JP2019059685A - エルロチニブを有効成分とする医薬錠剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、水等の中性領域媒体中での有効成分の溶出性を高め、且つ速い崩壊性を有するエルロチニブ塩酸塩を有効成分として含有する医薬錠剤を提供することである。【解決手段】エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形が配合された有効成分を用い、これに結合剤及び崩壊剤を用いた製剤処方が、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による水による溶出試験において、30分で25%以上、より好ましくは30分で40%以上の溶出性を示し、日本薬局方崩壊試験による水での錠剤の崩壊時間が3分以内の崩壊特性を有する錠剤が得られた。【選択図】なし
Description
本願は、エルロチニブ塩酸塩を有効成分として含有する医薬錠剤であって、水中において速い崩壊性と優れた溶出性を有する医薬錠剤に関する発明である。
エルロチニブは、上皮増殖因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor:EGFR)を標的とした選択的チロシンキナーゼ阻害剤(Tyrosine Kinase Inhibitor:TKI)であり、EGFR細胞内チロシンキナーゼ領域のATP結合部位においてATPと競合的に拮抗することにより、癌細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導に基づいて抗腫瘍効果を示すと考えられているキナゾリン誘導体である。医薬品としてはエルロチニブ塩酸塩として用いられ、切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺癌、治癒切除不能な膵癌の治療剤として承認されており、タルセバ(TARCEVA 登録商標)の商品名で癌治療に提供されている。
エルロチニブ塩酸塩は難水溶性の白色〜微黄色の、主として結晶体で得られる固体であり、複数の結晶多型が知られている。例えば、特許文献1には、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略5.58、9.84、11.25、18.86、22.70、23.50、24.18、24.59、25.40及び29.24のピークで特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩のA型多形が開示されている。併せてXRDにて2θ(°)が略6.26、12.48、13.39、16.96、20.20、21.10、22.98、24.46、25.14及び26.91のピークで特徴付けられるB型多形も記載している。
また特許文献2には、XRDにて2θ(°)が5.7、9.7、10.1、11.3、17.0、17.4、18.9、19.6、21.3、22.8、23.6、24.2、24.7、25.4、26.2、26.7及び29.3のピークで特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩E型多形を開示している。
なお、特許文献2によると、B型多形は熱力学的に安定な形態であり、A型多形は溶解度及び溶解速度に優れる形態であることが記載され、E型多形はA型多形より熱力学的安定性に優れるとともに、B型多形より溶解性に優れる物性であることが記載されている。
また特許文献2には、XRDにて2θ(°)が5.7、9.7、10.1、11.3、17.0、17.4、18.9、19.6、21.3、22.8、23.6、24.2、24.7、25.4、26.2、26.7及び29.3のピークで特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩E型多形を開示している。
なお、特許文献2によると、B型多形は熱力学的に安定な形態であり、A型多形は溶解度及び溶解速度に優れる形態であることが記載され、E型多形はA型多形より熱力学的安定性に優れるとともに、B型多形より溶解性に優れる物性であることが記載されている。
エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬製剤としては、主として錠剤が報告されている。特許文献2は微結晶セルロース、ラクトース水和物、ポビドンK30、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを添加剤として用いたエルロチニブ塩酸塩を有効成分とするフィルムコーティング錠剤を記載している。
エルロチニブ塩酸塩は、上記の通り物性の異なる複数の結晶多形が存在しており、これら特定の結晶多形のエルロチニブ塩酸塩を有効成分とする錠剤に関する報告がなされている。
例えば特許文献3は、保存環境下において結晶多型の転移を抑制することができるエルロチニブ塩酸塩の医薬製剤として、ラクトース水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びドデシル硫酸ナトリウムを添加剤として用いたエルロチニブ塩酸塩錠剤を記載している。該錠剤には、エルロチニブ塩酸塩のA型多形、又はA型多型とB型多形の混合物を有効成分とする錠剤を記載しており、これら錠剤が25℃/60%RHの保存条件で結晶多形の転移が抑制することができることを記載している。
特許文献4は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形を有効成分として結晶セルロースを用いた錠剤が、酸性媒体において速い溶出性を示すことを開示している。
特許文献5には、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶とカルボキシメチルセルロースナトリウムを湿式造粒した錠剤が、酸性媒体による溶出性において、エルロチニブ塩酸塩の上市製剤であるTARCEVA(登録商標)錠と類似の溶出性を示すことを記載している。
