JP2019059824A - 増感色素、光電変換用増感色素およびそれを用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池 - Google Patents

増感色素、光電変換用増感色素およびそれを用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】感光波長域を広げることができる新規構造の増感色素、該増感色素を効率よく電流を取り出すことのできる光電変換用増感色素として用いた光電変換が良好な光電変換素子並びに色素増感太陽電池の提供。【解決手段】下記一般式(1)で表される増感色素。(式中、R1及びR2は夫々独立にアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基等;R3〜R8は夫々独立にH、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等;R1とR2、R4とR5、R7とR8は夫々互いに結合し環を形成してもよい;mは0〜4の整数;mが2〜4の場合、複数存在するR7及びR8は夫々同一でも異なってもよい;Xは、1価基)【選択図】図1

Description

本発明は色素増感型の光電変換素子に用いられる増感色素と、該増感色素を用いた光電変換素子ならびに色素増感太陽電池に関する。
近年、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料から生じる二酸化炭素が温室効果ガスとして地球温暖化や、地球温暖化による環境破壊を引き起こしている。人口増加に伴う世界的なエネルギー消費の増大により、地球規模での環境破壊がますます進行することが懸念されている。このような状況において、化石燃料とは異なり枯渇する恐れの少ない再生可能エネルギーの利用が精力的に検討されている。化石燃料を消費する火力発電や原子力発電に替わって、地球温暖化防止に貢献できる次世代の主要な再生可能エネルギーによる発電方式として、太陽光発電を中心とする太陽エネルギーの利用は、その重要性がますます高まっている。腕時計や携帯小型電子機器の発電・充電用から、光熱費の節約可能な住宅、ビルや休耕地での小規模発電施設に至るまで、様々な分野での開発や応用が進んでいる。
太陽光発電の手段としては、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換素子が太陽電池に使用されている。太陽電池としては、単結晶、多結晶、アモルファスのシリコン系、ガリウムヒ素、硫化カドミウム、セレン化インジウム銅などの化合物半導体系といった無機系太陽電池が主に研究され、現在、住宅や小規模発電施設で広く実用化されている。しかし、これらの無機系太陽電池は製造コストが高いことや、原材料の確保が困難であることなどの問題点を抱えている。
その一方で、無機系太陽電池と比べると光電変換効率や耐久性はまだ格段に低いものの、様々な有機材料を用いた有機薄膜太陽電池や色素増感太陽電池などの有機系太陽電池も開発されている。有機系太陽電池は、製造コスト、大面積化、軽量化、薄膜化、透光性、吸収波長の広範囲化、フレキシブル化、原材料確保などの点で、無機系太陽電池より有利と言われている。
その中でも、グレッツェルらにより提案された色素増感太陽電池(非特許文献1参照)は、半導体として多孔質酸化チタンからなる薄膜電極、感光波長域を広げるために半導体表面に吸着させたルテニウム錯体色素、ヨウ素を含む電解液から構成される湿式太陽電池であり、アモルファスシリコン太陽電池に匹敵する高い光電変換効率が期待されている。色素増感太陽電池は、他の太陽電池に比べて素子構造が簡単で、大型の製造設備がなくても製造できることから、次世代型太陽電池として注目を集めている。
色素増感太陽電池に用いられる増感色素としては、光電変換効率の点からは、ルテニウム錯体が最も優位と考えられている。しかしながら、ルテニウムは貴金属であるため製造コスト面で不利であり、かつ、実用化されて大量のルテニウム錯体が必要になった場合には、資源的な制約も問題となる。そのため、増感色素として、ルテニウムなどの貴金属を含まない有機色素を用いた色素増感太陽電池の研究が盛んに行われている。貴金属を含まない有機色素としては、クマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素、ベンゾチオフェン系色素などが報告されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
また、酸化チタンなどの半導体粒子表面に吸着し、かつ、増感色素で発生した励起電子を効率よく半導体に運搬するための電子吸引部として、インダノン構造を有する化合物も提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。しかしながら、これらの有機色素は、安価で吸光係数が大きく、かつ構造の多様性により吸収特性の制御が可能といった長所を有するものの、光電変換効率および経時安定性の面で、要求される特性を十分に満足するものが得られていないのが現状である。
特開平11−214730号公報 特開平11−238905号公報 特開2007−287694号公報 特開2009−266633号公報 特開2009−277527号公報 特開2011−207784号公報 特開2012−51854号公報 特開2016−6811号公報
「Nature」、(イギリス)、1991年、第353巻、p.737―740
本発明が解決しようとする課題は、感光波長域を広げることができる新規構造の増感色素を提供し、さらに該増感色素を効率よく電流を取り出すことができる光電変換用増感色素として用いた、光電変換が良好な光電変換素子ならびに色素増感太陽電池を提供することである。
上記課題を解決するため、発明者らは増感色素の光電変換特性向上について鋭意検討した結果、特定の構造を有する増感色素を光電変換用増感色素として用いることにより、高効率かつ高耐久性の光電変換素子が得られることを見出した。すなわち本発明は、以下の内容で構成されている。
1.下記一般式(1)で表される増感色素。
Figure 2019059824
[式中、RおよびRは、それぞれ独立に、
置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、
または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基を表し、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、
または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、
とR、RとR、およびRとRは、それぞれ互いに結合し、環を形成していてもよい。
mは0〜4の整数を表し、mが2〜4の整数である場合、複数存在するRおよびRは、そのR同士およびR同士がそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
Xは、1価基を表す。]
2.前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X1)で表される1価基である増感色素。
Figure 2019059824
[式中、RおよびR10は水素原子または酸性基を表し、少なくともRまたはR10のいずれか1つは酸性基であるものとする。]
3.前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X2)で表される1価基である増感色素。
Figure 2019059824
