ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)道路情報送信システムの構成:
(2)起動処理:
(3)状態監視処理:
(4)道路情報新規送信処理:
(5)道路情報更新処理:
(6)道路情報生成処理:
(7)他の実施形態:
(1)道路情報送信システムの構成:
図1は、本発明にかかる道路情報送信システム10の構成を示すブロック図である。道路情報送信システム10は、ECU(Electronic Control Unit)であり、図示しないCPUやRAM等によって構成される制御部20と、ROMやHDD等によって構成される記録媒体30とを備えている。制御部20は、記録媒体30に記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして道路情報送信プログラム21を実行可能である。道路情報送信プログラム21は、車両の現在位置の前方の道路の特徴を示す道路情報を車両制御ユニットに送信する機能を制御部20に実行させる。
道路情報送信システム10が搭載される車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43と車両制御ユニット44または45とを備えている。記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両の現在位置の特定や道路の特徴の特定等に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置および種類等を示す地物データ等を含んでいる。
また、本実施形態において地図情報30aには、道路上の特定の距離毎の標高を示す標高データが含まれている。当該標高データは、道路上の各位置について、当該位置の標高値を示している。なお、標高データは種々の形式で定義されて良く、ノードや形状補間点の標高を示すように定義されるなどの構成が採用されてもよい。さらに、本実施形態においては、車両制御を実施可能な道路である制御対象道路が予め決められており、リンクデータが示す道路区間が制御対象道路である場合、制御対象道路であることを示す情報が対応づけられている。
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43から出力された信号に基づいて推定される位置の軌跡である自立航法軌跡と地図情報30aとに基づいて車両の現在位置が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込む。そして、制御部20は、地図情報30aを参照し、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路であると推定するマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって推定された道路上で車両の現在位置を取得する。
なお、車両の現在位置を取得するために利用されるセンサはGPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43に限定されず、これらの一部であってもよいし、他のセンサ(例えば、加速度センサや後進検出センサ等)が併用されても良く、種々の構成を採用可能である。
車両制御ユニット44,45は、車両制御のための制御部を備えたECUである。車両制御の種類は任意の種類であって良く、本実施形態において、車両制御ユニット44は、加減速制御を行う制御部を備え、車両制御ユニット45は自動変速機(Automatic Transmission)の制御を行う制御部を備えている。
すなわち、車両は変速部や制動部(ブレーキ等)、加速部(アクセル、モーター制御部等)等を備え、車両制御ユニット44は、各部を制御することにより車両に作用する加速度と車速とを制御することができる。加減速制御における制御目標は種々の制御目標であって良く、例えば、ハイブリッド車において、燃料消費を低減するための制御目標や、停止線や信号機の現示等に応じて加減速するための制御目標など、種々の目標であって良い。
なお、本実施形態において、車両制御ユニット44は、道路情報送信システム10が送信する道路情報を取得し、当該道路情報が示す車両の前方の道路の特徴に基づいて車両を制御する。当該制御において車両制御ユニット44は、車両の制御のために、必要最小距離の道路についての道路情報を最低限必要とする。本実施形態において、車両制御ユニット44の必要最小距離は36kmである。また、車両制御ユニット44は、道路情報を受け取ると、図示しないメモリに道路情報を記録する。当該メモリの容量は限られており、道路情報を保持可能な最大の情報量が道路情報の距離で規定されている。本実施形態において、車両制御ユニット44が道路情報として最大限保持可能な道路の距離である最大保持距離は40kmである。
また、本実施形態において、車両が備える変速部は自動変速機であり、車両制御ユニット45が出力する制御信号によって変速制御を行うことができる。すなわち、車両制御ユニット45は、加速部に対する制御によってエンジン回転を制御し、変速部における変速段の制御を行うことができる。自動変速機の制御における制御目標は種々の制御目標であって良く、例えば、道路上での登降坂の開始位置に到達する前に、登降坂の勾配に応じた変速比となるようにシフトチェンジを行うような制御目標や、停止線や信号機等で停止する前に停止後の加速に適した変速比となるようにシフトチェンジを行うような制御目標など、種々の目標であって良い。
なお、本実施形態において、車両制御ユニット45は、道路情報送信システム10が送信する道路情報を取得し、当該道路情報が示す車両の前方の道路の特徴に基づいて車両を制御する。当該制御において車両制御ユニット45は、車両の制御のために、必要最小距離の道路についての道路情報を最低限必要とする。本実施形態において、車両制御ユニット45の必要最小距離は4kmである。また、車両制御ユニット45は、道路情報を受け取ると、図示しないメモリに道路情報を記録する。当該メモリの容量は限られており、道路情報を保持可能な最大の情報量が道路情報の距離で規定されている。本実施形態において、車両制御ユニット45が道路情報として最大限保持可能な道路の距離である最大保持距離は8kmである。
なお、本実施形態において、全ての車両制御ユニット44,45において、最大保持距離−必要最小距離が4km(後述する既定距離と同値)である。また、全ての車両制御ユニット44,45の最大保持距離(40km,8km)は、全ての車両制御ユニット44,45の必要最小距離の中で最も短い距離である4kmの2倍以上である。
車両は、車両制御ユニット44,45以外にも種々の種類の制御を行うための車両制御ユニットを搭載可能である。また、本実施形態においては、車両制御ユニット44,45のいずれかを選択して車両に搭載可能であるが、双方が搭載可能であっても良い。本実施形態において、道路情報送信システム10と車両制御ユニット44,45は図示しない通信インタフェースを介して通信ケーブルによって接続される(CAN:Controller Area Network)。また、本実施形態において、道路情報送信システム10と車両制御ユニット44,45は既定の運転支援用通信規格に準拠した通信を行う。むろん、道路情報送信システム10と車両制御ユニット44,45との接続態様や通信規格は種々のものを採用可能である。
以上のように、本実施形態において車両制御ユニット44,45は、道路情報送信システム10から送信された道路情報に基づいて車両を制御する。この構成において、制御部20は、運転支援用通信規格に準拠しながら効率的に道路情報を送信し、また、車両制御ユニット44,45の双方において共通して利用できるように道路情報を送信する機能を有している。
この機能を実現するため、制御部20は、道路情報送信プログラム21により道路情報を送信する処理を実行する。道路情報送信プログラム21は、現在位置取得部21aと道路情報取得部21bと道路情報送信部21cと道路情報更新部21dとを備えている。
現在位置取得部21aは、車両の現在位置を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて車両の現在位置を取得し、現在位置の移動軌跡である自立航法軌跡を取得する。また、制御部20は、自立航法軌跡と、GPS受信部41の出力信号が示す誤差円と、地図情報30aに基づいて、比較対象道路を絞り込む。そして、比較対象道路と自立航法軌跡との形状の一致度が基準以上である場合に、制御部20は、自立航法軌跡と地図情報30aが示す道路とが適合するオンマッチング状態であると判定する。
