JP2019062741A - 膵リパーゼ阻害用組成物及び膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然物由来の新規な膵リパーゼ阻害用組成物、当該膵リパーゼ阻害用組成物を含む飲食品、医薬品、当該リパーゼ阻害用組成物の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の膵リパーゼ阻害用組成物は、Rhizopus microsporus及びRhizopus stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む。【選択図】図1
Description
本発明は膵リパーゼ阻害用組成物及び膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法に関する。
生体内に摂取された脂肪は、膵臓が産生した膵リパーゼによって脂肪酸とグリセリンとに分解された後に腸管に吸収される。そのため、膵リパーゼ活性を阻害する物質は、脂肪の分解吸収を抑制する働きを有する。ゆえに、膵リパーゼ活性を阻害する物質は、上述の生活習慣病を予防、改善又は治療するために有効である。膵リパーゼ活性を阻害する物質を有効成分とする抗肥満治療剤として、「オブリーン(登録商標)」錠が知られている(非特許文献1)。
また、膵リパーゼ阻害用組成物として、非特許文献2には、大豆由来酵素蛋白が、特許文献1には、大豆由来ペプチドが、特許文献2及び特許文献3には、味噌のバッファー抽出物が、特許文献4には、大豆油不けん化物が、それぞれ記載されている。
「オブリーン錠(登録商標)120mg」(武田薬品工業株式会社) 添付文書、2013年9月、第1版、1〜3ページ
K Satouchi at al., Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 66 (10), 2154-2160, 2002
上述の健康問題を解決すべく、新規な膵リパーゼ阻害用組成物を提供することは有用である。特に、天然物由来の新規な膵リパーゼ阻害用組成物を提供することは有用である。
本発明の主たる目的は、天然物由来の新規な膵リパーゼ阻害用組成物及び当該膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法を提供することにある。
従来技術において、非特許文献2、特許文献1〜4に記載の膵リパーゼ阻害用組成物は何れも大豆由来であるが、非特許文献2及び特許文献1〜3に記載の物質は親水性物質であり、特許文献4に記載の物質は不けん化物である。これまで、大豆由来のけん化性脂質において、膵リパーゼを阻害する活性は確認されていない。
本発明者らは、鋭意検討の結果、驚くべきことに、Rhizopus microsporus(以下、「R.microsporus」のように略記する)及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質が、膵リパーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明は以下の何れかの一態様を包含する。
本発明の一態様に係る膵リパーゼ阻害用組成物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む。
本発明の別の態様に係る膵リパーゼ阻害用組成物は、パルミチン酸及びステアリン酸のうちの少なくとも1種類を含む。
本発明の一態様に係る膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法である。
本発明によれば、天然物由来の新規な膵リパーゼ阻害用組成物及び当該膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
〔1.膵リパーゼ阻害用組成物〕
本発明の一実施形態に係る膵リパーゼ阻害用組成物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含んでいる。
本発明の一実施形態に係る膵リパーゼ阻害用組成物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含んでいる。
[膵リパーゼ]
本明細書において、膵リパーゼは、動物の膵臓で生産及び分泌されるリパーゼを指す。また、本発明において、その活性を阻害する対象となる膵リパーゼには、あらゆる動物由来の膵リパーゼが包含されるが、好ましくは哺乳類の膵リパーセであり、特にヒトの膵リパーゼが好ましい。
本明細書において、膵リパーゼは、動物の膵臓で生産及び分泌されるリパーゼを指す。また、本発明において、その活性を阻害する対象となる膵リパーゼには、あらゆる動物由来の膵リパーゼが包含されるが、好ましくは哺乳類の膵リパーセであり、特にヒトの膵リパーゼが好ましい。
本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼの有する中性脂肪を分解する活性を阻害するものである。
[大豆発酵物]
本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、大豆発酵物中に含まれるものである。大豆発酵物について以下に説明する。本実施形態に係る大豆発酵物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物である。換言すれば、本実施形態に係る大豆発酵物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類を用いて大豆を発酵させることによって得られたものであり得る。
本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、大豆発酵物中に含まれるものである。大豆発酵物について以下に説明する。本実施形態に係る大豆発酵物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物である。換言すれば、本実施形態に係る大豆発酵物は、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類を用いて大豆を発酵させることによって得られたものであり得る。
本実施形態に係る大豆発酵物の材料及び製造の方法及び条件等について、以下に詳細に記載する。
(菌類)
本実施形態において用いられる大豆を発酵させる菌類は、Rhizopus属の菌類を含む。本実施形態の菌には、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品として知られる「テンペ」の製造に用いられる任意の菌が含まれる。
本実施形態において用いられる大豆を発酵させる菌類は、Rhizopus属の菌類を含む。本実施形態の菌には、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品として知られる「テンペ」の製造に用いられる任意の菌が含まれる。
本実施形態で大豆の発酵に用いられるのは、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類である。好ましくは、R.microsporus var.oligosporus、R.microsporus var.microsporus、R.stolonifer var.stolonifer及びR.stolonifer var.lyococcusのうちの少なくとも1種類を含む菌類である。なお、菌の原産地は特に限定されない。上記の菌の他に、R.oryzae及びR.delmar等のRhizopus属の菌類、市販のテンペに含まれる菌類及びLactobacillus等の他の属の菌を含んでいてもよい。
また、大豆の発酵に用いるのは上述の菌の2種類以上の混合であってもよい。上述の菌を含む菌類を大豆に添加することにより、大豆を発酵させる。添加される菌の形態としては、栄養菌糸若しくは胞子、又はこれらの混合物等であればよく、特に限定されないが、保存の容易性及び菌の性状の安定性の観点からは、胞子形態の菌を用いることが好ましい。
ここで、菌を複数種類の異なる菌の組み合わせにおいて用いる場合、大豆に添加する菌の胞子全体の個数あたりのR.microsporusの胞子の個数の割合が、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%の割合である。又は、大豆に添加する菌の胞子全体の個数あたりのR.stoloniferの胞子の個数の割合が、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも60%である。
R.microsporusとR.stoloniferとの混合である場合は、例えば大豆に添加するRhizopus属の菌の胞子全体の個数としてのR.microsporus及びR.stoloniferの割合としては、それぞれの菌を等量ずつ含んでいてもよい。
上述の割合の菌を大豆に添加することによって、得られる大豆発酵物には、本発明の膵リパーゼ阻害用組成物に用いるのに十分な量の有効成分を含有する。
(大豆)
