JP2019057684A - フレキシブル配線基板及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】微細な配線回路パターンであっても細線が絶縁性フィルムから剥がるのを抑えることが可能なフレキシブル配線基板を提供する。【解決手段】ポリイミドフィルム等の絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路とを有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいるか若しくは塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいるか、又はこれら両方を含んでいる。硫酸銅、硫酸、市販添加剤、塩素を含む浴から、電流密度2〜8A/dm2で製造した。【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に配線回路が設けられたフレキシブル配線基板及びその製造方法に関する。
携帯電話等の携帯用電子機器はますます小型化・軽量化する傾向にあり、これらに搭載する電子部品群の配置間隔を狭くして高密度に実装するため、配線回路の微細化(細線化)や配線ピッチの狭幅化などの高密度実装化の技術に関する研究開発が進められている。高密度実装化が進むに伴い、絶縁性フィルムの少なくとも片面に配線回路が設けられたフレキシブル配線基板には、当該配線回路の回路パターンの寸法精度が高いこと、例えば配線ピッチにばらつきが少ないことが求められている。また、フレキシブル配線基板が熱的安定性に優れていること、すなわち上記回路パターンが熱により変形しにくいことも求められている。
上記のフレキシブル配線基板の作製方法としては、サブトラクティブ法とセミアディティブ法が知られている。サブトラクティブ法は、絶縁性フィルムの表面に配線に必要な高さ(厚さ)の金属層が成膜された配線基板用材料を用意し、その金属層の表面にレジストマスクを設けてその開口部から露出する金属層をエッチング加工することで、所望の回路パターンを有する配線回路を形成する方法である。一方、セミアディティブ法は絶縁性フィルムの表面に金属薄膜層が成膜された配線基板用材料を用意し、その金属層の上にレジストマスクを設けてその開口部から露出する金属層の上に電解めっきにより配線に必要な高さ(厚さ)までめっき層を形成することで、所望の回路パターンを有する配線回路を形成する方法である。
前述したように配線回路の微細化(細線化)への要求が高まるに従って、最近はフレキシブル配線基板をセミアディティブ法で作製する場合が増加している。その理由は、サブトラクティブ法に比べてセミアディティブ法の方が細線断面のトップ幅とボトム幅との差を小さくすることができるからである。また、特許文献1には、硫黄を含んだめっき液を用いて銅めっき層を有する配線基板用材料を作製することによって、該銅めっき層をサブトラクティブ法によってパターニング加工する場合であっても、細線断面のトップ幅とボトム幅との差を小さくする技術が開示されている。
特開2013−019037号公報
上記のように、フレキシブル配線基板の配線回路は高密度実装化に対応して微細化が進んでおり、これに伴い配線回路を構成する細線の線幅がますます狭くなっているが、その結果、細線が絶縁性フィルムから剥がれ易いといった問題が生じていた。例えばフレキシブル配線基板の製造工程において、配線回路が形成された半製品の搬送時にローラー等の搬送手段に配線回路が接触することで細線の一部に剥がれが生じたり、あるいは切断加工時などにおいて細線に応力が加わることで細線の一部が剥がれたりすることがあった。
上記の細線の剥がれを防止するため、パターニング加工する前の配線基板用材料において、配線回路が形成される金属層と絶縁フィルムとの密着性を高めることが考えられる。金属層と絶縁フィルムとの密着性を高めるための一般的な手法としては密着面の粗化処理が知られており、これにより密着面積を広くでき且つアンカー効果を得ることができる。しかしながら、微細な回路パターンを形成するには、金属層と絶縁性フィルムとの界面ができるだけ平坦であるのが好ましく、そのため凹凸の少ない絶縁性フィルムの表面にスパッタリング法等の乾式めっき法によりベース金属層を形成し、更にその上に湿式めっき法により銅めっき層を形成したいわゆるメタライズ基板からなる積層体がよく使われる。すなわち、密着力を高めるべく絶縁性フィルムの表面を過度に粗化することはむしろ微細な回路パターンの形成の妨げになっていた。
このような従来のフレキシブル配線基板が抱える問題を解決するため、本発明者は乾式めっきで成膜したベース金属層と、湿式めっき法で成膜した銅めっき層とからなる積層構造の配線回路を有するフレキシブル配線基板において、該銅めっき層の成膜時の湿式めっき条件と細線の剥がれ易さとの関係を調査したところ、当該湿式めっき条件を変えることによって細線の剥がれ易さに差異が生じることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1の態様のフレキシブル配線基板は、絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路とを有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る第2の態様のフレキシブル配線基板は、絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路を有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴としている。
