JP2019059477A - 車両制御システム、およびこれを備えた行動計画システム - Google Patents

車両制御システム、およびこれを備えた行動計画システム Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の高い車両制御システム及び行動計画システムを提供すること【解決手段】故障時にシステムから運転手に運転を切り替えるまでの間の緊急軌道を計算する緊急軌道生成部6032を有する軌道生成判断部603と、前記緊急軌道を保持する軌道保持部6042と故障検知部で検知した故障状態に基づいて前記軌道保持部で保持された緊急軌道で走行するかを切り替える軌道切替部6041とを有する運動制御部604と、からなる【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の車両制御システムおよび行動計画システムに関する。
本技術分野の背景技術として、特開2010−287093号公報(特許文献1)がある。この公報には、「走行効率を高いものとするとともに、他の物体との干渉を回避可能とし、走行効率と干渉回避との両立を図りながら移動体の進路を評価することができる進路評価装置および進路評価方法を提供する。」ことを課題とし、解決手段として、「進路生成部11は走行情報に基づいて自車両の予測進路を複数生成する。悲観進路生成部12で複数の予測進路について悲観進路を生成する。歩行者接近行動算出部13は、走行情報取得部2から送信された走行情報に基づいて歩行者接近進路を求める。悲観進路評価部14は、複数の悲観進路と歩行者接近進路とを比較し、各悲観進路についての悲観評価値を生成する。進路評価部15は、悲観評価値が最も高い予測進路を自車両の進路として決定する。」と記載されている。
また別の背景技術として、特開2010−211301号公報(特許文献2)がある。この公報には、「例えば、交差点左折時の通行者の巻き込み事故等にも対応し、また、過去の通行者及び車両の通行経路履歴を考慮し事故の発生し得るエリアを予測する事故予測通知装置、事故予測通知システム及び車載器を提供することを目的とする。」ことを課題とし、解決手段として、「交差点への進入車両が指定ポイントA1に到達したとき、前記進入車両の指定ポイントA1到達時の交差点付近の通行者情報、信号機5の信号灯情報及び記憶部37に記憶された学習エリアマップに基づいて事故発生予測エリアを予測し、車載器61に事故発生予測エリアマップとして送信する。車載器61は受信した事故発生予測エリアマップを車載器61の有する液晶表示パネルなどに表示することにより車載器61を搭載する車両6に対して通知を行う。」と記載されている。
特開2010−287093号公報 特開2010−211301号公報
特許文献1の進路作成においては、安全性を確保した軌道の生成方法について、特に悲観的に評価して安全性を確保する方法について記載しているが、認識装置や計画装置に障害が発生した場合の動作について記載が無い。
また、特許文献2においては、通信が途切れた場合の危険位置を判定し、警告を発生する方法について記載しているが、車両が搭載している認識装置や計画装置に障害が発生した場合に安全性を確保する軌道の生成方法についての記載が無い。
本発明の目的は、安全性の高い車両制御システム及び行動計画システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一実施の態様は、例えば特許請求の範囲に記載されている技術的思想を用いればよい。
本発明によれば、安全性の高い車両制御システム及び行動計画システムを提供することが可能となる。
軌道生成部と運動制御部の内部構成例である。 システムの例である。 車両制御システム内部構成の例である。 コントローラの構成例である。 コントローラのソフトウェアモジュール構成の例である。 行動計画システムの構成例である。 車両制御システムにおける行動計画システムの配置例である。 外界認識の例である。 外界認識マップの例である。 外界認識マップのリスト型の例である。 外界認識マップ情報を基にした軌道生成の例である。 軌道情報の例である。 軌道情報に移行用の情報を付与した例である。 安全パターンを確認する際の軌道生成部と運動制御部の内部構成例である。 通常軌道と緊急軌道が同じ経路を持つ際の軌道情報例である。 代替の安全軌道を計算する際の軌道例である 軌道の安全状態を判定するための軌道生成部と運動制御部の内部構成例である。 出力装置7の画面出力例である。 緊急軌道パターンの通知情報である。
以下、本発明に好適な実施形態の例(実施例)を説明する。本実施例は、主には車両システムにおける車両制御システムについて説明しており、車両システムにおける実施に好適であるが、車両システム以外への適用を妨げるものではない。
<車両制御システムの構成>
図2は本実施例の車両制御システムを有するシステムの概要である。1は自動車など内部に車両制御システムを有する車両システム、2は例えば車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network、CANFD:CAN with Flexible Data−rate、Ethernet(登録商標)、等)とコントローラ(ECU:Electronic Control Unit等)により構成される車両制御システム、3は、車両システム1の外部と無線通信(例えば携帯電話の通信、無線LAN、WAN、等のプロトコルを使用した通信)を行い、外界(インフラ、他車)の情報または自車に関する情報を取得・送信などの無線通信を実施、または診断端子(OBD)やEthernet端子、外部記録媒体(例えばUSBメモリ、SDカード、等)端子などを有し、有線接続を行い車両制御システム2と有線通信を実施する通信装置、4は、例えば2と異なる、または同一のプロトコルを用いたネットワークにより構成される車両制御システム、5は、車両制御システム2の制御に従い、車両運動を制御する機械および電気装置(例えばエンジン、トランスミッション、ホイール、ブレーキ、操舵装置等)の駆動を行うアクチュエータ等の駆動装置、6は、外界から入力される情報を取得し、後述する外界認識情報を生成する、カメラ、レーダ、LIDAR、超音波センサなどの外界センサ、および、車両システム1の状態(運動状態、位置情報、等)を認識する力学系センサ(加速度、車輪速度、GPS:Global Positioning System)により構成される認識装置、7は、ネットワークシステムに有線または無線で接続され、ネットワークシステムから送出されるデータを受信し、メッセージ情報(例えば映像、音)など必要な情報を表示または出力する、液晶ディスプレイ、警告灯、スピーカなどの出力装置、8は、ユーザが車両制御システム2に対して、操作の意図や指示を入力する入力信号を生成するための、例えばステアリング、ペダル、ボタン、レバー、タッチパネル、等の入力装置、9は、車両システム1が外界に対して、車両の状態等を通知するための、ランプ、LED、スピーカ等の通知装置、を示している。
車両制御システム2は、その他の車両制御システム4、無線通信部3、駆動装置5、認識装置6、出力装置7、入力装置8、通知装置9などと接続され、それぞれ情報の送受信を行う。
