JP4223118B2 - 建材用接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材用途、具体的には熱圧成型不燃建材、樹脂含浸により得られるロックウール板、これを二次加工(表面加工)して得られるロックウール吸音板、ロックウール化粧吸音板、畳芯等を製造するに好適に使用される接着剤組成物に関する。
さらに詳しくは、光と熱によるラジカル反応架橋性と熱硬化性の両者を兼備し、その硬化物が硬度、可とう性、耐薬品性、耐水および耐湿強度、不燃性等の諸物性に優れていることにより、上記種々の建材用途に有用な特性を発揮する、アクリル変性アミノプラスト樹脂を含む接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記したような接着剤組成物の成分として、例えばアミノプラスト樹脂が用いられている。しかしながら、例えば熱圧成型不燃建材を製造しようとする場合、従来のアミノプラスト樹脂では、成型時、水酸化アルミニウムや炭酸カルシウム等の粉体を配合する際の成型加工性に劣り、また成型品の諸強度も不十分であり、さらにしっとり感に代表される質感も満足のいくものではなかった。
なお接着剤組成物としてフェノール樹脂を使用した場合は、成型加工性、成型性、諸強度の点では問題ないが、成型加工品が変色したり、不燃性に劣るという問題点がある。
また、ロックウール板、ロックウール吸音板、ロックウール化粧吸音板等の製造には、アミノプラスト樹脂やアミノプラスト樹脂にアクリルエマルジョンをブレンドした樹脂等が用いられている。また、畳芯の材料や各種建材の芯材として使用されるシージングボードや紙板等にも、一般に各種のアミノプラスト樹脂の含浸加工が試みられている。しかしながら、これら従来のアミノプラスト樹脂やアミノプラスト樹脂とアクリルエマルジョンのブレンド品の含浸により製造されたボードは、常態での諸強度や可とう性に劣るばかりでなく、とくに耐水性、高温、高湿下での諸強度および可とう性に劣るといった問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、可とう性、保水性、アミノプラスト樹脂の持つ、熱硬化性樹脂の特徴である硬さを併せ持ち、建材用接着剤として熱圧成型不燃建材の場合には、しっとり感に代表される質感や成型加工性に優れ、成型加工品の常態、耐水、耐湿における諸強度に優れ、また、ロックウール天井板等でも常態、耐水、耐湿の諸強度や可とう性に優れ、さらに畳芯等でも芯材としてシージングボードや紙板に含浸させた場合、芯材として必要な硬度や諸強度を提供することのできる、建材用接着剤組成物の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上述の従来の課題を解決することができた。
すなわち本発明は、アミノプラスト樹脂(A)50〜99重量%(固形分)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)および/またはポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(C)1〜50重量%との縮合反応生成物を含有してなる建材用接着剤組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物におけるアミノプラスト樹脂(A)は、本発明の組成物に熱硬化性を付与し、成型や含浸によって、製造された加工品の硬度、常態、耐水性、耐湿性を保持するための必須成分である。
本発明に使用できるアミノプラスト樹脂(A)の例としては、公知のメラミン−ホルマリン樹脂、メラミン−グリオキザール樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、尿素−グリオキザール樹脂、カルバミド−ホルマリン樹脂、ベンゾグアナミン−ホルマリン樹脂およびグリコールウリル樹脂などが挙げられる。
その使用量は、全使用成分中50〜99重量%、好ましくは70〜98重量%である。アミノプラスト樹脂(A)の使用量が全使用成分中50重量%未満の場合は、組成物の硬度、常態、耐湿性、耐水性等の諸強度が低く、該組成物を用いて加工後完成した建材の硬度、諸強度、不燃性ともに劣る結果となる。また、アミノプラスト樹脂(A)の使用量が全使用成分中99重量%より多い場合は、生成した組成物は硬くて脆く、可とう性に欠けるといった欠点を有する。したがって、該組成物を用いて加工された建材も同様な欠陥を有する結果となる。
【0006】
本発明の組成物におけるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)は、組成物にラジカル重合性の光硬化性と熱硬化性とを付与し、熱可塑性樹脂の架橋体を形成し、さらに可とう性を付与する役割を果す。
その使用量は、全使用成分中1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。
本発明に使用できるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)の例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0007】
