JP6866113B2 - カペシタビンを有効成分とする医薬製剤 - Google Patents

カペシタビンを有効成分とする医薬製剤 Download PDF

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Description

本発明は、カペシタビンを有効成分として含有する医薬製剤に関する。
カペシタビンは、化学名を5’−デオキシ−5−フルオロ−N−[(ペンチルオキシ)−カルボニル]−シチジンとする、一般式(1)で示される構造を有する抗腫瘍性を有するフルオロシチジン誘導体である。
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カペシタビンは、手術不能又は再発乳癌、結腸癌における術後補助化学療法、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌、並びに胃癌を適応症とする経口投与用の抗腫瘍剤として知られている。経口投与されたカペシタビンは消化管により吸収され、腫瘍組織において高レベルで存在するチミジンホスホリラーゼにより活性体である5−フルオロウラシル(5−FU)に変換されて抗腫瘍効果を発揮するよう企図してデザインされたプロドラッグ型経口抗腫瘍剤である。カペシタビンは、ゼローダ(登録商標)の商品名でフィルムコーティングされた錠剤として提供されている。
カペシタビンを有効成分とする医薬製剤としては、例えば、特許文献1は、カペシタビンを包含するフルオロシチジン誘導体が開示され、その誘導体を有効成分として、乳糖、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた錠剤が記載されている。また、特許文献2に嚥下困難な患者が服用するのに好適な速崩壊性医薬錠剤として、無水乳糖、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース等を含有する処方が記載されている。
特許第2501297号公報 特表2012−512142号公報
カペシタビンは経口投与で用いられる抗腫瘍剤であり、服用後に速やかに有効成分が溶出して吸収され得る医薬製剤であることが求められる。一方、経口投与に供せられる医薬製剤として成形性に優れ、打錠障害等が生じない均一な成形体であることが求められる。
本発明の目的は、カペシタビンを有効成分として含有する医薬製剤において、溶出性に優れ、且つ医薬製剤の成形性に優れた医薬製剤を提供することを課題とする。
本発明者は、有効成分としてカペシタビンを含む医薬製剤において、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を結合剤として用いることで、速やかな溶出性を発揮させることができると共に、得られる医薬製剤が均一な成形体であり、製剤調製時において打錠障害が生じずに成形性に優れる医薬製剤を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]を要旨とする。
[1] カペシタビンを有効成分とする医薬製剤であって、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を含有する医薬製剤。
[2] 医薬製剤中の20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体の含有量が0.5質量%〜5.0質量%である、前記[1]に記載の医薬製剤。
本発明はカペシタビンを有効成分とする医薬製剤において、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を用いることを特徴とする。当該水溶性セルロース誘導体は、結合剤であることから当該医薬製剤の表層部のみに偏在することなく内核部にも分布して含有することを特徴とする。本発明はこの構成により、優れた溶出性と成形体調製に優れた医薬製剤を提供することができる。
[3] (A)カペシタビン、(B)賦形剤、(C)結合剤、(D)崩壊剤を含む医薬製剤であり、前記結合剤(C)が、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を含む、前記[1]又は[2]に記載の医薬製剤。
[4] 医薬製剤において、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)が0.5〜5.0質量%を含み、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を0.5〜2.0質量%を含む、前記[3]に記載の医薬製剤。
[5] (A)カペシタビンが30質量部〜90質量部、(B)賦形剤が5質量部〜50質量部、(C)結合剤が1質量部〜5質量部であって、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)が0.5〜5.0質量部を含み、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を0.5〜2.0質量部であり、(D)崩壊剤が1質量部〜20質量部で含まれている、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬製剤。
本発明の医薬製剤のより好ましい態様として、カペシタビン(A)及び20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)に加えて、賦形剤(B)、第2の結合剤として20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)並びに崩壊剤(D)を用いる処方を挙げることができる。結合剤として粘度の異なる2種類の高分子結合剤を用いることで、有効成分であるカペシタビンの溶出性の制御と医薬製剤の成形性という相反する2つの物性を容易にコントロールすることができる。
[6] 2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体が、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロース及びその塩からなる群から選択される1種以上である、前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の医薬製剤。
