JP2019066224A - 物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体 - Google Patents

物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】Q値の低下を低減することのできる物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を提供する。【解決手段】本発明の物理量センサーは、駆動振動体と、検出振動体と、平面視で、前記駆動振動体と前記検出振動体の間に配置され、前記駆動振動体と前記検出振動体とが並んでいる第1方向に弾性変形可能な弾性変形部と、を含み、前記駆動振動体と前記検出振動体とは、前記第1方向に逆相で振動する。また、前記駆動振動体と前記検出振動体は、前記第1方向に互いに接近と離間とを交互に繰り返すように振動する。【選択図】図3

Description

本発明は、物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体に関するものである。
例えば、特許文献1に記載の角速度センサーは、支持基板と、支持基板に支持された素子部と、を有している。また、素子部は、X軸方向に振動する駆動部と、駆動部と共にX軸方向に振動し、Y軸まわりの角速度が加わるとZ軸方向にも振動する検出部と、を有している。
米国特許出願公開第2011/0132087号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の角速度センサーでは、駆動部と検出部とが梁で連結されているため、駆動部と検出部とがX軸方向に同相で振動する。そのため、支持基板への振動漏れが大きくなり易く、その分、物理量センサーのQ値が低下してしまう。
本発明の目的は、Q値の低下を低減することのできる物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の発明として実現することが可能である。
本発明の物理量センサーは、駆動振動体と、
検出振動体と、
平面視で、前記駆動振動体と前記検出振動体の間に配置され、前記駆動振動体と前記検出振動体とが並んでいる第1方向に弾性変形可能な弾性変形部と、
を含み、
前記駆動振動体と前記検出振動体とは、前記第1方向に逆相で振動することを特徴とする。
これにより、駆動振動体と検出振動体の振動がキャンセルされて、振動漏れが低減される。そのため、Q値の低下を低減することのできる物理量センサーが得られる。
本発明の物理量センサーでは、前記駆動振動体と前記検出振動体は、
前記第1方向に互いに接近と離間とを交互に繰り返すように振動する。
これにより、駆動振動体と検出振動体の振動がキャンセルされて、振動漏れが低減される。
本発明の物理量センサーでは、前記駆動振動体の質量と、前記検出振動体の質量と、は異なることが好ましい。
これにより、検出振動体の振幅を簡単に調整することができる。
本発明の物理量センサーでは、前記駆動振動体の質量は、前記検出振動体の質量より小さいことが好ましい。
これにより、検出振動体の振幅を効果的に大きくすることができる。
本発明の物理量センサーでは、前記検出振動体が前記第1方向に振動する振幅は、前記駆動振動体が前記第1方向に振動する振幅よりも大きいことが好ましい。
これにより、物理量の検出感度が向上する。
本発明の物理量センサーでは、前記弾性変形部は、
弾性変形部本体と、
前記弾性変形部本体と前記駆動振動体とを連結している第1梁と、
前記弾性変形部本体と前記検出振動体とを連結している第2梁と、を含むことが好ましい。
これにより、弾性変形部の構成が比較的簡単なものとなる。
本発明の物理量センサーでは、前記弾性変形部本体は、
長手方向が前記第1方向と直交する第2方向に沿い、前記第1方向に弾性変形可能な第1アームと、
長手方向が前記第2方向に沿い、前記第1アームと前記第1方向に間隔を空けて配置され、前記第1方向に弾性変形可能な第2アームと、
前記第1アームと前記第2アームの一端部側同士を接続している第1接続部と、
前記第1アームと前記第2アームの他端部側同士を接続している第2接続部と、を含むことが好ましい。
これにより、弾性変形部本体の構成が比較的簡単なものとなる。
本発明の物理量センサーでは、弾性変形部は、直列的に配置されている複数の前記弾性変形部本体を含むことが好ましい。
これにより、検出振動体の振幅を増大させることができる。
本発明の物理量センサーでは、複数の前記弾性変形部を含むことが好ましい。
これにより、バネと検出振動体との接続部分およびバネと駆動振動体との接続部分への応力集中が緩和される。そのため、耐衝撃性を高めることができる。
本発明の物理量センサーでは、前記弾性変形部は、バネ状であることが好ましい。
これにより、弾性変形部の構成が簡単なものとなる。
本発明の慣性計測装置は、本発明の物理量センサーと、
前記物理量センサーの駆動を制御する制御回路と、を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い慣性計測装置が得られる。
本発明の移動体測位装置は、本発明の慣性計測装置と、
測位用衛星から位置情報が重畳された衛星信号を受信する受信部と、
受信した前記衛星信号に基づいて、前記受信部の位置情報を取得する取得部と、
前記慣性計測装置から出力された慣性データに基づいて、移動体の姿勢を演算する演算部と、
算出された前記姿勢に基づいて前記位置情報を補正することにより、前記移動体の位置を算出する算出部と、を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の慣性計測装置の効果を享受でき、信頼性の高い移動体測位装置が得られる。
本発明の携帯型電子機器は、本発明の物理量センサーと、
前記物理量センサーが収容されているケースと、
前記ケースに収容され、前記物理量センサーからの出力データを処理する処理部と、
前記ケースに収容されている表示部と、
前記ケースの開口部を塞いでいる透光性カバーと、
を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い携帯型電子機器が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーと、
制御回路と、
補正回路と、を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明の移動体は、本発明の物理量センサーと、
姿勢制御部と、を含むことを特徴とする。
これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1の物理量センサーが有する素子部を示す平面図である。 図3の素子部が有する逆相バネの拡大平面図である。 図3の素子部が有する逆相バネの拡大平面図である。 図3に示す素子部の振動モードを説明するための模式図である。 Q値の比較のために用いた素子部を示す平面図である。 Q値の比較のために用いた素子部を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。 本発明の第3実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。 本発明の第4実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。 本発明の第5実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。 本発明の第6実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。 本発明の第7実施形態に係る慣性計測装置の分解斜視図である。 図14に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。 本発明の第8実施形態に係る移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。 図16に示す移動体測位装置の作用を示す図である。 本発明の第9実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第10実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第11実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。 本発明の第12実施形態に係る携帯型電子機器を示す平面図である。 図21に示す携帯型電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。 本発明の第13実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
以下、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る物理量センサーを示す平面図である。図2は、図1中のA−A線断面図である。図3は、図1の物理量センサーが有する素子部を示す平面図である。図4および図5は、それぞれ、図3の素子部が有する逆相バネの拡大平面図である。図6は、図3に示す素子部の振動モードを説明するための模式図である。図7および図8は、Q値の比較のために用いた素子部を示す平面図である。各図には、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。
図1に示す物理量センサー1は、Z軸まわりの角速度ωzを検出することのできる角速度センサーである。物理量センサー1は、基板2と、蓋体3と、素子部4と、を有している。