[式中、R11は酸性基を表す。]
4.前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X3)で表される1価基である増感色素。
Figure 2019059824
[式中、LおよびMは、それぞれ独立に、1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。ただし、少なくともLまたはMのいずれか1つは、1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるものとする。pは0〜2の整数を表し、pが2である場合、複数存在するLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
5.前記一般式(1)において、RおよびRが、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基である増感色素。
6.前記一般式(1)において、RとRが互いに結合し、環を形成している、増感色素。
7.前記増感色素からなる光電変換用増感色素。
8.前記光電変換用増感色素を用いた光電変換素子。
9.前記光電変換素子を用いた色素増感太陽電池。
本発明に係る増感色素によれば、効率よく電流を取り出すことが可能な光電変換用増感色素を得ることができる。また、該光電変換用増感色素を用いることにより、高効率かつ高耐久性の光電変換素子および色素増感太陽電池を得ることができる。
本発明実施例および比較例の光電変換素子の構成を表す概略断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の光電変換用増感色素は、色素増感型の光電変換素子において増感剤として用いられる。本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の半導体層に色素を吸着させてなる光電極と対極とを、電解質層を介して対向配置させたものである。
以下に、前記一般式(1)で表される増感色素について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(1)において、R〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソオクチル基、t−オクチル基(t−C17もしくは1,1,3,3−テトラメチルブチル基)などの分岐状のアルキル基があげられる。
一般式(1)において、RまたはRで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基」における「炭素原子数3〜20のシクロアルキル基」としては、具体的に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基などがあげられる。
一般式(1)において、R〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、または、これらのアルケニル基が複数結合した直鎖状もしくは分岐状の基をあげることができる。
一般式(1)において、RまたはRで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基」における「炭素原子数6〜30のアリール基」としては、具体的に、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基などがあげられる。ここで、本発明における「アリール基」とは、芳香族炭化水素基および縮合多環芳香族基を表すものとし、これらの中でも、フェニル基またはナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(1)において、RまたはRで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
シアノ基;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;チオール基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基などの炭素原子数3〜18のシクロアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素原子数3〜18のシクロアルコキシ基;
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数6〜18のアリール基;
無置換アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜17の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素原子数6〜24のアリール基を有する一置換もしくは二置換アミノ基;
カルボキシル基;メチルエステル基、エチルエステル基などのカルボン酸エステル基;などがあげられる。これらの「置換基」は、1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに前記例示した置換基を有していてもよい。
一般式(1)においてRまたはRで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
シアノ基;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;チオール基;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素原子数1〜17の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基などの炭素原子数3〜17のシクロアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などの炭素原子数1〜17の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素原子数3〜17のシクロアルコキシ基;
フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数6〜24のアリール基;
無置換アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜17の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素原子数6〜24のアリール基を有する一置換もしくは二置換アミノ基;
カルボキシル基;メチルエステル基、エチルエステル基などのカルボン酸エステル基;ビニル基、ビニレン基、フェニルエテニル基、ジフェニルエテニル基などのエテニル基;などがあげられる。これらの「置換基」は、1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに前記例示した置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、RおよびRは、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基がより好ましい。
一般式(1)において、RおよびRは上記で述べたとおりの置換基を表すが、RとRは、単結合(R―R)、または酸素原子を介した結合(R―O―R)もしくは硫黄原子を介した結合(R―S―R)によって互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rで表される「ハロゲン原子」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などをあげることができる。「ハロゲン原子」としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