更に、本発明に係る第3の態様のフレキシブル配線基板は、絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路を有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm、及び塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る第1の態様のフレキシブル配線基板の製造方法は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る第2の態様のフレキシブル配線基板の製造方法は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る第3の態様のフレキシブル配線基板の製造方法は、絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmであって且つ塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
本発明によれば、絶縁性フィルムの表面に形成した微細な回路パターンを有する配線回路の細線が当該絶縁性フィルムから剥がるのを抑えることができる。
実施例で作製したフレキシブル配線基板の切断部分の写真であり、直線導電部に剥離が生じていないことが分かる。 実施例で作製したフレキシブル配線基板の切断部分の写真であり、直線導電部に一部剥離が生じていることが分かる。
以下、本発明の第1の実施形態のフレキシブル配線基板について説明する。この本発明の第1の実施形態のフレキシブル配線基板は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層及び該ベース金属層の上に電気めっき等の湿式めっき法で形成された銅めっき層からなる積層構造の配線回路とを有している。
上記の積層構造の配線回路が形成される基材としての絶縁性フィルムの材料は特に限定がなく、種々の一般的な樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の耐熱性樹脂や、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、液晶ポリマー系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂フィルムの材料の中では、耐熱性や絶縁性に優れることからポリイミド樹脂が好ましく、これは例えば東レ・デュポン株式会社製のカプトン(登録商標)シリーズや宇部興産株式会社製のユーピレックス(登録商標)シリーズ等として市販されている。
上記の絶縁性フィルムの厚さは特に限定はないが、下限値は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。一方、過度に厚くなると積層体の作製時や作製後の取扱いが困難になるので、厚さの上限値は80μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましい。上記の絶縁性フィルムは、表面粗さRaが3〜100nmであるのが好ましく、これにより適度なアンカー効果が得られるので、微細な配線回路のパターニング加工を特に阻害することなく絶縁性フィルムの表面に剥がれにくい配線回路を形成することができる。上記の表面粗さRaが3nm未満ではアンカー効果が発揮されにくくなり、逆に表面粗さRaが300nmを超えると微細な配線回路パターンをパターニング加工するのが困難になる。
乾式めっき法で成膜されるベース金属層は、金属シード層と銅薄膜層とがこの順に絶縁性フィルムの表面に成膜されるのが好ましい。金属シード層は、絶縁性基材と銅薄膜層との密着性を高める役割を担っており、その材料については特に限定がないが、例えば、ニッケル、クロム、モリブデン、チタン、バナジウム、スズ、金、銀、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、アルミニウム、鉛、炭素、鉛−スズ系はんだ合金などのうちの1種若しくは2種以上含む金属又はその合金が好ましい。これらの中ではニッケル若しくはその合金、クロム若しくはその合金、又はニッケル及びクロムを含む合金であることがより好ましく、ニッケル及びクロムを含む合金、例えば、ニッケル−クロム合金であることが特に好ましい。
上記の金属シード層の膜厚は2nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。金属シード層の膜厚が2nm未満では、パターニング加工を行う際に金属シード層と絶縁性基材との間にエッチング液の浸食によりエッチング液が染み込んで、配線が浮いてしまう場合がある。逆に、金属シード層の膜厚が50nmを超えると、パターニング加工を行う際に金属シード層のうち除去すべき部分をエッチングにより完全に除去するのが困難になり、残渣として配線間に残って絶縁不良を発生させる恐れがある。
上記の金属シード層の上に形成される銅薄膜層は、銅又は銅を主成分とする銅合金からなり、その厚さについては特に限定はないが、10nm以上300nm以下であるのが好ましい。その理由は、10nm以上であれば後述する銅めっき層を電気めっきで成膜する時の給電量を十分に確保することができるからである。逆に銅薄膜層の厚みが300nmを超えると生産性の観点から好ましくない。上記の金属シード層及び銅薄膜層からなるベース金属層の上に形成する銅めっき層は、一般的な電気めっき法で成膜することができる。この銅めっき層の膜厚は0.1μm以上20μm以下が好ましい。
ところで、電解銅めっき浴に使用する硫酸銅めっき液には添加剤として市販の光沢剤の添加が行われる。この光沢剤には硫黄が含有されており、電気めっきの電流密度を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量を変えることができる。そこで、本発明の第1の実施形態のフレキシブル配線基板では、電気めっきの電流密度を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量を0.5〜3.0質量ppmの範囲内にしている。これにより、絶縁性フィルムの表面に形成した微細な回路パターンを有する配線回路の細線が当該絶縁性フィルムから剥がるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の硫黄濃度を調整することで細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、硫黄は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、この硫黄濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、硫黄の含有率を上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
