JP2019065934A - ラジアル軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】フルフロート軸受として機能するラジアル軸受を低コストに提供する。【解決手段】外径側隙間C1と内径側隙間C2とを連通させる径方向の連通孔11を周方向に離間した複数箇所に有し、外径側隙間C1および内径側隙間C2のそれぞれに形成される潤滑油の油膜により、内周に挿入される回転軸Sを浮動状態でラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受10である。このラジアル軸受10は、相対回転可能な状態で軸方向に突き合わされた焼結金属製の第1および第2軸受部材20,30からなり、軸方向に突き合わされた両軸受部材20,30の端面に設けられた凹凸形状部21,31により連通孔11が形成される。【選択図】図3
Description
本発明は、ラジアル軸受に関し、より詳細には、例えば内燃機関用の過給機に組み込まれ、浮動状態で回転軸をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受に関する。
内燃機関用の過給機の一種であるターボチャージャは、その回転軸を支持するための軸受を有する軸受部と、軸受部の軸方向一方側および他方側にそれぞれ配置されたタービン部およびコンプレッサ部とを備える。軸受部は、筒状の軸受ハウジングと、軸受ハウジングの内部に配置され、上記回転軸をラジアル方向に非接触支持する円筒状のラジアル軸受とを備える。
ラジアル軸受としては、いわゆるフルフロート軸受が好適に使用される。フルフロート軸受は、その外周面と軸受ハウジングの内周面との間の外径側隙間、およびその内周面と回転軸の外周面との間の内径側隙間にそれぞれ形成される潤滑油(例えばエンジンオイル)の油膜により、浮動状態(軸受ハウジングに対して非接触の状態)で回転軸を非接触支持可能な軸受であり、制振機能に優れるという特長を有する。そのため、ラジアル軸受にフルフロート軸受を採用すれば、ターボチャージャの回転軸のように、100000rpm以上の高速で回転するために自励振動などの不安定振動が生じ易い回転軸を精度良く支持することができる。なお、フルフロート軸受は、浮動ブッシュ軸受などとも称される。
フルフロート軸受として機能するラジアル軸受には、例えば下記の特許文献1に開示されているように、外径側隙間と内径側隙間とを連通させる径方向の貫通孔(連通孔)が周方向に離間した複数箇所に設けられる。このような連通孔が設けられていることにより、外径側隙間に供給される潤滑油を、連通孔を介して内径側隙間に供給することができるので、外径側隙間および内径側隙間の双方に効率良く油膜を形成することができる。
特許文献1のラジアル軸受は、被削性に優れた黄銅系合金の溶製材で形成されている。すなわち、特許文献1のラジアル軸受は、黄銅系合金の棒材を所定長さに切断した後、これを切削等の機械加工で所定形状(上記連通孔を有する円筒形状)に加工している。この場合、材料ロスが多いために歩留が低く、また、連通孔形成後の仕上げ加工が必須となるため生産性が悪いという問題がある。
係る実情に鑑み、本発明の目的は、フルフロート軸受として機能するラジアル軸受、すなわち、外径側隙間および内径側隙間のそれぞれに形成される油膜により、内周に挿入される回転軸を浮動状態でラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受を低コストに提供することにある。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、外周面で形成される外径側隙間と内周面で形成される内径側隙間とを連通させる径方向の連通孔を周方向に離間した複数箇所に有し、外径側隙間および内径側隙間のそれぞれに形成される潤滑油の油膜により、内周に挿入される回転軸を浮動状態でラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受において、相対回転可能な状態で軸方向に突き合わされた焼結金属製の第1および第2軸受部材からなり、軸方向に突き合わされた第1軸受部材の端面および第2軸受部材の端面のうち、少なくとも一方に設けられた凹凸形状部により連通孔が形成されていることを特徴とする。