図3は、車両制御システム2のH/W(Hardware)構成例を示している。301は車載ネットワーク上のネットワーク装置を接続するネットワークリンクであり、例えばCANバスなどのネットワークリンク、302はネットワークリンク301および駆動装置5や認識装置6や301以外のネットワークリンク(専用線含む)に接続され、駆動装置5や認識装置6の制御および情報取得、ネットワークとのデータ送受信を行うECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)、303は複数のネットワークリンク301を接続し、それぞれのネットワークリンクとデータの送受信を行うゲートウェイ(以下GW)、を示している。
ネットワークトポロジの例は、図3に示している例の通り、2つのバスに複数のECUが接続されているバス型の例以外にも、複数のECUが直接GWに接続されるスター型や、ECUが一連のリンクにリング状に接続されているリンク型、それぞれの型が混在し複数のネットワークにより構成される混在型、等がある。GW303とECU302については、それぞれGW機能を有するECU、またはECUの機能を有するGWと、がある。
ECU302はネットワークから受信したデータをもとに、駆動装置5への制御信号の出力、認識装置6からの情報の取得、ネットワークへの制御信号および情報の出力、内部状態の変更、などの制御処理を行う。
図4は、本発明にかかるネットワーク装置であるECU302またはGW303の内部構成の一例である。401はキャッシュやレジスタなどの記憶素子を持ち、制御を実行するCPUなどのプロセッサ、402はネットワークリンク301またはネットワークや専用線で接続された駆動装置5または/および認識装置6に対してデータの送受信を行うI/O(Input/Output)、403は図示しないクロックなどを使用し、時間および時刻の管理を行うタイマ、404はプログラムおよび不揮発性のデータを保存するROM(Read Only Memory)、405は揮発性のデータを保存するRAM(Random Access Memory)、406はECU内部での通信に用いられる内部バス、を示している。
次にプロセッサ401で動作するソフトウェアモジュールの構成について図5に示す。502は、通信I/F402の動作および状態を管理し、内部バス406を介し通信I/F402に指示を行う通信管理部、503は、タイマ403を管理し、時間に関する情報取得や制御を行う時間管理部、501は通信I/F402から取得したデータの解析や、ソフトウェアモジュール全体の制御を行う制御部、504は後述する外界認識マップなどの情報を保持するデータテーブル、505は一時的にデータを確保するバッファ、を表している。
これら図5の構成についてはプロセッサ401上の動作概念を示したものであり、動作時に必要な情報はROM404およびRAM405から適宜取得、またはROM404およびRAM405に適宜書き込み、を行い動作する。
後述する車両制御システムの各機能は、制御部501にて実行される。
<車両制御システムの機能構成例>
車両制御システムの機能構成例について図6に示す。
601は、本発明にかかる行動計画システム全体を示している。602は、複数の認識装置6から出力される外界認識情報を統合し、後述する外界認識マップを作成、および後述する障害検知部608を有し、後述する障害発生時の外界認識マップを作成する統合認識部、603は、統合認識部602により生成された外界認識マップおよびユーザ入力部605から入力されたユーザ入力から判定し、軌道生成、運動制御部604への運動制御指示、出力管理部606への出力指示、および通知管理部607への通知指示を行う軌道生成判断部603、604は、前記軌道生成判断部603からの運動制御指示に従い複数の駆動装置5に対して制御を行う運動制御部、605は入力装置8からの入力に従い、ユーザの指示情報を生成するユーザ入力部、606は軌道生成判断部603の出力に応じ出力装置7への出力指示を行う出力管理部、607は軌道生成判断部603の出力に応じ通知装置9への通知指示を行う通知管理部、608は認識装置6または認識装置6と統合認識部602の間の通信路で発生した障害を検知する障害検知部、を示している。
統合認識部602、軌道生成判断部603、運動制御部604、ユーザ入力部605、出力管理部606、通知管理部607の全てまたはいずれかの組み合わせを行動計画システムとも呼び、行動計画システムには駆動装置5、認識装置6、出力装置7、入力装置8、通知装置9の一部またはすべてが含まれる場合もある。
行動計画システム601は複数の機能から構成されており、図3に示すH/Wへの機能配置は複数のパターンが存在する。配置の一例について図7に示す。機能の配置はこれに限らず、それぞれの機能は記載と別のECUに配置されていても良い。例えば統合認識部602および軌道生成判断部603を同一のECUに配置しても良い。同一のECUに機能が配置されることにより、機能間の通信が容易となり、高速な処理が実現可能となる。また別のECUに機能を配置することにより、H/W故障による共通原因故障のリスクからそれぞれの機能を守り、高信頼化を実現することが可能となる。
軌道生成判断部603と運動制御部604は、図1に記述される複数の機能から構成されている。軌道生成判断部603は通常軌道生成部6031と緊急軌道生成部6032を有している。運動制御部604は軌道切替部6041と軌道保持部6042と軌道生成判断障害検知部6043を有している。軌道生成判断障害検知部6043は、運動制御部以外に配置されてもよい。
それぞれの機能については後述する。
<外界認識方法>
認識装置6の種類は前記車両制御システムの構成で述べた通りであり、それぞれの認識装置の種類に応じた動作原理により、後述する外界認識情報を取得する。主には認識装置6が有するセンサが外界の物理的な測定値を取得し、測定値に対して特定のアルゴリズム(例えば、取得した画像に対する画像認識アルゴリズム)を適用し、外界情報を取得する。
認識装置ごとに、それぞれ測定可能な範囲は事前に決定(例えばカメラであれば、撮影方向と縦・横の角度、画素数による遠方距離の認識限界、レーダであれば電波の放射角度と受信角度、距離)、または環境に応じた変化に対して調整(キャリブレーション)を行って測定可能な範囲を測定し、決定する。それぞれの認識装置の取得した外界情報を組み合わせることにより、車両システム2の外界の状況が確認可能となる。
外界認識の例を図8に示す。ここでは車両システム1の四方向の認識装置6が外界情報を取得している例を示している。認識装置6から出力される外界認識情報により、統合認識部602は周辺にどのようなオブジェクトが存在しているかを確認することが可能となる。
通信装置3からも同様に外界認識情報を取得することが可能となる。通信装置3からの取得情報は、主に前記認識装置6で観測不可能な、例えば物陰など遮蔽物の向こう側に存在するオブジェクトの外界認識情報を位置情報と共に取得し、オブジェクトの存在位置を確認することが可能となる。
