JP2018039940A - (メタ)アクリル系ブロック共重合体組成物 - Google Patents

(メタ)アクリル系ブロック共重合体組成物 Download PDF

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裕史 田邊
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幹也 松浦
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Abstract

【課題】粘接着性およびリワーク性を有し、活性エネルギー線などを照射して得られる硬化物が透明性および光学等方性に優れ、かつ高温での保持力に優れる(メタ)アクリル系ブロック共重合体組成物を提供。
【解決手段】(メタ)アクリロイル基を部分構造としてを含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(A)と、前記硬化性基を有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)とからなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、およびメタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(C)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(D)とからなり、かつ前記硬化性基を有さない(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)を、前記ブロック共重合体(I)/前記ブロック共重合体(II)=0.1/99.9〜50.0/50.0の質量比で含有する重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線などで硬化可能な粘接着性能に優れる重合体組成物に関する。
偏光板および位相差フィルムなどの光学フィルム、ならびに液晶パネル等の光学部材同士を貼着する、あるいはこれら光学部材と保護フィルムなどの光学部材の保護材料とを貼着する場合、粘接着剤が用いられることがある。このような粘接着剤には、光学部材の光学特性などその機能を損なわないために、高い透明性、光学的等方性(複屈折がないこと)が求められている。
また、その粘接着剤には、貼着後実際に使用している間、加熱または湿熱状態に曝されても、発泡したり、光学部材などの被着体から剥離したりしない、高い耐久性が求められている。
さらに、光学部材同士などを貼着する際に、皺、気泡、異物などの噛み込み、あるいは光学部材または保護部材の貼り付け位置のズレ、などが生じた場合に、一旦貼着した光学部材や保護材料を剥がして再び貼着作業をやり直したり、光学部材などを剥がした後に、光学部材の中でも比較的高価な部材(例えば液晶パネル)を回収してリサイクルしたりすることがある。かかる観点から、糊残りがなく、適度な剥離強度で剥離でき、再度貼着が可能な性能(いわゆるリワーク性)が粘着剤に求められている。
例えば、特定のアクリル系トリブロック共重合体を主成分とする光学フィルム用粘着剤が、架橋ムラによる粘着性能のバラツキがなく良好な凝集力を示し、リワーク性、粘着特性、耐熱性、耐久性などに優れることが報告されている(特許文献1参照)。しかし、リワーク性と粘接着特性(タックなど)とを維持しながら、耐熱性を高める観点からは、改善の余地があった。
特開2013−116953号公報
"POLYMER HANDBOOK Forth Edition"、VII、Wiley Interscience社、1999年発行、p.675〜714 Polymer Engineering and Science、1974年、第14巻、p.147〜154
本発明は、粘接着性およびリワーク性を有し、活性エネルギー線などを照射して得られる硬化物が透明性および光学等方性に優れ、かつ高温での保持力に優れる、(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、上記目的は、
[1]下記一般式(1)で示される部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(A)と、活性エネルギー線硬化性基を有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)とからなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、および
メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(C)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(D)とからなり、かつ一般式(1)で示される部分構造(1)を有さない(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)、
を、
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)/(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)=0.1/99.9〜50.0/50.0の質量比で含有する重合体組成物;
Figure 2018039940
(式(1)中、R1は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
[2]前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)において、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)のガラス転移温度が90℃以上であり、かつ重合体ブロック(B)および重合体ブロック(D)のガラス転移温度が30℃以下である、[1]に記載の重合体組成物;
[3]前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)における重合体ブロック(B)の溶解度パラメーター(SP(B))と、前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(D)の溶解度パラメーター(SP(D))との差が−0.5以上0.5以下である、[1]または[2]に記載の重合体組成物;
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の重合体組成物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物;
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の重合体組成物または[4]に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる硬化物;
を提供することにより達成される。
本発明で得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体組成物を含有する重合体組成物は、粘接着性およびリワーク性を有し、活性エネルギー線の照射などにより硬化可能である。またその組成物から得られる硬化物は透明性および光学等方性に優れ、かつ高温での保持力などの粘接着性能に優れる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「メタクリル」と「アクリル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリロイル」は「メタクリロイル」と「アクリロイル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」と「アクリレート」との総称を意味する。
本発明の重合体組成物には、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)が含有される。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、メタクリル系重合体ブロック(A)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)とを含有し、該メタクリル系重合体ブロック(A)は部分構造(1)を有する。
部分構造(1)は、活性エネルギー線の照射によって重合性を示す。この結果、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を含有する重合体組成物は活性エネルギー線の照射などによって硬化して硬化物となる。なお、本明細書において活性エネルギー線とは、光線、電磁波、粒子線およびこれらの組み合わせを意味する。光線としては遠紫外線、紫外線(UV)、近紫外線、可視光線、赤外線などが挙げられ、電磁波としてはX線、γ線などが挙げられ、粒子線としては電子線(EB)、プロトン線(α線)、中性子線などが挙げられる。硬化速度、照射装置の入手性、価格等の観点から、これら活性エネルギー線の中でも紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
部分構造(1)は、下記一般式(1)で示される。
Figure 2018039940
(式(1)中、R1は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
上記一般式(1)中、R1が表す炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基が挙げられる。中でも、活性エネルギー線硬化性の観点から水素原子、メチル基、およびエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)中の部分構造(1)は、硬化速度の観点から、下記一般式(2)で示される部分構造(以下「部分構造(2)」と称する)の一部であることが好ましい。
Figure 2018039940