本実施形態において用いられる大豆の形態としては、丸大豆であっても加工大豆であってもよく、大豆胚軸等を用いてもよい。
本実施形態において用いられる大豆の形態としては、丸大豆であっても加工大豆であってもよく、大豆胚軸等を用いてもよい。
(大豆の発酵条件)
一実施形態において、大豆の発酵は、蒸煮した大豆に上述した菌類を植菌し、固体培養することによって行われる。以下に発酵における各工程及び条件について記載する。
一実施形態において、大豆の発酵は、蒸煮した大豆に上述した菌類を植菌し、固体培養することによって行われる。以下に発酵における各工程及び条件について記載する。
(大豆の前処理及び蒸煮)
大豆は、蒸煮前に液体に浸漬したものを用いることが好ましい。また、浸漬するための好ましい液体としては、水又は食用の有機酸及びこれらの有機酸を含む食品を含む水溶液(食酢及び醸造酢等)等が挙げられる。中でも食用の有機酸としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸及びフマル酸から選択される少なくとも一つの有機酸であることが好ましい。また、有機酸水溶液中の有機酸の濃度は、特に限定されないが、大豆に添加する菌の生育を阻害しない程度であることが好ましく、例えば、0.1〜0.5%(w/w)程度が好ましい。また、大豆は、液体への浸漬前、浸漬後又は蒸煮後に脱皮するのが好ましく、植菌時に大豆の外皮が残存しないことがより好ましい。蒸煮の温度及び蒸煮時間は、特に限定されないが、例えば大豆の浸漬後、5〜90分間程度水煮蒸煮、又は105〜120℃で2〜30分間程度圧力蒸煮することが好ましい。蒸煮後に大豆を冷却し、前記菌を植菌する。
大豆は、蒸煮前に液体に浸漬したものを用いることが好ましい。また、浸漬するための好ましい液体としては、水又は食用の有機酸及びこれらの有機酸を含む食品を含む水溶液(食酢及び醸造酢等)等が挙げられる。中でも食用の有機酸としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸及びフマル酸から選択される少なくとも一つの有機酸であることが好ましい。また、有機酸水溶液中の有機酸の濃度は、特に限定されないが、大豆に添加する菌の生育を阻害しない程度であることが好ましく、例えば、0.1〜0.5%(w/w)程度が好ましい。また、大豆は、液体への浸漬前、浸漬後又は蒸煮後に脱皮するのが好ましく、植菌時に大豆の外皮が残存しないことがより好ましい。蒸煮の温度及び蒸煮時間は、特に限定されないが、例えば大豆の浸漬後、5〜90分間程度水煮蒸煮、又は105〜120℃で2〜30分間程度圧力蒸煮することが好ましい。蒸煮後に大豆を冷却し、前記菌を植菌する。
<菌の植菌及び培養>
蒸煮大豆への植菌には、好ましくは胞子懸濁液又は胞子粉末等を用い、蒸煮大豆100g(湿重量)に対して好ましくは1×103〜1×109個、より好ましくは1×104〜1×108個の胞子を添加する。
蒸煮大豆への植菌には、好ましくは胞子懸濁液又は胞子粉末等を用い、蒸煮大豆100g(湿重量)に対して好ましくは1×103〜1×109個、より好ましくは1×104〜1×108個の胞子を添加する。
ここで、複数の菌種を用いる場合、胞子はあらかじめ混合したものであってもよく、菌の種類ごとに別個に蒸煮大豆に添加してもよい。
<培養条件>
植菌後、混合し、例えば一つ以上穴をあけたポリ袋に充填又はステンレストレーに静置する等して、通常の方法で固体培養する。好ましくは酸素存在下で好気的に培養する。
植菌後、混合し、例えば一つ以上穴をあけたポリ袋に充填又はステンレストレーに静置する等して、通常の方法で固体培養する。好ましくは酸素存在下で好気的に培養する。
培養条件として、培養温度は、好ましくは20〜42℃、より好ましくは25〜37℃、さらに好ましくは28〜34℃である。培養時間は、温度及び植菌量等により異なるが、好ましくは10〜60時間、より好ましくは15〜50時間、さらに好ましくは20〜40時間である。以上のような条件で菌を培養することにより、大豆発酵物中のけん化性脂質含量を増加させることができる。
上述の条件で、発酵を行うことにより本発明の大豆発酵物を得ることができる。また、上述の条件で大豆を発酵させて得られる大豆発酵物は、本発明の膵リパーゼ用組成物における膵リパーゼ阻害活性の有効成分を高い濃度で含有するものである。
得られた大豆発酵物は、凍結保存しておくことも可能である。また、乾燥させてもよく、エアードライ、スプレードライ、真空乾燥、凍結乾燥又はこれらの方法の組み合わせの方法によって乾燥すればよい。さらに、凍結乾燥等によって乾燥後、細切又は粉砕等して以降に記載する抽出に供してもよい。さらに、抽出前に、任意の方法で脱色及び/又は脱臭処理を行ってもよい。乾燥させることにより、乾燥品を粉砕することによって粉末化することが容易となり、また、乾燥工程以降の工程として抽出工程を行う場合は抽出操作が容易となる。脱色工程又は脱臭工程等を行うことによって得られた組成物は、汎用度が高く、上述の飲食品用及び医薬品用等の種々の用途に好適に用いることができる。
(大豆発酵物の成分)
上述の材料及び条件にて得られた大豆発酵物は、脂質を含んでおり、該脂質は、けん化性脂質と不けん化性脂質とに分類される。大豆発酵物からは、発酵物中に含まれる脂質をその他の成分から分離し、抽出することができ、さらに、脂質は、後述するとおり、公知の方法を用いてけん化性脂質と不けん化性脂質とに分離することができる。「けん化性脂質」とは、脂質をアルカリ処理した際に、加水分解され、脂肪酸塩を生じる脂質を指す。
上述の材料及び条件にて得られた大豆発酵物は、脂質を含んでおり、該脂質は、けん化性脂質と不けん化性脂質とに分類される。大豆発酵物からは、発酵物中に含まれる脂質をその他の成分から分離し、抽出することができ、さらに、脂質は、後述するとおり、公知の方法を用いてけん化性脂質と不けん化性脂質とに分離することができる。「けん化性脂質」とは、脂質をアルカリ処理した際に、加水分解され、脂肪酸塩を生じる脂質を指す。
[本発明の膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分]
続いて、本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分について、以下に記載する。
続いて、本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分について、以下に記載する。
上述の本発明に係る大豆発酵物にはけん化性脂質が含まれており、けん化性脂質の中には遊離脂肪酸が含まれている。さらに遊離脂肪酸としては遊離の飽和脂肪酸が含まれている。本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、本発明に係る大豆発酵物に含まれるけん化性脂質であり、当該けん化性脂質は、より好ましくは、遊離飽和脂肪酸を含んでいる。
ある実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、(1)上記の大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を全て含有している、又は(2)上記の大豆発酵物に含まれるけん化性脂質中の、(2−a)遊離脂肪酸全てを含んでいる、(2−b)少なくとも1種類の遊離脂肪酸を含んでおり、当該少なくとも1種類の遊離脂肪酸中に、遊離飽和脂肪酸を含有している、(2−c)遊離脂肪酸に含まれる2種類以上の遊離飽和脂肪酸を含んでいる、(2−d)遊離脂肪酸に含まれる全ての種類の遊離飽和脂肪酸を含んでいる、(2−e)遊離脂肪酸のうちの、少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸のうちから選択されるものを含有している、若しくは(2−f)遊離脂肪酸のうちの、パルミチン酸及びステアリン酸のうちの少なくとも1種類を含有しているものが、好ましい。
(けん化性脂質の抽出方法)
大豆発酵物中の脂質からのけん化性脂質の抽出は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、大豆発酵物を好適な極性有機溶媒に懸濁させ、その後上清と沈殿とに分離することによって、上清の該有機溶液中にけん化性脂質を可溶化させることにより抽出できる。
大豆発酵物中の脂質からのけん化性脂質の抽出は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、大豆発酵物を好適な極性有機溶媒に懸濁させ、その後上清と沈殿とに分離することによって、上清の該有機溶液中にけん化性脂質を可溶化させることにより抽出できる。
けん化性脂質を大豆発酵物から抽出するための、極性有機溶媒は、該極性有機溶媒中でけん化性脂質が可溶化するものであれば特に限定されない。さらに、抽出は極性有機溶媒を水に分散してなる有機溶媒水溶液を用いることもできるが、その場合、用いる有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、有機溶媒水溶液全量容積あたり、少なくとも70%(v/v)が好ましく、少なくとも75%(v/v)がより好ましく、少なくとも80%(v/v)がさらに好ましく、少なくとも85%(v/v)がさらにより好ましく、少なくとも90%(v/v)が特に好ましく、少なくとも95%(v/v)が最も好ましい。該有機溶媒又は有機溶媒水溶液は、1種類の液を単独で使用しても良く、2種以上の液を混合して使用してもよい。