外界認識においては、認識装置6が全てのオブジェクトを確実に認識できるわけでなく、どのようなオブジェクトが存在しているか不確定な領域(不確定領域)も存在する。その場合には後述する存在確率で、不確定性およびオブジェクトの存在の信頼度について表現を行う。
<外界認識情報>
外界認識情報とは、車両システムの外部に存在しており認識装置6により観測されたオブジェクトを表現する情報となる。外界認識情報の例として、オブジェクト種別(静止オブジェクト(壁、白線、信号、分離帯、木、等)、動的オブジェクト(歩行者、車、二輪車、自転車等)、走行(領域侵入)可能か否か、その他属性情報)、オブジェクトの相対位置情報(方向・距離)、オブジェクトの絶対位置情報(座標等)、オブジェクトの速度、向き(移動方向、顔の向き)、加速度、存在確率(確からしさ)、外界認識情報を測定した時間、測定を実施した認識装置6のID、等が挙げられる。
存在確率の計算方法として、認識装置6におけるオブジェクト判定のアルゴリズムによる確からしさの演算結果の他に、時系列での観測結果(短時間で、同じ位置に同じ種別のオブジェクトが存在)を反映し、確からしいと判定できた場合に確率を上げるといった方法がある。このようにすることにより、観測した外界認識情報によりオブジェクトが正しく判定できる可能性を高めることが可能となる。
また、外界認識情報を測定した時間を保持することにより、複数の外界認識情報が時間同期した外界認識マップを作成することが可能となる。さらに障害が発生した場合にも、その後外界認識情報の更新が無かった場合には障害が発生する以前の最後の状態(最終位置、最終観測時間)について把握し、その後の行動を予測することが可能となる。また認識装置6の障害発生時間が解る場合には、前記障害が発生した認識装置6が作成した外界認識情報について、障害が発生する前の外界認識情報のみを信頼することも可能となる。
また、それぞれの外界認識情報を作成した認識装置6がいずれであるかを示す認識装置IDが各外界認識情報に含まれることにより、いずれかの認識装置に障害が発生した場合に、どの外界認識情報が、障害が発生した認識装置6から出力されたかを確認することが可能となる。
<外界認識マップ>
統合認識部602は、複数の認識装置6から受けた外界認識情報を統合した統合認識情報(例:外界認識マップ)を作成する。外界認識マップの例を図9に示す。ここでは直交する座標系(グリッド)(図9(a))に対し、それぞれの領域についてオブジェクト情報を配置した例について図9(b)示す。オブジェクト情報は、例えば上記外界認識情報の例から位置情報を除いた内容であり、それぞれのグリッドに配置される。
オブジェクト情報が同じグリッドに複数存在している場合(例えば複数の認識装置6が同じグリッドの位置を観測している場合)には、例えば複数の認識装置から認識できた場合には存在確率を上げる、また逆に、同一のグリッドを観測している複数の認識装置から認識できなかった場合には、存在確率を下げるなどにより、認識の精度を上げることが可能になる。情報が不一致の場合には、どちらか確率の高い方の外界認識情報を優先し、一方でそのグリッドにおけるオブジェクト情報の確率を低下させる。これにより複数の認識装置で異なる情報を認識した場合には、確率を低下させて、情報の信頼度を下げることが可能となる。
外界認識マップの別の表現としては、グリッドによる表記の他に、認識しているオブジェクトごとにリスト化するリスト型方式も存在する。リスト型表記の例を図10に示す。1001はリスト表示による外界認識マップ全体を示している。このようにリスト型で外界認識マップを保持することにより、グリッド型に比べてデータ量を削減することが可能となる。
<行動予測>
外界認識マップは、全て現在観測された外界認識情報を用いるのみではなく、過去の外界認識情報から予測(行動予測)して作成することも可能である。例えば一定時間経過後に、静止オブジェクトであれば同じ位置(車両との相対位置では無く、路面上の同位置)に存在している可能性が高く、また動的オブジェクトであれば直前の位置、速度、加速度等から、一定時間後の位置を予測することが可能となる。このように予測した外界認識情報を用いることにより、現在観測不可能な位置の情報についての予測を行うことが可能である。
行動予測は、統合認識部602が外界認識マップを基に実施することも可能であるが、例えば認識装置6が、外界認識情報に今後の予測情報を付加して送信し、統合認識部602に通知しても良い。その場合には各認識装置6が予測を行うことになり、統合認識部602の行動予測に関連する演算量を低減することが可能となる。また別の方式では、軌道生成判断部603が、現在の外界認識マップから、必要なオブジェクトの行動予測を行っても良い。そのようにすることにより、統合認識部602から軌道生成判断部603への通信負荷が低減でき、さらに軌道生成および判断に必要なオブジェクトのみの行動予測を行うことも可能となる。
<軌道生成>
外界認識マップに基づく軌道生成方法について説明する。軌道は、車両システムが安全に走行可能(例:他の障害物に衝突する可能性が低い)である安全性制約、車両システムが実現可能な加速度・減速度、ヨーレート、などの運動制約、を満たすように生成する。
図9(b)の例の外界認識マップにおいて、自車両が右車線に移動する軌道生成例について図11を用いて説明する。ここでは右車線に走行車両が存在しているが、自車両の方が速度が速く、車線変更可能な例を示している。まず自車両は、運動制約を満たし、右車線に移動する軌道を作成する。その後、作成した軌道について、他の動的物体の予測軌道(例えば現在速度、および想定される加速度での一定時間後の位置)と、自車両の軌道により衝突が発生しないかを計算する。衝突が発生しないと計算された場合には、前記自車両の軌道を基に車両の制御を行う。衝突が発生すると計算された場合には、一定時間待機後再計算、または運動制約を満たす別の軌道を生成し、同様に安全性制約を計算する。
安全性制約の計算方法は、上記の通り動的オブジェクトの現在速度および想定加減速度から想定されるエリアを進入禁止領域とする方法(進入禁止領域法)の他に、各オブジェクトの種別・速度・進行方向から、各エリアのリスクを計算し、リスクポテンシャルを算出するポテンシャルマップ法がある。ポテンシャルマップ法を用いる場合には、生成されたポテンシャルマップの中で、最もポテンシャルが低く、一定値以上のポテンシャルエリアに進入しない軌道を生成し、かつ自車両の運動制約を満たす軌道を、生成軌道とする。
進入禁止領域については、動的オブジェクトの行動予測が必要になる。行動予測については、現在の速度・加速度および方向で移動した点を中心とした一定領域を進入禁止領域にする方法がある。このように一定領域を進入禁止領域とすることにより、複雑な予測による演算が不要となる。
このように、車両が移動する方向、運動制約、安全性制約を基に軌道を作成し、生成された軌道を基に、軌道生成判断部603は運動制御部604に軌道情報を送信し、運動制御部604は軌道情報を基に駆動装置5を制御し、車両システムの運動を制御する。
<認識装置の障害判定>
