JP7370124B2 - エルロチニブを有効成分とする医薬錠剤 - Google Patents
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Description
また特許文献2には、XRDにて2θ(°)が5.7、9.7、10.1、11.3、17.0、17.4、18.9、19.6、21.3、22.8、23.6、24.2、24.7、25.4、26.2、26.7及び29.3のピークで特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩E型多形を開示している。
なお、特許文献2によると、B型多形は熱力学的に安定な形態であり、A型多形は溶解度及び溶解速度に優れる形態であることが記載され、E型多形はA型多形より熱力学的安定性に優れるとともに、B型多形より溶解性に優れる物性であることが記載されている。
エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形を含む医薬錠剤について、特許が報告されている。例えば、特許文献3は、崩壊剤としてクロスポビドンを用いたエルロチニブ塩酸塩A型結晶多形を有効成分とする錠剤が記載されている。特許文献4には、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形を有効成分として、結晶セルロースを用いた錠剤が、酸性媒体において速い溶出性を示すことを開示している。また、特許文献5には、エルロチニブ塩酸塩のA型結晶多形とカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む混合物を湿式造粒した錠剤が、酸性媒体による溶出性において、エルロチニブ塩酸塩の上市製剤であるタルセバ(登録商標)錠と類似の溶出性を示すことを記載している。
すなわち、エルロチニブ塩酸塩の有効性を充分に発揮させるために、優れた溶出性を示す医薬錠剤を提供することが課題となっている。
[1] エルロチニブ塩酸塩、並びにカルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する医薬錠剤。
本願発明によりカルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを崩壊剤として用いることで、デンプングリコール酸ナトリウムを用いた錠剤よりも高い溶出性を有する医薬錠剤を提供することができ、薬剤の速やかな溶解と吸収をもたらし、確実な薬効発揮に寄与し得る。
[2] カルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを医薬錠剤全量に対して5~20質量%で含有する前記[1]に記載の医薬錠剤。
[3] 結晶セルロースを含有する前記[1]又は[2]に記載の医薬錠剤。
当該医薬錠剤において結晶セルロースを組み合わせて用いることで、崩壊性と結合性を調節することができる。
[4] 錠剤1錠あたりエルロチニブとして50mg以上200mg以下で含有する前記[1]~[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
当該医薬錠剤は、エルロチニブ塩酸塩の高含量錠剤において好適である。
[5] pH5.5以上で溶解性を有する腸溶性ポリマーを含有する前記[1]~[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[6] pH5.5以上で溶解性を有する腸溶性ポリマーが(メタ)アクリル酸共重合体である前記[5]に記載の医薬錠剤。
当該医薬錠剤において、更にpH5.5以上で溶解性を示す、いわゆる腸溶性ポリマーを用いることで、低pH領域での溶出性の制御を可能とする。
[7] エルロチニブ塩酸塩がA型結晶多形である前記[1]~[6]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
エルロチニブ塩酸塩には、複数の結晶多形が存在する。代表的なものとして、A型結晶多形及びB型結晶多形が挙げられ、特表2003-523949号公報において開示されている。A型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略5.6、9.8、11.3、18.9、22.7、23.5、24.2、24.6、25.4及び29.2にピークで特徴付けられる。また、融点(示差走査熱量測定;DSC)が205~208℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。また、B型結晶多形は、XRDにて2θ(°)が略6.3、12.5、13.4、17.0、20.2、21.1、23.0、24.5、25.1及び26.9のピークで特徴付けられる。また、DSCが227~231℃で特徴付けられるエルロチニブ塩酸塩結晶多形である。
本発明において、有効成分であるエルロチニブ塩酸塩は医薬品原薬として用いられる品質であれば特に問題なく用いることができる。また結晶多形においても特に限定されることなく適用することができる。好ましくは、溶解特性に優れたA型結晶多形が適用される。
また本発明の医薬錠剤において、エルロチニブ塩酸塩はエルロチニブ(遊離塩基)として50mg以上200mg以下で含有する製剤であることが好ましい。すなわち、既存のエルロチニブ製剤であるタルセバ(登録商標)錠は、25mg錠、100mg錠、150mg錠の3つの製剤規格が存在するが、100mg錠及び150mg錠を包含する高用量錠に適用することが好ましい。
カルボキシメチルセルロースはカルメロースとも称され、医薬品添加物として使用し得る品質であれば特に制限されることなく適用することができる。本発明は、カルボキシメチルセルロース、又はそのカルシウム塩の単独使用、若しくはこれらの組み合せ使用であっても良い。好ましくは、カルボキシメチルセルロースを使用する態様である。
本発明で用いられる好ましい崩壊剤としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。本願発明において、崩壊剤としてクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等の強力な崩壊剤を含まない方が好ましい。
他の崩壊剤を併用で用いる場合は、カルボキシメチルセルロース及び/又はそのカルシウム塩と併せて、医薬錠剤全量に対して7質量%以上20質量%以下となるように添加量を調整して用いることが好ましい。
結晶セルロースは、医薬錠剤の含有率として5質量%以上40質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に10質量%以上30質量%以下で用いること。
本発明で用いられる好ましい他の結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記他の結合剤を用いる場合は、その使用量は、前記結晶セルロースと併せた含有量として、当該医薬錠剤において8質量%以上60質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に10質量%以上40質量%以下で用いる。
pH5.5以上で溶解性を有する腸溶性ポリマーとは、分子構造中にカルボキシ基を有する高分子誘導体であり、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体等の(メタ)アクリル酸共重合体、カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシメチルセルロース誘導体、ヒプロメロース酢酸コハク酸エステル等のヒプロメロース誘導体、等が挙げられる。これらは分子鎖中に遊離カルボキシ基(-COOH)を具備し、pH5.5以上で水溶性を示す機能性ポリマーである。