一例として、大豆発酵物乾燥粉末にエタノールを適量添加して撹拌後、静置して上清と沈殿とに分離させ、上清を回収する。上清回収後に残った沈殿にエタノールをさらに添加して同様の操作で上清を回収する。この操作をさらに繰り返し、回収した全ての上清を一つに合わせて混合したものを脂質抽出液とする。なお、以降、脂質抽出液は抽出油とも記載する。
脂質をけん化性脂質と不けん化性脂質とに分離及び抽出する方法は、ソックスレー抽出及びアルカリ脱炭酸法等の公知の方法を組み合わせることによって行う方法であってもよい。
なお、いずれの抽出方法を用いた場合においても、一連の抽出操作は、2回以上繰り返し行ってもよく、繰り返しの各一連の抽出操作において、用いる溶媒は全ての抽出操作において同一の溶媒を用いてもよく、一連の抽出操作毎に異なる溶媒を使用してもよい。繰り返しの抽出操作を行うことによって、抽出前の大豆発酵物中に含まれる有効成分を無駄にすることなく効率よく得られ、生産性が高まる。また、上述したけん化性脂質の分離のための各種有機溶媒の全容積と大豆発酵物の容積の比は、適宜変更することができるが、大豆発酵組成物とけん化性脂質抽出用の溶媒との比率は、該大豆発酵組成物1重量部に対して有機溶媒1〜1,000重量部が好ましく、2〜500重量部がより好ましく、5〜100重量部がさらに好ましい。抽出温度は、室温から常圧下での溶剤沸点の範囲が好ましい。また、得られた抽出液をフィルター等を用いてろ過すること等によって精製してもよい。フィルターは、例えば孔径0.45μmフィルターを用いる。精製工程を行うことによって、不要な不純物又は抽出操作によって生じた残渣等を除去することができる。
けん化性脂質はさらに、遊離脂肪酸とその他の成分とに分類される。一実施形態において、大豆発酵物は、大豆発酵物乾燥品あたりの遊離脂肪酸含量が、少なくとも4.5%(w/w)であり、好ましくは少なくとも5.0%(w/w)であり、より好ましくは少なくとも5.5%(w/w)であり、さらに好ましくは少なくとも6.0%(w/w)である。本実施形態において、遊離脂肪酸は、例えば10〜24個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸である。かかる濃度で遊離脂肪酸を含有する大豆発酵物は、膵リパーゼ阻害活性有効成分を含有する。
一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、上述の含量にて遊離脂肪酸を含有する大豆発酵物に含まれている、上記遊離飽和脂肪酸を含んでいるものである。
一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、上記遊離脂肪酸を、上記膵リパーゼ阻害用組成物の総重量あたり、少なくとも4.5%(w/w)にて含有していることが好ましく、少なくとも5.0%(w/w)にて含有していることがより好ましく、少なくとも5.5%(w/w)にて含有していることがさらに好ましく、少なくとも6.0%(w/w)にて含有していることが特に好ましい。
また、遊離脂肪酸は、さらに、遊離飽和脂肪酸と遊離不飽和脂肪酸とに分類される。
本実施形態に係る大豆発酵物は、少なくとも発酵前の大豆に含まれる遊離脂肪酸を含んでいるものが好ましい。例えば、上述の大豆中に含まれる遊離脂肪酸に加え、少なくとも1種類の遊離脂肪酸をさらに含んでいるものである。
(遊離飽和脂肪酸の分離及び抽出)
上述の方法で得られたけん化性脂質中の遊離脂肪酸から、遊離飽和脂肪酸のみをさらに分離及び抽出してもよい。例えば、結晶化による分離抽出及びカラム分離法等の方法が挙げられる。
上述の方法で得られたけん化性脂質中の遊離脂肪酸から、遊離飽和脂肪酸のみをさらに分離及び抽出してもよい。例えば、結晶化による分離抽出及びカラム分離法等の方法が挙げられる。
(遊離飽和脂肪酸含量)
本実施形態に係る大豆発酵物は、上述の少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸を、上記大豆発酵物の乾燥重量あたり、少なくとも0.75%(w/w)にて含有しているものが好ましい。また、大豆発酵物は、上述の少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸を、上記大豆発酵物の乾燥重量あたり、好ましくは少なくとも0.80%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.85%(w/w)、さらに好ましくは少なくとも0.90%(w/w)、特に好ましくは少なくとも0.95%(w/w)、最も好ましくは少なくとも1.0%(w/w)にて含有している。かかる濃度で遊離飽和脂肪酸を含有する大豆発酵物は、膵リパーゼ阻害活性有効成分を含有する。
本実施形態に係る大豆発酵物は、上述の少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸を、上記大豆発酵物の乾燥重量あたり、少なくとも0.75%(w/w)にて含有しているものが好ましい。また、大豆発酵物は、上述の少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸を、上記大豆発酵物の乾燥重量あたり、好ましくは少なくとも0.80%(w/w)、より好ましくは少なくとも0.85%(w/w)、さらに好ましくは少なくとも0.90%(w/w)、特に好ましくは少なくとも0.95%(w/w)、最も好ましくは少なくとも1.0%(w/w)にて含有している。かかる濃度で遊離飽和脂肪酸を含有する大豆発酵物は、膵リパーゼ阻害活性有効成分を含有する。
一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、上述の含量にて遊離飽和脂肪酸を含有する大豆発酵物に含まれている、遊離飽和脂肪酸を含んでいるものである。
一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、上記少なくとも1種類の遊離飽和脂肪酸を、上記膵リパーゼ阻害用組成物の総重量あたり、少なくとも0.75%(w/w)にて含有していることが好ましく、少なくとも0.80%(w/w)にて含有していることがより好ましく、少なくとも0.85%(w/w)にて含有していることがさらに好ましく、少なくとも0.90%(w/w)にて含有していることがさらにより好ましく、少なくとも0.95%(w/w)にて含有していることが特に好ましく、少なくとも1.0%(w/w)にて含有していることが最も好ましい。
[有効成分の活性評価]
(酸価(Acid Value:AV))
酸価は、油脂の加熱による変性等の劣化の程度の指標として用いられる値の1つであり、油脂1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数として定義される。本実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物中に含まれる有効成分の膵リパーゼ阻害活性を評価する値の1つとして用いられ得る。また、AV値は、組成物自体を用いて測定してもよく、大豆発酵物から抽出した抽出油としての遊離脂肪酸に対するAV値を測定してもよい。
(酸価(Acid Value:AV))
酸価は、油脂の加熱による変性等の劣化の程度の指標として用いられる値の1つであり、油脂1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数として定義される。本実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物中に含まれる有効成分の膵リパーゼ阻害活性を評価する値の1つとして用いられ得る。また、AV値は、組成物自体を用いて測定してもよく、大豆発酵物から抽出した抽出油としての遊離脂肪酸に対するAV値を測定してもよい。
例えば、大豆発酵物乾燥品から抽出した抽出油中の酸価(AV)は、好ましくは少なくとも50であり、より好ましくは少なくとも60であり、さらに好ましくは少なくとも65であり、特に好ましくは少なくとも70である。酸価が少なくとも50であれば、膵リパーゼ阻害用組成物中の有効成分のリパーゼ阻害活性が高いものと思われる。
また、有効成分としての油脂の有効性の指標並びに評価法としては、AVの他に、公知の定量的分析の手法が挙げられる。組成物中の有効成分の評価としては、上述の評価試験を2つ以上組み合わせてもよい。また、有効成分を組成物から抽出油として抽出せずに評価する方法を用いることも可能である。
[膵リパーゼ阻害用組成物の形態]
ある実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害用調合物又は膵リパーゼ阻害用製剤であってもよい。
ある実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害用調合物又は膵リパーゼ阻害用製剤であってもよい。