図1に示すように、基板2は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、基板2は、上面に開放する凹部21を有している。凹部21は、素子部4と基板2との接触を防止(抑制)するための逃げ部として機能する。また、基板2は、凹部21の底面から突出する複数のマウント22(221、222、223、224、225)を有している。そして、これらマウント22の上面に素子部4が接合されている。これにより、基板2との接触が防止された状態で、基板2に素子部4を固定することができる。また、基板2は、上面に開放する溝部23、24、25、26、27、28を有している。
基板2としては、例えば、ナトリウムイオン(Na)、リチウムイオン(Li)等の可動イオン(アルカリ金属イオン、以下Naで代表する)を含むガラス材料(例えば、テンパックスガラス(登録商標)、パイレックスガラス(登録商標)のような硼珪酸ガラス)で構成されたガラス基板を用いることができる。これにより、例えば、後述するように、基板2と素子部4とを陽極接合することができ、これらを強固に接合することができる。また、光透過性を有する基板2が得られるため、物理量センサー1の外側から、基板2を介して素子部4の状態を視認することができる。ただし、基板2の構成材料としては、特に限定されず、シリコン基板、セラミックス基板等を用いてもよい。
図1に示すように、溝部23、24、25、26、27、28には、それぞれ、配線73、74、75、76、77、78が配置されている。配線73、74、75、76、77、78は、それぞれ、素子部4と電気的に接続されている。また、配線73、74、75、76、77、78の一端部は、それぞれ、蓋体3の外側に露出し、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドPとして機能する。
図1に示すように、蓋体3は、矩形の平面視形状を有する板状をなしている。また、図2に示すように、蓋体3は、下面に開放する凹部31を有している。蓋体3は、凹部31内に素子部4を収納するようにして、基板2の上面に接合されている。そして、蓋体3および基板2によって、その内側に、素子部4を収納する収納空間Sが形成されている。
また、図2に示すように、蓋体3は、収納空間Sの内外を連通する連通孔32を有している。そのため、連通孔32を介して、収納空間Sを所望の雰囲気に置換することができる。また、連通孔32内には封止部材33が配置され、封止部材33によって連通孔32が気密封止されている。なお、収納空間Sは、減圧状態、特に真空状態であることが好ましい。これにより、粘性抵抗が減り、素子部4を効率的に振動させることができる。
このような蓋体3としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。ただし、蓋体3としては、特に限定されず、例えば、ガラス基板やセラミックス基板を用いてもよい。また、基板2と蓋体3との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋体3の材料によって適宜選択すればよいが、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基板2の上面および蓋体3の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等が挙げられる。本実施形態では、ガラスフリット39(低融点ガラス)を介して基板2と蓋体3とが接合されている。
素子部4は、収納空間Sに配置されており、マウント22の上面に接合されている。素子部4は、例えば、リン(P)、ボロン(B)等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をドライエッチング法(シリコンディープエッチング)によってパターニングすることで形成することができる。以下、素子部4について詳細に説明する。なお、以下では、Z軸方向からの平面視で、素子部4の中心Oと交わり、Y軸方向に延びる直線を「仮想直線α」とも言う。
図3に示すように、素子部4の形状は、仮想直線αに対して対称である。また、素子部4は、仮想直線αの両側に配置された駆動部41A、41Bを有している。駆動部41Aは、櫛歯状の可動駆動電極411Aと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Aと噛み合って配置された固定駆動電極412Aと、を有している。同様に、駆動部41Bは、櫛歯状の可動駆動電極411Bと、櫛歯状をなし可動駆動電極411Bと噛み合って配置された固定駆動電極412Bと、を有している。
また、固定駆動電極412Aは、可動駆動電極411Aよりも外側(仮想直線αから遠い側)に位置し、固定駆動電極412Bは、可動駆動電極411Bよりも外側(仮想直線αから遠い側)に位置している。また、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、マウント221の上面に接合され、基板2に固定されている。また、可動駆動電極411A、411Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続されており、固定駆動電極412A、412Bは、それぞれ、配線74と電気的に接続されている。
また、素子部4は、駆動部41Aの周囲に配置された4つの固定部42Aと、駆動部41Bの周囲に配置された4つの固定部42Bと、を有している。そして、各固定部42A、42Bは、マウント222の上面に接合され、基板2に固定されている。
また、素子部4は、各固定部42Aと可動駆動電極411Aとを連結する4つの駆動バネ43Aと、各固定部42Bと可動駆動電極411Bとを連結する4つの駆動バネ43Bと、を有している。各駆動バネ43AがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411AのX軸方向への変位が許容され、各駆動バネ43BがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411BのX軸方向への変位が許容される。
配線73、74を介して可動駆動電極411A、411Bと固定駆動電極412A、412Bとの間に駆動電圧を印加すると、可動駆動電極411Aと固定駆動電極412Aとの間および可動駆動電極411Bと固定駆動電極412Bとの間にそれぞれ静電引力が発生し、可動駆動電極411Aが駆動バネ43AをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動すると共に、可動駆動電極411Bが駆動バネ43BをX軸方向に弾性変形させつつX軸方向に振動する。駆動部41A、41Bは、仮想直線αに対して対称的に配置されているため、可動駆動電極411A、411Bは、互いに接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動する。そのため、可動駆動電極411A、411Bの振動がキャンセルされ、振動漏れを低減することができる。以下では、この振動モードを「駆動振動モード」とも言う。
なお、本実施形態の物理量センサー1では、静電引力によって駆動振動モードを励振させる静電駆動方式となっているが、駆動振動モードを励振させる方式としては、特に限定されず、例えば、圧電駆動方式、磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することもできる。
また、素子部4は、駆動部41A、41Bの間に配置された検出部44A、44Bを有している。検出部44Aは、櫛歯状に配置された複数の電極指を備えた可動検出電極441Aと、櫛歯状に配置された複数の電極指を備え可動検出電極441Aの電極指と噛み合って配置された固定検出電極442A、443Aと、を有している。固定検出電極442A、443Aは、Y軸方向に並んで配置され、可動検出電極441Aの中心に対してY軸方向プラス側に固定検出電極442Aが位置し、Y軸方向マイナス側に固定検出電極443Aが位置している。また、固定検出電極442A、443Aは、それぞれ、可動検出電極441AをX軸方向両側から挟み込むようにして一対配置されている。
なお、可動検出電極441Aは、可動駆動電極411Aと異なる質量を有している。本実施形態では、可動検出電極441Aの質量は、可動駆動電極411Aの質量よりも大きい。ただし、これに限定されず、可動検出電極441Aの質量は、可動駆動電極411Aの質量と等しくてもよいし、可動駆動電極411Aの質量よりも小さくてもよい。
同様に、検出部44Bは、櫛歯状に配置された複数の電極指を備えた可動検出電極441Bと、櫛歯状に配置された複数の電極指を備え可動検出電極441Bの電極指と噛み合って配置された固定検出電極442B、443Bと、を有している。固定検出電極442B、443Bは、Y軸方向に並んで配置され、可動検出電極441Bの中心に対してY軸方向プラス側に固定検出電極442Bが位置し、Y軸方向マイナス側に固定検出電極443Bが位置している。また、固定検出電極442B、443Bは、それぞれ、可動検出電極441BをX軸方向の両側から挟み込むようにして一対配置されている。
なお、可動検出電極441Bは、可動駆動電極411Bと異なる質量を有している。本実施形態では、可動検出電極441Bの質量は、可動駆動電極411Bの質量よりも大きい。ただし、これに限定されず、可動検出電極441Bの質量は、可動駆動電極411Bの質量と等しくてもよいし、可動駆動電極411Bの質量よりも小さくてもよい。