オンマッチング状態であると判定されない場合(オフマッチング状態である場合)、制御部20は、車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて取得された現在位置を車両の現在位置として取得する。
オンマッチング状態であると判定された場合、制御部20は、地図情報30aを参照し、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行していると推定する。そして、制御部20は、マップマッチング処理によって推定された当該道路上で車両の現在位置を取得する。
本実施形態においては、マップマッチング処理を実行可能である状態を正常状態と呼び、マップマッチング処理を実行することができない状態を異常状態と呼ぶ。本実施形態において異常状態には、現在位置を取得するためのセンサ(GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43)の故障状態と、ビジー状態とがあり得る。
故障状態は、各センサが故障によって、正常な信号を出力できない状態であり、例えば、センサの電圧異常や断線等が挙げられる。制御部20は、各センサからの出力に基づいて各センサが異常であるか否かを判定することができる。むろん、制御部20が各センサの状態を診断し診断によって異常であるか否かを判定する構成等であっても良い。ビジー状態は、各センサの出力から現在位置が既定期間以上取得できない状態であり、例えば、制御部20等における処理遅延によって発生する。
制御部20は、異常状態ではない正常状態でマップマッチング処理を実行するが、本実施形態において制御部20は、正常状態をより細分化した状態として認識する。具体的には、オフマッチング状態、制御対象道路上でオンマッチング状態、制御対象道路外でオンマッチング状態の3状態を認識する。すなわち、制御部20は、異常状態ではなく、オンマッチング状態であると判定されない場合にはオフマッチング状態であると認識する。また、制御部20は、異常状態ではなく、オンマッチング状態である場合に、地図情報30aを参照し、車両の現在位置が制御対象道路上であるか否かを判定する。そして、制御部20は、判定結果に基づいて、制御対象道路上でオンマッチング状態、制御対象道路外でオンマッチング状態のそれぞれを認識する。
図2は、本実施形態において発生し得る状態と状態の遷移を示す図である。すなわち、本実施形態においては、大きく分けて正常状態と異常状態とがあり、正常状態やビジー状態から故障状態に遷移すると、他の状態には遷移せず、対応待ちとなる。正常状態とビジー状態との間では状態が遷移し得る。すなわち、ビジー状態においてセンサ(GPS受信部41、車速センサ42、ジャイロセンサ43)による現在位置の検出が再開したら正常状態に遷移し得る。正常状態であっても、センサによる現在位置の検出が滞って現在位置が既定期間以上取得できなくなると(タイムアウトが発生すると)ビジー状態に遷移し得る。
正常状態においては、マップマッチング処理の結果と、マッチングしている道路が制御対象道路であるか否かに基づいて、オフマッチング状態と、制御対象道路上でのオンマッチング状態と、制御対象道路外でのオンマッチング状態との間で遷移し得る。
道路情報取得部21bは、現在位置の前方の道路の特徴を示す道路情報を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。特徴は、車両制御ユニット44,45が車両の制御のために利用する値であり、本実施形態においては道路の勾配および曲率である。
勾配を取得する際、制御部20は、地図情報30aを参照して車両の現在位置の前方に存在する道路の標高を取得し、当該標高に基づいて道路の勾配を取得する。なお、勾配は種々の手法で算出されてよく、例えば、連続する2地点の標高値に基づいて当該2地点の中間地点における勾配(傾き)を算出する構成等を採用可能である。本実施形態において、勾配は、進行方向への進行に伴って標高が上がる場合に正、標高が下がる場合に負の値である。
曲率を取得する際、制御部20は、地図情報30aを参照して車両の現在位置の前方における道路のノードおよび形状補間点の位置を取得し、各点の位置に基づいて道路の曲率を取得する。なお、曲率は種々の手法で算出されて良く、例えば、連続する3カ所の位置を通る円を制御部20が特定し、当該円の半径に基づいて曲率を算出する構成等を採用可能である。
道路の特徴は、車両の制御に利用できるように取得されれば良く、車両の制御において、道路上の分岐が考慮されない(道路で曲がる場合の制御が想定されていない)ならば、車両が直進した場合の道路の特徴が取得されれば良い。道路上の分岐が考慮される(道路で曲がる場合の制御も想定されている)ならば、車両が直進した場合の道路と分岐で曲がった場合の道路の特徴が取得されれば良い。
なお、道路の特徴は、車両制御ユニット44,45における車両の制御に利用されるため、制御部20は、当該車両の制御に不足しないような範囲の特徴を取得する。具体的には、制御部20は、車両制御ユニット44,45のそれぞれにおける最大保持距離を取得する。本実施形態において、最大保持距離は、記録媒体30等に予め記録されている。制御部20は、これらの最大保持距離の中で、最も長い距離を特定し、現在位置を含む当該距離の範囲の特徴を道路情報として取得する。
道路情報送信部21cは、車両を制御する車両制御ユニットに対して道路情報を送信する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、道路情報取得部21bの機能によって道路情報が新規に生成されると、運転支援用通信規格に準拠したフレームに道路情報を記述する。なお、本実施形態においては、1フレームに最大2個の特徴を記述することができる形式で特徴を記述する。従って、制御部20は、必要に応じて複数個のフレームに分けて道路情報を車両制御ユニット44または45に送信する。
道路情報更新部21dは、道路情報の送信後における車両の走行距離が既定距離以上になる前に、送信済の道路の先に続く少なくとも既定距離分の道路の道路情報を車両制御ユニット44または45に対して送信する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。ここで、既定距離は、車両に搭載可能な複数の車両制御ユニット44,45のそれぞれの必要最小距離の中で最も短い距離である。
必要最小距離は制御の種類毎に決められていてよく、個々の車両制御ユニットにおいて当該必要最小距離は既知である。従って、車両に搭載し得る車両制御ユニット(本実施形態においては車両制御ユニット44,45)が特定されれば、各車両制御ユニットにおける必要最小距離が個別に特定される。本実施形態において、必要最小距離は、記録媒体30等に予め記録されていている。そこで、制御部20は、記録媒体30等を参照して車両制御ユニット毎の必要最小距離を比較し、必要最小距離の中で最も短い距離を特定する。なお、本実施形態において、車両制御ユニット44,45の必要最小距離は、それぞれ、36km、4kmであるため、制御部20は、4kmを既定距離として取得する。
また、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、車両の現在位置に基づいて、道路情報を送信した後の車両の走行距離を取得する。そして、制御部20は、当該走行距離が既定距離以上になる前に、既定距離分の道路情報を車両制御ユニット44または45に送信する。なお、ここでは、走行距離が既定距離となった場合に制御部20が道路情報を送信する態様を説明するが、マージンが設けられ、走行距離が(既定距離−マージン)となった場合に道路情報が送信される構成であっても良い。なお、マージンは種々の値であって良く、例えば、既定距離が4kmである場合に、1km等の値を採用可能である。この場合、最大保持距離にマージンが設けられていても良い(メモリに保持可能な道路情報の最大距離が最大保持距離+マージンであってもよい)。
