前記アミノ化合物と結合可能な官能基としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜、設定されるが、例えば、カルボキシ基等が挙げられる。具体的な重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アミノ化合物、前記基材、及び前記重合性モノマーを含む混合物は、例えば、各油性成分が水中に分散する水中油滴型(O/W型)のエマルション組成物として調製される。前記エマルション組成物には、必要に応じて、エタノール等の低級アルコール等が添加されてもよい。
前記エマルション組成物に対して、照射される放射線としては、α線、β線、γ線、電子、紫外線等が挙げられるが、工業的には、γ線が好ましい。
吸着性ポリマーは、中性〜酸性の領域において、アルデヒド類等を吸着する吸着性能が活性化される。したがって、石膏ボード1の芯材2中のpHは、中性〜酸性の領域内(例えば、pH=7〜4.5)で維持される必要がある。そのため、本発明の芯材2中には、吸着性ポリマーと共に、乳酸と、酒石酸が必須成分として添加されている。
また、前記アミン化合物が水溶性である場合、加水分解の影響が懸念される。前記アミン化合物が加水分解されると、二酸化炭素と共に、アンモニアが生成する。石膏ボード1の芯材2中には、二水石膏(CaSO・2HO)等に由来する水分が存在しているため、そのような水分の影響で、前記アミン化合物が加水分解される可能性がある。前記アミン化合物の加水分解によって生成したアンモニアは、臭気の原因となる。しかしながら、本発明は、上記のように吸着ポリマーと共に、乳酸と酒石酸が必須成分として芯材2中に添加されるため、それらの酸成分(乳酸、酒石酸)の作用によって、アンモニアが補足され、石膏ボード1(特に、芯材2)からのアンモニアの放散が抑制される。
ところで、前記アミン化合物から生成したアンモニアは、芯材2中の酸性度が低くなる(pHが高くなる)ように作用する虞がある。また、上記のように、アンモニアが酸成分(乳酸、酒石酸)に捕捉され、アンモニアが中和されても、酸成分が消費されるため、芯材2中の酸性度が低くなる(pHが高くなる)虞がある。しかしながら、本発明は、上記のように芯材2中に、乳酸が必須成分として添加されているため、その乳酸の作用により、芯材2中のpHが中性〜酸性の領域内で維持される。何故ならば、乳酸は、当初、三量体、四量体、八量体等の多量体の状態で存在しているものの、そのような状態の乳酸が、時間の経過と共に徐々に分解(例えば、モノマー化)されるため、乳酸の酸性基が増加するからである。つまり、上記のように、芯材2中でアンモニアの中和に酸が消費されても、それを補う形で、芯材2中の多量体の乳酸から、新たな酸(モノマー化した乳酸等)が供給される仕組みとなっている。
なお、芯材2中に、酸成分として乳酸のみが添加されていると、石膏ボード1に垂れ下がり等の不具合等が発生するため、好ましくない。そのため、石膏ボード1の垂れ下がり等の不具合を抑制するために、乳酸と共に、酒石酸が併用される。芯材2中の酒石酸の含有量は、芯材2中の乳酸の含有量を超えないように設定されることが好ましい。つまり、前記芯材中における乳酸の含有量は、酒石酸の含有量よりも多いことが好ましい。このように、乳酸の含有量が、酒石酸の含有量よりも多いと、芯材2の圧縮強度に優れ、芯材2の硬化時間の遅延が抑制され、芯材2に対するボード用原紙3,4の接着性(特に、製造時に下側に配置される表側のボード用原紙3の接着性)が確保される。
なお、酒石酸カリウム等の酒石酸塩は、アルカリ性の化合物であるため、吸着性ポリマー及び乳酸との併用は好ましくない。
他の実施形態においては、吸着性ポリマーを、ボード用原紙3,4に含浸、塗布等して、付与してもよい。また、吸着性ポリマーは、アルデヒド類以外のVOCを捕捉できるように適宜、設計されてもよい。
石膏ボード1は、一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて製造される。
〔吸着材組成物〕
吸着材組成物は、前記アミノ化合物、前記基材、及び前記重合性モノマーを少なくとも有する混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを有する組成物である。吸着材組成物としては、例えば、前記アミノ化合物、前記基材、及び前記重合性モノマーを含む水中油滴型(O/W型)のエマルション組成物に、放射線を照射した後、乳酸、及び酒石酸を添加したもの、又は前記エマルション組成物に、乳酸、及び酒石酸を添加した後、放射線を照射したもの、が利用される。前記吸着材組成物には、必要に応じて、他の成分が添加されてもよい。
吸着材組成物は、焼石膏100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質部以下の割合で添加されることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔吸着材組成物の作製〕
尿素、エチレンジアミン、その他のアミノ化合物、グルコース、重合性モノマー、精製水、乳酸及び酒石酸を、表1に示される割合(質量%)で混合してエマルション組成物を作製し、それに放射線を照射して吸着ポリマーを含有する吸着材組成物1〜4を得た。なお、乳酸、酒石酸の添加は、放射線の照射前であってもよいし、放射線の照射後であってもよい。