認識装置6の障害発生の判定方法について説明する。統合認識部602は、認識装置6とネットワークまたは専用線等の通信経路を介して通信を行い、通信において障害の有無を判定する。通信経路の障害については、通信が行えない(通信処理がエラー応答、信号線の電位が異常)、通信の信号値が異常(例:CRCが不整合、固定データパターンが不一致)、等により、通信経路の障害が判定可能である。通信経路の障害については、他にも上記外界認識情報を送信する通信経路以外の通信経路を有し、前記経路から、外界認識情報を送信する通信経路の障害が発生したことを通知することも可能である。
また認識装置6の障害については、一定周期で送出されるデータが到着しない、遅れて到着する、固定のデータパターンが受信できない(先頭ビットは常に1、CRC不一致など)、データ送信を要求して応答が無い、等が挙げられる。
これら判定方法のほかに、送信データの振る舞い(挙動)を基に障害を判定することも可能である。例えば、外界認識情報について、オブジェクトが想定外の動作を実施(認識装置6の出力として想定していない、例えばオブジェクト種別の物理限界を超える移動速度で移動)、確率範囲外のオブジェクトの発生や消滅、規定外のパラメータ、など、振る舞いに異常が発生した場合も、前記異常な振る舞いを持つオブジェクトの外界認識情報を出力した認識装置6を障害発生として取り扱い、後述する障害範囲の判定を行う。
また、認識装置6が、自身が故障したことを統合認識部602に通知する場合もある。特に、特定領域の認識機能の障害(センサデバイスの異常等)が発生した場合、認識装置6が前記障害を判定可能な場合には、その特定領域が故障したことを送信することも可能である。その場合、その特定領域を後述する障害範囲の判定に使用することが可能である。
これら障害判定結果により、いずれの認識装置6に障害が発生しているかを判定することが可能になり、認識不能となる障害発生範囲を特定することが可能となる。
特に、振る舞いにより障害が発生したことを検知した場合には、障害発生時刻は、前記振る舞いが異常である外界認識情報を受信した以前に障害が発生していると判断し、それ以降の外界認識情報は破棄を行い使用しない。これにより障害発生後の不正な外界認識情報による不正な軌道生成を防ぐことが可能となる。
また認識装置6の障害発生時刻については、設計時に、障害検知後一定時刻前に発生していると想定して処理を行っても良い。例えば上記障害判定方法(例えば通信の途絶)により以上が発生した時刻をTとして、T−a(aは設計値:例えば障害発生後通信が途絶するまでの想定時間)を障害発生時刻とし、それ以降に前記障害が発生した認識装置6から出力された外界認識情報をすべて破棄する。これにより、認識装置6が障害発生検出から通知までの時間を長くする(障害検知処理負荷が低下する)ことが可能になり、さらに統合認識部602が、誤った外界認識情報を基に処理を行うことを防ぐことが可能となる。
<軌道生成判断部の障害判定>
軌道生成判断障害検知部6043の動作である、軌道生成判断部603の障害判定方法について説明する。運動制御部604は、軌道生成判断部603とネットワークまたは専用線等の通信経路を介して通信を行い、通信において障害の有無を判定する。通信経路の障害については、通信が行えない(通信処理がエラー応答、信号線の電位が異常)、通信の信号値が異常(例:CRCが不整合、固定データパターンが不一致)、等により、通信経路の障害が判定可能である。通信経路の障害については、他にも上記軌道情報を送信する通信経路以外の通信経路を有し、前記経路から、軌道情報を送信する通信経路の障害が発生したことを通知することも可能である。
また軌道生成判断部603の障害については、一定周期で送出されるデータが到着しない、遅れて到着する、固定のデータパターンが受信できない(先頭ビットは常に1、CRC不一致など)、データ送信を要求して応答が無い、等が挙げられる。
これら判定方法のほかに、送信データの振る舞い(挙動)を基に障害を判定することも可能である。例えば、軌道情報について、オブジェクトが想定外の動作を実施(軌道生成判断部603の出力として想定していない、例えばオブジェクト種別の物理限界を超える移動速度で移動)、確率範囲外のオブジェクトの発生や消滅、規定外のパラメータ、など、振る舞いに異常が発生した場合も、前記異常な振る舞いを持つ車両の軌道情報を出力した軌道計画判断部603を障害発生として取り扱い、後述する障害範囲の判定を行う。
また、軌道計画判断部603が、自身が故障したことを運動制御部604に通知する場合もある。特に、軌道計画判断部603の電子回路などの障害(センサデバイスの異常等)が発生した場合、軌道生成判断部603が前記障害を判定可能な場合には、故障したことを送信することも可能である。
これら障害判定結果により、軌道計画判断部603に障害が発生しているかを判定することが可能になる。
また軌道計画判断部603の障害発生時刻については、設計時に、障害検知後一定時刻前に発生していると想定して処理を行っても良い。例えば上記障害判定方法(例えば通信の途絶)により以上が発生した時刻をTとして、T−a(aは設計値:例えば障害発生後通信が途絶するまでの想定時間)を障害発生時刻とし、それ以降に前記障害が発生した軌道計画判断部603から出力された軌道情報をすべて破棄する。これにより、軌道計画判断部603が障害発生検出から通知までの時間を長くする(障害検知処理負荷が低下する)ことが可能になり、さらに運動制御部604が、誤った軌道情報を基に処理を行うことを防ぐことが可能となる。
<認識判断部障害>
障害検知部604で認識装置6の障害と判定された時や軌道生成判断障害検知部6043での軌道生成判断部603の障害判定で障害と判定された時、車両制御システム4は、行動予測や軌道生成ができなくなる。この状態を認識判断部の障害とし、障害検知部604および軌道生成判断障害検知部6043を認識判断部障害検知部と称す。
<緊急軌道生成>
認識判断部障害時や、新たな軌道が生成できなくなった際に使用する、緊急軌道について説明する。軌道生成判断部603は、軌道生成判断部603や外界認識部が故障した際に、一定時間走行が可能な緊急軌道を計算するための緊急軌道生成部6032を持つ。
軌道生成判断部603等が故障した場合には運動制御部604が必要とする軌道情報が更新できないため、軌道生成判断部603は緊急軌道が終了する状態までの安全な軌道が計算される必要がある。
安全な軌道については、例えば緊急軌道が終了する状態まで他の車両と衝突する可能性が限りなくゼロに近い経路が挙げられる。衝突する可能性が限りなくゼロに近い経路の例として、前記行動予測で用いる他の車両の軌道を予測し、他の車両が進入しない走行エリア上を走行する経路が例として挙げられる。その他の衝突する可能性が限りなくゼロに近い経路として、例えばすべての車両が道路交通法どおりに走行した際に進入しない走行エリア上に存在する経路がある。
また、安全な軌道の別の例として、その場で自然減速する経路がある。後述する車両状態のユーザへの出力・車外への通知機能を用いて減速していくことで、後方の車両に現在故障中であり、車両を避ける運転を促すことができる。
また、安全な軌道の別の例として、安全に停止可能な路肩などの安全停止領域に向けて走行し、停止する経路がある。本来走行車線ではない区間で減速および停止することで他の車両からの衝突を避けることができる。