本発明のカペシタビンを有効成分とする医薬製剤は、溶出性に優れ、且つ医薬製剤の成形性に優れた医薬製剤を提供することができる。
実施例1のカペシタビン錠剤の硬度測定後の錠剤破壊状態を示す。 実施例3のカペシタビン錠剤の硬度測定後の錠剤破壊状態を示す。 比較例2のカペシタビン錠剤の硬度測定後の錠剤破壊状態を示す。
本発明は、カペシタビンを有効成分とする医薬製剤であって、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を含有する医薬製剤であることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
本発明は、有効成分としてカペシタビンを用いる。カペシタビンは化学名(+)−ペンチル 1−(5−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−4−ピリミジンカーボネートであり、特許第2501297号公報に記載の方法に従い調製することができる。カペシタビンは医薬品として認容できる品質であるものを用いることが好ましい。
本発明に係る医薬製剤において、有効成分であるカペシタビンは30質量%以上90質量%以下の含有率で用いることが好ましい。より好ましくは、50質量%以上85質量%以下で用いられる。
経口投与用の医薬製剤は、有効成分と共に、賦形剤、崩壊剤等の医薬製剤添加剤を用いて一定形状に成形して調製される。このため、これらの製剤処方物を一体にするための結合剤が用いられる。本発明の医薬製剤は、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を用いることを特徴とする。結合剤として用いるということは、当該水溶性セルロース誘導体は、医薬製剤の表層に偏在することなく、該医薬製剤の内部構造にも分布することを特徴とする。
「20℃における2%水溶液粘度」とは、日本薬局方に記載されている粘度測定法により測定された粘度のことである。粘度測定法には、毛細管粘度計法と回転粘度計法がある。ウベローデ型粘度計を用いた毛細管粘度計法で測定した粘度であることが望ましい。すなわち、本発明は、極めて低粘度の水溶性セルロース誘導体を結合剤として用いることを特徴とする。
前記水溶性セルロース誘導体は、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜10mPa・sであるものを用いることが好ましい。
20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体とは、特に限定されるものではないが、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム、カリウム等の塩を挙げることができる。これらはセルロースに適当当量の置換基を導入して水溶性を付与しており、製剤調製おいて問題が生じることが無い程度の水溶性が付与された置換度のものを用いれば良い。好ましくは、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
水溶性セルロース誘導体の水溶液粘度は分子量に影響される。20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体の分子量は、SEC分析法により5kDa〜200kDaと検出される。好ましくは10kDa〜100kDaの分子量である。用いる水溶性セルロース誘導体は、絶対分子量値を測定しなくとも、公知の20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を標準物質として用い、SEC分析により溶出時間により当該水溶液粘度の物性であることを推算する方法を用いて分析することができる。
また、前記水溶性セルロース誘導体は、水溶性を付与するためにセルロースに化学修飾される置換基の置換度で特定することができる。「置換度」とは、換算した乾燥物に対し、各置換基が含まれている質量%である。例えば、当該水溶性セルロース誘導体としてのヒドロキシプロピルメチルセルロースは、置換度がメトキシ基:25.0質量%以上35.0質量%以下であり、ヒドロキシプロポキシ基:5.0質量%以上15.0質量%以下であることが望ましい。置換度がメトキシ基:28.0質量%以上30.0質量%以下であり、ヒドロキシプロポキシ基:7.0質量%以上12.0質量%以下であることがより好ましい。また、メチルセルロースの場合は、メトキシ基の置換度が26.0質量%以上33.0質量%以下であることが好ましい。
20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体は、市販品を用いても良い。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、商品名TC−5(登録商標)E(粘度;3mPa・s)、TC−5(登録商標)M(粘度;4.5mPa・s)、TC−5(登録商標)R(粘度;6mPa・s)、TC−5(登録商標)S(粘度;15mPa・s)、SB−4(粘度;4mPa・s)(信越化学工業株式会社)等のヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。またメチルセルロースとしては、商品名METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SM−4(粘度;4mPa・s)(信越化学工業株式会社)を挙げることができる。
20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体は、結合剤として用いられ、本発明に係る医薬製剤において0.1質量%以上10.0質量%以下の含有率で用いることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上5.0質量%以下で用いられる。