Figure 2019069884
〔各種検証〕
吸着材組成物1〜4を利用して、以下に示される各種検証A〜Gを行った。
(A.硬化時間)
焼石膏200gに、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140g(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100gに対して、0.72g)を添加して、スラリーA−1〜A−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。それらのスラリーA−1〜A−4を、それぞれ所定の容器内に1分間かけて注ぎ、続いて、1分間撹拌棒で撹拌した後、ビガー凝結試験機に流し込んだ。その後、直径2mmの試験針を入れ、底から1mm硬化した時を開始時間とした。また、表面から1mm硬化した時を表面硬化時間とし、そして、熱電対を入れ、水和時の発熱温度が最大になった時の時間を、終結時間とした。
また、吸着材組成物の配合割合を、焼石膏100gに対して、1.15g(石膏ボード1m当たり、80g)に変更したこと以外は、上述した場合と同様にして、各スラリー1’〜4’を作製した。そして、各スラリーA−1’〜A−4’について、上述した場合と同様に、開始時間、表面硬化時間、及び終結時間を測定した。また、焼石膏200gに、水140gを添加して、吸着材組成物を含まないスラリーA−0を作製し、それについても、同様に、開始時間、表面硬化時間、及び終結時間を測定した。結果は、表2に示した。
Figure 2019069884
表2に示されるように、吸着材組成物2を含むスラリーA−2、A−2’の硬化時間は、吸着材組成物を含まないスラリーA−0と比べて、遅延はみられなかった。これに対し、吸着剤組成物3,4を含むスラリーA−3、A−4、A−3’及びA−4’の硬化時間は、スラリーA−0と比べて、遅延がみられた。なお、酒石酸を含まない吸着剤組成物1を使用したスラリーA−1、A−1’の硬化時間も、遅延はみられなかった。
(B.原紙接着性)
焼石膏200質量部に、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140質量部(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100質量部に対して、0.72質量部)と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、スラリーB−1〜B−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。また、吸着材組成物の配合割合を、焼石膏100質量部に対して、1.15質量部(石膏ボード1m当たり、80g)に変更したこと以外は、上述した場合と同様にして、各スラリーB−1’〜B−4’を作製した。また、焼石膏200質量部に、水140質量部と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、吸着材組成物を含まないスラリーB−0を作製した。
一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて、以下に示されるような条件で石膏ボードを作製し、その石膏ボードを用いて、表側及び裏側の各原紙の接着性を評価した。具体的には、上記スラリーB−0、B−1〜B−4及びB−1’〜B−4’をそれぞれ使用し、石膏ボードラインを用いて、芯材の両面にボード用原紙(1枚の厚み、約0.2mm)が積層されてなる各石膏ボードを作製した。各石膏ボードより、ボード用原紙の流れ方向の長さが、100mmであり、その流れ方向に垂直な方向(製品の幅方向)の長さが150mmである大きさの試験片B−0、B−1〜B−4及びB−1’〜B−4’をそれぞれ切り出した(試験片の芯材の厚み:12.5mm)。そして、切り出された各試験片を、40℃、90%RHの条件下で、20分間吸湿させた後、各試験片における表側のボード用原紙(表側原紙)、及び裏側のボード用原紙(裏側原紙)の接着性を評価した。なお、石膏ボードの製造時に、石膏ボードライン上において、下側に配されるボード用原紙が、表側原紙となり、上側に配されるボード用原紙が、裏側原紙となる。接着性の評価方法は、以下の通りである。接着性の評価は、各試験片について、3回行った。評価結果は、表3に示した。
<原紙接着性の評価方法>
上記のように、各試験片を、40℃、90%RHの条件下で恒温恒湿槽内に20分間静置した後、直ちに取り出して、各面(表側、裏側)の石膏ボードの原紙を、芯材から引き剥がした。「引き剥がした原紙の面積」(分母)に対する、「原紙の層間で剥離した部分の面積」(分子)の割合を、接着性(%)として評価した。結果は、表3に示した。
Figure 2019069884
表3に示されるように、吸着材組成物1,2を使用した試験片(石膏ボード)では、表側原紙及び裏側原紙の何れも、原紙の層間で剥離し、芯材と原紙との接着性に優れることが確かめられた。これに対し、吸着材組成物3を使用した試験片では、裏側原紙が、層間で剥離せず、芯材と原紙との間で剥離する部分も見られた。また、吸着材組成物4を使用した試験片では、表側原紙及び裏側原紙が、層間で剥離せず、芯材と原紙との間で剥離する部分が多く見られた。なお、原紙の接着性は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは、60%以上であり、更に好ましくは、70%以上である。接着性の値がこのような範囲であると、芯材と原紙との間に十分な接着性(接着力)が確保される。
