JP2019052248A - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

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裕史 田邊
順矢 高井
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順矢 高井
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Kenji Shachi
賢治 社地
中村 英慈
Eiji Nakamura
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Abstract

【課題】高温と低温との間で液状とゲル状に変化でき、活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に優れる。【解決手段】構造(1)を含む活性化エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)とを含有し、Mw≧3万の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と、Mw≧3千の(I)のMwよりも小さく、(b)と同じ構造単位を70モル%以上有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系共重合体(II)と、を含み、(I)と(II)の合計質量に対して、(a)の含有量が5〜25質量%の、活性エネルギー線硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性を有する重合体組成物に関する。詳細には、本発明は高温と低温との間でその状態が液状とゲル状に変化する活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することで硬化する活性エネルギー線硬化性組成物が知られており、接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、インク、コーティング材、光造形材などの用途に用いられている。
一方、メタクリル系重合体ブロックとアクリル系重合体ブロックからなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体は粘着性、成形性、耐候性などに優れ、これらの特徴を生かして粘着剤、接着剤、コーティング材、各種成形材料などの用途への展開が期待されている。
上記用途の中には、液晶表示体及び光学レンズ等の光学系デバイスの構成部材や、電子ペーパー及び電池等の電子系デバイスの構成部材を固定するための接着剤があり、場合によってはその固定を解除する必要がある。特許文献1には、特定のブロック共重合体化合物と媒質とが相溶してなる相溶組成物とすることで、高温と低温の間でその状態が液状とゲル状に変化するため、高温下で容易に部材に塗工でき、低温下でゲル状となり部材同士を接着でき、再度高温にすると液状となって部材同士の固定を容易に解除できることが記載されている。
特開2017−066368号公報
特許文献1で記載されているブロック共重合体化合物には、反応性がさらに付与された化合物の記載と媒質の記載があるものの、媒質としてはモノマーまたはオリゴマーしか開示されておらず、活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に劣るものであった。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、特定の(メタ)アクリル系ブロック共重合体と、特定のアクリル系共重合体を用いることで、高温と低温の間でその状態が液状とゲル状に変化することができ、さらに活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物が得られることを見出した。
しかして、本発明の目的は、高温下で容易に部材に塗工でき、低温下でゲル状となり部材同士を接着でき、再度高温にすると液状となって部材同士の固定を容易に解除できるようにするために、高温と低温との間でその状態が液状とゲル状に変化し、かつ、活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。
本発明によれば、上記目的は、
[1]下記一般式(1)で示される部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)と、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)とを含有し、重量平均分子量が30,000以上である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、および
重量平均分子量が3,000以上であり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量よりも小さく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位を70モル%以上有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系共重合体(II)、を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対して、前記メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が5〜25質量%である、
活性エネルギー線硬化性組成物;

(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
[2]前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、10〜70質量%である、[1]の活性エネルギー線硬化性組成物;[3]前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と前記アクリル系共重合体(II)との質量比(I)/(II)が15/85〜60/40である、上記[1]または[2]の活性エネルギー線硬化性組成物;
[4](メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)が有する前記活性エネルギー線硬化性基が下記一般式(2)で示される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物;

(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表し、XはO、S、またはNR(−NR−)(Rは水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表す)を表し、nは1〜20の整数を表す)
を提供することにより、達成される。
本発明によれば、高温と低温との間でその状態が液状とゲル状に変化する活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「メタクリル」と「アクリル」との総称を意味し、「(メタ)アリル」とは「メタリル」と「アリル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリロイル」は「メタクリロイル」と「アクリロイル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」と「アクリレート」との総称を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)と、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)とを含有し、重量平均分子量が30,000以上である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、および重量平均分子量が3,000以上であり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量よりも小さく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位を70モル%以上有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系共重合体(II)を含有する。
<(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)>
本発明の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)と、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)とを含有する。
(活性エネルギー線硬化性基)
部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基は、活性エネルギー線の照射によって重合性を示す。この結果、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は硬化して硬化物となる。なお、本明細書において活性エネルギー線とは、光線、電磁波、粒子線およびこれらの組み合わせを意味する。光線としては遠紫外線、紫外線(UV)、近紫外線、可視光線、赤外線などが挙げられ、電磁波としてはX線、γ線などが挙げられ、粒子線としては電子線(EB)、プロトン線(α線)、中性子線などが挙げられる。硬化速度、照射装置の入手性、価格等の観点から、これらの活性エネルギー線の中でも紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
部分構造(1)は、下記一般式(1)で示される。
上記一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
上記一般式(1)において、Rが表す炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−エイコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。Rが炭化水素基である場合、炭素数の上限としては10が好ましく、4がより好ましい。
また、Rが表す炭素数1〜20の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、活性エネルギー線硬化性基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(1)において、Rは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造の容易さや活性エネルギー線硬化性の観点から、水素原子、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基は、硬化速度の観点から、下記一般式(2)で示される基であることが好ましい。
上記一般式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表し、XはO、S、またはNR(−NR−)を表し、ここでRは、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは、1〜20の整数を表す。
上記一般式(2)におけるRの定義および説明は、上記一般式(1)のものと同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
上記一般式(2)において、RおよびRがそれぞれ独立して表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基などが挙げられる。