一般式(1)において、R〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」における「炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」としては、具体的に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基;イソプロポキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソオクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基などの分岐状のアルコキシ基があげられる。
一般式(1)において、R〜Rで表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基」、または「置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、具体的に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
シアノ基;水酸基;ニトロ基;ニトロソ基;チオール基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基などの炭素原子数3〜18のシクロアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などの炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;
シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素原子数3〜18のシクロアルコキシ基;
無置換アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの、炭素原子数1〜17の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、炭素原子数6〜24のアリール基を有する一置換もしくは二置換アミノ基;
カルボキシル基;メチルエステル基、エチルエステル基などのカルボン酸エステル基;などがあげられる。これらの「置換基」は、1つのみ含まれてもよく、複数含まれてもよく、複数含まれる場合は互いに同一でも異なっていてもよい。また、これら「置換基」はさらに前記例示した置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基が好ましく、原料の入手の容易さなどの理由から、水素原子であるのがより好ましい。
一般式(1)において、RおよびRは上記のとおりの置換基を表し、RとRは、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、R〜Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)において、Xは、1価基を表し、前記一般式(X1)、(X2)または(X3)で表される1価基であるのが好ましい。Xは、前記一般式(X1)または(X2)で表される1価基であるのがより好ましく、前記一般式(X1)で表される1価基であるのが特に好ましい。
一般式(X1)においてRおよびR10で表される「酸性基」、一般式(X2)においてR11で表される「酸性基」、および、一般式(X3)においてLまたはMで表される「1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「酸性基」としては、具体的に、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキサム酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、ホスフィン酸基、シラノール基などをあげることができる。これらの中でも、カルボキシル基またはホスホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。なお、一般式(X3)において「酸性基」の数が1つである場合、当該「酸性基」の置換位置は、アルキル基の末端であることが好ましく、「酸性基」の数が2つである場合、当該2つの「酸性基」のうち、少なくともいずれか一方の「酸性基」の置換位置がアルキル基の末端であることが好ましい。
一般式(X3)においてLまたはMで表される、「1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、または、「無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」における「炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」としては具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基などをあげることができる。これらの中でも、炭素原子数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
一般式(X3)において、少なくともLまたはMのいずれか1つは、「1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」である。ここで、pは0〜2の整数を表し、pが0である場合、Lは存在しないため、Mが、「1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」となる。また、pが2である場合は、2つ存在するL、またはMのうち、少なくともいずれか1つが、「1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」であればよい。
一般式(1)で表される本発明の増感色素の中でも、酸性基としてカルボキシル基またはホスホン酸基を含む増感色素は、半導体層の表面上に容易に吸着させることができるため、該増感色素を用いた光電変換素子の光電変換特性のさらなる向上につながる。
一般式(1)で表される本発明の増感色素は、生じ得るすべての立体異性体を包含するものとする。いずれの異性体も本発明における増感色素として好適に使用することができる。例えば、一般式(1)において、Xが一般式(X1)で示される1価基であり、かつ、Rが水素原子、R10がカルボキシル基である場合、本発明の増感色素は、下記一般式(2)および(3)で表される化合物を包含するものとし、また、これらの立体異性体から選ばれる2種以上の混合物であってもよい。
Figure 2019059824
Figure 2019059824
また、同様に、一般式(1)において、Xが一般式(X2)で示される1価基である本発明の増感色素は、下記一般式(4)および(5)で表される化合物を包含するものとし、また、これらの立体異性体から選ばれる2種以上の混合物であってもよい。
Figure 2019059824
Figure 2019059824
一般式(1)で表される本発明の増感色素の具体例を以下の式(A−1)〜(A−46)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の例示化合物は、生じ得る立体異性体のうちの一例を示したものであり、その他すべての立体異性体を包含するものとする。また、それぞれ2種以上の立体異性体の混合物であってもよい。
