JP2019073488A - アプレピタントを有効成分とする医薬錠剤 - Google Patents
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Description
アプレピタントは、選択的にNK1受容体を拮抗し制吐作用を有する。このため、CINVに対する新規作用機序の予防薬として用いられており、イメンド(登録商標)カプセルの商品名にて提供されている。
このため、アプレピタントを有効成分とする医薬製剤は、経口的に服用した場合に良好なバイオアベイラビリティを得るため、酸性環境であるpH1〜4の胃内において、良好な崩壊を示し、良好な溶解を示すことが重要である。
これらの先行技術文献に記載の溶出性を向上させたアプレピタント組成物は、賦形剤、崩壊剤等の製剤添加物と共に混合してカプセル充填し、カプセル剤として用いられることが記載されている。
しかしながら、カプセル剤は嚥下困難な製剤形であるとされている。特に臨床で用いられているアプレピタント製剤(イメンド(登録商標)カプセル)は1号及び2号カプセルと比較的大型形状の製剤で提供されている。アプレピタントは化学療法を受けている患者が対象で、悪心・嘔吐を抑制する目的で使用されている事から、比較的服用し易い医薬錠剤としての提供が望まれている。
[2] マンニトールが、マンニトールを含む賦形剤造粒物である前記[1]に記載の医薬錠剤。
[3] 賦形剤造粒物が、マンニトール及び崩壊剤を含有する賦形剤造粒物である前記[2]に記載の医薬錠剤。
[4] 賦形剤造粒物が、マンニトール、カルメロース、クロスポビドン及び結晶セルロースを含む賦形剤造粒物である前記[2]又は[3]に記載の医薬錠剤。
[5] アプレピタント1質量部に対し、前記賦形剤造粒物を1質量部以上5質量部以下で含有する前記[2]乃至[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
本発明のマンニトールを賦形剤として用いて調製したアプレピタント錠剤は、優れた溶出性を示す。マンニトールを賦形剤造粒物の形態で用いることにより特に優れた溶出性を有する医薬錠剤とすることができる。該賦形剤造粒物は、マンニトール、並びに任意の1種以上の崩壊剤、結合剤等の医薬製剤添加物を含んで予め造粒された顆粒状物である。
[6] 更に崩壊剤を含有する前記[1]乃至[5]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
本発明は、アプレピタントと前記賦形剤造粒物に、更に崩壊剤を用いることで、更に溶出性を速めることができる。
[7] アプレピタントを水溶性高分子担体との固体分散体で含有する前記[1]乃至[6]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
本発明は、アプレピタントを固体分散体として用いることで、アプレピタントの水系媒体における溶出性向上と溶解度を高めることができる。
アプレピタントは医薬品の有効成分として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが望ましい。
有効成分であるアプレピタントは、当該医薬錠剤総量に対し10質量%以上50質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
マンニトールは、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上50質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
例えば、D−マンニトール、カルメロース、クロスポビドン、結晶セルロースを構成成分とするプレミックス型添加剤(グランフィラーD(登録商標))、D−マンニトール、クロスポビドン、ポリビニルアセテート、ポビドンを構成成分とするプレミックス型添加剤(ルディフラッシュ(登録商標))、D−マンニトール、クロスカルメロースナトリウムを構成成分とするプレミックス型添加剤(パーテックODT(登録商標))等が入手可能であり、これら市販の賦形剤造粒物を用いても良い。
例えば、D−マンニトール、カルメロース、クロスポビドン、結晶セルロースを構成成分とするプレミックス型添加剤(グランフィラーD(登録商標))、D−マンニトール、クロスポビドン、ポリビニルアセテート、ポビドンを構成成分とするプレミックス型添加剤(ルディフラッシュ(登録商標))等が入手可能であり、これら市販の賦形剤造粒物を用いることが特に好ましい。
また、アプレピタント1質量部に対し、前記賦形剤造粒物が1質量部以上10質量部以下で含有する錠剤であることが好ましい。賦形剤造粒物が1質量部より少ない場合、溶出性が十分に確保できない懸念がある。一方、賦形剤造粒物が10質量部より多い場合、錠剤中のアプレピタント含量が低下するため、当該医薬錠剤の服用量が増大して服薬コンプライアンスの低下をもたらすため好ましくない。アプレピタント1質量部に対し、前記賦形剤造粒物が1質量部以上5質量部以下で含有する錠剤であることが好ましい。
本発明は錠剤や口腔内崩壊錠といった錠剤形態である。すなわち本発明の医薬錠剤は、有効成分としてアプレピタントとマンニトール若しくはマンニトールを含む賦形剤造粒物を用い、これに任意の崩壊剤、賦形剤、滑沢剤等の製剤用添加剤と併せて混合し、成型することで調製される錠剤である。
当該錠剤を調製するためには、任意に崩壊剤、賦形剤、滑沢剤、可溶化剤、結合剤、流動化剤、コーティング剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
当該崩壊剤の使用量は、当該医薬製剤における崩壊剤の含有率が1質量%以上20質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬製剤中に4質量%以上12質量%以下で用いることである。
賦形剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し5質量%以上50質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上5質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
本発明においてコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース等が挙げられる。