以上の構成によれば、車両制御ユニット44,45において、常に必要最小距離の道路情報がメモリに記録された状態を維持することができる。すなわち、車両制御ユニット44の最大保持距離は40kmであり、必要最小距離は36kmである。従って、車両が道路情報を送信した後、既定距離である4km走行する前に道路情報が送信されると、車両制御ユニット44に保持された40km分の道路情報の中の未走行距離が必要最小距離(36km)以上である状態を維持するように道路情報を更新することができる。
また、車両制御ユニット45の最大保持距離は8kmであり、必要最小距離は4kmである。従って、車両が道路情報を送信した後、既定距離である4km走行する前に道路情報が送信されると、車両制御ユニット45に保持された8km分の道路情報の中の未走行距離が必要最小距離(4km)以上である状態を維持するように道路情報を更新することができる。
(2)起動処理:
次に、制御部20が実行する処理を詳細に説明する。図3は、道路情報送信システムが起動された場合に実行される起動処理のフローチャートである。起動処理において、制御部20は、必要最小距離および最大保持距離を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、記録媒体30等に記録された車両制御ユニット44,45の必要最小距離を取得する。本実施形態において、制御部20は、車両制御ユニット44の必要最小距離36kmと、車両制御ユニット45の必要最小距離4kmとを取得する。
また、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、記録媒体30等に記録された車両制御ユニット44,45の最大保持距離を取得する。本実施形態において、制御部20は、車両制御ユニット44の必最大保持距離40kmと、車両制御ユニット45の必要最小距離8kmとを取得する。
次に、制御部20は、車両制御に分岐路が必要であるか否かを判定する(ステップS105)。本実施形態の車両制御ユニット44,45においては、車両制御の際に分岐路を考慮するか否かが予め決められている。すなわち、道路上を直進している場合のみに車両制御が行われる場合、車両制御に分岐路が必要であるとは判定されない。道路上の分岐において直進しない場合であっても車両制御が行われる場合、車両制御に分岐路が必要であるとは判定されない。
ステップS105において、車両制御に分岐路が必要と判定されない場合、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、必要最小距離の中の最も短い距離を送信単位に設定する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、ステップS100で取得した必要最小距離を比較し、最も短い距離(既定距離:本実施形態においては4km)を送信単位に設定する。この結果、車両が4km走行するたびに道路情報が更新されるように設定される。
一方、ステップS105において、車両制御に分岐路が必要と判定された場合、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、必要最小距離の中の最も短い距離またはノード位置を送信単位に設定する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、ステップS100で取得した必要最小距離を比較し、最も短い距離(既定距離)を送信単位に設定する。ただし、車両制御に分岐路が必要と判定された場合、車両が分岐(ノード位置)で曲がっても車両制御が継続される。
そこで、制御部20は、分岐がない区間においては既定距離毎に道路情報を送信する構成としつつ、車両が既定距離を走行する以前にノード位置に到達する場合には、ノード位置で(またはノード位置の手前で)道路情報を送信するように設定する。この結果、車両が4km走行するか、ノード位置(ノード位置の手前を含む)に到達するたびに道路情報が更新されるように設定される。なお、ステップS110、S115での設定によれば、ノード位置に基づいて道路情報が更新されない場合と、される場合とで差異が生じるが、他の要素は同等であるため、以後、ステップS110の設定が行われた場合について主に説明する。
(3)状態監視処理:
次に、制御部20が実行する状態監視処理を詳細に説明する。図4は、制御部20が、状態に応じた処理を行うために実行する状態監視処理のフローチャートである。状態監視処理は、一定期間(例えば100ms)毎に実行される。状態監視処理において、制御部20は、現在位置取得部21aの機能により、マップマッチング処理を実行する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて自立航法軌跡を取得する。また、制御部20は、GPS受信部41の出力信号と地図情報30aに基づいて比較対象道路を取得し、比較対象道路と自立航法軌跡との形状の一致度を特定する処理を行う。マップマッチング処理を実行できた場合(例えば、一致度が得られた場合等)、制御部20は、オンマッチング状態またはオフマッチング状態のいずれであるのかを判定する。
次に、制御部20は、現在位置取得部21aの機能により、状態を特定する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、ステップS200のマップマッチング処理において、GPS受信部41、車速センサ42,ジャイロセンサ43等のセンサから正常な信号が出力されたか否かを判定する。正常な信号が出力されていない場合、制御部20は、現在の状態が故障状態であると特定する。また、マップマッチング処理において、各センサの出力から現在位置が既定期間以上取得できない場合、制御部20は、現在の状態がビジー状態であると特定する。さらに、マップマッチング処理において、オンマッチング状態、オフマッチング状態のいずれかであると判定された場合、制御部20は、現在の状態が正常状態であると特定する。
状態が特定されると、制御部20は、現在位置取得部21aの機能により、現在が正常状態であるか否か判定する(ステップS210)。ステップS210において、現在が正常状態であると判定されない場合、制御部20は、現在がビジー状態であるか否かを判定する(ステップS215)。ステップS215において、現在がビジー状態であると判定された場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、記録媒体30等に現在の道路情報を保持する(ステップS240)。一方、ステップS215において、現在がビジー状態であると判定されない場合、すなわち、各センサの出力が異常な故障状態である場合に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在の道路情報を破棄する(ステップS220)。
本実施形態においては、道路情報生成処理によって道路情報を生成する(詳細は後述)。そして、道路情報が新規に生成される際に、車両の前方の道路が複数の分割道路に分割され、各分割道路にインデックスが割り当てられる。このインデックスは、インデックスが上限値に達するまで連続する整数で表現され、インデックスによって分割道路の位置が特定される。当該インデックスは、道路情報が更新される際には初期化されることなく連番で上昇していく状態が維持され、新たに道路情報が生成される際には起点の分割道路に初期値(0)が割り当てられる。
このような道路情報を利用する構成において、ビジー状態は現在位置の取得が遅延している状態であるが、遅延している状態は解消し得る。そこで、制御部20は、ステップS240において道路情報を保持し、インデックスによる分割道路の順序のカウントが新たに開始されないようにする。この場合、保持された道路情報は車両制御ユニット44,45への送信対象となり得る。一方、故障状態は、現在位置を取得可能な状態に短期間で復帰する可能性は低いため、制御部20は、道路情報を破棄する(ステップS220)。以上の構成によれば、道路情報を流用できる可能性を高めることができ、車両制御ユニット44,45における制御が継続する可能性を高めることができる。