また、RないしRが表す炭素数1〜6の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、活性エネルギー線硬化性基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(2)において、RおよびRは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造の容易さや活性エネルギー線硬化性の観点から、それぞれアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基およびエチル基であることがより好ましく、それぞれメチル基であることが最も好ましい。
上記一般式(2)において、XはO(酸素原子)、S(硫黄原子)またはNR(−NR−)を表し、重合制御のしやすさから酸素原子が好ましい。
上記一般式(2)においてXが−NR−である場合、Rが表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基などが挙げられる。
また、Rが表す炭素数1〜6の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、活性エネルギー線硬化性基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(2)においてXが−NR−である場合、Rは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造の容易さや活性エネルギー線硬化性の観点から、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また上記一般式(2)において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の流動性と硬化速度の観点から、nの下限としては、2が好ましく、一方、nの上限としては、10が好ましく、5がより好ましい。
(メタクリル系重合体ブロック(a))
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)を含有する。
メタクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する部分構造(1)のモル数の占める割合は、活性エネルギー線硬化性の観点から、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.3モル%以上であることがさらに好ましく、1モル%以上であることが特に好ましい。また、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましく、20モル%以下であることがよりさらに好ましく、さらには10モル%以下であってもよい。
メタクリル系重合体ブロック(a)に含まれる部分構造(1)は、メタクリル系重合体ブロックの末端にあっても、側鎖にあってもよいが、好ましい含有量の部分構造(1)を導入する観点から、少なくとも側鎖にあることが好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(a)は、メタクリル酸エステルに由来する単量体単位またはメタクリルアミドに由来する単量体単位を含むことが好ましく、メタクリル酸エステルに由来する単量単位を含むことがより好ましい。かかるメタクリル酸エステルは、1個のメタクリロイル基を有する単官能メタクリル酸エステルおよび2個以上のメタクリロイル基を有する多官能メタクリル酸エステルに大別される。
上記単官能メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル等の官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル、メタクリル酸グリシジル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等の、炭素数1〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(a)の全単量体単位のモル数に対する、上記単官能メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)に由来する単位のモル数の占める割合は、活性エネルギー線硬化性の観点から、99.99モル%以下であることが好ましく、99.95モル%以下であることがより好ましく、99.7モル%以下であることがさらに好ましく、99モル%以下であることが特に好ましく、また、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。また、上記単官能メタクリル酸エステルに由来する単位のモル数の占める割合は、メタクリル系重合体ブロック(a)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、99.99モル%以下であることが好ましく、99.95モル%以下であることがより好ましく、99.7モル%以下であることがさらに好ましく、99モル%以下であることが特に好ましく、また、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。
また、上記多官能メタクリル酸エステルとして、下記一般式(3)で示される2官能メタクリル酸エステル(以下、「ジメタクリレート(3)」と称する)を用いると、後述する条件下でリビングアニオン重合することで、一方のメタクリロイル基(下記一般式(3)中「O(CH」が直結するメタクリロイル基)が選択的に重合して、一般式(2)で示される活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)が得られることから好ましい。
上記一般式(3)中、R、Rおよびnのそれぞれについての定義および説明は、上記一般式(1)および上記一般式(2)のものと同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
ジメタクリレート(3)の具体例としては、例えば1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレートなどが挙げられ、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、および1,1−ジメチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレートが好ましい。
これらの単官能および多官能メタクリル酸エステルは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
メタクリル系重合体ブロック(a)の全単量体単位のモル数に対する、上記多官能メタクリル酸エステルに由来する単位のモル数の占める割合は、活性エネルギー線硬化性の観点から、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.3モル%以上であることがさらに好ましく、1モル%以上であることが特に好ましい。また、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下、20モル%以下、さらには10モル%以下であってもよい。また、多官能メタクリル酸エステルがジメタクリレート(3)を含有する場合、メタクリル系重合体ブロック(a)の全単量体単位のモル数に対する、ジメタクリレート(3)に由来する単位のモル数の占める割合は、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.3モル%以上であることがさらに好ましく、1モル%以上であることが特に好ましい。また、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下、20モル%以下、さらには10モル%以下であってもよい。
メタクリル系重合体ブロック(a)が、単官能メタクリル酸エステルと多官能メタクリル酸エステルを含有する単量体から形成されている場合、単官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量と多官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量の合計量は、30モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。さらに、メタクリル系重合体ブロック(a)が、メタクリル酸メチルとジメタクリレート(3)を含有する単量体から形成されている場合、メタクリル系重合体ブロック(a)の全単量体単位に対する、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位の含有量とジメタクリレート(3)に由来する単量体単位の含有量の合計量は、メタクリル系重合体ブロック(a)の全単量体単位に対して30モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。また、上記の各含有量は、メタクリル系重合体ブロック(a)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、上記好ましい範囲、望ましくはより好ましい範囲にあることが、好ましい一態様である。
上記メタクリルアミドとしては、例えば、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミドが挙げられる。
メタクリル系重合体ブロック(a)は、メタクリル系単量体に由来する単位以外の単位として、上記メタクリル酸エステルまたはメタクリルアミド以外の他の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。
上記他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル、アクリル酸グリシジル、γ−(アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等のアクリル酸エステル;α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステル等の3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;2−フェニルアクリル酸メチル、2−フェニルアクリル酸エチル、2−ブロモアクリル酸n−ブチル、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、2−ブロモメチルアクリル酸エチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。
これらの他の単量体は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
メタクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記他の単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、硬化性の観点から、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。また、メタクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記他の単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、メタクリル系重合体ブロック(a)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下であることが望ましい一態様である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、また、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。かかる含有量が上記下限以上であると、低温でゲル状となり、上記上限以下であると、高温での低粘度化に優れる傾向がある。