(C.圧縮強度)
焼石膏200質量部に、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140質量部(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100質量部に対して、0.72質量部)を添加して、スラリーC−1〜C−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。また、吸着材組成物の配合割合を、焼石膏100質量部に対して、1.15質量部(石膏ボード1m当たり、80g)に変更したこと以外は、上述した場合と同様にして、各スラリーC−1’〜C−4’を作製した。また、焼石膏200質量部に、水140質量部を添加して、吸着材組成物を含まないスラリーC−0を作製した。
各スラリーを、50mm×50mm×50mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約1.0g/cmの立方体状の硬化体を得た。この硬化体を試験片として、測定装置(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−10TE)に供し、荷重速度1mm/minで試験片に荷重を加え、試験片が座屈したときの荷重値を圧縮強度(N/mm)として測定した。測定結果は、表4に示した。
Figure 2019069884
表4に示されるように、試験片C−1〜C−4及びC−1’〜C−4’では、何れも圧縮強度は、8.0N/m以上であり、実用上、特に問題がないことが確かめられた。ただし、芯材中の乳酸の含有量が、酒石酸の含有量よりも多い場合(試験片C−4、C−4’)、及び芯材中の乳酸の含有量が、酒石酸の含有量と同じ場合(試験片C−3、C−3’)、幾分、圧縮強度の低下が見られた。
(D.加湿垂れ下がり試験(芯材))
焼石膏200質量部に、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140質量部(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100質量部に対して、0.72質量部)を添加して、スラリーD−1〜D−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。また、吸着材組成物の配合割合を、焼石膏100質量部に対して、1.15質量部(石膏ボード1m当たり、80g)に変更したこと以外は、上述した場合と同様にして、各スラリーD−1’〜D−4’を作製した。また、焼石膏200質量部に、水140質量部を添加して、吸着材組成物を含まないスラリーD−0を作製した。
各スラリーを、9mm×9mm×1000mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約1.0g/cmである角棒状の硬化体を得た。そして、この硬化体の長さを650mmに切断したものを試験片とした。
試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、24時間後に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の部分の中央)の垂れ下がり量(たわみ量)を、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。なお、試験開始時に真っ直ぐに延びた状態の試験片の位置が、垂れ下がり量(mm)の基準位置(0.0mm)とされ、試験片の中央位置が、その基準位置から下方に移動した距離(mm)が、試験片の垂れ下がり量(mm)となる。測定結果は、表5に示した。
Figure 2019069884
表5に示されるように、乳酸のみを含み、酒石酸を含まない芯材のみからなる試験片D−1,D−1’では、垂れ下がり量mmが大きいことが確かめられた。これに対し、乳酸と共に酒石酸を含む試験片D−2〜D−4及びD−2’〜D−4’では、垂れ下がり量が小さいことが確かめられた。なお、芯材中の酒石酸量が多くなるほど、垂れ下がり量が小さくなることが確かめられた。
(E.加湿垂れ下がり試験(石膏ボード))
焼石膏200質量部に、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140質量部(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100質量部に対して、0.72質量部)と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、スラリーE−1〜E−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。また、焼石膏200質量部に、水140質量部と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、吸着材組成物を含まないスラリーE−0を作製した。