また、安全な軌道の別の例として、急停止が挙げられる。車両に故障が生じた場合は走行しないことが安全であると考えられるため、急停止により最短時間で停止状態に移行する。ただし、高速道路など、他の車両が高速移動している場合は、後続車両が存在しないことを前記行動予測の方法で予測することでより安全な停止を行うことが可能である。
さらに、安全な軌道の別の例として、車線を維持して走行を続ける経路がある。例えば、その場で自然減速などにより速度を低下させた場合でも、直進走行を継続する場合には、直後の車線が曲線であれば、車線を逸脱することにより例えば壁面等へ衝突する可能性がある。そこで、車線を維持しながら走行を続けることで、壁面への衝突などの車線を逸脱することによる事故が避けられる。
<軌道保持部>
外界認識機能や軌道生成判断部603等に障害があり、新たな軌道が生成できなくなった際に使用する緊急軌道を保持する軌道保持方法を説明する。
運動制御部604は、外界認識機能や軌道生成判断部603に障害が起きた際に、緊急軌道を用いて、駆動部を制御する必要がある。そのため、運動制御部604は軌道保持部6042を有する。
軌道保持部6042は、運動制御部604から緊急軌道の軌道情報を受け取り次第、保持する。
軌道保持部は、軌道情報を揮発性のデータを保存するRAM(Random Access Memory)や書き換え可能な不揮発性メモリのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などに保存し、軌道情報の読み込みと書き出しを実施できる。
<軌道情報>
図12に軌道情報を記す。図12(a)に通常軌道と緊急軌道の例を示す。本実施例では、通常時の通常軌道と、前記緊急軌道生成で生成する緊急軌道の2本以上の軌道を持つ。各軌道は、任意の分解能で軌道情報(S1、S2)として、認識生成判断部603から運動制御部604に送られる。
図12(b)に軌道情報のフォーマットを記す。軌道情報は運動制御部が制御を計算できる情報が挿入される。制御を計算できる情報の例を記す。制御情報として、〔加速度、ヨーレート〕がある。加速度により前後方向への加減速を、ヨーレートにより左右方向の加速の指令を行う。制御を計算できる情報の別の例として、〔速度、操舵角〕がある。速度により、現在速度からの目標速度を計算し、加減速を計算する。操舵角により目標とする車体の方向を指定し、タイヤの角度変更を行う。また、別の例として〔座標〕がある。座標の例としては、〔x座標、y座標〕や〔前に10m、左に5m〕といった指定方法があり、これらに限らない。運動制御部は、座標へ移動するための前後方向と横方向の計算を行い、駆動装置の制御を行う。座標情報を用いることで、座標情報の差分を用いた制御が出来る。座標情報の差分とは、路面状態や横風などにより指令値どおりに動けないなど目標とする制御にずれが起きたとき起こる、実際の座標情報と指定された座標情報の差分である。座標情報の差分を用いることで、計算された軌道と異なった軌道を車両がとった場合に、計算された軌道への復帰が可能になる。
また、制御を計算できる情報の別の例として、〔駆動輪毎の指令値〕がある。駆動車輪ごとの指令値の例として、加速度や速度、または、加速度に加えて車輪角を加えても良い。駆動装置は、タイヤ一輪単位で加速度や角度を制御することもできるため、運動制御部は各タイヤを動かすことで車体の制御を行う計算ができる。
また、軌道情報には、番号情報を持たせることで、受信した軌道情報の順序を把握することが可能となる。通常軌道から、緊急軌道へ切り替える際に、番号情報を確認することで、直前の通常軌道の軌道情報に最も時間的に近い緊急軌道の軌道情報を選択できるため、最小限の制御のずれで移行が可能になる。また、通常軌道の軌道情報S1と緊急軌道の軌道情報S2は同じ指令値を持っても良いが、異なる指令値を持っても良い。例えば、通常時の軌道情報には速度や加速度などの制御値を指定することで、運動制御部は座標の差分を用いた制御をする必要が無く処理負荷を低減でき、緊急軌道の軌道情報に座標情報を用いることで、軌道生成判断部故障時に、軌道の差分を用いた制御を運動制御部が実施でき、軌道生成判断部が故障した後により正確な制御が可能である。
また、緊急軌道の軌道情報S2は、図12(c)のように複数の時間における軌道情報を軌道保持部に保持させるため、各軌道情報を特定できる番号情報を持つことにより、各時間における運動制御を行うことが可能になる。
<軌道切替部>
軌道生成判断部603等に障害があった際に、通常の軌道情報から緊急軌道の軌道情報を使用する制御に切り替えるための軌道切替部6041について説明する。
運動制御部604が軌道生成判断部6043より、軌道生成判断部603の障害情報を取得すると、軌道切替部6041は軌道保持部6042からの軌道情報を用いるため、軌道保持部6042に軌道情報を出力するように指示する。軌道保持部6042は、軌道切替部6041からの指示を受けた後、保持していた緊急軌道の軌道情報を軌道切替部6041に送付する。
また、軌道切替部6041は後述するユーザ入力部606からのユーザからの操作入力があった場合に、軌道情報を用いた制御からユーザからの操作入力を用いた制御に切り替えることが可能である。
また、ユーザからの操作入力がブレーキを踏んですぐ離すなど非常に短い時間(例えば1秒以内)の操作だった場合、軌道情報による制御を取りやめると、前記軌道生成の安全性制約を満たさなくなる場合、ユーザからの操作入力を一旦無視し、軌道情報による制御を実施する。このようにすることで、操縦をするつもりの無いユーザの操作により、軌道情報を用いた制御を取りやめた結果、他の障害物に衝突するなどの危険を回避できる。
軌道切替部6041はユーザからの運転に切り替えるため、ユーザ入力部605からの入力を元に駆動装置の動作を計算することができる。
軌道切替部6041により、軌道生成判断部603等に障害があった際に緊急軌道の軌道情報を使用することができる。
<車両状態のユーザへの出力・車外への通知>
車両制御システム3は、現在の車両の状態について、または、認識装置6の障害判定について、または、軌道生成判断部の出力装置7を介してユーザに、または車両の外部に対して通知装置9または通信装置3を介して出力する。例えば車両システム1のいずれかの部分に故障が発生した場合に、出力装置7を介してユーザに対して警告等の点灯、もしくは音による警告や振動装置による警告を実施する。また、出力装置7は、前記緊急軌道の残り時間を時間情報として出力し、ユーザに安全に動ける残り時間を通知する。
または通知装置9または通信装置3を介して車両外部に、ランプによる警告状態の出力や、スピーカによる警告音、障害に関する情報等の出力等を実施する。
<ユーザからの操作入力>
車両制御システム3は、入力装置8から車両の運転手や搭乗者からの操作を受付、ユーザ入力部603に操作情報を受け渡す。本実施例で用いるユーザからの操作入力では、入力装置8は、例えばハンドル、ブレーキペダル、アクセルペダル、クラッチペダル、サイドブレーキのレバーやスイッチ、ギアシフトレバーなどの変速装置のレバーやスイッチ、主電源などを操作するスイッチがある。運転手は、入力装置8を用いて、車両の挙動(操舵角の変更、加速、減速、変速装置の変更等)を変化させるユーザからの操作入力を行う。