上記メタクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。また、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。メタクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)は、メタクリル系重合体ブロック(a)を形成する単量体の種類、重合方法などにより制御できる。メタクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)がこの範囲にあると、耐熱性と得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の取り扱い性の点から好ましい。なお、本明細書におけるガラス転移温度(Tg)とは、重合体ブロックまたは(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を、10℃/分の昇温条件でDSC測定して得られた曲線において認められる重合体ブロックの転移領域の外挿開始温度(Tgi)である。
メタクリル系重合体ブロック(a)の重量平均分子量(Mw)は、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の取り扱い性、流動性、力学特性等の観点から、500以上30,000以下であることが好ましく、1,000以上20,000以下であることがより好ましい。メタクリル系重合体ブロック(a)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)が上記好ましい範囲、望ましくはより好ましい範囲にあることが、好ましい一態様である。なお、本明細書において数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の値、およびその値から算出される値である。
(アクリル系重合体ブロック(b))
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を含有する。
なお本明細書において、活性エネルギー線硬化性基とは、上記活性エネルギー線の照射により重合性を示す官能基を意味する。活性エネルギー線硬化性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、(メタ)アリル基、ビニルオキシ基、1,3−ジエニル基、スチリル基等のエチレン性二重結合(特に一般式CH=CR−(式中、Rはアルキル基または水素原子)で示されるエチレン性二重結合)を有する官能基;エポキシ基、オキセタニル基、チオール基、マレイミド基等が挙げられる。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対するアクリル系単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル酸エステルに由来する単量体単位を含むことができる。
上記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)などが挙げられる。高温下で液状となった場合に低粘度化する観点から、これらの中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射した後の硬化物に耐油性を付与する観点からは、親水性が高い、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−メトキシエチルがより好ましく、メタクリル系重合体ブロック(a)(例えばメタクリル酸メチル)の溶解度パラメータと値が近いアクリル酸2−メトキシエチルがさらに好ましい。これらのアクリル酸エステルは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系重合体ブロック(b)の全単量体単位のモル数に対する、上記アクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、粘度の観点から、30モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。また、上記アクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、アクリル系重合体ブロック(b)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、100モル%であってもよい。
アクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル系単量体に由来する単位として、またはそれ以外の単位として、上記のアクリル酸エステル以外に、メタクリル系単量体および他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。
上記他の単量体としては、例えば、α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステル等の3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;N−イソプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド;2−フェニルアクリル酸メチル、2−フェニルアクリル酸エチル、2−ブロモアクリル酸n−ブチル、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、2−ブロモメチルアクリル酸エチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。
これらの他の単量体は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記他の単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。また、上記他の単量体により形成される単量体単位の含有量は、アクリル系重合体ブロック(b)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下であることが望ましい一態様である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるアクリル系重合体ブロック(b)の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。かかる含有量が上記下限以上であると、高温下で液状となった場合の低粘度化に優れる傾向があり、上記上限以下であると、低温下でゲル状となる傾向がある。
上記アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがさらに好ましい。アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、アクリル系重合体ブロック(b)を形成する単量体の種類、重合方法などにより制御できる。アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)がこの範囲にあると、高温下で液状となった場合の低粘度化の点から好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)の重量平均分子量(Mw)は、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の取り扱い性、流動性、力学特性等の観点から、9,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがより好ましい。
本発明で用いられる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、低温下でゲル状となるためには30,000以上であり、50,000以上であることが好ましい。また、400,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)が上記上限以下であることにより、高温下で液状となった場合の流動性に優れる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は2.00以下が好ましく、1.02〜1.80の範囲がより好ましく、1.05〜1.50の範囲がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、メタクリル系重合体ブロック(a)を少なくとも1個と、アクリル系重合体ブロック(b)を少なくとも1個有するブロック共重合体であり、各重合体ブロックの数および結合順序に特に制限はないが、活性エネルギー線硬化性の観点からメタクリル系重合体ブロック(a)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の少なくとも1個の末端を形成することが好ましく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造容易性の観点から、直鎖状の重合体であることがより好ましく、1個のメタクリル系重合体ブロック(a)と1個のアクリル系重合体ブロック(b)が結合したジブロック共重合体、または1個のアクリル系重合体ブロック(b)の両端にメタクリル系重合体ブロック(a)各1個がそれぞれ結合したトリブロック共重合体がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造方法に特に制限はないが、例えば、アニオン重合法またはラジカル重合法が好ましい。重合制御の観点からは、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等のリビング重合法がより好ましく、リビングアニオン重合法がさらに好ましい。
リビングラジカル重合法としては、ポリスルフィド等の連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィリン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(国際公開第2004/014926号等を参照)、有機テルル化合物等の高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号明細書等を参照)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号明細書等を参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号明細書や国際公開第2004/013192号等を参照)などが挙げられる。これらのリビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法が好ましく、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、NiおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも1種を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
