JP2019054595A - 負荷駆動装置 - Google Patents

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純之 南澤
Sumiyuki Minamisawa
純之 南澤
西台 秀和
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秀和 西台
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Abstract

【課題】サーボ系の異常原因の特定精度を向上させる。【解決手段】電源Bと接続され、駆動負荷3と電気ハーネス4を介して接続される負荷駆動装置1は、複数の半導体素子Q1〜Q4を有する駆動回路11,12と、電源Bから駆動回路11,12に対する電力の供給又は遮断を行う電源リレー14と、電源リレー14と駆動回路11,12との間に設けられたコンデンサ15と、複数の半導体素子Q1〜Q4及び電源リレー14を制御する制御手段18と、を構成要素として備え、制御手段18は、所定の異常診断条件が成立したときに、複数の半導体素子Q1〜Q4を所定の診断パターンでオン状態又はオフ状態に制御し、かつ、電源リレー14をオフ状態に制御し、電源リレー14をオフ状態に制御してからのコンデンサ15の電圧の変化に基づいて、負荷駆動装置1の構成要素、電気ハーネス4及び駆動負荷3のいずれの異常であるかを検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、駆動負荷を駆動制御する負荷駆動装置に関する。
従来の負荷駆動装置として、例えば特許文献1に記載されているように、駆動負荷としてのモータに対する通電を制御するインバータと直流電源との間に設けられた電源リレーによってインバータと直流電源とを電気的に接続したときに、電源リレーとインバータとの間に設けられた平滑コンデンサが十分に充電されるまで電流制限しつつ充電電流を流すプリチャージ回路を備えたモータ駆動装置が知られており、プリチャージ回路によって充電された平滑コンデンサの充電電圧に基づいて、充電電流供給経路における断線異常の検出を行っている。
特開2009−171645号公報
ところで、負荷駆動装置では、駆動負荷の制御量を目標値に追従させるサーボ系に異常が発生した場合に、その異常原因として、負荷駆動装置の構成要素の異常に加えて、駆動負荷や、駆動負荷と負荷駆動装置とを接続する電気ハーネスのいずれの異常であるかを特定することが要求されている。
しかしながら、プリチャージ回路を備えた上記のモータ駆動装置では、平滑コンデンサの充電電流供給経路における断線異常しか検出できず、サーボ系の異常を特定するには不十分である。
そこで、本発明は以上のような問題点に鑑み、サーボ系の異常原因の特定精度を向上させた負荷駆動装置を提供することを目的とする。
このため、本発明に係る負荷駆動装置は、電源と接続されるとともに、駆動負荷と電気ハーネスを介して接続されるものであって、複数の半導体素子を有し、複数の半導体素子がオン又はオフされて駆動負荷を駆動する駆動回路と、電源と駆動回路とを接続する給電線に設けられ、電源から駆動回路に対する電力の供給又は遮断を行うようにオン又はオフされる電源リレーと、電源リレーと駆動回路との間における給電線に設けられたコンデンサと、コンデンサの電圧を検出する電圧検出手段と、複数の半導体素子及び電源リレーのオン及びオフを制御する制御手段と、を構成要素として備え、制御手段は、所定の異常診断条件が成立したときに、駆動回路の複数の半導体素子を所定の診断パターンでオン状態又はオフ状態に制御し、かつ、電源リレーをオフ状態に制御し、電源リレーをオフ状態に制御してからのコンデンサの電圧の変化に基づいて、負荷駆動装置の構成要素、電気ハーネス及び駆動負荷のいずれの異常であるかを検出する。
本発明の負荷駆動装置によれば、サーボ系の異常原因の特定精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るモータ駆動装置を示す概略図である。 IPDの内部構成を示す回路図である。 設定モードとモニタ電圧との関係を示すテーブルである。 平滑コンデンサの放電特性を示す模式図である。 地絡によるハーネス異常を示す模式図である。 天絡によるハーネス異常を示す模式図である。 断線によるハーネス異常を示す模式図である。 異常診断処理の第1実施例を示すフローチャートである。 異常診断処理の第2実施例を示すフローチャートである。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ駆動装置の一例を示す。
モータ駆動装置1は、CAN(Controller Area Network)等によって通信可能に接続された上位制御装置であるECM(Electric Control Module)2からの指令信号に基づいて、駆動負荷としてのモータ3を駆動制御する負荷駆動装置である。
モータ3は、コイル31が電気的に絶縁された状態で巻き回されたステータ(図示省略)と、ステータ歯と空隙を挟んで対向する永久磁石を有し、ステータに対して回転可能に軸支されたロータ(図示省略)と、を備えている。モータ3とモータ駆動装置1とは、互いに別体に構成され、電気ハーネス4によって接続されている。
モータ3としては、例えば、バルブタイミングを連続的に変更する可変バルブタイミング機構、ピストンの上死点位置を変化させて圧縮比を変更する圧縮比可変機構、あるいは、吸気バルブのリフト量及び開弁期間を変更する可変動弁機構等において、車載用アクチュエータとして軸出力が利用される小型の補機モータがあげられる。
モータ駆動装置1は、直流電源である車載バッテリBから供給された直流電力をモータ3へ供給する電力に調整する第1インテリジェント・パワー・デバイス(以下、「第1のIPD」と略記する)11及び第2インテリジェント・パワー・デバイス(以下、「第2のIPD」と略記する)12を、モータ3を駆動する駆動回路として備えている。第1のIPD11及び第2のIPD12は、車載バッテリBの正極と接続される正極側給電線BL1と車載バッテリBの負極と接続される負極側給電線BL2との間に並列に接続されるとともに、モータ駆動装置1の出力端子13に接続された電気ハーネス4を介して、モータ3のモータ端子32と接続される。
図2に示すように、第1のIPD11は、正極側給電線BL1と負極側給電線BL2との間で半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2を直列に接続して構成され、同様に、第2のIPD12は、正極側給電線BL1と負極側給電線BL2との間で半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4を直列に接続して構成されている。半導体スイッチQ1と半導体スイッチQ2との間が、モータ3の一方のモータ端子32と接続され、半導体スイッチQ3と半導体スイッチQ4との間が、モータ3の他方のモータ端子32と接続されて、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2、並びに第2のIPD12の半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4が、それぞれ上下アームを形成している。したがって、第1のIPD11及び第2のIPD12は、モータ3を正転及び逆転方向に回転駆動可能なHブリッジ回路を構成している。
