[第1実施形態のレンズ特性測定装置の全体構成]
図1は、第1実施形態のレンズ特性測定装置10の外観斜視図である。図1に示すように、レンズ特性測定装置10は、眼鏡の眼鏡フレーム101に保持されている左右の眼鏡レンズ102の各種の光学特性(屈折特性、円柱屈折力、乱視軸角度、及び紫外線透過率等)を片方ずつ順番に測定する。このレンズ特性測定装置10は、左右の眼鏡レンズ102のアライメント及び切り替えを自動で行う自動測定モードと、手動でアライメント及び切り替えを行う手動測定モードと、を有している。
以下、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向の中で、眼鏡フレーム101(被検眼)の図中左右方向をX方向とし、図中のレンズ特性測定装置10の図中上下方向をY方向とし、図中のレンズ特性測定装置10の図中前後方向をZ方向とする。また、X方向の図中左方向を「左方向XL」とし、X方向の図中右方向を「右方向XR」とする。さらに、Y方向の図中上方向を「上方向YU」とし、Y方向の図中下方向を「下方向YD」とする。さらにまた、Z方向の図中前方向を「前方向ZF」とし、Z方向の後方向を「後方向ZR」とする。
なお、「上方向YU」は本発明のY方向一方側に相当し、「下方向YD」は本発明のY方向他方側に相当し、「前方向ZF」は本発明のZ方向一方側に相当し、「後方向ZR」は本発明のZ方向他方側に相当する。
眼鏡フレーム101は、左右の眼鏡レンズ102をそれぞれ保持する左右のリム104(レンズ枠ともいう)と、左右のリム104同士を接続するブリッジ部105と、左右のリム104にそれぞれ設けられた鼻当てパッド部106及びテンプル107と、を備える。
図2は、眼鏡フレーム101の概略図である。図2の符号2A(正面図)、符号2B(上面図)、及び符号2C(側面図)に示すように、眼鏡フレーム101に保持されている左右の眼鏡レンズ102は、その使用者の瞳孔間距離(Pupil Distance:PD)等に合わせて位置調整されている。このため、左右の眼鏡レンズ102の光学中心位置LCの間の光学中心間距離(Optical Center Distance:OCD)は使用者ごとに異なる。また、左右の眼鏡レンズ102は眼鏡フレーム101の左右のリム104にそれぞれ個別に保持されているので、左右の眼鏡レンズ102の光軸L0は必ずしも互いに平行ではない。
図1に戻って、レンズ特性測定装置10の筐体前面のY方向中央部には、前方向ZF側に向けて延びた形状の測定部12が設けられている。この測定部12の上面で且つこの測定部12による眼鏡レンズ102の測定位置には、略円筒状のレンズ受け14が設けられている。このレンズ受け14には、眼鏡フレーム101の左右の眼鏡レンズ102のいずれかが選択的に配置され、配置された眼鏡レンズ102の裏面側を支持する。なお、眼鏡レンズ102の裏面とは眼鏡レンズ102の使用者の眼と対向する側の面であり、その反対側の面が眼鏡レンズ102の表面である。
ここで本実施形態では略円筒状のレンズ受け14を例に挙げて説明しているが、レンズ受け14が、例えば上方向YU側に向けて突出した複数のピンにより構成されていてもよい。
測定部12は、詳しくは後述するが、レンズ受け14に配置された眼鏡レンズ102を通して入射した測定光L1,L2(図13参照)を撮像して撮像信号を出力する。この撮像信号に基づき、眼鏡レンズ102の光学特性の測定結果が得られる。また、この撮像信号に基づき、測定部12に対する眼鏡レンズ102のアライメント検出、具体的には測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0(光学中心位置LC)のZ方向及びX方向のずれを検出できる。
レンズ特性測定装置10の筐体前面には、測定部12からその上方向YU側に向かって、テーブル16と、フレーム支持部18と、レンズ押え20と、光源部22と、モニタ24と、が順番に設けられている。
テーブル16は、略平板状に形成されており、レンズ受け14の後方向ZR側の位置において、Z方向に垂直なテーブル面16Aを有している。このテーブル16(テーブル面16A)は、後述のテーブル押圧部44(図8参照)により、測定部12の上面に沿ってZ方向に移動自在に保持されている。そして、詳しくは後述するが、テーブル16のテーブル面16Aは、テーブル押圧部44により前方向ZFに押圧(付勢)されることで、眼鏡フレーム101の左右のリム104に当接する。なお、手動測定モード時には、レンズ特性測定装置10の筐体側面に設けられているテーブル操作レバー17を回動操作することで、テーブル16のテーブル面16AをZ方向に手動で移動可能である。
フレーム支持部18は、テーブル16の後方向ZR側からテーブル16を跨いでこのテーブル16の前方向ZF側に向けて延びた形状(略クランク形状)を有している。このフレーム支持部18は、眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106に当接して、この眼鏡フレーム101を支持する。
また、フレーム支持部18は、テーブル16の上面に沿って後述のフレーム移動部42(図4参照)によりX方向に移動自在に保持され、且つZ方向にもフレーム移動部42により移動自在に保持されている。これにより、フレーム支持部18により支持されている眼鏡フレーム101の眼鏡レンズ102のX方向位置及びZ方向位置を自動で調整できる。その結果、測定部12に対する眼鏡レンズ102のX方向及びZ方向のアライメントを自動で実行できる。
レンズ押え20は、後述の押え駆動部46(図9参照)により、レンズ受け14の上方向YU側の位置においてY方向に移動自在に保持されている。このレンズ押え20は、下方向YD側(レンズ受け14側)に向かって突出した複数のレンズ押えピン20Aを備える。そして、レンズ押え20は、眼鏡レンズ102のX方向及びZ方向のアライメントの完了後、押え駆動部46により下方向YD側に自動的に下降されることにより、各レンズ押えピン20Aによって眼鏡レンズ102の表面を下方向YD側に押圧する。これにより、レンズ押え20は、眼鏡レンズ102をレンズ受け14に押さえ付けて固定する。なお、手動測定モード時には、レンズ押え操作レバー21を操作することで、レンズ押え20をY方向に手動で移動可能である。
光源部22は、レンズ特性測定装置10の筐体前面において、測定部12及びレンズ受け14に対向する位置に設けられている。光源部22は、詳しくは後述するが、測定光L1,L2(図13参照)を測定部12に向けて出射する。この測定光L1,L2は、測定部12の測定光軸MLに沿って、レンズ受け14に固定されている眼鏡レンズ102を透過した後、測定部12に入射する。
モニタ24は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイであり、レンズ特性測定装置10の筐体前面の最上部に設けられている。このモニタ24は、例えば、測定結果表示欄26と、測定部12に対する眼鏡レンズ102のアライメント状態を示す情報(マーク28及びマーク29)と、操作画面30と、を表示する。
測定結果表示欄26には、眼鏡レンズ102の光学特性の測定結果が表示される。
アライメント状態を示す情報は、複数の同心円28Aからなり且つ測定部12の測定光軸MLを示すマーク28と、眼鏡レンズ102の光学中心位置LCを示す十字状のマーク29と、を含む。なお、測定光軸MLは既知の情報であり、眼鏡レンズ102の光学中心位置LCは測定部12から出力される撮像信号を解析することで取得可能である。
操作画面30には、測定モード選択操作、測定内容選択操作、及び測定開始操作等のレンズ特性測定装置10の各種操作を行うための操作入力用のボタン又はアイコン等が表示される。検者が操作画面30をタッチ操作することで、レンズ特性測定装置10の動作を制御できる。なお、各種操作を行うための操作入力部をレンズ特性測定装置10の筐体に別途設けてもよい。
[フレーム支持部]
図3は、フレーム支持部18の斜視図である。図4の符号4Aはフレーム支持部18を構成するフレーム当接部34の上面図であり、符号4Bはフレーム当接部34の正面図である。図5は、フレーム支持部18の側面図である。
