以下、添付図面を参照して、本実施例1に係る精算システムの好適な実施例を詳細に説明する。
<実施例1に係る精算システムの概念>
図1は、本実施例1に係る精算システムの概念を示す概念図である。図1に示した精算システムは、食器を用いて商品としての料理を提供し、食器を識別して精算を行い、使用後の食器を回収する食堂用の精算システムである。
図1に示す精算システムは、精算機30、食器返却受付機40及び精算管理サーバ10を有する。精算機30は、商品の精算処理を行う精算装置である。具体的には、利用者が所望の料理を食器ごとトレイに載せてゆき、トレイを精算機30の所定領域に置くと、精算機30が食器を識別して精算金額を算定し、算定された精算金額の決済を行う。精算機30による食器の識別は、食器に付設した無線タグとの通信などにより行えばよい。さらに、トレイにはトレイIDを示すバーコードが付されている。トレイIDは、トレイを一意に特定する識別情報であり、精算機30は、トレイに載せられた食器について精算が完了した場合に、トレイのバーコードから読み取ったトレイIDを精算済トレイIDとして精算管理サーバ10に通知する。
精算管理サーバ10は、精算機30から通知された精算済トレイIDを精算履歴データに登録することで、トレイ単位で商品の精算状況を管理する管理手段として機能する。また、精算管理サーバ10は、トレイIDを指定した問い合せを受けた場合に精算履歴データを参照し、指定されたトレイIDが精算済トレイIDとして登録されているか否かを応答する。
食器返却受付機40は、食器の返却を受け付けて回収する装置である。具体的には、利用者が使用済の食器を載せたトレイを食器返却受付機40の所定領域に置くと、食器返却受付機40は、トレイごと食器を搬送して回収する。ここで、食器返却受付機40は、トレイに付されたバーコードからトレイIDを読み取り、精算管理サーバ10に問い合せて精算が完了しているか否かを判定する機能を有する。問い合せの結果、読み取ったトレイIDが精算済トレイIDとして登録されていれば、食器返却受付機40は精算完了と判定して食器の回収を行うが、読み取ったトレイIDが精算済トレイIDとして登録されていなければ、食器返却受付機40は精算未完了と判定して警報を出力する。
この精算システムの動作について図1を参照して説明する。利用者P1が食器を載せたトレイを精算機30の所定領域に置き、精算を行うと(S1)、精算機30は、トレイのバーコードからトレイIDを読み取って(S2)、精算済トレイIDとして登録する(S3)。具体的には、精算機30が読み取ったトレイIDを精算済トレイIDとして精算管理サーバ10に送信し、精算管理サーバ10が精算機30から通知された精算済トレイIDを精算履歴データに登録することで、精算済トレイIDの登録が行われる。
利用者P1が精算の後にトレイを食器返却受付機40に返却すると(S4)、食器返却受付機40は、トレイのバーコードからトレイIDを読み取って(S5)、精算管理サーバ10に問い合せを行う(S6)。精算管理サーバ10は、食器返却受付機40から問い合せを受けると、精算履歴データを参照し、指定されたトレイIDが精算済トレイIDとして登録されているか否かを応答する。
食器返却受付機40は、精算管理サーバ10からの応答を用い、返却されたトレイについて精算が完了しているか否かを判定する(S7)。具体的には、利用者P1は精算を完了しているため、食器返却受付機40は、精算管理サーバ10から精算済IDとして登録されている旨の応答を受け、精算完了と判定して食器を回収する。
一方、精算管理サーバ10から精算済IDとして登録されていない旨の応答を受けたならば、食器返却受付機40は、精算未完了と判定して警報を発する。図1では、利用者P2が精算を行わずに食器返却受付機40にトレイを置いた状態を示しているが、この場合に食器返却受付機40がトレイIDを精算管理サーバ10に送信して問い合せを行うと、精算済IDとして登録されていない旨の応答が返され、利用者P2に対して警報が出力されることになる。
このように、精算管理サーバ10が精算機30による精算状況を精算履歴データとして管理し、食器返却受付機40が食器の返却を受け付けた場合に精算履歴データに基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。
<システム構成と装置構成>
次に、実施例1に係る精算システムのシステム構成を説明する。図2は、本実施例1に係る精算システムのシステム構成図である。同図に示すように、精算システムは、精算管理サーバ10、管理端末20、精算機30及び食器返却受付機40を有する。精算機30及び食器返却受付機40は、図2に示すように、複数設置することが可能である。また、管理端末20、精算機30及び食器返却受付機40は、所定のネットワークを介して精算管理サーバ10と通信可能に接続されている。