例えば、モータ3を正転させる場合には、半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ2をオフ状態にしつつ、半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ4をオン状態にする一方、モータ3を逆転させる場合には、半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ4をオフ状態にしつつ、半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ2をオン状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4には、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子が用いられる。半導体スイッチQ1〜Q4は、それぞれ、モータ3からの逆起電圧を車載バッテリBに回生できるように、還流ダイオードD1〜D4が逆並列に接続され、半導体スイッチQ1〜Q4がMOSFETである場合には、寄生ダイオードを還流ダイオードD1〜D4としてもよい。
図1を再び参照すると、モータ駆動装置1は、正極側給電線BL1において車載バッテリBと第1のIPD11及び第2のIPD12との間に介挿された電源リレー14をさらに備え、電源リレー14は、外部からの制御信号に応じてオン・オフ制御可能に構成され、車載バッテリBから第1のIPD11及び第2のIPD12に対する電力の供給・遮断を行えるようになっている。電源リレー14には、半導体スイッチQ1〜Q4と同様に、MOSFET等のパワー半導体素子を用いてもよい。
モータ駆動装置1は、車載バッテリBから供給される直流電力を平滑化する平滑コンデンサ15と、平滑コンデンサ15の残留電圧Vrに対応したモニタ電圧Vmを出力する電圧モニタ回路16と、をさらに備えている。
平滑コンデンサ15は、電源リレー14よりも下流側(第1のIPD11側又は第2のIPD12側)かつ第1のIPD11及び第2のIPD12よりも上流側(電源リレー14側)において、正極側給電線BL1と負極側給電線BL2との間で第1のIPD11及び第2のIPD12と並列に接続されている。本実施形態では、平滑コンデンサ15として電解コンデンサを用い、陽極を正極側給電線BL1に接続し、陰極を負極側給電線BL2に接続しているが、平滑コンデンサ15を電解コンデンサに限定するものではなく、他のコンデンサであってもよい。
電圧モニタ回路16は、電源リレー14よりも下流側かつ第1のIPD11及び第2のIPD12よりも上流側において、一端で直列接続された2つの抵抗R1,R2のうち、抵抗R1の他端を正極側給電線BL1に接続し、抵抗R2の他端を負極側給電線BL2に接続して、正極側給電線BL1と負極側給電線BL2との間で平滑コンデンサ15と並列に配置されている。これにより、電圧モニタ回路16は、平滑コンデンサ15の陽極及び陰極間の電極間電圧すなわち残留電圧Vrに対して、2つの抵抗R1,R2の分圧比に応じたモニタ電圧Vmを出力する。要するに、電圧モニタ回路16は、平滑コンデンサ15の残留電圧Vrに応じたモニタ電圧Vmを検出する電圧検出回路である。
そして、モータ駆動装置1は、イグニッションスイッチIGNがオン操作されることで車載バッテリBから電源回路17を介して電源供給されて動作するCPU(Central Processing Unit)18を備え、CPU18は、ECM2からの指令信号をモータ駆動装置1の内部バスを介して入力できるように構成されている。
CPU18は、ECM2からの指令信号に基づいてモータ3の制御量(回転速度や電流)の目標値を演算し、モータ3の実際の制御量が目標値に追従するように第1のIPD11及び第2のIPD12へモータ制御信号S1,S2を出力するように構成されている。例えば、CPU18は、半導体スイッチQ1〜Q4を実際の制御量と目標値との偏差に応じてオン状態にする時間の比率であるオン時間比率(デューティ)を演算し、演算したデューティを有するパルス幅変調(PWM)信号をモータ制御信号S1,S2として第1のIPD11及び第2のIPD12の少なくとも一方へ出力する。
また、CPU18は、電圧モニタ回路16から出力されたモニタ電圧Vmを入力するように構成されるとともに、電源リレー14のオン・オフ状態を制御する電源リレー制御信号S3を電源リレー14に対して出力するように構成されている。
ここで、CPU18は、モータ3の目標値に対して実際の制御量が追従しているか否か、すなわちサーボ系に異常が発生しているか否かを診断するとともに、サーボ系に異常が発生していると診断したとき(所定の異常診断条件が成立したとき)に、このようなサーボ系の異常が、どのような原因によって発生したのかを特定して診断する異常診断部181を有している。
サーボ系の異常原因としては、回路異常、ハーネス異常又はモータ異常がある。回路異常は、要するにモータ駆動装置1の構成要素の異常であり、例えば、第1のIPD11若しくは第2のIPD12、平滑コンデンサ15、電圧モニタ回路16又はCPU18の電気的な異常である。ハーネス異常は、モータ3とモータ駆動装置1とを接続する電気ハーネス4における、地絡、天絡又は断線による電気的な異常である。モータ異常は、例えばモータ固着等、電気的要因を除くモータ3の応答不良に関係する機械的な異常である。
異常診断部181は、サーボ系に異常が発生していると診断したときに、電源リレー14をオフ状態にする電源リレー制御信号S3を出力するとともに、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4を所定のスイッチ設定状態にするモータ制御信号S1,S2を出力し、電圧モニタ回路16から出力されるモニタ電圧Vmに基づいて、回路異常又はハーネス異常を検出する。異常診断部181は、回路異常及びハーネス異常を検出しなかったときにモータ異常を検出する。これにより、異常診断部181は、サーボ系の異常が、回路異常、ハーネス異常又はモータ異常のいずれの原因によって発生したのかを特定して診断する。
[各スイッチ設定状態におけるモニタ電圧]
図3は、異常診断部181がサーボ系に異常が発生したと診断したときに、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にする9通りのスイッチ設定状態1〜9と、各スイッチ設定状態に対応するモニタ電圧Vmと、を示す。