例えば特許文献3は、保存環境下において結晶多型の転移を抑制することができるエルロチニブ塩酸塩の医薬製剤として、ラクトース水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びドデシル硫酸ナトリウムを添加剤として用いたエルロチニブ塩酸塩錠剤を記載している。該錠剤には、エルロチニブ塩酸塩のA型多形、又はA型多型とB型多形の混合物を有効成分とする錠剤を記載しており、これら錠剤が25℃/60%RHの保存条件で結晶多形の転移が抑制することができることを記載している。
特許文献4は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形を有効成分として結晶セルロースを用いた錠剤が、酸性媒体において速い溶出性を示すことを開示している。
特許文献5には、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶とカルボキシメチルセルロースナトリウムを湿式造粒した錠剤が、酸性媒体による溶出性において、エルロチニブ塩酸塩の上市製剤であるTARCEVA(登録商標)錠と類似の溶出性を示すことを記載している。
医薬錠剤において有効成分の溶出性を向上させることは、有効成分の吸収を速めて、効果を十分に発揮するために重要なことである。また、水中での錠剤の崩壊性を高めるで、口腔内崩壊錠のようにより少ない水での服用に有用である。すなわち、薬剤の有効成分の吸収促進と服用の利便性を考慮すると、高い溶出性と錠剤崩壊性を兼有する医薬錠剤が望ましい。
エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬錠剤であるTARCEVA(登録商標)錠は、酸性媒体中(ラウリル硫酸ナトリウム1%含有0.1mol/L塩酸溶液)における溶出性は30分で93〜99%と良好である。一方、エルロチニブ塩酸塩の水に対する溶解度は0.9mg/mL(25±5℃)程度であり、水での溶解度が低い物性であることが知られている(タルセバ錠インタビューフォームより。)。そこで、エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬錠剤は、中性環境である口腔内や消化管において良好な製剤物性を付与するために、酸性媒体のみならず、中性領域媒体である水での溶出性や崩壊性といった製剤物性を向上させることが課題となっている。
本発明の目的は、水中での有効成分の溶出性を高め、且つ高い崩壊性を有するエルロチニブ塩酸塩を有効成分として含有する医薬錠剤を提供することである。
本発明の目的は、水中での有効成分の溶出性を高め、且つ高い崩壊性を有するエルロチニブ塩酸塩を有効成分として含有する医薬錠剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形を混合した有効成分を用い、これに結合剤及び崩壊剤を用いた製剤処方が、水中での有効成分の溶出を高め、且つ当該錠剤の崩壊性を高めることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本願は以下の[1]乃至[6]の発明を要旨とする。
[1] エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬錠剤であって、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形を含有し、結合剤及び崩壊剤を含有する医薬錠剤である。
本発明は、有効成分であるエルロチニブ塩酸塩としてA型結晶多形とB型結晶多形を配合して用いて、これに崩壊剤を処方して医薬錠剤を調製することにより、水中での高い溶出性と崩壊性を高めることができる効果を奏する。更に結合剤を含有した処方が適切な溶出性と崩壊性を有する錠剤を調製することができる。
[2] 崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及び低置換度カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、前記[1]に記載の医薬錠剤。
[3] 結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、前記[1]又は[2]に記載の医薬錠剤。
本発明に用いられる崩壊剤、結合剤は、上記の物質を用いることが好ましく、水等の中性媒体中での速やかな崩壊性、並びに高い溶出性を発揮することができる。
[4] 崩壊剤がエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形の含有量の0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[5] 結合剤がエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の含有量の0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[6] エルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上で90質量%以下を含有する、前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[1] エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬錠剤であって、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形を含有し、結合剤及び崩壊剤を含有する医薬錠剤である。
本発明は、有効成分であるエルロチニブ塩酸塩としてA型結晶多形とB型結晶多形を配合して用いて、これに崩壊剤を処方して医薬錠剤を調製することにより、水中での高い溶出性と崩壊性を高めることができる効果を奏する。更に結合剤を含有した処方が適切な溶出性と崩壊性を有する錠剤を調製することができる。
[2] 崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及び低置換度カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、前記[1]に記載の医薬錠剤。
[3] 結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、前記[1]又は[2]に記載の医薬錠剤。