可動検出電極441A、441Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定検出電極442A、443Bは、それぞれ、配線75と電気的に接続され、固定検出電極443A、442Bは、それぞれ、配線76と電気的に接続されている。物理量センサー1の駆動時には、可動検出電極441Aと固定検出電極442Aとの間および可動検出電極441Bと固定検出電極443Bとの間に静電容量Caが形成され、可動検出電極441Aと固定検出電極443Aとの間および可動検出電極441Bと固定検出電極442Bとの間に静電容量Cbが形成される。
また、素子部4は、検出部44A、44Bの間に配置された2つの固定部451、452を有している。固定部451、452は、それぞれ、マウント224の上面に接合され、基板2に固定されている。固定部451、452は、Y軸方向に並び、間隔を空けて配置されている。なお、本実施形態では、固定部451、452を介して可動駆動電極411A、411Bや可動検出電極441A、441Bが配線73と電気的に接続されている。
また、素子部4は、可動検出電極441Aと固定部42A、451、452とを接続する4つの検出バネ46Aと、可動検出電極441Bと固定部42B、451、452とを接続する4つの検出バネ46Bと、を有している。各検出バネ46AがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのX軸方向への変位が許容され、Y軸方向に弾性変形することで可動検出電極441AのY軸方向への変位が許容される。同様に、各検出バネ46BがX軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのX軸方向への変位が許容され、Y軸方向に弾性変形することで可動検出電極441BのY軸方向への変位が許容される。
また、素子部4は、駆動部41Aと検出部44Aとの間に位置し、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとを接続する逆相バネ47Aと、駆動部41Bと検出部44Bとの間に位置し、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとを接続する逆相バネ47Bと、を有している。可動検出電極441Aは、逆相バネ47AがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411Aに対してX軸方向に変位することができる。同様に、可動検出電極441Bは、逆相バネ47BがX軸方向に弾性変形することで可動駆動電極411Bに対してX軸方向に変位することができる。
図4に示すように、逆相バネ47Aは、バネ本体471Aと、バネ本体471Aと可動駆動電極411Aとを連結する梁477Aと、バネ本体471Aと可動検出電極441Aとを連結する梁478Aと、を有している。また、バネ本体471Aは、Y軸方向に延在する形状をなし、X軸方向に弾性変形可能なアーム472Aと、Y軸方向に延在する形状をなし、X軸方向に弾性変形可能なアーム473Aと、を有している。アーム472A、473Aは、X軸方向に隙間を空けて配置され、アーム472Aの中央部に梁477Aが接続され、アーム473Aの中央部に梁478Aが接続されている。また、バネ本体471Aは、アーム472A、473Aの一端部同士を接続する接続部474Aと、アーム472A、473Aの他端部同士を接続する接続部475Aと、を有している。したがって、バネ本体471Aは、中央部が開口する枠状となっている。
逆相バネ47Bは、逆相バネ47Aと同様の構成であり、図5に示すように、バネ本体471Bと、バネ本体471Bと可動駆動電極411Bとを連結する梁477Bと、バネ本体471Bと可動検出電極441Bとを連結する梁478Bと、を有している。
ここで、図6に示すように、駆動振動モードでは、可動駆動電極411Aの振動が逆相バネ47Aを介して可動検出電極441Aに伝わるため、可動検出電極441Aは、可動駆動電極411Aの振動に連動してX軸方向に振動する。同様に、可動駆動電極411Bの振動が逆相バネ47Bを介して可動検出電極441Bに伝わるため、可動検出電極441Bは、可動駆動電極411Bの振動に連動してX軸方向に振動する。また、前述したように、可動駆動電極411A、411BがX軸方向に逆相で振動するため、可動検出電極441A、441Bも、互いに接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動する。そのため、可動検出電極441A、441Bの振動がキャンセルされ、基板2への振動漏れを低減することができる。
さらに、駆動振動モードでは、逆相バネ47Aの弾性変形を利用して、可動検出電極441Aは、可動駆動電極411Aと接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動する。同様に、逆相バネ47Bの弾性変形を利用して、可動検出電極441Bは、可動駆動電極411Bと接近、離間を繰り返すようにX軸方向に逆相で振動する。これにより、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aの振動の少なくとも一部がキャンセルされると共に、可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bの振動の少なくとも一部がキャンセルされる。したがって、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bがそれぞれ同相で振動する場合と比較して、基板2への振動漏れをより効果的に低減することができる。なお、駆動振動モードで可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aとを逆相で振動させるためには、例えば、これらの間にある逆相バネ47Aのバネ定数を調整すればよく、可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bとを逆相で振動させるためには、例えば、これらの間にある逆相バネ47Bのバネ定数を調整すればよい。
なお、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bがそれぞれ逆相で振動する逆相モードの共振周波数f1と、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bがそれぞれ同相で振動する同相モードの共振周波数f2と、の差が大きい程、逆相モードで振動させ易く、また、同相モードが結合し難くなる(すなわち、逆相モードが支配的となる)。具体的は、例えば、逆相モードの共振周波数f1が30kHz程度である場合、同相モードの共振周波数f2は、共振周波数から3kHz以上(すなわち、10%以上)離れていることが好ましい。これにより、同相モードが十分に結合し難くなり、より安定して、逆相モードで駆動させることができる。
なお、「可動検出電極441A(441B)と可動駆動電極411A(411B)とを逆相で振動させる」とは、逆相モード以外の振動が結合していない場合はもちろん、逆相モードが支配的であれば、他の振動モード(例えば、前述した同相モード)が結合していてもよい。また、例えば、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aとの振動に位相差がない場合はもちろん、位相差がある場合も含まれる。位相差がない場合とは、例えば、可動駆動電極411AがX軸方向プラス側に変位し出す時刻と可動検出電極441AがX軸方向マイナス側に変位し出す時刻が一致していることを意味する。また、位相差がある場合とは、例えば、可動駆動電極411AがX軸方向プラス側に変位し出す時刻よりも後から可動検出電極441AがX軸方向マイナス側に変位し出すことを意味する。
このような駆動振動モードで駆動させている最中に物理量センサー1に角速度ωzが加わると、可動検出電極441A、441Bは、コリオリの力によって、図6中の矢印Aに示すように、検出バネ46A、46BをY軸方向に弾性変形させつつY軸方向に逆相で振動する(この振動を「検出振動モード」とも言う)。検出振動モードでは、可動検出電極441A、441BがY軸方向に振動するため、可動検出電極441Aと固定検出電極442A、443Aとのギャップおよび可動検出電極441Bと固定検出電極442B、443Bとのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Ca、Cbがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Ca、Cbの変化に基づいて、角速度ωzを求めることができる。
検出振動モードでは、静電容量Caが大きくなると静電容量Cbが小さくなり、反対に、静電容量Caが小さくなると静電容量Cbが大きくなる。そのため、配線75に接続されたQVアンプから出力される検出信号(静電容量Caの大きさに応じた信号)と、配線76に接続されたQVアンプから出力される検出信号(静電容量Cbの大きさに応じた信号)とを差動演算(減算処理:Ca−Cb)することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく角速度ωzを検出することができる。
ここで、駆動振動モードでは、逆相バネ47Aの伸縮によって可動検出電極441Aの振幅が可動駆動電極411Aの振幅よりも大きくなり、逆相バネ47Bの伸縮によって可動検出電極441Bの振幅が可動駆動電極411Bの振幅よりも大きくなる。そのため、駆動振動モードでの可動検出電極441A、441Bの振幅を増大させることができ、その分、より大きいコリオリの力が作用する。したがって、角速度ωzの検出感度が向上する。また、小さい駆動力で可動検出電極441A、441Bを大きく振動させることができるため、消費電力を低減することもできる。