(スイッチ設定状態1)
スイッチ設定状態1では、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び第2のIPD12の半導体スイッチQ3をオン状態にするとともに、第1のIPD11の半導体スイッチQ2及び第2のIPD12の半導体スイッチQ4をオフ状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態1とした場合に、回路異常、ハーネス異常及びモータ異常の3つの異常が発生していない正常時には、電源リレー14をオフ状態にすると、平滑コンデンサ15に、所定充電状態まで充電された電荷は、負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電される。このため、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L0で模式的に示されるように、平滑コンデンサ15の所定充電状態におけるモニタ電圧Vmである最大電圧Vmaxから低下し、所定時間Tが経過したときには規定値V0となる。
しかし、図5で示すように電気ハーネス4に地絡が発生することによるハーネス異常の場合には、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は、負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されるだけでなく、正極側給電線BL1、スイッチ設定状態1によりオン状態となっている半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ3、並びに電気ハーネス4を介してグランドへ放電される。このため、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L1で模式的に示されるように、正常時と比べると、最大電圧Vmaxから急激に低下する。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、規定値V0よりも小さく、平滑コンデンサ15の最小充電状態(すなわち残留電圧Vrが最小となる状態)におけるモニタ電圧Vmである最小電圧Vminに近いLo値V1となる。
また、図6で示すように電気ハーネス4に天絡が発生することによるハーネス異常の場合には、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷が負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されても、スイッチ設定状態1によりオン状態となっている半導体スイッチQ1又は半導体スイッチQ3、並びに正極側給電線BL1を介して、平滑コンデンサ15が電源電圧Vbで充電されてしまう。このため、モニタ電圧Vmは、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L2で模式的に示されるように、電源リレー14をオフ状態にしたときの最大電圧Vmaxから殆ど変化しない。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、規定値V0よりも大きく、最大電圧Vmaxに近いHi値V2となる。
さらに、回路異常が発生した場合には、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L1又は曲線L2のように極端ではないが、曲線L3で模式的に示されるように、曲線L0から乖離した状態で最大電圧Vmaxから低下していく。このため、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、規定値V0、Lo値V1及びHi値V2以外の異常値V3となる。
なお、図7で示すように電気ハーネス4に断線が発生することによるハーネス異常の場合であっても、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されるため、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時と同様に規定値V0となる。また、モータ異常が発生している場合であっても、電気的要因による異常ではないので、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電され、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時と同様に規定値V0となる。
(スイッチ設定状態2)
スイッチ設定状態2では、第1のIPD11の半導体スイッチQ2及び第2のIPD12の半導体スイッチQ4をオン状態にするとともに、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び第2のIPD12の半導体スイッチQ3をオフ状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態2とした場合に、正常時には、電源リレー14をオフ状態にすると、モニタ電圧Vmは、スイッチ設定状態1と同様、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L0で模式的に示されるように低下し、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには規定値V0となる。
しかし、天絡によるハーネス異常の場合には(図6参照)、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷が負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されても、スイッチ設定状態2によりオフ状態となっている半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ3の両スイッチにおける還流ダイオードD1,D3を介して、平滑コンデンサ15が電源電圧Vbで充電されてしまう。このため、モニタ電圧Vmは、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L2で模式的に示されるように、電源リレー14をオフ状態にしたときの最大電圧Vmaxから殆ど変化しない。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、最大電圧Vmaxに近いHi値V2となる。
また、回路異常が発生した場合には、モニタ電圧Vmは、スイッチ設定状態1と同様に、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L3で模式的に示されるように最大電圧Vmaxから低下し、所定時間Tが経過したときに、規定値V0、Lo値V1及びHi値V2以外の異常値V3となる。
