JP6739289B2 - ゲフィチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ゲフィチニブを有効成分として含有する医薬錠剤の製造方法に関する。
ゲフィチニブは、化学名をN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−(モルフォリン−4−イル)プロポキシ]キナゾリン−4−アミンとする、一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
Figure 0006739289
ゲフィチニブはEGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害して腫瘍細胞の増殖を抑制する作用を有する。そこで、悪性腫瘍に対する治療剤として開発が進められ、イレッサ(Iressa(登録商標))の商品名にて抗腫瘍剤として用いられている。特に、野生型のEGFRよりも変異型EGFRに対してよりチロシンキナーゼ阻害活性を有することが判っており、本邦では、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する治療剤として提供されている。
ゲフィチニブは水にほとんど溶解しない物性(1gを溶解するために>100,000mLを要する。(20±5℃))である。一方、ゲフィチニブは弱塩基性化合物であり、水に対する溶解度はpHに大きく依存する。すなわち、pH1では可溶性(1gを溶解するために10〜30mLの水性溶媒を要する。)であるが、pH4〜6で溶解度は大きく低下し、pH6では溶解度が1mg/mL程度に低下し、pH7では実質的に不溶性である。
ゲフィチニブのpH依存的な水溶解性は、経口投与した際の有効成分の溶出性や吸収性に大きく影響する。すなわち、ゲフィチニブを有効成分とする医薬製剤を経口投与すると、酸性環境であるpH1〜4の胃内では良好な水溶解度を有していることから、ゲフィチニブは溶液状態を取り得て、該医薬製剤から十分な溶出がなされ、ゲフィチニブも溶液状態で存在するものと考えられる。しかしながら、経口投与による薬剤が最も吸収される部位として考えられる小腸はpH4〜8である。小腸内環境下では、ゲフィチニブは水溶解度が極端に低下するため溶液状態を取り得ることができず、製剤からの溶出性が低下する懸念がある。また、製剤から放出されたゲフィチニブは固体状態となり消化管吸収ができなくなってしまう懸念がある。その結果、有効成分のバイオアベイラビリティが低下して、薬物動態が大きく変化してしまう問題がある。このため、ゲフィチニブを有効成分とする医薬製剤は、経口投与の消化器経路におけるpH変動域に亘り、製剤からの溶出性の変化がほとんど無いことが重要である。
ゲフィチニブの医薬錠剤製造方法が特許文献1の実施例に開示されている。結合剤の水溶液を添加する湿式顆粒化、圧縮およびフィルムコーティング工程によりゲフィチニブの医薬錠剤が製造できることが記載されている。
特表2005−523293号公報
本発明の目的は、ゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物であって、中性域でも溶出性に変化がない医薬錠剤の製造方法であり、含量均一性を保つことができる医薬錠剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、有効成分としてゲフィチニブを用い、ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程、水性媒体を添加して造粒体を調製する第2工程、造粒体を圧縮して医薬錠剤を得る第3工程を包含する製造方法とすることで、中性域でも溶出に変化がない医薬錠剤を製造でき、さらに含量均一性を保つことができる医薬錠剤の製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]を要旨とする。
[1] ゲフィチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
(1)ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程、
(2)水性媒体を添加して造粒体を調製する第2工程、
(3)造粒体を圧縮して医薬錠剤を得る第3工程、を包含する、医薬錠剤の製造方法。
[2] 結合剤がカルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体、アンモニオアルキルメタクリレート共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合物、ポリアクリル酸部分中和物及びポリビニルアルコールからなる群から選択される1種以上である、[1]に記載の医薬錠剤の製造方法。
[3] 第2工程の水性媒体は、界面活性剤を含有する、[1]又は[2]に記載の医薬錠剤の製造方法。
[4] 医薬錠剤全体における結合剤の含有率が2.5質量%以上30質量%以下である、[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
[5] 医薬錠剤全体におけるゲフィチニブの含有率が50質量%以上である、[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
[6] 第1工程は、崩壊剤も合わせて混合する工程であって、結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が、1〜5:1である、[1]〜[5]の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程を含むことを特徴とする。