また、図3に示すように、素子部4は、その中央部(検出部44A、44Bの間)に位置するフレーム48を有している。フレーム48は、「H」形状をなし、Y軸方向プラス側に位置する欠損部481(凹部)と、Y軸方向マイナス側に位置する欠損部482(凹部)と、を有している。そして、欠損部481の内外に亘って固定部451が配置されており、欠損部482の内外に亘って固定部452が配置されている。これにより、固定部451、452をY軸方向に長く形成することができ、その分、基板2との接合面積が増え、基板2と素子部4との接合強度が増す。
また、素子部4は、固定部451とフレーム48との間に位置し、これらを接続するフレームバネ488と、固定部452とフレーム48との間に位置し、これらを接続するフレームバネ489と、を有している。
また、素子部4は、フレーム48と可動検出電極441Aとの間に位置し、これらを接続する接続バネ40Aと、フレーム48と可動検出電極441Bとの間に位置し、これらを接続する接続バネ40Bと、を有している。接続バネ40Aは、検出バネ46Aと共に可動検出電極441Aを支持し、接続バネ40Bは、検出バネ46Bと共に可動検出電極441Bを支持している。そのため、可動検出電極441A、441Bを安定した姿勢で支持することができ、可動検出電極441A、441Bの不要振動(スプリアス)を低減することができる。
なお、駆動振動モードでは、接続バネ40A、40Bが弾性変形することで可動体4A、4Bの振動が許容され、検出振動モードでは、接続バネ40A、40Bおよびフレームバネ488、489が弾性変形すると共に、フレーム48が中心Oまわりに回動することで、可動検出電極441A、441BのY軸方向への振動が許容される。
また、素子部4は、駆動振動モードでの可動駆動電極411A、411Bの振動状態を検出するためのモニター部49A、49Bを有している。モニター部49Aは、可動検出電極441Aに配置され、櫛歯状に配置された複数の電極指を備えた可動モニター電極491Aと、櫛歯状に配置された複数の電極指を備え可動モニター電極491Aの電極指と噛み合って配置された固定モニター電極492A、493Aと、を有している。固定モニター電極492Aは、可動モニター電極491Aに対してX軸方向プラス側に位置し、固定モニター電極493Aは、可動モニター電極491Aに対してX軸方向マイナス側に位置している。
同様に、モニター部49Bは、可動検出電極441Bに配置され、櫛歯状に配置された複数の電極指を備えた可動モニター電極491Bと、櫛歯状に配置された複数の電極指を備え可動モニター電極491Bの電極指と噛み合って配置された固定モニター電極492B、493Bと、を有している。固定モニター電極492Bは、可動モニター電極491Bに対してX軸方向マイナス側に位置し、固定モニター電極493Bは、可動モニター電極491Bに対してX軸方向プラス側に位置している。
これら固定モニター電極492A、493A、492B、493Bは、それぞれ、マウント225の上面に接合され、基板2に固定されている。また、可動モニター電極491A、491Bは、それぞれ、配線73と電気的に接続され、固定モニター電極492A、492Bは、それそれ、配線77と電気的に接続され、固定モニター電極493A、493Bは、それぞれ、配線78と電気的に接続されている。また、配線77、78は、それぞれ、QVアンプ(電荷電圧変換回路)に接続される。物理量センサー1の駆動時には、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極492Bとの間に静電容量Ccが形成され、可動モニター電極491Aと固定モニター電極493Aとの間および可動モニター電極491Bと固定モニター電極493Bとの間に静電容量Cdが形成される。
前述したように、駆動振動モードでは、可動検出電極441A、441BがX軸方向に振動するため、可動モニター電極491Aと固定モニター電極492A、493Aとのギャップおよび可動モニター電極491Bと固定モニター電極492B、493Bとのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Cc、Cdがそれぞれ変化する。そのため、静電容量Cc、Cdの変化に基づいて、可動体4A、4Bの振動状態(特にX軸方向への振幅)を検出することができる。
駆動振動モードでは、静電容量Ccが大きくなると静電容量Cdが小さくなり、反対に、静電容量Ccが小さくなると静電容量Cdが大きくなる。そのため、配線77に接続されたQVアンプから得られる検出信号(静電容量Ccの大きさに応じた信号)と、配線78に接続されたQVアンプから得られる検出信号(静電容量Cdの大きさに応じた信号)とを差動演算(減算処理:Cc−Cd)することで、ノイズをキャンセルすることができ、より精度よく可動体4A、4Bの振動状態を検出することができる。
なお、モニター部49A、49Bからの出力によって検出された可動体4A、4Bの振動状態(振幅)は、可動体4A、4Bに電圧V2を印加する駆動回路にフィードバックされる。駆動回路は、可動体4A、4Bの振幅が目標値となるように、電圧V2の周波数やDuty比を変更する。これにより、より確実に、可動体4A、4Bを所定の振幅で振動させることができ、角速度ωzの検出精度が向上する。
以上、物理量センサー1について説明した。このような物理量センサー1は、前述したように、可動駆動電極411A、411B(駆動振動体)と、可動検出電極441A、441B(検出振動体)と、平面視で、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aの間に配置され、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとが並んでいるX軸方向(第1方向)に弾性変形可能な逆相バネ47A(弾性変形部)と、平面視で、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bの間に配置され、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとが並んでいるX軸方向(第1方向)に弾性変形可能な逆相バネ47B(弾性変形部)と、を含んでいる。そして、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとは、X軸方向に逆相で振動し、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとは、X軸方向に逆相で振動する。すなわち、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとは、X軸方向に互いに接近と離間とを交互に繰り返すように振動し、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとは、X軸方向に互いに接近と離間とを交互に繰り返すように振動する。
これにより、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aの振動の少なくとも一部がキャンセルされると共に、可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bの振動の少なくとも一部がキャンセルされる。したがって、可動検出電極441Aと可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Bと可動駆動電極411Bがそれぞれ同相で振動する場合と比較して、基板2への振動漏れをより効果的に低減することができる。そのため、Q値の低下が抑制され、優れた振動特性を有する物理量センサー1となる。
ここで、本実施形態の物理量センサー1のQ値について、他の構成のQ値との比較結果を示す。下記表1に示すサンプル1は、本実施形態のように、逆相バネ47A、47Bを有し、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aおよび可動駆動電極411Bと可動検出電極441BがそれぞれX軸方向に逆相で振動する構成である。また、サンプル2は、図7に示すように、同相バネ50A、50Bを有し、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aおよび可動駆動電極411Bと可動検出電極441BがそれぞれX軸方向に同相で振動する構成である。また、サンプル3は、図8に示すように、実質的にX軸方向に弾性変形しない梁51A、51Bを有し、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aおよび可動駆動電極411Bと可動検出電極441BがX軸方向に同相で振動する構成である。表1から、サンプル1のQ値が、サンプル2、3のQ値よりも大きいことが分かる。そのため、前述した効果を発揮できることが明らかである。
Figure 2019066224
また、前述したように、物理量センサー1では、可動駆動電極411Aの質量と、可動検出電極441Aの質量と、が異なっており、可動駆動電極411Bの質量と、可動検出電極441Bの質量と、が異なっている。これにより、可動検出電極441A、441Bの振幅を調整し易くなる。特に、本実施形態では、可動駆動電極411A、411Bの質量は、可動検出電極441A、441Bの質量より小さい。そのため、可動駆動電極411A、411Bの慣性を高めることができ、可動駆動電極411A、411Bの振幅を大きくすることができる。
また、前述したように、物理量センサー1では、可動検出電極441A、441BがX軸方向に振動する振幅は、可動駆動電極411A、411BがX軸方向に振動する振幅よりも大きい。そのため、可動検出電極441A、441Bに作用するコリオリの力を大きくすることができ、角速度ωzの検出感度が向上する。