本発明において安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、亜硫酸塩等が挙げられる。
本発明において保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類等が挙げられる。
本発明において矯味剤としては、白糖、D−ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
本発明において着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
固体分散体とは、固体状態で高分子担体中に医薬有効成分が分散して存在するものであり、当該固体分散体とは、アプレピタントが高分子担体と略均一に混同されて分散された固体状態物質を意味する。固体分散体中のアプレピタントは特に限定されるものではないが、非晶質状態である事が好ましい。
ポビドンはコリドン25、コリドン30(BASFジャパン株式会社製)として入手可能である。ヒドロキシプロピルセルロースはNISSO HPC L、HPC SL、HPC SSL等の各グレード(日本曹達株式会社製)として入手可能である。コポリビドンは、コリドンVA64(BASFジャパン株式会社製)として入手可能である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、TC−5のEタイプ、Rタイプ、Sタイプ(信越化学工業株式会社製)として入手可能である。ポリビニルカプロラクタム−ポリビニル酢酸−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーはソルプラス(登録商標、BASFジャパン株式会社製)として入手可能である。固体分散体に用いる水溶性高分子担体は、これら市販品をそのまま用いてもよい。
当該固体分散体は、有効成分であるアプレピタントが当該医薬錠剤総量に対し10質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上40質量%以下の含有量で適用することが好ましい。該固体分散体は、当該医薬錠剤総量に対し20質量%以上80質量%以下で使用することが好ましく、好ましくは25質量%以上70質量%以下である。
溶液調製は室温で行っても良く、溶解を促すために当該溶媒の沸点以下の温度に加温して溶液調製しても良い。
溶媒を留去する方法は、大気圧雰囲気下で蒸留留去しても良く、減圧下で溶媒留去しても良い。また、噴霧乾燥法により溶媒留去しても良い。アプレピタント及び水溶性高分子担体の安定性を考慮して適宜条件を設定するべきである。
当該医薬錠剤は、アプレピタント及びマンニトール、並びに任意の崩壊剤、結合剤、滑沢剤等の医薬製剤用添加剤を配合して、場合によって任意に顆粒体を調製した後、これを圧縮成型することにより医薬錠剤を調製することができる。圧縮成型する前に、滑沢剤を別に添加して錠剤形に成型しても良い。
マンニトールを含有する賦形剤造粒物を用いる場合も同様に、アプレピタント、並びに任意の添加剤と共に配合して、圧縮成型することで当該医薬錠剤を調製することができる。
アプレピタントを固体分散体として用いる場合も同様に、アプレピタントを含む固体分散体、並びにマンニトール及び/又はマンニトールを含有する賦形剤造粒物、並びに任意の添加剤と共に配合して、圧縮成型することで当該医薬錠剤を調製することができる。
フィルムコーティング錠を調製する場合は、前記の圧縮成型した医薬錠剤に、コーティング剤及び、任意の可塑剤、隠蔽剤や着色剤を、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水性溶剤にて溶解又は懸濁させたコーティング剤水性溶液を、スプレー等により錠剤表面付着させ、その後、熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、調製することができる。
前記の試験溶液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験溶液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である速やかな溶出性を確認することができる。
[実施例1]
アプレピタント1g、ポビドン(コリドン30、BASFジャパン株式会社製)1gを混合した。この混合物に、無水エタノール(甘糟化学工業株式会社製)40mLを加え超音波を照射し、アプレピタント及びポビドンの溶解を確認した。この混合溶液を、エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて減圧乾燥した。この混合物を乳鉢に入れ、乳棒を用いて粉砕して固体分散体1を調製した。
この固体分散体1を1.125g、D−マンニトール−カルメロース−クロスポビドン−結晶セルロースを構成成分とするプレミックス賦形剤(グランフィラーD(登録商標)DNF−D215、ダイセルファインケム株式会社製)0.878g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.225gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.023gを加えて打錠することで、実施例1に係る錠剤を調製した。
アプレピタント1g、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L、日本曹達株式会社製、GPC法による分子量が140,000以下、20℃における2%水溶液の粘度が6〜10mPa・s)1gを混合した。この混合物に、無水エタノール(甘糟化学工業株式会社製)40mLを加え超音波を照射し、アプレピタント及びヒドロキシプロピルセルロースの溶解を確認した。この混合溶液を、エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて減圧乾燥した。この混合物を乳鉢に入れ、乳棒を用いて粉砕して固体分散体2を調製した。
この固体分散体2を1.838g、D−マンニトール−カルメロース−クロスポビドン−結晶セルロースを構成成分とするプレミックス賦形剤(グランフィラーD(登録商標)DNF−D215、ダイセルファインケム株式会社製)1.433g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.368gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.037gを加えて打錠することで、実施例2に係る錠剤を調製した。