リビングアニオン重合法としては、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特開平6−93060号公報等を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特表平5−507737号公報等を参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特開平11−335432号公報や国際公開第2013/141105号等を参照)などが挙げられる。これらのリビングアニオン重合法の中でも、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を直接、効率よく重合できる点からは、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法が好ましく、有機アルミニウム化合物およびルイス塩基の存在下で、有機リチウム化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法がより好ましい。
上記有機リチウム化合物としては、例えばt−ブチルリチウム、1,1−ジメチルプロピルリチウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、エチルα−リチオイソブチレート、ブチルα−リチオイソブチレート、メチルα−リチオイソブチレート、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、2−エチルプロピルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム、メチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム等が挙げられる。中でも、入手容易性およびアニオン重合開始能の観点から、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム等の二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する炭素数3〜40の有機リチウム化合物が好ましく、sec−ブチルリチウムが特に好ましい。これらの有機リチウム化合物は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
有機リチウム化合物の使用量は、目的とする(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の数平均分子量に応じて、用いる単量体の使用量との比率によって決定できる。
上記有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(A−1)または(A−2)で示される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
AlR(R)(R) (A−1)
(式中、Rは一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立してアリールオキシ基を表すか、あるいはRおよびRは互いに結合してアリーレンジオキシ基を形成している。)
AlR(R)(R10) (A−2)
(式中、Rはアリールオキシ基を表し、RおよびR10はそれぞれ独立して一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。)
上記一般式(A−1)および(A−2)中、R、R、RおよびRがそれぞれ独立して表すアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、7−メトキシ−2−ナフトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(A−1)中、RとRが互いに結合して形成されるアリーレンジオキシ基としては、例えば2,2’−ビフェノール、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール、(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトール等の2個のフェノール性水酸基を有する化合物中の該2個のフェノール性水酸基の水素原子を除いた官能基が挙げられる。
なお、上記のアリールオキシ基およびアリーレンジオキシ基において含まれる1個以上の水素原子が、置換基により置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記一般式(A−1)および(A−2)中、R、RおよびR10がそれぞれ独立して表す一価の飽和炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、一価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、N,N−二置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ビス(トリメチルシリル)アミノ基等が挙げられる。上述した一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基およびN,N−二置換アミノ基において含まれる1個以上の水素原子は、置換基により置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物(A−1)としては、例えばエチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。中でも、重合開始効率、重合末端アニオンのリビング性、入手および取り扱いの容易さ等の観点から、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム等が好ましい。
上記有機アルミニウム化合物(A−2)としては、例えばジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウム化合物の使用量は、溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜好適な量を選択できるが、重合速度の観点から有機リチウム化合物1モルに対して通常、1.0〜10.0モルの範囲で用いることが好ましく、1.1〜5.0モルの範囲で用いることがより好ましく、1.2〜4.0モルの範囲で用いることがさらに好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量が有機リチウム化合物1モルに対して10.0モルを超えると、経済性において不利となる傾向となり、1.0モルを下回ると、重合開始効率が低下する傾向となる。
上記ルイス塩基としては、分子内にエーテル結合および/または三級アミン構造を有する化合物が挙げられる。
上記ルイス塩基として用いられる、分子内にエーテル結合を有する化合物としてはエーテルが挙げられる。上記エーテルとしては、重合開始効率の高さ、重合末端アニオンのリビング性の観点から、2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルまたは1個以上のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましい。2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルとしては、例えば12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテルが挙げられる。1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール等の非環状モノエーテル;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジイソプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジエトキシプロパン、1,2−ジイソプロポキシプロパン、1,2−ジブトキシプロパン、1,2−ジフェノキシプロパン、1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ジエトキシプロパン、1,3−ジイソプロポキシプロパン、1,3−ジブトキシプロパン、1,3−ジフェノキシプロパン、1,4−ジメトキシブタン、1,4−ジエトキシブタン、1,4−ジイソプロポキシブタン、1,4−ジブトキシブタン、1,4−ジフェノキシブタン等の非環状ジエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリブチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリブチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラブチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラブチレングリコールジエチルエーテル等の非環状ポリエーテルが挙げられる。中でも、副反応の抑制、入手容易性等の観点から、1〜2個のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましく、ジエチルエーテルまたは1,2−ジメトキシエタンがより好ましい。
上記ルイス塩基として用いられる、分子内に三級アミン構造を有する化合物としては、三級ポリアミンが挙げられる。三級ポリアミンとは、三級アミン構造を分子中に2個以上有する化合物を意味する。該三級ポリアミンとしては、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン等の鎖状ポリアミン;1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン等の非芳香族性複素環式化合物;2,2’−ビピリジル、2,2’:6’,2”−ターピリジン等の芳香族性複素環式化合物等が挙げられる。
また、分子内に1個以上のエーテル結合と1個以上の三級アミン構造を有する化合物をルイス塩基として使用してもよい。このような化合物としては、例えばトリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン等が挙げられる。
これらのルイス塩基は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ルイス塩基の使用量は、重合開始効率、重合末端アニオンの安定性等の観点から、有機リチウム化合物1モルに対して0.3〜5.0モルの範囲であることが好ましく、0.5〜3.0モルの範囲であることがより好ましく、1.0〜2.0モルの範囲であることがさらに好ましい。ルイス塩基の使用量が有機リチウム化合物1モルに対して、5.0モルを超えると経済性において不利となる傾向となり、0.3モルを下回ると重合開始効率が低下する傾向となる。
また、ルイス塩基の使用量は、有機アルミニウム化合物1モルに対して、0.2〜1.2モルの範囲であることが好ましく、0.3〜1.0モルの範囲であることがより好ましい。
上記リビングアニオン重合は、温度制御および系内を均一化して重合を円滑に進行させる観点から、有機溶媒の存在下に行うことが好ましい。有機溶媒としては、安全性、重合後の反応液の水洗における水との分離性、回収・再使用の容易性等の観点から、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;フタル酸ジメチル等のエステル等が好ましい。これらの有機溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、有機溶媒は、重合を円滑に進行させる観点から、乾燥処理を施すとともに、不活性ガス存在下であらかじめ脱気しておくことが好ましい。