また、前述したように、物理量センサー1では、逆相バネ47A(弾性変形部)は、バネ本体471A(弾性変形部本体)と、バネ本体471Aと可動駆動電極411Aとを連結している梁477A(第1梁)と、バネ本体471Aと可動検出電極441Aとを連結している梁478A(第2梁)と、を含んでいる。同様に、逆相バネ47B(弾性変形部)は、バネ本体471B(弾性変形部本体)と、バネ本体471Bと可動駆動電極411Bとを連結している梁477B(第1梁)と、バネ本体471Bと可動検出電極441Bとを連結している梁478B(第2梁)と、を含んでいる。これにより、逆相バネ47A、47Bの構成が比較的簡単なものとなる。
また、前述したように、物理量センサー1では、バネ本体471Aは、長手方向がY軸方向(X軸方向と直交する第2方向)に沿い、X軸方向に弾性変形可能なアーム472A(第1アーム)と、長手方向がY軸方向に沿い、アーム472AとX軸方向に間隔を空けて配置され、X軸方向に弾性変形可能なアーム473A(第2アーム)と、アーム472Aとアーム473Aの一端部側同士を接続している接続部474A(第1接続部)と、アーム472Aとアーム473Aの他端部側同士を接続している接続部475A(第2接続部)と、を含んでいる。バネ本体471Bについても同様である。これにより、バネ本体471A、471Bの構成が比較的簡単なものとなると共に、X軸方向に十分に弾性を有するものとなる。
また、前述したように、物理量センサー1では、逆相バネ47A、47Bは、バネ状である。これにより、逆相バネ47A、47Bの構成が簡単なものとなる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図9に示すように、本実施形態の素子部4では、逆相バネ47Aが一対配置されている。一方の逆相バネ47Aは、可動駆動電極411Aと可動検出電極441AのY軸方向プラス側の端部同士を連結し、他方の逆相バネ47Aは、可動駆動電極411Aと可動検出電極441AのY軸方向マイナス側の端部同士を連結している。また、一対の逆相バネ47Aの間には固定部42A(42A’)と、固定部42A’と可動駆動電極411Aとを連結する駆動バネ43A(43A’)と、固定部42A’と可動検出電極441Aとを連結する検出バネ46A(46A’)と、が配置されている。
同様に、本実施形態の素子部4では、逆相バネ47Bが一対配置されている。一方の逆相バネ47Bは、可動駆動電極411Bと可動検出電極441BのY軸方向プラス側の端部同士を連結し、他方の逆相バネ47Bは、可動駆動電極411Bと可動検出電極441BのY軸方向マイナス側の端部同士を連結している。また、一対の逆相バネ47Bの間には固定部42B(42B’)と、固定部42B’と可動駆動電極411Bとを連結する駆動バネ43B(43B’)と、固定部42B’と可動検出電極441Bとを連結する検出バネ46B(46B’)と、が配置されている。
このような構成によれば、例えば、前述した第1実施形態の構成と比べて、固定部42A、42Bを素子部4の中心Oの近くに配置することができる。そのため、外部からの応力が素子部4に伝わり難くなり、角速度ωzの検出精度の低下を抑制することができる。
以上、第2実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図10に示すように、本実施形態の素子部4では、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとの間に、2つの逆相バネ47AがY軸方向に並んで配置されている。すなわち、素子部4は、複数の逆相バネ47Aを含んでいる。このような構成によれば、前述した第1実施形態の構成と比べて、逆相バネ47Aの数が多い分、逆相バネ47Aと可動駆動電極411Aとの接続部分への応力集中および逆相バネ47Aと可動検出電極441Aとの接続部分への応力集中を緩和することができる。そのため、物理量センサー1の耐衝撃性を向上させることができる。また、可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Aを支持する箇所が増えるため、駆動振動モードにおいて、可動駆動電極411Aおよび可動検出電極441Aをより安定してX軸方向に振動させることもできる。
同様に、本実施形態の素子部4では、可動駆動電極411Bと可動検出電極441Bとの間に、2つの逆相バネ47BがY軸方向に並んで配置されている。すなわち、素子部4は、複数の逆相バネ47Bを含んでいる。このような構成によれば、上述した逆相バネ47Aと同様の効果を発揮することができる。
以上、第3実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、素子部4が2つの逆相バネ47Aを有しているが、逆相バネ47Aの数としては、これに限定されず、3つ以上であってもよい。逆相バネ47Bの数についても同様である。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図11に示すように、本実施形態の素子部4では、逆相バネ47Aが2つのバネ本体471Aを有している。具体的には、逆相バネ47Aは、X軸方向に間隔を空けて配置された2つのバネ本体471A(471A’、471A”)と、バネ本体471A’と可動駆動電極411Aとを連結する梁477Aと、バネ本体471A”と可動検出電極441Aとを連結する梁478Aと、バネ本体471A’、471A”同士を連結する梁479Aと、を有している。すなわち、逆相バネ47Aは、直列的に配置されている複数のバネ本体471Aを含んでいる。このような構成によれば、前述した第1実施形態の構成と比べて、バネ本体471Aの数が多い分、逆相バネ47AのX軸方向ヘの変形量を大きくすることができる。そのため、駆動振動モードにおいて、可動検出電極441AのX軸方向への振幅が大きくなり、角速度ωzの検出感度が向上する。
同様に、本実施形態の素子部4では、逆相バネ47Bが2つのバネ本体471Bを有している。具体的には、逆相バネ47Bは、X軸方向に間隔を空けて配置された2つのバネ本体471B(471B’、471B”)と、バネ本体471B’と可動駆動電極411Bとを連結する梁477Bと、バネ本体471B”と可動検出電極441Bとを連結する梁478Bと、バネ本体471B’、471B”同士を連結する梁479Bと、を有している。すなわち、逆相バネ47Bは、直列的に配置されている複数のバネ本体471Bを含んでいる。このような構成によれば、上述した逆相バネ47Bと同様の効果を発揮することができる。
以上、第4実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、逆相バネ47Aが2つのバネ本体471Aを有しているが、バネ本体471Aの数としては、これに限定されず、3つ以上であってもよい。逆相バネ47Bについても同様である。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第5実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図12に示す物理量センサー1は、Y軸まわりの角速度ωyを検出することのできる角速度センサーである。このような物理量センサー1では、前述した第1実施形態の構成から固定検出電極442A、443A、442B、443Bが省略されており、検出部44Aが可動検出電極441Aから構成され、検出部44Bが可動検出電極441Bから構成されている。
その代わりに、物理量センサー1は、凹部21の底面に配置され、可動検出電極441Aと対向配置された固定検出電極81と、可動検出電極441Bと対向配置された固定検出電極82と、を有している。図示しないが、固定検出電極81は、配線75と電気的に接続され、固定検出電極82は、配線76と電気的に接続されている。物理量センサー1の駆動時には、可動検出電極441Aと固定検出電極81との間に静電容量Caが形成され、可動検出電極441Aと固定検出電極82との間に静電容量Cbが形成される。
このような構成では、駆動振動モードで駆動させている最中に物理量センサー1に角速度ωyが加わると、コリオリの力によって、Z軸方向に逆相で振動する(図12中の矢印参照)。そのため、可動検出電極441Aと固定検出電極81とのギャップおよび可動検出電極441Bと固定検出電極82とのギャップがそれぞれ変化し、それに伴って静電容量Ca、Cbがそれぞれ変化する。したがって、静電容量Ca、Cbの変化に基づいて角速度ωyを求めることができる。
以上、第5実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る物理量センサーについて説明する。
図13は、本発明の第6実施形態に係る物理量センサーの素子部を示す平面図である。
本実施形態に係る物理量センサー1では、主に、素子部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態に係る物理量センサー1と同様である。