精算管理サーバ10は、食堂における精算を管理する装置であり、既に説明したように、精算機30による商品の精算状況をトレイ単位で管理する。さらに、精算管理サーバ10は、商品に関する情報、例えば料理の名称と価格とを食器の識別情報に対応付けてメニューデータとして管理し、各精算機30に配信することができる。
管理端末20は、メニューデータの生成と精算管理サーバ10への登録などを行う端末装置であり、たとえば、食堂における係員用事務室等に設置される。なお、精算管理サーバ10と管理端末20とは、互いに通信可能な状態で図2に示すように別々に存在してもよいし、精算管理サーバ10に管理端末20としての機能を持たせて構成してもよい。
精算機30は、既に説明したように、商品の精算処理と、精算済のトレイIDの登録とを行う装置である。詳細については後述するが、精算機30は、精算管理サーバ10から配信されたメニューデータを保持しており、食器の識別結果とメニューデータとを用いて精算を行う。
食器返却受付機40は、既に説明したように、トレイごと食器の返却を受け付けて精算完了判定を行い、精算完了と判定した場合にはトレイと食器を回収し、精算未完了と判定した場合には警報を行う装置である。
次に、図1に示した精算機30の機能構成について説明する。図3は、精算機30の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、精算機30は、通信部31、表示操作部32、タグリーダ33、バーコードリーダ34、カードリーダ35、記憶部36及び制御部37を有する。
通信部31は、所定のネットワークを介して他の装置とデータ通信を行うためのインターフェース部である。具体的には、通信部31は、精算管理サーバ10との通信に用いられる。
表示操作部32は、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ等の入出力インタフェースデバイスであり、精算金額の表示、操作方法の案内表示、精算に係る操作の入力受付などを行う。また、精算の対象となる商品に関する各種情報の表示も可能である、例えば、メニュー名称及び価格とともに栄養素2項目の表示を行うよう構成してもよいし、メニュー名称及び価格とともに栄養素6項目と食事バランスガイドの表示を行うよう構成してもよい。また、栄養バランスをレーダーチャートで表示することができるようにしてもよい。
タグリーダ33は、精算機30の所定領域にトレイがセットされた場合に、トレイ上に置かれた食器に付設されたICタグ(集積回路タグ)から食器の識別情報である食器タグIDを読み出すデバイスである。バーコードリーダ34は、精算機30の所定領域にトレイがセットされた場合に、トレイに付されたバーコードを読み出しトレイIDを取得するデバイスである。具体的には、バーコードリーダ34は、カメラであっても、レーザースキャナであってもよい。また、バーコードは、並行配置されたバーの幅の組み合わせをコードとして用いる1次元バーコードに限らず、矩形領域の配置をコードとして用いる2次元バーコードなどであってもよい。
記憶部36は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、メニューデータ36a、精算履歴データ36b及び取引詳細データ36cを記憶する。
メニューデータ36aは、食器タグIDに対して価格やメニュー名称などを対応付けたデータであり、例えば精算機30の初期設定時に精算管理サーバ10から配信される。また、管理端末20により精算管理サーバ10のメニューデータ14aが変更された場合には、精算管理サーバ10から精算機30に更新データが送信され、メニューデータ36aの更新が行われる。
精算履歴データ36bは、取引IDに対して取引日時、トレイID、精算フラグを対応付けたデータであり、精算機30による精算の履歴を示す。取引IDは、取引、すなわち精算処理を一意に特定して管理するために付与した識別情報である。取引日時は、精算処理の実行日時を示す。トレイIDは、トレイのバーコードから読み取ったトレイIDである。精算フラグは、精算が適正に完了したか否かを示す。例えば、精算フラグが「1」であれば、同一エントリのトレイIDについて精算が完了したことが示される。精算フラグが「0」である状態は、トレイがセットされてトレイIDを読み取ったが、精算が適正に終了しなかったことを示す。
取引詳細データ36cは、取引IDに対して金額、カードID、食器タグIDなどを対応付けたデータであり、精算履歴データ36bに登録された取引の詳細を示す。金額は、取引における精算金額であり、トレイに載せられた食器に対応する価格の合計である。カードIDは、精算に用いられたカードの識別情報である。本実施例では、プリペイドカードなどのカードを用いて精算を行う構成を例としており、このカードIDによって精算を行った利用者が示されることになる。食器IDは、トレイに載せられている食器を示す。トレイに複数の食器が載せられている場合は、その全てが取引詳細データ36cに登録される。