図3から図5に示すように、フレーム支持部18は、フレーム当接部34と、連結部36と、支持部本体38と、を有する。
フレーム当接部34は、X方向に垂直(後述のレンズ押え20による押え解除時には「Z方向に平行」、以下同じ)な柱形状を有しており、後述の連結部36及び支持部本体38によってテーブル面16Aの前方向ZF側の位置で保持されている。フレーム当接部34は、その上面が眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106に当接することにより、眼鏡フレーム101を支持する。これにより、眼鏡フレーム101は、その眼鏡レンズ102の表面が上方向YU側を向き、且つ左右の眼鏡レンズ102の左右方向がX方向に揃った姿勢で、フレーム当接部34により支持される。
フレーム当接部34の上面の前方向ZF側の端部には、眼鏡フレーム101のブリッジ部105の前方向ZF側の端面に当接(係合)して、更なるブリッジ部105の前方向ZF側への移動を規制する突き当て部34Aが設けられている。また、フレーム当接部34の上面には、突き当て部34Aよりも後方向ZR側の位置に挟持部34Bが設けられている。
図6の符号6Aは、本実施形態の挟持部34Bの側面図であり、符号6Bは他実施形態の挟持部34Cの側面図である。図6の符号6Aに示すように、挟持部34Bは、フレーム当接部34の上面においてスライド移動自在に設けられている。これにより、フレーム当接部34による眼鏡フレーム101の支持後に、挟持部34Bを前方向ZF側にスライド移動させることで、ブリッジ部105が突き当て部34Aと挟持部34Bとにより挟持される。なお、挟持部34Bのスライド移動は、不図示の駆動部により実行されたり、或いは検者の手作業により実行されたりする。
挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力は、後述の統括制御部70(図16参照)の制御の下、強挟持状態と弱挟持状態とに切替可能である。この挟持力が強挟持状態の場合、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢は固定され、逆に挟持力が弱挟持状態の場合、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢は変位可能となる(図7参照)。
なお、図6の符号6Bに示すように、挟持部34Bに代えて、ブリッジ部105の上方向YU側からこのブリッジ部105を下方向YD側に押さえ付ける挟持部34Cを設けてもよい。この挟持部34Cは、フレーム当接部34の上面との間でブリッジ部105をY方向に挟持する。或いは、移動中にブリッジ部105が脱落しない程度の力で挟持し、レンズ押さえ20の押圧力により自由に回転可能に保持する挟持機構を用いてもよい。
図7は、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢変位を説明するための説明図である。図7に示すように、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力が強挟持状態から弱挟持状態に切り替えられると、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢は下記の3方向に変位可能となる。この3方向は、Z方向に平行な回転軸の軸周り方向(ロール方向:符号7A参照)、Y方向に平行な回転軸の軸周り方向(ヨー方向:符号7B参照)、及びX方向に平行な回転軸の軸周り方向(ピッチ方向:符号7C参照)である。
図3から図5に戻って、フレーム当接部34は、連結部36を介して、支持部本体38に対して姿勢変位自在に保持される。具体的に、フレーム当接部34は、連結部36に対して、フレーム当接部34に平行な回転軸JZ(図4の符号4B参照)を中心としてその軸周り方向RZ(フレーム当接部34の周方向:既述のロール方向)に回転自在に連結されている。このため、フレーム当接部34は、その周方向(すなわち軸周り方向RZ)に回転自在に連結部36及び支持部本体38に保持されている。従って、眼鏡フレーム101は、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力が弱挟持状態であるか否かに関わらず、その姿勢を軸周り方向RZに変位可能である。
なお、図示は省略するが、フレーム当接部34又は連結部36には、フレーム当接部34が軸周り方向RZに回転した場合でも、元の姿勢に復元させる付勢部が設けられている。これにより、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101の姿勢が後述のレンズ押え20の押圧により軸周り方向RZに変位した場合でも、この押圧の解除により、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101は元の姿勢(眼鏡フレーム101の左右方向がX方向に平行な姿勢)に復元される。
連結部36は、Z方向に平行な略柱形状を有しており、フレーム当接部34と支持部本体38とを連結する。この連結部36の前方向ZF側の端部は、X方向に平行な回転軸JXを中心として曲げ変形自在である。このため、フレーム当接部34は、連結部36を介して、支持部本体38によって回転軸JXを中心としてその軸周り方向RY(図5参照)に回転自在に保持される。このようにフレーム当接部34が軸周り方向RYに回転することで、矢印AY(図4の符号4B参照)に示すように、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101のY方向位置を変位可能である。
また、連結部36には、フレーム当接部34(眼鏡フレーム101)を上方向YU側に変位させる回転方向に回転付勢するフレーム付勢部40が設けられている。このフレーム付勢部40としては、例えば板バネ及びトーションバネ等の各種バネ部材が用いられる。このフレーム付勢部40により、連結部36がZ方向に平行な姿勢で維持され、これに応じてフレーム当接部34のY方向位置がレンズ受け14よりも上方向YU側の位置で維持される。なお、連結部36を弾性体で形成することにより、この連結部36自体にフレーム付勢部40としての機能を持たせてもよい。
連結部36の前方向ZF側の端部は、フレーム付勢部40の付勢力に抗する力で、後述のレンズ押え20によりフレーム当接部34が下方向YD側に押圧された場合、回転軸JXを中心としてフレーム当接部34が下方向YD側に変位する回転方向に曲げ変形される。そして、連結部36は、レンズ押え20による押圧が解除されると、元の形状に復元することで、フレーム当接部34を上方向YU側に変位させる。このようにレンズ押え20による押圧及び押圧解除により、フレーム当接部34(眼鏡フレーム101)のY方向位置を、下方向YD及び上方向YUに変位可能である。
支持部本体38は、連結部36を介して、フレーム当接部34を軸周り方向RZ,RYに回転自在に保持する。この支持部本体38は、略クランク形状を有している。具体的に支持部本体38は、テーブル16の後方向ZR側からテーブル16よりも上方向YU側の位置で前方向ZF側に屈曲し、その位置から前方向ZF側に延び、テーブル16の前方向ZF側の最大位置よりもさらに前方向ZF側の位置で下方向YD側に屈曲している。そして、支持部本体38は、テーブル面16Aに対向し且つレンズ受け14よりも上方向YU側の位置で連結部36を保持し、さらにこの連結部36を介してフレーム当接部34を保持している。これにより、支持部本体38がテーブル16(テーブル面16A)のZ方向の移動の妨げになることが防止される。
