JP2019064537A - エアバッグ及びエアバッグ装置 - Google Patents

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敦 市田
尚史 関
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Abstract

【課題】袋体上部に位置する膨張部へのガス供給を安定させることができるエアバッグの提供。【解決手段】縦長の袋体19を備え、前記袋体は、前記袋体の長手方向の下端側から流入するガスを導く少なくとも一つの縦長の流路81,82と、前記流路に対して前記袋体の幅方向に隣接し且つ前記長手方向に延在するウェビングに対向する領域に形成されており、前記ウェビングよりも幅広に且つ前記ウェビングに沿うように縦長に形成された非膨張部80と、前記非膨張部の上縁よりも上方に設けられ、前記流路により導かれるガスが供給されて膨張する膨張部67とを有する、エアバッグ20。【選択図】図3

Description

本発明は、エアバッグ及びエアバッグ装置に関する。
従来、ガスが供給されて膨張するバッグを、筒状の伸縮可能なメッシュウェビング内に収容するエアベルトが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このエアベルトのバッグは、ガスが供給されて膨張する主膨張部と、その主膨張部にガスを供給するガス供給路とを備え、その主膨張部は、乗員の肩部における前後方向膨張幅が乗員の胸部における前後方向膨張幅よりも大きくなるように構成されている。これにより、胸部の負荷を低減し、比較的強固な肩部に負荷を集中させることができる。
一方、バッグをウェビング内に収容する上述の構造とは異なり、ウェビングがバッグの表面上に配置されるエアベルトが知られている(例えば、特許文献2,3を参照)。
特開2015−123915号公報 特開2013−184559号公報 特開2013−244857号公報
しかしながら、袋体下部よりも袋体上部を大きく膨張させる特許文献1のような技術を、ウェビングがバッグの表面上に配置される特許文献2,3のような構造にそのまま適用すると、ガス供給路がウェビングの張力により押し潰されるおそれがある。ガス供給路がウェビングの張力により大きく押し潰されると、袋体上部へのガス供給を安定させることが難しくなる。
そこで、本開示では、袋体上部に位置する膨張部へのガス供給を安定させることができるエアバッグ及びエアバッグ装置が提供される。
本開示の一態様では、
縦長の袋体を備え、
前記袋体は、
前記袋体の長手方向の下端側から流入するガスを導く少なくとも一つの縦長の流路と、
前記流路に対して前記袋体の幅方向に隣接し且つ前記長手方向に延在するウェビングに対向する領域に形成されており、前記ウェビングよりも幅広に且つ前記ウェビングに沿うように縦長に形成された非膨張部と、
前記非膨張部の上縁よりも上方に設けられ、前記流路により導かれるガスが供給されて膨張する膨張部とを有する、エアバッグ及び該エアバッグを備えるエアバッグ装置が提供される。
本開示によれば、袋体上部に位置する膨張部へのガス供給を安定させることができる。
本実施形態におけるシートベルト装置の構成の一例を示す図である。 本実施形態におけるシートベルト装置のタング及びエアバッグ付近の断面図である。 本実施形態におけるエアバッグの一例を示す平面図である。 図3のF−Fにおける断面図である。 袋体が膨張展開する前の状態での、図3のA−Aにおける断面図である。 袋体が最も膨張した状態での、図3のA−Aにおける断面図である。 図3のC−Cにおける断面図である。 図3のB−Bにおける断面図である。 本実施形態におけるエアバッグの一変形例を示す平面図である。 図2に示される切断線E−Eでの断面図である。
以下、本開示に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向及びZ軸に平行な方向を表す。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸とY軸を含む平面、Y軸とZ軸とを含む平面、Z軸とX軸とを含む平面を表す。