なお、地絡によるハーネス異常(図5参照)、又は断線によるハーネス異常(図7参照)の場合であっても、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されるため、電源リレー14をオフ状態してから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時と同様に規定値V0となる。また、モータ異常が発生している場合であっても、電気的要因による異常ではないので、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電され、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時と同様に規定値V0となる。
(スイッチ設定状態3)
スイッチ設定状態3では、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2並びに第2のIPD12の半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4を全てオフ状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態3とした場合でも、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、スイッチ設定状態2と同様に、正常時、モータ異常時、地絡又は断線によるハーネス異常時には規定値V0となり、天絡によるハーネス異常時にはHi値V2となり、回路異常時には異常値V3となる。
(スイッチ設定状態4)
スイッチ設定状態4では、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び第2のIPD12の半導体スイッチQ4をオン状態にするとともに、第1のIPD11の半導体スイッチQ2及び第2のIPD12の半導体スイッチQ3をオフ状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態4とした場合に、正常時には、電源リレー14をオフ状態にすると、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は、負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されるだけでなく、正極側給電線BL1、スイッチ設定状態4によりオン状態となっている半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ4、並びに負極側給電線BL2を介してグランドへ放電される。このため、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L1で模式的に示されるように、正常時と比べると、最大電圧Vmaxから急激に低下する。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、最小電圧Vminに近いLo値V1となる。
しかし、断線によるハーネス異常の場合には(図7参照)、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は、スイッチ設定状態4によってオン状態となっている半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ4間を流れないため、負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電される。このため、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L0で模式的に示されるように、正常時と同様に最大電圧Vmaxから低下する。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、規定値V0となる。
また、天絡によるハーネス異常の場合には(図6参照)、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷が負極側給電線BL2を介してグランドへ直接放電されても、スイッチ設定状態4によりオン状態となっている半導体スイッチQ1及び正極側給電線BL1を介して、平滑コンデンサ15が電源電圧Vbで充電されてしまう。このため、モニタ電圧は、図4の平滑コンデンサ15の放電特性のうち曲線L2で模式的に示されるように、電源リレー14をオフ状態にしたときの最大電圧Vmaxから殆ど変化しない。そして、モニタ電圧Vmは、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときには、最大電圧Vmaxに近いHi値V2となる。
なお、地絡によるハーネス異常の場合であっても(図5参照)、電源リレー14をオフ状態にすると、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は、スイッチ設定状態4によりオン状態となっている半導体スイッチQ1及び電気ハーネス4を介してグランドへ放電される。また、回路異常又はモータ異常の場合であっても、電源リレー14をオフ状態にすると、平滑コンデンサ15に所定充電状態まで充電された電荷は、スイッチ設定状態4によりオン状態となっている半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ、並びに負極側給電線BL2を介してグランドへ放電される。このため、地絡によるハーネス異常、回路異常又はモータ異常の場合には、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時と同様にLo値V1となる。
(スイッチ設定状態5)
スイッチ設定状態5では、第1のIPD11の半導体スイッチQ2及び第2のIPD12の半導体スイッチQ3をオン状態にするとともに、第1のIPD11の半導体スイッチQ1及び第2のIPD12の半導体スイッチQ4をオフ状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態5とした場合でも、スイッチ設定状態4と同様に、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時、回路異常時、モータ異常時、地絡によるハーネス異常時にはLo値V1となり、断線によるハーネス異常時には規定値V0となり、天絡によるハーネス異常時にはHi値V2となる。
(スイッチ設定状態6及びスイッチ設定状態7)