支持部本体38には、フレーム移動部42が接続されている。フレーム移動部42は、例えばモータ及び駆動ギヤ等で構成されており、矢印AZ,AX(図4の符号4A参照)に示すように、支持部本体38を介してフレーム支持部18を一体にZ方向及びX方向に移動させる。これにより、フレーム支持部18に支持されている眼鏡フレーム101をZ方向及びX方向に移動させることができる。従って、フレーム移動部42は、自動測定モード時において、測定部12に対する眼鏡レンズ102のアライメントを自動で行うことができる。また、フレーム移動部42による眼鏡フレーム101のX方向の移動範囲は、眼鏡フレーム101の平均的な光学中心間距離(OCD)よりも十分に大きく設定されているので、左右の眼鏡レンズ102ごとのアライメントを自動且つ連続して実行できる。
連結部36及びフレーム当接部34は、レンズ押え20が眼鏡レンズ102から離間している押圧解除状態において、フレーム付勢部40の付勢力により、レンズ受け14の上面よりも上方向YU側に位置する。このため、レンズ受け14がフレーム当接部34等の移動の妨げになることが防止される。
なお、フレーム移動部42は、手動測定モード時においては、フレーム支持部18のZ方向及びX方向の自由な移動を許容する。このため、検者は、手動測定モード時にはフレーム支持部18を手作業でZ方向及びX方向に移動させることで、測定部12に対する眼鏡レンズ102のアライメントを手動で行うことができる。
[テーブル及びテーブル面]
図8は、テーブル16のテーブル面16Aの作用を説明するための説明図である。既述の挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力は、フレーム移動部42によるアライメント完了後で且つレンズ押え20による測定対象の眼鏡レンズ102の押圧前に弱挟持状態に切り替えられる。これはレンズ押え20による押圧時に、測定対象の眼鏡レンズ102がレンズ受け14の上面に当接するように、眼鏡フレーム101の姿勢を変位させるためである。
この際に、図8の符号8Aに示すように、眼鏡フレーム101がY方向(測定光軸ML)に平行な回転軸を中心として回転すると、この眼鏡フレーム101はレンズ特性測定装置10の基準Z座標軸(XY面内)に対して非平行になるので、眼鏡レンズ102の乱視軸角度及びプリズムベース角度などが正しく測定できない。
そこで、本実施形態では、図8の符号8Bに示すように、テーブル16のテーブル面16Aを、フレーム支持部18に支持されている眼鏡フレーム101に当接させる。テーブル面16Aは、眼鏡フレーム101に対してその後方向ZR側に対向する位置に設けられている。また、テーブル16は、眼鏡レンズ102の縦幅(Z方向の幅)が異なる各種の眼鏡フレーム101に対応するため、Z方向に移動自在である。さらに、テーブル16には、テーブル面16Aをその前方向ZF側に押圧(付勢)するテーブル押圧部44(本発明の押圧部に相当)が接続されている。
テーブル押圧部44は、例えばモータ及び駆動ギヤにより構成、或いはバネ部材により構成され、テーブル16のテーブル面16Aをその前方向ZFへ押圧(付勢)する。この押圧により、テーブル面16Aが前方向ZF側に移動して眼鏡フレーム101の左右のリム104の下端部(後方向ZR側の端部)に当接する。テーブル面16AはZ方向に対し垂直(X方向に平行)であるので、このテーブル面16Aが左右のリム104の下端部に当接することにより、既述の基準X座標軸に対する眼鏡フレーム101の回転が規制され、眼鏡フレーム101の左右方向がX方向(XY面)に対して平行になる。
テーブル押圧部44がテーブル16のテーブル面16Aをその前方向ZF側へ押圧(付勢)する押圧力Ftは、既述のフレーム移動部42がフレーム支持部18をその後方向ZRに移動させる力よりも小さく設定されている。これにより、テーブル押圧部44によるテーブル16の前方向ZF側への押圧が、フレーム移動部42による眼鏡フレーム101の後方向ZR側への移動を妨げることが防止される。また、フレーム移動部42により眼鏡フレーム101をZ方向に前後移動させた場合でも、眼鏡フレーム101に追従してテーブル16も前後移動するため、左右のリム104の下端部へのテーブル面16Aの当接が維持される。
さらに、テーブル押圧部44は、測定対象の眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了すると、テーブル16をその後方向ZRに移動させる(図11参照)。これにより、テーブル面16Aによる眼鏡フレーム101の押圧が解除され、測定対象の左右の眼鏡レンズ102の切り替え、或いはフレーム支持部18からの眼鏡フレーム101の取り外しを容易に行うことができる。
なお、本実施形態ではフルリムタイプの眼鏡フレーム101を例として挙げているので、テーブル面16Aは左右のリム104の下端部を介して眼鏡レンズ102の外周部に間接的に当接しているが、レンズ特性測定装置10は他のタイプの眼鏡フレーム101にも対応可能である。例えば、眼鏡フレーム101がハーフリムタイプである場合、テーブル面16Aは眼鏡レンズ102を保持するピアノ線を介して眼鏡レンズ102の外周部に間接的に当接する。また、眼鏡フレーム101がツーポイントタイプである場合、テーブル面16Aは眼鏡レンズ102に外周部に直接的に当接する。このようにテーブル面16Aは、眼鏡フレーム101の種類に応じて、眼鏡レンズ102の外周部に直接的又は間接的に当接する。
[レンズ押え]
図9の符号9Aはレンズ押え20の上面図であり、符号9Bはレンズ押え20の正面図である。図10はレンズ押え20の側面図である。
図9及び図10に示すように、レンズ押え20は、押え駆動部46よりY方向に移動自在に保持されている。この押え駆動部46は、例えばモータ及び駆動ギヤ等により構成されており、測定部12に対する測定対象の眼鏡レンズ102のアライメント後、レンズ押え20をその下方向YDに押圧力Frで押圧(付勢)しながら移動させる。この押圧力Frは、フレーム付勢部40の付勢力よりも大きい値に設定されている。これにより、眼鏡フレーム101を介してフレーム当接部34に下方向YD側の押圧力Frが加えられるので、連結部36がフレーム付勢部40の付勢力に抗して曲げ変形され、フレーム当接部34が回転軸JXを中心として下方向YD側に回転する。その結果、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101の位置が下方向YD側に変位する。
そして、押え駆動部46によるレンズ押え20の押圧継続により、測定対象の眼鏡レンズ102がその裏面側からレンズ受け14の上面に配置され、さらにレンズ押え20によって眼鏡レンズ102がレンズ受け14に押さえ付けられて固定される。
この際に、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力が弱挟持状態に切り替えられているので、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように姿勢を変位する(図7参照)。また同様に、フレーム当接部34は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように、軸周り方向RZに回転する。これにより、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面の接平面と測定光軸MLが直交(略直交を含む)し、且つ測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0と測定光軸MLとが一致(略一致を含む)する。
図11の符号11Aは、眼鏡レンズ102の押圧解除後のレンズ押え20の上面図であり、符号11Bは押圧解除後のレンズ押え20の正面図である。図12は、眼鏡レンズ102の押圧解除後のレンズ押え20の側面図である。図11及び図12に示すように、押え駆動部46は、後述の眼鏡レンズ102の光学特性の測定完了後、レンズ押え20を上方向YUに移動させることにより、レンズ押え20による眼鏡レンズ102の押圧を解除する。
レンズ押え20による押圧が解除されると、フレーム付勢部40による付勢力により連結部36がZ方向に平行な姿勢に復元され、これに伴いフレーム当接部34及び眼鏡フレーム101が上方向YU側に変位する。これにより、フレーム当接部34の位置がレンズ受け14の上面よりも上方向YU側に変位する。また、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101の軸周り方向RZの姿勢が、レンズ押え20による押圧前の姿勢に復元される。