本発明のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(C)は、前記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)と同様に、組成物にラジカル重合性の光硬化性と熱硬化性とを付与し、熱可塑性樹脂の架橋体を形成し、さらに可とう性を付与する役割を果すと共に、さらにグリコール基に基づく保水性を付与し、例えば建材用、具体的には熱圧成型不燃建材を製造する際に水酸化アルミニウムや炭酸カルシウムなどの粉体と接着剤としての樹脂を混合し、まぶした時にコンパウンドにしっとり感を付与する役割を果す。
その使用量は、全使用成分中1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。
本発明に使用できるポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(C)の例としては、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタアクリレート、トリプロピレングリコールモノメタアクリレートなどが挙げられる。
【0008】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)とポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(C)はそれぞれ単独で使用してもよく、また任意の割合で併用してもよい。併用の場合は(B)と(C)の合計使用量が全使用成分中1〜50重量%となる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)とポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)の合計使用量が全使用成分中1重量%未満の場合は、組成物の可とう性と保水性が劣り、該組成物を用いて製造された建材、例えば熱圧成型不燃建材などの場合には、成型加工時樹脂と粉体を混合したとき保水性が乏しく、パサパサの状態となり、極めて成型加工性に劣った状態となる。また加工して完成した建材は硬くて脆く、常態、耐湿性、耐水性の諸強度も劣るといった欠陥を有する。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)とポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)の合計使用量が全使用成分中50重量%より多い場合は、光硬化性は優れるものの、常態および高温、高湿下での硬度が不足し、不燃性にも問題が生ずる。したがって、この組成物を用いて加工された建材も同様な欠点を有する。
【0009】
次に縮合反応についてであるが、例えば具体的にはアミノプラスト樹脂(A)として一般によく知られているメラミン−ホルマリン樹脂を用いた場合、通常のアミノプラスト樹脂を製造する公知の方法に基づいて、次のような方法によって行う。
先ず、所定の割合で配合したメラミンとホルマリンを弱アルカリ性で反応し、メラミンのメチロール化を行う。次にこれに強アルカリ性下でメタノールを反応させ、アミノプラスト樹脂(A)としてメトキシメチルメラミンを得る。その後、系を弱酸性に調整して、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)(例えば2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)および/またはポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(C)(例えばトリプロピレングリコールモノメタアクリレート)を反応させる。安定性を保持するため、系を再び弱アルカリ性に調整して、目的のアクリル変性アミノプラスト樹脂を得る。生成した樹脂をそのまま建材用の加工に用いてもよいし、通常一般のアミノプラスト樹脂についてよく行われるように、生成樹脂を一定の濃度まで減圧濃縮して、過剰の水、メタノール、ホルマリン等を除去してから建材の製造加工に用いても良い。また該樹脂はラジカル重合性の二重結合を有するので、光や熱により貯蔵中に重合、硬化し、ゲル化に至る場合もあるため、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)などの少量の重合禁止剤の添加が必要となる場合もある。
【0010】
【実施例】
以下実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に制限されない。
(実施例1)
熱圧成型不燃板を作成するに際し、次のような配合と手順によりアクリル変性アミノプラスト樹脂を調整した。まず、使用した原料を表1に示す。
【0011】
【表1】
▲1▼メラミン 360g
▲2▼ホルマリン(37%) 509g
▲3▼苛性ソーダ(20%水溶液) 1.2ml
▲4▼メタノール 200g
▲5▼苛性ソーダ(40%水溶液) 8.4g
▲6▼塩酸(10%水溶液) 17ml
▲7▼トリエチレングリコールモノメタアクリレート 120g
▲8▼メトキノン 0.5g
▲9▼苛性ソーダ(20%水溶液) 5ml
【0012】
▲1▼、▲2▼、▲3▼を反応容器に仕込む。pH8.6〜9.0にて80℃、60分間反応し、メチロール化を行う。次に▲4▼、▲5▼を加え、さらに80℃、60分間反応しメトキシ化を行う。
▲6▼にてpHを6.5に調整し、60℃にて▲7▼、▲8▼を加えて水混和度(水をビーカーに満たし、反応液を1滴落とした時若干白濁する状態で▲9▼を添加して反応を止める。)500〜1000%まで反応する。最終pHは9.0〜9.2に調整する。