図1は、本実施形態におけるシートベルト装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示されるシートベルト装置100は、車両の座席1に装備されている。シートベルト装置100は、リトラクタ2、ウェビング11、エアベルト10、ショルダアンカ7、タング4及びバックル9を備える。
リトラクタ2から引き出されたウェビング11は、ショルダアンカ7を通って引き回され、タング4で折り返される。ウェビング11の端部は、アンカープレート6に定着されている。アンカープレート6は、固定ボルト5を介してシート又は車体の不図示の固定部に固定される。
座席1は、例えば、運転席又は助手席などの前方座席である。座席1は、後方座席でもよい。
リトラクタ2は、ウェビング11の送り出し又は巻き取りを行う装置であり、この実施の形態ではBピラーに設置されている。しかしながら、リトラクタ2は、座席1の位置に対応して、例えばBピラー、Cピラー、後方座席の後方のトレイなどの車体側部位に設置されてもよい。また、リトラクタ2は、座席1の内部(例えば、シートバック1Bの内部)に設置されてもよい。
ウェビング11に摺動可能に取り付けられたタング4よりもショルダアンカ7側には、エアベルト10が装着されている。タング4は、ガス供給パイプ4aとタングプレート4b等を備えている。ガス供給パイプ4aは、金属製筒状体であり、ガス供給パイプ4aに連通するタング4内のガス供給経路を介して、後述の図3に示されるエアバッグ20の下端部のガス導入口21に連通している。
図1において、タング4が着脱されるバックル9は、ブラケット9aを介してシート又は車体の固定部(図示せず)にボルト等の固定部材を介して固定される。バックル9には、タングプレート支持穴9bとガス供給パイプ連結穴9cとが形成されており、タング4の装着時にタングプレート4bとガス供給パイプ4aとはバックル9の各穴9b,9cに挿入される。ガス供給パイプ4aが挿入されるガス供給パイプ連結穴9cには、バックル9又は車体側に設置されたインフレータ16のガス噴出口(図示せず)が連通されている。衝突時等に、インフレータ16内の点火剤の反応によりインフレータ16のガス噴出口からガスが噴出し、エアベルト10が図1の二点鎖線10'で示すようにウェビング11に沿って膨張する。エアベルト10は、ウェビング11の長手方向に沿って膨張展開しながら上方(本実施形態では、ショルダアンカ7側)に移動する。
図2は、本実施形態におけるシートベルト装置のタング及びエアバッグ付近の断面図である。タング4のタングプレート4bの先端側には、タングプレート4bがバックル9内に差し込まれたときにバックル9内のラッチ部材が係合するラッチ孔4cが設けられている。タングプレート4bの後端側は、樹脂モールド4d内に埋設されている。樹脂モールド4dに、ウェビング11の挿通口4eが設けられている。
エアベルト10は、エアバッグ装置の一例である。図2に示されるように、エアベルト10は、ウェビング11が挿通されたウェビングガイド30と、ウェビングガイド30に沿って延在する膨張可能なエアバッグ20と、エアバッグ20の折り畳み体を覆うバッグカバー40と備える。エアバッグ20は、ウェビング11の挿通方向に細長く折り畳まれた状態でウェビングガイド30の外側に配置されている。また、エアベルト10は、ウェビングガイド30及びバッグカバー40の下端側をタング4に連結する下側連結部材50と、エアバッグ20、ウェビングガイド30及びバッグカバー40の上端側同士を連結する上側連結部材51とを備える。
バッグカバー40は、カバー上端部46を有し、ウェビングガイド30は、カバー上端部46に対向するガイド上端部36を有する。カバー上端部46は、ウェビング11の挿通方向での第1のカバー端部の一例である。ガイド上端部36は、第1のカバー端部に対向する第1のガイド端部の一例である。また、バッグカバー40は、カバー下端部47を有し、ウェビングガイド30は、カバー下端部47に対向するガイド下端部37を有する。カバー下端部47は、ウェビング11の挿通方向で第1のカバー端部とは反対側の第2のカバー端部の一例である。ガイド下端部37は、第2のカバー端部に対向する第2のガイド端部の一例である。