本発明のゲフィチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法は、ゲフィチニブを有効成分とする医薬組成物であって、中性域でも溶出性に変化がない医薬錠剤の製造方法であり、含量均一性を保つことができる医薬錠剤の製造方法を提供することができる。
本発明は、有効成分としてゲフィチニブを用い、ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程、水性媒体を添加して造粒体を調製する第2工程、造粒体を圧縮して医薬錠剤を得る第3工程を包含する医薬錠剤の製造方法であることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明は、有効成分としてゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩である薬剤を用いる。ゲフィチニブは、化学名をN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−(モルフォリン−4−イル)プロポキシ]キナゾリン−4−アミンである。当該化合物は、特表平11−504033号公報にて開示されており、それに記載の方法により合成することができる。
ゲフィチニブは、弱塩基性化合物であることから、適当な酸との酸付加塩の態様であっても良い。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、メタンスルホン酸又は4−トルエンスルホン酸とのモノ−又はジ−酸付加塩を用いても良い。
ゲフィチニブは医薬品の有効成分として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが望ましい。本発明において、有効成分であるゲフィチニブは酸付加塩ではなく遊離塩基体のゲフィチニブを用いることが好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程を含むことを特徴とする。前記特許文献1では結合剤を溶解させた後、薬剤と混合している。本発明で用いる結合剤は、水性媒体例えば水に溶解すると、粘度が高くなることが考えられる。そのため、秤量した結合剤を水性媒体に溶解すると容器の壁面に付着するなどして、秤量した結合剤全量をゲフィチニブと混合することができないことが懸念される。結合剤はゲフィチニブの溶出性に影響を与え、特に中性域でのゲフィチニブの溶解性に影響を与えることから、秤量した分量全量をゲフィチニブと混合することが望ましい。そのため、秤量した結合剤を全量固体状のままゲフィチニブと混合することができ含量均一性を保つことができるこの第1工程は重要である。
本明細書における中性域とは、ゲフィチニブが最も吸収される部位として考えられる小腸領域環境のpH域のことであり、pH4〜8の範囲のことである。
本明細書における含量均一性とは、医薬錠剤1錠あたりの有効成分であるゲフィチニブ及び結合剤の各含有量にばらつきがないことである。本発明の製造方法では、ゲフィチニブと結合剤を水性媒体の添加なしに混合することにより、秤量した結合剤全量を薬剤と混合することができる。
本発明における結合剤とは、当該医薬錠剤の主要成分であるゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩及びその他の医薬製剤用添加剤を結合して錠剤型として成型してそれを維持させるための機能を有する添加剤である。本発明に用いられる結合剤としては合成高分子系の結合剤が該当し、これらに分類される結合剤が好適に用いられる。合成高分子系の結合剤は、医薬錠剤の成形性を向上させるだけでなく、ゲフィチニブの中性域における水溶性を向上させるための溶解促進剤としても機能することから、極めて重要な添加剤である。
当該結合剤としては、固体状の結合剤であることが好ましく、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体、アンモニオアルキルメタクリレート共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合物、ポリアクリル酸部分中和物、ポリビニルアルコール等を挙がることができる。好ましくは、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合物、ポリビニルアルコールである。これらは単独で用いても良く、2種類以上の混合物として用いても良い。
前記結合剤は、医薬製剤全体における結合剤の含有率が2.5質量%以上30質量%以下で用いることが望ましい。当該結合剤は、有効成分であるゲフィチニブのpH5〜8における水溶解度を向上させ、当該医薬錠剤の中性域での溶出性を向上させることができることから、積極的に添加することが望ましく、5質量%以上で30質量%以下の処方であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上で25質量%以下の処方である。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、第1工程で得られた混合物に水性媒体を添加して造粒体を調製する第2工程を含む。本発明の水性媒体としては、水を主たる成分とする液体媒体であり、水、又は水と任意の比率で混和し得る有機溶剤と水との混合媒体である。該有機溶剤としては、医薬品製造に許容される有機溶剤であれば特に限定されるものでないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール性溶媒を挙がることができる。水性媒体の適用量は、第1工程で得られた混合物同士が付着して顆粒状の造粒体を形成し得る量を適宜調整して用いればよい。好ましくは該混合物100質量部に対して10〜500容量部である。より好ましくは10〜100容量部である。
