JP2019065492A - 水道直圧式水洗大便器 - Google Patents
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Abstract
Description
このような水道直圧式水洗大便器の洗浄動作は、リム吐水によって、ボウル部の汚物受け面に付着した汚物やペーパーを洗浄しながら溜水部に落とす機能、ゼット吐水によって、溜水部の水を排水トラップ管路に押し込み満管にすることでサイホン作用を引き起こし、溜水部に落とされた汚物やペーパーを排水配管へ排出する機能、リム吐水によって、溜水部に新しい水を補給し封水をする機能の3つの機能により行われる。
具体的には、一回の洗浄に13L/回もの水量を必要としていた従来のリム/ゼット同時給水に対し、リム/ゼット連続切り替え給水は僅か6L/回の水量で同等の洗浄性能と汚物排出性能を有することに成功し、1994年に日本機械学会から日本機械学会賞(技術賞)を贈られている。(当時、日本機械学会に提出したものでは、リム/ゼット連続切り替え給水をSTEP給水と記載している。)
このとき、ゼット吐水に用いる全ての洗浄水を貯留するための大きな貯水タンク、及び、貯水タンクに貯留された洗浄水を加速して吐出するための大きな加圧ポンプを必要とするハイブリッド式水洗大便器は、水洗大便器の後方に設けられる機能部品の収納部の高さを下げることが出来ず、水洗大便器の前方から後方にかけて傾斜が大きくなるため、ローシルエット型のデザインにすることができなかった。そのため、本発明者らは、大きな機能部品を必要としないことから、機能部品の収納部の高さを下げることが可能な水道直圧式水洗大便器を用いて、節水化とローシルエット型のデザインという近年の2つのニーズを満たすことが可能な水洗大便器を開発しようと思い立った。
このとき、節水化のためにゼット吐水口から吐出される洗浄水の流量を少なくした節水型の水道直圧式水洗大便器においては、溜水部の水を排水トラップ管路に押し上げ満管にするだけの運動エネルギーを創出することができず、サイホン作用を引き起こすことができなくなり汚物排出不良が生じるという課題が生じた。
しかしながら、低水圧の状況下であってもサイホン作用を引き起こすことを可能にしたことによって、高水圧の状況下において、ゼット吐水の流速が更に速まり、低水圧の状況下よりも早くサイホン作用が引き起こされ、溜水部の水が短時間で排水配管へと排出される。これにより、溜水部に形成された封水が水切れを起こし破封を生じるため、排水配管の臭気がトイレ室内に逆流するという課題が生じた。
しかし、今回のような節水型の水道直圧式水洗大便器においては、ゼット吐水口から吐出する洗浄水の流量を少なくし、さらに洗浄力を落とさないようにゼット吐水口の径を従来よりも小さくしたため、ゼット吐水口から吐出される細く速い流速の洗浄水が、排水トラップ管路内で拡散しなくなった。これによって、排水トラップ管路内における吐水された洗浄水が細く、水滴化される洗浄水が極めて少なくかつ小粒化するため洗浄水の占有率が低くなり、排水配管からの臭気がトイレ室内に逆流することを抑えることができなくなった。
また、貯水タンクから供給された洗浄水は、排水トラップ管路の入り口の上方から下方に向かって流れているため、排水トラップ管路の入り口に形成された水膜によって抑えられた臭気は、貯水タンクから供給された洗浄水の流れに沿って下方に向かう。その後、貯水タンクから供給された洗浄水が途中でゼット吐水口から吐出される洗浄水に衝突し、ゼット吐水口から吐出される洗浄水の流れに沿って臭気も排水トラップ管路内へと引き戻されるため、排水配管からの臭気がトイレ室内に逆流してくるのを抑えることができる。これによって、貯水タンクから供給された洗浄水が、排水トラップ管路の入り口、及び、排水トラップ管路内での二ヶ所で、排水配管からの臭気がトイレ室内に逆流してくるのを抑えるために機能している。
このように構成された本発明によれば、第二のリム給水制御に切り替わった後、リム吐水口から洗浄水を溜水部に供給するだけでなく、貯水タンクからも洗浄水を溜水部に供給することにより、溜水部が再び封水されるまでの時間を短くすることができると共に、破封が生じる恐れがある時間帯において、常に排水配管とトイレ室内とをつなぐ排水トラップ管路の入り口に水膜を形成することができる。これによって、より確実に、排水配管からの臭気がトイレ室内に逆流してくるのを抑えることができる。
図1は、本発明の水道直圧式水洗大便器の断面図および水道水を直圧によって便器本体1に洗浄水として供給する洗浄水の供給系統を記載したものであり、便器本体1は汚物を受けるボウル11、ボウルの上縁に形成されたリム12、及びボウル11の底部から延びる排水トラップ管路13から構成されている。
なお、本実施例では、ノズル20をエアー混入する仕様として記載したが、洗浄水量の低減や水膜カーテンA1の作成容易性や厚みの確保に有効であると考えているが、吐水速度が速まる、空気の吸引音があるなどの課題もあるため、決してエアー混入が必要でないことは言うまでもない。
また、ポンプ22を採用しているが、これも必須ではない。ポンプ22を設けることで、貯水タンク23を低い位置に配置できるため、ローシルエット化に有利である。しかし、小さなタンクであるため、便器本体の上方に配置しても低くできることから、高い位置から重力で落下させる仕様に変更し、ポンプに変えて開閉弁を用いることも可能である。
第1流路切換開閉弁18及び第2流路切換開閉弁24、ポンプ22は言うまでもなく電気的に駆動されるものである。