該腸溶性ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましい。腸溶性の(メタ)アクリル酸ポリマーとしては、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体(メタクリル酸含量38.0~52.0% pH6.0以上で水溶性)のメタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体(メタクリル酸含量11.5~15.5% pH5.5以上で水溶性)のメタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体(メタクリル酸含量25.0~34.5% pH7.0以上で水溶性)のメタクリル酸コポリマーSが挙げられる。これらは、オイドラギット(登録商標)L100、オイドラギット(登録商標)L30D-55、オイドラギット(登録商標)L100-55、オイドラギット(登録商標)S100等として市販されており、これらを用いることができる。
pH5.5以上で溶解性を有する腸溶性ポリマーの適用量は、エルロチニブ塩酸塩の溶出速度やそのpH依存性を調整する目的で任意に添加することができるが、例えば、医薬錠剤の含有率として1質量%以上30質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に5質量%以上20質量%以下で用いる。
pH5.0以下で溶解性を有するアミノ基修飾高分子誘導体とは、分子構造中にアミノ基を有してpH5.0以下で水溶性を示す高分子誘導体であり、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いることがより好ましい。
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEは、メタクリル酸メチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体である。これは市販品を用いても良く、例えば商品名オイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)EPO等のアミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。オイドラギット(登録商標)EPOを用いることが好ましい。
pH5.0以下で溶解性を有するアミノ基修飾高分子誘導体の適用量は、エルロチニブ塩酸塩の溶出速度やそのpH依存性を調整する目的で任意に添加することができるが、例えば、医薬錠剤の含有率として0.1質量%以上10質量%以下で用いることが好ましい。より好ましくは医薬錠剤中に0.1質量%以上5質量%以下で用いる。
前記アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選択される1種以上の金属を含有する塩基性無機塩は、好ましくは経口投与用医薬品に用いることができるアルミニウム、マグネシウム又はカルシウム塩であって、水に溶解させるとpH7より大きいアルカリ性を呈する無機塩であれば、特に制限されることなく適用することができる。好ましくは、前記金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、リン酸塩である。これらは、1種を用いても良く、その混合物を用いても良い。
当該塩基性無機塩としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。またこれらの混合物として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル等が挙げられる。
塩基性無機塩としては、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましい。より好ましくは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
また、エルロチニブ塩酸塩に対して適当量の当該塩基性無機塩を用いることが好ましく、エルロチニブ塩酸塩が1質量部に対して、該塩基性無機塩が0.005質量部以上0.3質量部以下で用いることが好ましい。より好ましくは、エルロチニブ塩酸塩が1質量部に対して、該塩基性無機塩が0.01質量部以上0.2質量部以下で用いる態様である。
当該塩基性無機塩は、エルロチニブ塩酸塩と共に混合して造粒物を調製する態様で用いることができる。その場合、当該塩基性無機塩は、エルロチニブ塩酸塩が1質量部に対して、該塩基性無機塩が0.005質量部以上0.1質量部以下で用いることが好ましい。
フィルムコート錠剤の場合、フィルムコート部分にはコーティング基剤、隠蔽剤や着色剤等の医薬製剤のコーティング剤に用いられる任意の添加剤が含まれていても良い。コーティング剤に用いる隠蔽剤や着色剤は、前述と同義である。
本発明においてコーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等が挙げられる。これらフィルムコーティング基材とグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の可塑剤を共に用いても良い。
また前記製剤組成による医薬錠剤において、pH1~5の酸性域のエルロチニブの溶出速度を制御する場合は、前記組成に腸溶性ポリマーを1~30質量%で用いることが好ましい。更に、pH6~8の中性域の溶出性を制御したい場合は、前記製剤組成または、腸溶性ポリマーを更に加えた製剤組成に対し、アミノ基修飾高分子誘導体を0.1~10質量%の範囲で添加することが好ましい。
医薬錠剤の形状は、経口的な服用に適する通常の形状及び大きさに成型されたものであれば、特に限定されるものではない。
当該医薬錠剤は、前記の処方の医薬組成物を混合し、任意に造粒体を調製し、これを圧縮成型することで医薬錠剤を調製することができる。その後、更にフィルムコーティングを施したフィルムコーティング錠剤としてもよい。
すなわち、本発明の医薬錠剤の製造方法は、(1)エルロチニブ塩酸塩、カルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウム、並びに任意の崩壊剤、結晶セルロース等の結合剤、賦形剤、可溶化剤、その他の添加剤を混合する工程、(2)前記混合物を造粒する任意の工程、(3)滑沢剤等の添加剤を加えて、圧縮成型し錠剤にする工程、を含む製造方法とすることが好ましい。
更に、pH5.0以下で溶解性を有するアミノ基修飾高分子誘導体を用いて、pH6~8の中性域での溶出速度を抑制する方向に制御したい場合は、(1)エルロチニブ塩酸塩、アミノ基修飾高分子誘導体、並びに任意の賦形剤を混合し、任意に造粒する工程、(2)この造粒物に、カルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウム、並びに任意の崩壊剤、結晶セルロース等の結合剤、賦形剤、可溶化剤、その他の添加剤を混合する工程、(3)滑沢剤等の添加剤を加えて、圧縮成型し錠剤にする工程、を含む製造方法とすることが好ましい。