エアバッグ20の折り畳み体とウェビングガイド30とが、バッグカバー40内に挿入される。バッグカバー40は、平坦で細長い筒状のカバーの一例である。バッグカバー40は、エアバッグ20の膨張圧によって切断する縫合糸で縫製されるか、又はエアバッグ20の膨張に合わせて膨張する伸縮可能なメッシュにより形成されている。この実施の形態では、ウェビングガイド30とバッグカバー40の全長は略等しく、ウェビングガイド30とバッグカバー40の下端及び上端の位置は略一致している。
ウェビングガイド30は、ガイド上端部36とガイド下端部37との間に連続して延在する周壁部38を有する。周壁部38がガイド上端部36とガイド下端部37との間に連続して延在することにより、孔や隙間等の切れ目が周壁部38には形成されていないので、周壁部38を介してバッグカバー40とウェビングガイド30との間に異物が混入することを防ぐことができる。
ウェビングガイド30は、ウェビング11が挿通方向に移動自在に挿通する平坦で細長い筒状部材であり、ポリウレタン樹脂やシリコーンエラストマー等の樹脂材料により形成されている。
縦長のウェビングガイド30は、ウェビング11の長手方向への移動をガイドする。エアバッグ20は、ウェビングガイド30の外側に配置されている。上側連結部材51は、エアバッグ20が膨張展開する前の非膨張展開状態では、ウェビングガイド30のガイド上端部36とバッグカバー40のカバー上端部46とを連結する。そして、上側連結部材51は、エアバッグ20が膨張展開している状態では、エアバッグ20の膨張展開に伴って、エアバッグ20と共にウェビング11の長手方向に沿って上方に移動する(図1の二点鎖線10'、51'参照)。
このように、エアベルト10は、エアバッグ20の膨張展開に伴って、エアバッグ20と共にウェビング11に沿って上方に移動する上側連結部材51を備える。このような上側連結部材51を備えることによって、非膨張展開状態でのエアベルト10の長手方向の長さを、膨張展開状態での長さよりも短縮することができる。したがって、エアバッグ20が膨張展開する前の状態でのエアベルト10のサイズを小さくすることができる。その結果、エアベルト10を車両に搭載する際の搭載性が向上する。また、エアバッグ20が膨張展開する前の通常使用状態でのエアベルト10のサイズを小さくすることができるので、エアベルト10が通常使用状態で乗員に与える煩わしさを低減することができる。
図3は、本実施形態におけるエアバッグの一例を示す平面図であり、エアバッグ20単体を平たく広げた状態を示す。X軸方向は、縦長のエアバッグ20又はウェビング11の幅方向を表す。Y軸方向は、エアバッグ20又はウェビング11の長手方向を表す。Z軸方向は、エアバッグ20又はウェビング11の厚さ方向を表す。
エアバッグ20は、下端側(タング4側)にガス導入口21を備えている。エアバッグ20は、ウェビング11に沿うように細長く延在する。エアバッグ20の上端側(ショルダアンカ7側)には、突片部22が設けられている。突片部22に係止孔22aが設けられている。突片部22は、エアバッグ20のバッグ上端部の一例である。
エアバッグ20は、細長い2枚の基布28,29を重ね合わせ、それらの周縁部を縫合等による接合部23で接合することにより、細長い袋状に製作される。基布28は、ウェビング11が設けられる側となる第1の表面の一例である。基布29は、ウェビング11が設けられる側とは反対側(すなわち、乗員側)の第2の表面の一例である。基布28と基布29とが接合部23で接合されることにより、エアバッグ20の外形を形成する縦長の袋体19が作製される。
エアバッグ20の長手方向の中間よりも下端側(タング4側)には、ウェビングガイド30を、エアバッグ20の基布28側から反対側の基布29側に引き通すためのスリット24が設けられている。このスリット24を囲むように、基布28,29同士が接合部25A,25Bで縫合等により接合されている。
エアバッグ20の長手方向の中間付近から上端側(突片部22側)にかけて、ウェビングガイド30を通すための複数個のループ部26が間隔をあけて設けられている。本実施形態では、5個のループ部26a〜26eが基布28の表面から突出するように設けられている。ループ部26は、例えば、基布28,29と同じ材質の布片よって形成されている。各々のループ部26の両側辺部は、エアバッグ20の基布28又は基布28,29の両方に縫合等による接合部26iで接合されている。