当該水溶性セルロース誘導体は、有効成分であるカペシタビン及び任意の他の添加剤と共に混合して製剤組成物の結合剤として用いられる。その適用方法としては、該水溶性セルロース誘導体を固体状態で他の製剤成分と混合した製剤組成物を、適当な圧力を付加して製剤組成物同士を結合させる乾式造粒法により結合剤として作用させても良い。また、該水溶性セルロース誘導体の水溶液として、他の製剤組成物に添加して用いて、いわゆる湿式造粒法により結合剤機能を提供させても良い。
本発明における医薬製剤は、カペシタビンを有効成分とする医薬品として用いられる態様の製剤型であれば良い。カペシタビンは経口投与により用いられる抗腫瘍剤であることから、経口的に服用され得る製剤型であれば特に限定されることなく、本発明に含まれる。例えば、普通錠や口腔内崩壊錠、分散錠等の錠剤、顆粒製剤、カプセル製剤等が挙げられる。本発明は、溶出性と成形性を考慮していることから、一定形状に成形されて提供される錠剤型であることが好ましい。
本発明の医薬製剤は、有効成分であるカペシタビン及び結合剤である20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体以外に、他の製剤添加剤を含んだ態様であることが好ましい。すなわち、(A)カペシタビン、(B)賦形剤、(C)結合剤、(D)崩壊剤を含む医薬製剤であって、該結合剤(C)として、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を含有した医薬製剤であることが好ましい。
前記賦形剤(B)としては、セルロース誘導体及び/又は糖類を用いることが挙げられる。
セルロース誘導体としては、医薬品製剤調製において通常用いられている添加剤であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等を挙げることができる。結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
糖類としては、医薬品製剤調製において通常用いられている添加剤であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、アラビノース、イソマルトース、イノシトール、エリスリトール、ガラクトサミン、ガラクトース、キシリトール、キシロース、グルコサミン、グルコース、ゲンチオビオース、コージビオース、ショ糖、セロビオース、ソホロース、ソルビトール、チオグルコース、ツラノース、デオキシリボース、ニゲロース、パラチノース、フコース、フルクトース、マンニトール、マルトース、マンノース、メリビオース、乳糖、ラムノース、ラミナリビオース、トレハロース等が挙げられる。乳糖、マンニトール、マルトース、エリスリトール、ショ糖、ソルビトール、フコース、キシリトール、フルクトース、イノシトール、トレハロースを用いることが好ましい。
前記セルロース誘導体及び/又は糖類は、単独で用いても良くこれらを数種類で併用して用いても良い。好ましくは、セルロース誘導体及び糖類の混合物を賦形剤として用いることが好ましい。結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される1種以上のセルロース誘導体、並びに乳糖、マンニトール、マルトース、ショ糖、キシリトール、フルクトース及びトレハロースからなる群から選択される1種以上の糖類を組み合せた混合物を賦形剤として用いることが好ましい。
賦形剤(B)としてセルロース誘導体や糖類以外の、その他の添加剤を用いても良い。例えば、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉、カルボシキメチルスターチナトリウム等の澱粉類、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム類、リン酸カリウム類、リン酸アンモニウム類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機添加剤が挙げられる。
本発明の医薬製剤における賦形剤(B)の含有量は、5質量%以上で50質量%以下であることが好ましい。医薬製剤中のカペシタビンの含量均一性を確保するため、結晶セルロース等のセルロース誘導体及び/又は乳糖等の糖類を賦形剤として用いることが好ましいが、その含有率は該医薬製剤において30質量%以下とすることがより好ましい。本発明の製造方法により製造される医薬錠剤は、賦形剤含有率を30質量%以下にすることで、錠剤の小型化を達成することができることから好ましい。したがって賦形剤は5質量%以上で30質量%以下の処方であることが好ましい。更に好ましくは、賦形剤は5質量%以上で20質量%以下の処方である。
本発明の医薬製剤は、結合剤(C)を含有し、その結合剤が20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)、並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を併用して用いる結合剤(C)であることが好ましい。
当該結合剤(C)としての水溶性セルロース誘導体(c1)は前述の20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体と同義である。
もう一方の結合剤である20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒロドキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等の水溶性セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコールグラフトコポリマー等の合成水溶性高分子類等の、固形製剤に通常用いられている結合剤を用いることができる。水溶性高分子(c2)は、単独種類で用いても良く、必要により2種類以上を併用して用いても良い。
もう一つの結合剤成分である前記水溶性高分子(c2)としては、メチルセルロース、ヒロドキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。より好ましくは水溶性セルロース誘導体を用いることであり、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。特に、前述した水溶性セルロース誘導体(c1)と同種のセルロース誘導体を併用して用いることが特に好ましい。