なお、以下の説明では、第6実施形態の物理量センサー1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13では、前述した第1実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図13に示す物理量センサー1は、前述した第1実施形態の構成から、主に可動体4B(仮想直線αの片側)を省略した構成となっている。具体的には、本実施形態の物理量センサー1は、可動駆動電極411Aおよび固定駆動電極412Aを備えた駆動部41Aと、可動検出電極441Aおよび固定検出電極442A、443Aを備えた検出部44Aと、駆動部41Aの周囲に配置された4つの固定部42Aと、固定部42Aと可動駆動電極411Aとを接続する駆動バネ43Aと、駆動部41Aとの間に検出部44Aが位置するように設けられた固定部45Aと、固定部422A、45Aと可動検出電極441Aとを接続する検出バネ46Aと、固定部45Aと可動検出電極441Aとを接続する接続バネ40Aと、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとを接続する逆相バネ47Aと、可動モニター電極491Aおよび固定モニター電極492A、493Aを備えたモニター部49Aと、を有している。
このような構成によれば、駆動振動モードの際に、可動駆動電極411Aと可動検出電極441Aとの振動がキャンセルされ、振動漏れを低減することができる。また、前述した第1実施形態の構成と比較して、素子部4の大きさを約半分にすることができ、物理量センサー1の小型化を図ることができる。
以上、第6実施形態の物理量センサー1について説明した。このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る慣性計測装置について説明する。
図14は、本発明の第7実施形態に係る慣性計測装置の分解斜視図である。図15は、図14に示す慣性計測装置が有する基板の斜視図である。
図14に示す慣性計測装置2000(IMU:Inertial Measurement Unit)は、自動車や、ロボットなどの運動体(被装着装置)の姿勢や、挙動(慣性運動量)を検出する装置である。慣性計測装置2000は、3軸の加速度センサーと、3軸の角速度センサーと、を備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。また、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、固定部としてのネジ穴2110が形成されている。この2ヶ所のネジ穴2110に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。なお、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンや、デジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
慣性計測装置2000は、アウターケース2100と、接合部材2200と、センサーモジュール2300と、を有し、アウターケース2100の内部に、接合部材2200を介在させて、センサーモジュール2300を挿入した構成となっている。また、センサーモジュール2300は、インナーケース2310と、基板2320と、を有している。
アウターケース2100の外形は、慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、それぞれネジ穴2110が形成されている。また、アウターケース2100は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール2300が収納されている。
インナーケース2310は、基板2320を支持する部材であり、アウターケース2100の内部に収まる形状となっている。また、インナーケース2310には、基板2320との接触を防止するための凹部2311や後述するコネクター2330を露出させるための開口2312が形成されている。このようなインナーケース2310は、接合部材2200(例えば、接着剤を含浸させたパッキン)を介してアウターケース2100に接合されている。また、インナーケース2310の下面には接着剤を介して基板2320が接合されている。
図15に示すように、基板2320の上面には、コネクター2330、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340z、X軸、Y軸およびZ軸の各軸方向の加速度を検出する加速度センサー2350などが実装されている。また、基板2320の側面には、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340xおよびY軸まわりの角速度を検出する角速度センサー2340yが実装されている。なお、角速度センサー2340z、2340x、2340yとしては、特に限定されず、例えば、コリオリの力を利用した振動ジャイロセンサーを用いることができる。特に、Z軸方向の角速度を検出するものとして、前述した第1〜第4実施形態のいずれかの構成を用いることができる。また、加速度センサー2350としては、特に限定されず、例えば、静電容量型の加速度センサーを用いることができる。
また、基板2320の下面には、制御IC2360が実装されている。制御IC2360は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板2320には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
以上、慣性計測装置2000(慣性計測装置)について説明した。このような慣性計測装置2000は、物理量センサーとしての角速度センサー2340z、2340x、2340yおよび加速度センサー2350と、これら各センサー2340z、2340x、2340y、2350の駆動を制御する制御IC2360(制御回路)と、を含んでいる。これにより、本発明の物理量センサーの効果を享受でき、信頼性の高い慣性計測装置2000が得られる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る移動体測位装置について説明する。
図16は、本発明の第8実施形態に係る移動体測位装置の全体システムを示すブロック図である。図17は、図16に示す移動体測位装置の作用を示す図である。
図16に示す移動体測位装置3000は、移動体に装着して用い、当該移動体の測位を行うための装置である。移動体としては、特に限定されず、自転車、自動車(四輪自動車およびバイクを含む)、電車、飛行機、船等のいずれでもよいが、本実施形態では四輪自動車として説明する。移動体測位装置3000は、慣性計測装置3100(IMU)と、演算処理部3200と、GPS受信部3300と、受信アンテナ3400と、位置情報取得部3500と、位置合成部3600と、処理部3700と、通信部3800と、表示部3900と、を有している。なお、慣性計測装置3100としては、例えば、前述した第4実施形態の慣性計測装置2000を用いることができる。
また、慣性計測装置3100は、3軸の加速度センサー3110と、3軸の角速度センサー3120と、を有している。演算処理部3200は、加速度センサー3110からの加速度データおよび角速度センサー3120からの角速度データを受け、これらデータに対して慣性航法演算処理を行い、慣性航法測位データ(移動体の加速度および姿勢を含むデータ)を出力する。
また、GPS受信部3300は、受信アンテナ3400を介してGPS衛星からの信号(GPS搬送波。位置情報が重畳された衛星信号)を受信する。また、位置情報取得部3500は、GPS受信部3300が受信した信号に基づいて、移動体測位装置3000(移動体)の位置(緯度、経度、高度)、速度、方位を表すGPS測位データを出力する。このGPS測位データには、受信状態や受信時刻等を示すステータスデータも含まれている。
位置合成部3600は、演算処理部3200から出力された慣性航法測位データおよび位置情報取得部3500から出力されたGPS測位データに基づいて、移動体の位置、具体的には移動体が地面のどの位置を走行しているかを算出する。例えば、GPS測位データに含まれている移動体の位置が同じであっても、図17に示すように、地面の傾斜等の影響によって移動体の姿勢が異なっていれば、地面の異なる位置を移動体が走行していることになる。そのため、GPS測位データだけでは移動体の正確な位置を算出することができない。そこで、位置合成部3600は、慣性航法測位データ(特に、移動体の姿勢に関するデータ)を用いて、移動体が地面のどの位置を走行しているのかを算出する。なお、当該判定は、三角関数(鉛直方向に対する傾きθ)を用いた演算によって比較的簡単に行うことができる。
位置合成部3600から出力された位置データは、処理部3700によって所定の処理が行われ、測位結果として、表示部3900に表示されるようになっている。また、位置データは、通信部3800によって外部装置に送信されるようになっていてもよい。
以上、移動体測位装置3000について説明した。このような移動体測位装置3000は、前述したように、慣性計測装置3100と、測位用衛星から位置情報が重畳された衛星信号を受信するGPS受信部3300(受信部)と、受信した衛星信号に基づいて、GPS受信部3300の位置情報を取得する位置情報取得部3500(取得部)と、慣性計測装置3100から出力された慣性航法測位データ(慣性データ)に基づいて、移動体の姿勢を演算する演算処理部3200(演算部)と、算出された姿勢に基づいて位置情報を補正することにより、移動体の位置を算出する位置合成部3600(算出部)と、を含んでいる。これにより、本発明の慣性計測装置の効果を享受でき、信頼性の高い移動体測位装置3000が得られる。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係る電子機器について説明する。