また、上記リビングアニオン重合では、必要に応じ、反応系に他の添加剤を存在させてもよい。該他の添加剤としては、例えば塩化リチウム等の無機塩類;リチウムメトキシエトキシエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等が挙げられる。
上記リビングアニオン重合は−30〜25℃で行うのが好ましい。−30℃よりも低いと重合速度が低下し、生産性が低下する傾向がある。一方、25℃より高いと、上記ジメタクリレート(3)を含有する単量体の重合をリビング性よく行うことが困難となる傾向となる。
上記リビングアニオン重合は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、反応系が均一になるように十分な撹拌条件下にて行うことが好ましい。
上記リビングアニオン重合において、有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物、ルイス塩基および単量体を反応系に添加する方法としては、ルイス塩基が、有機リチウム化合物との接触前に有機アルミニウム化合物と接触するように添加することが好ましい。また、有機アルミニウム化合物は、単量体より先に反応系に添加しても、同時に添加してもよい。有機アルミニウム化合物を単量体と同時に反応系に添加する場合、有機アルミニウム化合物を単量体と別途混合したのちに添加してもよい。
上記リビングアニオン重合は、メタノール;酢酸または塩酸のメタノール溶液;酢酸、塩酸の水溶液等のプロトン性化合物などの重合停止剤を反応液に添加して停止できる。重合停止剤の使用量は、通常、用いる有機リチウム化合物1モルに対して1〜1,000モルの範囲が好ましい。
リビングアニオン重合停止後の反応液から(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を分離取得する方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、反応液を(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の貧溶媒に注いで沈殿させる方法、反応液から有機溶媒を留去して(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を取得する方法等が挙げられる。
なお、分離取得した(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)中に有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分が残存していると、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の物性の低下、透明性不良等を生じる場合がある。よって、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分をアニオン重合停止後に除去することが好ましい。該金属成分の除去方法としては、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂、セライト、活性炭等の吸着剤を用いた吸着処理等が有効である。ここで、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用することができる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造において、上記部分構造(1)を導入する方法としては、上記したジメタクリレート(3)を含有する単量体を重合してメタクリル系重合体ブロック(a)を形成する方法の他に、部分構造(1)の前駆体となる部分構造(以下、「前駆体構造」と称する)を含む重合体ブロックを形成した後に、該前駆体構造を部分構造(1)に変換する方法も挙げられる。前駆体構造を含む重合体ブロックは重合性官能基と前駆体構造を含む化合物(以下「重合性前駆体」と称する)を含有する単量体を重合することで得られる。該重合性官能基としては、スチリル基、1,3−ジエニル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。前駆体構造としては、水酸基および保護基(シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシ基など)によって保護された水酸基、アミノ基および保護基によって保護されたアミノ基、チオール基および保護基によって保護されたチオール基、ならびにイソシアネート基などが挙げられる。
前駆体構造として水酸基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)および水酸基と反応しうる部分構造(カルボン酸、エステル、カルボニルハライドなど)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護された水酸基を含む重合体ブロックは、該保護基を外して水酸基とした後で同様にメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。
前駆体構造としてアミノ基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびアミノ基と反応しうる部分構造(カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、カルボニルハライド、アルデヒド基、イソシアネート基など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護されたアミノ基を含む重合体ブロックは、該保護基を外してアミノ基とした後で同様にメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。
前駆体構造としてチオール基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびチオール基と反応しうる部分構造(カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、カルボニルハライド、イソシアネート基、炭素−炭素二重結合など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護されたチオール基を含む重合体ブロックは、該保護基を外してチオール基とした後で同様にメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。
前駆体構造としてイソシアネート基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびイソシアネート基と反応しうる部分構造(水酸基など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(a)を形成できる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造において、メタクリル系重合体ブロック(a)を形成する方法としては、一般式(2)で示される活性エネルギー線硬化性基を容易に直接導入できる観点から、ジメタクリレート(3)を含有する単量体を重合する方法、典型的にはリビングアニオン重合する方法が好ましい。
<アクリル系共重合体(II)>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、重量平均分子量が3,000以上であり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量よりも小さく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位を70モル%以上有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系共重合体(II)が含まれる。該アクリル系共重合体(II)は、単独重合体であっても複数の単量体単位からなる共重合体であってもよい。
アクリル系共重合体(II)における(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位の含有量としては、70モル%以上であり、80モル%以上が好ましい。70モル%以上であれば、アクリル系共重合体(II)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のアクリル系重合体ブロック(b)と優先的に相溶し、高温と低温の間で液状とゲル状の転移が発現しやすくなる。
アクリル系共重合体(II)が有する、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位とは、当該アクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ種類の構造単位を意味し、アクリル系共重合体(II)は、当該アクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位のうちの少なくとも1種の構造単位を上記含有量で含んでいればよく、例えば、アクリル系重合体ブロック(b)が2種以上の構造単位を含む場合には、それらの合計が上記含有量を満たしていればよい。例えば、アクリル系重合体ブロック(b)が2種の構造単位を含む場合において、アクリル系共重合体(II)は、そのうちの1種の構造単位のみを含み、その含有量が上記範囲を満たしていてもよいし、当該2種の構造単位を含み、その含有量が上記範囲を満たしていてもよい。
アクリル系重合体ブロック(b)が2種以上の構造単位を含む場合において、アクリル系共重合体(II)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のアクリル系重合体ブロック(b)と優先的に相溶し、高温と低温の間で液状とゲル状の転移がより効果的に発現しやすくなることなどから、アクリル系共重合体(II)は、アクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位(2種以上の構造単位)の全ての種類の構造単位を含むことが好ましく、アクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位のうちのモル%基準で含有量の一番多い構造単位と、アクリル系共重合体(II)を構成する構造単位のうちのモル%基準で含有量の一番多い構造単位が同種であって、当該アクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位のうちのモル%基準で含有量の一番多い構造単位の含有量(モル%)と、当該アクリル系共重合体(II)を構成する構造単位のうちのモル%基準で含有量の一番多い構造単位の含有量(モル%)との差の絶対値が30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましく、5モル%以下であることが最も好ましく、0モル%であってもよい。
アクリル系共重合体(II)は、例えば、アクリル酸エステルをモノマー単位として含む共重合体からなる主鎖と、主鎖に結合し、ラジカル重合性不飽和結合を含む側鎖を有する。ラジカル重合性不飽和結合は、典型的には(メタ)アクリロイル基を含むが、これに限らない。
アクリル系共重合体(II)は、例えば1種または2種以上のアクリル酸エステル(c)と反応性官能基を有する1種または2種以上の重合性化合物(d)との共重合により、反応性官能基を有するアクリル系共重合体を得ることと、このアクリル系共重合体の反応性官能基と反応する官能基およびラジカル重合性不飽和結合を有する1種または2種以上の化合物(e)をアクリル系共重合体と反応させて、アクリル系共重合体の側鎖にラジカル重合性不飽和結合を導入することとを含む方法により、得ることができる。アクリル酸エステル(c)としては、例えば、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位を与えることのできるものを選択することが好ましい。また、これに限らず例えば(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と同様な製造方法を用いて得ることもできる。