前記20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)は、上記ポリマー成分を含有する市販品を用いても良い。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、商品名METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−100SR(粘度;100mPa・s)、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−4000SR(粘度;4,000mPa・s)、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−15000SR(粘度;15,000mPa・s)、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−100000SR(粘度;100,000mPa・s)、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)60SH(粘度;4,000、10,000mPa・sの各種)、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)65SH(粘度;400、1,500、4,000mPa・sの各種)(信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、メチルセルロースとしては、商品名METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SM(粘度;100、400、1,500、4,000mPa・sの各種)が挙げられる。
もう一方の結合剤である水溶性高分子(c2)は、20℃における2%水溶液粘度が4,000mPa・s〜50,000mPa・sである水溶性高分子であることが好ましい。より好ましくは2%水溶液粘度が10,000mPa・s〜21,000mPa・sである水溶性高分子である。
当該水溶性高分子(c2)の水溶液粘度は分子量に影響される。20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子の分子量は、SEC分析法により100kDa〜2,000kDaと検出される。好ましくは300kDa〜1,000KDaの分子量である。したがって、水溶性高分子(c2)を特定するためには絶対分子量値を測定せずとも、公知の20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子を標準物質として用い、SEC分析により溶出時間により当該水溶液粘度の物性であることを推算する方法を用いて分析することができる。
本発明の医薬製剤において、もう一方の結合剤である水溶性高分子(c2)の含有量として0.1質量%以上で10.0質量%以下であることが好ましい。0.5質量%以上で5.0質量%以下の処方であることがより好ましい。更に好ましくは、0.5質量%以上で2.0質量%以下の処方である。
当該水溶性高分子(c2)は、有効成分であるカペシタビン及び他の添加剤と共に混合して製剤組成物として用いられる。適用方法としては、該水溶性高分子(c2)を固体状態で混合して適当な圧力を付加して製剤組成物を結合させても良い。また、該水溶性高分子(c2)の水溶液として用いて、いわゆる湿式造粒法により結合剤機能を提供させても良い。水溶液として用いる場合、前述した水溶性セルロース誘導体(c1)と併せた水溶液を調製して、これを処方しても良い。
本発明の医薬製剤は、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を混合した結合剤(C)として、0.5質量%以上であり10.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1.0質量%以上であり5.0質量%以下で用いることが好ましい。
本発明における結合剤(C)は、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を併用した結合剤(C)であることが好ましい態様である。一般に、結合剤含量を増量すると、成形性は向上するものの、溶出性が低下することが懸念される。本発明は極めて低粘度の物性を有する結合剤を用いることで、成形性と溶出性の相反する製剤物性を両立させることができる発明であるが、(c1)及び(c2)の粘度の異なる結合剤を使用することで、成形性と溶出性の物性の両立を制御し易くすることができる。
本発明のカペシタビンを有効成分とする医薬製剤において、上記の成形性と溶出性を制御する上で、前記水溶性セルロース誘導体の結合剤(c1)と前記水溶性高分子の結合剤(c2)の含有量の比率は、成形性と溶出性を性状を確認しながら適宜、任意の割合で用いることができるものであるが、より好ましくは(c1):(c2)の質量部比率として、1〜3:1の混合比率で用いることが好ましい。
本発明の医薬製剤は、経口投与された医薬製剤が胃又は小腸等の消化管内において速やかに崩壊して速い溶出を促すために崩壊剤(D)を含有する。これは水分を吸収すると膨潤する物性であるものが用いられる。
崩壊剤(D)としては、例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウムを用いることがより好ましい。
本発明の医薬製剤において、当該崩壊剤の含有量として0.5質量%以上で30質量%以下であることが好ましい。1質量%以上で20質量%以下の処方であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上で10質量%以下の処方である。
本発明の医薬製剤は、(A)カペシタビンが30質量部〜90質量部、(B)賦形剤が5質量部〜50質量部、(C)結合剤が1質量部〜5質量部、(D)崩壊剤が1質量部〜20質量部で含まれていることが望ましい。好ましくは、(A)カペシタビンとして50〜85質量部、(B)賦形剤を5〜40質量部、(C)結合剤を1〜5質量部、(D)崩壊剤を1〜10質量部を含有する処方による医薬製剤である。