スイッチ設定状態6では、第1のIPD11の半導体スイッチQ1のみをオン状態にする一方、スイッチ設定状態7では、第2のIPD12の半導体スイッチQ3のみをオン状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態6又はスイッチ設定状態7とした場合でも、スイッチ設定状態1と同様に、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時には規定値V0となり、地絡によるハーネス異常時にはLo値V1となり、天絡によるハーネス異常時にはHi値V2となり、回路異常時には異常値V3となる。
(スイッチ設定状態8及びスイッチ設定状態9)
スイッチ設定状態8では、第1のIPD11の半導体スイッチQ2のみをオン状態にする一方、スイッチ設定状態9では、第2のIPD12の半導体スイッチQ4のみをオン状態にする。
半導体スイッチQ1〜Q4をスイッチ設定状態8又はスイッチ設定状態9とした場合でも、スイッチ設定状態2又はスイッチ設定状態3と同様に、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、正常時、モータ異常時、地絡又は断線によるハーネス異常時には規定値V0となり、天絡によるハーネス異常時にはHi値V2となり、回路異常時には異常値V3となる。
上記のスイッチ設定状態1〜9において、モニタ電圧Vmが、モータ駆動装置1、モータ3及び電気ハーネス4の電気的要因によって、電圧ばらつきδでばらつくことを考慮すると、図4に示すように、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmは、規定値V0となるときには電圧範囲ΔV0(V0−δ<Vm<V0+δ)でばらつき、Lo値V1となるときには電圧範囲ΔV1(V1−δ<Vm<V1+δ)でばらつき、Hi値V2となるときには電圧範囲ΔV2(V2−δ<Vm<V2+δ)でばらつく。このため、規定値V0、Lo値V1及びHi値V2以外となる異常値V3の電圧範囲ΔV3は、最小電圧Vminから最大電圧Vmaxの範囲で、電圧範囲ΔV0、電圧範囲ΔV1及び電圧範囲ΔV2のいずれとも重複しない電圧範囲となる。
なお、上記のスイッチ設定状態1〜9以外で第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態としても、第1のIPD11における半導体スイッチQ1と半導体スイッチQ2との間で、又は、第2のIPD12における半導体スイッチQ3と半導体スイッチQ4との間で、アーム短絡が発生して、ハーネス異常及び回路異常ひいてはモータ異常を検出できないため用いない。
したがって、異常診断部181が上記のスイッチ設定状態1〜9によって検出できる異常は、図3の最右欄に示されるものとなる。すなわち、上アームの半導体スイッチQ1,Q3の少なくとも一方をオン状態にし、かつ、残りの半導体スイッチをオフ状態にするスイッチ設定状態1,6又は7(第1設定モード)によれば、地絡若しくは天絡によるハーネス異常又は回路異常を検出でき、上アームの半導体スイッチQ1,Q3の両方をオフ状態にするスイッチ設定状態2,3,8又は9(第2設定モード)によれば、天絡によるハーネス異常又は回路異常を検出でき、モータ3の一側における上アームの半導体スイッチQ1(又はQ3)をオン状態にし、かつ、モータ3の他側における下アームの半導体スイッチQ4(又はQ2)をオン状態にするスイッチ設定状態4又は5(第3設定モード)によれば、天絡若しくは断線によるハーネス異常を検出できる。異常診断部181は、スイッチ設定状態1〜9によって回路異常及びハーネス異常が検出されなかったときに、モータ異常を検出する。
第1〜第3設定モードにおいて、各設定モードに含まれるスイッチ設定状態では同じ異常を検出できるので、異常診断部181は、スイッチ設定状態1〜9の全てではなく、設定モードごとに1つのスイッチ設定状態を選択して、半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にすることで、回路異常又はハーネス異常を検出する。したがって、異常診断部181は、設定モードごとに1つのスイッチ設定状態について、回路異常、地絡によるハーネス異常、天絡によるハーネス異常、断線によるハーネス異常又はモータ異常が発生したときのモニタ電圧Vmの電圧範囲(ΔV0,ΔV1,ΔV2,ΔV3)を予め実験又はシミュレーションによって取得し、取得した電圧範囲(ΔV0,ΔV1,ΔV2,ΔV3)とスイッチ設定状態とを関連付けてROM(Read Only Memory)等の記憶手段に予め格納している。
そして、異常診断部181は、第1〜第3設定モードのうち複数を選択して順次入れ替える所定の診断パターンを予め設定し、所定の診断パターンに従って、第1〜第3設定モードから選択した設定モードごとに1つのスイッチ設定状態で半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態とすることで、電源リレー14をオフ状態にしてからの平滑コンデンサ15の残留電圧Vrの変化に基づいて、サーボ系の異常原因を特定して診断する。
具体的には、異常診断部181は、平滑コンデンサ15が所定充電状態となってから所定時間T経過したときのモニタ電圧Vmが、予めスイッチ設定状態と関連付けて格納されている電圧範囲(ΔV0,ΔV1,ΔV2,ΔV3)のいずれに含まれるのかを判定することで、サーボ系の異常が、地絡によるハーネス異常、天絡によるハーネス異常、断線によるハーネス異常、回路異常、モータ異常の5つのうちいずれの異常を原因として発生したのかを特定して診断する異常診断処理を実行する。
[異常診断処理の第1実施例]
図8は、イグニッションスイッチIGNのオン操作によりCPU18に電源供給され、電源リレー14がオン状態となったことを契機として、異常診断部181において実行される異常診断処理の第1実施例を示す。異常診断処理の第1実施例では、第1〜第3設定モードのうち第1設定モード及び第3設定モードを選択して、この順番で入れ替える診断パターンとしている。
ステップS1(図中では「S1」と略記する。以下同様)では、異常診断部181は、サーボ系の異常が発生しているか否かを診断する。サーボ系の異常が発生しているか否かは、モータ3を回転駆動している際に、モータ3の目標値に対して実際の制御量が追従しているか否かによって診断できる。例えば、制御量が回転速度である場合には目標値である目標回転速度と実際の回転速度との偏差が、所定量乖離した状態が所定時間継続しているか否かによって、診断することができる。あるいは、制御量が電流である場合には目標値である目標電流と実際の電流との偏差が、所定量乖離した状態が所定時間継続しているか否かによって、診断することができる。そして、異常診断部181は、サーボ系に異常が発生していると診断した場合には(YES)、処理をステップS2へ進める一方、サーボ系に異常が発生していないと診断した場合には(NO)、再びステップS1を実行する。
ステップS2では、異常診断部181が、電源リレー14に対して、電源リレー14をオフ状態にする電源リレー制御信号S3を出力するとともに(電源リレーのオフ)、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4を第1設定モードのスイッチ設定状態1でオン状態又はオフ状態にする(スイッチ設定状態1の設定)。