このようにレンズ押え20による押圧を解除することで、フレーム当接部34がレンズ受け14よりも上方向YU側に位置する。また、既述の通り、テーブル押圧部44は、眼鏡レンズ102の光学特性の測定後、テーブル面16Aをその後方向ZR側に退避させている。このため、光学特性の測定を行う左右の眼鏡レンズ102の切り替えを、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101のX方向への水平移動のみで容易に行うことができる。
[光源部及び測定部]
図13は、光源部22及び測定部12の概略図である。なお、図13では、光源部22及び測定部12として、眼鏡レンズ102の広域の光学特性を測定可能なタイプを例示しているが、眼鏡レンズ102の一部の領域の光学特性をスポット的に測定するタイプが設けられていてもよい。図13に示すように、光源部22は、発光ダイオード(light emitting diode:LED)である第1LED51及び第2LED52と、ダイクロイックミラー53と、ミラー54と、コリメータ55と、を備える。
第1LED51は、可視波長域の光(例えば緑色光)を測定光L1としてダイクロイックミラー53に向けて出射する。また、第2LED52は、所定の赤外波長域の光を測定光L2としてダイクロイックミラー53に向けて出射する。
ダイクロイックミラー53は、可視波長域の光を反射し、且つ赤外波長域の光を透過する光学特性を有している。このため、ダイクロイックミラー53は、第1LED51から入射した測定光L1をミラー54に向けて反射し、且つ第2LED52から入射した測定光L2をそのまま透過してミラー54に向けて出射する。
ミラー54は、ダイクロイックミラー53から入射した測定光L1,L2を、コリメータ55に向けて反射する。コリメータ55は、ミラー54から入射した測定光L1,L2をそれぞれ平行光とした後、レンズ受け14の上面に配置されている眼鏡レンズ102に向けて出射する。これにより、測定光L1,L2は、眼鏡レンズ102及びレンズ受け14の中空部を順次通過して測定部12に入射する。
測定部12は、カバーガラス60と、ハルトマンプレート61(ピンホールアレイともいう)と、スクリーン62と、フィールドレンズ63と、ミラー64と、結像レンズ65と、CCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型の撮像素子66と、を備える。
カバーガラス60の上面にはレンズ受け14が立設されている。このカバーガラス60は、眼鏡レンズ102及び円筒状のレンズ受け14の内外を経て入射した測定光L1,L2を、そのままハルトマンプレート61に入射させる。
図14は、ハルトマンプレート61の上面図である。図14に示すように、ハルトマンプレート61は、例えばガラス基板にクロム等を蒸着させた遮光部材である。このハルトマンプレート61には、その中心位置61Oを囲む仮想的な矩形枠の四隅位置にそれぞれ形成された4個のピンホール61Aの他に、多数のピンホール61BがX方向及びZ方向にそれぞれ等間隔でマトリクス状に形成されている。なお、ハルトマンプレート61内の各ピンホール61A,61Bの配列方向及び配列パターンは特に限定はされず、例えば円周パターン或いは放射パターン等で配列されていてもよい。
各ピンホール61Bは、測定光L1,L2の中で測定光L1を選択的に透過する不図示の誘電体フィルタを備える。一方、各ピンホール61Aは、誘電体フィルタを備えないので測定光L1,L2の双方を透過可能であるが、各ピンホール61Aを利用する場合には第2LED52を点灯し且つ第1LED51は消灯されている。そして、各ピンホール61Aのみを透過した測定光L2と、各ピンホール61A,61Bを透過した測定光L1とはそれぞれスクリーン62に投影される。これにより、各ピンホール61Aを透過した測定光L2に基づき、スクリーン62に4輝点像が投影され、且つ各ピンホール61A,61Bを透過した測定光L1に基づき、スクリーン62に多輝点像が投影される。
スクリーン62に投影された4輝点像及び多輝点像は、フィールドレンズ63、ミラー64、及び結像レンズ65を経て撮像素子66の撮像面に結像され、撮像素子66により撮像される。これにより、撮像素子66から統括制御部70(図16参照)に向けて、4輝点像の撮像信号と、多輝点像の撮像信号とが出力される。
4輝点像の撮像信号を公知の手法で解析することで、スクリーン62上の4輝点像の位置と、眼鏡レンズ102の概略の光学特性と、を検出可能である。また、4輝点像の撮像信号を公知の手法で解析することで、眼鏡レンズ102から各ピンホール61Aをそれぞれ透過した測定光L2の光束の傾きが得られるので、眼鏡レンズ102により集光される測定光L2の集光位置(結像位置)が求められる。これにより、眼鏡レンズ102の光学中心位置LC、すなわち光軸L0が求められるので、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0のZ方向及びX方向のアライメントを検出できる。
一方、多輝点像の撮像信号を公知の手法で解析することで、眼鏡レンズ102の光学特性(例えばバックフォーカスBf:図15参照)と、を検出可能である。なお、4輝点像の撮像信号の解析で得られた4輝点像の位置に基づき、多輝点像の撮像信号を公知の手法で解析することで、測定光L2を用いずに上述のアライメントの検出を行ってもよい。
図15は、眼鏡レンズ102の光学特性としてバックフォーカスBfの測定を示した説明図である。図15の符号15Aに示すように、ハルトマンプレート61の中心位置61O及び各ピンホール61Bの位置(例えば測定光軸MLからの距離)は公知である。また、ハルトマンプレート61からレンズ受け14の上面までのY方向の高さdと、ハルトマンプレート61からスクリーン62までのY方向の高さDとは、共に公知である。そして、スクリーン62上に投影される多輝点像の各点の位置(例えば測定光軸MLからの距離)は、多輝点像の撮像信号を解析することにより得られる。
既述の高さd及び高さDと、各ピンホール61Bの位置と、各ピンホール61Bにそれぞれ対応する多輝点像の各点の位置とに基づき、公知の解析法を用いることで眼鏡レンズ102のバックフォーカスBfが求められる。
図15の符号15Bは、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0がX方向(Z方向も同様)にΔxだけずれ、且つ眼鏡レンズ102がレンズ受け14に対して高さhだけ浮いている場合を示した比較例である。また、図15の符号15Cは、眼鏡レンズ102の光軸L0が測定光軸MLに対して傾いた状態で、眼鏡レンズ102がレンズ受け14に対して浮いている場合を示した比較例である。
図15の符号15B及び符号15Cのいずれの比較例においても、測定で得られる眼鏡レンズ102のバックフォーカスBfa,Bfbと、実際の眼鏡レンズ102のバックフォーカスBfとの間に誤差が生じる。このため、後述のように測定部12に対する眼鏡レンズ102のアライメントを正確に行い、且つレンズ押え20で眼鏡レンズ102をレンズ受け14に押さえ付けて固定する必要がある。
[統括制御部]
図16は、レンズ特性測定装置10の筐体内に設けられている統括制御部70の機能ブロック図である。図16に示すように、統括制御部70は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及びメモリ等から構成された演算回路であり、モニタ24の操作画面30等に入力された操作指示に基づきレンズ特性測定装置10の各部を統括制御する。
統括制御部70は、不図示のソフトウェアプログラムを実行することで、記憶部71、測定制御部72、フレーム移動制御部73、アライメント検出部74、テーブル押圧制御部75、レンズ押え制御部76、及び光学特性解析部77等として機能する。