前記水性媒体は、界面活性剤を含有していても良い。本発明において、界面活性剤はゲフィチニブの水溶解性を補助するための可溶化剤として用いる。当該界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウロマクロゴール等が挙げられ、これらを単独又は2種以上の混合物として用いても良い。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。界面活性剤は医薬錠剤中において、5質量部以下で用いることが好ましい。
本発明における造粒体とは、ゲフィチニブと固体状の結合剤を含有する混合物同士が付着して成形された一定の粒子径を有する顆粒状物であり、後の工程において圧縮成型能を向上させるために調製する粒状物である。該造粒体を調製する造粒化操作は、いわゆる湿式造粒操作であり、前記混合物に前記水性媒体を適当量添加して、混合操作等の機械的圧力を付加して該混合物同士を付着させ、顆粒状物として造粒する操作である。造粒化操作としては、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。本発明の第2工程に係る造粒化操作としては、これらの操作方法から、適宜選択して当該造粒体を調製することができる。
前記造粒体は、第3工程で圧縮して医薬錠剤とする前に乾燥工程を経ても良い。第2工程で水性媒体を添加し造粒するため、造粒体は水分を含んでいる。第3工程の圧縮時に造粒体に過剰な水分があると医薬錠剤を再現よく製造できないことが考えられる。乾燥温度は造粒体成分の品質に影響を及ぼさない範囲であれば特に限定されないが、60℃前後が好ましい。乾燥時間においても、圧縮に支障のない程度に十分に乾燥されれば特に限定されないが、1時間以上乾燥することが望ましい。乾燥方法には、箱型、通気式、流動層方式、真空式等が挙げられるが、通気式もしくは流動層方式が好ましい。
本発明の医薬錠剤の製造方法は、第2工程で得られた造粒体を圧縮して医薬錠剤を得る第3工程を含む。圧縮して医薬錠剤を調製する方法としては、通常の医薬錠剤の調製方法である打錠成型方法が用いられる。医薬錠剤の形状としては、特に限定されるものではなく、経口的な服用に適する通常の形状及び大きさの錠剤であって良い。
本発明の製造方法により製造される医薬製剤全体におけるゲフィチニブを遊離塩基体含有量として、その含有率が50質量%以上であることが望ましい。
当該医薬錠剤全体におけるゲフィチニブの含有率は、50質量部を超え90質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、ゲフィチニブとして55質量部以上で85質量部以下であり、60質量部以上で80質量部以下であることが特に好ましい。
また、有効成分であるゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩は、当該医薬錠剤の単位製剤当たり、遊離塩基体であるゲフィチニブとして50mg〜500mg含有することが好ましい。より好ましくは100mg〜300mgであり、1錠当り250mg含有した医薬錠剤とすることが好ましい。
前記第1工程は、崩壊剤も合わせて混合する工程であって、結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が、1〜5:1であることが望ましい。医薬錠剤として、錠剤成形性と即放性を達成するためには、この2種類の添加剤を共存させることが必要であり、結合剤と崩壊剤の処方組成比率を調整することにより、溶出の速度や濃度に関連する崩壊速度を制御することができる。したがって、所望の溶出性を奏功させるために、これらの配合比率を適宜設定することが望ましい。一般的には、崩壊剤の処方量を増やすと即放型錠剤となり、溶出性が速い医薬錠剤が得られる。逆に、崩壊剤よりも結合剤の処方量を多くすると、徐放性の錠剤が得られることになる。しかしながら、本発明にて用いられる合成高分子系の結合剤は、ゲフィチニブの水溶解度向上剤としての機能を有することから、pH4〜8における溶出性向上に大きく寄与する。このため、本発明の課題解決のためには、当該結合剤を崩壊剤の処方量以上で用いることが好ましい。すなわち、結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が1〜5:1の添加剤処方組成とすることが好ましい。より好ましくは、結合剤と崩壊剤の含量組成比率は1〜3:1の範囲にて用いる処方である。
本発明における崩壊剤とは、経口投与された医薬錠剤が胃又は小腸等の消化管内において崩壊させるための機能を有する添加剤である。これらは水分を吸収すると膨潤する物性であるものが用いられる。本発明の医薬錠剤は即放性の錠剤が求められ、例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が、好適に用いられる。なお、ゲフィチニブの中性領域における水溶解度を考慮するとカルボン酸及び/またはその塩を官能基として有する崩壊剤を用いることが好ましく、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウムを用いることがより好ましい。
本発明の医薬錠剤において、当該崩壊剤の含有量として2質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。2質量%以上で20質量%以下の処方であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以上で15質量%以下の処方である。