(式(2)中、R1は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表し、XはO、S、またはN(R4)(R4は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)を表し、nは1〜20の整数を表す。)
上記一般式(2)中、R1が表す炭素数1〜20の炭化水素基の具体例および好適例としては、上記一般式(1)のR1と同様の炭化水素基が挙げられる。
上記一般式(2)中、R2およびR3がそれぞれ独立して表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基などが挙げられる。中でも、活性エネルギー線硬化性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記一般式(2)中、XはO、SまたはN(R4)(R4は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表す。)を表し、重合制御のしやすさからOが好ましい。XがN(R4)である場合、R4が表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基などが挙げられる。
上記一般式(2)中、nが表す1〜20の整数は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の流動性と硬化速度の観点から2〜5であることが好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に含まれる部分構造(1)の数は、1個以上であることが好ましく、2個以上であることがより好ましく、3個以上であることがさらに好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)を構成する全単量体単位に対する部分構造(1)の含有量は、0.1〜45モル%の範囲が好ましく、0.5〜40モル%の範囲がより好ましく、1〜35モル%の範囲がさらに好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)に含まれる部分構造(1)は、メタクリル系重合体ブロックの末端にあっても、側鎖にあってもよいが、好ましい含有量の部分構造(1)を導入する観点から、少なくとも側鎖にあることが好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)は、メタクリル酸エステルを含有する単量体に由来する単量体単位を含む。かかるメタクリル酸エステルは、1個のメタクリロイル基を有する単官能メタクリル酸エステルおよび2個以上のメタクリロイル基を有する多官能メタクリル酸エステルに大別される。
上記単官能メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル等の官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル、メタクリル酸グリシジル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等の、炭素数1〜5のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対する、上記単官能メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル)に由来する単量体単位の含有量は、活性エネルギー線硬化性の観点から、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることがさらに好ましい。また、上記単官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、メタクリル系重合体ブロック(A)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましい。
また、上記多官能メタクリル酸エステルとして、下記一般式(3)で示される2官能メタクリル酸エステル(以下、「ジメタクリレート(3)」と称する)を用いると、後述する条件下でリビングアニオン重合することで、一方のメタクリロイル基(下記一般式(3)中「O(CH2n」が直結するメタクリロイル基)が選択的に重合して、部分構造(2)を有するメタクリル系重合体ブロック(A)が得られることから好ましい。
Figure 2018039940
(式(3)中、R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜20の整数を表す。)
上記一般式(3)中、R2およびR3が表す炭素数1〜6の炭化水素基の例としては上記一般式(2)のR2およびR3と同様の炭化水素基が挙げられる。上記一般式(3)中、nが表す1〜20の整数は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の流動性と硬化速度の観点から2〜5であることが好ましい。
ジメタクリレート(3)の具体例としては、例えば1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレートなどが挙げられ、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジエチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、および1,1−ジエチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレートが好ましく、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジオールジメタクリレート、1,1−ジメチルペンタン−1,5−ジオールジメタクリレート、および1,1−ジメチルヘキサン−1,6−ジオールジメタクリレートがより好ましい。
前述した単官能および多官能メタクリル酸エステルは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対する、多官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、0.1モル%以上であることが好ましく、0.5モル%以上であることがより好ましく、1モル%以上であることがさらに好ましい。また、多官能メタクリル酸エステルがジメタクリレート(3)を含有する場合、メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対する、ジメタクリレート(3)に由来する単量体単位の含有量は、0.1〜45モル%の範囲が好ましく、0.5〜40モル%の範囲がより好ましく、1〜35モル%の範囲がさらに好ましい。
メタクリル系重合体ブロック(A)が、単官能メタクリル酸エステルと多官能メタクリル酸エステルを含有する単量体から形成されている場合、単官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量と多官能メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量の合計量は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であってもよい。さらに、メタクリル系重合体ブロック(A)が、メタクリル酸メチルとジメタクリレート(3)を含有する単量体から形成されている場合、メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対する、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位の含有量とジメタクリレート(3)に由来する単量体単位の含有量の合計量は、メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対して、80〜100モル%の範囲が好ましく、90〜100モル%の範囲がより好ましく、95〜100モル%の範囲がさらに好ましく、100モル%であってもよい。また、上記の各含有量は、メタクリル系重合体ブロック(A)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、上記好ましい範囲、望ましくはより好ましい範囲にあることが、好ましい一態様である。
メタクリル系重合体ブロック(A)は、上記メタクリル酸エステル以外の他の単量体に由来する単量体単位を有していてもよい。該他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル、アクリル酸グリシジル、γ−(アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸エステル;α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチルなどのα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチルなどのクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステルなどの3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド;2−フェニルアクリル酸メチル、2−フェニルアクリル酸エチル、2−ブロモアクリル酸n−ブチル、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、2−ブロモメチルアクリル酸エチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。これら他の単量体は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。上記他の単量体により形成される単量体単位の含有量は、メタクリル系重合体ブロック(A)の全単量体単位に対して、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。また、上記他の単量体により形成される単量体単位の含有量は、メタクリル系重合体ブロック(A)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下であることが望ましい一態様である。