本発明に用いられる崩壊剤、結合剤は、上記の物質を用いることが好ましく、水等の中性媒体中での速やかな崩壊性、並びに高い溶出性を発揮することができる。
[4] 崩壊剤がエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形の含有量の0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[5] 結合剤がエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の含有量の0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[6] エルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上で90質量%以下を含有する、前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
本発明の有効成分としてエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びB型結晶多形の混合物を有効成分をとして用い、これに結合剤と崩壊剤を含む医薬錠剤は、水等の中性領域での媒体中での有効成分の溶出性を高めることができ、且つその媒体での錠剤の速い崩壊性を有する医薬錠剤を提供することができる。したがって、当該医薬錠剤を経口的に服用した場合において、消化管内のpH変化による溶出性変化に起因する吸収性変化を抑制するとともに、服用性に優れた医薬錠剤を提供することができる。
本発明は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の混合物を有効成分として用い、これに結合剤と崩壊剤を含む医薬錠剤とすることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明の有効成分は、エルロチニブ塩酸塩である。エルロチニブは、化学名がN−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミンであり、特許第3088018号に開示されている。エルロチニブは弱塩基性化合物であり、適当な酸類との塩を形成することが知られており、本発明ではエルロチニブ塩酸塩を用いる。
本発明は、有効成分としてエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の混合物を用いることが特徴の1つである。該A型結晶多形並びに該B型結晶多形は、特表2003−523949号公報において開示されている。
すなわち、該A型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略5.6、9.8、11.3、18.9、22.7、23.5、24.2、24.6、25.4及び29.2にピークで特徴付けられる。また、融点(示差走査熱量測定;DSC)が205〜208℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。
また、該B型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が6.3、12.5、13.4、17.0、20.2、21.1、23.0、24.5、25.1及び26.9のピークで特徴付けられる。また、融点(DSC)が227〜231℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。
本発明は、有効成分としてエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の混合物を用いることが特徴の1つである。該A型結晶多形並びに該B型結晶多形は、特表2003−523949号公報において開示されている。
すなわち、該A型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略5.6、9.8、11.3、18.9、22.7、23.5、24.2、24.6、25.4及び29.2にピークで特徴付けられる。また、融点(示差走査熱量測定;DSC)が205〜208℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。
また、該B型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が6.3、12.5、13.4、17.0、20.2、21.1、23.0、24.5、25.1及び26.9のピークで特徴付けられる。また、融点(DSC)が227〜231℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。
本発明において、有効成分としてエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の混合物を用いることを特徴とする。本発明は水等の中性媒体中における高い溶出性と速い崩壊性を達成できるものであるが、溶出性と崩壊性の程度を該A型結晶多形と該B型結晶多形の配合比率を変えることにより調整して制御することができる。例えば、該A型結晶多形の配合割合を高めることにより、溶出性をより高めることができる。一方、該B型結晶多形の配合割合を高めることにより、崩壊性をより高めることができる。
本発明において、エルロチニブ塩酸塩におけるB型結晶多形が10質量%以上95質量%以下で配合された有効成分であることが好ましい。好ましくはエルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が40質量%以上95質量%以下を占め、残部をA型結晶多形が占める有効成分の構成である。
本発明における該A型結晶多形と該B型結晶多形の配合比率は、特に好ましくは有効成分中の該B型結晶多形が該A型結晶多形と等量若しくは過剰量で含まれていることであり、より好ましくはエルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上90質量%以下を含有する有効成分であることである。殊更好ましくは、エルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上90質量%以下を含有し、残部がA型結晶多形が占める有効成分である。