図4は、図3のF−Fにおける断面図である。ループ部26aは、基布28との間に空間を形成するように、基布28に取り付けられている。当該空間に、ウェビング11が挿通するウェビングガイド30が挿入される。他のループ部26b〜26eについても同様に、基布28との間に形成された空間に、ウェビング11が挿通するウェビングガイド30が挿入される。
ループ部26a〜26eは、それぞれ、袋体19の長手方向に延在するウェビング11が袋体19の表面上で袋体19の幅方向に移動することを規制する移動規制部材である。本実施形態では、ループ部26a〜26eは、ウェビング11が挿通するウェビングガイド30がウェビング11と共に基布28上でX軸方向に移動することを規制する。ループ部26a〜26eは、ウェビング11及びウェビングガイド30のX軸方向での位置が基布28上でずれることを、X軸方向で対向する一対の接合部26iにより抑えることができる。
図3,4に示されるように、エアバッグ20の長手方向の中間付近かつ幅方向の中間付近には、基布28,29同士が縫合等による接合部25Bで接合されている。接合部25Bによる縫合等の接合が施されることにより、エアバッグ20の膨張時に厚みが規制される非膨張部80が設けられる。
袋体19は、少なくとも一つの縦長の流路(本実施形態では、複数の流路81,82)と、縦長の非膨張部80と、縦長の膨張部67(本実施形態では、膨張部60,63,64を含む)とを有する。流路81,82と非膨張部80は、袋体19の下部領域(袋体下部84)に設けられている。膨張部67は、袋体19の上部領域(袋体上部)に設けられている。
流路81,82は、袋体19の長手方向の下端側に設けられるガス導入口21側から流入するガスを膨張部67に導くガス供給路である。流路81は、非膨張部80に対してX軸方向の一方の側に設けられる第1の流路の一例である。流路82は、非膨張部80に対してX軸方向の他方の側に設けられる第2の流路の一例である。
非膨張部80は、流路81,82に対して袋体19の幅方向に隣接し且つウェビング11に対向する領域に形成されている。非膨張部80は、ウェビング11よりも幅広に且つウェビング11に沿うように縦長に形成されている。非膨張部80は、流路81,82により導かれるガスが流入しないように、基布28と基布29とが互いに接合部25Bで接合されることにより形成されている。接合部25Bは、非膨張部80の外周縁を形成している。
膨張部67は、非膨張部80の上縁80aよりも上方に設けられている。袋体上部に位置する膨張部67は、流路81,82により導かれるガスが供給されて膨張する。膨張部67は、流路81,82とは連通しているが、非膨張部80とは連通していない。
このように、本実施形態では、非膨張部80は、流路81,82に対して袋体19の長手方向に隣接し且つウェビング11に対向する領域に形成されている。したがって、ウェビング11は、流路81,82に対向する領域に延在しないので、ウェビング11の張力が上昇しても、流路81,82はウェビング11によって押し潰され難くなる。これにより、流路81,82から膨張部67へのガス供給を安定させることができる。
特に、非膨張部80は、ウェビング11よりも幅広に且つウェビング11に沿うように縦長に形成されている。よって、エアバッグ20が膨張展開した状態でも、流路81,82は、ウェビング11と乗員との間に存在しないので、流路81,82は、ウェビング11によってさらに押し潰され難くなる。w0は、非膨張部80のうちで幅が最も短い部分の幅寸法を表す。非膨張部80の最短幅w0は、ウェビング11の幅よりも広く、ウェビング11が挿通するウェビングガイド30の幅よりも広い。
また、エアバッグ20が膨張展開した状態では、ウェビング11と乗員との間の少なくとも一部分は、非膨張部80である。よって、ウェビング11の張力を乗員(より具体的には、乗員の胸部)に適切に伝えることができ、ウェビング11による乗員の拘束力を確保することができる。また、エアバッグ20が膨張展開した状態では、非膨張部80よりも上方に設けられた膨張部67が膨張するので、膨張部67による乗員(より具体的には、乗員の肩部)の拘束力を確保することができる。
ガス導入口21には、インフレータ16から噴出したガスが通るガス供給パイプ4a(図1参照)が取り付けられる。ガス導入口21の中心線Hは、袋体19の長手方向に平行な非膨張部80の中心線Gに対してオフセットした箇所に位置する。これにより、タング4とエアバッグ20とが取り付けられた状態において、ガス供給パイプ4aが中心線Gからずれていても、インフレータ16から噴出したガスをガス導入口21を介して袋体19内に円滑に導入することができる。