一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて、以下に示されるような条件で石膏ボードを作製した。具体的には、上記スラリーE−0、及びE−1〜E−4をそれぞれ使用し、石膏ボードラインを用いて、芯材の両面にボード用原紙(1枚の厚み、約0.2mm)が積層されてなる各石膏ボードを作製した。各石膏ボードより、ボード用原紙の流れ方向の長さが、650mmであり、その流れ方向に垂直な方向(製品の幅方向)の長さが125mmである大きさの試験片E−0、E−1〜E−4及びE−1’〜 E−4’をそれぞれ切り出した(試験片の芯材の厚み:12.5mm)。そして、切り出された各試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、24時間後に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の部分の中央)の垂れ下がり量(たわみ量)mmを、上記試験(D.加湿垂れ下がり試験(芯材))と同様、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。結果は、表6に示した。
Figure 2019069884
表6に示されるように、乳酸のみを含み、酒石酸を含まない石膏ボード状の試験片E−1では、芯材のみの場合と同様、垂れ下がり量mmが大きいことが確かめられた。これに対し、乳酸と共に酒石酸を含む試験片E−2〜E−4では、垂れ下がり量が小さいことが確かめられた。なお、芯材中の酒石酸量が多くなるほど、垂れ下がり量が小さくなることが確かめられた。
(F.ホルムアルデヒド吸着性評価)
焼石膏200質量部に、それぞれ吸着材組成物1〜4を含む水140質量部(吸着材組成物の配合割合は、焼石膏100質量部に対して、0.72質量部)と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、スラリーF−1〜F−4を作製した。なお、各吸着材組成物の配合割合は、石膏ボード1m当たり、50gである。また、焼石膏200質量部に、水140質量部と、その他の成分(酸化澱粉、減水剤、発泡剤、硬化促進剤)を含む組成物3質量部を添加して、吸着材組成物を含まないスラリーF−0を作製した。
一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて、以下に示されるような条件で石膏ボードを作製した。具体的には、上記スラリーF−0、及びF−1〜F−4をそれぞれ使用し、石膏ボードラインを用いて、芯材の両面にボード用原紙(1枚の厚み、約0.2mm)が積層されてなる各石膏ボードを作製した。各石膏ボードから、210mm角に切り出したものを試験片F−0、及びF−1〜F−4として、JIS A 1905−1に準拠し、ホルムアルデヒドの吸着性能を評価した。結果は、表7に示した。
Figure 2019069884
表7に示されるように、吸着性ポリマーを含む試験片F−1〜F−4は、優れたホルムアルデヒドの吸着性能を備えることが確かめられた。
(G.アセトアルデヒド吸着性評価)
上記評価(F.ホルムアルデヒド吸着性評価)で使用した試験片と同様のもの(210mm角)を、試験片G−0及びG−1〜G−4とした。それらの試験片G−0及びG−1〜G−4を用いて、JIS A 1905−1に準拠し、アセトアルデヒドの吸着性能を評価した。結果は、表8に示した。
Figure 2019069884
表8に示されるように、吸着性ポリマーを含む試験片G−1〜G−4は、優れたアセトアルデヒドの吸着性能を備えることが確かめられた。
1…石膏ボード、2…芯材、3,4…ボード用原紙(石膏ボード原紙繊維)

Claims (4)

  1. 石膏を含むボード状の芯材と、この芯材の両面に貼り付けられる一対のボード用原紙とを備える石膏ボードであって、
    前記芯材は、
    アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも含む混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、
    乳酸と、
    酒石酸とを有する石膏ボード。
  2. 前記芯材中における前記乳酸の含有量は、前記酒石酸の含有量よりも多い請求項1に記載の石膏ボード。
  3. 焼石膏、及び水を含有するスラリーを硬化させてボード状の芯材を製造する工程を備える石膏ボードの製造方法であって、
    前記スラリーに、アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも有する混合物に放射線を照射して形成された吸着ポリマーと、乳酸と、酒石酸とを少なくとも含む吸着材組成物を添加する工程を含む石膏ボードの製造方法。
  4. アミノ基を有する1種又は2種以上のアミノ化合物、有機高分子からなる基材、及び前記アミノ化合物と結合可能であり、かつラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも有する混合物に放射線を照射して形成された吸着性ポリマーと、
    乳酸と、
    酒石酸とを有する吸着材組成物。
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