記憶部71には、上述のソフトウェアプログラムの他、装置情報71Aが記憶されている。装置情報71Aは、眼鏡レンズ102の光学特性の解析及びアライメント検出に必要なレンズ特性測定装置10の各部の情報である。この装置情報71Aには、例えば、ハルトマンプレート61の中心位置61O及び各ピンホール61A、61Bの位置と、既述の図15に示した高さd及び高さDと、測定光軸MLの位置と、に関する情報が含まれる。
測定制御部72は、眼鏡レンズ102のアライメント及び光学特性測定を行う場合に、光源部22による測定光L1及び測定光L2の出射と、測定部12の撮像素子66によるスクリーン62に投影された4輝点像及び多輝点像の撮像と、を制御する。これにより、光源部22から測定光L1が出射された場合、各ピンホール61Bを透過した測定光L1に基づきスクリーン62上に投影された多輝点像が撮像素子66により撮像され、撮像素子66から多輝点像の撮像信号が統括制御部70へ出力される。また、光源部22から測定光L2が出射された場合、各ピンホール61Aを透過した測定光L2に基づきスクリーン62上に投影された4輝点像が撮像素子66により撮像され、撮像素子66から4輝点像の撮像信号が統括制御部70へ出力される。
フレーム移動制御部73は、フレーム移動部42を駆動して、フレーム支持部18をX方向及びZ方向に移動させる。最初にフレーム移動制御部73は、フレーム支持部18の位置を、左右の眼鏡レンズ102の中で測定対象の眼鏡レンズ102のアライメントを検出可能な位置まで移動させる。このアライメントを検出可能な位置とは、測定部12の上方向YU側の位置、すなわち光源部22から出射される測定光L1等が眼鏡レンズ102に入射する位置である。
具体的にはフレーム移動制御部73は、眼鏡フレーム101の平均的な光学中心間距離(OCD)と、フレーム支持部18(フレーム当接部34)の初期位置とに基づき、フレーム支持部18の移動方向及び移動量を決定する。例えば、平均的な光学中心間距離が64mmであり、初期位置が測定部12の上方向YU側の位置であり、測定対象の眼鏡レンズ102が右眼用である場合、フレーム移動制御部73は、フレーム移動部42を駆動して、フレーム支持部18を左方向XL側に32mmだけ移動させる。これにより、測定対象の眼鏡レンズ102が、後述のアライメント検出部74によるアライメント検出が可能な位置まで移動される。
次いで、フレーム移動制御部73は、後述のアライメント検出部74から入力されるアライメント検出結果に基づき、フレーム移動部42を駆動して、測定部12の測定光軸MLに測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0(光学中心位置LC)を一致させるアライメントを自動で行う。
そして、フレーム移動制御部73は、左右の眼鏡レンズ102の一方の光学測定が完了した後、他方の眼鏡レンズ102をアライメント検出可能な位置まで移動させる。例えば、眼鏡フレーム101の光学中心間距離が64mmであり、他方の眼鏡レンズ102が左眼用である場合、フレーム移動制御部73は、フレーム移動部42を駆動して、フレーム支持部18を右方向XR側に64mmだけ移動させる。この移動後、フレーム移動制御部73は既述のアライメントを行う。
なお、統括制御部70は、フレーム移動部42による眼鏡レンズ102の移動(アライメントを含む)が完了するまでの間は、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力を強挟持状態に切り替える。また、統括制御部70は、アライメント完了後からレンズ押え20による眼鏡レンズ102の押圧が解除されるまでの間は、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力を弱挟持状態に切り替える。
アライメント検出部74は、既述の測定部12と共に本発明のアライメント検出部を構成する。このアライメント検出部74は、測定部12の撮像素子66から入力される4輝点像の撮像信号を解析して、スクリーン62上に投影される4輝点像の各点の位置を検出する。そして、アライメント検出部74は、4輝点像の各点の位置の検出結果と、記憶部71に記憶されている装置情報71A(高さd、高さD、及び各ピンホール61Aの位置等)とに基づき、測定対象の眼鏡レンズ102の光学中心位置LC(光軸L0の位置)を求める。これにより、アライメント検出部74は、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0のZ方向及びX方向のアライメントを検出できる。
そして、アライメント検出部74は、アライメント検出結果をフレーム移動制御部73及びモニタ24に出力する。これにより、フレーム移動制御部73によるアライメント制御と、モニタ24によるマーク29(図1参照)の表示とが実施される。
テーブル押圧制御部75は、テーブル押圧部44によるテーブル16のテーブル面16Aの押圧を制御する。テーブル押圧制御部75は、例えば測定対象の眼鏡レンズ102がアライメント検出可能な位置まで移動されたタイミング(アライメント開始前のタイミング)で、テーブル押圧部44を制御して、テーブル16のテーブル面16Aを前方向ZF側に押圧して眼鏡フレーム101の左右のリム104の下端部に当接させる。なお、テーブル押圧制御部75は、左右のリム104に対するテーブル面16Aの当接を、眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了するまで継続させる。
そして、テーブル押圧制御部75は、眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了すると、テーブル押圧部44を制御して、テーブル16のテーブル面16Aをその後方向ZR側に移動させる。すなわち、眼鏡フレーム101からテーブル面16Aを退避させる。
レンズ押え制御部76は、押え駆動部46によるレンズ押え20の押圧を制御する。レンズ押え制御部76は、既述のアライメントが完了した場合、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20をその下方向YDに押圧力Frで押圧(付勢)しながら移動させる。これにより、眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿って配置されるように、眼鏡フレーム101のY方向位置及び姿勢を変位させながら、レンズ押え20によって眼鏡レンズ102をレンズ受け14に押さえ付けて固定できる。
また、レンズ押え制御部76は、測定対象の眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了した場合、押え駆動部46によるレンズ押え20の押圧を解除する。これにより、既述のフレーム付勢部40による付勢力等によって、眼鏡フレーム101のY方向位置及び姿勢が、レンズ押え20による押圧前の位置及び姿勢にそれぞれ復元される。
光学特性解析部77は、既述の測定部12と共に本発明の測定部を構成する。光学特性解析部77は、測定部12の撮像素子66から入力された多輝点像の撮像信号の解析結果(多輝点像の各点の位置)と、記憶部71に記憶されている装置情報71A(高さd、高さD、及び各ピンホール61Bの位置等)とに基づき、公知の解析法を用いて眼鏡レンズ102のバックフォーカスBf等の光学特性を演算する。光学特性解析部77は、眼鏡レンズ102の光学特性の測定結果をモニタ24に出力する。これにより、モニタ24の測定結果表示欄26(図1参照)に眼鏡レンズ102の光学特性の測定結果が表示される。
[レンズ特性測定装置の作用]
図17は、上記構成のレンズ特性測定装置10での左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、手動測定モードでの測定については公知技術であるので、ここでは自動測定モードでの測定について説明を行う。