なお、ステップS2の電源リレー14のオフ制御は、次のステップS3において、モニタ電圧Vmと、平滑コンデンサ15の所定充電状態から放電を開始して所定時間T経過したときのモニタ電圧Vmとして記憶された図4の電圧範囲ΔV3と、を比較できるように、モニタ電圧Vmが所定充電状態における最大電圧Vmax以上となっていることを確認してから実行する。以下の異常診断処理において、電源リレー14をオフ状態にする他のステップでも同様である。
ステップS3では、異常診断部181は、平滑コンデンサ15が所定充電状態となってから、すなわちモニタ電圧Vmが最大電圧Vmaxとなってから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV3に含まれている(Vm∈ΔV3)か否かを判定する。そして、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV3に含まれていると判定した場合には(YES)、処理をステップS4へ進めて、サーボ系の異常が回路異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV3に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS5へ進める。
ステップS5では、異常診断部181は、ステップS2で電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV1に含まれている(Vm∈ΔV1)か否かを判定する。そして、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV1に含まれていると判定した場合には(YES)、処理をステップS6へ進めて、サーボ系の異常が地絡によるハーネス異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV1に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS7へ進める。
ステップS7では、異常診断部181は、ステップS2で電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV2に含まれている(Vm∈ΔV2)か否かを判定する。そして、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV2に含まれていると判定した場合には(YES)、処理をステップS8へ進めて、サーボ系の異常が天絡によるハーネス異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV2に含まれていないと判定した場合には(NO)、サーボ系の異常が回路異常又は地絡若しくは天絡によるハーネス異常を原因として発生したものではないので、断線によるハーネス異常又はモータ異常のいずれを原因として発生したのかを診断すべく、処理をステップS9へ進める。
ステップS2のように第1設定モードのスイッチ設定状態1により半導体スイッチQ1〜Q4のオン状態又はオフ状態を設定することで、ステップS3〜ステップS8により、回路異常、地絡によるハーネス異常、天絡によるハーネス異常の3つの異常を検出できるので、断線によるハーネス異常の発生頻度が比較的低い場合には、早期に診断を終了することができる。
異常診断部181は、ステップS9において、電源リレー14に対して、電源リレー14をオン状態にする電源リレー制御信号S3を出力し(電源リレーのオン)、平滑コンデンサ15が図4の放電特性における電源リレー14のオフ時と同様の所定充電状態となったときに、ステップS10において、電源リレー14に対して、電源リレー14をオフ状態にする電源リレー制御信号S3を出力するとともに(電源リレーのオフ)、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4を第3設定モードのスイッチ設定状態4でオン状態又はオフ状態にする(スイッチ設定状態4の設定)。
ステップS11では、異常診断部181は、ステップS10で電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV0に含まれている(Vm∈ΔV0)か否かを判定する。そして、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV0に含まれていると判定した場合には(YES)、処理をステップS12へ進めて、サーボ系の異常が断線によるハーネス異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、モニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV0に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS9へ進めて、サーボ系の異常がモータ異常を原因として発生したと診断する。
ステップS14では、異常診断部181は、ステップS4、ステップS6、ステップS8、ステップS12又はステップS13による診断の結果を受けて、モータ駆動装置1の上位制御装置であるECM2へ診断結果データを送信する。
なお、異常診断処理の第1実施例において、ステップS3、ステップS5及びステップS7は、例えば、回路異常、地絡によるハーネス異常及び天絡によるハーネス異常の発生頻度に応じて、適宜順番を変更して実行してもよい。
[異常診断処理の第2実施例]
図9は、イグニッションスイッチIGNのオン操作によりCPU18に電源供給され、電源リレー14がオン状態となったことを契機として、異常診断部181において実行される異常診断処理の第2実施例を示す。異常診断処理の第2実施例では、第1〜第3設定モードのうち第1設定モード及び第3設定モードを選択して、第1実施例と逆の順番で入れ替える診断パターンとしている。
異常診断処理の第1実施例では、半導体スイッチQ1〜Q4を第1設定モードのスイッチ設定状態1にしつつ電源リレー14をオフ状態として、回路異常、地絡によるハーネス異常、又は天絡によるハーネス異常のいずれであるか否かを判定し、これらの異常でないと判定した場合には、半導体スイッチQ1〜Q4を第3設定モードのスイッチ設定状態4にしつつ電源リレー14をオフ状態として、断線によるハーネス異常又はモータ異常であるか否かを判定していた。これに対し、異常診断処理の第2実施例では、半導体スイッチQ1〜Q4を第3設定モードのスイッチ設定状態4にしつつ電源リレー14をオフ状態として、断線によるハーネス異常又は天絡によるハーネス異常のいずれであるかを判定し、これらの異常でないと判定した場合には、半導体スイッチQ1〜Q4を第1設定モードのスイッチ設定状態1にしつつ電源リレー14をオフ状態として、回路異常、地絡によるハーネス異常又はモータ異常のいずれであるかを判定している。以下、図8の異常診断処理と順番が異なる部分について説明する。