本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は、有効成分としてゲフィチニブ又はその医薬的に許容な塩をゲフィチニブとして50質量%を超える量で含有し、医薬製剤用添加剤として結合剤、崩壊剤及び可溶化剤としての界面活性剤を含有する以外に、滑沢剤、賦形剤、隠蔽剤や着色剤、コーティング剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。これらの医薬製剤用添加剤は、前記第1工程もしくは前記第2工程のいずれの工程で添加しても良く、また第3工程の造粒体の圧縮後に錠剤表面に付着させても良い。
本明細書において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
本明細書において賦形剤としては、乳糖、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン等、上記の結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤に該当しない添加剤が含まれる。
なお、本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は有効成分であるゲフィチニブ又はその塩を50質量%を超える量で含有し、結合剤を2.5質量%以上で30質量%以下の処方、及び崩壊剤を2質量%以上で30質量%以下の処方が好ましいことから、その反面、賦形剤の含有量は低減することになり、該医薬錠剤全体における該賦形剤の含有率が30質量%以下であることが好ましい。医薬錠剤中のゲフィチニブ又はその塩の含量均一性を確保するため、乳糖等の糖類及び/又は結晶セルロース等のセルロース誘導体を賦形剤として用いることが好ましいが、その含有率は該医薬錠剤全体において、30質量%以下であることが好ましい。本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は、賦形剤含有率を30質量%以下にすることで、錠剤の小型化を達成することができることから好ましい。
本明細書において隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
本明細書においてコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースの水溶性塩等の水溶性セルロースエーテルや、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリ(ビニルアルコール−(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アルキル(メタ)アクリレート)共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等の水溶性共重合体を挙げることができる。コーティング剤には、マクロゴール300、マクロゴール6000等のポリエチレングリコール類を可塑剤として共存させて用いても良い。コーティング剤は、即放性を達成するために、胃内溶解性の材料を選択することが好ましい。
本発明はゲフィチニブを有効成分とする経口投与用の医薬錠剤の製造方法に関する。その製剤型は、裸錠、フィルムコーティング錠、分散錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠等の形態の何れの態様であっても良い。
フィルムコーティング剤を調製する場合は、前記の圧縮成型した医薬錠剤に、コーティング剤及び、任意の可塑剤、隠蔽剤や着色剤を、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤にて溶解又は懸濁させたコーティング剤水性溶液を、スプレー等により錠剤表面付着させ、その後、熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、調製することができる。
更に、コーティング剤、隠蔽剤や着色剤、分散剤及び可塑剤を含有する水性溶液を前記医薬錠剤表層に付着させて、フィルムコーティング錠を調製しても良い。
フィルムコーティング剤を調製する場合は、内核となる錠剤に被覆するコーティング剤を含有する水性溶液を用いる。これには、コーティング剤を60〜100質量部、隠蔽剤及び/又は着色剤を0〜10質量部、分散剤を0〜10質量部、可塑剤を0〜20質量部で含有する処方の組成物を、水又はエタノールやアセトン等の水と任意に混和する有機溶剤を含有する水性溶剤による溶液である。なお、隠蔽剤や着色剤等は当該水性溶液に溶解して用いても、懸濁状態で用いても良いなお、分散剤とは例えばマクロゴールが挙げられる。また、可塑剤とは例えば、グリセリン、プロピレングリコール、分子量300〜6000のポリエチレングリコール、ヒマシ油等のトリグリセリド、ジエチルフタレート等を挙がることができる。
フィルムコーティング剤を調製するためには、前記コーティング剤を含有する水性溶液を、前記内核錠の表面に噴霧等の操作により均一に付着させて、これを乾燥することで当該コーティング層を設けることができる。具体的には、内核錠が入ったコーティングパンの中へ、コーティング剤を含有する水性溶液を注入またはスプレーし、錠剤表面に熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、素錠表面に当該コーティング剤を均一に付着させ、その後、乾燥することでコーティング層を設けることができる。乾燥工程は、室温〜80℃程度で行うことが好ましい。減圧下で行うことで水性溶剤を揮発させて乾燥しても良い。
本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は、ゲフィチニブとして50〜90質量部、結合剤を2.5〜30質量部、崩壊剤を2〜20質量部、可溶化剤である界面活性剤を0〜5質量部、賦形剤を5〜30質量部で含有する処方による医薬組成物を混合し、水性媒体を添加して湿式造粒を行い、更に任意に滑沢剤を0.1〜5質量部添加して、これを圧縮成型することで医薬錠剤を調製することができる。