図17に示すように、検者は眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106をフレーム当接部34に当接させることにより(図3参照)、フレーム支持部18に眼鏡フレーム101を支持させる(ステップS1)。
次いで、検者はモニタ24の操作画面30に自動測定モードでの測定開始操作を入力する(ステップS2)。この測定開始操作を受けて、統括制御部70は、不図示の駆動部を制御して、既述の図6の符号6Aに示したように挟持部34Bを前方向ZF側にスライド移動させることで、突き当て部34Aと挟持部34Bとによりブリッジ部105を挟持する。なお、この場合の挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力は、強挟持状態に設定されている。
ブリッジ部105の挟持後、フレーム移動制御部73は、眼鏡フレーム101の平均的な光学中心間距離とフレーム支持部18の初期位置とに基づき、フレーム移動部42を制御して、左右の眼鏡レンズ102の中で測定対象の眼鏡レンズ102のアライメントを検出可能な位置までフレーム支持部18を移動させる(ステップS3)。
このフレーム支持部18の移動が完了すると、テーブル押圧制御部75は、テーブル押圧部44を制御して、テーブル16を押圧力Ftで前方向ZF側に押圧することにより、眼鏡フレーム101の左右のリム104の下端部にテーブル面16Aを当接させる(ステップS4)。これにより、既述の基準X座標軸(X方向)に対する眼鏡フレーム101の回転が規制され、眼鏡フレーム101の左右方向がX方向に対して平行になるので、眼鏡レンズ102の乱視軸角度及びプリズムベース角度等を正しく測定できる。
また、押圧力Ftを、フレーム移動部42がフレーム支持部18をその後方向ZRに移動させる力よりも小さく設定しているので、テーブル面16Aを眼鏡フレーム101と一体にZ方向に移動させることができる。これにより、左右のリム104の下端部へのテーブル面16Aの当接を維持できる。
そして、測定制御部72は、光源部22から測定光L2を測定対象の眼鏡レンズ102に入射させる。この測定光L2は眼鏡レンズ102及び測定部12のハルトマンプレート61等を通してスクリーン62上に投影される。また、測定制御部72は、スクリーン62上に投影された測定光L2の4輝点画像の撮像を撮像素子66に実行させ、撮像素子66から統括制御部70のアライメント検出部74へ4輝点画像の撮像信号を出力する。
アライメント検出部74は、撮像素子66から入力された撮像信号と、記憶部71に記憶されている装置情報71Aとに基づき、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0のZ方向及びX方向のアライメントを検出し、このアライメント検出結果をフレーム移動制御部73及びモニタ24に出力する(ステップS5)。なお、モニタ24は、アライメント検出結果に対応するマーク29と、既知の測定光軸MLの位置を示すマーク28とを表示する。
次いで、フレーム移動制御部73は、アライメント検出部74から入力されたアライメント検出結果に基づき、フレーム移動部42を駆動して、フレーム支持部18をX方向及びZ方向の少なくとも一方に移動させることで、測定部12の測定光軸MLに対して測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0を一致させるアライメントを自動で行う(ステップS6)。
このアライメント完了後、統括制御部70は、不図示の駆動部を制御して、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力を強挟持状態から弱挟持状態に変更する。これにより、フレーム支持部18に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢変位が可能となる。
次いで、レンズ押え制御部76は、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20をその下方向YDに押圧しながら移動させる。これにより、レンズ押え20の各レンズ押えピン20Aにより、測定対象の眼鏡レンズ102の表面がその下方向YD側に向けて、フレーム付勢部40の付勢力よりも大きい押圧力Frで押圧される(ステップS7)。その結果、既述の図9及び図10に示すように、フレーム支持部18の連結部36がフレーム付勢部40の付勢力に抗して曲げ変形され、フレーム当接部34及び眼鏡フレーム101の位置が下方向YD側に変位する。
眼鏡フレーム101等が下方向YD側に変位すると、測定対象の眼鏡レンズ102がその裏面側からレンズ受け14の上面に接触する。さらにこの下方向YD側への変位が継続すると、フレーム当接部34に支持されている眼鏡フレーム101は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように姿勢をヨー方向(図7の符号7B参照)及びピッチ方向(図7の符号7C参照)に変位する。
また同時にフレーム当接部34は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように、軸周り方向RZ(ロール方向:図7の符号7A参照)に回転する。その結果、測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0が測定光軸MLに対して平行(略平行)、すなわち測定光軸MLが眼鏡レンズ102の裏面の接平面に垂直(略垂直)となる。これにより、測定対象の眼鏡レンズ102がレンズ受け14の上面に配置され、さらにレンズ押え20によって測定対象の眼鏡レンズ102がレンズ受け14に押さえ付けられて固定される。
レンズ受け14への眼鏡レンズ102の固定が完了すると、測定制御部72は、光源部22から測定光L2を測定対象の眼鏡レンズ102に入射させる。この測定光L2は眼鏡レンズ102及び測定部12のハルトマンプレート61等を通してスクリーン62上に投影される。また、測定制御部72は、スクリーン62上に投影された測定光L2の4輝点画像の撮像を撮像素子66に実行させ、撮像素子66から光学特性解析部77へ4輝点画像の撮像信号を出力させる。
次いで、測定制御部72は、光源部22から測定光L1を測定対象の眼鏡レンズ102に入射させる。これにより、既述の通り撮像素子66によりスクリーン62上に投影された測定光L1の多輝点画像の撮像が実行される。そして、撮像素子66から光学特性解析部77へ多輝点画像の撮像信号が出力される。
光学特性解析部77は、撮像素子66から入力された4輝点画像の撮像信号を解析して、スクリーン62上の4輝点像の位置と、眼鏡レンズ102の概略の光学特性とを得る。次いで、光学特性解析部77は、撮像素子66から入力された多輝点像の撮像信号の解析結果と、記憶部71に記憶されている装置情報71Aとに基づき、公知の解析法を用いて眼鏡レンズ102のバックフォーカスBf等の光学特性を演算する。これにより、左右の眼鏡レンズ102の一方の光学特性の測定が完了する(ステップS8)。
眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了すると、既述の図11及び図12に示したように、レンズ押え制御部76は、押え駆動部46によるレンズ押え20の押圧を解除する(ステップS9)。これにより、既述のフレーム付勢部40による付勢力と、フレーム当接部34の軸周り方向RZの姿勢復元力により、眼鏡フレーム101のY方向位置及び姿勢が、レンズ押え20による押圧前の位置及び姿勢にそれぞれ復元される。
また、テーブル押圧制御部75は、テーブル押圧部44を制御して、既述の図11及び図12に示したように、テーブル16をその後方向ZR側に移動させることにより、眼鏡フレーム101からテーブル面16Aを退避させる(ステップS10)。
次いで、他方(残り)の眼鏡レンズ102の光学測定処理が開始される(ステップS11でNO)。最初に、統括制御部70は、不図示の駆動部を制御して、挟持部34Bによるブリッジ部105の挟持力を、弱挟持状態から強挟持状態に変更する。次いで、フレーム移動制御部73は、既述の光学中心間距離とフレーム支持部18の初期位置とに基づき、フレーム移動部42を制御して、他方の眼鏡レンズ102のアライメントを検出可能な位置までフレーム支持部18を移動させる(ステップS3)。