第1流路切換開閉弁18は、リム吐水流路16に一定時間洗浄水を供給するとゼット吐水流路19に洗浄水を分配するように切り替わる。言うまでもなく第2流路切換開閉弁24は、第1流路切換開閉弁18側への洗浄水供給を継続している。ゼット吐水流路19への給水が予め決められた時間行われた後は、第2流路切換開閉弁24は、再びリム吐水流路16に洗浄水を分配するように切り替わる。第2流路切換開閉弁24は、第1流路切換開閉弁18側への洗浄水供給を継続している。そして、2回目のリム吐水流路16への洗浄水分配が予め決められた時間行われると第1流路切換開閉弁18は閉弁し、両流路からの洗浄水からの吐水は停止する。
また、カーテンA1構成した洗浄水Aは、その中央部の一部、すなわちゼット吐水口15と対応する位置に落下した洗浄水は極めて流速の速いゼット吐水Bに直上から干渉し、ゼット吐水Bの影響によって排水トラップ管路13内に多くの水滴Cとして拡散すると同時に排水トラッフ゜管の下流に向けて移動する。この水滴Cも臭気の逆流を防止するように機能している。
この貯留水D1は、時間経過とともに多く溜まり、一定時間経過するとゼット吐水Bそのもの、及びゼット吐水Bの流速によって発生した空気の流れにつられるようにして排水トラッフ゜管13をD2のように上昇する。その後更に、排水トラッフ゜管が下降する位置で飛び出しD3の状態となる。このD3の状態が排水トラッフ゜管路内に水膜を形成した状態となり、水膜D3も臭気対策に有効に寄与するものとなる。この様に、供給された少ない洗浄水Aは、まずカーテンA1として臭気の逆流を抑え、次に水滴Cや水膜D3となって連続的臭気の逆流を効率よく防止したものである。
11 ボウル
12 リム
13 排水トラップ管路
13a 入り口
13d 平坦部
15 ゼット吐水口
20 ノズル
21 臭気逆流防止水吐水流路
22 ポンプ
23 貯水タンク
A 洗浄水
A1 カーテン
B ゼット吐水
C 水滴
D3 水膜
Claims (7)
- 洗浄水源の給水圧力のみによって供給された洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水道直圧式水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、
前記汚物受け面の上縁部に形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部の下方にその入り口が接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、
前記排水トラップ管路が封水されるように前記ボウル部の下方に形成された溜水部と、
前記リム部に設けられ、前記リム部に沿って旋回して前記ボウル部を洗浄するように前記洗浄水を吐出するリム吐水口と、
前記溜水部の下方に設けられ、前記排水トラップ管路の入り口に向かって汚物を押し込むように前記洗浄水を吐出するゼット吐水口と、
前記洗浄水を貯留する貯水タンクと、
前記洗浄水を前記リム吐水口から吐出させる第一のリム給水制御を実行し、該第一のリム給水制御が終了した後、前記洗浄水を前記ゼット吐水口から吐出させるゼット給水制御を実行し、該ゼット給水制御が終了した後、前記洗浄水を再び前記リム吐水口から吐出させる第二のリム給水制御を実行するように制御する洗浄制御手段と、を備え、
前記洗浄制御手段は、前記貯水タンクに貯留された洗浄水を、前記ゼット吐水口から吐出される洗浄水よりも遅い流速且つ少ない流量で前記溜水部へ供給する臭気逆流防止制御を、前記ゼット給水制御時に実行することを特徴とする水道直圧式水洗大便器。 - 前記臭気逆流防止制御は、前記ゼット給水制御の前半の時間帯は実行しないか、もしくは前半の時間帯に比して、後半の時間帯は多い流量を前記貯水タンクから前記溜水部へ供給することを特徴とする請求項1に記載の水道直圧式水洗大便器。
- 前記臭気逆流防止制御は、前記排水トラップ管路の入り口を水膜のカーテン状として覆うように、前記排水トラップ管路の入り口の上方から下方に供給することを特徴とする請求項2に記載の水道直圧式水洗大便器。
- 前記臭気逆流防止制御は、前記ゼット給水制御が終了した後、前記第二のリム給水制御を実行してからも所定時間は前記臭気逆流防止制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の水道直圧式水洗大便器。
- 前記排水トラップ管路は、上昇トラップ管路及び下降トラップ管路を有しており、さらに、前記排水トラップ管路の入り口の底面と、前記ゼット吐水口との間には凹部が形成されているとともに、前記凹部はゼット吐水より幅方向に広く上方に開口していることを特徴とする請求項4に記載の水道直圧式水洗大便器。
- 前記臭気逆流防止制御は、前記貯水タンクに貯留された洗浄水に、空気を混入させた気泡混入水を前記溜水部へ供給することを特徴とする請求項5に記載の水道直圧式水洗大便器。
- 前記臭気逆流防止制御は、前記排水トラップ管路の入り口を水膜のカーテン状として覆うように吐水するものであって、前記排水トラップ管路の入り口の上方部を構成するボウル部は、排水トラッフ゜管路の入り口幅と同等、もしくはそれよりも長い長さの平坦部として構成されているとともに、前記臭気逆流防止制御による洗浄水の供給は、前記排水トラップ管路の入り口より前記水洗大便器の後方側から幅広に前記ボウル面に沿わせて供給することを特徴とする請求項3に記載の水道直圧式水洗大便器。
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