アプレピタント2g、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC SL、日本曹達株式会社製、GPC法による分子量が100,000以下、20℃における2%水溶液の粘度が3〜5.9mPa・s)2gを混合した。この混合物に、無水エタノール(甘糟化学工業株式会社製)80mLを加え超音波を照射し、アプレピタント及びヒドロキシプロピルセルロースの溶解を確認した。この混合溶液を、エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて減圧乾燥した。この混合物を乳鉢に入れ、乳棒を用いて粉砕して固体分散体3を調製した。
この固体分散体3を1.838g、D−マンニトール−カルメロース−クロスポビドン−結晶セルロースを構成成分とするプレミックス賦形剤(グランフィラーD(登録商標)DNF−D215、ダイセルファインケム株式会社製)1.433g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.368gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.037gを加えて打錠することで、実施例3に係る錠剤を調製した。
アプレピタント2g、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC SSL、日本曹達株式会社製、GPC法による分子量が40,000以下、20℃における2%水溶液の粘度が2〜2.9mPa・s)2gを混合した。この混合物に、無水エタノール(甘糟化学工業株式会社製)80mLを加え超音波を照射し、アプレピタント及びヒドロキシプロピルセルロースの溶解を確認した。この混合溶液を、エバポレーター(日本ビュッヒ株式会社製)を用いて減圧乾燥した。この混合物を乳鉢に入れ、乳棒を用いて粉砕して固体分散体4を調製した。
この固体分散体4を1.838g、D−マンニトール−カルメロース−クロスポビドン−結晶セルロースを構成成分とするプレミックス賦形剤(グランフィラーD(登録商標)DNF−D215、ダイセルファインケム株式会社製)1.433g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.368gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.037gを加えて打錠することで、実施例4に係る錠剤を調製した。
実施例1に記載の固体分散体1を1.125g、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、DFE Pharma社製)0.878g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.225gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.023gを加えて打錠することで、比較例1に係る錠剤を調製した。
実施例1に記載の固体分散体1を0.550g、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、DFE Pharma社製)0.374g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.165gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.011gを加えて打錠することで、比較例2に係る錠剤を調製した。
実施例1に記載の固体分散体1を0.550g、無水乳糖(Super Tab(登録商標) 21 AN、DFE Pharma社製)0.143g、結晶セルロース(セオラス(登録商標) PH−200、旭化成ケミカルズ株式会社製)0.286g、クロスカルメロースナトリウム(Primellose(登録商標)、DFE pharma製)0.110gを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方ステアリン酸マグネシウム、日油株式会社製)0.011gを加えて打錠することで、比較例3に係る錠剤を調製した。
アプレピタントの市販製品であるイメンド(登録商標)カプセル125mgを用いた。
実施例1〜4並びに比較例1〜3の錠剤を、0.5%のポリソルベート80(日本薬局方 ポリソルベート80、純正化学株式会社製)を添加した日本薬局方に記載されている方法で調製したpH1.2の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR−6400A、富山産業株式会社製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpmとして溶出率を評価した。
経時点は5分、10分、15分、20分、30分、60分、120分とし、サンプリング量を3mLとし、液体クロマトグラフィーにて測定した。
定量分析用の標準溶液試料として、アプレピタント13.8mgをメタノール(高速液体クロマトグラフ用、和光純薬工業株式会社製)2mLに溶解し、精製水に2.2%のポリソルベート80(日本薬局方 ポリソルベート80、純正化学株式会社製)を添加した溶液で100mLとなるように希釈したアプレピタント溶液(濃度125mg/900mL)を用いた。
得られた結果を表2に示す。
Claims (7)
- アプレピタントを有効成分とする医薬錠剤であって、賦形剤としてマンニトールを含有する医薬錠剤。
- マンニトールが、マンニトールを含む賦形剤造粒物である請求項1に記載の医薬錠剤。
- 賦形剤造粒物が、マンニトール及び崩壊剤を含有する賦形剤造粒物である請求項2に記載の医薬錠剤。
- 賦形剤造粒物が、マンニトール、カルメロース、クロスポビドン及び結晶セルロースを含む賦形剤造粒物である請求項2又は3に記載の医薬錠剤。
- アプレピタント1質量部に対し、前記賦形剤造粒物を1質量部以上5質量部以下で含有する請求項2乃至4の何れか一項に記載の医薬錠剤。
- 更に崩壊剤を含有する請求項1乃至5の何れか一項に記載の医薬錠剤。
- アプレピタントを水溶性高分子担体との固体分散体で含有する請求項1乃至6の何れか一項に記載の医薬錠剤。
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