そして前記結合剤(C)は、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)を0.5質量部〜5.0質量部で含み、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を0.5質量部〜2.0質量部で含む結合剤であることが好ましい。
本発明の医薬製剤は、前述した(A)カペシタビン、(B)賦形剤、(C)結合剤、(D)崩壊剤の他に、本発明の効果を妨げない範囲で医薬品製剤を調製するために通常用いられる他の添加剤を含んでいても良い。例えば、滑沢剤、隠蔽剤や着色剤等の、医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を用いても良い。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬製剤又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
また、本発明の医薬製剤は、成形体にフィルムコーティングを施した態様であっても良い。特にカペシタビンはDNA合成を阻害する作用を有する劇薬であり、該医薬製剤を取扱う者のケミカルハザード対策として、コーティング製剤とすることが好ましい。
コーティングは、常法に従いコーティング基材である水溶性ポリマーを被覆することで行われる。すなわち、水溶性ポリマーを含有する溶液を素製剤に噴霧して表層に均一に付着させた後、溶剤を除去してコーティング層を設置してフィルムコーティング製剤を調製することができる。
コーティング基材としての水溶性ポリマーの適当な例としては、以下に限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
コーティング基材には、水溶性ポリマーに更に可塑剤、流動促進剤、隠蔽剤又は着色剤を任意に添加していても良い。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、フタル酸ジエチル、グリセリン、トリアセチン等が含まれる。流動促進剤としては、タルク、滑石、ヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウム等が含まれる。隠蔽剤又は着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
コーティング基材は、医薬製剤の表面積やコーティング層の厚さに応じて、素製剤100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部の水溶性ポリマーを用いれば良い。
カペシタビンは経口的に投与されて悪性腫瘍の治療に提供されることから、本発明の医薬製剤は経口用製剤であることが好ましい。経口用の製剤形としては、普通錠剤、分散錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤等の錠剤、散剤、顆粒剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、丸剤等が挙げられる。
本発明の医薬製剤としては、カペシタビン、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体、並びに他の製剤用添加剤を混合して圧縮成型して調製される錠剤型であることが好ましい。医薬製剤を圧縮成型する前に、造粒化操作を行い、造粒物である顆粒体を調製することが好ましい。その造粒化操作としては、適当な機械的圧力を付加して造粒する乾式造粒であっても良く、水又は有機溶剤を適当量添加して混合等の機械的圧力を付加して造粒する湿式造粒であっても良い。本発明の医薬用錠剤を調製するにあたっては、この湿式造粒を選択することがより好ましい。特に、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体は、これを含む結合剤水溶液として用い湿式造粒を行い、得られる造粒物を打錠成型等により錠剤型に成型することにより、錠剤を調製することが好ましい。
本発明の医薬製剤の調製方法として特に限定されるものではないが、より好ましい製造工程を示して説明する。
(A)カペシタビン、(B)賦形剤、(D)崩壊剤を混合し、これに20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)を含む結合剤(C)水溶液として添加して造粒化を行い、造粒物を得る。好ましくは、結合剤(C)水溶液には、前記水溶性セルロース誘導体(c1)と共に、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を含む水溶液を用いる製造方法である。得られる造粒物に、滑沢剤、賦形剤等を添加して、打錠成型することで、本発明に係る医薬用錠剤を調製することができる。
本発明の医薬製剤は、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)という極めて低粘度の物性の水溶性セルロース誘導体を結合剤として用いることを特徴とする。通常、医薬製剤における結合剤としては、水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sの高分子量の結合剤が使用されるものであるが、カペシタビンを有効成分とする錠剤を調製する場合、錠剤成型性において、打錠障害等の成形性の問題はないものの、カペシタビンの溶出性が抑制される問題があった。本発明は、結合剤として通常用いることが無い低粘度の水溶性セルロース誘導体を適用することで、打錠障害等の成形性に問題がなく、溶出性に優れた医薬製剤を提供することができるものである。特に、結合剤として、前記低粘度の水溶性セルロース誘導体と高粘度の水溶性高分子結合剤を併用する処方とすることで、打錠成型時の打錠障害を軽減し、カペシタビンの溶出性を制御することができる。
なお、前記の「打錠障害」とは、錠剤の上下が剥がれるキャッピングや、錠剤の中間部が層状に剥離するラミネーションが挙げられる。これらの打錠障害の原因としては、例えば、滑沢剤不足、滑沢剤混合不足、粉体の結合力不足、顆粒の水分不足、打錠速度が速い、打圧過剰等がある。「打錠障害」を解消するためには、結合剤や滑沢剤を増量する等が考えられるが、その場合、有効成分の溶出性が遅延する問題が発生する。本発明は、粉体の結合力不足を解消するとともに、溶出性を妨げない製剤処方を提供するものである。