上記重合体ブロック(A)のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であることが好ましく、95〜150℃であることがより好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。重合体ブロック(A)のガラス転移温度は、重合体ブロック(A)を形成する単量体の種類、重合方法などにより制御できる。Tgがこの範囲にあると、(メタ)アクリル系ブロック共重合体組成物の通常の使用温度において凝集力が向上し、優れた粘着特性および耐久性が発現する。なお、本発明におけるガラス転移温度とは、重合体ブロックまたはアクリル系ブロック共重合体を、10℃/分の昇温条件でDSC測定して得られた曲線において認められる重合体ブロックの転移領域の外挿開始温度(Tgi)である。
メタクリル系重合体ブロック(A)の数平均分子量(Mn)は、得られるブロック共重合体の取り扱い性、流動性、力学特性等の観点から、500〜100,000の範囲内であることが好ましく、1,000〜50,000の範囲内であることがより好ましい。メタクリル系重合体ブロック(A)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックのMnが上記好ましい範囲、望ましくはより好ましい範囲にあることが、好ましい一態様である。なお、本明細書においてMn、重量平均分子量(Mw)および後述する分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の値、およびその値から算出される値である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)におけるメタクリル系重合体ブロック(A)の含有量は1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、2質量%以上57.5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上55質量%以下であることがさらに好ましい。重合体ブロック(A)の含有量が上記範囲にあることにより、得られる硬化物は粘接着剤として用いた場合、高温での保持力により優れる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、活性エネルギー線硬化性基を有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を含んでいる。
なお本明細書において、活性エネルギー線硬化性基とは、上記活性エネルギー線の照射により重合性を示す官能基を意味する。活性エネルギー線硬化性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基、1,3−ジエニル基、スチリル基等のエチレン性二重結合(特に一般式CH2=CR−(式中、Rはアルキル基または水素原子)で示されるエチレン性二重結合)を有する官能基;エポキシ基、オキセタニル基、チオール基、マレイミド基等が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を形成できる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピルなどの単官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。中でも、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステルは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)中の(メタ)アクリル酸エステルにより形成される単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を形成する全単量体単位に対して90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、100モル%であってもよい。また、上記(メタ)アクリル酸エステルにより形成される単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体から形成される単量体単位を有していてもよい。該他の単量体としては、例えばα−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステル等の3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。これら他の単量体は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)中の上記他の単量体により形成される単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を形成する全単量体単位に対して10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。また、上記他の単量体により形成される単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックそれぞれにおいて、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下であることが望ましい一態様である。
上記重合体ブロック(B)のTgは、30℃以下であることが好ましく、−90〜25℃であることがより好ましく、−80〜20℃であることがさらに好ましい。Tgがこの範囲にあると、重合体組成物を粘接着剤として用いた場合、適切なタックおよび粘接着力を有する。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のMnは得られるブロック共重合体の取り扱い性、流動性、力学特性等の観点から、1,000〜200,000の範囲が好ましく、2,000〜100,000の範囲がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に複数含まれる場合には、各重合体ブロックのMnが上記好ましい範囲、望ましくはより好ましい範囲にあることが、好ましい一態様である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)における(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)の含有量は、40質量%以上99質量%以下であることが好ましく、42.5質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上97質量%以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のMnは、重合体組成物を製造しやすい点から、1,500以上300,000以下であることが好ましく、3,000以上150,000以下であることがより好ましく、5,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnは2.00以下が好ましく、1.01〜2.00の範囲がより好ましく、1.03〜1.80の範囲がさらに好ましく、1.05〜1.50の範囲が最も好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)は、メタクリル系重合体ブロック(A)少なくとも1個と、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)少なくとも1個とを有するブロック共重合体であり、各重合体ブロックの数および結合順序に特に制限はないが、活性エネルギー線硬化性の観点からメタクリル系重合体ブロック(A)が(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の少なくとも1個の末端を形成することが好ましく、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造容易性の観点から、直鎖状の重合体であることがより好ましく、1個のメタクリル系重合体ブロック(A)と1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)が結合したジブロック共重合体、または1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)の両端にメタクリル系重合体ブロック(A)各1個がそれぞれ結合したトリブロック共重合体がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造方法は特に限定されないが、アニオン重合法またはラジカル重合法が好ましく、重合制御の観点からリビングアニオン重合法またはリビングラジカル重合法がより好ましく、リビングアニオン重合法がさらに好ましい。
リビングラジカル重合法としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィリン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(国際公開第2004/014926号参照)、有機テルル化合物などの高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号公報参照)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号公報参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号公報、国際公開第2004/013192号参照)などが挙げられる。これらリビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法が好ましく、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、Ni、Cuから選ばれる少なくとも1種類を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