制御部37は、精算機30の全体を制御する制御部であり、精算金額算定部37a、精算処理部37b及び精算結果通知部37cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないハードディスク装置や不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、精算金額算定部37a、精算処理部37b及び精算結果通知部37cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
精算金額算定部37aは、精算金額を算定する処理部である。具体的には、精算金額算定部37aは、タグリーダ33によってトレイ上の食器タグIDが読み取られた場合に、記憶部36のメニューデータ36aを参照して対応する価格を取得し、精算金額を算定する。そして、表示操作部32にメニュー名称、価格、精算金額を表示する。なお、トレイに複数の食器が載せられている場合には、全ての食器から食器タグIDを取得し、それぞれについてメニューデータ36aから価格を取得し、取得した価格の合計を精算金額として算定することになる。
精算処理部37bは、精算金額算定部37aにより算定された精算金額の精算を行う処理部である。具体的には、精算処理部37bは、利用者がカードリーダ35にかざしたプリペイドカードのプリペイド残高から精算金額分を減算すること精算を実行する。また、精算処理部37bは、実行した精算の内容を精算履歴データ36b及び取引詳細データ36cに登録する。なお、本実施例ではプリペイドカードを用いて精算を行う場合を例に説明を行うが、現金、クレジットカード、デビットカード等を用いた精算が可能な構成としてもよい。また、社員用の食堂などでは、社員の識別情報に関連付けて精算金額を蓄積し、給与から差し引くように構成することもできる。
精算結果通知部37cは、精算処理部37bにより精算処理が実行された場合に、通信部31を制御して精算管理サーバ10にトレイIDを通知する処理部である。精算管理サーバ10への通知は、精算が適正に完了したトレイIDを通知するのみであってもよいが、精算履歴データ36b及び取引詳細データ36cを適宜精算管理サーバ10へ通知する構成であってもよい。
次に、図3に示した精算機30の記憶部36が記憶するデータの一例について説明する。図4は、図3に示した精算機30の記憶部36が記憶するデータの一例を説明するための説明図である。
図4(a)に示すメニューデータ36aは、食器タグIDに対して価格やメニュー名称などを対応付けたデータである。図4(a)では、食器タグID「101」に対し、価格「100円」、メニュー名称「ライス」などを対応付けた状態を示している。
図4(b)に示す精算履歴データ36bは、取引IDに対して取引日時、トレイID、精算フラグを対応付けたデータである。図4(b)では、取引ID「10001」に対し、取引日時「09/05 12:03」、トレイID「1001」及び精算フラグ「1」を対応付けた状態を示している。なお、精算フラグ「0」の場合は精算未完了を示す。例えば、利用者が精算しようとしたが、プリペイド残高の不足などにより精算ができなかった場合には精算フラグが「0」となる。
図4(c)に示す取引詳細データ36cは、取引IDに対して金額、カードID、食器タグIDなどを対応付けたデータである。図4(c)では、取引ID「10001」に対し、金額「530円」、カードID「17001」、食器タグID「102」及び食器タグID「101」などを対応付けた状態を示している。
次に、図1に示した精算管理サーバ10の機能構成について説明する。図5は、精算管理サーバ10の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、精算管理サーバ10は、通信部11、表示部12、入力部13、記憶部14及び制御部15を有する。
通信部11は、所定のネットワークを介して、管理端末20、精算機30、食器返却受付機40等と通信を行うためのインターフェース部である。表示部12は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部13は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスである。メニューデータ14aは、食器タグIDに対して価格やメニュー名称などを対応付けたデータであり、管理端末20により入力設定、更新が行われる。精算履歴データ14bは精算機30から送られて来た精算履歴データ36bを取引順に記憶している。取引詳細データ36cは、精算機30から送られて来た取引詳細データ36cで、取引順に記憶している。
制御部15は、精算管理サーバ10の全体を制御する制御部であり、精算実績登録部15a及び精算実績参照部15bを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないハードディスク装置や不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、精算実績登録部15a及び精算実績参照部15bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