いわゆるフルフロート軸受として機能する本発明に係るラジアル軸受は、焼結体(金属焼結体)からなる第1および第2軸受部材を軸方向に突き合わせることで形成される。焼結体は、ニアネットシェイプが可能な粉末冶金によって得られる成形品であり、溶製材の機械加工品に比べて材料ロスが少なく歩留が高い。また、連通孔は、軸方向に突き合わされる2つの端面の少なくとも一方に設けられる凹凸形状部によって形成され、この凹凸形状部は型成形可能である。そのため、連通孔の形成過程における材料ロスの発生を抑制あるいは防止することができる。さらに、両軸受部材は、相対回転可能な状態(周方向に相対移動可能な状態)で軸方向に突き合わされているので、両軸受部材を相互に固定する必要もない。従って、本発明によれば、フルフロート軸受として機能するラジアル軸受を容易にかつ低コストに得ることができる。
凹凸形状部は、軸方向に突き合わされる2つの端面の双方に設けることができ、この場合には、一方の凹凸形状部を構成する凸部および凹部のそれぞれを、他方の凹凸形状部を構成する凹部および凸部と軸方向に突き合わせることによって連通孔を形成することができる。
上記構成において、凹凸形状部を構成する凹部と凸部の境界線は、ラジアル軸受(軸受部材)の中心を通って径方向に延びる直線上に配置することができる。また、凹凸形状部を平面視したときの凸部および凹部の面積をそれぞれA1およびA2としたとき、A1:A2=1:1.5〜2.5とする(1.5A1≦A2≦2.5A1とする)ことができる。また、両軸受部材を同一の部材とすることもできる。
両軸受部材の内周面には、回転軸の外周面との間にくさび状隙間を形成する円弧面を周方向の複数箇所に設けることができる。要するに、両軸受部材の内周面は多円弧面に形成することができる。この場合、いわゆる動圧軸受の一種である多円弧軸受によって回転軸を支持することができるので、回転軸の支持精度(振動抑制効果)を一層高めることができる。
くさび状隙間の最小幅部(隙間幅が最も小さい部分)と最大幅部(隙間幅が最も大きい部分)の寸法差は1〜15μmとするのが好ましい。
フルフロート軸受として機能する本発明に係るラジアル軸受は、前述したような特徴を有することから、内燃機関用の過給機の回転軸をラジアル方向に非接触支持するための軸受として好適に用い得る。
以上より、本発明によれば、いわゆるフルフロート軸受として機能するラジアル軸受を低コストに提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、内燃機関用の過給機の一種であるターボチャージャ1の一構成例を概念的に示す。同図に示すターボチャージャ1は、回転軸(タービン軸)Sを回転自在に支持する軸受部8と、軸受部8の軸方向一方側および他方側にそれぞれ配置されたタービン部2およびコンプレッサ部5とを備える。タービン部2は、タービンハウジング3と、タービンハウジング3の内部に配置されたタービン翼4とを備え、コンプレッサ部5は、コンプレッサハウジング6と、コンプレッサハウジング6の内部に配置されたコンプレッサ翼7とを備える。タービン翼4およびコンプレッサ翼7は、それぞれ、回転軸Sの一端および他端に取り付けられ、回転軸Sと一体回転する。
上記構成を有するターボチャージャ1において、図示外の内燃機関から排出された高温の排気ガスがタービンハウジング3の内部に流入すると、タービン翼4、コンプレッサ翼7および回転軸Sが一体回転する。これに伴い、コンプレッサハウジング6にエアが吸い込まれ、吸い込まれたエアはコンプレッサハウジング6内で圧縮された上で内燃機関の燃焼室に供給(過給)される。
軸受部8は、筒状の軸受ハウジング9と、軸受ハウジング9の内部に配置され、回転軸Sをラジアル方向に支持する円筒状のラジアル軸受10とを備える。図示例ではラジアル軸受10を回転軸Sの軸方向に離間した二箇所に配置しているが、ラジアル軸受10は、軸方向の一箇所に配置しても良いし、軸方向に離間した三箇所以上に配置しても良い。図示は省略しているが、軸受部8には、回転軸Sをスラスト方向に支持するスラスト軸受が設けられる。