リビングアニオン重合法としては、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特開平06−93060号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特表平05−507737号公報参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特開平11−335432号公報、国際公開2013/141105号参照)などが挙げられる。これらリビングアニオン重合法の中でも、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を直接、効率よく重合できる点からは、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法が好ましく、有機アルミニウム化合物およびルイス塩基の存在下で、有機リチウム化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法がより好ましい。
上記有機リチウム化合物としては、例えばt−ブチルリチウム、1,1−ジメチルプロピルリチウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、エチルα−リチオイソブチレート、ブチルα−リチオイソブチレート、メチルα−リチオイソブチレート、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、2−エチルプロピルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム、メチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム等が挙げられる。中でも、入手容易性およびアニオン重合開始能の観点から、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム等の二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する炭素数3〜40の有機リチウム化合物が好ましく、sec−ブチルリチウムが特に好ましい。これら有機リチウム化合物は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
有機リチウム化合物の使用量は、目的とするブロック共重合体の数平均分子量に応じて、用いる単量体の使用量との比率によって決定できる。
上記有機アルミニウム化合物としては、下記一般式(A−1)または(A−2)で示される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
AlR5(R6)(R7) (A−1)
(式中、R5は一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表し、R6およびR7はそれぞれ独立してアリールオキシ基を表すか、あるいはR6およびR7は互いに結合してアリーレンジオキシ基を形成している。)
AlR8(R9)(R10) (A−2)
(式中、R8はアリールオキシ基を表し、R9およびR10はそれぞれ独立して一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。)
上記一般式(A−1)および(A−2)中、R5、R6、R7およびR8がそれぞれ独立して表すアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、7−メトキシ−2−ナフトキシ基等が挙げられる。
上記一般式(A−1)中、R6とR7が互いに結合して形成されるアリーレンジオキシ基としては、例えば2,2’−ビフェノール、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール、(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトール等の2個のフェノール性水酸基を有する化合物中の該2個のフェノール性水酸基の水素原子を除いた官能基が挙げられる。
なお、上記のアリールオキシ基およびアリーレンジオキシ基において含まれる1個以上の水素原子が、置換基により置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記一般式(A−1)および(A−2)中、R5、R9およびR10がそれぞれ独立して表す一価の飽和炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、一価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、N,N−二置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ビス(トリメチルシリル)アミノ基等が挙げられる。上述した一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基およびN,N−二置換アミノ基において含まれる1個以上の水素原子は、置換基により置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物(A−1)としては、例えばエチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。中でも、重合開始効率、重合末端アニオンのリビング性、入手および取り扱いの容易さ等の観点から、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム等が好ましい。
上記有機アルミニウム化合物(A−2)としては、例えばジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。これら有機アルミニウム化合物は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
有機アルミニウム化合物の使用量は、溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜好適な量を選択できるが、重合速度の観点から有機リチウム化合物1モルに対して通常、1.0〜10.0モルの範囲で用いることが好ましく、1.1〜7.5モルの範囲で用いることがより好ましく、1.2〜5.0モルの範囲で用いることがさらに好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量が有機リチウム化合物1モルに対して10.0モルを超えると、経済性において不利となる傾向となり、1.0モルを下回ると、重合開始効率が低下する傾向となる。
上記ルイス塩基としては、分子内にエーテル結合および/または三級アミン構造を有する化合物が挙げられる。
上記ルイス塩基として用いられる、分子内にエーテル結合を有する化合物としてはエーテルが挙げられる。上記エーテルとしては、重合開始効率の高さ、重合末端アニオンのリビング性の観点から、2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルまたは1個以上のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましい。2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルとしては、例えば12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテルが挙げられる。1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール等の非環状モノエーテル;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジイソプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジエトキシプロパン、1,2−ジイソプロポキシプロパン、1,2−ジブトキシプロパン、1,2−ジフェノキシプロパン、1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ジエトキシプロパン、1,3−ジイソプロポキシプロパン、1,3−ジブトキシプロパン、1,3−ジフェノキシプロパン、1,4−ジメトキシブタン、1,4−ジエトキシブタン、1,4−ジイソプロポキシブタン、1,4−ジブトキシブタン、1,4−ジフェノキシブタン等の非環状ジエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリブチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリブチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラブチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラブチレングリコールジエチルエーテル等の非環状ポリエーテルが挙げられる。中でも、副反応の抑制、入手容易性等の観点から、1〜2個のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましく、ジエチルエーテルまたは1,2−ジメトキシエタンがより好ましい。
上記ルイス塩基として用いられる、分子内に三級アミン構造を有する化合物としては、三級ポリアミンが挙げられる。三級ポリアミンとは、三級アミン構造を分子中に2個以上有する化合物を意味する。該三級ポリアミンとしては、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン等の鎖状ポリアミン;1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン等の非芳香族性複素環式化合物;2,2’−ビピリジル、2,2’:6’,2”−ターピリジン等の芳香族性複素環式化合物等が挙げられる。