精算実績登録部15aは、精算機30からの通知に基づいて精算実績の登録を行うことで、精算機30による商品の精算状況をトレイ単位で管理する処理部である。具体的には、精算実績登録部15aは、精算機30から送信された精算履歴データ36b及び取引詳細データ36cを精算履歴データ14b及び取引詳細データ14cに順々に追加して記憶させる。
精算実績参照部15bは、トレイIDを指定した問い合せを受けた場合に、精算履歴データ14bに該当するトレイIDが存在するか、存在している場合には精算が終わっているかを応答として通知する処理を行う。具体的には、精算履歴データ14bに該当するトレイIDが存在し、かつ精算フラグが「1」である場合には、問い合せを受けたトレイIDが精算済トレイIDとして登録されている旨の応答を行う。一方、精算履歴データ14bに該当するトレイIDが存在しないか、もしくは精算フラグが「0」である場合には、問い合せを受けたトレイIDが精算済トレイIDとして登録されていない旨の応答を行う。
次に、図1に示した食器返却受付機40の機能構成について説明する。図6は、食器返却受付機40の機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、食器返却受付機40は、通信部41、表示操作部42、バーコードリーダ43、スピーカ44、搬送機構45及び制御部46を有する。
通信部41は、所定のネットワークを介して精算管理サーバ10とデータ通信を行うためのインターフェース部である。表示操作部42は、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ装置等の入出力インタフェースデバイスであり、警報に係る表示出力や警報解除操作の入力受付を行う。
バーコードリーダ43は、食器返却受付機40の所定領域にトレイが返却された場合に、トレイに付されたバーコードを読み取り、トレイIDを取得するデバイスである。スピーカ44は、警報としての音声出力などに用いられる音声出力デバイスである。搬送機構45は、ベルトコンベア等で構成される搬送手段であり、トレイ及び載置されている食器を食器洗い場等に搬送して回収する。
制御部46は、食器返却受付機40の全体を制御する制御部であり、精算完了判定部46a、警報部46b及び食器搬送部46cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないハードディスク装置や不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、精算完了判定部46a、警報部46b及び食器搬送部46cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
精算完了判定部46aは、返却されたトレイについて、精算が完了しているか否かを判定する処理部である。具体的には、精算完了判定部46aは、バーコードリーダ43が読み取ったトレイIDを精算管理サーバ10に送り、精算が完了しているか否かを問い合わせる。そして、精算管理サーバ10から精算済IDとして登録されている旨の応答を受けた場合には精算完了と判定し、精算済IDとして登録されていない旨の応答を受けた場合には精算未完了と判定する。
警報部46bは、精算完了判定部46aにより精算未完了と判定された場合に、警報を出力する処理部である。具体的には、警報部46bは、表示操作部42及びスピーカ44により、「精算が終わっていません。精算をしてください。」等のメッセージを出力する事で警報を行う。
食器搬送部46cは、精算完了判定部46aにより精算完了と判定された場合に、搬送機構45を駆動し、返却されたトレイ及び食器を搬送する処理を行う。
<処理の説明>
次に、図1に示した精算機30の精算処理の手順について説明する。図7は、精算機30の処理手順を示すフローチャートである。精算機30は、所定領域に対するトレイの載置を検知すると(ステップS101)、バーコードリーダ34によりトレイIDを読み取り(ステップS102)、タグリーダ33により食器タグIDを読み取る(ステップS103)。
精算機30の精算金額算定部37aは、読み取った食器タグIDに基づいてメニューデータ36aを参照し、読み取った食器タグIDに対応付けられた価格を用いて精算金額を算定する(ステップS104)。
精算金額算定部37aは、算定した精算金額を表示操作部32に表示し(ステップS105)、精算処理部37bが精算処理を行う(ステップS106)。この精算処理は、例えばカードリーダ35にかざされたプリペイドカードのプリペイド残高から精算金額を減算することで行う。
その後、精算機30の精算結果通知部37cは、精算結果として、精算履歴データ36b及び取引詳細データ36cを精算管理サーバ10に送信し(ステップS107)、処理を終了する。