ステップS210において、現在が正常状態であると判定された場合、制御部20は、現在位置を取得する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、ステップS200のマップマッチング処理によって、オンマッチング状態となっている場合、制御部20は、地図情報30aを参照し、絞り込まれた比較対象道路のうち、自立航法軌跡と形状が最も一致する道路を車両が走行している道路であると推定する。そして、制御部20は、推定された当該道路上で車両の現在位置を取得する。ステップS200のマップマッチング処理によって、オンマッチング状態となっていない場合(オフマッチング状態である場合)、制御部20は、車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて特定された移動軌跡に基づいて車両の現在位置を取得する。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、オフマッチング状態であるか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、ステップS205においてオフマッチング状態であると特定されている場合に、オフマッチング状態であると判定する。
ステップS230において、オフマッチング状態であると判別された場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在の道路情報を保持する(ステップS240)。すなわち、オフマッチング状態は、時間の経過や車両の移動等によって解消し、オンマッチング状態に遷移し得るため、既存の道路情報を再利用できるように道路情報を記録媒体30等に保持する。なお、ステップS230において、オフマッチング状態であると判別された場合、過去にオンマッチング状態であったがオフマッチング状態に遷移した場合と、一度もオンマッチング状態になっていない場合とが想定し得る。後者の場合、道路情報は生成されないため、ステップS240はスキップされる。
ステップS230において、オフマッチング状態であると判定されなかった場合、現在の状態はオンマッチング状態である。現在の状態がオンマッチング状態である場合には、初めてオンマッチング状態になった場合と、オンマッチング状態が過去から継続している場合と、オフマッチング状態からオンマッチング状態に遷移した場合とが想定される。
いずれにしても、オンマッチング状態であるため、ステップS225においては、車両の現在位置は、地図情報30aが示す道路上で特定された状態になっている。地図情報30aに定義された道路には、車両制御ユニット44,45による制御の対象である制御対象道路と制御対象道路ではない道路が存在する。
そこで、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在位置が制御対象道路上であるか否かを判定する(ステップS235)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、ステップS225で取得した現在位置を含む道路が制御対象道路であるか否かを判定する。ステップS235において、現在位置が制御対象道路上であると判定されない場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在の道路情報を保持する(ステップS240)。すなわち、この場合であっても、制御対象道路外から既に道路情報が生成済の制御対象道路上に復帰することがあり得るため、制御部20は、既存の道路情報を記録媒体30等に保持する。
一方、ステップS235において、現在位置が制御対象道路上であると判定された場合、制御部20は、現在位置を含む道路情報が生成済であるか否かを判定する(ステップS245)。すなわち、制御部20は、記録媒体30等を参照し、道路情報が保持されているか否かを判定する。道路情報が保持されていると判定された場合、制御部20は、保持されている道路情報が示す道路上に現在位置が含まれるか否かを判定する。そして、保持されている道路情報が示す道路上に現在位置が含まれる場合に、現在位置を含む道路情報が生成済であると判定する。
ステップS245はオンマッチング状態において実行され、オンマッチング状態は、初めてオンマッチング状態になった場合と、オンマッチング状態が過去から継続している場合と、オフマッチング状態からオンマッチング状態に遷移した場合とが想定される。
初めてオンマッチング状態になった場合においては、道路情報が未生成であるため、ステップS245において現在位置を含む道路情報が生成済であると判定されない。そこで、制御部20は、道路情報を新規に生成して送信する道路情報新規送信処理を実行する(ステップS260)。
また、オフマッチング状態からオンマッチング状態に遷移した場合において、現在適合している道路が前回の前記オンマッチング状態で適合していた道路と異なるならば、ステップS245において現在位置を含む道路情報が生成済であると判定されない。そこで、制御部20は、道路情報を新規に生成して送信する道路情報新規送信処理を実行する(ステップS260)。この場合、道路情報は新規に生成されるため、制御部20は、記録媒体30等に保持されていた道路情報を破棄し、インデックスによる分割道路の順序のカウントを新たに開始して現在適合している道路の道路情報を新たに取得することになる。
一方、オンマッチング状態が過去から継続している場合、道路情報は生成済であり、車両は当該道路情報が示す道路上を移動している。従って、ステップS245において現在位置を含む道路情報が生成済であると判定される。また、オフマッチング状態からオンマッチング状態に遷移した場合において、現在適合している道路が前回のオンマッチング状態で適合していた道路であるならば、ステップS245において現在位置を含む道路情報が生成済であると判定される。
これらの場合、現在保持されている道路情報を流用することが可能であるため、制御部20は、道路情報を破棄せず、次の更新が必要であるか否かを判定する処理を行う。具体的には、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、道路情報送信後の走行距離が既定距離に達したか否かを判定する(ステップS250)。すなわち、本実施形態においては、ステップS110において、道路情報を更新する単位である既定距離が設定されている。そこで、制御部20は、最後の道路情報を送信した後の走行距離を車速センサ42の出力や現在位置の履歴等に基づいて特定し、当該走行距離が既定距離に達したか否かを判定する。むろん、当該判定に際してマージンが考慮されても良い。
ステップS250において、道路情報送信後の走行距離が既定距離に達したと判定されない場合、制御部20は、ステップS270をスキップする。一方、ステップS250において、道路情報送信後の走行距離が既定距離に達したと判定された場合、制御部20は、道路情報を追加して送信する道路情報更新処理を実行する(ステップS270)。すなわち、本実施形態においては、現在適合している道路が前回のオンマッチング状態で適合していた道路であるならば、順序のカウントを新たに開始せず、保持されていた道路情報を車両制御ユニットへの送信対象とすることになる。
本実施形態において、道路情報は、分割道路毎に定義されて車両制御ユニット44,45に送信され、インデックスは分割道路の順序を示している。従って、車両制御ユニット44,45は、道路情報に含まれるインデックスに基づいて分割道路の順序を再現することができる。そして、インデックスが示す順序は、分割道路が連続した道路を構成する場合に意味をなし、車両がある道路から道路外(駐車場等)に退出し、その後、他の道路に進入するなど、連続した道路を走行していない場合にはインデックスが意味をなさない。
そこで、本実施形態においては、オンマッチング状態、オフマッチング状態、オンマッチング状態と、状態が遷移した場合に、現在適合している道路が前回のオンマッチング状態で適合していた道路であるならば、順序のカウントを新たに開始せず、保持されていた道路情報を流用する。この構成によれば、道路情報の再取得を行わないように構成することができ、効率的に道路情報を管理することができる。
また、本実施形態においては、オンマッチング状態、オフマッチング状態、オンマッチング状態と、状態が遷移した場合に、現在適合している道路が前回のオンマッチング状態で適合していた道路と異なるならば、保持されていた道路情報を破棄し、順序のカウントを新たに開始する。この構成によれば、道路情報が流用できない場合に道路情報を再取得することが可能であり、効率的に道路情報を管理することができる。
(4)道路情報新規送信処理:
次に、道路情報新規送信処理(ステップS260)を詳細に説明する。道路情報新規送信処理が開始されると、制御部20は、現在位置取得部21aの機能により、現在位置を取得する(ステップS300)。すなわち、制御部20は、マップマッチング処理によって現在位置を取得する。