ターボチャージャ1の運転中、ターボチャージャ1の内部温度は、タービンハウジング3の内部に流入する高温の排気ガス等の影響によって900℃程度にまで上昇する。また、回転軸Sは、100000rpm以上の高速で回転するために、自励振動などの不安定振動が生じ易い。そこで、ラジアル軸受10には、高速回転および軸振動に耐え得るもの、具体的には、図2に示すように、ラジアル軸受10の外周面10bで形成される外径側隙間C1、およびラジアル軸受10の内周面10aで形成される内径側隙間C2のそれぞれに形成される潤滑油(例えばエンジンオイル)の油膜により、浮動状態(軸受ハウジング9に対して非接触の状態)で回転軸Sをラジアル方向に非接触支持する、いわゆるフルフロート軸受が採用される。このため、軸受ハウジング9には、その内部(外径側隙間C1)に潤滑油を供給するための給油孔9aと、内部に供給された潤滑油を外部に排出するための排油孔9bとが設けられている。
以下、図2〜図4を参照しながら、本発明の一実施形態に係るラジアル軸受10について詳細に説明する。なお、図2は、ラジアル軸受10の軸方向中央部の横断面図、図3は、ラジアル軸受10の概略斜視図、図4は、ラジアル軸受10を構成する軸受部材の概略平面図である。
図2に示すように、ラジアル軸受10は、その外周面10bと軸受ハウジング9の内周面9cとの間に形成される外径側隙間C1と、その内周面10aと回転軸Sの外周面Saとの間に形成される内径側隙間C2とを連通させる径方向の連通孔11を周方向に離間した複数箇所に有する。このような連通孔11が設けられていることにより、軸受ハウジング9の給油孔9aを介して外径側隙間C1に供給される潤滑油を、連通孔11を介して内径側隙間C2に供給することができるので、両隙間C1,C2に潤滑油の油膜を効率良く形成することができる。
図3に示すように、ラジアル軸受10は、軸方向に突き合わされた第1軸受部材20および第2軸受部材30からなり、連通孔11は、軸方向に突き合わされた第1軸受部材20の端面および第2軸受部材30の端面の少なくとも一方(本実施形態では双方)に設けた凹凸形状部21,31の協働で形成される。第1軸受部材20のうち凹凸形状部21が設けられた端面20bとは反対側の端面、および第2軸受部材30のうち凹凸形状部31が設けられた端面30bとは反対側の端面は、何れも、凹凸のない平坦面に形成されている。
図3および図4に示すように、凹凸形状部21は、第1軸受部材20の端面20bに、外径端部が外径側隙間C1に開口すると共に内径端部が内径側隙間C2に開口した凹部23と、これを区画する凸部22とを周方向に交互に設けることで形成される。凸部22と凹部23とでは、凹部23の方が第1軸受部材20の端面20bに占める面積が大きい。具体的には、凹凸形状部21を平面視したとき(図4)における凸部22および凹部23の面積をそれぞれA1およびA2としたとき、A1:A2=1:1.5〜2.5となるように(1.5A1≦A2≦2.5A1の関係式を満たすように)凸部22および凹部23が形成される。図示例ではA1:A2=1:2である。また、凸部22と凹部23の境界線(境界壁)Wは、その全体がラジアル軸受10(第1軸受部材20)の中心Oを通って径方向に延びる直線L上に配置されるように形成されている。
第2軸受部材30の端面30bに設けられる凹凸形状部31は、外径端部が外径側隙間C1に開口すると共に内径端部が内径側隙間C2に開口した凹部33と、これを区画する凸部32とを周方向に交互に設けることで形成される。凹凸形状部31は、第1軸受部材20の凹凸形状部21と同一形状に形成されているので、これ以上の詳細説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態では、凹凸形状部21を構成する凸部22および凹部23のそれぞれが、凹凸形状部31を構成する凹部33および凸部32と軸方向に突き合わされることによって連通孔11が形成されている。すなわち、各連通孔11は、図2に示すように、周方向で隣り合う凸部22,32間に形成される。なお、両軸受部材20,30は相互に固定されておらず、従って、第1軸受部材20と第2軸受部材30は相対回転可能な状態で軸方向に突き合わされている。
ターボチャージャ1の運転中(回転軸Sの回転中)には、ラジアル軸受10に対し、遠心力や潤滑油の流動力等種々の応力が作用する。これに伴って相互に固定されていない第1軸受部材20と第2軸受部材30が相対的に離反移動すると、回転軸Sの支持能力が低下する。このため、図示は省略しているが、軸受部8には、第1軸受部材20と第2軸受部材30の相対的な離反移動を規制するための規制手段を設けるのが好ましい。