次に、図1に示した食器返却受付機40の処理手順について説明する。図8は、食器返却受付機40の処理手順を示すフローチャートである。食器返却受付機40は、所定領域に対するトレイの載置を検知すると(ステップS201)、バーコードリーダ43によりトレイIDを読み取る(ステップS202)。食器返却受付機40の精算完了判定部46aは、読み取ったトレイIDを精算管理サーバ10に送信することで問い合せを行う(ステップS203)。
食器返却受付機40の精算完了判定部46aは、精算管理サーバ10から精算済IDとして登録されている旨の応答を受けたならば(ステップS204;Yes)、精算完了と判定する。この場合には、食器搬送部46cがトレイ及び食器を搬送するよう搬送機構を制御し(ステップS205)、処理を終了する。一方、精算管理サーバ10から精算済IDとして登録されている旨の応答を受けたならば(ステップS204;No)、精算完了判定部46aは、精算未完了と判定する。この場合には、警報部46bによる警報出力を行って(ステップS206)、処理を終了する。
上述してきたように、実施例1では、精算管理サーバ10が精算機30による精算状況を精算履歴データとして管理し、食器返却受付機40が食器の返却を受け付けた場合に精算履歴データに基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。そして、かかる精算漏れ防止により、売上の向上と監視要員の削減が可能となる。
また、本実施例1では、精算機30は、1又は複数の食器を載置されたトレイを検知し、当該トレイに載置された食器に応じて精算金額を算定し、算定した精算金額の精算処理を行い、トレイ毎に精算状況を管理している。
また、トレイに付されたバーコードからトレイIDを読み取るため、簡易且つ安価な構成でトレイ毎の精算状況の管理が可能である。
また、精算が未完了と判定した場合には警告を出力し、精算が完了していると判定したことを条件に食器を搬送して回収するので、精算漏れを効率よく防止することができる。
<精算状況をトレイで管理する変形例>
上記の実施例1では、トレイに付したバーコードを用いてトレイIDを識別し、精算管理サーバ10がトレイIDに基づいて精算状況を管理する構成について説明を行ったが、トレイに読み書き可能なICタグを付し、精算完了を示すデータを書き込んで精算状況を管理する構成としてもよい。本実施例2では、トレイに読み書き可能なICタグを付し、精算完了を示すデータを書き込んで精算状況を管理する構成について説明する。
図9は、本実施例2に係る精算システムの概念を示す概念図である。図9に示した精算システムは、精算機130及び食器返却受付機140を有し、精算管理サーバを有さない。精算機130は、実施例1と同様に商品の精算処理が可能であり、さらに、トレイに付されたICタグに精算完了を示すデータを書き込む機能を有する。また、食器返却受付機140は、実施例1と同様に食器の返却を受け付けて回収する機能を有し、さらに、トレイに付されたICタグから精算完了を示すデータを読み出す機能を有する。
この精算システムでは、利用者P1が食器を載せたトレイを精算機130の所定領域に置き、精算を行うと(S11)、精算機130は、トレイのICタグに精算済フラグをセットする(S12)。この精算済フラグが、精算完了を示すデータであり、セットされた場合には「1」、セットされていない場合には「0」の値をとる。
利用者P1が精算の後にトレイを食器返却受付機140に返却すると(S13)、食器返却受付機140は、トレイのICタグから精算済フラグの値を読み取って(S14)、返却されたトレイについて精算が完了しているか否かを判定する(S15)。具体的には、食器返却受付機140は、読み取った精算済フラグの値が「1」であれば精算完了と判定し、精算済フラグの値が「0」であれば精算未完了と判定する。そして、精算完了と判定した場合には食器を回収し、精算未完了と判定した場合には警報を発する。
このように、トレイに付されたICタグを管理手段として用い、精算完了時に精算機130がトレイのICタグに精算済フラグをセットし、食器返却受付機140が食器の返却を受け付けた場合に精算済フラグに基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。
図10は、図9に示した精算機130の機能構成を示すブロック図である。図10に示すように、精算機130は、バーコードリーダ34を有さず、タグリーダ33に替えてタグリーダライタ133を有する点が実施例1に示した精算機30と異なる。また、精算履歴データ136bの内容が実施例1に示した精算履歴データ36bと異なり、精算結果通知部137cの動作が実施例1に示した精算結果通知部37cと異なる。