一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、上述した通り、大豆発酵物含有成分を有効成分としており、一実施形態における膵リパーゼ阻害用組成物は、大豆発酵物そのものであっても、大豆発酵物中の全成分を含有するものであっても、大豆発酵物の乾燥物そのものであっても、又は大豆発酵物の乾燥物中の全成分を含有するものであってもよい。別の実施形態における膵リパーゼ阻害用組成物は、大豆発酵物から上述の方法で抽出されたけん化性脂質を含むものである。さらに別の実施形態における膵リパーゼ阻害用組成物は、大豆発酵物から、上述の方法で抽出されたけん化性脂質中の遊離脂肪酸のうちの少なくとも一種類の遊離飽和脂肪酸を含むものである。
また、上述の大豆発酵物からの抽出物は、さらにエアードライ、スプレードライ、真空乾燥、凍結乾燥等により得られる、エキス乾燥品として利用してもよい。
本発明の膵リパーゼ阻害用組成物はその有効成分が天然由来であり、かつ、製造が容易であるため、膵リパーゼ活性の阻害の有効成分として種々の用途に用いることが可能である。例えば飲食品として飲食品組成物とすること及び医薬品として医薬品組成物とすることのみならず、試験研究用及びペットフード等に使用できる。本発明のリパーゼ阻害用組成物は、生体内において、膵液又は腸液中に存在するリパーゼの活性を阻害するのに有用である。
[膵リパーゼ阻害用組成物のその他の成分]
大豆又は大豆発酵物にはさらに、タンパク質、食物繊維、アミノ酸、ビタミン類(例えば、ビタミンE及びB群ビタミン)、鉄等のミネラル類、レシチン、サポニン、イソフラボン類等が豊富に含まれており、栄養価に富み、各種機能性成分を含む。したがって、一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害活性を有する成分のみならず、大豆又は大豆発酵物由来の各種機能性成分の少なくとも1つを有している。そのため、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害効果だけではなく、大豆又は大豆発酵物に含まれる公知又は新規の、1つ以上の成分による健康増進効果を併せ持つものであり得る。
大豆又は大豆発酵物にはさらに、タンパク質、食物繊維、アミノ酸、ビタミン類(例えば、ビタミンE及びB群ビタミン)、鉄等のミネラル類、レシチン、サポニン、イソフラボン類等が豊富に含まれており、栄養価に富み、各種機能性成分を含む。したがって、一実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害活性を有する成分のみならず、大豆又は大豆発酵物由来の各種機能性成分の少なくとも1つを有している。そのため、膵リパーゼ阻害用組成物は、膵リパーゼ阻害効果だけではなく、大豆又は大豆発酵物に含まれる公知又は新規の、1つ以上の成分による健康増進効果を併せ持つものであり得る。
(飲食品組成物である場合のその他の成分)
膵リパーゼ阻害用組成物が飲食品組成物である場合のその他の成分としては、リパーゼ阻害用組成物のリパーゼ阻害効果を損なわない限り、任意の所望添加剤であればよく、例えば、pH調整剤、有機酸、糖アルコール、甘味料、香料、ビタミン類、骨代謝ビタミン類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色料、保存剤、抗菌剤、殺菌剤、抗炎症剤等の組成物において通常用いられている添加剤が挙げられる。
膵リパーゼ阻害用組成物が飲食品組成物である場合のその他の成分としては、リパーゼ阻害用組成物のリパーゼ阻害効果を損なわない限り、任意の所望添加剤であればよく、例えば、pH調整剤、有機酸、糖アルコール、甘味料、香料、ビタミン類、骨代謝ビタミン類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色料、保存剤、抗菌剤、殺菌剤、抗炎症剤等の組成物において通常用いられている添加剤が挙げられる。
(飲食品組成物である場合の形態)
飲食品組成物である場合の形態は、特に限定されず、例えば、製剤形態、加工食品及び各種飲料とすることができる。製剤形態としては、健康食品、機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。なお、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)は、その包装容器等に、日本国厚生労働省が承認又は認可した機能表示又は保健用途の表示をすることが可能な食品である。本発明の「飲食品組成物」を、製剤形態とする場合は医薬品に準じた構成にすることができる。すなわち、膵リパーゼ阻害用飲食品組成物中の膵リパーゼ阻害有効成分の含有量を医薬品に準じた含有量とし、剤形を医薬品に準じた、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、粉剤等の剤形とすることができる。
飲食品組成物である場合の形態は、特に限定されず、例えば、製剤形態、加工食品及び各種飲料とすることができる。製剤形態としては、健康食品、機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。なお、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)は、その包装容器等に、日本国厚生労働省が承認又は認可した機能表示又は保健用途の表示をすることが可能な食品である。本発明の「飲食品組成物」を、製剤形態とする場合は医薬品に準じた構成にすることができる。すなわち、膵リパーゼ阻害用飲食品組成物中の膵リパーゼ阻害有効成分の含有量を医薬品に準じた含有量とし、剤形を医薬品に準じた、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、粉剤等の剤形とすることができる。
本発明に係る飲食品組成物は、生体に経口摂取させることによって、当該生体内においてリパーゼ活性を阻害する。したがって、当該飲食品組成物は、経口摂取が容易な形態であることが好ましい。例えば、茶、コーヒー、紅茶、豆乳等の公知の飲料、粉末ジュース、チューインガム、ビスケット、キャンディ、グミキャンディ等の菓子、又はトローチ、タブレット、カプセル、打錠、顆粒等の製剤化された形態が挙げられる。
一実施形態において、上述した公知の各種飲食品に添加することにより、飲食品組成物を製造することができる。
(医薬品組成物である場合のその他の成分)
本発明の医薬品組成物は、製剤用の材料として公知の、各種の所望の物質を含んでいてもよい。水、緩衝液、これらの2種類以上の溶媒の混合物等の好適な溶媒、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、補助剤、防腐剤、着色剤、天然色素、甘味剤等の製剤添加物等から選択される少なくとも一つの物質をさらに含んでいる。
本発明の医薬品組成物は、製剤用の材料として公知の、各種の所望の物質を含んでいてもよい。水、緩衝液、これらの2種類以上の溶媒の混合物等の好適な溶媒、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、補助剤、防腐剤、着色剤、天然色素、甘味剤等の製剤添加物等から選択される少なくとも一つの物質をさらに含んでいる。
(医薬品組成物である場合の剤型)
本発明の医薬品組成物の剤形は特に限定されず、水性の溶媒に本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物を分散、懸濁若しくは溶解して含有させた液体製剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル及びマイクロカプセル)等の固体製剤、又は軟膏、ローション、クリーム、ゲル、懸濁剤、乳剤等の半固体製剤若しくは半液体製剤とすることができる。これらの剤形は、当業者に公知の方法に基づき、容易に製造することができる。以上の医薬品組成物は、製剤技術分野における慣用の方法を用いて製造することができる。
本発明の医薬品組成物の剤形は特に限定されず、水性の溶媒に本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物を分散、懸濁若しくは溶解して含有させた液体製剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル及びマイクロカプセル)等の固体製剤、又は軟膏、ローション、クリーム、ゲル、懸濁剤、乳剤等の半固体製剤若しくは半液体製剤とすることができる。これらの剤形は、当業者に公知の方法に基づき、容易に製造することができる。以上の医薬品組成物は、製剤技術分野における慣用の方法を用いて製造することができる。
医薬品組成物の投与経路、投与方法及び投与量については、それぞれ、治療目的、投与の対象となる生体の年齢、体重、性別、目的とする膵リパーゼ阻害効果の程度等によって適宜選択可能である。また、医薬品組成物の投与期間についても、目的とする膵リパーゼ阻害効果が得られるように適宜選択することができる。
(使用対象)