【0013】
上記で合成したアクリル変性アミノプラスト樹脂を用いて、下記の表2の配合にて熱圧成型不燃板を作成する。
【0014】
【表2】
▲1▼水酸化アルミニウム 75g
▲2▼炭酸カルシウム 19g
▲3▼アクリル変性アミノプラスト樹脂(上記合成) 7g
▲4▼硬化触媒(高級アミン塩酸塩) 0.33g
【0015】
▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼をよく混練し、高さ4mmで10cm四方の枠に流し込み、30kg/cm2、140℃、20分間熱圧後冷却し、成型物を得る。
得られた成型板について諸物性を測定した。結果を表3に示す。
【0016】
(実施例2)
実施例1でアクリル変性アミノプラスト樹脂の製造においてトリエチレングリコールモノメタアクリレート120gの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート30gを用いた以外は実施例1と全く同様に行った。結果を表3に示す。
【0017】
(実施例3)
実施例1および2で合成した樹脂を突き板上に150g/m2(ウェット)塗布した(樹脂は固形分濃度48%で見かけそのままを用いた。硬化触媒として見かけの樹脂に対して6%のパラトルエンスルホン酸、4%の光硬化触媒(商品名ガルキュアー)を用いた)。60℃、10分間乾燥後800W高圧水銀ランプを用いてUVキュアー(5回通し)を行った。その後20℃、60%RHで48時間乾燥し、表面硬度の変化を測定した。結果を表4に示す。
【0018】
(実施例4)
実施例1および2で合成した樹脂固形分18gを水にて2000gに希釈し、バットに入れる。30cm×30cmの大きさのロックウール原板3枚を上記希釈樹脂の張ったバットに漬ける。760mmHgの減圧(真空状態)下にて、10分間、樹脂水溶液を全量ボードに含浸させる。その後ボードを軽くプレスし、50℃にて24時間乾燥する。その後ボードを180℃で90分間キュアリングを行う。冷却後諸物性につきテストした。結果を表5に示す。
【0019】
(実施例5)
実施例1および2で合成した樹脂をシージングボードのウェットマットに刷毛(両面塗布)にて樹脂固形分で5%含浸した。その後予備乾燥を50℃、1時間、キュアリングを150℃、5分間行った。冷却後諸物性を測定した。結果を表6に示す。
【0020】
(比較例1)
実施例1で全く同様に▲1▼、▲2▼、▲3▼を反応容器に仕込む。pH8.6〜9.0にて80℃、60分間反応し、次に▲4▼、▲5▼を加え、80℃、60分間反応し、冷却後▲6▼を添加してpH9.0〜9.2に調整してメラミン−ホルマリン樹脂を得る。
上記で得られた樹脂を用いて、実施例1と全く同様に熱圧成型不燃板を得た。諸物性の測定結果を表3に示す。
【0021】
(比較例2)
実施例1に於いて▲7▼の代わりにトリエチレングリコールモノメタアクリレート700gを用いた他は実施例1と全く同様に行った。得られた樹脂を用いて、実施例1と全く同様に熱圧成型不燃板を得た。諸物性の測定結果を表3に示す。
なお、一般的なフェノール樹脂を用いた場合を参考として併せて表3に示す。
【0022】
(比較例3)
比較例1および2で合成した樹脂を実施例3と全く同様に突き板上に塗布し、表面硬度を測定した。結果を表4に示す。
【0023】
(比較例4)
比較例1および2で合成した樹脂、および比較例1で合成したメラミン−ホルマリン樹脂にアクリルエマルジョン(メチルメタアクリレートとブチルアクリレートとメタアクリル酸の重量比で68:30:2の共重合エマルジョン、固形分濃度50%、アニオン−ノニオン性)を固形分比で1:1でブレンドした樹脂(EMブレンド)を用いて、実施例4と全く同様にロックウール板に樹脂含浸し、諸物性を測定した。結果を表5に示す。
【0024】
(比較例5)
比較例1および2で合成した樹脂を実施例5と全く同様にシージングボードに樹脂含浸した。諸物性の測定結果を表6に示す。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【発明の効果】
本発明の組成物は、アクリル変性したアミノプラスト樹脂を主成分とするものであり、アクリル樹脂の持つ、熱可塑性樹脂の特徴である可とう性、保水性とアミノプラスト樹脂の持つ、熱硬化性樹脂の特徴である硬さを併せ持ち、建材用接着剤として熱圧成型不燃建材の場合には、水酸化アルミニウムや炭酸カルシウム等の各種粉体と樹脂の混和状態において、粉体がブロック化せず、しっとり感に代表される質感や成型加工性に優れ、成型加工品の常態、耐水、耐湿における諸強度に優れ、非着色性や不燃性にも優れる。また、ロックウール天井板等でも常態、耐水、耐湿の諸強度や可とう性に優れた建材を提供する効果を有する。さらに畳芯等でも芯材としてシージングボードや紙板に含浸させた場合、芯材として必要な硬度や諸強度を提供する効果を有する。
Claims (1)
- アミノプラスト樹脂(A)50〜99重量%(固形分)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(B)および/またはポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(C)1〜50重量%との縮合反応生成物を含有してなる建材用接着剤組成物。
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