次に、本発明の第2の実施形態のフレキシブル配線基板について説明する。この本発明の第2の実施形態のフレキシブル配線基板は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層及び該ベース金属層の上に電気めっき等の湿式めっき法で形成された銅めっき層からなる積層構造の配線回路を有している。
上記の本発明の第2の実施形態のフレキシブル配線基板における銅めっき層の成膜の際に用いられる硫酸銅めっき液には塩素が添加されている。この場合、塩素濃度を調整するか、若しくは電気めっきの電流密度を調整するか、又は塩素濃度と電流密度の両方を調整することで銅めっき層中の塩素の含有量を変えることができる。
そこで、本発明の第2の態様のフレキシブル配線基板では、上記の塩素濃度及び/又は電流密度の調整により銅めっき層中の塩素の含有量を0.9〜2.1質量ppmの範囲内にしている。これにより、絶縁性フィルムの表面に形成した微細な回路パターンを有する配線回路の細線が当該絶縁性フィルムから剥がるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の塩素濃度を調整することで細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、塩素は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、この塩素濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、塩素の含有率を上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
次に、本発明の第3の実施形態のフレキシブル配線基板について説明する。この本発明の第3の実施形態のフレキシブル配線基板は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層及び該ベース金属層の上に電気めっき等の湿式めっき法で形成された銅めっき層からなる積層構造の配線回路を有している。
上記の本発明の第3の実施形態のフレキシブル配線基板における銅めっき層の成膜の際に用いられる硫酸銅めっき液には硫黄を含む市販の光沢剤が添加されており、更に塩素が添加されている。この場合、硫黄濃度及び/又は塩素濃度を調整するか、若しくは電気めっきの電流密度を調整するか、又は硫黄濃度及び/又は塩素濃度と電流密度の両方を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量及び塩素の含有量を変えることができる。
そこで、本発明の第3の実施形態のフレキシブル配線基板では、上記の硫黄や塩素濃度及び/又は電流密度の調整により銅めっき層中の硫黄の含有量を0.5〜3.0質量ppmの範囲内にし且つ塩素の含有量を0.9〜2.1質量ppmの範囲内にしている。これにより、絶縁性フィルムの表面に形成した微細な回路パターンを有する配線回路の細線が当該絶縁性フィルムから剥がるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の硫黄及び塩素の濃度を調整することで細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、硫黄及び塩素は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、これらの濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、硫黄及び塩素の含有率をそれぞれ上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
[実施例1]
基材として表面粗さRaがそれぞれ3nm及び7nmの2種類の厚さ25μmのポリイミドフィルムと、表面粗さRaがそれぞれ60nm及び100nmの2種類の厚さ50μmのPETフィルムとを用意し、これら4種類の基材の各々の片面に、厚さ0.03μmのニッケル-クロム合金層と、その上の厚さ0.1μmの銅薄膜層とからなるベース金属層をスパッタリング法により形成した。次に、該ベース金属層の表面に市販のドライフィルムレジストをラミネート法により貼り付けた後、このレジストにフォトマスクを介して紫外線露光を行い、更に1%炭酸ナトリウム水溶液により余分なレジストを溶解することで現像処理した。これにより、線幅が20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、及び45μmの直線導電部を10本ずつ形成するための開口部を有するレジストマスクを形成した。
次に、該レジストマスクの開口部から露出するベース金属層の上に電気めっきにより銅めっき層を形成した。この電気めっきに用いる電解銅めっき浴の硫酸銅めっき液は、硫酸銅濃度100g/L、硫酸濃度180g/Lとし、これにアトテック社製の添加剤(カパラシドGS)を濃度1mL/Lとなるように添加し、更に塩素濃度60質量ppmとなるように塩酸を添加した。