アクリル酸エステル(c)としては、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のアクリル系重合体ブロック(b)と優先的に相溶するものが用いられる。優先的に相溶するとは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるアクリル系重合体ブロック(b)の溶解度パラメータ(SP(b))とアクリル酸エステル(c)の溶解度パラメータ(SP(c))の差が、メタクリル系重合体ブロック(a)の溶解度パラメータ(SP(a))とアクリル酸エステル(c)のSP(c)の差よりも小さいことである。溶解度パラメータはFedors法の推算法により求めた値である。
重合性化合物(d)は、エポキシ基およびヒドロキシ基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有することが好ましい。エポキシ基およびヒドロキシ基は、前記化合物(e)との反応性が良好であるため、好適である。
反応性官能基としてエポキシ基を有する重合性化合物(d)としては、例えば、アクリル酸グリシジル、およびアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基を有するアクリル酸エステルが挙げられる。
反応性官能基としてヒドロキシル基を有する重合性化合物(d)としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、およびアクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。
アクリル系共重合体(II)は、アクリル酸エステル(c)および重合性化合物(d)に加えて、他の重合性化合物をモノマー単位として含んでいてもよい。他の重合性化合物としては、例えば、スチレンおよびビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。
前記化合物(e)は、重合性化合物(d)の反応性官能基(エポキシ基、ヒドロキシ基等)と反応する、カルボキシル基およびイソシアネート基等からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する。
カルボキシル基を有する化合物(e)の具体例としては(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の2量体(たとえば東亜合成株式会社製「アロニックスM5600」)、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸(例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亜合成株式会社製「アロニックスM5300」)、水酸基を有する(メタ)アクリレートと無水カルボン酸との開環反応により得られる化合物(例えば、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、東亜合成株式会社製「アロニックスM5400」)、およびβ―アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート(例えば、新中村化学株式会社製「NKエステル A−SA」)が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物(e)の具体例としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMOI」)が挙げられる。
アクリル系共重合体(II)の重量平均分子量(Mw)としては、取扱い性、流動性、力学特性の観点から、3,000以上であり、6,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量より小さく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量の80%より小さいことが好ましい。重量平均分子量が3,000以上であると高温で液状であり低温でゲル状となる特性が得られ、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量よりも小さいと高温下で液状となった場合に低粘度化が達成出来る。さらに、重量平均分子量が上記範囲内にあることで、活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対する、メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は5質量%以上であり、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、25質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が上記範囲内にあることで、高温で液状であり低温でゲル状となる活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)との質量比(I)/(II)は、15/85〜60/40であることが好ましく、20/80〜50/50であることがより好ましい。アクリル系共重合体(II)を40質量%以上含有することで低粘度となり、85質量%以下とすることで、低温下でゲル状となる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、光重合開始剤(III)が含まれていてもよい。光重合開始剤(III)としては、例えば、アセトフェノン類(例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等)、ミヒラーケトン類(例えば、ミヒラーケトン等)およびベンゾイン類(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等)等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサンソン類(例えば、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン等)等の硫黄化合物;アシルフォスフィンオキサイド類(例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等)等のリン化合物;チタノセン類(例えばビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等)等のチタン化合物;アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチルニトリル等)等が挙げられる。これらの中でも、アセトフェノン類およびベンゾフェノン類が好ましい。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)およびアクリル系共重合体(II)の合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜8質量部がより好ましい。0.01質量部以上であると活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性が良好となり、また10質量部以下であると得られる硬化物の耐熱性が良好となる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、上記光重合開始剤に加えて、増感剤が含まれていてもよい。増感剤としては、例えばn−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿酸、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミンが好ましい。
光重合開始剤と増感剤とを合して使用する場合には、光重合開始剤と増感剤の質量比率は、10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜80:20の範囲がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに溶剤が含まれていてもよい。溶剤を含ませることにより、粘度を調節することができる。また、溶剤を含ませることで、活性エネルギー線硬化性組成物中における各種成分を溶解させたり分散させたりしやすくなる。
溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族または脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル;ジメチルホルムアミド等のアミド;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトンなどが挙げられる。
溶剤を含有する場合、その含有量は、本発明で使用する(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)およびアクリル系共重合体(II)との合計量100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、本発明の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)およびアクリル系共重合体(II)以外の、重合性を示す反応性希釈剤が含まれていてもよい。反応性希釈剤としては、重合性を示す化合物であれば特に制限はないが、例えば、スチレン、インデン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエステル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル、4−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらの反応性希釈剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわず、また、その硬化性を著しく阻害しない範囲内で、可塑剤、粘着付与剤、軟化剤、充填剤、安定剤、顔料、染料などの活性エネルギー線硬化性基を有さない各種添加剤が含まれていてもよい。これらの各種添加剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なお、活性エネルギー線硬化性基を有さない上記添加剤は有機化合物であっても無機化合物であってもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合または混練装置を使用して、例えば100〜250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。電子線(EB)の場合の加速電圧としては0.1〜10MeV、照射線量としては1〜500kGyの範囲が適当である。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、LED等を用いることができる。活性エネルギー線の積算光量は、通常10〜20000mJ/cmの範囲であり、30〜5000mJ/cmの範囲が好ましい。10mJ/cmより少ないと活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性が不十分となる傾向があり、20000mJ/cmより多いと活性エネルギー線硬化性組成物が劣化するおそれがある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に対して活性エネルギー線を照射する場合の相対湿度は、活性エネルギー線硬化性組成物の分解を抑制する観点から、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に対して活性エネルギー線照射中または照射後に、さらに必要に応じて加熱を行って硬化を促進させることもできる。かかる加熱温度は40〜130℃の範囲が好ましく、50〜100℃の範囲がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の用途としては、自動車、家電、建築、土木、スポーツ、ディスプレイ、光記録機器、光学機器、半導体、電池、印刷等の分野で用いられる硬化性樹脂、粘接着剤、テープ、フィルム、シート、マット、シーリング材、封止材、コーティング材、ポッティング材、インク、刷版材、防振材、発泡体、放熱材、プリプレグ、ガスケット、パッキン等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、原料は常法により乾燥精製し、窒素により脱気したものを使用し、移送および供給は窒素雰囲気下で行った。