本発明に係る飲食品組成物又は医薬品組成物の使用対象となる被験体としては、あらゆる動物が挙げられ、哺乳類及び鳥類等の脊椎動物が好ましく、哺乳類であることがより好ましい。さらに、哺乳類の前記被験体はヒトであることが好ましいが、家畜、実験動物又はペット動物が被験体となる場合もあり得る。具体的にはニワトリ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の家畜類、ネコ、イヌ、ハムスター、ウサギ、モルモット等のペット動物、又はマウス、サル、魚類、鳥類等が挙げられる。
本発明に係る飲食品組成物又は医薬品組成物の使用対象となる被験体としては、あらゆる動物が挙げられ、哺乳類及び鳥類等の脊椎動物が好ましく、哺乳類であることがより好ましい。さらに、哺乳類の前記被験体はヒトであることが好ましいが、家畜、実験動物又はペット動物が被験体となる場合もあり得る。具体的にはニワトリ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の家畜類、ネコ、イヌ、ハムスター、ウサギ、モルモット等のペット動物、又はマウス、サル、魚類、鳥類等が挙げられる。
本実施形態の膵リパーゼ阻害用組成物は、顕著な膵リパーゼ阻害活性を有するので、これを飲食品組成物として摂取するか、医薬品組成物として被験体に投与すれば、被験体の体内で脂肪の分解を抑制することにより脂質類の体内吸収を低減させて体重増加を防止したり、血中脂質の代謝改善を促したりすることができる。よって、飲食品組成物として用いれば、当該飲食品組成物を摂取した被験体のリパーゼの関連する疾病、疾患又は障害を、予防又は改善することができる。また、医薬品組成物として用いれば、例えば、生体においてリパーゼに関連する疾病、疾患又は障害を有する患者の治療に有用である。また、本発明の医薬品組成物は、リパーゼに関連する疾病、疾患又は障害に罹患する危険性が高くなっている被験体を、治療的又は予防的に処置するために用いることができる。
ここで、リパーゼに関連する疾病、疾患又は障害としては、肥満、高脂血症、脂質異常症、心肥大、虚血性心疾患、生活習慣病等が挙げられる。生活習慣病としては、動脈硬化、糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症等が挙げられる。
本発明の膵リパーゼ阻害用組成物は、リパーゼ阻害の有効成分が天然由来であって、安全性が高いため、長期間にわたる服用に好適に用いられる。よって、本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物を、健康飲食品組成物又は医薬品組成物として生体に長期的に摂取させておいてもよい。
〔2.膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法〕
本発明はさらに、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法であって、当該膵リパーゼ阻害用組成物がR.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法を提供する。
本発明はさらに、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法であって、当該膵リパーゼ阻害用組成物がR.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法を提供する。
一実施形態において、R.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類を用いて大豆を発酵させることにより大豆発酵物を製造する工程(大豆発酵物生成工程)、及び上記大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、上記乾燥工程において得られた粉末を他の成分と混合すること等によって、膵リパーゼ阻害用組成物を調製する工程(膵リパーゼ阻害用組成物調製工程)を包含する。
ある実施形態において、上記の大豆発酵物からけん化性脂質を抽出する工程(けん化性脂質抽出工程)をさらに包含していてもよい。
さらに別の実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法は、上記のけん化性脂質抽出工程に加え、遊離脂肪酸を分離抽出する工程をさらに含んでいてもよい。
また、さらに別の実施形態において、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法は、上述の大豆発酵工程で得られた大豆発酵物、又はけん化性脂質抽出工程で得られた大豆発酵物からのけん化性脂質抽出物を、乾燥させる工程(乾燥工程)をさらに包含していてもよい。また、けん化性脂質の抽出のあと、遊離飽和脂肪酸の分離及び抽出する工程をさらに行ってもよい。遊離飽和脂肪酸の分離及び抽出を行うことによって、他の成分を含まない、より精製度の高い有効成分を得ることができる。さらに、抽出工程後、得られた抽出液をフィルター等を用いてろ過すること等によって精製する精製工程を行ってもよい。
本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法によれば、膵リパーゼ阻害効果の高い有効成分を含む、種々の広範な用途に使用可能な組成物が製造可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1:菌種R.microsporus及び培養温度25℃の条件における大豆発酵物乾燥粉末の調製〕
脱皮大豆100gを、3%醸造酢溶液500g中に、常温で一晩浸漬し、浸漬大豆160gを得た。得られた浸漬大豆を、圧力鍋を用いて、水道水320g中で、100℃で10分間蒸煮し、蒸煮大豆200gを得た。得られた蒸煮大豆200gを蒸煮後室温まで冷却した。R.microsporus NBRC32002の胞子が3.0×106個含まれた胞子懸濁液を、得られた蒸煮大豆のうちの100gに添加し、混合した。続いて、胞子懸濁液が添加された蒸煮大豆を、表面に複数の穴を空けたポリ袋に、ポリ袋の底からの高さが1.5cm程度になるまで充填し、25℃で40時間培養した。得られた大豆発酵物を凍結乾燥した後、粉砕し、大豆発酵物乾燥粉末を得た。
脱皮大豆100gを、3%醸造酢溶液500g中に、常温で一晩浸漬し、浸漬大豆160gを得た。得られた浸漬大豆を、圧力鍋を用いて、水道水320g中で、100℃で10分間蒸煮し、蒸煮大豆200gを得た。得られた蒸煮大豆200gを蒸煮後室温まで冷却した。R.microsporus NBRC32002の胞子が3.0×106個含まれた胞子懸濁液を、得られた蒸煮大豆のうちの100gに添加し、混合した。続いて、胞子懸濁液が添加された蒸煮大豆を、表面に複数の穴を空けたポリ袋に、ポリ袋の底からの高さが1.5cm程度になるまで充填し、25℃で40時間培養した。得られた大豆発酵物を凍結乾燥した後、粉砕し、大豆発酵物乾燥粉末を得た。
〔実施例2〜9:各菌種及び各培養温度条件における大豆発酵物乾燥粉末の調製〕
実施例2〜9として、菌種及び各培養温度条件を変え、それ以外は実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。なお、いずれの実施例又は比較例においても、R.microsporusの菌としては、NBRC32002を、R.stoloniferの菌としては、NBRC30816を、R.oryzaeの菌としては、NBRC4716をそれぞれ用いた。
実施例2〜9として、菌種及び各培養温度条件を変え、それ以外は実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。なお、いずれの実施例又は比較例においても、R.microsporusの菌としては、NBRC32002を、R.stoloniferの菌としては、NBRC30816を、R.oryzaeの菌としては、NBRC4716をそれぞれ用いた。
実施例1〜9、比較例1及び2における用いた菌種及び条件を以下の表にまとめた。
〔実施例10:実施例1〜9の大豆発酵物乾燥粉末からの抽出液の調製〕
実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gにエタノールを適量添加して撹拌後、静置して上清と沈殿とに分離させ、上清を回収した。上清回収後に残った沈殿にエタノールをさらに添加して同様の操作で上清を回収した。この操作をさらに繰り返し、回収した全ての上清を一つに合わせて混合したものを抽出液とした。なお、エタノールは3回の抽出操作における総添加量が25mLを超えない量とした。次に、抽出液をエタノールで25mLにメスアップし、孔径0.45μmフィルターを透過させた溶液を、実施品1とした。
実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gにエタノールを適量添加して撹拌後、静置して上清と沈殿とに分離させ、上清を回収した。上清回収後に残った沈殿にエタノールをさらに添加して同様の操作で上清を回収した。この操作をさらに繰り返し、回収した全ての上清を一つに合わせて混合したものを抽出液とした。なお、エタノールは3回の抽出操作における総添加量が25mLを超えない量とした。次に、抽出液をエタノールで25mLにメスアップし、孔径0.45μmフィルターを透過させた溶液を、実施品1とした。