本発明の医薬製剤は、カペシタビンにより治療効果を奏する疾病の治療に提供される。例えば、悪性腫瘍の治療に適用することができる。より具体的には、乳癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、膵癌、肝細胞癌、グリオーマ等を挙げることができる。これらの疾患に限定されるものではないが、適用する好ましい疾患として挙げることができる。
本発明の医薬製剤を用いた医薬品の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更されうるが、例えば成人1日当たり、カペシタビンとして500mg〜10gの範囲の薬剤を投与する。この投与量に限定されるものではないが、適用する好ましい投与量として挙げることができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
カペシタビン900g、結晶セルロース(旭化成株式会社)45g、クロスカルメロース(DFEファルマ社)45gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社)で混合した後、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−15000SR(20℃における2%水溶液粘度が15,000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)7.5g、TC−5(登録商標)E(20℃における2%水溶液粘度が3mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)7.5gを精製水735gに溶かした造粒液で造粒を行った.造粒後は,同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒67gに無水乳糖(DFEファルマ社)5.6g、ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社)1.4gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.60mmから4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの錠剤(実施例1)を製造した。
[実施例2]
カペシタビン900g、結晶セルロース(旭化成株式会社)45g、クロスカルメロース(DFEファルマ社)45gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社)で混合した後、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−15000SR(20℃における2%水溶液粘度が15,000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)7.5g、TC−5(登録商標)E(20℃における2%水溶液粘度が3mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)15gを精製水727.5gに溶かした造粒液で造粒を行った.造粒後は,同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒33.75gに無水乳糖(DFEファルマ社)2.55g、ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社)0.7gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.60mmから4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの錠剤(実施例2)を製造した。
[実施例3]
カペシタビン120g、無水乳糖(DFEファルマ社)12g、結晶セルロース(旭化成株式会社)8g、クロスカルメロース(DFEファルマ社)2gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社)で混合した後、TC−5(登録商標)R(20℃における2%水溶液粘度が6mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)4gを精製水129gに溶かした造粒液で造粒を行った。造粒後は、同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒36.5gに、ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社)0.5gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.60mmから4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの錠剤(実施例3)を製造した。
[比較例1]
カペシタビン120g、結晶セルロース(旭化成株式会社)6g、クロスカルメロース(DFEファルマ社)6gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社)で混合した後、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−15000SR(20℃における2%水溶液粘度が15,000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)1.6gを精製水396gに溶かした造粒液で造粒を行った。造粒後は、同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒33.4gに無水乳糖(DFEファルマ社)3.1g、ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社)0.5gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.60mmから4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの錠剤(比較例1)を製造した。