本発明の製造方法により製造される医薬錠剤のより好ましい態様としては、ゲフィチニブとして55〜85質量部、結合剤を5〜30質量部、崩壊剤を2〜20質量部、可溶化剤である界面活性剤を0.1〜5質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、賦形剤を5〜20質量部を含有する処方の錠剤である。これのフィルムコーティング錠であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は、ゲフィチニブを有効成分とする疾患治療剤として用いることができる。特に適用が可能な疾患としては悪性腫瘍であり、抗腫瘍剤として用いられる。本邦ではゲフィチニブはEGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する治療剤として提供されていることから、同じ疾患治療剤に用いることが好ましい。
本発明の製造方法により製造される医薬錠剤の処方は、経口投与によることが好ましく、1日当り50mg〜500mg服用することが好ましい。より好ましくは100mg〜300mgであり、250mgを服用することが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ゲフィチニブ150g、乳糖水和物(ダイラクトーズ、フロイント産業株式会社製)2g、結晶セルロース(セオラス、旭化成ケミカルズ株式会社製)12g、ポビドン(Kollidon、BASF製)21g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose、DFE Pharma製)12gを撹拌造粒機(深江パウテック株式会社:LFS−GS−1J型)で混合した。
この混合物に、ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム「製造専用」、国産化学株式会社製)1.2gを精製水60mLに溶解した造粒水を加えて、撹拌造粒機にて造粒を行った。これを60℃にて60分間以上乾燥した後、20メッシュの篩で整粒し、整粒顆粒を得た。整粒顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)1.8gを混合し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を、打錠機を用いて、錠剤径約9mm、厚み約5.4mm、質量約335mg、硬度100N以上のゲフィチニブの素錠を製造した。
表1に素錠の調製の処方をまとめた。
[表1]
Figure 0006739289

[比較例1]
イレッサ(登録商標)錠250を6錠準備し、それぞれの錠剤からコーティングフィルムを剥がし、素錠のイレッサ(登録商標)錠250を6錠作成した。
[試験例1]溶出性試験
実施例1で得られたゲフィチニブ素錠および比較例1で得たイレッサ(登録商標)錠250素錠をそれぞれ6錠ずつ用意し、日本薬局方に記載される方法で調製したpH5.0の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
試験液量 :900mL
試験液温 :37±0.5℃
パドル回転数:50rpm
分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
測定波長 :247nm

定量分析用の標準溶液試料として、pH5溶液を使用してゲフィチニブ溶液を任意の濃度で調製し、波長247nmでの吸光度を測定、これを各pH溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のゲフィチニブ濃度を計算し溶出率を算出した。得られた結果を表2に示す。
[表2]
Figure 0006739289
結合剤を造粒水に溶解させて造粒を実施している比較例1に対し、結合剤を粉末の状態で混合し次いで界面活性剤を含んだ水溶液を添加して造粒を実施した実施例1では、中性域であるpH5溶液下において同等の平均溶出率を示した。しかし、比較例1では個々の溶出率にバラつきが見られたのに対し実施例1ではそのバラつきが抑えられ、個々の錠剤における溶出率の均一性が保たれていた。特に錠剤の崩壊性が溶出率に大きく影響を与えるとされる15分以下の測定点においても、実施例1は溶出率の均一性が確認された。これは、溶出率に影響を与える結合剤を粉末の状態で混合することにより、結合剤と有効成分であるゲフィチニブが均一に混合され、錠剤を製した場合でも錠剤中の各処方成分の含量均一性が保たれたことに起因していると考えられる。

Claims (4)

  1. ゲフィチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
    (1)ゲフィチニブと固体状の結合剤を混合する第1工程、
    (2)界面活性剤を含有する含水溶液である水性媒体を添加して造粒体を調製する第2工程、
    (3)造粒体を圧縮して医薬錠剤を得る第3工程、を包含し、
    結合剤が、ポリビニルピロリドンである、医薬錠剤の製造方法。
  2. 医薬錠剤全体における結合剤の含有率が2.5質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の医薬錠剤の製造方法。
  3. 医薬錠剤全体におけるゲフィチニブの含有率が50質量%以上である、請求項1又は2に記載の医薬錠剤の製造方法。
  4. 第1工程は、崩壊剤も合わせて混合する工程であって、結合剤及び崩壊剤の含有量質量比率が、1〜5:1である、請求項1〜の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。

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