図18は、本発明の第9実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図18に示すモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1110と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1120と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなパーソナルコンピューター1100(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1110と、補正回路1120と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態に係る電子機器について説明する。
図19は、本発明の第10実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図19に示す携帯電話機1200(PHSも含む)は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、携帯電話機1200は、アンテナ(図示せず)、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1210と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1220と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このような携帯電話機1200(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1210と、補正回路1220と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態に係る電子機器について説明する。
図20は、本発明の第11実施形態に係る電子機器を示す斜視図である。
図20に示すデジタルスチールカメラ1300は、本発明の電子機器を適用したものである。この図において、ケース1302の背面には表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
このようなデジタルスチールカメラ1300には、物理量センサー1と、物理量センサー1の駆動を制御する制御回路1320と、物理量センサー1により検出された物理量を、例えば環境温度に基づいて補正する補正回路1330と、が内蔵されている。なお、物理量センサー1としては、特に限定されないが、例えば、前述した各実施形態のいずれのものも用いることができる。
このようなデジタルスチールカメラ1300(電子機器)は、物理量センサー1と、制御回路1320と、補正回路1330と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態のパーソナルコンピューターおよび携帯電話機、本実施形態のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計(スマートウォッチを含む)、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等のウェアラブル端末、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等に適用することができる。
<第12実施形態>
次に、本発明の第12実施形態に係る携帯型電子機器について説明する。
図21は、本発明の第12実施形態に係る携帯型電子機器を示す平面図である。図22は、図21に示す携帯型電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。
図21に示す腕時計型の活動計1400(アクティブトラッカー)は、本発明の携帯型電子機器を適用したリスト機器である。活動計1400は、バンド1401によってユーザーの手首等の部位(被検体)に装着される。また、活動計1400は、デジタル表示の表示部1402を備えると共に、無線通信が可能である。上述した本発明に係る物理量センサー1は、加速度を測定するセンサーや角速度を計測するセンサーとして活動計1400に組込まれている。
活動計1400は、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を備えている。また、透光性カバー1404の外側にはベゼル1405が設けられている。また、ケース1403の側面には複数の操作ボタン1406、1407が設けられている。
図22に示すように、物理量センサー1としての加速度センサー1408は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の加速度を検出し、検出した3軸加速度の大きさおよび向きに応じた信号(加速度信号)を出力する。また、角速度センサー1409は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々の角速度を検出し、検出した3軸角速度の大きさおよび向きに応じた信号(角速度信号)を出力する。
表示部1402を構成する液晶ディスプレイ(LCD)では、種々の検出モードに応じて、例えば、GPSセンサー1411や地磁気センサー1412を用いた位置情報、移動量や物理量センサー1に含まれる加速度センサー1408や角速度センサー1409などを用いた運動量などの運動情報、脈拍センサー1413などを用いた脈拍数などの生体情報、もしくは現在時刻などの時刻情報などが表示される。なお、温度センサー1414を用いた環境温度を表示することもできる。
通信部1415は、ユーザー端末と図示しない情報端末との間の通信を成立させるための各種制御を行う。通信部1415は、例えば、Bluetooth(登録商標)(BTLE:Bluetooth Low Energyを含む)、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)、Zigbee(登録商標)、NFC(Near field communication)、ANT+(登録商標)等の近距離無線通信規格に対応した送受信機や、USB(Universal Serial Bus)等の通信バス規格に対応したコネクターを含んで構成される。
処理部1410(プロセッサー)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。処理部1410は、記憶部1416に格納されたプログラムと、操作部1417(例えば操作ボタン1406、1407)から入力された信号とに基づき、各種の処理を実行する。処理部1410による処理には、GPSセンサー1411、地磁気センサー1412、圧力センサー1418、加速度センサー1408、角速度センサー1409、脈拍センサー1413、温度センサー1414、計時部1419の各出力信号に対するデータ処理、表示部1402に画像を表示させる表示処理、音出力部1420に音を出力させる音出力処理、通信部1415を介して情報端末と通信を行う通信処理、バッテリー1421からの電力を各部へ供給する電力制御処理などが含まれる。
このような活動計1400では、少なくとも以下のような機能を有することができる。
1.距離:高精度のGPS機能により計測開始からの合計距離を計測する。
2.ペース:ペース距離計測から、現在の走行ペースを表示する。
3.平均スピード:平均スピード走行開始から現在までの平均スピードを算出し表示する。
4.標高:GPS機能により、標高を計測し表示する。
5.ストライド:GPS電波が届かないトンネル内などでも歩幅を計測し表示する。
6.ピッチ:1分あたりの歩数を計測し表示する。
7.心拍数:脈拍センサーにより心拍数を計測し表示する。
8.勾配:山間部でのトレーニングやトレイルランにおいて、地面の勾配を計測し表示する。
9.オートラップ:事前に設定した一定距離や一定時間を走った時に、自動でラップ計
測を行う。
10.運動消費カロリー:消費カロリーを表示する。
11.歩数:運動開始からの歩数の合計を表示する。
このような活動計1400(携帯型電子機器)は、物理量センサー1と、物理量センサー1が収容されているケース1403と、ケース1403に収容され、物理量センサー1からの出力データを処理する処理部1410と、ケース1403に収容されている表示部1402と、ケース1403の開口部を塞いでいる透光性カバー1404と、を含んでいる。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、活動計1400は、ランニングウォッチ、ランナーズウォッチ、デュアスロンやトライアスロン等マルチスポーツ対応のランナーズウォッチ、アウトドアウォッチ、および衛星測位システム、例えばGPSを搭載したGPSウォッチ、等に広く適用できる。
また、上述では、衛星測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を用いて説明したが、他の全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してもよい。例えば、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO、BeiDou(BeiDou Navigation Satellite System)、等の衛星測位システムのうち1又は2以上を利用してもよい。また、衛星測位システムの少なくとも1つにWAAS(Wide Area Augmentation System)、EGNOS(European Geostationary-Satellite Navigation Overlay Service)等の静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS:Satellite-based Augmentation System)を利用してもよい。