なお、以下の実施例および比較例において採用された、各評価方法を以下に示す。
[単量体消費率]
下記の実施例および比較例における重合後の各単量体の消費率は、反応液0.5mLを採取してメタノール0.5mL中に入れて混合後、該混合液から0.1mLを採取して、重クロロホルム0.5mLに溶解させてH−NMR測定を下記の測定条件にて行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値5.79〜6.37ppm)および溶媒として用いたトルエンの芳香環に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値7.00〜7.38ppm)の積分値の比率の変化から算出した。
H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置 「JNM−ECX400」
温度:25℃
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)]
下記の実施例および比較例において、得られた重合体のGPC測定を下記の測定条件にて行い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の値を求めた。
(GPC測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
[(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は、下記の合成例で得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体0.01gを、重クロロホルム0.5mLに溶解させてH−NMR測定を行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの各エステル鎖に由来するピーク(化学シフト値2.5〜5.0ppm)の積分値の比率から算出した。
H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製 核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
温度:25℃
[(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対する、メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量の算出方法]
活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対する、前記メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物10mgを重クロロホルム0.5mLに溶解させてH−NMR測定を下記の測定条件にて行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの各エステル鎖に由来するピーク(化学シフト値2.5〜5.0ppm)の積分値の比率から算出した。
H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置 「JNM−ECX400」
温度:25℃
[高温時の粘度]
下記の実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は、粘度・粘弾性測定装置(HAAKE製、MARS III)を用いて次の方法で測定した。
活性エネルギー線硬化性組成物をφ35mm、1°傾斜コーンプレート上に1g滴下し、塗膜を形成した。測定モードとして定常流粘度測定モードを使用し、測定温度80℃、測定ギャップ0.05mm、せん断速度1(1/s)の条件で粘度(Pa・s)を測定した。粘度が2000Pa・s以下であると、本発明における「液状」とみなすことができ、高温下で容易に部材に塗工することができる。
[低温時の性状]
下記の実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物の低温時の性状は、組成物の曳糸性の有無により評価した。
具体的には活性エネルギー線硬化性組成物を厚み1mmのシート状に成型し、得られたシート状組成物を室温25℃の条件下で指触し、以下の基準で評価した。
○:指に液状物が付着しない(曳糸性無し)
×:指に液状物が付着する(曳糸性有り)
曳糸性が無い「○」の評価の場合、本発明における「ゲル状」とみなすことができる。
[耐油性の評価]
下記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、イルガキュア(登録商標)184)を3wt%添加、混合した。次いで、離型PETフィルム(K1504、東洋紡製)の離型面上に厚さ1mmのテフロンテープを、幅4cm×長さ4cmのスペースができるように貼り付けた。このスペースに、調製した活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、さらにその上に別の離型PETフィルム(K1504、東洋紡製)を置いたのち、ラミネートローラーを用いて表面を均一に押圧した。次いで、紫外線照射装置(GS YUASA製、12A12−A10−HD3A、メタルハライドランプ)を用いて、離型PETフィルム上に紫外線を2000mJ/cm照射することで活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を得た。得られた硬化物を、厚さ1mm×幅20mm×長さ50mmの短冊状に切り出し、オートフルード液(トヨタ純正オートフルードWS)に150℃で70時間浸漬した後、重量変化率、及び体積変化率を評価した。
重量変化率[%]={(浸漬前後の重量変化)/(浸漬前の重量)}×100
体積変化率[%]={(浸漬前後の体積変化)/(浸漬前の体積)}×100
[合成例1:(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)の合成]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.30kgを添加したのち、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、さらに、ルイス塩基としてN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン2.1gおよび有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26質量%含むトルエン溶液42gを順次添加したのち、−30℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを10質量%含むシクロヘキサン溶液5.4gを加え、その後、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート(以下、DMAと略称する)3.2gとメタクリル酸メチル(以下、MMAと略称する)115gとの混合物118gを一括で添加し、アニオン重合を開始した。引き続き、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。
工程(1)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(2))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸2−メトキシエチル(以下、2−MEAと略称する)245gを5g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
工程(2)における2−MEAの消費率は100%であった。
(工程(3))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA2.6gとMMA97gとの混合物100gを一括で添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(4))
引き続き反応液を25℃で撹拌しつつ、メタノールを40g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(a)−アクリル系重合体ブロック(b)−メタクリル系重合体ブロック(a)の(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)」と称する)を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)のMnは47,800、Mwは52,300、Mw/Mnは1.09であった。また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は45質量%であった。
(工程(5))
次いで得られた溶液を5,000gのヘキサン中に注ぎ、固体状沈殿物を析出させた。固体状沈殿物を回収後、乾燥させることにより、420gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)を得た。
[合成例2:(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)の合成]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.30kgを添加したのち、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、さらに、ルイス塩基としてN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン2.2gおよび有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26質量%含むトルエン溶液31gを順次添加したのち、−30℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを10質量%含むシクロヘキサン溶液5.4gを加え、その後、単量体としてDMA5.1gとMMA58gとの混合物63gを一括で添加し、アニオン重合を開始した。引き続き、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。