以上の構成を有する第1軸受部材20は焼結体(金属焼結体)からなり、凹凸形状部21は型成形されている。すなわち、第1軸受部材20は、主に、金属粉末を主原料とする原料粉末を圧縮することで一端面に凹凸形状部21が型成形された円筒状の圧粉体を得る圧縮成形工程と、圧粉体を加熱・焼結することで焼結体を得る焼結工程と、焼結体をサイジング金型に倣わせるように塑性変形させることにより焼結体を完成品形状にする(焼結体の各部寸法を矯正する)サイジング工程と、を経ることで得られる。サイジング後の焼結体には、上記の各工程を実施することにより生じたバリ等を除去するための仕上げ加工(例えば、バレル研磨)を施しても良い。なお、金属粉末としては、ラジアル軸受10に必要とされる機械的強度、耐熱性、耐油性などを満足するもの(例えば、黄銅系、アルミ青銅系、鉄クロム系の合金粉末など)が使用される。
第2軸受部材30は、第1軸受部材20と同様の焼結体からなり、凹凸形状部を含め、その全体が第1軸受部材20と同一形状に形成されている。要するに、本実施形態において、第1軸受部材20と第2軸受部材30は同一部材である。従って、本実施形態のラジアル軸受10は、2つの第1軸受部材20の凹凸形状部21同士を軸方向に突き合わせることで形成されたもの、とも言える。
以上で説明したように、フルフロート軸受として機能する本発明に係るラジアル軸受10は、焼結体からなる第1軸受部材20および第2軸受部材30を軸方向に突き合わせることで得られる。
焼結体は、ニアネットシェイプが可能な粉末冶金によって得られる成形品であり、溶製材の機械加工品に比べて材料ロスが少なく歩留が高い。また、連通孔11は、軸方向に突き合わされる第1軸受部材20の端面20bおよび第2軸受部材30の端面30bの少なくとも一方(本実施形態では双方)に設けられる凹凸形状部21,31によって形成され、これら凹凸形状部21,31は型成形される。そのため、連通孔11の形成過程における材料ロスの発生を抑制あるいは防止することができる。さらに、両軸受部材20,30は、相対回転可能な状態で軸方向に突き合わされているので、両軸受部材20,30を相互に固定する必要もない。以上から、フルフロート軸受として機能するラジアル軸受10を容易にかつ低コストに得ることができる。
特に、本実施形態では、同一の部材からなる第1軸受部材20および第2軸受部材30を軸方向に突き合わせることで連通孔11を有するラジアル軸受10を形成している。従って、一層低コストにラジアル軸受10を得ることができる。
また、本実施形態では、凹凸形状部21を構成する凸部22および凹部23を、凹凸形状部31を構成する凹部33および凸部32にそれぞれ突き合わせ、周方向で隣り合う凸部22,32間に連通孔11を形成している。係る構成であれば、ターボチャージャ1の運転に伴ってラジアル軸受10に遠心力等が作用しても、相対回転可能に設けられた第1軸受部材20と第2軸受部材30の相対回転量を制限することができるので、回転軸Sを精度良く支持できる。
また、本実施形態では、凹凸形状部21(31)を平面視したときの凸部22(32)および凹部23(33)の面積をそれぞれA1およびA2としたとき、A1:A2=1:1.5〜2.5となるように(1.5A1≦A2≦2.5A1の関係式を満たすように)凸部22および凹部23を形成した。その理由は以下の通りである。まず、A2<1.5A1の場合、連通孔11の断面積が小さく、内径側隙間C2に十分量の潤滑油を供給することができないため、回転軸Sの支持精度が不安定化するおそれがある。一方、A2>2.5A1の場合、凸部22の強度不足により、回転軸Sの回転に伴ってラジアル軸受10に作用する遠心力等によって凸部22が破損するおそれがある。凸部22が破損すると、回転軸Sの支持精度が不安定化する。従って、上記の関係式を満たすようにすれば、回転軸Sを長期間に亘って精度良く支持する上で有利となる。