袋体19は、ガス導入口21から流入するガスを流路81,82の両方に導入する導入路83を有する。導入路83は、導入路83の幅(w3+w4)が中心線Gによって等分される箇所に位置する(つまり、w3=w4)。これにより、導入路83は、ガス導入口21が中心線Gからずれていても、導入路83から分岐した流路81,82に対して均等にガスを供給できる。なお、導入路83の幅(w3+w4)は、接合部23によって決まる。
袋体19は、ウェビング11(本実施形態では、ウェビング11を内包するウェビングガイド30)が挿通されるスリット24を有する。スリット24は、非膨張部80の外周縁(本実施形態では、接合部25B)の内側に位置する。スリット24は、接合部25Bの内側で接合部25Aに囲まれている。
非膨張部80は、図示のように、スリット24よりも上方の領域で縦長になるように形成されている。例えば、袋体19の長手方向における非膨張部80の上縁80aとスリット24との間の寸法は、w0よりも長い。また、例えば、袋体19の長手方向における非膨張部80の上縁80aとスリット24との間の寸法は、袋体19の長手方向における非膨張部80の下縁80bとスリット24との間の寸法に比べて長い。
複数のループ部26のうち少なくとも一つのループ部は、スリット24よりも上方に設けられている。本実施形態では、ループ部26aが、非膨張部80との間に空間を形成するように非膨張部80の上縁80aと下縁80bとの間に設けられている。これにより、ウェビング11が非膨張部80の表面上で袋体19の幅方向に移動することを規制することができる。
図5は、袋体19が膨張展開する前の状態での、図3のA−Aにおける断面図である。図6は、袋体19が最も膨張した状態での、図3のA−Aにおける断面図である。図5,6では、ウェビング11をガイドするウェビングガイド30の図示が省略されている。エアバッグ20の長手方向の中間付近かつ幅方向の中間付近において、エアバッグ20は、基布28と基布29とを袋体19の内部で連結する少なくとも一つの連結部材を備える。図5,6には、そのような連結部材の一例として、Z軸方向への袋体19の膨張を袋体19の内部で規制する2つのテザー61,62が示されている。このような連結部材により、エアバッグ20の膨張時の厚みが規制される。
図5に示されるように、テザー61,62は、XY平面において広がる2枚のテザー布65,66によって形成されている。テザー布65,66は、互いに重ね合うように基布28と基布29との間に挟まれている。テザー布65,66のそれぞれのX軸方向での両側は、縫合等による接合部27e,27fによって互いに接合されている。また、テザー布65の中央部は、基布28の内面に縫合等による接合部27a,27bによって接合されている。テザー布66の中央部は、基布29の内面に縫合等による接合部27c,27dによって接合されている。
したがって、袋体19がガスの流入により膨張展開すると、図6に示されるように、接合部27aと接合部27cとの間にテザー61が形成されるとともに、接合部27bと接合部27dとの間にテザー62が形成される。よって、袋体19の最大膨張状態でのZ軸方向の寸法がテザー61,62により制限される。
袋体19のZ軸方向への膨張がテザー61,62により規制されることにより、袋体19が最も膨張した状態でウェビング11が収まる窪み28cが、袋体19の基布28に形成される。窪み28cが形成されることにより、窪み28cのX軸方向の両側には、X軸方向に離間する一対の頂部28a,28bが基布28に形成される。ウェビング11及びウェビングガイド30は、これらの一対の頂部28a,28bを乗り越えることが難しくなる。よって、袋体19が最も膨張した状態において、ウェビング11及びウェビングガイド30のX軸方向の移動は、これらの一対の頂部28a,28bによって制限される。
したがって、このような窪み形成部材(本実施形態では、テザー61,62)をエアバッグ20は備えることにより、袋体19が最も膨張した状態でウェビング11が横方向(袋体19の幅方向を示すX軸方向)にずれることを防止することができる。