本実施形態においては、マップマッチング処理の開始当初において車両の現在位置の精度が不安定になるなどの事情を考慮し、新規に道路情報を生成する際に、車両の後方の範囲も含めて道路情報を生成する。ただし、車両の後方に分岐点が存在する場合、車両の現在位置が存在し得る分岐路が複数個にならないようにする処理を行う。
このために、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在位置の後方の一定距離以内に分岐点が存在するか否かを判定する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、現在位置の後方につながる道路上で、現在位置から一定距離(例えば、100m)以内の範囲にノード(交差点)が存在するか否か判定する。そして、ノードが存在する場合に、制御部20は、現在位置の後方の一定距離以内に分岐点が存在すると判定する。
ステップS305において、現在位置の後方の一定距離以内に分岐点が存在すると判定されない場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在位置よりも一定距離だけ後方の後方位置を起点に設定する(ステップS320)。すなわち、当該後方位置が道路情報の起点の位置となる。
一方、ステップS305において、現在位置の後方の一定距離以内に分岐点が存在すると判定された場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、分岐点での進入路が1個に限定されるか否かを判定する(ステップS310)。すなわち、車両の後方に分岐点が存在し、車両の現在位置が存在する道路に複数の道路が接続されている場合であっても、一方通行等により、車両の現在位置に到達可能な進入路が1個に限定される場合がある。このような場合、分岐点より後方の後方位置を起点としても、現在位置が特定困難になる可能性は低い。そこで、ステップS310において、分岐点での進入路が1個に限定されると判定される場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在位置よりも一定距離だけ後方の後方位置を起点に設定する(ステップS320)。
一方、ステップS310において、分岐点での進入路が1個に限定されると判定されない場合、車両の現在位置に到達し得る道路が複数個存在し得るため、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、現在位置と後方位置との間の分岐点を起点に設定する(ステップS315)。この構成によれば、現在位置が不明瞭にならないようにした状態で、現在位置よりも後方の位置を道路情報の起点に設定することができる。
ステップS315、S320において、起点が設定されると、当該起点から現在位置の前方の終点までの道路を示す道路情報を取得する処理を行う。具体的には、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、起点から、最大保持距離の中で最も長い距離の区間を先読み区間に設定する(ステップS325)。すなわち、制御部20は、記録媒体30等を参照し、車両制御ユニット44,45のそれぞれにおける最大保持距離を取得する。制御部20は、これらの最大保持距離の中で、最も長い距離を先読み区間の長さとして特定する。
本実施形態において、車両制御ユニット44,45の最大保持距離は、40km、8kmであるため、先読み区間の長さは40kmである。むろん、先読み区間の長さにマージンが設けられていてもよい。先読み区間の長さが決定されると、制御部20は、ステップS315またはS320で設定された起点から車両の進行方向に先読み区間の長さだけ進んだ位置である終点までの区間を先読み区間として設定する。以上の構成によれば、全ての車両制御ユニット44,45において、メモリに最大保持距離分の道路情報を蓄積できるように道路情報を定義することができる。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、先読み区間の特徴を取得する(ステップS330)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、先読み区間内の標高値を取得し、勾配に変換する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、先読み区間内のノードおよび形状補間点を取得し、曲率に変換する。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、先読み区間を既定距離毎の分割道路に分割する(ステップS335)。すなわち、本実施形態においては、既定距離を単位にして道路情報を送信する構成を採用しているため、先読み区間を既定距離毎の分割道路に分割し、分割道路毎に道路情報を送信できるように構成されている。図7Aは、新規に生成される道路情報を模式的に示している。すなわち、図7Aにおいては、分割道路の起点および終点を黒丸で示しており、各分割道路が既定距離である4km毎の区間であることが示されている。
また、先読み区間の起点は位置Psである。従って、先読み区間の終点は、位置Psから40kmだけ先の位置Peである。制御部20は、起点である位置Psから終点である位置Peまでの先読み区間を4km毎の分割道路に分割する。従って、本例においては、計10個の分割道路が取得される。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、分割道路毎の道路情報を生成する(ステップS340)。すなわち、制御部20は、ステップS330で取得された特徴に基づいて、分割道路毎の道路情報を生成する。各道路情報は、各分割道路に含まれる特徴の位置を距離に基づいて表現することで生成される。また、この際、制御部20は、各分割道路に対して起点に近い分割道路から順に1ずつ値が上昇するインデックスを割り当てる。すなわち、起点Psを含む分割道路にはインデックス0が割り当てられ、以後、前方に連続する分割道路にインデックス1,2等が割り当てられていく。なお、当該道路情報の生成は後に詳述する。
次に、制御部20は、道路情報送信部21cの機能により、出力優先度順および現在位置に近い順に道路情報を送信する(ステップS345)。すなわち、ステップS340においては、各種の特徴を示す道路情報が分割道路毎に生成されるが、各種の特徴の優先順位は予め決められている。例えば、車両制御ユニット44,45において勾配の方が曲率よりも制御に対する影響が大きい場合に勾配の方が曲率よりも優先順位が高くなるように設定される。
そこで、制御部20は、同一の分割道路内の道路情報においては、優先順位が高い種類の特徴を優先的に送信する。また、制御部20は、同一の種類の特徴については現在位置に近い特徴を優先的に送信する。さらに、制御部20は、異なる分割道路の道路情報については、現在位置に近い分割道路の道路情報を優先的に送信する。制御部20は、このような規則に従い、ステップS340で生成された道路情報を車両制御ユニット44または45に送信する。この結果、車両制御ユニット44,45において使用する優先度が高い特徴を示す道路情報を優先的に送信することができる。
なお、本実施形態において、道路情報には車両の現在位置を示す情報が含まれている(後述の道路情報更新処理においても同様)。また、車両の現在位置を示す情報は道路情報の送信タイミング以外のタイミングで車両制御ユニット44,45に送信されても良いし、車両制御ユニット44,45において現在位置を取得する処理が行われてもよい。
本実施形態において、先読み区間の長さは、最大保持距離の中で最も長い距離である。ステップS340において、道路情報は、分割道路毎に生成されるが、先読み区間の全範囲に渡って生成される。そして、ステップS345においては、先読み区間の全範囲分の道路情報が送信される。このため、車両において利用され得る車両制御ユニットの全て(車両制御ユニット44,45)において最低限必要な必要最小距離の道路情報を保持することができ、かつ、車両において利用され得る車両制御ユニットの全てにおいて最大保持距離の道路情報を保持することができる。