また、本実施形態では、図4に示すように、凹凸形状部21(31)を構成する凸部22(32)と凹部23(33)の境界線Wを、ラジアル軸受10の中心Oを通って径方向に延びる直線L上に配置している。このようにすれば、第1軸受部材20の凹凸形状部21と第2軸受部材30の凹凸形状部31とを軸方向で突き合わせたとき、図2に示すように、周方向で対向する凸部22の側面と凸部32の側面とを全面的に接触させることができるので、ラジアル軸受10の内周面10aおよび外周面10bに開口した所定形状の連通孔11を容易に形成することができる。さらに、回転軸Sの回転に伴ってラジアル軸受10に作用する遠心力等により両軸受部材20,30が相対回転した場合、周方向で対向する凸部22の側面と凸部32の側面とが強固に密着するので両軸受部材20,30の中心を一致させることが可能となる。要するに、回転軸Sの回転時には、両軸受部材20,30を自動的に調芯させることができる。
以上のことから、本実施形態に係るラジアル軸受10は、容易にかつ低コストに作製可能でありながら、回転軸Sを精度良くすることができる、という特長を有する。
以上、本発明の一実施形態に係るラジアル軸受10について説明を行ったが、ラジアル軸受10には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
例えば、連通孔11は、図5(a)に示すように、凹凸のない平坦面に形成された第1軸受部材20の端面20bと、凹凸形状部31が設けられた第2軸受部材30の端面30bとを軸方向で突き合わせることによって形成することができる他、図5(b)に示すように、第1軸受部材20の端面20bに設けた凹凸形状部21の凸部22と、第2軸受部材30の端面30bに設けた凹凸形状部31の凸部32とを軸方向に突き合わせることによって形成することもできる。
但し、図5(a)に示す構成は、図2〜図4を参照して説明した実施形態に比べて両軸受部材20,30が相対回転し易くなるので、回転軸Sの支持精度が不安定化するおそれがある他、両軸受部材20,30を同一部材で構成することができないので、ラジアル軸受10が多少高コスト化する。また、図5(b)に示す構成は、両軸受部材20,30の相対回転に伴って、凸部22(32)が凹部33(23)に対して嵌ったり外れたりする可能性があるので回転軸Sの支持精度が不安定化するおそれがある。従って、連通孔11は、図2〜図4を参照して説明した構成を採用して形成するのが最も好ましい。
また、以上で説明した実施形態では、図2および図4に示すように、ラジアル軸受10の内周面10a(第1軸受部材20の内周面20aおよび第2軸受部材30の内周面30a)を凹凸のない平滑な円筒面に形成したが、両軸受部材20,30の内周面20a,30aには、図6に示すように、回転軸Sの外周面Saとの間(内径側隙間C2)にくさび状隙間(周方向に沿って隙間幅が漸次変化する隙間)C3を形成する円弧面24を周方向の複数箇所(図示例は三箇所)に設けても良い。円弧面24は、ラジアル軸受10の中心Oに対して径方向にオフセットした位置に曲率中心がある円弧面である。
この場合、いわゆる動圧軸受の一種である多円弧軸受によって回転軸Sを支持することができるので、回転軸Sの支持精度を一層高める(回転軸Sの振動抑制効果を高める)ことができる。円弧面24は、焼結体からなる軸受部材20(30)の基材である圧粉体を成形するのと同時に、あるいは、焼結体にサイジング加工を施すのと同時に型成形することができるので、円弧面24を設けることによる特段のコスト増は生じない。
上記のようなくさび状隙間C3を形成する場合、その最小幅部C31と最大幅部C32(図7参照)の寸法差は1〜15μmとするのが好ましく、3〜10μmとするのが一層好ましい。上記寸法差が1μmよりも小さいと動圧効果が得られず、上記寸法差が15μmを超えると、内径側隙間C2の周方向一部領域での隙間幅が過大となるため、回転軸Sの振動抑制効果が薄れるおそれがあるからである。
図6では、周方向一方側から他方側に向けて隙間幅が漸次縮小したくさび状隙間C3が周方向に離間した三箇所に形成されるように両軸受部材20,30の内周面に円弧面24を設けたが、円弧面24は、図8に示すように、周方向一方側から他方側に向けて隙間幅が漸次縮小したくさび状隙間C3と、周方向他方側から一方側に向けて隙間幅が漸次縮小したくさび状隙間C3とが周方向で交互に形成されるように設けることも可能である。
図6に示す構成で内径側隙間C2に動圧効果を発揮させるためには、回転軸Sの回転方向を考慮して円弧面24を形成する必要があるが、図8に示す構成では、回転軸Sの回転方向に関わらず動圧効果を得られるので、円弧面24の形成態様を考慮する必要がない、という利点がある。