タグリーダライタ133は、食器に付されたICタグから食器タグIDを読み出す機能に加え、トレイに付されたICタグに精算済フラグをセットする機能を有する。また、トレイIDを用いないため、精算履歴データ136bにはトレイIDが格納されない。そして、精算結果通知部137cは、精算処理部37bにより精算処理が実行された場合に、トレイに付されたICタグに精算済フラグをセットするようタグリーダライタ133の動作制御を行う。その他の構成及び動作は、実施例1に示した精算機30と同様であるため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、図9に示した食器返却受付機140の機能構成を示すブロック図である。図11に示すように、食器返却受付機140は、バーコードリーダ43に替えてタグリーダ143を有する点が実施例1に示した食器返却受付機40と異なる。また、精算完了判定部146aの動作が実施例1に示した精算完了判定部46aと異なる。
タグリーダ143は、トレイに付されたICタグから精算済フラグを読み出す機能を有する。精算完了判定部146aは、タグリーダ143により読み取られた精算済フラグの値が「1」であれば精算完了と判定し、精算済フラグの値が「0」であれば精算未完了と判定する。その他の構成及び動作は、実施例1に示した食器返却受付機40と同様であるため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
上述してきたように、実施例2では、トレイに付されたICタグを管理手段として用い、精算完了時に精算機130がトレイのICタグに精算済フラグをセットし、食器返却受付機140が食器の返却を受け付けた場合に精算済フラグに基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。
また、本実施例2では、精算機130は、食器タグIDの読み出しと、トレイに付されたICタグへの精算済フラグのセットの双方をタグリーダライタ133で行うことができるため、精算機130の構成を簡素化することができる。
<精算状況を利用者ごとに管理する変形例>
上記の実施例1及び実施例2では、トレイ毎に精算状況を管理する構成について説明を行ったが、利用者ごとに精算状況を管理する構成としてもよい。本実施例3では、利用者の顔画像を撮像し、顔画像を用いて精算状況を管理する構成について説明する。
図12は、本実施例3に係る精算システムの概念を示す概念図である。図12に示した精算システムは、精算機230、食器返却受付機240及び精算管理サーバ210を有する。
精算機230は、実施例1と同様に商品の精算処理が可能である。さらに、精算機230は、利用者の顔画像を撮像することができ、トレイに載せられた食器について精算が完了した場合に、利用者の顔画像を精算済利用者顔画像として精算管理サーバ210に通知する。
精算管理サーバ210は、精算機230から通知された精算済利用者顔画像を精算履歴データに登録することで、利用者単位で商品の精算状況を管理する管理手段として機能する。また、精算管理サーバ210は、顔画像を含む問い合せを受けた場合に精算履歴データを参照し、問い合せに示された顔画像と同一人物の顔画像が精算済利用者顔画像として登録されているか否かを応答する。
食器返却受付機240は、実施例1と同様に食器の返却を受け付けて回収する機能を有する。さらに、食器返却受付機240は、利用者の顔画像を撮像して精算管理サーバ210に問い合せ、精算が完了しているか否かを判定する機能を有する。問い合せの結果、精算済利用者顔画像として登録されていれば、食器返却受付機240は精算完了と判定して食器の回収を行うが、精算済利用者顔画像として登録されていなければ、食器返却受付機240は精算未完了と判定して警報を出力する。
この精算システムでは、利用者P1が食器を載せたトレイを精算機230の所定領域に置き、精算を行うと(S21)、精算機230は、利用者の顔画像を撮像して(S22)、精算済利用者顔画像として登録する(S23)。具体的には、撮像した顔画像を精算済利用者顔画像として精算管理サーバ210に送信し、精算管理サーバ210が精算機230から通知された精算済利用者顔画像を精算履歴データに登録する。
利用者P1が精算の後にトレイを食器返却受付機240に返却すると(S24)、食器返却受付機240は、利用者の顔画像を撮像し(S25)、精算管理サーバ210に問い合せを行う(S26)。精算管理サーバ210は、食器返却受付機240から問い合せを受けると、精算履歴データを参照し、問い合せに示された顔画像と同一人物の顔画像が精算済利用者顔画像として登録されているか否かを応答する。
食器返却受付機240は、精算管理サーバ210からの応答を用い、返却されたトレイについて精算が完了しているか否かを判定する(S27)。具体的には、精算管理サーバ210から精算済顔画像として登録されている旨の応答を受けた場合には、精算完了と判定し、精算済利用者顔画像として登録されていない旨の応答を受けた場合には、精算未完了と判定する。そして、精算完了と判定した場合には食器を回収し、精算未完了と判定した場合には警報を発する。