例えば、図7Aに示す例において、先読み区間の長さは40kmであるため、道路情報が新規に生成された状態においては、インデックス0〜9までの各分割道路についての道路情報が生成されて、車両制御ユニット44または45に送信される。車両制御ユニット44の最大保持距離は40kmである。従って、車両に車両制御ユニット44が搭載されている場合、新規に生成されて送信された道路情報の全てが車両制御ユニット44のメモリに保持される。図7Bは、新規に生成されて道路情報が送信された場合に車両制御ユニット44において保持される道路情報を模式的に示している。
一方、車両制御ユニット45の最大保持距離は8kmである。従って、車両に車両制御ユニット45が搭載されている場合、新規に生成されて送信された道路情報の一部が車両制御ユニット45のメモリに保持される。すなわち、車両制御ユニット45においては、車両の現在位置を起点として前方に存在する分割道路の道路情報を保持する。図8Aにおいても、新規に生成される道路情報を模式的に示している。ただし、図8Aにおいては、車両制御ユニット45の最大保持距離である8kmが併記されている。
車両に車両制御ユニット45が搭載されている場合であっても、制御部20は、図8Aに示す40km分の道路情報を送信する。車両制御ユニット45においては8km分の道路情報を保持可能であるため、車両制御ユニット45が道路情報を受け付けると、車両の現在位置と道路情報の起点Psに基づいて車両の現在位置を起点として前方に存在する分割道路の道路情報を8km分保持する図8Bは、新規に生成されて道路情報が送信された場合に車両制御ユニット45において保持される道路情報を模式的に示している。
(5)道路情報更新処理:
次に、道路情報更新処理(ステップS270)を詳細に説明する。道路情報更新処理が開始されると、制御部20は、現在位置取得部21aの機能により、現在位置を取得する(ステップS400)。すなわち、制御部20は、マップマッチング処理によって現在位置を取得する。
次に、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、既定距離の更新区間を設定する(ステップS405)。すなわち、制御部20は、既に生成済の道路情報の先の既定距離の分割道路を、次に更新すべき更新区間として設定する。例えば、図7Aに示す例において、位置Ps〜位置Peの先読み区間の道路情報が生成済である場合、制御部20は、位置Peの先の4km分(既定距離分)の区間Znを更新区間として設定する。むろん、更新区間の長さにマージンが設けられていてもよい。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、更新区間の特徴を取得する(ステップS410)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、更新区間内の標高値を取得し、勾配に変換する。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、更新区間内のノードおよび形状補間点を取得し、曲率に変換する。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、更新区間の道路毎の道路情報を生成する(ステップS415)。すなわち、制御部20は、ステップS410で取得された特徴に基づいて、更新区間(次に更新される分割道路)の道路情報を生成する。道路情報のフォーマットは新規に生成された道路情報と同様のフォーマットである。
ただし、制御部20は、各分割道路に対して起点に近い分割道路から順に1ずつ値が上昇するインデックスを割り当てる。従って、本実施形態においては、起点からの通し番号でインデックスが割り当てられる。図7Aに示す例において、初めて道路情報更新処理が実行された場合、制御部20は、更新区間である区間Znにインデックス10を割り当てる。なお、インデックスが上限値に達したら、道路情報新規送信処理が行われるなどの構成により、インデックスが初期化される。
次に、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、出力優先度の順に更新区間の道路情報を送信する(ステップS420)。すなわち、ステップS415においては、各種の特徴を示す道路情報が生成され、ここでも特徴には複数種類の特徴が存在し得る。各種の特徴の優先順位は予め決められているため、制御部20は、更新区間内の特徴のうち、優先順位が高い特徴を示す道路情報を優先的に送信する。
次に、制御部20は、道路情報更新部21dの機能により、出力優先度順および現在位置に近い順に道路情報を送信する(ステップS425)。すなわち、ステップS420において送信された道路情報は更新区間の道路情報であり、当該更新区間は生成済の道路情報の中で最も前方に位置する区間である(例えば、図7Aにおける区間Zn)。車両制御ユニットの中には、更新区間よりも後方の道路情報を必要とするユニットも存在するため、制御部20は、ステップS425において、車両の現在位置と更新区間との間に存在する分割道路の道路情報も送信する。この際、制御部20は、ステップS345と同等の順序で道路情報を送信する。
以上の構成によれば、制御部20は、送信済の道路情報が示す道路に含まれない道路の道路情報(更新区間の道路情報)を最初に送信し、最大保持距離の中で最も長い距離分の道路情報の残りの情報を順次送信する構成となる。この構成によれば、車両制御ユニット44,45に対して送信したことがない区間である更新区間の道路情報を優先的に送信することができる。
図7Aに示す例において、区間Znが更新区間である場合、車両が図7Bに示す位置P1に達すると区間Znの道路情報が生成され、車両制御ユニットに送信される。この際、制御部20は、ステップS420で区間Znの道路情報にインデックス10を割り当てて道路情報を送信する。車両に車両制御ユニット44が搭載されている場合、車両制御ユニット44が当該道路情報を受信すると当該道路情報をメモリに保持する。
さらに、制御部20は、ステップS425で車両の現在位置と区間Znとの間に存在する分割道路の道路情報も送信する。すなわち、図7Aに示す例であれば、制御部20は、インデックス1〜9が割り当てられた分割道路の道路情報を送信する。車両制御ユニット44が当該道路情報を受信すると、当該道路情報をメモリに保持する。車両制御ユニット44は、40km分の道路情報を保持できるため、インデックス1〜10の分割道路の道路情報を保持することができる。従って、車両の現在位置が位置P1に達した場合に送信され、車両制御ユニット44に保持される道路情報は、図7Cに示すようにインデックス1〜10の道路情報となる。
一方、車両に車両制御ユニット45が搭載されている場合、インデックス10が割り当てられて送信された区間Znの道路情報を車両制御ユニット45が当該道路情報を受信しても、当該道路情報はメモリに保持されない。すなわち、図8A等に示すように、車両制御ユニット45の最大保持距離は8kmであるため、車両の現在位置が位置P1において車両が必要とする道路情報は区間Znの道路情報ではない。この状態において、車両制御ユニット45は、インデックス1,2が割り当てられた道路情報を必要とする。そこで、車両制御ユニット45は、インデックスに基づいて区間Znの道路情報が不要であると判断し、破棄する。
この後、制御部20は、ステップS425で車両の現在位置と区間Znとの間に存在する分割道路の道路情報も送信する。この際、制御部20は、インデックス1〜9が割り当てられた分割道路の道路情報を順次送信する。そこで、車両制御ユニット45が当該道路情報を受信すると、当該道路情報のインデックスを参照し、インデックス1,2が割り当てられた分割道路の道路情報をメモリに保持する。従って、車両の現在位置が位置P1に達した場合に送信され、車両制御ユニット45に保持される道路情報は、図8Cに示すようにインデックス1,2の道路情報となる。
以上のように、本実施形態において制御部20は、道路情報の送信後における車両の走行距離が既定距離以上になる前に、送信済の道路の先に続く既定距離分の道路の道路情報を送信することによって道路情報を送信する。従って、既定距離を単位にして道路情報を更新していくことになる。ここで、既定距離は、車両に搭載可能な複数の車両制御ユニット44,45のそれぞれの必要最小距離の中で最も短い距離である。従って、本実施形態においては、既定距離より短い単位で道路情報が更新されることを防止することができる。このため、必要最小距離よりも短い距離を単位にして道路情報が送信される構成と比較して、過度に頻繁に道路情報が送信されることを防止することができる。