異常診断部181は、ステップS101においてサーボ系に異常が発生していると判定すると、ステップS102において、電源リレー14に対して、電源リレー14をオフ状態にする電源リレー制御信号S3を出力するとともに、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4を第3設定モードのスイッチ設定状態4でオン状態又はオフ状態にする(スイッチ設定状態4の設定)。
ステップS103において、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが、電圧範囲ΔV0に含まれている(Vm∈ΔV0)と判定した場合には(YES)、ステップS104においてサーボ系の異常が断線によるハーネス異常を原因として発生したと診断し、電圧範囲ΔV0に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS105へ進める。
ステップS105において、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが、電圧範囲ΔV2に含まれている(Vm∈ΔV2)と判定した場合には(YES)、ステップS106においてサーボ系の異常が天絡によるハーネス異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV2に含まれていないと判定した場合には(NO)、サーボ系の異常が、断線若しくは天絡によるハーネス異常を原因として発生したものではないので、回路異常、地絡によるハーネス異常又はモータ異常のいずれを原因として発生したのかを診断すべく、処理をステップS107へ進める。
ステップS103〜ステップS106により、第3設定モードのスイッチ設定状態4の設定状態で電源リレー14をオフ状態として、断線又は天絡によるハーネス異常のいずれであるかを、地絡によるハーネス異常又は回路異常よりも先に判定しているので、断線若しくは天絡によるハーネス異常の発生頻度が高いことが想定される場合に早期に診断できるという点で有効となる。
異常診断部181は、ステップS107において、電源リレー14に対して、電源リレー14をオン状態にする電源リレー制御信号S3を出力し(電源リレーのオン)、平滑コンデンサ15が図4の放電特性における電源リレー14のオフ時と同様の所定充電状態となったときに、ステップS108において、電源リレー14に対して、電源リレー14をオフ状態にする電源リレー制御信号S3を出力するとともに(電源リレーのオフ)、第1のIPD11及び第2のIPD12の半導体スイッチQ1〜Q4を第1設定モードのスイッチ設定状態1でオン状態又はオフ状態にする(スイッチ設定状態1の設定)。なお、異常診断部181は、電源リレー14をオン状態にしたときに、スイッチ設定状態4によってオン状態とされた半導体スイッチQ1,Q4を介してモータ3に電流が流れることを抑制すべく、ステップS107において、スイッチ設定状態1に切り替えてもよい。
ステップS109において、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが、電圧範囲ΔV3に含まれている(Vm∈ΔV2)と判定した場合には(YES)、ステップS110においてサーボ系の異常が回路異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV3に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS111へ進める。
ステップS111において、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態にしてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが、電圧範囲ΔV1に含まれている(Vm∈ΔV1)と判定した場合には(YES)、ステップS112においてサーボ系の異常が地絡によるハーネス異常を原因として発生したと診断する。一方、異常診断部181は、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmが電圧範囲ΔV1に含まれていないと判定した場合には(NO)、処理をステップS113へ進めて、サーボ系の異常がモータ異常を原因として発生したと診断する。
なお、異常診断処理の第2実施例において、ステップS103及びステップS105は、例えば、断線によるハーネス異常及び天絡によるハーネス異常の発生頻度に応じて、適宜順番を変更して実行してもよい。同様に、ステップS109及びステップS111は、例えば、回路異常及び地絡によるハーネス異常の発生頻度に応じて、適宜順番を変更して実行してもよい。
上記の異常診断処理に関し、第1実施例のステップS2又は第2実施例のステップS108において、スイッチ設定状態1に代えて、同じ第1設定モードに含まれるスイッチ設定状態6又はスイッチ設定状態7で半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にしてもよい。このようにしても、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmはスイッチ設定状態1で設定したときと同様となる。したがって、第1実施例では、ステップS3、ステップS5及びステップS7の実行によって、サーボ系の異常が、地絡によるハーネス異常、天絡によるハーネス異常、回路異常の3つのうちいずれの異常を原因として発生したのかを特定することができる。また、第2実施例では、ステップ109及びステップS111の実行によって、サーボ系の異常が、回路異常、地絡によるハーネス異常、モータ異常の3つのうちいずれの異常を原因として発生したのかを特定することができる。
また、上記の異常診断処理に関し、第1実施例のステップS10又は第2実施例のステップS102において、スイッチ設定状態4に代えて、同じ第3設定モードに含まれるスイッチ設定状態5で半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にしてもよい。このようにしても、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmはスイッチ設定状態4で設定したときと同様となる。したがって、第1実施例では、ステップS11の実行によって、サーボ系の異常が、断線によるハーネス異常又はモータ異常のうちいずれの異常を原因として発生したのかを特定することができる。また、第2実施例では、ステップS103及びステップS105の実行によって、サーボ系の異常が、断線によるハーネス異常又は天絡によるハーネス異常のいずれの異常を原因として発生したのかを特定することができる。