Figure 2019059824
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一般式(1)で表される本発明の増感色素は、公知の方法によって合成することができる。一般式(1)において、mが0である場合、下記一般式(6)で表され、相当する置換基を有する6−ブロモベンゾ[b]チオフェン誘導体と、下記式(7)で表され、相当する置換基を有するアミン化合物との、Buchwald−Hartwig反応を行うことにより、下記一般式(8)で表される中間体を得ることができる。さらに、この中間体を常法に従ってホルミル化することによって、下記一般式(9)で表される中間体であるホルミル体が得られる。
Figure 2019059824
また、一般式(1)において、mが1〜4である場合、上記一般式(8)で表される中間体を常法に従って臭素化することによって、下記一般式(10)で表されるモノブロモ体を得ることができる。このモノブロモ体(10)と、例えば5−ホルミル−2−チオフェンボロン酸や5’−ホルミル−2,2’−ビチオフェン−5−ボロン酸などの下記一般式(11)で表されるホルミル基を有するボロン酸を用いて、Suzukiカップリングなどのクロスカップリング反応を行うことにより、下記一般式(12)で表されるホルミル体を得ることができる。
Figure 2019059824
本発明の一般式(1)における、Xが前記一般式(X1)、(X2)または(X3)で表される1価基である増感色素は、目的のX1〜X3に応じて、上記一般式(9)または(12)の中間体(ホルミル体)と、それぞれ適した化合物との縮合反応を行うことにより合成することができる。具体的に、Xが前記一般式(X1)の場合は下記式(13)で表されるインデノン化合物と、Xが前記一般式(X2)の場合はシアノ酢酸などと、また、Xが前記一般式(X3)の場合はロダニン−3−酢酸などのロダニン化合物との縮合反応を行うことにより合成することができる。ただし、上記合成例における一般式(6)〜(13)におけるR〜R10、およびmは、本発明における一般式(1)におけるR〜R10、およびmと同じ意味を表す。
Figure 2019059824
なお、原料となる上記一般式(6)、(7)または(11)などは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよい。上記一般式(13)で表されるインデノン化合物は、前述の特許文献6〜8に記載の方法で容易に合成することができる。
一般式(1)で表される本発明の増感色素の化合物の精製方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製;シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製;溶媒による再結晶や晶析法などの公知の方法があげられる。また、これらの化合物の同定は、核磁気共鳴分析(NMR)分析などにより行うことができる。
本発明の増感色素は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の増感色素は、本発明に属さない他の増感色素と併用することができる。他の増感色素の具体例としては、ルテニウム錯体、クマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素などの前記一般式(1)で表される増感色素以外の増感色素をあげることができる。本発明の増感色素と、これら他の増感色素とを組み合わせて用いる場合は、本発明の増感色素に対する他の増感色素の使用量を10〜200重量%とするのが好ましく、20〜100重量%とするのがより好ましい。
本発明の増感色素は、ハロゲン化銀、酸化亜鉛、酸化チタンなど、各種イメージング材料用の感光体、光触媒、光機能性材料などの分光増感色素として応用でき、色素増感型の光電変換素子などに用いられる光電変換用増感色素などとしても応用できる。本発明において色素増感型の光電変換素子を作製する方法は特に限定されないが、導電性支持体(電極)上に半導体層を形成し、該半導体層に本発明の光電変換用増感色素を吸着(担持)させる方法が好ましい(図1参照)。色素を吸着させる方法としては、色素を溶媒に溶解して得られた溶液中に半導体層を長時間浸漬する方法が一般的である。本発明の光電変換用増感色素を2種以上併用する場合、あるいは本発明の光電変換用増感色素を他の増感色素と併用する場合、使用するすべての色素の混合溶液を調製して半導体層を浸漬してもよく、また、各色素溶液を別々に調製し、各溶液に半導体層を順に浸漬してもよい。
本発明では、導電性支持体として金属板の他に、表面に導電性材料を有する導電層を設けたガラス基板やプラスチック基板を用いることができる。導電性材料の具体例としては、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネルなどに用いられる公知のものを使用できる。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金などの金属;インジウム・スズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などの導電性透明酸化物半導体;導電性フラーレン化合物もしくは導電性高分子、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの材料、またはこれらを複合化した導電性複合材料などをあげることができる。これらの中でも、インジウム・スズ酸化物薄膜もしくはフッ素ドープ酸化スズ薄膜などの導電性透明酸化物半導体をコートしたガラス基板もしくはプラスチック基板を用いるのが好ましい。
本発明において半導体層を形成する半導体の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化鉄、酸化ガリウム、酸化ニッケル、酸化イットリウムなどの金属酸化物;硫化チタン、硫化亜鉛、硫化ジルコニウム、硫化銅、硫化スズ、硫化インジウム、硫化タングステン、硫化カドミウム、硫化銀などの金属硫化物;セレン化チタン、セレン化ジルコニウム、セレン化インジウム、セレン化タングステンなどの金属セレン化物;シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体などをあげることができる。これらの半導体は単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。本発明においては、半導体として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズから選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
本発明における半導体層の態様は特に限定されないが、微粒子からなる多孔質構造を有する薄膜が好ましい。半導体層が多孔質構造を有することにより実質的な表面積が大きくなり、半導体層への色素吸着量が増大するため、高効率の光電変換素子を得ることができる。半導体粒子径は5〜500nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。半導体層の膜厚は通常2〜100μmであるが、5〜20μmがより好ましい。半導体層の作製方法としては、半導体微粒子を含むペーストをスピンコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法などの湿式塗布法で導電性基板上に塗布した後、焼成により溶媒や添加物を除去して製膜する方法や、スパッタリング法、蒸着法、電着法、電析法、マイクロ波照射法などにより製膜する方法があげられるが、これらに限定されない。