また、分子内に1個以上のエーテル結合と1個以上の三級アミン構造を有する化合物をルイス塩基として使用してもよい。このような化合物としては、例えばトリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン等が挙げられる。
これらルイス塩基は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ルイス塩基の使用量は、重合開始効率、重合末端アニオンの安定性等の観点から、有機リチウム化合物1モルに対して0.1〜6.0モルの範囲であることが好ましく、0.2〜4.0モルの範囲であることがより好ましく、0.3〜2.0モルの範囲であることがさらに好ましい。ルイス塩基の使用量が有機リチウム化合物1モルに対して、6.0モルを超えると経済性において不利となる傾向となり、0.1モルを下回ると重合開始効率が低下する傾向となる。
また、ルイス塩基の使用量は、有機アルミニウム化合物1モルに対して、0.1〜0.8モルの範囲であることが好ましく、0.2〜0.7モルの範囲であることがより好ましい。
上記リビングアニオン重合は、温度制御および系内を均一化して重合を円滑に進行させる観点から、有機溶媒の存在下に行うことが好ましい。有機溶媒としては、安全性、重合後の反応液の水洗における水との分離性、回収・再使用の容易性等の観点から、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;フタル酸ジメチル等のエステル等が好ましい。これら有機溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、有機溶媒は、重合を円滑に進行させる観点から、乾燥処理を施すとともに、不活性ガス存在下であらかじめ脱気しておくことが好ましい。
また、上記リビングアニオン重合では、必要に応じ、反応系に他の添加剤を存在させてもよい。該他の添加剤としては、例えば塩化リチウム等の無機塩類;リチウムメトキシエトキシエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等が挙げられる。
上記リビングアニオン重合は−30〜25℃で行うのが好ましい。−30℃よりも低いと重合速度が低下し、生産性が低下する傾向がある。一方、25℃より高いと、上記ジメタクリレート(3)を含有する単量体の重合をリビング性よく行うことが困難となる傾向となる。
上記リビングアニオン重合は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、反応系が均一になるように十分な攪拌条件下にて行うことが好ましい。
上記リビングアニオン重合において、有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物、ルイス塩基および単量体を反応系に添加する方法としては、ルイス塩基が、有機リチウム化合物との接触前に有機アルミニウム化合物と接触するように添加することが好ましい。また、有機アルミニウム化合物は、単量体より先に反応系に添加しても、同時に添加してもよい。有機アルミニウム化合物を単量体と同時に反応系に添加する場合、有機アルミニウム化合物を単量体と別途混合したのちに添加してもよい。
上記リビングアニオン重合は、メタノール;酢酸または塩酸のメタノール溶液;酢酸、塩酸の水溶液等のプロトン性化合物などの重合停止剤を反応液に添加して停止できる。重合停止剤の使用量は、通常、用いる有機リチウム化合物1モルに対して1〜1,000モルの範囲が好ましい。
リビングアニオン重合停止後の反応液からブロック共重合体を分離取得する方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、反応液をブロック共重合体の貧溶媒に注いで沈殿させる方法、反応液から有機溶媒を留去してブロック共重合体を取得する方法等が挙げられる。
なお、分離取得したブロック共重合体中に有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分が残存していると、ブロック共重合体の物性の低下、透明性不良等を生じる場合がある。よって、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分をアニオン重合停止後に除去することが好ましい。該金属成分の除去方法としては、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂、セライト、活性炭等の吸着剤を用いた吸着処理等が有効である。ここで、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用することができる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造において、上記部分構造(1)を導入する方法としては、上記したジメタクリレート(3)を含有する単量体を重合してメタクリル系重合体ブロック(A)を形成する方法の他に、活性エネルギー線硬化性基(1)の前駆体となる部分構造(以下、「前駆体構造」と称する)を含む重合体ブロックを形成した後に、該前駆体構造を部分構造(1)に変換する方法も挙げられる。前駆体構造を含む重合体ブロックは重合性官能基と前駆体構造を含む化合物(以下「重合性前駆体」と称する)を含有する単量体を重合することで得られる。該重合性官能基としては、スチリル基、1,3−ジエニル基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。前駆体構造としては、水酸基および保護基(シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシ基など)によって保護された水酸基、アミノ基および保護基によって保護されたアミノ基、チオール基および保護基によって保護されたチオール基、ならびにイソシアネート基などが挙げられる。
前駆体構造として水酸基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)および水酸基と反応しうる部分構造(カルボン酸、エステル、カルボニルハライドなど)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護された水酸基を含む重合体ブロックは、該保護基を外して水酸基とした後、同様にメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。
前駆体構造としてアミノ基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびアミノ基と反応しうる部分構造(カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、カルボニルハライド、アルデヒド基、イソシアネート基など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護されたアミノ基を含む重合体ブロックは、該保護基を外してアミノ基とした後で同様にメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。
前駆体構造としてチオール基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびチオール基と反応しうる部分構造(カルボン酸、カルボン酸無水物、エステル、カルボニルハライド、イソシアネート基、炭素−炭素二重結合など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。また、前駆体構造として保護基によって保護されたチオール基を含む重合体ブロックは、該保護基を外してチオール基とした後で同様にメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。
前駆体構造としてイソシアネート基を含む重合体ブロックは、部分構造(1)およびイソシアネート基と反応しうる部分構造(水酸基など)を有する化合物と反応させることでメタクリル系重合体ブロック(A)を形成できる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造において、メタクリル系重合体ブロック(A)を形成する方法としては、部分構造(2)を容易に直接導入できる観点から、ジメタクリレート(3)を含有する単量体を重合する方法、典型的にはリビングアニオン重合する方法が好ましい。
本発明の重合体組成物には、さらに(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)が含有される。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)は、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(C)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(D)とを含有し、かつ上記一般式(1)で示される部分構造(1)を有さない。重合体組成物に、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)に加えて、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)が含まれていることにより、リワーク性などの優れた粘接着性能が付与される。
なお、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)は、上述した活性エネルギー線硬化性基を有さないことが望ましい。