一方、過度に長い距離を単位にして道路情報が送信されると、車両制御ユニットにおいて必要な道路情報が得られない場合が生じる。例えば、車両制御ユニット45の必要最小距離である4kmよりも長い8kmを単位にして道路情報が送信される場合を想定する。この場合、車両制御ユニット45においては、初期に最大保持距離である8kmの道路情報を受信して車両制御を開始する。しかし、この場合においては車両が8km走行するまで、更新された道路情報が送信されない。従って、最大保持距離である8kmの全てを車両が走行するまで道路情報が更新されず、車両制御ユニット45において必要な道路情報が得られない状況となる。
そこで、本実施形態においては、車両制御ユニット44,45における必要最小距離の中で最も短い距離である4kmを既定距離とし、既定距離を単位として道路情報を更新する構成が採用されている。この構成によれば、いずれの車両制御ユニットからみても、過度に頻繁に道路情報が送信される状況ではないし、必要な道路情報が得られない状況でもない。従って、複数の種類の制御において共通して利用できるように道路情報を送信し、車両制御ユニットに対して車両の前方の特徴を提供することができる。
(6)道路情報生成処理:
次に、道路情報生成処理を詳細に説明する。道路情報生成処理は、ステップS340やステップS415において実行される。図9は、道路情報生成処理を示すフローチャートである。道路上生成処理は、ステップS330やステップS410で取得された特徴の種類毎、かつ、分割道路毎に実行される。例えば、ステップS330において、勾配と曲率の2種類の特徴が取得され、分割道路が計10個存在する場合を想定する。
この場合、ある分割道路に含まれる勾配について図9に示す道路情報生成処理が実行され、さらに、当該分割道路に含まれる曲率について図9に示す道路情報生成処理が実行される。このような特徴の種類毎の処理が、各分割道路についても実行される。従って、道路情報生成処理が終了すると、特徴の種類毎の道路情報が分割道路毎に生成された状態となる。
具体的には、ある分割道路に含まれる、ある種類の特徴について道路情報生成処理が開始されると、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、インデックスを割り当てる(ステップS500)。すなわち、制御部20は、道路情報生成処理の対象となっている分割道路の起点Ps(図7A参照)からの順序に基づいて処理対象の分割道路にインデックスを割り当てる。例えば、起点Psを含む分割道路であればインデックス0、区間Znであればインデックス10が割り当てられる。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、各特徴について分割道路の起点からの距離および特徴間距離を取得する(ステップS505)。すなわち、本実施形態においては、分割道路内の各特徴の位置を距離によって表現するように構成されている。そこで、制御部20は、まず、地図情報30aを参照し、分割道路の端点の位置を特定し、各分割道路の後方側の端点を分割道路の起点とする。また、制御部20は、地図情報30aを参照し、ステップS330やステップS410で取得された特徴の位置を特定し、分割道路の起点からの距離を取得する。さらに、起点からの距離に基づいて特徴間距離を取得する。
図10Aは、位置Pdsを起点とし、位置Pdeを終点とする分割道路を模式的に示している。図10Aに示す分割道路には同一の種類の特徴が4個含まれている。各特徴の位置は、それぞれ、位置Pd1,位置Pd2,位置Pd3,位置Pd4である。この例の場合、制御部20は、起点の位置Pdsから位置Pd1までの距離L1、起点の位置Pdsから位置Pd2までの距離L2、起点の位置Pdsから位置Pd3までの距離L3、起点の位置Pdsから位置Pd4までの距離L4を取得する。さらに、制御部20は、特徴間距離として、位置Pd1から位置Pd2までの距離L2−L1、位置Pd2から位置Pd3までの距離L3−L2(図10Aにおいて不図示)、位置Pd3から位置Pd4までの距離L4−L3を取得する。
上述のように、本実施形態においては1フレーム(1メッセージ)に最大2個の特徴を記述することができる形式で特徴を記述した道路情報を生成する。具体的には、本実施形態においては、1フレーム内に記述される2個の特徴のうち、分割道路の起点に近い特徴を第1の特徴、遠い方の特徴を第2の特徴と呼ぶ。そして、各フレームにおいては、第1の特徴の位置を、分割道路の起点から第1の特徴までの距離(第1距離と呼ぶ)で表現し、第2の特徴の位置を、第1の特徴と第2の特徴との距離(第2距離と呼ぶ)で表現する。なお、分割道路の起点の位置を示す情報は、道路情報の更新の際に毎回送信されても良いし、道路情報の起点(図7Aに示す位置Ps)と既定距離とインデックスに基づいて特定されても良い。
本実施形態においては、以上のような形式で道路情報を記述するが、第1の特徴と第2の特徴との距離が第2距離として表現可能な上限の距離を超えていると、1フレーム内に第2距離を記述することができない。そこで、制御部20は、第2距離として表現可能な上限の距離を取得する(ステップS510)。本実施形態において、第2距離として表現可能な上限の距離は、運転支援用通信規格に規定されたメッセージの規格で決められる。すなわち、2個の特徴を1個のフレームに記述する構成において、2個目の特徴について記述するためのビットが決められている。従って、第2距離についての上限の距離は、フレーム内で第2距離を記述するビットの桁数で決まる。例えば、当該第2距離を10ビットで記述可能である場合、10ビットの最大値は1022であるため、最小分解能を1メートルとして距離をメートルで記述する場合、1022mが上限の距離となる。
むろん、上限の距離は、距離分解能に応じて変化してもよく、同一のビット数で最小分解能を2倍にすれば(例えば、最小分解能を1メートルから2メートルに変化させる)、上限の距離を2044mにすることができる。上限の距離は、予め決められていても良いし、道路情報に含まれるフラグ等で車両制御ユニット44,45に伝えられても良い。いずれにしても、制御部20は、ステップS510において、第2距離として表現可能な上限の距離を取得する。なお、以下においては、上限の距離が1022mである例を説明する。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、第1の特徴の道路情報を生成する(ステップS520)。すなわち、制御部20は、ステップS505で距離が取得された各特徴のうち、道路情報として記述されていない特徴を抽出し、その中で最も分割道路の起点に近い特徴を第1の特徴とみなす。そして、分割道路の起点から当該第1の特徴までの第1距離と、ステップS500で割り当てられたインデックスと、特徴の種類とを示す情報を1フレーム(1メッセージ)内に記述した道路情報を生成する。例えば、図10Aに示す例において、第1の特徴が位置Pd1に存在する特徴である場合、第1の特徴が起点Pdsから距離L1の位置に存在することを示す道路情報が生成される。
次に、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、次の特徴までの距離が上限の距離より大きいか否かを判定する(ステップS525)。すなわち、制御部20は、ステップS520で道路情報を生成した第1の特徴と、当該第1の特徴の前方に存在する最も近い特徴との間の特徴間距離と、上限の距離とを比較する。図10Aにおいては、位置Pd1,Pd2に存在する特徴の特徴間距離L2−L1が、上限の距離以下である。従って、この場合、制御部20は、次の特徴までの距離が上限の距離より大きいと判定しない。一方、図10Bにおいては、位置Pd1,Pd5に存在する特徴の特徴間距離L5−L1が、上限の距離より大きい例を示している。この場合において、位置Pd1に存在する特徴が第1の特徴となっているならば、制御部20は、次の特徴までの距離が上限の距離より大きいと判定する。
ステップS525において、次の特徴までの距離が上限の距離より大きいと判定されない場合、制御部20は、道路情報取得部21bの機能により、第2の特徴の道路情報を追記する(ステップS530)。すなわち、制御部20は、1個の特徴を1個のフレームに記述するメッセージの規格を利用することとし、第1の特徴と第2の特徴との間の特徴間距離を、第2の特徴の位置を示す第2距離としてメッセージ(フレーム内)内に追記する。図10Aに示す例においては、このようにして生成されたメッセージ(フレーム)を示している。すなわち、図10Aに示す例においては、位置Pd1,Pd2に存在する特徴が記述されたメッセージ1と、位置Pd3,Pd4に存在する特徴が記述されたメッセージ2とが生成される(距離L4−L3は上限の距離以下である)。