本発明において、半導体微粒子を含むペーストは市販品を用いてもよく、市販の半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製したペーストなどを用いてもよい。ペーストを調製する際に使用する溶媒としては具体的に、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒があげられるが、これらに限定されない。また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明において半導体微粉末を溶媒中に分散させる方法としては、乳鉢などですりつぶしてもよく、ボールミル、ペイントコンディショナー、縦型ビーズミル、水平型ビーズミル、アトライターなどの分散機を用いてもよい。ペーストを調製する際には、半導体微粒子の凝集を防ぐために界面活性剤などを添加するのが好ましく、増粘させるためにポリエチレングリコールなどの増粘剤を添加するのが好ましい。
本発明の光電変換用増感色素の半導体層表面上への吸着は、該色素溶液中に半導体層を浸し、室温で30分〜100時間あるいは加熱条件下で10分〜24時間放置することにより行うが、室温で10〜20時間放置するのが好ましい。また、該色素溶液中の色素濃度は10〜2000μMが好ましく、50〜500μMがより好ましい。
本発明の光電変換用増感色素を、半導体層表面上に吸着させる際に用いる溶媒としては、具体的に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒などがあげられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用される。これらの溶媒の中でも、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルから選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
本発明の光電変換用増感色素を半導体層表面上に吸着する際には、コール酸またはデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リソコール酸、デヒドロコール酸などのコール酸誘導体を色素溶液中に溶解し、色素と共吸着させてもよい。コール酸またはコール酸誘導体を用いることにより色素同士の会合が抑制され、光電変換素子において色素から半導体層へ効率よく電子注入できるようになる。コール酸またはコール酸誘導体を用いる場合、色素溶液中におけるそれらの濃度は0.1〜100mMが好ましく、0.5〜10mMがより好ましい。
本発明の光電変換素子に用いる対極(電極)としては、前記の例示した導電性材料であれば特に限定されないが、レドックスイオンの酸化還元反応を促進するために、触媒能を持った導電性材料を使用するのが好ましい。該導電性材料の具体例としては、白金、ロジウム、ルテニウム、炭素などをあげることができるが、これらに限定されない。本発明においては、導電性支持体上に白金薄膜、または、フラーレン、グラファイト、グラフェンもしくはカーボンナノチューブなどの炭素薄膜を形成したものを対極として用いるのが特に好ましい。また、導電性薄膜の作製方法としては、導電性材料を含むペーストをスピンコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法などの湿式塗布法により導電性基板上に塗布した後、焼成により溶媒や添加物を除去して製膜する方法や、スパッタリング法、蒸着法、電着法、電析法、マイクロ波照射法などにより製膜する方法をあげることができるが、これらに限定されない。
本発明の光電変換素子においては、一対の対向する電極間に電解質が充填され、電解質層が形成されている。用いる電解質としてはレドックス電解質が好ましい。レドックス電解質としては、ヨウ素、臭素、スズ、鉄、クロム、コバルト、アントラキノンなどのレドックスイオン対をあげることができるが、これらに限定されない。これらの中ではヨウ素系電解質、臭素系電解質、またはコバルト系電解質が好ましい。ヨウ素系電解質の場合、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムなどとヨウ素の混合物が用いられる。本発明では、これらの電解質を溶媒に溶解させて得られた電解液を用いるのが好ましい。電解液中の電解質の濃度は、0.05〜5Mが好ましく、0.2〜1Mがより好ましい。
電解質を溶解させる溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン系溶媒をあげることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、単独あるいは2種以上の混合溶媒として使用される。これらの溶媒の中で、ニトリル系溶媒が好ましい。
本発明においては、色素増感型光電変換素子の開放電圧およびフィルファクターのさらなる向上のため、前記電解液中にアミン系化合物を含有させてもよい。アミン系化合物としては、4−t−ブチルピリジン、4−メチルピリジン、2−ビニルピリジン、2−アミルピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルベンズイミダゾールなどをあげることができる。電解液中のアミン系化合物の濃度は、0.05〜5Mが好ましく、0.2〜1Mがより好ましい。
本発明の光電変換素子における電解質としては、ゲル化剤やポリマーなどを添加させて得られたゲル状電解質やポリエチレンオキシド誘導体などのポリマーを用いた固体電解質を用いてもよい。ゲル状電解質、固体電解質を用いることにより、電解液の揮発を低減させることができる。
本発明の光電変換素子においては、一対の対向する電極間に電解質の代わりに固体電荷輸送層を形成してもよい。固体電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質は、正孔輸送物質であることが好ましい。電荷輸送物質の具体例としては、ヨウ化銅、臭化銅、チオシアン化銅などの無機正孔輸送物質、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、ポリアニリン、オキサジアゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ピラゾリン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物などの有機正孔輸送物質があげられるが、これらに限定されない。固体電荷輸送層には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドもしくはリチウムジイソプロピルイミドなどのリチウム化合物、4−t−ブチルピリジンもしくは2-アミルピリジンなど塩基性アミン化合物などが添加剤として含有されることが好ましい。また、導電性を向上させる目的で、有機正孔輸送物質の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても良い。酸化剤としては、トリス(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−4−t−ブチルピリジン)コバルト(III) トリス(ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)などのコバルト錯体などが挙げられる。