窪み28cが基布28に形成されるように、テザー61は、基布28との第1の接合箇所である接合部27aで基布28の内面に接合し、テザー62は、基布28との第2の接合箇所である接合部27bで基布28の内面に接合する。このように、窪み28cが基布28に形成されるように、基布28との接合箇所が少なくとも2箇所設けられることにより、平面状の底を有する窪み28cが形成される。したがって、袋体19が最も膨張した状態において、ウェビング11及びウェビングガイド30を窪み28cで安定化させる効果が増大する。
図6のように、袋体19が最も膨張した状態において、X軸方向における接合部27aと接合部27bとの距離は、ウェビング11の幅よりも短いことが、ウェビング11及びウェビングガイド30を窪み28cで安定化させる点で好ましい。当該距離がウェビング11の幅よりも長くなると、窪み28cと一対の頂部28a,28bとの間の段差が小さくなり、ウェビング11及びウェビングガイド30を窪み28cで安定化させることが難しくなるからである。
テザー61は、基布29との第3の接合箇所である接合部27cで基布29の内面に接合し、テザー62は、基布29との第4の接合箇所である接合部27dで基布29の内面に接合する。
袋体19が最も膨張した状態で、窪み28cに対して袋体19の幅方向の一方の側で膨張する第1の膨張部64と、窪み28cに対して袋体19の幅方向の他方の側で膨張する第2の膨張部63とが形成される。袋体19が最も膨張した状態で、第2の膨張部63は、第1の膨張部64と同じ大きさまで膨張してもよいし、第1の膨張部64よりも大きく膨張してもよい。
第1の膨張部64は、テザー62に対して左側のチャンバーであり、第2の膨張部63は、テザー61に対して右側のチャンバーである。第1の膨張部64と第2の膨張部63との間には、第3の膨張部60が形成されている。
図7は、図3のC−Cにおける断面図である。図8は、図3のB−Bにおける断面図である。エアバッグ20は、少なくとも一つの補強部材70を備える。ループ部26dは、補強部材70との間に空間73を形成するように、基布28に取り付けられている。空間73に、ウェビング11を挿通するウェビングガイド30がウェビング11と共に挿入される。他のループ部26b〜26dについても同様に、補強部材70との間に形成された空間73に、ウェビング11及びウェビングガイド30が挿入される。
補強部材70は、ウェビング11に面するように基布28に設けられ、ループ部26よりも硬い硬質部材の一例である。補強部材70がウェビング11と基布28との間に設けられているので、膨張したエアバッグ20にウェビング11が食い込むことを抑制することができる。補強部材70は、ウェビング11がエアバッグ20に食い込む力に対して基布28を補強する。
補強部材70は、袋体19が膨張した状態でウェビング11の形状を袋体19の表面上で平坦に維持する。補強部材70は、ウェビング11の形状を平坦に維持する点やエアベルト10のZ軸方向の厚さを抑える点で、図示のような板状部材であることが好ましい。本実施形態では、補強部材70は、X軸方向に幅広な長方形状に形成された板状部材である。
補強部材70は、基布28に取り付けられた収納部71に収納されている。収納部71は、縫合等による接合部26iによって基布28に接合されている。収納部71は、収納布72が折り曲げられることによって形成される。収納布72は、基布28と同じ材質の布である。
一枚の収納布72が折り曲げられることによって形成された収納部71に、補強部材70が挿入される。そして、折り曲げられて重ね合わされた収納布72は、補強部材70の周りで、縫合等による接合部26j,72iによって互いに接合される。このように、補強部材70は、収納布72に包まれた状態で接合部26iで基布28に取り付けられている。これにより、補強部材70が収納部71から飛び出ることを防止することができる。また、補強部材70と基布28との間に収納布72が存在するので、硬質な補強部材70が軟質な基布28と直接接触することを防止することができる。
図7,8では、補強部材70を包んだ状態で接合部72iで接合された収納布72に、ループ部26dが接合部26jで接合されることで、ガイドループ(サブアッセンブリ品)が作製される。このガイドループを接合部26iで基布28に接合することで、ループ部26d及び補強部材70を基布28に接合する方法が容易になる。他のループ部26b,26cを補強部材70と共に基布28に接合する場合も同様である。