[比較例2]
カペシタビン120g、結晶セルロース(旭化成株式会社)6g、クロスカルメロース(DFEファルマ社)6gを流動層造粒機(FL−LABO、フロイント産業株式会社)で混合した後、METOLOSE(登録商標)(メトローズ)SR 90SH−15000SR(20℃における2%水溶液粘度が15,000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社)1gを精製水99gに溶かした造粒液で造粒を行った。造粒後は、同機にて顆粒乾燥を行った。
造粒した顆粒66.5gに無水乳糖(DFEファルマ社)6.1g、ステアリン酸マグネシウム(日油株式会社)1.4gを混和し、打錠用顆粒を得た。
この打錠用顆粒を打錠機にて錠剤長径13.3mm、錠剤短径7.0mm、厚み約4.60mmから4.70mm、質量約370mg、硬度60N以上のカペシタビンの錠剤(比較例2)を製造した。
[試験例1]溶出試験
実施例1及び2、比較例1及び2の錠剤を、試験液に精製水を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:50rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :300nm
定量分析用の標準溶液試料として、精製水を使用してカペシタビン溶液を任意の濃度で調製し、波長300nmでの吸光度を測定、これを精製水における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のカペシタビン濃度を計算し溶出率を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006866113
[試験例2]硬度測定
実施例1及び3、並びに比較例2で得られた錠剤を、ロードセル式錠剤硬度計(ポータブルチェッカー PC−30 岡田精工株式会社)で硬度を測定した。得られた結果を表2に示す。
また、実施例1及び3、並びに比較例2の錠剤厚さが約4.60mmの錠剤例を用いて錠剤硬度を測定した後の、錠剤の破壊形状を図1〜3に示す。
Figure 0006866113
溶出試験において、実施例1〜3のカペシタビン溶出率は試験開始30分後で90%以上となった。これに対し、比較例1の試験開始30分後のカペシタビン溶出率は77.0%であり、溶出率の低下が認められた。また、比較例2では溶出率の低下は認められなかったが、試験開始5分後の溶出が高く、溶出プロファイルが速くなりすぎる傾向が認められた。
一方、硬度試験において実施例1及び3と比較して、比較例2は硬度が低い結果となった。更に、硬度試験による各錠剤の破壊状態を確認すると、比較例2は錠剤の上下が剥がれた態様のいわゆるキャッピングが観察され、打錠障害が確認された。比較例2は速やかな溶出性を有する錠剤であるものの、硬度試験の結果から、錠剤の成形状態において製剤処方物の結合状態が充分ではないことが示唆される結果が認められた。
以上の結果から、カペシタビンを有効成分とする錠剤において、通常結合剤として用いられているMETOLOSE(登録商標)(メトローズ)のみを用いた比較例錠剤は、溶出性と打錠成型性を両立する物性の錠剤は得られなかった。これに対し、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた実施例錠剤は、溶出性と打錠成型性という相反する物性を両立して、カペシタビン錠剤として優れた物性を具備することが明らかとなった。

Claims (4)

  1. カペシタビンを有効成分とする医薬製剤であって、結合剤として20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体を含有し、
    前記水溶性セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、含有量が0.5質量%〜5.0質量%であり、
    日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による精製水におけるカペシタビン溶出率が試験開始30分後で90%以上である、医薬製剤。
  2. (A)カペシタビン、(B)賦形剤、(C)結合剤、(D)崩壊剤を含む医薬製剤であり、前記結合剤(C)が、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)並びに20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を含み、
    前記水溶性セルロース誘導体(c1)がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、含有量が0.5質量%〜5.0質量%である、請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 医薬製剤において、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)が0.5質量%〜5.0質量%で含み、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を0.5質量%〜2.0質量%で含む、請求項2に記載の医薬製剤。
  4. (A)カペシタビンが30質量部〜90質量部、(B)賦形剤が5質量部〜50質量部、(C)結合剤が1質量部〜5質量部であって、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s〜20mPa・sである水溶性セルロース誘導体(c1)が0.5〜5.0質量部、20℃における2%水溶液粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sである水溶性高分子(c2)を0.5〜2.0質量部であり、(D)崩壊剤が1質量部〜20質量部で含まれている、請求項2に記載の医薬製剤。


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