本発明において有機正孔輸送物質を用いて固体電荷輸送層を形成する場合、フィルム形成性結着剤樹脂を併用してもよい。フィルム形成性結着剤樹脂の具体例としては、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂などがあげられるが、これらに限定されない。これらの樹脂は、単独あるいは共重合体として1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの結着剤樹脂の有機正孔輸送物質に対する使用量は、20〜1000重量%が好ましく、50〜500重量%がより好ましい。
本発明の光電変換素子においては、光電変換用増感色素が吸着した半導体層が設けられた電極(光電極)が陰極となり、対極が陽極となる。太陽光などの光は光電極側、対極側のどちらから照射してもよいが、光電極側から照射する方が好ましい。太陽光などの照射により、色素が光を吸収して励起状態となって電子を放出する。この電子が半導体層を経由して外部に流れて対極へ移動する。一方、電子を放出して酸化状態になった色素は、対極から供給される電子を電解質中のイオンを経由して受け取ることにより、基底状態に戻る。このサイクルにより電流が流れ、光電変換素子として機能するようになる。
本発明の光電変換素子の特性を評価する際には、短絡電流、開放電圧、フィルファクター、光電変換効率の測定を行う。短絡電流とは、出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる1cmあたりの電流を表し、開放電圧とは、出力端子を開放させたときの両端子間の電圧を表す。また、フィルファクターとは最大出力(電流と電圧の積)を、短絡電流と開放電圧の積で割った値であり、主に内部抵抗に左右される。光電変換効率は、最大出力(W)を1cmあたりの光強度(W)で割った値に100を乗じてパーセント表示した値として求められる。
本発明の光電変換素子は、色素増感太陽電池や各種光センサーなどに応用できる。本発明の色素増感太陽電池は、前記一般式(1)で表される増感色素からなる光電変換用増感色素を含有する光電変換素子がセルとなり、そのセルを必要枚数配列してモジュール化し、所定の電気配線を設けることによって得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、合成実施例において得られた化合物の同定は、H−NMR分析(日本電子株式会社製核磁気共鳴装置、JNM−ECA−600)により行った。
[合成実施例1] 増感色素(A−3)の合成
窒素置換した反応容器に、トルエン40mL、6−ブロモベンゾ[b]チオフェン2.00g、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン4.06g、ナトリウム−t−ブトキシド1.36g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.44g、濃度0.29g/mLのトリ−t−ブチルホスフィン/トルエン溶液0.66mL、を入れ、80℃で3時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、吸引ろ過し、トルエン20mLで洗浄し、減圧濃縮し、褐色・オイル状の粗生成物(6.76g)を得た。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:n−ヘキサン/クロロホルム=7/3(体積比))により精製し、下記式(14)で表される化合物の白色固体(4.90g)を得た。
窒素置換した反応容器に、脱水ジエチルエーテル96mL、上記式(14)で表される化合物4.84gを入れ、−5℃で撹拌しながら、1.6Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液8.5mLを滴下し、4時間反応を行った。反応後、反応液に脱水ジメチルホルムアルデヒド1.05mLを滴下し、2時間反応を行った。反応後、反応液を氷水に入れ、酢酸エチルで有機層を抽出した。有機層を水洗し、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘキサン/トルエン=9/1(体積比))により精製し、下記式(15)で表されるホルミル体化合物の黄褐色固体(4.57g)を得た。
Figure 2019059824
窒素置換した反応容器に、酢酸/トルエン=5/2(体積比)混合液11.3mL、上記式(15)で表されるホルミル体化合物0.250g、下記式(16)で表されるインデノン化合物0.106gを入れ、90℃で3時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、水50mLを入れて撹拌し、有機層を抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥し、減圧下、目的の増感色素を黒色固体として得た(0.138g、収率43%)。
Figure 2019059824
上記黒色固体のNMR分析を行い、以下の50個の水素のシグナルを検出し、式(A−3)で表される構造と同定した(カルボキシル基の水素は観測されなかった)。
H−NMR(600MHz、CDCl):δ(ppm)=0.76−0.80(18H)、1.36−1.40(12H)、1.72−1.80(4H)、7.06−7.09(5H)、7.30−7.34(5H)、7.65−7.68(1H)、8.01−8.06(2H)、8.16-8.20(1H)、8.46−8.49(1H)、8.62−8.67(1H)。
Figure 2019059824
[合成実施例2] 増感色素(A−10)の合成
窒素置換した反応容器に、トルエン200mL、6−ブロモベンゾ[b]チオフェン10.12g、下記式(17)で表されるアミン化合物8.32g、ナトリウム−t−ブトキシド6.85g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)2.17g、濃度0.29mg/mLのトリ−t−ブチルホスフィン/トルエン溶液3.0mLを入れ、80℃で2時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、水150mLおよび酢酸エチル500mLを入れ、撹拌し、有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:n−ヘキサン)により精製し、減圧乾燥し、下記式(18)で表される化合物(無色透明オイル状、13.5g)を得た。
窒素置換した反応容器に、N,N−ジメチルホルムアミド60mL、上記式(18)で表される化合物3.00g、オキシ塩化リン2.01gを入れ、25℃で90分間撹拌し、60℃で2時間撹拌した。反応液を氷水300mLに入れ冷却し、酢酸エチル175mLを入れ、有機層を抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘキサン)により精製し、下記式(19)で表されるホルミル体化合物の黄色固体(2.25g)を得た。
Figure 2019059824
窒素置換した反応容器に、N,N−ジメチルホルムアミド10mL、上記式(19)で表されるホルミル体化合物2.04g、ジフェニルメチルホスホン酸ジエチル2.93g、カリウムt−ブトキシド1.54gを入れ、40℃で3時間撹拌した。反応液に水500mLを入れ、反応を停止した後、反応物を水/メタノール=1/1(体積比)で洗浄した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘキサン)により精製した。