図7,8では、ループ部26dは、ウェビング11が袋体19の表面上で袋体19の幅方向に移動することを規制する。また、収納布72により形成された収納部71は、補強部材70が袋体19の表面上で袋体19の幅方向に移動することを接合部26jで規制する。つまり、ループ部26d及び収納部71によって形成される一つのガイドループは、ウェビング11と補強部材70との両方を基布28上でX軸方向に移動することを規制する移動規制部材の一例である。このように一つのガイドループが、ウェビング11だけでなく補強部材70の移動も規制するので、部品点数を削減することができる。他のループ部26b,26cを補強部材70と共に基布28に接合する箇所でも同様である。
図9は、本実施形態におけるエアバッグの一変形例を示す平面図である。図3では、導入路83は、導入路83の幅(w3+w4)が中心線Gによって等分される箇所に位置している(つまり、w3=w4)。しかしながら、図9に示されるように、導入路83は、導入路83の幅(w3+w4)が中心線Gによって等分される箇所に位置していなくてもよい。図9の場合、w3はw4よりも大きい。w3とw4の長さをそれぞれ調整することによって、導入路83から導入されるガスを流路81と流路82とに分配する比率を調整することができる。
図10は、図2に示される切断線E−Eでの断面図である。ウェビングガイド30は、ウェビング11との間に空間を形成するようにガイド上端部36とガイド下端部37との間に連続して延在する周壁部38を有する。周壁部38とウェビング11との間に空間が形成されているので、ウェビング11の滑りを向上させることができる。また、ウェビングガイド30の内周面(周壁部38の内周面)に形成されたコーティング39は、ウェビング11の滑りを更に向上させることができる。例えば、コーティング39の主成分に関し、ベースバインダーは、フッ素系樹脂、潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチエン(polytetrafluoroethylene, PTFE)固定潤滑剤、潤滑剤量は、30〜40%、添加剤は、シリコーンオイルであると好適である。
エアバッグ20の折り畳み体とウェビングガイド30とが、図10に示されるように、バッグカバー40内に収納される。流路81を形成する基布部分と流路82を形成する基布部分とが、ウェビング11が挿通するウェビングガイド30を覆うように交互に折り畳まれている。バッグカバー40は、縫合等による接合部41で接合されている。接合部41がエアバッグ20の膨張圧によって分断されると、エアバッグ20は膨張展開しながらバッグカバー40から露出する。
流路81,82は、ガス導入口21からガスが供給されることによって膨張する。一方、膨張部67(図3参照)には、ガスが流路81,82を経由してから供給されるので、流路81,82は、膨張部67よりも早く膨張し始める。したがって、図10において、接合部41を流路81,82の膨張により分断することによって、接合部41を流路81,82の膨張により分断せずに膨張部67の膨張により分断する場合に比べて、バッグカバー40を接合部41で早く破断させることができる。その結果、エアバッグ20の膨張展開を早めることができる。
バッグカバー40の幅をw5とする。流路81,82の幅の合計を(w1+w2)とする(図3参照)。(w1+w2)は、w5よりも大きくw5の3倍以下の長さであることが好ましい。流路81,82は、図10のようにバッグカバー40内に収納されているので、(w1+w2)がw5以下であると、バッグカバー40を流路81,82の膨張により破断させることが難しくなる。一方、(w1+w2)がw5の3倍を超える長さであると、流路81,82をそれぞれ形成する基布部分の折り畳み数が増え、バッグカバー40の厚みが増すため、エアバッグ20の小型化が難しくなる。
以上、エアバッグ及びエアバッグ装置を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
また、本発明は、エアバッグの上端又は下端がウェビングに固定されている形態にも適用することができる。また、窪み28cを形成する窪み形成部材は、一つでも複数でもよい。また、窪み形成部材は、テザー、ストラップ、連結材、パッチ、ベルト、係留索、係留綱、紐状部材、又は帯状部材などによって実現されてもよい。