以上、説明したように、車両システムの認識装置6や行動計画システムに障害が発生した場合でも、車両システムが安全な行動を行うことが可能となる。特に、行動計画システムに障害が起こり走行計画が計算できなくなっても、予め安全に動ける経路に沿って動くことで、ユーザに操作を引き継いだり停止したりすることが可能となる。
本発明にかかる第2の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、通信量を削減できる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
軌道情報には、図13に示すような通常軌道の軌道情報から緊急軌道の軌道情報へ移行するための移行用の情報が付与される。そして、軌道生成判断部は、緊急軌道の軌道情報が安全であるかを判定し、運動制御部へ送信する。もし、軌道情報が安全ではないと判断した時は、新たな緊急軌道を計算する。緊急軌道が安全であるとは、緊急軌道が前記前記緊急軌道生成処理に記載の安全な軌道の状態を満たす場合である。
移行用の情報の例として、軌道情報に制御を実施すべき実時間を付与する方法がある。例えば、図13のように通常軌道の軌道情報に現在の時間を、緊急軌道の軌道情報それぞれに将来の時間を付与する。運動制御部604は、軌道生成判断部603の障害発生時、直前に受信したもしくは処理した通常軌道の軌道情報の時間情報を参照し、参照した時間に最も近い未来の時間情報または、参照した時間に最も近い時間情報を持つ緊急軌道の軌道情報を軌道保持部6042から選択し、制御に用いる。また実時間を使う別の例として、緊急軌道の軌道情報にのみ時間情報を付与する方法がある。運動制御部604は、軌道生成判断部603の障害発生時、現在の時間から最も近い時間情報を持つ緊急軌道の軌道情報を選択し制御に用いる。移行用の情報の他の例として、軌道情報に番号を付与する。例えば、緊急軌道を50の区間に区切って軌道情報を送付する場合、0から49までの番号を用いて表現するとする。このとき、軌道生成判断部603は通常軌道として軌道情報を送付する際に、緊急軌道のどこの区間に相当するかを知らせるための番号を付与する。運動制御部604は、軌道生成判断部603の障害発生時、直前の受信又は処理した軌道情報の番号から最も近い番号を持つ緊急軌道の軌道情報を選択し制御に用いる。
緊急軌道生成部は、常にもしくは一定周期ごとにもしくは任意の時間に、緊急軌道が安全であるとの判断結果を軌道保持部に送信する。軌道保持部は、緊急軌道が安全であるとの判定結果を受信した場合、軌道保持部の緊急軌道を続けて使用する。
緊急軌道生成部は、緊急軌道が安全でないと判断した時に、新たな緊急軌道を計算し、緊急軌道の軌道情報をすぐにもしくは現在の送信周期に、緊急軌道の軌道情報を軌道保持部へと送信する。軌道保持部は、軌道情報を受信し、保持している軌道情報を更新する。
このように、軌道情報に移行用の情報を付与し、軌道生成判断部で常に緊急軌道の軌道情報の安全性を判断することで、緊急軌道の軌道情報の送信回数は少なくなるため、より少ない送信量で軌道情報を送信できる。
また、緊急軌道は一定の時間が用意されるため、軌道保持部の緊急軌道は複数存在するため、切替部は切替時の時間に適した緊急軌道を選択する必要があるため、移行用の情報を用いることで、緊急軌道情報から使用することを防ぎ、より安全な軌道情報の切替が可能である。もし、移行用の情報を持たない場合は、緊急軌道の終端に近い軌道情報や数秒前の軌道情報を用いる可能性があり、想定していた時間軸とは異なる軌道で走行する恐れがある。
本発明にかかる第3の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、常に緊急軌道生成部が緊急軌道を計算した時点の野軌道情報を用いることができる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
本実施例では、軌道生成判断部603の緊急軌道生成部は、運動制御部で計算する制御が成り立つ最低限の周期(100μs〜10ms)もしくは、常に緊急軌道の軌道情報を計算し、運動制御部へ送信する。
運動制御部604は、緊急軌道を受信した際にすぐに更新する。もしくは、運動制御部は、緊急軌道生成部に緊急軌道送信要求を送信し、緊急軌道生成部は緊急軌道送信要求を受け取った後に緊急軌道の軌道情報を軌道保持部に送信し、軌道保持部は緊急軌道情報を受け取り更新する。軌道切替部は、緊急軌道に切り替える際に、軌道保持部の先頭の軌道情報から順に使用していく。
このように、軌道生成判断部で軌道情報を常に更新し、運動制御部で軌道情報を更新して行くことで、軌道保持部の軌道情報は最も近い時間に緊急軌道生成部が計算した安全な軌道が保持される。時間の経過により古い緊急軌道が、最新の行動予測では他の障害物に衝突する経路となる恐れがあるため、本実施例により古い緊急軌道を用いた結果、他の障害物へと衝突する危険性を大きく減らすことができる。
本発明にかかる第4の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、軌道生成判断部603と運動制御部604間の通信量を減少させることができる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
本実施例における緊急軌道生成部603は、複数の緊急軌道パターンを保持している。
例えば緊急軌道パターンの例として、前記緊急軌道生成で生成される自然減速する経路や、直前までの走行速度と操舵角を固定した経路やなどがあげられる。各緊急軌道パターンは、図18(a)で示される、複数の軌道情報で表される。緊急軌道パターンの軌道情報には、緊急軌道パターン特定情報1901と、移行用の順序情報1902、軌道情報の制御情報1903を持つ。緊急軌道パターンを一意に指定できる情報を持つことで、軌道選択部は、軌道保持部が保持する任意の軌道パターンを選択できる。
本実施例では、上記緊急軌道パターンはシステム軌道時に運動制御部604に送信され、軌道保持部6042によって保持される。又は、運等制御部がこれら緊急軌道パターンをシステム軌道前から保持していても良い。
本実施例では、図14に示す安全パターン確認部6033が緊急軌道生成部6032が持つ緊急軌道パターンを常にもしくは一定時間おきに評価する。緊急軌道パターンに含まれる軌道が他の車両などに衝突する恐れがない、もしくは非常に低いときは何もしない、もしくは緊急軌道パターンに何も問題が無いという情報を軌道生成判定部は運動制御部604に送信することができる。また、緊急軌道パターンに含まれる軌道の内一つが他の車両などに衝突する恐れがある、もしくは非常に高い場合は、運動制御部604に衝突の恐れがある緊急軌道パターンを使用禁止にするための情報を送信する。図19(b)に、軌道生成判断部判603が送信する、緊急軌道パターンを使用禁止にするための情報を示す。緊急軌道パターンを使用禁止にするための情報には、緊急軌道パターン特定情報1904と緊急軌道パターン使用禁止判定結果1905の情報が含まれる。
また、緊急軌道パターンに含まれる軌道の内全てが他の車両などに衝突する恐れがある、もしくは非常に高い場合は、緊急軌道パターンにない緊急軌道を計算し、運動制御部604へ送信する。運動制御部604は受け取った緊急軌道を、軌道保持部6042で保持する。