続いて常法によりベンゾチオフェン環の2位を臭素化し、下記式(20)で表されるモノブロモ体化合物の黄色固体(1.92g)を得た。
窒素置換した反応容器に、脱水テトラヒドロフラン10mL、下記式(20)で表されるモノブロモ体0.50gを入れ、窒素雰囲気下にて−72℃で撹拌しながら、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mLを滴下し、2時間反応を行った。反応後、反応液に脱水ジメチルホルムアルデヒド0.3mLを滴下し、2時間反応を行った。これらの反応後、反応液を氷水に入れ、塩化メチレンで有機層を抽出した。有機層を水洗し、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘキサン/トルエン=9/1(体積比))により精製し、下記式(21)で表されるホルミル体化合物の黄色固体(0.25g)を得た。
Figure 2019059824
窒素置換した反応容器に、酢酸/トルエン=5/2(体積比)混合液8.5mL、上記式(21)で表されるホルミル体化合物0.171g、上記式(16)で表されるインデノン化合物0.102gを入れ、90℃で4時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、メタノール18mLを入れ、撹拌し、反応物をろ過した。メタノールで洗浄し、乾燥し、目的の増感色素を暗褐色固体として得た(0.211g、収率92%)。
上記暗褐色固体のNMR分析を行い、以下の30個の水素のシグナルを検出し、下記式(A−10)で表される構造と同定した(カルボキシル基の水素は観測されなかった)。
H−NMR(600MHz、CDCl):δ(ppm)=1.49−1.53(2H)、1.68−1.72(2H)、1.78−1.82(2H)、3.00−3.04(2H)、6.33−6.52(2H)、6.90−6.94(1H)、7.00−7.09(3H)、7.09−7.13(2H)、7.24−7.28(4H)、7.40−7.44(4H)、7.54−7.58(1H)、7.97−8.01(1H)、8.19−8.23(1H)、8.44−8.48(1H)、8.84−8.89(2H)。
Figure 2019059824
[合成実施例3] 増感色素(A−11)の合成
窒素置換した反応容器に、ジメチルスルホキシド46mL、上記式(20)で表されるモノブロモ体1.20g、5−ホルミル−2−チオフェンボロン酸0.58g、炭酸カリウム0.37g、酢酸パラジウム(II)0.035g、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン0.12gを入れ、90℃で2時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、水200mLおよびクロロホルム200mLを入れ、撹拌し、有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、粗生成物を得た。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶媒:ヘキサン/トルエン=1/2(体積比))により精製し、減圧乾燥し、下記式(22)で表されるホルミル体化合物の黄褐色固体(1.28g)を得た。
Figure 2019059824
窒素置換した反応容器に、酢酸/トルエン=3/2(体積比)混合液30mL、上記式(22)で表されるホルミル体化合物0.347g、上記式(16)で表されるインデノン化合物0.198gを入れ、90℃で8時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、反応液を減圧乾燥し、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(担体:シリカゲル、溶:クロロホルム/メタノール=5/1(体積比))により精製し、目的の増感色素を黒色固体として得た(0.355g、収率79%)。
上記黒色固体のNMR分析を行い、以下の32個の水素のシグナルを検出し、下記式(A−11)で表される構造と同定した(カルボキシル基の水素は観測されなかった)。
H−NMR(600MHz、DMSO−d):δ(ppm)=1.49−1.53(2H)、1.68−1.72(2H)、1.78−1.82(2H)、3.00−3.04(2H)、6.33−6.52(2H)、6.90−6.94(1H)、7.00−7.09(3H)、7.09−7.13(2H)、7.24−7.28(4H)、7.40−7.44(4H)、7.54−7.58(1H)、7.97−8.01(1H)、8.19−8.23(1H)、8.44−8.48(1H)、8.84−8.89(2H)。
Figure 2019059824
[合成実施例4] 増感色素(A−23)の合成
窒素置換した反応容器に、酢酸7mL、上記式(15)で表されるホルミル体化合物0.100g、シアノ酢酸0.093g、酢酸アンモニウム0.009gを入れ、108℃で5時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、水45mLを入れ、撹拌し、有機層を抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥し、目的の増感色素を赤褐色固体として得た(0.049g、収率44%)。
上記赤褐色固体のNMR分析を行い、以下の47個の水素のシグナルを検出し、下記式(A−23)で表される構造と同定した(カルボキシル基の水素は観測されなかった)。
H−NMR(600MHz、CDCl):δ(ppm)=0.76−0.80(18H)、1.36−1.39(12H)、1.72−1.74(4H)、7.00−7.10(5H)、7.26−7.29(1H)、7.30−7.34(4H)、7.62−7.66(1H)、7.85−7.89(1H)、8.37−8.41(1H)。
Figure 2019059824
[合成実施例5] 増感色素(A−31)の合成
窒素置換した反応容器中にトルエン22mL、上記式(15)で表されるホルミル体化合物0.527g、ロダニン−3−酢酸0.191g、ピペリジン0.034gを入れ、100℃で6時間撹拌した。反応液を25℃まで放冷し、ろ取して得た固体をトルエン100mL、水80mLで溶解し、1M塩酸12mLを入れ、有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、目的の増感色素を赤褐色固体として得た(0.579g、収率79%)。
上記赤褐色固体についてNMR分析を行い、以下の49個の水素のシグナルを検出し、下記式(A−31)で表される構造と同定した(カルボキシル基の水素は観測されなかった)。
H−NMR(600MHz、DMSO−d):δ(ppm)=0.72−0.77(18H)、1.33−1.36(12H)、1.70−1.73(4H)、4.70−4.72(2H)、6.97−6.99(1H)、6.99−7.10(4H)、7.32−7.42(5H)、7.82−7.86(1H)、7.95−8.08(1H)、8.20−8.30(1H)。
Figure 2019059824
[実施例1]
フッ素ドープの酸化スズ薄膜をコートしたガラス基板上に、酸化チタンペースト(日揮触媒化成株式会社製、PST−18NR)をスキージ法により塗布した。110℃で1時間乾燥後、450℃で30分間焼成し、膜厚8μmの酸化チタン薄膜を得た。次に、合成例1で得た増感色素(A−3)およびデオキシコール酸を、それぞれ濃度が100μMおよび1mMになるように、アセトニトリル/t−ブチルアルコール=1/1(体積比)の混合溶媒に溶解して溶液50mLを調製し、この溶液中に、酸化チタンを塗布焼結したガラス基板を、25±2℃で15時間浸漬して上記増感色素を光電変換用増感色素として吸着させ、光電極とした。