また、ウェビングガイドは、筒状に形成された部材に限られず、板状に形成された部材でもよい。また、ウェビングガイドは、無くてもよい。
また、ウェビング11のX軸方向の移動を規制する移動規制部材の個数は、複数に限られず、一つでもよい。また、補強部材70等の硬質部材のX軸方向の移動を規制する移動規制部材の個数は、複数に限られず、一つでもよい。また、硬質部材の個数は、複数の限られず、一つでもよい。硬質部材は、板状部材に限られず、線状部材でもよい。また、硬質部材は、エアバッグの表面の外側に設けられる形態に限られず、エアバッグの表面の内側(本実施形態では、基布28の内面)に設けられてもよい。
また、袋体上部に位置する膨張部にガスを導く流路の個数は、2つに限られず、一つでも3つ以上でもよい。
1 座席
2 リトラクタ
4 タング
4b タングプレート
4d 樹脂モールド
7 ショルダアンカ
9 バックル
10 エアベルト
11 ウェビング
16 インフレータ
19 袋体
20 エアバッグ
21 ガス導入口
28,29 基布
28c 窪み
30 ウェビングガイド
36 ガイド上端部
37 ガイド下端部
38 周壁部
40 バッグカバー
41 接合部
46 カバー上端部
47 カバー下端部
51 上側連結部材
60 第3の膨張部
61,62 テザー
63 第2の膨張部
64 第1の膨張部
67 膨張部
70 補強部材
80 非膨張部
81,82 流路
83 導入路
84 袋体下部
100 シートベルト装置

Claims (10)

  1. 縦長の袋体を備え、
    前記袋体は、
    前記袋体の長手方向の下端側から流入するガスを導く少なくとも一つの縦長の流路と、
    前記流路に対して前記袋体の幅方向に隣接し且つ前記長手方向に延在するウェビングに対向する領域に形成されており、前記ウェビングよりも幅広に且つ前記ウェビングに沿うように縦長に形成された非膨張部と、
    前記非膨張部の上縁よりも上方に設けられ、前記流路により導かれるガスが供給されて膨張する膨張部とを有する、エアバッグ。
  2. 前記流路は、第1の流路と、第2の流路とを含み、
    前記非膨張部は、前記第1の流路と前記第2の流路との間に位置する、請求項1に記載のエアバッグ。
  3. 前記袋体は、前記袋体の長手方向の下端側に設けられるガス導入口を有し、
    前記ガス導入口は、前記非膨張部の中心線に対してオフセットした箇所に位置する、請求項2に記載のエアバッグ。
  4. 前記袋体は、前記ガス導入口から流入するガスを前記第1の流路と前記第2の流路に導入する導入路を有し、
    前記導入路は、前記導入路の幅が前記中心線によって等分される箇所に位置する、請求項3に記載のエアバッグ。
  5. 前記袋体は、前記ウェビングが挿通されるスリットを有し、
    前記スリットは、前記非膨張部の外周縁の内側に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアバッグ。
  6. 前記非膨張部は、前記スリットよりも上方の領域で縦長になるように形成される、請求項5に記載のエアバッグ。
  7. 前記袋体の長手方向における前記非膨張部の上縁と前記スリットとの間の寸法は、前記袋体の長手方向における前記非膨張部の下縁と前記スリットとの間の寸法に比べて長い、請求項5又は6に記載のエアバッグ。
  8. 前記ウェビングが前記袋体の表面上で前記袋体の幅方向に移動することを規制する少なくとも一つの移動規制部材を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のエアバッグ。
  9. 前記移動規制部材の少なくとも一つは、前記ウェビングが挿通されるスリットよりも上方に設けられる、請求項8に記載のエアバッグ。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のエアバッグと、前記エアバッグを覆うカバーとを備え、
    前記流路の幅の合計は、前記カバーの幅よりも大きく前記カバーの幅の3倍以下の長さである、エアバッグ装置。
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