実施例2〜9の大豆発酵物乾燥粉末についても同様に抽出し、実施品2〜9とした。
上述の実施品1の抽出液の調製の操作においてエタノールの代わりに水で希釈した70%(v/v)エタノール水溶液を用い、同様の操作を行い、得られた溶液を実施品10とした。さらに実施例4における菌種R.stolonifer及び培養温度25℃の条件における大豆発酵物乾燥粉末についても同様に抽出し、実施品11とした。
〔比較例1:蒸煮大豆のみ(菌なし、未発酵)乾燥粉末の調製及びその大豆乾燥粉末からの抽出液の調製〕
実施例1記載の蒸煮で得られた蒸煮大豆を凍結乾燥した後、粉砕し、蒸煮大豆乾燥粉末を得た。次に、実施例10における実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gの代わりに、蒸煮大豆乾燥粉末0.5gを用いる以外は、実施例10と同様の操作によって、得られた溶液を、比較品1とした。
実施例1記載の蒸煮で得られた蒸煮大豆を凍結乾燥した後、粉砕し、蒸煮大豆乾燥粉末を得た。次に、実施例10における実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gの代わりに、蒸煮大豆乾燥粉末0.5gを用いる以外は、実施例10と同様の操作によって、得られた溶液を、比較品1とした。
また、上述の比較品1の抽出液の調製の操作においてエタノールの代わりに、水で希釈した70%(v/v)エタノール水溶液又は水を用いて同様の操作を行い、得られた溶液をそれぞれ比較品2又は比較品3とした。
〔比較例2:菌種R.oryzae及び培養温度25℃の条件における大豆発酵物乾燥粉末の調製及びその大豆乾燥粉末からの抽出液の調製〕
表1に記載の条件を用いた以外は実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。次に、実施例10における、実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gの代わりに、本比較例2の大豆発酵物乾燥粉末0.5gを用いる以外は、実施例10と同様の操作によって得られた溶液を、比較品4とした。
表1に記載の条件を用いた以外は実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。次に、実施例10における、実施例1で得られた大豆発酵物乾燥粉末0.5gの代わりに、本比較例2の大豆発酵物乾燥粉末0.5gを用いる以外は、実施例10と同様の操作によって得られた溶液を、比較品4とした。
〔比較例3:実施例1及び実施例4の大豆発酵物乾燥粉末からの水を用いた抽出液の調製〕
上述の実施例10における、実施品1及び4の抽出液の調製の操作においてエタノールの代わりに水を用い、同様の操作を行い、得られた溶液をそれぞれ比較品5及び6とした。
上述の実施例10における、実施品1及び4の抽出液の調製の操作においてエタノールの代わりに水を用い、同様の操作を行い、得られた溶液をそれぞれ比較品5及び6とした。
〔比較例4:豆味噌乾燥粉末の調製及びその豆味噌乾燥粉末からの抽出液の調製〕
市販の豆味噌を凍結乾燥した後、粉砕し、豆味噌乾燥粉末を得た。該粉末0.5gに、エタノールを適量添加して撹拌後、上清を回収し、さらに沈殿にエタノールを添加して同様に2回抽出した。全抽出液を混合後、エタノールで25mLにメスアップし、0.45μmフィルターパスしたものを、比較品7とした。なお、豆味噌は、麹菌による大豆発酵組成物である。
市販の豆味噌を凍結乾燥した後、粉砕し、豆味噌乾燥粉末を得た。該粉末0.5gに、エタノールを適量添加して撹拌後、上清を回収し、さらに沈殿にエタノールを添加して同様に2回抽出した。全抽出液を混合後、エタノールで25mLにメスアップし、0.45μmフィルターパスしたものを、比較品7とした。なお、豆味噌は、麹菌による大豆発酵組成物である。
豆味噌乾燥粉末0.5gに、水を適量添加して撹拌後、上清を回収し、さらに沈殿に水溶液を添加して同様に2回抽出した。全抽出液を混合後、水で25mLにメスアップし、0.45μmフィルターパスしたものを、比較品8とした。
豆味噌乾燥粉末0.5gに、40mM McIlvaineバッファー(pH7.4)を適量添加して撹拌後、上清を回収し、さらに沈殿に該バッファーを添加して同様に2回抽出した。全抽出液を混合後、該バッファーで25mLにメスアップし、0.45μmフィルターパスしたものを、比較品9とした。
以上で得られたサンプル品のうち、実施例2、実施例5、比較例1及び比較例2における各大豆発酵物乾燥粉末中の脂質含量%(w/w)、遊離脂肪酸含量%(w/w)及び遊離飽和脂肪酸含量%(w/w)、並びに該サンプルから抽出した抽出油の酸価(AV)を測定し、表2にまとめた。なお、含量は全て大豆発酵物乾燥品の総重量あたりの%(w/w)を示している。
〔実施例11:実施品及び比較品の生成物のリパーゼ阻害効果の評価試験1〕
上述の実施品1〜11及び比較品1〜9についてリパーゼ阻害効果を測定した。
上述の実施品1〜11及び比較品1〜9についてリパーゼ阻害効果を測定した。
(試験試薬及び試験サンプル)
「リパーゼキットS」(DSファーマバイオメディカル社製)を使用した。尚、リパーゼとしては、ブタ膵リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製、TypeII)を125mMトリスバッファー(pH7.4)で0.05mg/mLに調製したものを膵リパーゼ溶液として使用した。該酵素濃度は、リパーゼキットSで活性測定した結果、165IU/Lであった。サンプルとしては、実施品1〜11及び比較品1〜9の各サンプルを使用した。また、基質液はキットに添付のものを使用した。
「リパーゼキットS」(DSファーマバイオメディカル社製)を使用した。尚、リパーゼとしては、ブタ膵リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製、TypeII)を125mMトリスバッファー(pH7.4)で0.05mg/mLに調製したものを膵リパーゼ溶液として使用した。該酵素濃度は、リパーゼキットSで活性測定した結果、165IU/Lであった。サンプルとしては、実施品1〜11及び比較品1〜9の各サンプルを使用した。また、基質液はキットに添付のものを使用した。
(試験方法)
試験については、上記キットの添付文書に準じた手順にて行った。
試験については、上記キットの添付文書に準じた手順にて行った。
まず、試験管2本に、発色液1mL、膵リパーゼ溶液30μL、エステラーゼ阻害液20μL及びサンプル50μLを各々入れて混和した。試験管の内1本は検体用とし、もう1本はブランク用とした。混和後、各試験管を30℃で5分間予熱した。予熱後、検体用試験管にのみ基質液100μLを加え、混和後、2本共、30℃で30分間インキュベートした。次に反応停止液2mLを各試験管に添加し、混和した。続いてブランク用試験管にのみ基質液100μLを加え、混和した。各試験管中の溶液の吸光度を波長412nmで測定した。なお、サンプルの代わりに、エタノールを使用した測定値をコントロール1、70%(v/v)エタノール水溶液を使用した測定値をコントロール2、水を使用した測定値をコントロール3、40mM McIlvaineバッファー(pH7.4)を使用した測定値をコントロール4とした。
(リパーゼ阻害率(%)の算出方法)
各実施品及び比較品サンプルについて、各検体の測定値(S)から各検体に対応する検体用の各ブランクの測定値(Sb)を引き算し、差分(S−Sb)を算出した。各コントロールについて、各コントロールの測定値(C)から各ブランク(Cb)の測定値を引き算し、差分(C−Cb)を算出した。得られた値を用いて、以下の式によって、リパーゼ阻害率(%)を算出した。なお、実施品1〜9、比較品1、4及び7についてはコントロール1の値(C1−Cb1)を使用し、実施品10、11及び比較品2についてはコントロール2の値(C2−Cb2)を使用し、比較品3、5、6及び8についてはコントロール3(C3−Cb3)の値を使用し、比較品9については、コントロール4(C4−Cb4)の値を使用した。
リパーゼ阻害率(%)=(1−(S−Sb/C−Cb))×100
ここで、S:各検体の測定値、Sb:各ブランクの測定値(C);各コントロールの測定値Cb:各コントロールのブランクの測定値
(結果)
膵リパーゼ阻害効果について、膵リパーゼ阻害率(%)として図1に示した。
各実施品及び比較品サンプルについて、各検体の測定値(S)から各検体に対応する検体用の各ブランクの測定値(Sb)を引き算し、差分(S−Sb)を算出した。各コントロールについて、各コントロールの測定値(C)から各ブランク(Cb)の測定値を引き算し、差分(C−Cb)を算出した。得られた値を用いて、以下の式によって、リパーゼ阻害率(%)を算出した。なお、実施品1〜9、比較品1、4及び7についてはコントロール1の値(C1−Cb1)を使用し、実施品10、11及び比較品2についてはコントロール2の値(C2−Cb2)を使用し、比較品3、5、6及び8についてはコントロール3(C3−Cb3)の値を使用し、比較品9については、コントロール4(C4−Cb4)の値を使用した。