すなわち、特定pHでの溶出速度を制御するための腸溶性ポリマー又はアミノ基修飾高分子誘導体は、エルロチニブ塩酸塩に直接作用させる工程を経て、その後、カルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の製剤用添加剤と混合して、錠剤調製する製造方法とすることが好ましい。
pH5.5以上で溶解性を有する腸溶性ポリマーとpH5.0以下で溶解性を有するアミノ基修飾高分子誘導体の両方を用いる場合は、何れか一方とエルロチニブ塩酸塩を混合して任意に造粒し、その後、もう一方の添加剤、並びにカルボキシメチルセルロース及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウムを含む製剤用添加剤と混合して、錠剤調製する製造方法とすることが好ましい。
造粒化操作としては、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。本発明に係る造粒化操作としては、これらの操作方法から、適宜選択して当該造粒体を調製することができる。
[実施例1]
オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)30g、4%水酸化ナトリウム溶液10gを水60gに添加し、分散液を調製した。エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)5gに分散液を2.5mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物188.5mg、乳糖一水和物75.7mg、結晶セルロース83.7mg、カルメロース40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例1に係る錠剤を調製した。
オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)30g、4%水酸化ナトリウム溶液10gを水60gに添加し、分散液を調製した。エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)5gに分散液を5mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物213.1mg、乳糖一水和物63.4mg、結晶セルロース71.4mg、カルメロース40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例2に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)3g、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)0.3gを混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物180.3mg、乳糖一水和物79.8mg、結晶セルロース87.8mg、カルメロース40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例3に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)3g、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)0.45gを混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物188.5mg、乳糖一水和物75.7mg、結晶セルロース83.7mg、カルメロース40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例4に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)3g、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)0.6gを混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物196.7mg、乳糖一水和物71.6mg、結晶セルロース79.6mg、カルメロース40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例5に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)8.2g、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)2g、乳糖一水和物2.5gを混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物253.2mg、乳糖一水和物18.5mg、結晶セルロース77.1mg、カルメロース39.2mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例6に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)8.2g、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)2g、乳糖一水和物2.5gを混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物253.2mg、乳糖一水和物18.5mg、結晶セルロース74.7mg、カルメロース39.2mg、オイドラギット(登録商標)EPO(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE エボニック社製)2.4mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例7に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)163.9mg、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)39.3mg、乳糖一水和物50.0mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム2.1mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物255.3mg、乳糖一水和物21.0mg、結晶セルロース70.5mg、カルメロース39.0mg、オイドラギット(登録商標)EPO(アミノアルキルメタクリレートコポリマーE