このように、軌道生成判定部が軌道が変わることのない軌道パターンを最初に送信し、その安全性の判定結果だけを送信することにより、常に軌道情報を送信する時に比べて、通信情報の総量は軽減される。
また、運動制御部604が緊急軌道パターンをシステム軌道前から保持している場合ならば、軌道生成判定部から緊急軌道計画が送信されなくとも、緊急軌道の軌道情報を元に駆動装置を制御することができる。
緊急軌道の軌道情報は、非常に大きなデータ量を持つこともあるため、送信中に通信路の障害などですべてのデータ送信が完了しない恐れがある。緊急軌道パターンを軌道保持部によって予め保持することで、通信路に障害が生じたとしても、運動制御部は安全な軌道を軌道保持部に保持しているため、緊急軌道に切替が可能である。
本発明にかかる第5の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、緊急軌道の計算量を減少させる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
本実施例における軌道生成判定部が計算する緊急軌道の経路は、図15のように途中まで通常の軌道の経路と一致させる。通常の軌道であっても十分に安全な経路を計算しているため、数秒先の場合によっては他の車両や障害物との衝突が起こりうる予測がある場合に、分岐としての緊急軌道を計算する。
軌道生成判断部は、通常軌道から、緊急軌道への移行を行うため、軌道情報に前記移行用の情報を付与する。次に、軌道生成判断部603は通常の軌道の軌道情報と緊急軌道の軌道情報をそれぞれ運動制御部604に送付する。次に、軌道生成判断部603は、通常軌道が変更になる、もしくは緊急軌道が変更になる、もしくは緊急軌道と通常軌道の分岐点を越える、などの時、新たな緊急軌道を計算する、もしくはあらかじめ新たな緊急軌道を計算し、軌道情報を運動制御部604へと送信する。運動制御部604は、緊急軌道の軌道情報を受け取り軌道情報を軌道保持部6042で保持する。本実施例により、緊急軌道生成部が計算する緊急軌道は、途中まで通常軌道生成部と同じ軌道を計算するため、緊急軌道と通常軌道を別々に計算する場合に比べて、軌道が重なる部分の距離もしくは時間分計算量を減少させることが可能である。さらに、通常軌道と緊急軌道を常に送信する実施方法と比べ、緊急軌道と通常軌道の軌道情報の総量が減少するため、通信量を低減させることが可能である。
本発明にかかる第6の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、緊急軌道の通信間隔を広げる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
軌道計算を、駆動装置を制御するために十分に短い周期(例えば10ms周期)で計算しない場合、図16(a)のような軌道計算直後と、図16(b)のような次の軌道計算直前で走行可能な時間が異なってしまう。そこで、軌道計算直後、次の軌道計算までは、直前の軌道の終端からは図16(c)のような代替の安全軌道を使用する。代替の安全軌道の例として、軌道の終端からは微減速し車線変更などの直進方向以外への軌道を取らない、もしくは微減速しながら車線を維持する軌道を取る、もしくは路肩に寄せながら減速するといった軌道がある。緊急軌道生成部6042は、代替の安全軌道を評価し、使用可否を運動制御部604に送信する。運動制御部604は、システム軌道時点に軌道生成判断部603から、上記のような代替経路の軌道情報を受け取り、軌道保持部で保持する。
運動制御部604は、緊急軌道の軌道情報をすべて用いた後は、軌道保持部6042に保持された代替軌道に従い、駆動装置の制御を行う。
本実施例により、緊急軌道の更新間隔が開き、軌道生成判断部が故障した後に十分な時間間隔の軌道情報を軌道保持部が保持していないことで、ユーザが引き継ぐまでに短時間しか安全に制御できず、安全な軌道の後に他の障害物に衝突するなどの恐れがある場合でも、不足している軌道情報を運動制御部が計算することが可能になり、常に軌道生成判断部が故障した後にユーザに引き継ぐまで十分な時間間隔の軌道情報を用いた制御が可能となり、緊急軌道終了後他の障害物に衝突する恐れを防ぐことが可能になる。
本発明にかかる第5の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、ユーザが運転を引き継いだ際により安全に運転を引き継ぐことが可能になる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
軌道生成判断部603は、緊急軌道の最終状態をユーザに安全に引き渡せる状態にするように計算する。ユーザに安全に引き渡せる状態とは、ハンドルの操縦角度や、車体の操舵角度が一定以下の時を指す。例えば、直進状態で受け渡す場合、直進状態の軌道区間の次に急カーブや障害物などが理由でハンドルの操縦角度や車体の操舵角度が一定角度以上必要となる区間が存在するとユーザは引継ぎ時直後に急なハンドル操作が必要となり、他の車両や障害物に衝突する恐れがある。そこで、ユーザに引き渡しやすい状態は、引渡し時の軌道とその後の軌道において、ハンドルの操縦角度や車体の操舵角度が一定角度以下を指す。また、ユーザに安全に引き渡せる状態の別の例を説明する。緊急軌道時の安全軌道が減速を必要とする場合、ユーザがブレーキを操作することで必要な減速指令が解除され危険にさらされてしまう恐れがある。そのため、ユーザに引き渡しやすい状態の別の例は、引渡し時の軌道とその後の軌道において、一定力以上のブレーキによる制動が必要ない状態である。
図17に示す運動制御部604が持つ安全状態判定部6045は、緊急軌道で動作中、軌道保持部6042の持つ軌道が安全な状態であるかを判定する。安全な軌道であったとき、安全状態判定部6045は出力装置7に安全な軌道中であることを通知する。出力装置7は、図18に示すように、運転しても良いか否かをメッセージを表示して通知する画面出力1302や、運転しても良いか否かを記号を用いて表示して通知する画面出力1303を用いてユーザに通知する。他にもユーザへ情報を通知するランプを持つならば緊急軌道走行中を表す点灯からユーザに引き渡しやすい状態であることを表す点灯に切り替える方法や、スピーカなどの音の出力装置であるならば、ユーザに引き渡しやすい状態の時、音声や警告音を用いてユーザに引き継ぎやすいことを通知する方法や、振動装置を用いてユーザに通知する方法がある。 このように、緊急軌道の軌道情報からユーザに安全に引き渡せる状態を計算することで、出力装置7を用いてユーザに安全に引き渡せる状態であることを通知することができ、ユーザは運転していい状態であるかを判断可能になる。よって、ユーザが運転を引き継いだ時により安全な状態でユーザによる運転が開始可能になる。
本発明にかかる第8の実施例における車両制御システムについて説明する。第1の実施例と異なる点は、ユーザが安全に運転を引継ぎ可能なタイミングを通知できる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