フッ素ドープの酸化スズ薄膜をコートしたガラス基板上にオートファインコータ(日本電子株式会社製JFC−1600)を用いてスパッタリング法により膜厚15nmの白金薄膜を形成し、対極とした。
次に、光電極と対極との間に厚さ60μmのスペーサ(熱融着フィルム)を挟んで熱融着により貼り合わせ、対極に開けた孔から電解液(0.1M ヨウ化リチウム、0.6M ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、0.05M ヨウ素、0.5M 4−t−ブチルピリジン)/3−メトキシプロピオニトリル溶液を注入し、孔を封止し、光電変換素子を作製した。
前記光電変換素子の光電極側から、擬似太陽光照射装置(分光計器株式会社製OTENTO−SUN III型)で発生させた光を照射(強度:100mW/cm)し、ソースメータ(KEITHLEY製、Model 2400 General−Purpose SourceMeter)を用いて電流−電圧特性を測定した。また、同強度の光で20時間照射後に同様に測定し、光電変換効率の初期および20時間光照射後の特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示す。
[実施例2〜実施例8]
光電変換用増感色素として、(A−3)の代わりにそれぞれ表1に示す増感色素を用いた以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製し、光照射し、電流−電圧特性を測定し、光電変換効率の初期および20時間光照射後の特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示す。
[比較例1〜比較例5]
光電変換用増感色素として、(A−3)の代わりに、本発明に属さない、また、従来技術(特許文献3〜5)で開示されている下記式(D−1)〜(D−3)で表される増感色素を用いた以外は、実施例1と同様に光電変換素子を作製し、光照射し、電流−電圧特性を測定し、光電変換効率の初期および20時間光照射後の特性変化を評価した。測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 2019059824
Figure 2019059824
Figure 2019059824
Figure 2019059824
表1の結果から、本発明の増感色素からなる光電変換用増感色素を用いることにより、光電変換効率が高く、かつ光照射を長時間続けても高い光電変換効率が維持される光電変換素子が得られることが判明した。一方で、比較例の光電変換用増感色素を用いた光電変換素子の光電変換効率は不十分であり、長時間の光照射後の光電変換効率が低下してしまうものであった。
本発明の増感色素からなる光電変換用増感色素は、高効率かつ高耐久性の光電変換素子ならびに色素増感太陽電池として有用であり、太陽光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換できる太陽電池として、クリーンエネルギーを提供することができる。
1 導電性支持体
2 色素担持半導体層
3 電解質層
4 対極
5 導電性支持体

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される増感色素。
    Figure 2019059824
    [式中、RおよびRは、それぞれ独立に、
    置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
    置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、
    または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基を表し、
    〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
    置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、
    置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、
    または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基を表し、
    とR、RとR、およびRとRは、それぞれ互いに結合し、環を形成していてもよい。
    mは0〜4の整数を表し、mが2〜4の整数である場合、複数存在するRおよびRは、そのR同士およびR同士がそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
    Xは、1価基を表す。]
  2. 前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X1)で表される1価基である、請求項1に記載の増感色素。
    Figure 2019059824
    [式中、RおよびR10は水素原子または酸性基を表し、少なくともRまたはR10のいずれか1つは酸性基であるものとする。]
  3. 前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X2)で表される1価基である、請求項1に記載の増感色素。
    Figure 2019059824
    [式中、R11は酸性基を表す。]
  4. 前記一般式(1)において、Xが下記一般式(X3)で表される1価基である、請求項1に記載の増感色素。
    Figure 2019059824
    [式中、LおよびMは、それぞれ独立に、1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または、無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。ただし、少なくともLまたはMのいずれか1つは、1つまたは2つの酸性基を置換基として有する炭素原子数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるものとする。pは0〜2の整数を表し、pが2である場合、複数存在するLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  5. 前記一般式(1)において、RおよびRが、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30のアリール基である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の増感色素。
  6. 前記一般式(1)において、RとRが互いに結合し、環を形成している、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の増感色素。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の増感色素からなる光電変換用増感色素。
  8. 請求項7に記載の光電変換用増感色素を用いた光電変換素子。
  9. 請求項8に記載の光電変換素子を用いた色素増感太陽電池。
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