リパーゼ阻害率(%)=(1−(S−Sb/C−Cb))×100
ここで、S:各検体の測定値、Sb:各ブランクの測定値(C);各コントロールの測定値Cb:各コントロールのブランクの測定値
(結果)
膵リパーゼ阻害効果について、膵リパーゼ阻害率(%)として図1に示した。
図1は、本発明の実施例に係る膵リパーゼ阻害用組成物による膵リパーゼ阻害効果を示す図である。エタノール抽出品を黒棒で、70%エタノール水溶液抽出品を白棒で示した。実施品1〜9は、Rhizopus属による大豆発酵物をエタノールで抽出した抽出品である。実施品10及び11は、それぞれ実施品1及び実施品4で使用した大豆発酵物をエタノールの代わりに70%エタノール水溶液で抽出した抽出品である。なお、比較例1〜9は何れも阻害効果がみられなかった。
(結果の考察)
図1において、実施品1〜9に示されている結果の概要は以下の(1)〜(5)の通りである。(1)実施品1〜9(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方、又は両方(培養温度25℃、30℃、又は37℃)の大豆発酵物のエタノール抽出物)全てに膵リパーゼ阻害効果あり。(2)比較品4(R.oryzaeのみの大豆発酵物のエタノール抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。比較品1〜3(未発酵の蒸煮大豆のエタノール、70%エタノール又は水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。(3)比較品7〜9(麹菌による大豆発酵物である豆味噌の、エタノール、70%エタノール又は水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。(4)実施品10及び11(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方の70%エタノール抽出物)に膵リパーゼ阻害効果あり。(5)比較品5及び6(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方の大豆発酵物の水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。
図1において、実施品1〜9に示されている結果の概要は以下の(1)〜(5)の通りである。(1)実施品1〜9(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方、又は両方(培養温度25℃、30℃、又は37℃)の大豆発酵物のエタノール抽出物)全てに膵リパーゼ阻害効果あり。(2)比較品4(R.oryzaeのみの大豆発酵物のエタノール抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。比較品1〜3(未発酵の蒸煮大豆のエタノール、70%エタノール又は水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。(3)比較品7〜9(麹菌による大豆発酵物である豆味噌の、エタノール、70%エタノール又は水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。(4)実施品10及び11(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方の70%エタノール抽出物)に膵リパーゼ阻害効果あり。(5)比較品5及び6(R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方の大豆発酵物の水抽出物)に膵リパーゼ阻害効果なし。
上記(1)〜(3)の結果から、実施例1〜9における大豆発酵物における膵リパーゼ阻害効果を有する有効成分は、R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方、又は両方の混合による発酵によって生成されたと考えられる。さらに、R.oryzaeのみを用いた発酵で得られる組成物は、膵リパーゼ阻害効果を有する有効成分は生成されないが、R.microsporus及びR.stoloniferの何れか一方、又は両方の混合に加え、R.oryzaeをさらに含む発酵においても、膵リパーゼ阻害効果を有する有効成分の生成が生じ、膵リパーゼ阻害用組成物が得られると考えられる。
上記(4)及び(5)の結果から、本実施例に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、水よりも有機溶媒に溶解し易い物質が示された。よって、本実施例に係る膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、すなわち、ペプチド等の親水性物質ではなく、疎水性物質であると考えられる。
〔実施例11:大豆発酵物中に含まれる不けん化性脂質及びけん化性脂質の膵リパーゼ阻害効果の評価試験〕
(菌種R.stolonifer及び培養温度30℃の条件における大豆発酵物乾燥粉末の調製)
実施例1の胞子懸濁液の代わりに、R.stolonifer NBRC30816の胞子が3.0×106個含まれた胞子懸濁液を用い、培養温度を32℃とした他は、実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。
(菌種R.stolonifer及び培養温度30℃の条件における大豆発酵物乾燥粉末の調製)
実施例1の胞子懸濁液の代わりに、R.stolonifer NBRC30816の胞子が3.0×106個含まれた胞子懸濁液を用い、培養温度を32℃とした他は、実施例1と同様に処理して、大豆発酵物乾燥粉末を得た。
(大豆発酵物中に含まれる不けん化性脂質及びけん化性脂質の分離及び抽出)
大豆発酵物からソックスレー抽出によって抽出油を回収し、さらにアルカリ脱酸法に基づき抽出油を処理した。すなわち、抽出油1.0g(AV70)に対して、水酸化カリウム75mgを含む水溶液0.75mLを添加し、1分間ボルテックスミキサーで撹拌した。次に、ヘキサン40mL、水20mL及びエタノール20mLを添加し、撹拌後静置して、ヘキサン層と含水エタノール層とに分別した。ヘキサン層を回収後、水洗してヘキサンを留去したものをヘキサン画分とした。ヘキサン画分は、不けん化性脂質を含む。一方、含水エタノール層は、けん化された脂質である脂肪酸塩を含む。
大豆発酵物からソックスレー抽出によって抽出油を回収し、さらにアルカリ脱酸法に基づき抽出油を処理した。すなわち、抽出油1.0g(AV70)に対して、水酸化カリウム75mgを含む水溶液0.75mLを添加し、1分間ボルテックスミキサーで撹拌した。次に、ヘキサン40mL、水20mL及びエタノール20mLを添加し、撹拌後静置して、ヘキサン層と含水エタノール層とに分別した。ヘキサン層を回収後、水洗してヘキサンを留去したものをヘキサン画分とした。ヘキサン画分は、不けん化性脂質を含む。一方、含水エタノール層は、けん化された脂質である脂肪酸塩を含む。
含水エタノール層に、濃塩酸を適量加えてpH2に調整し、脂肪酸塩を遊離脂肪酸に戻した。次に、ヘキサン40mLを添加し、撹拌後静置して、ヘキサン層と含水エタノール層とに分別した。ヘキサン層を回収後、水洗してヘキサンを留去し、けん化性脂質を回収した。
(大豆発酵物中に含まれる不けん化性脂質及びけん化性脂質の膵リパーゼ阻害効果の評価試験)
<試験方法>
上述の操作において回収した不けん化性脂質とけん化性脂質の膵リパーゼ阻害効果を各々測定した。上述の分離及び抽出方法で得られたけん化性脂質と不けん化性脂質とを用い、それぞれ脂質をアセトンで希釈することによってサンプルとして調製し、それぞれ測定した。
<試験方法>
上述の操作において回収した不けん化性脂質とけん化性脂質の膵リパーゼ阻害効果を各々測定した。上述の分離及び抽出方法で得られたけん化性脂質と不けん化性脂質とを用い、それぞれ脂質をアセトンで希釈することによってサンプルとして調製し、それぞれ測定した。
測定方法の詳細については、〔実施例11:実施品及び比較品の生成物のリパーゼ阻害効果の評価試験1〕の項目において記載したとおりである。
<試験結果>
測定の結果、けん化性脂質のみに膵リパーゼ阻害効果(72%阻害)が見られた。一方、不けん化性脂質には、膵リパーゼ阻害効果がみられなかった。よって、本願発明の膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、主に不けん化性脂質(不けん化物)中には存在しておらず、けん化性脂質中に存在しており、遊離脂肪酸が有効成分の一種であると考えられる。
測定の結果、けん化性脂質のみに膵リパーゼ阻害効果(72%阻害)が見られた。一方、不けん化性脂質には、膵リパーゼ阻害効果がみられなかった。よって、本願発明の膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、主に不けん化性脂質(不けん化物)中には存在しておらず、けん化性脂質中に存在しており、遊離脂肪酸が有効成分の一種であると考えられる。
〔実施例12:大豆発酵物中に含まれる遊離脂肪酸の分析〕