上記重合体ブロック(C)の構成単位となるメタクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のメタクリル系重合体ブロック(A)の単量体単位となる、単官能メタクリル酸エステルとして例示した、官能基を有さないメタクリル酸エステル、官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、得られる重合体組成物の耐熱性、耐久性を向上させる観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルがより好ましく、重合体ブロック(C)が熱溶融成形に適したガラス転移温度を有し、また、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(D)とが相分離して重合体組成物の耐久性が高くなる点からメタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらメタクリル酸エステルは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(C)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(C)中60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、100モル%であってもよい。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)は、重合体ブロック(C)を2つ以上有することが、熱可塑性エラストマーの性質が発現し、耐久性がさらに高くなる点から好ましい。その場合、それら重合体ブロック(C)は、同一であっても異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(C)のTgは90℃以上であることが好ましく、95〜150℃であることがより好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。Tgがこの範囲にあると、重合体組成物の通常の使用温度においてこの重合体ブロック(C)は物理的な疑似架橋点として作用し、凝集力が発現することになり、粘接着特性、耐久性、耐熱性に優れ、また、熱溶融成形性に優れる。
重合体ブロック(C)の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、1,000〜80,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜60,000の範囲にあることがより好ましく、3,000〜40,000の範囲にあることがさらに好ましい。重合体ブロック(C)のMnがこの範囲より小さい場合には、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(C)のMnがこの範囲より大きい場合には、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)の溶融粘度が高くなり、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)の生産性や本発明の重合体組成物を製造する際の熱溶融成形性に劣る場合がある。
上記重合体ブロック(D)の構成単位となるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルなどの官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−フェノキシエチルなどの官能基を有するアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(D)との相分離がより明瞭となり、得られる重合体組成物の凝集力が高まる点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。これらアクリル酸エステルは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(D)中に含まれるアクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(D)中60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、100モル%であってもよい。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)に、重合体ブロック(D)が2つ以上含まれる場合には、それら重合体ブロック(D)の構造は、同一であっても異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(D)のTgは30℃以下であることが好ましく、−90〜25℃であることがより好ましく、−80〜20℃であることがさらに好ましい。Tgがこの範囲にあると、使用温度において柔軟で、密着性が高く、耐久性に優れた組成物を得ることができる。
重合体ブロック(C)および重合体ブロック(D)には、本発明の効果を損なわない範囲で、お互いの成分が含有されていてもよい。また、必要に応じて他の単量体を含有してもよい。かかる他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の、官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら単量体を用いる場合は、通常少量で使用されるが、各重合体ブロックに使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の量で使用される。
本発明に用いる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)中の重合体ブロック(C)の含有量は5〜60質量%であることが好ましく、重合体ブロック(D)の含有量は95〜40質量%であることが好ましい。重合体組成物が優れた粘接着性を有し、また、取り扱いが容易な形態(例えばペレット状等)で重合体組成物の供給が可能となる点から、重合体ブロック(C)が15〜60質量%および重合体ブロック(D)が85〜40質量%であることが好ましく、重合体ブロック(C)が18〜60質量%および重合体ブロック(D)が82〜40質量%であることがより好ましく、重合体ブロック(C)が22〜50質量%および重合体ブロック(D)が78〜50質量%であることがさらに好ましく、重合体ブロック(C)が22〜40質量%および重合体ブロック(D)が78〜60質量%であることが特に好ましい。重合体ブロック(D)の含有量が85〜40質量%であると、湿熱条件にて保管後に白化が起こりにくい利点がある。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)は、重合体ブロック(C)を「C」;重合体ブロック(D)を「D」;としたときに、一般式:
(C−D)n
(C−D)n−C
D−(C−D)n
(C−D)n−Z
(D−C)n−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また、上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。上記の構造の中でも、(C−D)n、(C−D)n−C、D−(C−D)nで表される直鎖状のブロック共重合体が好ましく、C−Dで表される直鎖状ジブロック共重合体、C−D−Cで表される直鎖状トリブロック共重合体がより好ましい。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)のMnは、重合体組成物を製造しやすい点から、30,000〜300,000が好ましく、40,000〜250,000がより好ましい。一方、得られる重合体組成物から作製される粘接着剤の凝集力が高まる点から、Mnが50,000〜200,000であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)の分子量分布Mw/Mnは1.0〜1.5が好ましく、重合体組成物から作製される粘接着剤の高温での凝集力が高い点から、1.0〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.3であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)における重合体ブロック(B)の溶解度パラメーター(SP(B))と、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(D)の溶解度パラメーター(SP(D))との差(SP(B)−SP(D))は、−0.5以上0.5以下であることが好ましい。(SP(B)−SP(D))が、−0.5以上0.5以下であると、相溶性が良く透明な重合体組成物が得られる。重合体組成物の透明性の点からは、(SP(B)−SP(D))は、−0.2以上0.2以下であることがより好ましい。なお、各重合体ブロックの溶解度パラメーターは、非特許文献1(より詳細には非特許文献2)に記載のFedorsの推算法により求めた値である。重合体ブロック(B)が2種類以上の(メタ)アクリル酸エステル単位からなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体については、その質量比をそれぞれの(メタ)アクリル酸エステル単位の溶解度パラメーターの値と掛け合わせたものの和を、その(メタ)アクリル系ブロック共重合体中の重合体ブロック(B)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単位の溶解度パラメーター(SP(B))とした。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)の製造方法は、化学構造に関する本発明の条件を満足する重合体が得られる限りにおいて特に限定されることなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。かかる製造方法としては、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)の製造方法と同様の方法が挙げられる。これら製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法は、得られるブロック共重合体の透明性が高いものとなり、残存単量体が少なく臭気が抑えられ、また、重合体組成物として用いる際、貼り合わせ後の気泡の発生を抑制できるため好ましい。さらに、メタクリル酸エステル重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクチックとなり、ホットメルト粘接着剤組成物の耐熱性を高める効果がある点、比較的温和な温度条件下でリビング重合が可能で工業的に生産する場合に環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機にかかる電力)が小さい点でも好ましい。