以下、上述のステップS4からステップS9までの処理が繰り返し実行されることで、他方の眼鏡レンズ102の光学特性の測定が完了する(ステップS11でYES)。
[本実施形態の効果]
以上のように本実施形態では、フレーム支持部18の移動(アライメント)、テーブル面16Aの眼鏡フレーム101への当接、及びレンズ押え20による押圧等を自動で行うことができるので、左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定を自動で行うことができる。また、左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定を行う際に、テーブル面16Aを左右のリム104の下端部に当接させているので、図8の符号8Aに示したような眼鏡フレーム101の回転発生が防止される。これにより、眼鏡レンズ102の光学特性の測定を正確に行うことができる。その結果、本実施形態のレンズ特性測定装置10では、左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定を自動且つ正確に行うことができる。
[第2実施形態のレンズ特性測定装置]
次に、本発明の第2実施形態のレンズ特性測定装置10について説明を行う。上記第1実施形態では、測定対象の眼鏡レンズ102のアライメント後に、この眼鏡レンズ102をレンズ押え20でレンズ受け14に押さえ付けて固定している。この際に、左右の眼鏡レンズ102の光軸L0は必ずしも測定光軸ML(Y方向)に対して平行でない。このため、レンズ押え20の押圧を受けて、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように眼鏡フレーム101の姿勢が変位する場合(図19の符号19Cから符号19D参照)、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0のずれが許容範囲を超えるおそれがある。
そこで、第2実施形態のレンズ特性測定装置10では、測定対象の眼鏡レンズ102をレンズ押え20でレンズ受け14に押さえ付けて固定した後、再度のアライメント検出を行い、このアライメント検出結果に基づき必要に応じてアライメントを再度行う。
なお、第2実施形態のレンズ特性測定装置10は、上記第1実施形態のレンズ特性測定装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。ただし、第2実施形態のレンズ押え制御部76は、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20が測定対象の眼鏡レンズ102を押圧する押圧力Frを、第1押圧力Fr1と、この第1押圧力Fr1よりも小さい第2押圧力Fr2との2段階に変更可能である。
図18は、第2実施形態のレンズ特性測定装置10での左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定処理の流れ、特に眼鏡レンズ102のアライメントからレンズ受け14への配置及び固定までの流れを示したフローチャートである。図19は、図18のフローチャートに示した各ステップを説明するための説明図である。なお、図18のステップS1からステップS4までは、既述の図17に示した第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
図18のステップS5及び図19の符号19Aに示すように、アライメント検出部74は、既述のアライメント検出を行い、このアライメント検出結果をフレーム移動制御部73等に出力する。この際に、測定対象の眼鏡レンズ102は、レンズ受け14の上面に対して浮いており、さらに光軸L0が測定光軸MLに対して傾いた状態で且つX方向(Z方向でも可)にずれているものとする。
図18のステップS6及び図19の符号19Bに示すように、フレーム移動制御部73は、アライメント検出部74から入力されたアライメント検出結果に基づき、フレーム移動部42を駆動して、測定部12の測定光軸MLに測定対象の眼鏡レンズ102の見かけ上の光軸L0を一致させるアライメントを自動で行う。なお、見かけ上の光軸L0を一致させるとは、測定光L1の集光位置を測定光軸MLに一致させることである。
図18のステップS7及び図19の符号19C,19Dに示すように、レンズ押え制御部76は、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20により測定対象の眼鏡レンズ102の表面をその下方向YD側に向けて、フレーム付勢部40の付勢力よりも大きい第1押圧力Fr1で押圧する。これにより、眼鏡フレーム101等が下方向YD側に変位し、測定対象の眼鏡レンズ102がその裏面側からレンズ受け14の上面に接触する(符号19Cの点線円C1参照)。
そして、この下方向YD側への変位が継続すると、符号19Cの矢印AR1に示すように、フレーム支持部18に支持されている眼鏡フレーム101は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように姿勢を変位する。また同時にフレーム当接部34は、測定対象の眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように、軸周り方向RZに回転する。これにより、符号19Dに示すように、測定対象の眼鏡レンズ102がレンズ受け14の上面に配置され、さらにレンズ押え20によって眼鏡レンズ102がレンズ受け14に固定される。
図18のステップS7A及び図19の符号19Dに示すように、レンズ受け14への眼鏡レンズ102の固定が完了すると、測定制御部72は、光源部22から測定対象の眼鏡レンズ102への測定光L1の入射と、測定部12の撮像素子66による多輝点画像の撮像及びその撮像信号の出力と、を再度実行させる。そして、アライメント検出部74は、既述のアライメント検出を再度行い、このアライメント検出結果をフレーム移動制御部73等に出力する。
図18のステップS7B及び図19の符号19Dに示すように、統括制御部70は、再度のアライメント検出結果に基づき、測定部12の測定光軸MLに対する測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0のずれが予め定めた許容範囲内である場合、既述の図17に示した第1実施形態と同様にステップS8に進む(ステップS7BでNO)。
一方、統括制御部70は、測定部12の測定光軸MLに対する測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0のずれが予め定めた許容範囲外である場合(ステップS7BでYES)、測定部12の測定光軸MLに対する眼鏡レンズ102の光軸L0のZ方向及びX方向のアライメントを再度実行させる。
図18のステップS7C及び図19の符号19Eに示すように、最初にレンズ押え制御部76は、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20による測定対象の眼鏡レンズ102の押圧力を第1押圧力Fr1から第2押圧力Fr2に減少させる。これにより、レンズ受け14とレンズ押え20との間に挟持固定されている測定対象の眼鏡レンズ102を、そのレンズ裏面をレンズ受け14の上面に略沿わせた状態で、X方向及びZ方向に水平移動させることができる。
図18のステップS7D及び図19の符号19Eに示すように、フレーム移動制御部73は、アライメント検出部74から再度入力されたアライメント検出結果に基づき、フレーム移動部42を駆動して、測定部12の測定光軸MLに測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0を一致させるアライメントを再度自動で行う。