(i)培養温度を32℃に変更した以外は実施例1と同様に処理して得られたR.microsporusを用いた大豆発酵物乾燥粉末、(ii)培養温度を32℃に変更した以外は実施例4と同様に処理して得られたR.stoloniferを用いた大豆発酵物乾燥粉末、(iii)比較例1と同様に処理して得られた蒸煮大豆乾燥粉末、(iv)培養温度を32℃に変更した以外は比較例2と同様に処理して得られたR.oryzaeを用いた大豆発酵物乾燥粉末について、ガスクロマトグラフィーを実施して、大豆発酵物乾燥品又は蒸煮大豆乾燥品あたりの遊離脂肪酸組成を分析した。
(i)培養温度を32℃に変更した以外は実施例1と同様に処理して得られたR.microsporusを用いた大豆発酵物乾燥粉末、(ii)培養温度を32℃に変更した以外は実施例4と同様に処理して得られたR.stoloniferを用いた大豆発酵物乾燥粉末、(iii)比較例1と同様に処理して得られた蒸煮大豆乾燥粉末、(iv)培養温度を32℃に変更した以外は比較例2と同様に処理して得られたR.oryzaeを用いた大豆発酵物乾燥粉末について、ガスクロマトグラフィーを実施して、大豆発酵物乾燥品又は蒸煮大豆乾燥品あたりの遊離脂肪酸組成を分析した。
その結果、上記(iii)の蒸煮大豆乾燥粉末では、遊離飽和脂肪酸として、パルミチン酸及びステアリン酸が、遊離不飽和脂肪酸のうち遊離の一価の不飽和脂肪酸として、オレイン酸及びバクセン酸が、遊離の多価の不飽和脂肪酸として、リノール酸及びα−リノレン酸が少なくとも含まれていたが、これらの脂肪酸の含量は、上記(i)、(ii)及び(iv)の大豆発酵物乾燥粉末において(iii)の蒸煮大豆乾燥粉末よりも増加していた。また、上記(i)、(ii)及び(iv)の大豆発酵物乾燥粉末においてイコセン酸及びイコサトリエン酸をさらに含有しており、(ii)ではミリスチン酸及びアラキジン酸をさらに含有していた。
〔実施例13:大豆発酵物中に含まれるけん化性脂質中の各種遊離脂肪酸の各種リパーゼに対する阻害効果の測定〕
(試験方法)
膵リパーゼ及びPseudomonas sp.由来リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製、TypeXIII)に対する、各種遊離脂肪酸のリパーゼ阻害効果を測定した。試験サンプルとしての遊離脂肪酸は、飽和脂肪酸としてはパルミチン酸、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸及びリノール酸を用いた。それぞれの遊離脂肪酸は標品をサンプルとした。また、その他のサンプルとして、ダイゼイン及びゲニステインの700ppmエタノール溶解物、並びにレシチンの1%(w/v)エタノール溶解物をそれぞれ準備した。なお、各リパーゼは「リパーゼキットS」にて各々活性測定し、活性濃度を各々165IU/Lに調製して用いた。結果を図2に示した。
(試験方法)
膵リパーゼ及びPseudomonas sp.由来リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製、TypeXIII)に対する、各種遊離脂肪酸のリパーゼ阻害効果を測定した。試験サンプルとしての遊離脂肪酸は、飽和脂肪酸としてはパルミチン酸、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸及びリノール酸を用いた。それぞれの遊離脂肪酸は標品をサンプルとした。また、その他のサンプルとして、ダイゼイン及びゲニステインの700ppmエタノール溶解物、並びにレシチンの1%(w/v)エタノール溶解物をそれぞれ準備した。なお、各リパーゼは「リパーゼキットS」にて各々活性測定し、活性濃度を各々165IU/Lに調製して用いた。結果を図2に示した。
(試験結果)
図2は、各種リパーゼに対する各種遊離脂肪酸の阻害効果を示す図である。
図2は、各種リパーゼに対する各種遊離脂肪酸の阻害効果を示す図である。
Pseudomonas sp.由来リパーゼは、パルミチン酸、オレイン酸及びリノール酸の全てで阻害された。一方、膵リパーゼは、飽和脂肪酸であるパルミチン酸では阻害されたが、不飽和脂肪酸であるオレイン酸及びリノール酸では阻害されなかった。よって、リパーゼの種類の違いによって、遊離脂肪酸による阻害効果が大きく異なることが分かった。さらに、膵リパーゼは、遊離脂肪酸の中でも飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸では阻害効果が異なることが分かった。以上より、本願発明の膵リパーゼ阻害用組成物の有効成分は、少なくとも飽和脂肪酸が有効成分の一種であると考えられた。
一方、大豆及び大豆発酵物中に含まれているダイゼイン又はゲニステインの700ppmエタノール溶解物について、前記方法により膵リパーゼ阻害効果を測定したが、何れも膵リパーゼ阻害効果は見られなかった。実施品1〜10中のダイゼインは300ppm未満であり、ゲニステインは650ppm未満である。また、ダイゼイン及びゲニステインは、不けん化物質である。さらに、レシチンの1%(w/v)エタノール溶解物について、上記方法による膵リパーゼ阻害効果の測定では、膵リパーゼ阻害効果は見出されなかった。なお、実施品1〜10中のレシチン濃度は1%(w/v)未満である。以上の結果から、本実施例における評価系において観察された膵リパーゼ阻害効果は、ダイゼイン及びゲニステイン等のイソフラボンに起因するものではなく、また、レシチンに起因するものでもないと考えられる。
また、表1から、実施例2及び実施例5の大豆発酵物乾燥品は、それぞれ油脂の酸価が70及び89、大豆発酵物乾燥品の総重量あたりの遊離脂肪酸含量は6.7%及び8.9%、遊離飽和脂肪酸含量は1.1%及び1.4%と、何れも比較例に比べ高かった。よって、大豆発酵物乾燥品あたりの油脂の酸価が少なくとも50程度、大豆発酵物乾燥品の総重量あたりの遊離脂肪酸含量が少なくとも4.5%程度又は遊離飽和脂肪酸含量が少なくとも0.75%程度の大豆発酵物であることが、膵リパーゼ阻害効果に重要であると考えられる。さらに、大豆発酵物成分が、膵リパーゼ阻害効果を備えるためには、得られる大豆発酵物が上述の程度の含有量で遊離脂肪酸又は遊離飽和脂肪を含むような条件で大豆をR.microsporus及びR.stoloniferのうちの少なくとも一種類により発酵させることが重要であると考えられる。
本発明に係る膵リパーゼ阻害用組成物は膵リパーゼ阻害効果を有しており、飲食品及び医薬品用途のみならず、試験研究用等の広範な分野で利用することができる。
Claims (11)
- Rhizopus microsporus及びRhizopus stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、膵リパーゼ阻害用組成物。
- 上記けん化性脂質は、乾燥重量あたりの遊離脂肪酸の含有量が少なくとも4.5%(w/w)である上記大豆発酵物に含まれるけん化性脂質である、請求項1に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- 上記けん化性脂質は、遊離飽和脂肪酸を含有している、請求項1又は2に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- 上記けん化性脂質は、乾燥重量あたりの遊離飽和脂肪酸の含有量が少なくとも0.75%(w/w)である上記大豆発酵物に含まれるけん化性脂質である、請求項1〜3の何れか一項に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- 上記遊離飽和脂肪酸は、炭素数16以上の飽和脂肪酸である、請求項3又は4に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- パルミチン酸及びステアリン酸のうちの少なくとも1種類を含む、膵リパーゼ阻害用組成物。
- 飲食品組成物である、請求項1〜6の何れか一項に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- 医薬品組成物である、請求項1〜6の何れか一項に記載の膵リパーゼ阻害用組成物。
- 膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法であって、
上記膵リパーゼ阻害用組成物は、Rhizopus microsporus及びRhizopus stoloniferのうちの少なくとも1種類を含む菌類による大豆発酵物に含まれるけん化性脂質を含む、膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法。 - 上記大豆発酵物は、乾燥重量あたりの遊離脂肪酸の含有量が少なくとも4.5%(w/w)である、請求項9に記載の膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法。
- 上記大豆発酵物は、乾燥重量あたりの遊離飽和脂肪酸の含有量が少なくとも0.75%(w/w)である、請求項9又は10に記載の膵リパーゼ阻害用組成物の製造方法。
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