本発明の重合体組成物中、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)との質量比(I)/(II)は0.1/99.9〜50.0/50.0であり、10.0/90.0〜50.0/50.0であることが好ましく、20.0/80.0〜50.0/50.0であることがより好ましい。質量比(I)/(II)が上記範囲にあることにより、リワーク性などの粘接着性能に優れる。
本発明の重合体組成物は、必要に応じて、粘着付与樹脂、可塑剤、イソシアネート化合物、帯電防止剤およびシランカップリング剤などのその他の成分を含有してもよい。
本発明の重合体組成物中に粘着付与樹脂を含有させると、タック、粘接着力および保持力の調節が容易となる。上記粘着付与樹脂としては、従来から用いられている粘着付与樹脂をいずれも使用でき、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂;石油樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂などの合成樹脂等が挙げられる。中でも、重合体組成物との相容性が高く、透明な粘着剤組成物となる点で、水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノールなどのテルペン系樹脂;水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンなどのロジン系樹脂;C5/C9系石油樹脂、芳香族系石油樹脂などの石油樹脂;α−メチルスチレン重合体、スチレン/α−メチルスチレン共重合体などのスチレン系樹脂などが好ましい。粘着付与樹脂は単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
また、粘着付与樹脂の軟化点は、高い粘接着力を発現させる観点から、50℃〜150℃であることが好ましい。本発明の重合体組成物に粘着付与樹脂を含有させる場合、粘着付与樹脂の含有量は被着体の種類などに応じて適宜選択できるが、重合体組成物に含まれる全固形分の合計質量に基づいて25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。粘着付与樹脂の含有量が25質量%よりも多くなると重合体組成物の凝集力が低下し、リワーク時に糊残りが起こり易くなる。
上記可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタル酸エステル;ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペートなどのアジピン酸エステル;ビス−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−n−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステル;ビス−2−エチルヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸エステルなどの脂肪酸エステル;塩素化パラフィンなどのパラフィン;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル;トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル系オリゴマー;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイル;ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどのポリオール化合物などが挙げられる。可塑剤は単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体組成物に可塑剤を含有させる場合、その含有量は、重合体組成物に含まれる全固形分の合計質量に基づいて、25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。可塑剤の配合量25質量%を超えると、凝集力が低下し、リワーク時に糊残りが起こり易くなる。
本発明の重合体組成物中にイソシアネート化合物を含有させると、光学フィルム基材などの被着体との密着性が高まり、耐久性も高まる。
本発明の重合体組成物が、イソシアネート化合物を含有している場合、光学フィルム基材などの被着体と粘着剤組成物の界面において、被着体側の官能基と重合体組成物に含まれるイソシアネート化合物が化学結合を形成することができ、被着体への粘接着力が向上し、より高い耐久性を発現できる。
すなわち、光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムなどの表面には、カルボキシル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アミド基などのようなイソシアネート反応性官能基が存在するため、重合体組成物中のイソシアネート化合物が光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムの表面と反応して、光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムと重合体組成物の界面接着力を高める働きをすると推測される。イソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を1個または2個以上有する化合物であるが、光学フィルム基材などの被着体と重合体組成物の界面接着性が高まる点から、分子内にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物が好ましく、分子内にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート化合物が特に好ましい。
上記イソシアネート化合物としては、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、前記したイソシアネート化合物(特にポリイソシアネート化合物)のポリオールへの付加物、およびイソシアヌレート付加物などが挙げられる。
上記イソシアネート化合物の具体例としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物などのポリオールにジイソシアネート化合物が付加したポリイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体などのイソシアネート付加物などが挙げられる。
上記イソシアネート化合物のうち、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物は「コロネートL」の商品名で、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物は「コロネートHL」の商品名で、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は「コロネート2030」や「コロネート2233」の商品名で、またヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体は「コロネートHX」の商品名で、いずれも日本ポリウレタン工業株式会社から販売されている。これらのイソシアネート化合物は単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体組成物においては、イソシアネート化合物を含有させる場合の含有量は、イソシアネート化合物中のイソシアネート基含量が重合体組成物の固形分の質量(重合体組成物に含まれる固形分の合計質量)に基づいて0.5質量%以下であることが好ましく、0.35質量%以下であることがより好ましく、0.22質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで、重合体組成物の固形分の質量に基づくイソシアネート化合物中のイソシアネート基含量は、以下の数式〈1〉から求められる。
NCO(質量%)=[{Wiso×n(42/Miso)}/Ws]×100〈1〉
[式中、CNCOは重合体組成物の固形分の質量に基づく、イソシアネート化合物中のイソシアネート基含量(質量%)、Wisoは重合体組成物中のイソシアネート化合物の量(質量)、Misoはイソシアネート化合物の分子量、nはイソシアネート化合物におけるイソシアネート基の数、Wsは重合体組成物中の固形分の含有量(質量)を示す。]