本発明において、エルロチニブ塩酸塩におけるB型結晶多形が10質量%以上95質量%以下で配合された有効成分であることが好ましい。好ましくはエルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が40質量%以上95質量%以下を占め、残部をA型結晶多形が占める有効成分の構成である。
本発明における該A型結晶多形と該B型結晶多形の配合比率は、特に好ましくは有効成分中の該B型結晶多形が該A型結晶多形と等量若しくは過剰量で含まれていることであり、より好ましくはエルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上90質量%以下を含有する有効成分であることである。殊更好ましくは、エルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上90質量%以下を含有し、残部がA型結晶多形が占める有効成分である。
本発明の有効成分は、エルロチニブ塩酸塩A型結晶多形とB型結晶多形をそれぞれ秤量して混合し、偏りなく分散されている物であれば良い。この際、後述する結合剤及び崩壊剤、並びに賦形剤等の任意の製剤用添加剤と共に混合して、該A型結晶多形と該B型結晶多形が偏りなく分散されている状態であれば良い。
本発明の医薬錠剤において、有効成分であるA型結晶多形とB型結晶多形の混合物を含むエルロチニブ塩酸塩の含有量は、10質量%以上70質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは該医薬錠剤中において20質量%以上50質量%以下で用いることである。
本発明の医薬錠剤は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の配合物を用い、これに対し結合剤と崩壊剤を含有することを特徴とする。
本発明における崩壊剤としては、医薬錠剤を調製するために通常用いられる添加剤において錠剤の崩壊性機能を付与できる添加剤であれば適宜使用することができる。例えば、「医薬品添加物事典 日本医薬品添加剤協会 編集」(薬事日報社)や、「医薬品添加物ハンドブック 日本薬学会 訳編」(丸善株式会社)に記載される添加剤であって、崩壊剤として使用され得る添加剤を挙げることができる。
本発明で用いられる好ましい崩壊剤としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。より好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種以上の崩壊剤であって、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
本発明で用いられる好ましい崩壊剤としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。より好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種以上の崩壊剤であって、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
当該崩壊剤の使用量は、当該医薬錠剤における崩壊剤の含有率が1質量%以上20質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に4質量%以上12質量%以下で用いることである。
また、当該崩壊剤の使用量は、当該医薬錠剤におけるエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形の含有量に対して、0.2倍質量以上4.0倍質量以下で用いることが好ましい。すなわち、該A型結晶多形含量を基準に崩壊剤使用量を設定することにより、当該医薬錠剤の溶出性と崩壊性のバランスを調整して制御することができる。
より好ましくは該A型結晶多形含量に対し0.2倍質量以上で3.0倍質量以下の崩壊剤使用量であり、0.4倍質量以上で2.3倍質量以下の崩壊剤を含有することが殊更好ましい。
また、当該崩壊剤の使用量は、当該医薬錠剤におけるエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形の含有量に対して、0.2倍質量以上4.0倍質量以下で用いることが好ましい。すなわち、該A型結晶多形含量を基準に崩壊剤使用量を設定することにより、当該医薬錠剤の溶出性と崩壊性のバランスを調整して制御することができる。
より好ましくは該A型結晶多形含量に対し0.2倍質量以上で3.0倍質量以下の崩壊剤使用量であり、0.4倍質量以上で2.3倍質量以下の崩壊剤を含有することが殊更好ましい。
本発明における結合剤としては、医薬錠剤を調製するために通常用いられる添加剤において錠剤の結合性機能を付与できる添加剤であれば適宜使用することができる。例えば、「医薬品添加物事典 日本医薬品添加剤協会 編集」(薬事日報社)や、「医薬品添加物ハンドブック 日本薬学会 訳編」(丸善株式会社)に記載される添加剤であって、結合剤として使用され得る添加剤を挙げることができる。
本発明で用いられる好ましい結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられ、これらからなる群から選択される結合剤であり、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
本発明で用いられる好ましい結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられ、これらからなる群から選択される結合剤であり、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
当該結合剤の使用量は、当該医薬錠剤における結合剤の含有率が2質量%以上50質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に6質量%以上40質量%以下で用いることである。