このように、利用者の顔画像に基づいて精算状況を管理し、食器返却受付機240が食器の返却を受け付けた場合に利用者の顔画像に基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。
図13は、図12に示した精算機230の機能構成を示すブロック図である。図13に示すように、精算機230は、バーコードリーダ34に替えてカメラ238を有する点が実施例1に示した精算機30と異なる。また、精算履歴データ236bの内容が実施例1に示した精算履歴データ36bと異なり、精算結果通知部237cの動作が実施例1に示した精算結果通知部37cと異なる。
カメラ238は、精算機30の所定領域にトレイがセットされた場合に、利用者の顔画像を撮像する。また、トレイIDに替えて利用者の顔画像を用いるため、精算履歴データ236bはトレイIDに替えて利用者の顔画像を格納する。そして、精算結果通知部237cは、精算処理部37bにより精算処理が実行された場合に、通信部31を制御して精算管理サーバ210に利用者の顔画像を通知する。その他の構成及び動作は、実施例1に示した精算機30と同様であるため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、図12に示した食器返却受付機240の機能構成を示すブロック図である。図14に示すように、食器返却受付機240は、バーコードリーダ43に替えてカメラ243を有する点が実施例1に示した食器返却受付機40と異なる。また、精算完了判定部246aの動作が実施例1に示した精算完了判定部46aと異なる。
カメラ243は、食器返却受付機240の所定領域にトレイが返却された場合に、利用者の顔画像を撮像する。精算完了判定部246aは、カメラ243が撮像した顔画像を精算管理サーバ210に送り、精算が完了しているか否かを問い合わせる。そして、精算管理サーバ210から精算済顔画像として登録されている旨の応答を受けた場合には精算完了と判定し、精算済顔画像として登録されていない旨の応答を受けた場合には精算未完了と判定する。その他の構成及び動作は、実施例1に示した食器返却受付機240と同様であるため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
上述してきたように、実施例3では、精算管理サーバ210が精算機230による精算状況を利用者の顔画像に対応付けて管理し、食器返却受付機240が食器の返却を受け付けた場合に利用者の顔画像に基づいて精算が完了しているか否かを判定することで、未精算での食器返却を検知して精算漏れを防止し、適正な精算処理を実現することができる。
なお、上記実施例1〜3では、食器に付設した無線タグとの通信により食器の識別を行う構成を例に説明を行ったが、食器の識別には任意の手法を用いることができる。例えば、食器の形状や大きさを画像認識などにより認識して食器の識別を行ってもよい。
また、上記実施例1〜3では、どの時点で精算を行うかについて説明を省略したが、精算は食事前に行なう構成であっても、食事後に行なう構成であってもよい。
また、上記実施例1〜3では、精算未完了と判定した場合に利用者に対して警報を発する構成を例に説明を行ったが、警報とともに、もしくは警報に替えて精算への誘導を行う構成としてもよい。さらに、精算未完了と判定した場合に、従業員などへの通報を行なう構成としてもよい。
なお、上記実施例1及び2では、トレイ単位で精算状況を管理する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、食器単位で精算状況を管理する構成で実施することも可能である。具体的には、食器から読み出した食器タグIDに精算済か否かを示すフラグを対応付けて精算管理サーバに登録する構成であってもよいし、食器タグIDに精算済か否かを示すフラグを記憶させる構成であってもよい。
また、上記実施例3では、利用者の顔画像を取得しているが、社員用の食堂のように利用者が限定される場合には、予め利用者の顔画像を登録しておき、精算未完了と判定された利用者を特定するよう構成することも可能である。また、例えば社員用の食堂で社員カードによる精算を行う構成では、社員カードの識別情報に精算状況を対応付けて管理し、返却時に利用者を撮像して画像認識により社員を特定し、精算が完了しているか否かを判定してもよい。かかる構成では、精算時の利用者の撮像は不要となる。
また、上記実施例1〜3では、食器を用いて商品としての料理を提供し、食器を識別して精算を行い、使用後の食器を回収する食堂用の精算システムを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用後に返却される容器を用いて提供する商品の精算を行う精算システムに広く適用可能である。
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。