工程(1)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(2))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体として2−MEA345gを5g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
工程(2)における2−MEAの消費率は100%であった。
(工程(3))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA4.3gとMMA49gとの混合物53gを一括で添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(4))
引き続き反応液を25℃で撹拌しつつ、メタノールを40g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(a)−アクリル系重合体ブロック(b)−メタクリル系重合体ブロック(a)の(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)」と称する)を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)のMnは54,000、Mwは58,000、Mw/Mnは1.07であった。また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は25質量%であった。
(工程(5))
次いで得られた溶液を5,000gのヘキサン中に注ぎ、固体状沈殿物を析出させた。固体状沈殿物を回収後、乾燥させることにより、410gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)を得た。
[合成例3:(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−3)の合成]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.30kgを添加したのち、フラスコ内の溶液を撹拌しながら、さらに、ルイス塩基としてN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン2.1gおよび有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26質量%含むトルエン溶液42gを順次添加したのち、−30℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを10質量%含むシクロヘキサン溶液5.4gを加え、その後、単量体としてDMA3.2gとMMA115gとの混合物118gを一括で添加し、アニオン重合を開始した。引き続き、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。
工程(1)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(2))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸n―ブチル(以下、BAと略称する)245gを5g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
(工程(3))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA2.6gとMMA97gとの混合物100gを一括で添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)におけるDMA、およびMMAの消費率は100%であった。
(工程(4))
引き続き反応液を25℃で撹拌しつつ、メタノールを40g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(a)−アクリル系重合体ブロック(b)−メタクリル系重合体ブロック(a)の(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−3)」と称する)を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−3)のMnは54,000、Mwは58,000、Mw/Mnは1.08であった。また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−3)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は46質量%であった。
(工程(5))
次いで得られた溶液を5,000gのヘキサン中に注ぎ、固体状沈殿物を析出させた。固体状沈殿物を回収後、乾燥させることにより、430gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−3)を得た。
[合成例4:アクリル系共重合体(II−1)の合成]
アクリル酸グリシジル(以下、GAと略称する)9.8g、2−MEA490gをメチルイソブチルケトン中で常法に従って溶液重合させて、アクリル酸グリシジルに由来するエポキシ基を有するアクリル系共重合体を合成した。得られたアクリル系共重合体のエポキシ基とアクリル酸との反応により、アクリロイル基を有するアクリル系共重合体(II−1)を得た。重合反応に用いたGA1当量に対して、1当量のアクリル酸を反応に用いた。得られたアクリル系共重合体(II−1)のMwは14,300であった。アクリル系共重合体(II−1)におけるアクリル酸エステルの含有量は98モル%であった。
[合成例5:アクリル系共重合体(II−2)の合成]
各重合性化合物の量を以下のように変更したこと以外は合成例4と同様にしてアクリル系共重合体(II−2)(Mw:22,400)を合成した。アクリル系共重合体(II−2)におけるアクリル酸エステルの含有量は98モル%であった。
GA:11.5g/2−MEA:489g
[実施例1]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)3gと、アクリル系共重合体(II−1)7gを混合し、100℃で加熱撹拌させて、10gの活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物の物性を上述した方法で測定・評価した。結果を表1に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、アクリル系共重合体(II)、アクリル酸4−ヒドロキシブチルおよびアクリル酸オクチルの使用量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によって活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物の物性を上述した方法で測定・評価した。結果を表1に示す。

※1:(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対する、メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量。但し、比較例3および4のメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、アクリル酸4−ヒドロキシブチルおよびアクリル酸オクチルの合計含有量に対して算出。
※2:混合不可とは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の固形分が残っている状態を表す。
表1の結果より、本発明の規定を満たす実施例1〜4では、25℃では曳糸性が無くゲル状であるが、80℃では粘度が2000Pa・s以下となり液状であることから、高温と低温との間でその状態が液状とゲル状とに変化することが分かる。さらに、耐油性の評価において重量および体積変化率が減少していることから、耐油性に優れることが分かる。
一方で、メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が5質量%以下である比較例1では、25℃でゲル状にならず、含有量が25質量%以上である比較例2では、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の固形分が残っている状態であった。さらに、アクリル系共重合体(II)の代わりにアクリル酸4−ヒドロキシブチルを用いた比較例3では、25℃でゲル状にならず、アクリル酸オクチルを用いた比較例4では、25℃でゲル状を示すが、耐油性の評価において重量および体積変化率が増加していることから、耐油性に劣ることが分かる。
本発明によれば、高温と低温の間でその状態が液状とゲル状に変化することができ、さらに、活性エネルギー線照射後の硬化物が耐油性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物が得られる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)と、活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)とを含有し、重量平均分子量が30,000以上である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、および
    重量平均分子量が3,000以上であり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の重量平均分子量よりも小さく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の活性エネルギー線硬化性基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)を構成する構造単位と同じ構造単位を70モル%以上有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系共重合体(II)、を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)とアクリル系共重合体(II)の合計質量に対して、前記メタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が5〜25質量%である、
    活性エネルギー線硬化性組成物。

    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す)
  2. 前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(a)の含有量が、10〜70質量%である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と前記アクリル系共重合体(II)との質量比(I)/(II)が15/85〜60/40である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. (メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)が有する前記活性エネルギー線硬化性基が下記一般式(2)で示される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。

    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表し、XはO、S、またはNR(−NR−)(Rは水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表す)を表し、nは1〜20の整数を表す)
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