また、当該結合剤の使用量は、当該医薬錠剤におけるエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の含有量に対して、0.2倍質量以上4.0倍質量以下で用いることが好ましい。すなわち、該B型結晶多形含量を基準に結合剤使用量を設定することにより、当該医薬錠剤の溶出性と崩壊性のバランスを調整して制御することができる。
より好ましくは該B型結晶多形含量に対し0.4倍質量以上で3.0倍質量以下の崩壊剤使用量であり、0.5倍質量以上で2.5倍質量以下の結合剤を含有することであり、より厳格には0.8倍質量以上で1.7倍質量以下の結合剤を含有することが殊更好ましい。
また、当該結合剤の使用量は、当該医薬錠剤におけるエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の含有量に対して、0.2倍質量以上4.0倍質量以下で用いることが好ましい。すなわち、該B型結晶多形含量を基準に結合剤使用量を設定することにより、当該医薬錠剤の溶出性と崩壊性のバランスを調整して制御することができる。
より好ましくは該B型結晶多形含量に対し0.4倍質量以上で3.0倍質量以下の崩壊剤使用量であり、0.5倍質量以上で2.5倍質量以下の結合剤を含有することであり、より厳格には0.8倍質量以上で1.7倍質量以下の結合剤を含有することが殊更好ましい。
本発明の医薬錠剤は、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びB型結晶多形の混合物を有効成分として用い、これに結合剤及び崩壊剤が処方された医薬錠剤である。本発明において、その効果を妨げない範囲において当該医薬製剤を調製するために通常用いられる他の添加剤を含んでいても良い。例えば、賦形剤、可溶化剤、滑沢剤、隠蔽剤や着色剤等の医薬錠剤を調製するための通常の医薬錠剤用添加剤を用いても良い。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬錠剤を調製する際に、任意に使用される。
賦形剤としては、乳糖無水物、乳糖水和物、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール等が挙げられる。本発明の医薬錠剤において、賦形剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上50質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
可溶化剤としては界面活性剤が用いられ、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
本発明の医薬錠剤において、可溶化剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上5質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
本発明の医薬錠剤において、可溶化剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上5質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
本発明の医薬錠剤において、滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上5質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
本発明の医薬錠剤において、滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上5質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
当該錠剤において隠蔽剤や着色剤を用いる場合は、その含有率は0.1質量%以上で1質量%以下である。好ましくは0.1質量%以上であり0.5質量%以下である。
当該錠剤において隠蔽剤や着色剤を用いる場合は、その含有率は0.1質量%以上で1質量%以下である。好ましくは0.1質量%以上であり0.5質量%以下である。
本発明の医薬錠剤は、前述したエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形の混合物、結合剤及び崩壊剤、並びに任意の添加剤を混合して成型した錠剤である。当該錠剤は前記の成分を混合して成型した錠剤のままであっても良く、適当なコーティング材料によるフィルムコート錠剤であっても良い。
フィルムコート錠剤の場合、フィルムコート部分にはコーティング基剤、隠蔽剤や着色剤等の医薬製剤のコーティング剤に用いられる任意の添加剤が含まれていても良い。コーティング剤に用いる隠蔽剤や着色剤は、前述と同義である。
本発明においてコーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等が挙げられる。これらフィルムコーティング基材とグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の可塑剤を共に用いても良い。
本発明においてコーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等が挙げられる。これらフィルムコーティング基材とグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の可塑剤を共に用いても良い。
本発明における医薬錠剤は、A型結晶多形とB型結晶多形の双方を含むエルロチニブ塩酸塩として10〜70質量部、結合剤を2〜50質量部、崩壊剤を1〜20質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、可溶化剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜50質量部で含有する錠剤を好ましい態様として挙げることができる。より好ましい態様としては、エルロチニブ塩酸塩として20〜50質量部、結合剤を6〜40質量部、崩壊剤を4〜12質量部、滑沢剤を0.5〜3質量部、可溶化剤を0.5〜2質量部、賦形剤を10〜40質量部を含有する処方による医薬錠剤である。