一方、ステップS525において、次の特徴までの距離が上限の距離より大きいと判定された場合、制御部20は、ステップS530をスキップする。従って、この場合においては、道路情報に第2の特徴は記述されない。図10Bに示す例においては、このようにして生成されたメッセージ(フレーム)を示している。すなわち、図10Bに示す例においては、位置Pd1に存在する特徴が記述されたメッセージ1と、位置Pd5に存在する特徴が記述されたメッセージ2とが生成される。
次に、制御部20は、分割道路内の全特徴について処理済みであるか否かを判定する(ステップS535)。すなわち、処理対象となっている種類の特徴であって、処理対象となっている分割道路内に存在する特徴の全てが道路情報として記述された場合、制御部20は、分割道路内の全特徴について処理済みであると判定する。制御部20は、ステップS535において、分割道路内の全特徴について処理済みであると判定されるまで、ステップS520以降の処理を繰り返す。
以上に示す道路情報生成処理が、各分割道路内の全ての特徴の種類について実施されると、送信対象である特徴を示す道路情報が複数のフレームに記述された状態となる。そして、本実施形態においては、通常は2個の特徴を記述可能なメッセージが利用され、制御部20は、2個の特徴を1フレーム内に記述して道路情報を送信する。しかし、第2距離が上限の距離より大きければ、1個の特徴を記述可能なメッセージが利用され、1個の特徴を1個のフレームに記述し、合計2個のフレーム(メッセージ)で2個の特徴の道路情報を送信する。すなわち、2個の特徴を1個のフレームに記述しようとした場合に記述できなくても、2カ所の特徴を異なるフレームで送信すれば、利用可能な情報量が増えて送信可能になる。そして、本実施形態で使用される運転支援用通信規格では、2個の特徴を1個のフレーム(メッセージ)で送信する形式と1個の特徴を1個のフレーム(メッセージ)で送信する形式とが用意されている。本実施形態においては、第2距離の大きさに応じてこれらのフレーム(メッセージ)を切り替えて道路情報を送信することができる。従って、本実施形態によれば、規格に準拠しながら道路情報を送信することが可能である。
なお、以上の処理において、制御部20は、道路情報取得部21bの処理により、特徴の種類毎に道路情報生成処理を実行する。従って、制御部20は、特徴の種類毎に第1距離および第2距離を取得して道路情報を生成することになる。このため、同一のフレームには同一の種類の特徴のみが記述され、異なる種類の特徴が混在することはない。従って、制御部20が、道路情報送信部21cおよび道路情報取得部21bの機能によって道路情報を送信すると、同一の種類の特徴を示す道路情報は同一のフレームで送信されることになる。この結果、車両制御ユニット44,45においては、先に送信された種類の特徴に基づく車両制御を、他の種類の特徴の送信完了を待つことなく開始することも可能になる。
(7)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、道路情報送信システム10は車両に搭載された端末であってもよいし、車両の利用者が携帯する端末であってもよい。また、現在位置取得部21a、道路情報取得部21b、道路情報送信部21c、道路情報更新部21dの機能の少なくとも一部が上述の実施形態と異なる制御主体で実現されても良い。例えば、現在位置取得部21aが、現在位置を取得するためのECU等によって実現される構成等が採用されてもよい。
また、一部の機能が省略されたり、処理の順序が変更されたりするなど、上述の実施形態に変更が加えられても良い。さらに、制御部20が複数の装置で構成されても良く、各装置は車両内に配置されても良いし、一部が車両外(例えば、外部のサーバ等)に存在しても良い。
現在位置取得部は、車両の現在位置を取得することができればよい。従って、上述のように、自律航法、GPS、マップマッチングを組み合わせて特定される構成以外にも種々の構成が採用可能である。例えば、自律航法、GPSの組み合わせやこれらのいずれかによって現在位置が取得される構成であっても良い。さらに、車両が備えるカメラで撮影された画像(例えば、停止線の画像等)に基づいて現在位置が取得される構成であっても良く、種々の構成が採用可能である。
道路情報取得部は、現在位置の前方の道路の特徴を示す道路情報を取得することができればよい。従って、上述のように予め定義された地図情報に基づいて道路の特徴が特定される構成の他にも、種々の構成が採用可能である。例えば、外部の装置(サーバ等)から道路情報が提供されても良いし、カメラで撮影された画像に基づいて道路の特徴が特定されても良い。
道路の特徴は、車両の制御に利用され得るあらゆる特徴がこれに該当し得る。従って、上述の実施形態における道路の勾配や曲率以外にも、道路の標識、停止線等の各種の要素が特徴となり得る。なお、曲率であればその値および位置、道路の標識であればその位置、種類や内容(速度制限値等)、停止線であればその位置が道路情報を構成し得る。また、道路情報の態様は、種々の態様であって良い。例えば、道路情報としての勾配は、上述のように、特定の距離の前進に際しての高度変化として定義されても良いし、勾配値(角度)で定義されても良いし、複数地点の標高値で定義されても良く、種々の構成を採用可能である。
道路情報送信部は、車両を制御する車両制御ユニットに対して道路情報を送信することができればよい。従って、上述の実施形態のようにCANを介して道路情報が送信されても良いし、他の規格の有線通信や無線通信で道路情報が送信されても良く、種々の構成が採用可能である。
車両制御ユニットは、車両の制御対象を制御することが可能なユニットであれば良く、車両において複数の車両制御ユニットを利用可能である。ただし、上述の実施形態のように、同時に利用される車両制御ユニットの数は1個であってもよいし、同時に複数個の車両制御ユニットが利用可能であってもよい。車両制御の内容は、上述の制御に限定されず、例えば、ABS(Antilock Brake System)やTRC(TRaction Control)、サスペンションの制御、オートクルーズ制御、ヘッドライトの方向制御など、任意の制御であってよい。
道路情報更新部は、道路情報の送信後における車両の走行距離が既定距離以上になる前に、送信済の道路の先に続く少なくとも既定距離分の道路の道路情報を車両制御ユニットに対して送信することができればよい。すなわち、道路情報更新部は、車両の移動に伴って車両制御ユニットにおいて道路情報が不足する前に、次の道路情報を送信することができればよい。
分割された分割道路の道路上での順序は、後方から前方に向けて1ずつインクリメントされる上述の実施形態のようなインデックス以外にも種々の構成が採用可能である。例えば、分割道路の端点に接続される分割道路の識別情報等が対応づけられる構成など、各種の構成が採用されてよい。分割道路は、道路情報を定義する単位である既定距離分の道路であれば良い。
さらに、マップマッチング処理等によって規定される状態に基づいて道路情報を保持し、または破棄する構成において、道路情報を保持または破棄する要因となる状態が複数個併存する場合、制御部20が、状態の優先度に従って道路情報の保持または破棄を決定しても良い。例えば、制御部20が、道路情報取得部21bの機能により、予め決められた優先度が高い状態に基づいて道路情報の保持または破棄を決定する構成であっても良い。例えば、故障状態、ビジー状態、正常状態の順に優先度が決められている構成を採用可能である。そして、一部のセンサが異常であることによって故障状態になるとともに、ビジー状態になった場合に、制御部20が故障状態を優先し、道路情報を破棄する構成としても良い。
車両制御ユニットに対して送信される前記第2距離として1フレーム内で表現可能な上限の距離は、車両制御ユニットで解釈できるように決められていれば良い。従って、上限の距離は、上述の実施形態のように距離分解能に応じて可変であっても良いし、固定であっても良い。固定の場合、例えば、車両制御ユニットが第2距離を示す数値について既定の解釈で数値を特定する構成等によって実現可能である。