図17に示す運動制御部604が持つ安全状態判定部6045は、緊急軌道で動作中、もしくは通常軌道で動作中に、軌道保持部6042の持つ軌道情報の中の安全な状態を持つ軌道区間を計算する。軌道保持部6042は緊急軌道の軌道情報を出力装置7に送信し、安全状態判定部6045は安全な状態を持つ軌道区間を出力装置7に送信する。出力装置7は、図181301に示すように自車位置と、自車が進む軌道と、を表示し、自車が進む軌道は、安全な状態をもつ軌道1301Aと、安全な状態を持たない軌道1301Bを表示する。1301Aは、点滅や蛍光色や強い光などによって強調される。出力装置7の別の出力例では、安全な状態をもつ軌道にたどり着くまでの残り時間を使用して、スピーカなどの音を出力する装置を用いて残り時間を読み上げる、または表示装置1300を用いて残り時間1304を表示する。これにより、緊急軌道上に存在するユーザが安全に運転を引き継げる区間を判定し、出力装置7によって出力することでユーザは安全な状態で運転が引き継げる軌道までのタイミングを理解することができるため、安全な状態で運転を開始できる。
本発明にかかる第9の実施例における車両制御システムについて説明する。第9の実施例と異なる点は、ユーザが運転を引き継いだ際により安全に運転可能になる点である。なお、先に説明した実施例と同様の構成は符号を同じくして説明を省略する。
本実施例では、第5の実施例と同様に運動制御部604は、緊急軌道で動作中、軌道保持部6042の持つ軌道が前記緊急軌道生成処理で記載した安全な状態であるかを同様に判定する。安全な状態でないと判定した時、軌道切替部6041はユーザからの操縦の入力(ハンドルの回転や、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み)を禁止し、緊急軌道のみの動作を実施する。そのため、本実施例の軌道切替部6041は図17で示すようにユーザ入力部605からの入力を取得する。
運転引継ぎの禁止は、緊急軌道時以外でも適用できる。例えば、実施例3のように緊急軌道と通常軌道が一部一致している場合、通常軌道の軌道情報を使用して制御を行っているときにも、軌道保持部6042の持つ軌道が安全な状態であるかを判定することができる。安全な状態でないと判定した時、軌道切替部6041はユーザからの操縦の入力(ハンドルの回転や、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み)を禁止し、軌道情報による制御のみを実施する。
本実施例により、運動制御部604は安全な状態でないと判定した時、ユーザからの入力を無視することができ、ユーザは運転した場合に事故を起こしかねないような危険な運転をする可能性が非常に低くなるため、安全な運転引継ぎが可能になる。
1 車両システム
2 車両制御システム
3 通信装置
4 車両制御システム
5 駆動装置
6 認識装置
7 出力装置
8 入力装置
9 通知装置
301 ネットワークリンク
302 ECU
303 GW
401 プロセッサ
402 I/O
403 タイマ
404 ROM
405 RAM
406 内部バス
501 制御部
502 通信管理部
503 時間管理部
504 データテーブル
505 バッファ
601 行動計画システム
602 統合認識部
603 軌道生成判断部
604 運動制御部
605 ユーザ入力部
606 出力管理部
607 通知管理部
608 障害検知部
1001 外界認識マップ
1300 表示装置
1301 状況表示
1302 進路表示
1303 障害箇所表示
S1 通常軌道情報
S2 緊急軌道情報
6031 通常軌道生成部
6032 緊急軌道生成部
6033 安全パターン確認部
6041 軌道切替部
6042 軌道保持部
6043 軌道生成判断障害検知部
6045 安全状態判定部
1901 緊急軌道パターン特定情報
1902 移行用の順序情報
1903 軌道情報の制御情報
1904 緊急軌道パターン特定情報
1905 緊急軌道パターン使用禁止判定結果

Claims (9)

  1. 故障時にシステムから運転手に運転を切り替えるまでの間の緊急軌道を計算する緊急軌道生成部を有する軌道生成判断部と、
    前記緊急軌道を保持する軌道保持部と認識判断部障害検知部で検知した故障状態に基づいて前記軌道保持部で保持された緊急軌道で走行するかを切り替える軌道切替部とを有する運動制御部と、
    からなることを特徴とする車両制御システム。
  2. 請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
    前記軌道生成判断部は、ユーザに安全に引き渡せる状態を有する軌道を計算することを特徴する車両制御システム。
  3. 請求項2に記載の車両制御システムにおいて、
    前記運動制御部からの譲渡可否判定結果を受け取り運転手に通知する譲渡通知部を有し、
    前記運動制御部は、前記軌道保持部が保持する緊急軌道から制御譲渡可能状態を判定し譲渡可能と判定した場合に譲渡可能である指令を軌道切替部に通知する安全状態判定部を有することを特徴とする車両制御システム。
  4. 請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
    前記軌道切替部は、前記制御譲渡可能状態が不可である場合には操作情報入力部からの指示を受け付けず制御することを特徴とする車両制御システム。
  5. 請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
    前記緊急軌道生成部は、複数の緊急軌道を生成し、
    前記軌道保持部は、複数の緊急軌道を保持し、
    前記軌道切替部は、前記複数の緊急軌道の安全判定結果に応じて緊急軌道を切り替えることを特徴とする車両制御システム
  6. 請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
    前記運動制御部は、定められた走行時間に応じて前記軌道保持部が保持する緊急軌道に補完軌道を追加することを特徴とする車両制御システム
  7. 請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
    前記緊急軌道生成部で生成される緊急軌道情報に順序を認識できる数値情報を持つことを特徴とする車両制御システム。
  8. 請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
    前記軌道切替部は、前記認識判断部障害検知部からの故障情報と前記安全状態判定部からの譲渡可能状態判定結果を元に軌道選択状態を通常軌道状態と緊急軌道状態と入力制御状態に切り替えることを特徴とする車両制御装置。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の車両制御システムと、
    ユーザに軌道選択状態を通知する出力部と、を有し、
    前記出力部は、障害発生時にユーザに障害発生を通知することを特徴とする行動計画システム。
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