エボニック社製)2.4mg、ラウリル硫酸ナトリウム4.2mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物392.4mgに、ステアリン酸マグネシウム8.1mgの比率となるように混合して打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例8に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)163.9mg、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)34.1mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物198.0mg、乳糖一水和物63.0mg、結晶セルロース61.5mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.0mg、カルメロース30.0mg、ラウリル硫酸ナトリウム4.5mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物366.0mgに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム15.0mg、ステアリン酸マグネシウム6.0mgの比率となるように混合して打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する実施例9に係る錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)163.9mg、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)38.6mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物202.5mg、乳糖一水和物61.5mg、結晶セルロース60.0mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.0mg、カルメロース27.0mg、ラウリル硫酸ナトリウム4.5mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物364.5mgに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム15.0mg、デンプングリコール酸ナトリウム4.5mg、ステアリン酸マグネシウム6.0mgの比率となるように混合して打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する錠剤を調製した。
この錠剤に、1錠あたりの含量として、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー8.1mg、酸化チタン2.4mgとなるようにフィルムコーティングすることで、実施例10に係るフィルムコーティング錠剤を調製した。
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)163.9mg、オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)38.6mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物202.5mg、乳糖一水和物63.0mg、結晶セルロース63.0mg、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム9.0mg、カルメロース27.0mg、ラウリル硫酸ナトリウム4.5mgの比率となるように混合した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物369.0mgに、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム15.0mg、ステアリン酸マグネシウム6.0mgの比率となるように混合して打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する錠剤を調製した。
この錠剤に、1錠あたりの含量として、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー8.1mg、酸化チタン2.4mgとなるようにフィルムコーティングすることで、実施例11に係るフィルムコーティング錠剤を調製した。
オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)30g、4%水酸化ナトリウム溶液10gを水60gに添加し、分散液を調製した。エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)5gに分散液を5mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物213.1mg、乳糖一水和物63.4mg、結晶セルロース71.4mg、デンプングリコール酸ナトリウム40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する比較例1に係る錠剤を調製した。
オイドラギット(登録商標)L100-55(乾燥メタクリル酸コポリマーLD エボニック社製)30g、4%水酸化ナトリウム溶液10gを水60gに添加し、分散液を調製した。エルロチニブ塩酸塩(A型結晶多形)5gに分散液を10mL添加し、混合し減圧乾燥した。この混合物を圧縮し粉砕した。この混合物262.2mg、乳糖一水和物38.9mg、結晶セルロース46.9mg、デンプングリコール酸ナトリウム40mg、ラウリル硫酸ナトリウム4mgを混合した。この混合物に、ステアリン酸マグネシウム8mgを加えて打錠することで、1錠あたりにエルロチニブ塩酸塩を163.9mg(エルロチニブとして150mg)を含有する比較例2に係る錠剤を調製した。
実施例1~7並びに比較例1、2の錠剤を、1%のポリソルベート80(日本薬局方 ポリソルベート80、純正化学株式会社製)を添加した日本薬局方に記載されている方法で調製したpH1.2の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。また、実施例8~11の錠剤も、1%のポリソルベート80(日本薬局方 ポリソルベート80、純正化学株式会社製)を添加した日本薬局方に記載されている方法で調製したpH1.2の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR-6200A、富山産業株式会社製)及び紫外可視分光時計(UV-1700、島津製作所製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpm、測定波長を254nmとして溶出率を評価した。
溶出試験の結果を表5-1及び5-2にまとめた。
実施例7、8の錠剤を、日本薬局方に記載されている方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR-6200A、富山産業株式会社製)及び紫外可視分光時計(UV-1700、島津製作所製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpm、測定波長を254nmとして溶出率を評価した。
溶出試験の結果を表6にまとめた。
また、アミノ基修飾高分子誘導体を適用することで、pH6~8の中性領域での溶出性を抑制傾向に制御することができ、至適溶出速度に調整できることも示された。
Claims (4)
- エルロチニブ塩酸塩、並びにカルボキシメチルセルロース、結晶セルロースを含有し、
カルボキシメチルセルロースが1質量部に対し、結晶セルロースが1質量部以上5質量部以下の含有比率であり、
pH5.5以上で溶解性を有する(メタ)アクリル酸共重合体を含有する、
医薬錠剤。 - カルボキシメチルセルロースを医薬錠剤全量に対して5~20質量%で含有する請求項1に記載の医薬錠剤。
- 錠剤1錠あたりエルロチニブとして50mg以上200mg以下で含有する請求項1または2に記載の医薬錠剤。
- エルロチニブ塩酸塩がA型結晶多形である請求項1~3の何れか一項に記載の医薬錠剤。
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