さらに言うと、図2〜図4に示すように、凹凸形状部21,31同士を軸方向に突き合わせる場合において、両軸受部材20,30の内周面20a,30aに図6に示すような円弧面24を設けると仮定すると、第1軸受部材20と第2軸受部材30を同一の部材とすることはできない。両軸受部材20,30を軸方向に突き合わせたときに、第1軸受部材20の内周面20aに設けた円弧面24で形成されるくさび状隙間C3の隙間幅の縮小方向と、第2軸受部材30の内周面30aに設けた円弧面24で形成されるくさび状隙間C3の隙間幅の縮小方向とが互いに反対方向になるからである。これに対し、両軸受部材20,30の内周面20a,30aに図8に示すような円弧面24を設ける場合には、凹凸形状部21,31同士を軸方向に突き合わせる場合でも、第1軸受部材20と第2軸受部材30を同一の部材とすることができる。
図6および図8に示す実施形態は、軸受部材20,30の内周面の周方向三箇所に円弧面24を設けたものであるが、円弧面24は四箇所以上に設けても良い。
以上では、ターボチャージャ1の回転軸Sをラジアル方向に支持するために本発明に係るラジアル軸受10を用いたが、本発明に係るラジアル軸受10は、その他の過給機、例えばスーパーチャージャの回転軸をラジアル方向に支持するために用いることもできる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 ターボチャージャ
9 軸受ハウジング
10 ラジアル軸受
11 連通孔
20 第1軸受部材
21 凹凸形状部
22 凸部
23 凹部
24 円弧面
30 第2軸受部材
31 凹凸形状部
32 凸部
33 凹部
C1 外径側隙間
C2 内径側隙間
C3 くさび状隙間
C31 最小幅部
C32 最大幅部
L 直線
O ラジアル軸受の中心
S 回転軸
W 境界線
9 軸受ハウジング
10 ラジアル軸受
11 連通孔
20 第1軸受部材
21 凹凸形状部
22 凸部
23 凹部
24 円弧面
30 第2軸受部材
31 凹凸形状部
32 凸部
33 凹部
C1 外径側隙間
C2 内径側隙間
C3 くさび状隙間
C31 最小幅部
C32 最大幅部
L 直線
O ラジアル軸受の中心
S 回転軸
W 境界線
Claims (8)
- 外周面で形成される外径側隙間と内周面で形成される内径側隙間とを連通させる径方向の連通孔を周方向に離間した複数箇所に有し、前記外径側隙間および前記内径側隙間のそれぞれに形成される潤滑油の油膜により、内周に挿入される回転軸を浮動状態でラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受において、
相対回転可能な状態で軸方向に突き合わされた焼結金属製の第1および第2軸受部材からなり、
軸方向に突き合わされた第1軸受部材の端面および第2軸受部材の端面のうち、少なくとも一方に設けられた凹凸形状部により前記連通孔が形成されていることを特徴とするラジアル軸受。 - 軸方向に突き合わされた第1軸受部材の端面および第2軸受部材の端面に前記凹凸形状部が設けられ、
一方の凹凸形状部を構成する凸部および凹部のそれぞれが、他方の凹凸形状部を構成する凹部および凸部と軸方向に突き合わされている請求項1に記載のラジアル軸受。 - 前記凹凸形状部を構成する凹部と凸部の境界線が、ラジアル軸受の中心を通って径方向に延びる直線上に配置されている請求項2に記載のラジアル軸受。
- 前記凹凸形状部を平面視したときの凸部および凹部の面積をそれぞれA1およびA2としたとき、A1:A2=1:1.5〜2.5である請求項1〜3の何れか一項に記載のラジアル軸受。
- 第1軸受部材と第2軸受部材が同一の部材である請求項1〜4の何れか一項に記載のラジアル軸受。
- 両軸受部材の内周面に、回転軸の外周面との間にくさび状隙間を形成する円弧面が周方向の複数箇所に設けられている請求項1〜5の何れか一項に記載のラジアル軸受。
- 前記くさび状隙間の最小幅部と最大幅部の寸法差が1〜15μmである請求項6に記載のラジアル軸受。
- 前記回転軸が、内燃機関用の過給機の回転軸である請求項1〜7の何れか一項に記載のラジアル軸受。
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