上記電気めっきの際、先ずベース金属層が成膜された表面粗さRa3nmのポリイミドフィルムに対して濃度10質量%の硫酸水溶液で洗浄した後、これを6枚の試験片に切断した。これら6枚の試験片を浴温25℃の上記硫酸銅めっき液に浸漬し、それぞれ1〜8A/dmの範囲内で異なる電流密度で膜厚8μmの銅めっき層を成膜した。具体的には、上記の6枚の試験片の電気めっきの電流密度を、それぞれ1A/dm、1.5A/dm、2A/dm、4A/dm、6A/dm、及び8A/dmとした。なお、電流密度が異なることで成膜速度に差が生ずるので、めっき時間を調整することで全てほぼ同じ膜厚になるようにした。上記電気めっき後はレジストマスクを取り除き、隣接する直線導電部間のベース金属層を除去した。このようにして試料1〜6のフレキシブル配線基板を作製した。得られた試料1〜6のフレキシブル配線基板の各々に対して、銅めっき層中に含まれる硫黄と塩素の濃度を二次イオン質量分析法を用いて分析した。その結果を下記表1に示す。
上記表1に示されるように、硫酸銅めっき液に添加した添加剤を構成する光沢剤に含まれる硫黄及び添加した塩素に起因すると思われる硫黄及び塩素の濃度は、いずれもめっき時の電流密度が低いほど高くなった。次に、上記にて得た試料1〜6のフレキシブル配線基板をカッターナイフで該直線導電部の延在方向に対して直交する方向に切断し、切断部分を電子顕微鏡で観察して切断部分における該直線導電部とポリイミドフィルムとの剥離の有無を調べた。その結果を下記表2に示す。また、該直線導電部が剥離しない部分の写真と剥離した部分の写真をそれぞれ図1及び図2に示す。なお、「○」は剥離が生じなかったことを示しており、「×」は少なくとも一部に剥離が生じたことを示している。
表面粗さRa7nmのポリイミドフィルム、表面粗さRa60nmのPETフィルム、及び表面粗さRa100nmのPETフィルムに対しても、上記と同様に電気めっきの電流密度を1〜8A/dmの範囲内で様々に変えて電気めっきすることで、それぞれ試料7〜12、試料13〜18、及び試料19〜24のフレキシブル配線基板を作製した。これら試料7〜24のフレキシブル配線基板に対しても上記の試料1〜6のフレキシブル配線基板と同様にして切断時の剥離しやすさを調べた。その結果を下記表3(ポリイミドフィルム、Ra7nm)、表4(PETフィルム、Ra60nm)、及び表5(PETフィルム、Ra100nm)に示す。
[実施例2]
電解銅めっき浴に添加する添加剤にアトテック社製の添加剤に代えてマクダーミッド社製の添加剤(ST2000)を濃度20mL/Lとなるように添加した以外は上記実施例1と同様にして電気めっきの電流密度が異なる条件で銅めっき層を形成した後、上記実施例1と同様に、表面粗さRa3nmのポリイミドフィルムを用いた試料25〜30のフレキシブル配線基板の各々に対して、その銅めっき層中の硫黄と塩素の濃度を二次イオン質量分析法を用いて分析した。その結果を下記表6に示す。
更に、上記の試料25〜30のフレキシブル配線基板、並びにこれらと同様にして作製した、表面粗さRa7nmのポリイミドフィルムを基材に用いた試料31〜36のフレキシブル配線基板、表面粗さRa60nmのPETフィルムを基材に用いた試料37〜42のフレキシブル配線基板、及び表面粗さRa100nmのPETフィルムを基材に用いた試料43〜48のフレキシブル配線基板の各々に対して、実施例1と同様に切断して配線の剥離の有無を調べた。その結果を下記表7〜10に示す。なお、「○」は剥離が生じなかったことを示しており、「×」は少なくとも一部に剥離が生じたことを示している。

Claims (9)

  1. 絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路とを有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいることを特徴とするフレキシブル配線基板。
  2. 絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路を有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴とするフレキシブル配線基板。
  3. 絶縁性フィルムと、その少なくとも片面に形成された主に銅めっき層からなる配線回路を有するフレキシブル配線基板であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm、及び塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴とするフレキシブル配線基板。
  4. 前記配線回路は、絶縁性フィルム側からベース金属層及び電解銅めっき層の順に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル配線基板。
  5. 前記ベース金属層は、銅層又は銅合金層であることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブル配線基板。
  6. 前記ベース金属層は、銅層又は銅合金層と、ニッケル−クロム合金層とからなることを特徴とする、請求項4に記載のフレキシブル配線基板。
  7. 絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とするフレキシブル配線基板の製造方法。
  8. 絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とするフレキシブル配線基板の製造方法。
  9. 絶縁性フィルムの少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程と、これらベース金属層及び銅めっき層から配線回路を形成するパターニング工程とからなるフレキシブル配線基板の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmであって且つ塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とするフレキシブル配線基板の製造方法。


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