このようなモータ駆動装置1では、前述のように、CPU18の異常診断部181が、第1〜第3設定モードのうち複数を選択して順次入れ替える所定の診断パターンを予め設定し、第1〜第3設定モードから選択した設定モードごとに1つのスイッチ設定状態で半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態とすることで、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間T経過後のモニタ電圧Vmが電圧範囲(ΔV0,ΔV1,ΔV2,ΔV3)のいずれに含まれるのかを判定している。これにより、異常診断部181は、サーボ系の異常が、地絡によるハーネス異常、天絡によるハーネス異常、断線によるハーネス異常、回路異常、モータ異常の5つのうちいずれの異常を原因として発生したのかを特定して診断している。したがって、平滑コンデンサの充電電流供給経路の断線異常しか検出できない、プリチャージ回路を備えたモータ駆動装置と比べると、モータ駆動装置1によれば、サーボ系の異常原因の特定精度を向上させることができる。また、モータ駆動装置1では、プリチャージ回路を構成する回路素子を設ける必要がなく、部品点数及び製品コストの上昇を抑制できるので、特に小型の補機モータ等、必ずしもプリチャージ回路を必要としないようなモータを駆動制御するモータ駆動装置への適用に有効である。
なお、異常診断処理の第1実施例において、地絡によるハーネス異常が発生しない、あるいは発生頻度が極めて低いことが想定される場合には、ステップS2において、第1設定モードのスイッチ設定状態1に代えて、第2設定モードのスイッチ設定状態2,3,8,9のうちいずれか1つのスイッチ設定状態で、半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にしてもよい。同様に、異常診断処理の第2実施例において、ステップS108において、第1設定モードのスイッチ設定状態1に代えて、第2設定モードのスイッチ設定状態2,3,8,9のうちいずれか1つのスイッチ設定状態で、半導体スイッチQ1〜Q4をオン状態又はオフ状態にしてもよい。要するに、異常診断部181は、第2設定モードのいずれか1つのスイッチ設定状態と第3設定モードのいずれか1つのスイッチ設定状態とを組み合わせて、異常診断処理を実行してもよい。
また、異常診断部181は、第1実施例及び第2実施例のように、第1〜第3設定モードのうち2つの設定モードを選択して順次入れ替えることで異常診断処理を実行していたが、選択する設定モードを2つに限定するものではない。例えば、異常診断部181は、第1〜第3設定モードの3つの設定モードを順次入れ替えて異常診断処理を実行してもよい。あるいは、異常診断部181は、断線によるハーネス異常の発生頻度が極めて低いことが想定される場合には、第1設定モードだけで異常診断処理を実行し、地絡及び天絡によるハーネス異常並びに回路異常が検出されなかった場合には、サーボ系の異常がモータ異常を原因として発生したと診断する。
異常診断処理の第1実施例及び第2実施例において、異常診断部181は、平滑コンデンサ15からグランドへ向けて流れる放電電流が過大とならないように、スイッチ設定状態1〜9においてオン状態とする半導体スイッチQ1〜Q4に対するPWM信号のデューティを100%よりも低い所定値に抑えてもよい。この場合には、電源リレー14をオフ状態としてから所定時間Tが経過したときのモニタ電圧Vmの電圧範囲は、各スイッチ設定状態においてオン状態とする半導体スイッチQ1〜Q4へ出力されるPWM信号を所定値のデューティとした実験又はシミュレーション等により、予め取得して記憶される。所定値は、平滑コンデンサ15からの放電電流に応じて設定され、例えば、平滑コンデンサ15の容量に応じて設定してもよい。
前述の実施形態において、本発明に係る負荷駆動装置として、駆動負荷としてのモータ3を駆動制御するモータ駆動装置1について説明したが、負荷駆動装置はモータ駆動装置1に限定するものではなく、変速用のソレノイドを駆動するソレノイド駆動装置や、燃料噴射用のインジェクタを駆動するインジェクタ駆動装置であっても本発明の適用が可能である。
1…モータ駆動装置、3…モータ、4…電気ハーネス、11…第1のIPD、12…第2のIPD、14…電源リレー、15…平滑コンデンサ、16…電圧検出回路、18…CPU、181…異常診断部、Q1〜Q4…半導体スイッチ、B…車載バッテリ、Vr…残留電圧、Vm…モニタ電圧

Claims (4)

  1. 電源と接続され、駆動負荷と電気ハーネスを介して接続される負荷駆動装置であって、
    複数の半導体素子を有し、前記複数の半導体素子がオン又はオフされて前記駆動負荷を駆動する駆動回路と、
    前記電源と前記駆動回路とを接続する給電線に設けられ、前記電源から前記駆動回路に対する電力の供給又は遮断を行うようにオン又はオフされる電源リレーと、
    前記電源リレーと前記駆動回路との間における前記給電線に設けられたコンデンサと、
    前記コンデンサの電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記複数の半導体素子及び前記電源リレーのオン及びオフを制御する制御手段と、
    を構成要素として備え、
    前記制御手段は、所定の異常診断条件が成立したときに、前記複数の半導体素子を所定の診断パターンでオン状態又はオフ状態に制御し、かつ、前記電源リレーをオフ状態に制御し、前記電源リレーをオフ状態に制御してからの前記コンデンサの電圧の変化に基づいて、前記構成要素、前記電気ハーネス又は前記駆動負荷のいずれの異常であるかを検出する、負荷駆動装置。
  2. 前記駆動回路は、前記複数の半導体素子が前記駆動負荷の両側に一対ずつ配置された4つの半導体素子を有するHブリッジであり、
    前記所定の診断パターンは、上アームの半導体素子の少なくとも一方をオン状態にし、かつ、残りの半導体素子をオフ状態にする第1設定モード、上アームの半導体素子の両方をオフ状態にする第2設定モード、及び、前記駆動負荷の一側における上アームの半導体素子をオン状態にし、かつ、前記駆動負荷の他側における下アームの半導体素子をオン状態にする第3設定モードのうち少なくとも1つからなる、請求項1に記載の負荷駆動装置。
  3. 前記所定の診断パターンは、前記第1設定モード及び前記第3設定モードを順次入れ替えて構成される、請求項2に記載の負荷駆動装置。
  4. 前記所定の異常診断条件は、前記制御手段が、前記駆動負荷の制御量についての目標値に対して、実際の制御量が追従していないと診断したことである、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の負荷駆動装置。
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