医薬錠剤の形状は、経口的な服用に適する通常の形状及び大きさに成型されたものであれば特に限定されるものではない。
医薬錠剤の形状は、経口的な服用に適する通常の形状及び大きさに成型されたものであれば特に限定されるものではない。
次に本発明の医薬錠剤の製造方法について説明する。
当該医薬錠剤は、前記の処方の医薬組成物を混合し、造粒して顆粒体を調製し、これを圧縮成型することで医薬錠剤を調製することができる。その後、更にフィルムコーティングを施したフィルムコーティング錠剤としてもよい。
当該医薬錠剤は、前記の処方の医薬組成物を混合し、造粒して顆粒体を調製し、これを圧縮成型することで医薬錠剤を調製することができる。その後、更にフィルムコーティングを施したフィルムコーティング錠剤としてもよい。
すなわち、本発明の医薬錠剤の製造方法は、
(A)エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形が混合された2種類の結晶多形を含む有効成分に対して、結合剤及び配合剤、並びに賦形剤等の任意の添加剤を混合する工程。
(B)前記混合物を造粒する工程
(C)圧縮成型し錠剤にする工程、を含む。
(A)エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形が混合された2種類の結晶多形を含む有効成分に対して、結合剤及び配合剤、並びに賦形剤等の任意の添加剤を混合する工程。
(B)前記混合物を造粒する工程
(C)圧縮成型し錠剤にする工程、を含む。
前記工程(A)は、初めにエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形をそれぞれ秤量して混合した有効成分に対して、結合剤及び配合剤等を加えて混合し、其々の成分の偏りがない混合物とすることで調製する。若しくは、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形と、結合剤及び配合剤、並びに賦形剤等の任意の添加剤をそれぞれ秤量し、任意の順に加えて混合することで調製しても良い。
ついで、工程(A)により調製されたエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とB型結晶多形、並びに結合剤及び崩壊剤、及び賦形剤等の任意の添加剤を含む混合物を造粒する工程(B)を行う。つまり、医薬錠剤を圧縮成型する前に、造粒化操作を行い、造粒体を調製することが好ましい。
造粒体とは、有効成分と種々の添加剤含有する混合物同士が付着して成形された一定の粒子径を有する顆粒状物であり、後の工程において圧縮成型能を向上させるために調製する粒状物である。該造粒体を調製する造粒化操作は、乾式造粒でも湿式造粒でもよい。乾式造粒とは、造粒時に水を添加しない造粒方法であり、湿式造粒とは前記混合物に水及び/又はエタノール、メタノール等の有機溶媒等の水性媒体を適当量添加して、混合操作等の機械的圧力を付加して該混合物同士を付着させ、顆粒状物として造粒する操作である。
造粒化操作としては、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。本発明に係る造粒化操作としては、これらの操作方法から、適宜選択して当該造粒体を調製することができる。
造粒体とは、有効成分と種々の添加剤含有する混合物同士が付着して成形された一定の粒子径を有する顆粒状物であり、後の工程において圧縮成型能を向上させるために調製する粒状物である。該造粒体を調製する造粒化操作は、乾式造粒でも湿式造粒でもよい。乾式造粒とは、造粒時に水を添加しない造粒方法であり、湿式造粒とは前記混合物に水及び/又はエタノール、メタノール等の有機溶媒等の水性媒体を適当量添加して、混合操作等の機械的圧力を付加して該混合物同士を付着させ、顆粒状物として造粒する操作である。
造粒化操作としては、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。本発明に係る造粒化操作としては、これらの操作方法から、適宜選択して当該造粒体を調製することができる。
その後、前記造粒物を、打錠成型等の圧縮成型により錠剤形に成型する工程(C)を行うことにより、医薬錠剤を調製することができる。この際、造粒物に対して滑沢剤を添加して、打錠成型に供しても良い。打錠成型の条件は適宜任意に設定することにより調製できる。
本発明の医薬錠剤の製造方法において、圧縮成型後に得られた錠剤をフィルムコーティングする工程を経てもよい。フィルムコーティングを行う場合、前記医薬錠剤外部であるフィルムコート部分は、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水溶性溶剤に前記コーティング剤に用いられる任意の添加剤を溶解し、錠剤内部である素錠が入ったコーティングパンの中へ注入またはスプレーし、錠剤表面に熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、フィルムコーティングを行うことができる。乾燥工程は、室温〜80℃程度で行うことが好ましい。減圧下で行うことで水性溶剤を揮発させて乾燥しても良い。
本発明の医薬錠剤は、水等の中性域媒体中での有効成分の溶出性を高め、且つ速い崩壊性を有するエルロチニブ塩酸塩の医薬錠剤であることを特徴とする。エルロチニブは弱塩基性化合物であり、0.1N塩酸等の酸性水溶液における溶解度は高く、高い溶出性の錠剤が得られる。一方、水等の中性域水溶液では溶解度が低下し、溶出性も著しく低下する物性である。このため、中性雰囲気の小腸等の消化管における溶出性低下がないような製剤が望まれている。また、当該医薬品は経口的に服用されるものであり、服薬コンプライアンス確保の点から、容易に崩壊して飲みやすい錠剤であることが望まれる。
本発明の医薬錠剤は、水中での高い溶出性と速い崩壊性を両立した製剤であり、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)、並びに日本薬局方崩壊試験法による評価によりその特性を確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、水中での高い溶出性と速い崩壊性を両立した製剤であり、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)、並びに日本薬局方崩壊試験法による評価によりその特性を確認することができる。