図18のステップS7Eに示すように、再度のアライメントが完了すると、レンズ押え制御部76は、押え駆動部46を制御して、レンズ押え20による眼鏡レンズ102の押圧力を第2押圧力Fr2から第1押圧力Fr1に戻す。
ステップS8以降は、上記第1実施形態(図17参照)と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
以上のように第2実施形態のレンズ特性測定装置10では、測定対象の眼鏡レンズ102をレンズ押え20でレンズ受け14に押さえ付けて一旦固定した後、再度のアライメント検出及びレンズ受け14に略沿わせた状態でアライメントを行うことにより、測定部12の測定光軸MLに対して測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0をより高精度に一致させることができる。その結果、左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定をより正確に行うことができる。また、再アライメント中のレンズ押え20による押圧力を弱い第2押圧力Fr2に変更することで、眼鏡レンズ102の移動がスムーズになり、レンズ受け14等との摩擦により、眼鏡レンズ102の表裏面への傷つきを回避することができる。
[第3実施形態のレンズ特性測定装置]
図20の符号PAは、第3実施形態のレンズ特性測定装置10のフレーム支持部18の上面図であり、符号PBはフレーム支持部18の正面図である。上記各実施形態のフレーム支持部18では、フレーム当接部34が連結部36に対して軸周り方向RZ(図4参照)に回転自在に保持されている。これに対して、図20に示すように、第3実施形態のフレーム支持部18では、フレーム当接部85が連結部36に対して軸周り方向RZに回転可能に保持されていない。
なお、第3実施形態のレンズ特性測定装置10は、フレーム支持部18がフレーム当接部85を備える点を除けば上記第1実施形態のレンズ特性測定装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
フレーム当接部85は、X方向に垂直な略柱形状を有している。このフレーム当接部85は、既述の連結部36及び支持部本体38によってテーブル面16Aの前方向ZF側の位置において、軸周り方向RZ(図4参照)に回転不能に保持されている。このフレーム当接部85は、その外周面が眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106に当接することにより、眼鏡フレーム101を支持する。なお、フレーム当接部85の外周面には、第1実施形態のフレーム当接部34と同様に、ブリッジ部105に当接する突き当て部85Aと、この突き当て部85Aとの間でブリッジ部105を挟持する挟持部85Bと、が設けられている。
フレーム当接部85の外周面は、少なくとも眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106と当接する領域が曲面状に形成されている。このため、挟持部85Bが弱挟持状態に切り替えられている場合、フレーム当接部85に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢を軸周り方向RZ(図4参照)に自由に変位可能である。これにより、レンズ押え20で測定対象の眼鏡レンズ102の表面側を下方向YD側に押圧した場合、この眼鏡レンズ102の裏面がレンズ受け14の上面に沿うように、フレーム当接部85に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢を軸周り方向RZ(ロール方向)に変位可能である。なお、第1実施形態と同様に、フレーム当接部85に支持されている眼鏡フレーム101の姿勢は、ヨー方向及びピッチ方向(図7参照)にも変位可能である。
このように第3実施形態のレンズ特性測定装置10では、フレーム当接部85の外周面を曲面状に形成することで、フレーム当接部85をその軸周り方向RZに回転自在な構成にしなくとも、眼鏡フレーム101の姿勢がその軸周り方向RZに変位自在となる。その結果、上記第1実施形態と同様に、測定光軸MLに対して測定対象の眼鏡レンズ102の光軸L0を平行、すなわち眼鏡レンズ102の裏面の接平面を測定光軸MLに垂直にすることができる。
[フレーム支持部の変形例]
図21は、フレーム支持部18の変形例の側面図である。上記各実施形態では、フレーム支持部18の連結部36を曲げ変形させることにより、フレーム当接部34の位置をY方向に変位可能にしているが、例えば図21に示すように、フレーム支持部18を一体にY方向に移動自在に設けてもよい。この場合、フレーム付勢部40は、フレーム支持部18を上方向YU側に付勢する。これにより、フレーム付勢部40の付勢力に抗する力で、レンズ押え20によりフレーム支持部18を下方向YD側に押圧することで眼鏡フレーム101等が下方向YD側に変位し、この押圧を解除することで眼鏡フレーム101等が元の位置に復元する。
なお、上記各実施形態では、フレーム支持部18がフレーム当接部34,85と連結部36と支持部本体38とにより構成されているが、フレーム支持部18が1つの部品で構成されていてもよい。
また、フレーム支持部18の形状は、図3等に示した形状に限定されるものではなく、テーブル面16Aによる眼鏡フレーム101の押圧を妨げることなくこの眼鏡フレーム101をX方向及びZ方向に移動可能な形状であれば特に限定されない。さらに、連結部36に回転軸JXを設ける代わりに支持部本体38に回転軸JXを設けてもよい。
また、上記各実施形態では、フレーム支持部18のフレーム当接部34,85が眼鏡フレーム101のブリッジ部105及び鼻当てパッド部106の双方に当接しているが、双方のいずれか一方に当接する形状であってもよい。
[生地レンズの光学特性の測定]
上記各実施形態では、眼鏡フレーム101の左右の眼鏡レンズ102の光学特性の測定をレンズ特性測定装置10で自動的に行う場合について説明したが、眼鏡フレーム101に装着前又は未加工の生地レンズ102Aの光学特性の測定をレンズ特性測定装置10で行うことができる。なお、従来と同様に、眼鏡フレーム101を手動でアライメントして左右の眼鏡レンズ102の光学特性を測定することも可能である。
図22の符号QAは、生地レンズ102Aの光学特性の測定を行うレンズ特性測定装置10の測定部12の上面図であり、符号QBは測定部12の正面図である。図23は、生地レンズ102Aの光学特性の測定を行うレンズ特性測定装置10の測定部12の側面図である。なお、図22では上記第3実施形態のレンズ特性測定装置10で生地レンズ102Aの光学特性を測定する場合を例に挙げているが、上記第1実施形態及び第2実施形態のレンズ特性測定装置10でも同様に生地レンズ102Aの光学特性を測定可能である。
図22及び図23に示すように、レンズ特性測定装置10による生地レンズ102Aの光学特性の測定は手動測定モードで実施される。この場合、生地レンズ102Aのレンズ受け14への配置、測定部12の測定光軸MLに対する生地レンズ102Aの光軸L0のアライメント、生地レンズ102Aに対するテーブル面16Aの当接、及びレンズ押え20による生地レンズ102Aの固定等を、検者が手作業で行う。
また、この場合、フレーム支持部18は検者の手作業の妨げにならないようにX方向の側方に退避される。この際に、フレーム支持部18は、小型(細形状)であるので、退避させたフレーム支持部18が検者の手作業の妨げとなることが防止される。
[その他]
上記各実施形態では、左右の眼鏡レンズ102の光学特性として主としてバックフォーカスBfを測定する場合について説明したが、累進焦点レンズ自動判別、紫外光透過率、円柱屈折力、及び乱視軸角度等の各種光学特性の測定にも本発明を適用できる。
上記各実施形態のレンズ特性測定装置10の各部については、上述した各実施形態で説明したものに限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。