<第13実施形態>
次に、本発明の第13実施形態に係る移動体について説明する。
図23は、本発明の第13実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図23に示す自動車1500は、本発明の移動体を適用した自動車である。この図において、自動車1500には、加速度センサーおよび角速度センサーの少なくとも一方(好ましくは両方を検出できる複合センサー)として機能する物理量センサー1が内蔵されており、物理量センサー1によって車体1501の姿勢を検出することができる。物理量センサー1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502(姿勢制御部)に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。ここで、物理量センサー1としては、例えば、前述した各実施形態と同様のものを用いることができる。
このような自動車1500(移動体)は、物理量センサー1と、車体姿勢制御装置1502(姿勢制御部)と、を有している。そのため、前述した物理量センサー1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、物理量センサー1は、他にも、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
また、移動体としては、自動車1500に限定されず、例えば、飛行機、ロケット、人工衛星、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
以上、本発明の物理量センサー、慣性計測装置、移動体測位装置、携帯型電子機器、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、物理量センサーとして角速度を検出するものについて説明したが、これに限定されず、例えば、加速度を検出するものであってもよい。また、加速度と角速度の両方を検出するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、X軸、Y軸およびZ軸が互いに直交しているが、互いに交差していれば、これに限定されず、例えば、X軸がYZ平面の法線方向に対して若干傾いていてもよいし、Y軸がXZ平面の法線方向に対して若干傾いていてもよいし、Z軸がXY平面の法線方向に対して若干傾いていてもよい。なお、若干とは、物理量センサーがその効果を発揮することができる範囲を意味し、具体的な傾き角度(数値)は、構成等によって異なる。
1…物理量センサー、2…基板、21…凹部、22、221、222、223、224、225…マウント、23、24、25、26、27、28…溝部、3…蓋体、31…凹部、32…連通孔、33…封止部材、39…ガラスフリット、4…素子部、40A、40B…連結バネ、41A、41B…駆動部、411A、411B…可動駆動電極、412A、412B…固定駆動電極、42A、42A’、42B、42B’…固定部、43A、43A’、43B、43B’…駆動バネ、44A、44B…検出部、441A、441B…可動検出電極、442A、442B、443A、443B…固定検出電極、451、452…固定部、46A、46A’、46B、46B’…検出バネ、47A、47B…逆相バネ、471A、471A’、471A”、471B、471B’、471B”…バネ本体、472A、473A…アーム、474A、475A…接続部、477A、477B、478A、478B、479A、479B…梁、48…フレーム、481、482…欠損部、488、489…フレームバネ、49A、49B…モニター部、491A、491B…可動モニター電極、492A、492B、493A、493B…固定モニター電極、50A、50B…同相バネ、51A、51B…梁、73、74、75、76、77、78…配線、81、82…固定検出電極、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1108…表示部、1110…制御回路、1120…補正回路、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1208…表示部、1210…制御回路、1220…補正回路、1300…デジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1320…制御回路、1330…補正回路、1500…自動車、1501…車体、1502…車体姿勢制御装置、1503…車輪、2000…慣性計測装置、2100…アウターケース、2110…ネジ穴、2200…接合部材、2300…センサーモジュール、2310…インナーケース、2311…凹部、2312…開口、2320…基板、2330…コネクター、2340x…角速度センサー、2340y…角速度センサー、2340z…角速度センサー、2350…加速度センサー、2360…制御IC、3000…移動体測位装置、3100…慣性計測装置、3110…加速度センサー、3120…角速度センサー、3200…演算処理部、3300…GPS受信部、3400…受信アンテナ、3500…位置情報取得部、3600…位置合成部、3700…処理部、3800…通信部、3900…表示部、O…中心、P…電極パッド、S…収納空間、α…仮想直線、θ…傾き、ωz…角速度

Claims (15)

  1. 駆動振動体と、
    検出振動体と、
    平面視で、前記駆動振動体と前記検出振動体の間に配置され、前記駆動振動体と前記検出振動体とが並んでいる第1方向に弾性変形可能な弾性変形部と、
    を含み、
    前記駆動振動体と前記検出振動体とは、前記第1方向に逆相で振動することを特徴とする物理量センサー。
  2. 請求項1において、
    前記駆動振動体と前記検出振動体は、
    前記第1方向に互いに接近と離間とを交互に繰り返すように振動する物理量センサー。
  3. 請求項1または2において、
    前記駆動振動体の質量と、前記検出振動体の質量と、は異なる物理量センサー。
  4. 請求項3において、
    前記駆動振動体の質量は、前記検出振動体の質量より小さい物理量センサー。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項において、
    前記検出振動体が前記第1方向に振動する振幅は、前記駆動振動体が前記第1方向に振動する振幅よりも大きい物理量センサー。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項において、
    前記弾性変形部は、
    弾性変形部本体と、
    前記弾性変形部本体と前記駆動振動体とを連結している第1梁と、
    前記弾性変形部本体と前記検出振動体とを連結している第2梁と、を含む物理量センサー。
  7. 請求項6において、
    前記弾性変形部本体は、
    長手方向が前記第1方向と直交する第2方向に沿い、前記第1方向に弾性変形可能な第1アームと、
    長手方向が前記第2方向に沿い、前記第1アームと前記第1方向に間隔を空けて配置され、前記第1方向に弾性変形可能な第2アームと、
    前記第1アームと前記第2アームの一端部側同士を接続している第1接続部と、
    前記第1アームと前記第2アームの他端部側同士を接続している第2接続部と、を含む物理量センサー。
  8. 請求項6または7において、
    前記弾性変形部は、直列的に配置されている複数の前記弾性変形部本体を含む物理量センサー。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項において、
    複数の前記弾性変形部を含む物理量センサー。
  10. 請求項1ないし9のいずれか一項において、
    前記弾性変形部は、バネ状である物理量センサー。
  11. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
    前記物理量センサーの駆動を制御する制御回路と、
    を含むことを特徴とする慣性計測装置。
  12. 請求項11に記載の慣性計測装置と、
    測位用衛星から位置情報が重畳された衛星信号を受信する受信部と、
    受信した前記衛星信号に基づいて、前記受信部の位置情報を取得する取得部と、
    前記慣性計測装置から出力された慣性データに基づいて、移動体の姿勢を演算する演算部と、
    算出された前記姿勢に基づいて前記位置情報を補正することにより、前記移動体の位置を算出する算出部と、
    を含むことを特徴とする移動体測位装置。
  13. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
    前記物理量センサーが収容されているケースと、
    前記ケースに収容され、前記物理量センサーからの出力データを処理する処理部と、
    前記ケースに収容されている表示部と、
    前記ケースの開口部を塞いでいる透光性カバーと、
    を含むことを特徴とする携帯型電子機器。
  14. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
    制御回路と、
    補正回路と、
    を含むことを特徴とする電子機器。
  15. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の物理量センサーと、
    姿勢制御部と、
    を含むことを特徴とする移動体。
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