すなわち、本発明の溶出特性は、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明の医薬錠剤から有効成分であるエルロチニブ又はその医薬的に許容される塩を試験溶液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液へのエルロチニブの溶出率を評価することで、本発明の医薬錠剤の特徴である有効成分の水中での溶出を高める特性を有する医薬錠剤であることを確認することができる。
また、本発明の崩壊特性は、日本薬局方崩壊試験による崩壊試験法により、本発明の医薬錠剤の水中での崩壊性を評価することで、本発明の医薬錠剤の特徴である水中での高い錠剤崩壊特性を有する医薬錠剤であることを確認することができる。
また、本発明の崩壊特性は、日本薬局方崩壊試験による崩壊試験法により、本発明の医薬錠剤の水中での崩壊性を評価することで、本発明の医薬錠剤の特徴である水中での高い錠剤崩壊特性を有する医薬錠剤であることを確認することができる。
本発明の医薬錠剤は、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験において、試験溶液が900mLの水である時、試験開始から30分で25%以上、60分で30%以上、120分で35%以上の溶出率である溶出特性を有する。より好ましくは、30分で40%以上、60分で45%以上、120分で50%以上の溶出率である溶出特性を有する。
また、日本薬局方崩壊試験による崩壊試験において、試験溶液が水である時、錠剤の崩壊時間が3分以内の崩壊特性を有する。好ましくは崩壊時間が2分以内であることを特徴とする。
また、日本薬局方崩壊試験による崩壊試験において、試験溶液が水である時、錠剤の崩壊時間が3分以内の崩壊特性を有する。好ましくは崩壊時間が2分以内であることを特徴とする。
本発明の医薬錠剤の用途は、エルロチニブにより治療効果を奏する疾病であれば特に限定されるものではなく、例えば、悪性腫瘍の治療に適用することができる。より具体的には、非小細胞肺癌、膵癌、グリオーマ、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肝細胞癌、腎癌、頭頸部癌、骨髄異形成症候群、食道癌等を挙げることができる。
本発明の医薬製剤を用いた医薬品の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更されうるが、例えば成人1日当たり、エルロチニブとして10mg〜1gの範囲の薬剤を投与する。この投与量に限定されるものではないが、適用する好ましい投与量として挙げることができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形3.6g、エルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形32.8g、乳糖水和物(フロイント産業社製)23.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)29.5g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)8.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)1.0gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)2.0gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表1に実施例1の錠剤の調製の処方をまとめた。
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形3.6g、エルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形32.8g、乳糖水和物(フロイント産業社製)23.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)29.5g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)8.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)1.0gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)2.0gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表1に実施例1の錠剤の調製の処方をまとめた。
[実施例2〜5]
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の使用量を表1に記載の量に変更して、該A型結晶多形及び該B型結晶多形の混合比率を調整したこと以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2〜5に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の使用量を表1に記載の量に変更して、該A型結晶多形及び該B型結晶多形の混合比率を調整したこと以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2〜5に係る錠剤を調製した。
[比較例1]
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形36.4g、乳糖水和物(フロイント産業社製)23.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)29.5g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)8.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)1.0gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)2.0gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形36.4g、乳糖水和物(フロイント産業社製)23.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)29.5g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)8.0g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)1.0gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)2.0gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
[比較例2]
有効成分をエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形36.4gを用いた以外は、比較例1と同様の操作により比較例2に係る錠剤を調製した。
有効成分をエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形36.4gを用いた以外は、比較例1と同様の操作により比較例2に係る錠剤を調製した。
[試験例1]溶出試験
実施例1〜5、並びに比較例1及び2で得られた錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:100rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :250nm
定量分析用の標準溶液試料として、試験溶液である水を使用してエルロチニブ塩酸塩溶液を任意の濃度で調製し、波長250nmでの吸光度を測定、これを試験溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のエルロチニブ塩酸塩濃度を計算し溶出率を算出した。
溶出試験の結果を表2に示す。
実施例1〜5、並びに比較例1及び2で得られた錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:100rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :250nm
定量分析用の標準溶液試料として、試験溶液である水を使用してエルロチニブ塩酸塩溶液を任意の濃度で調製し、波長250nmでの吸光度を測定、これを試験溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のエルロチニブ塩酸塩濃度を計算し溶出率を算出した。
溶出試験の結果を表2に示す。
[試験例2]崩壊試験
実施例1〜実施例5、並びに比較例1及び2で得られた錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方崩壊試験により崩壊時間を測定し、崩壊性を評価した。
崩壊試験条件詳細は以下のように設定した。
・崩壊試験器 :NT−20HS、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・ストローク数:30回/分
崩壊試験においては、試験液に水を用い、試験器に錠剤を投入後、試験器内に試料を認めなくなるまで計測を継続し、その時間を錠剤の崩壊時間とする。
崩壊試験の結果を表3に示す。
実施例1〜実施例5、並びに比較例1及び2で得られた錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方崩壊試験により崩壊時間を測定し、崩壊性を評価した。
崩壊試験条件詳細は以下のように設定した。
・崩壊試験器 :NT−20HS、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・ストローク数:30回/分
崩壊試験においては、試験液に水を用い、試験器に錠剤を投入後、試験器内に試料を認めなくなるまで計測を継続し、その時間を錠剤の崩壊時間とする。
崩壊試験の結果を表3に示す。
試験例1及び2の結果より、水試験液において本発明に係る実施例1〜5の錠剤は、比較例1及び比較例2の錠剤と比較して、水試験液において高い溶出性を示し、且つ速い錠剤崩壊性を有することが確認された。
Claims (6)
- エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬錠剤であって、
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形及びエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形を含有し、
結合剤及び崩壊剤を含有する医薬錠剤。 - 崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及び低置換度カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、請求項1に記載の医薬錠剤。
- 結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される1種又は複数種の組み合せである、請求項1又は2に記載の医薬錠剤。
- 崩壊剤がエルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形の含有量に対して0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の医薬錠剤。
- 結合剤がエルロチニブ塩酸塩のB型結晶多形の含有量に対して0.2倍質量以上で4.0倍質量以下を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の医薬錠剤。
- エルロチニブ塩酸塩においてB型結晶多形が50質量%以上で90質量%以下を含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の医薬錠剤。
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