イソシアネート化合物の反応性を高めるために、さらに反応触媒を併用してもよい。上記反応触媒としては、例えば、アミン系触媒、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、および金属系触媒などが挙げられ、例えば、テトラメチルブタンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジブチルスズジラウレート、オクトエ酸スズ、N−エチルモルフォリン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、トリエチレンジアミン、ナフテン酸コバルト、塩化第1スズ、テトラ−n−ブチルスズ、塩化第2スズ、トリメチルスズヒドロキシド、ジメチル2塩化スズ、およびジ−n−ブチルスズジラウレートなどが挙げられる。これら反応触媒は単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体組成物中に帯電防止剤を含有させると、重合体組成物に帯電防止能を付与できる。上記帯電防止剤としては、例えば、アルカリ金属塩よりなるイオン伝導剤、イオン液体、界面活性剤、導電性ポリマー、金属酸化物、カーボンブラック、カーボンナノ材料などが挙げられる。これら帯電防止剤の中でも、永久帯電性、無着色の観点から、アルカリ金属塩よりなるイオン伝導剤およびイオン液体が好ましい。これら帯電防止剤は単独で使用してもよいし、または2種以上併用してもよい。
本発明の重合体組成物が帯電防止剤を含有する場合、帯電防止剤の含有量は、帯電防止効果などの点から、重合体組成物の固形分の質量に基づいて0.1〜10質量%であることが好ましく、0.15〜8質量%であることがより好ましく、0.2〜6質量%であることがさらに好ましい。
本発明の重合体組成物中にシランカップリング剤を含有させると、高湿度下におけるガラスとの接着性を高めることができる。シランカップリング剤は、通常メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基を有しており、このアルコキシ基が加水分解してシラノール基となり、部分的に縮合した後、ガラスの表面に吸着あるいは水素結合や化学結合して固定されることで、耐久性が高まる。
上記シランカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、および3−アセトアセテートプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらシランカップリング剤は単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体組成物にシランカップリング剤を含有させる場合、その含有量は、耐久信頼性および接着信頼性向上の観点から、重合体組成物の固形分の質量に基づいて0.01〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
本発明の重合体組成物に含有させてもよいその他の成分としては、例えば、耐候性、耐熱性、耐酸化性をさらに向上させるための酸化防止剤や紫外線吸収剤;炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク、ガラス繊維、有機補強用繊維などの充填剤;光拡散剤、近赤外線吸収剤、着色剤などが挙げられる。本発明の重合体組成物が、粘着付与樹脂、可塑剤、架橋剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、その他の成分を含有する場合は、かかる成分の合計含有量は、重合体組成物に含まれる全固形分の合計質量に基づいて25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の重合体組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合または混練装置を使用して、例えば100〜250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。
本発明の重合体組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物の材料として用いることができる。かかる活性エネルギー線硬化性組成物中の、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(II)の含有量は特に制限はないが、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。
上記活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類(例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等)、ミヒラーケトン類(例えば、ミヒラーケトン等)およびベンゾイン類(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等)等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサンソン類(例えば、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン等)等の硫黄化合物;アシルフォスフィンオキサイド類(例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等)等のリン化合物;チタノセン類(例えばビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等)等のチタン化合物;アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチルニトリル等)等が挙げられる。また、光重合開始剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アセトフェノン類およびベンゾフェノン類が好ましい。
光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、本発明で使用する(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜8質量部がより好ましい。0.01質量部以上であると活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性が良好となり、また10質量部以下であると得られる硬化物の耐熱性が良好となる傾向がある。
また、上記活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて増感剤が含まれていてもよい。増感剤としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿酸、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミンが好ましい。
光重合開始剤と増感剤とを混合して使用する場合には、光重合開始剤と増感剤の質量比率は、10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜80:20の範囲がより好ましい。
また、上記活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、本発明の(メタ)アクリル系ブロック共重合体以外の、活性エネルギー線の照射によって重合性を示す反応性希釈剤が含まれていてもよい。反応性希釈剤としては、活性エネルギー線の照射によって重合性を示す化合物であれば特に制限はないが、例えば、スチレン、インデン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエステル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加体、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリ(メタ)アクリレート、N,N’−ビス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]−N”−(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;カルボキシル基変性エポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸基含有(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等)と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂;ポリエステルアクリレート系樹脂;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ化合物等が挙げられる。これら反応性希釈剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわず、また、その硬化性を著しく阻害しない範囲内で、可塑剤、粘着付与樹脂、軟化剤、充填剤、安定剤、顔料、染料などの活性エネルギー線硬化性基を有さない各種添加剤が含まれていてもよい。これら各種添加剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、重合体組成物中に含まれる可塑剤が使用できる。上記活性エネルギー線硬化性組成物において可塑剤を含有させる場合、その含有量は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)と(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)との合計100質量部に対して5〜150質量部が好ましく、10〜120質量部がより好ましく、20〜100質量部がさらに好ましい。5質量部以上とすることで物性の調整、性状の調節等の効果が顕著となり、150質量部以下とすることで活性エネルギー線硬化性組成物を硬化した硬化物は機械強度に優れる傾向がある。
なお、活性エネルギー線硬化性基を有さない添加剤は有機化合物であっても無機化合物であってもよい。
本発明の重合体組成物、または該重合体組成物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。電子線(EB)の場合の加速電圧としては0.1〜10MeV、照射線量としては1〜500kGyの範囲が適当である。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、LED等を用いることができる。活性エネルギー線の積算光量は、通常10〜20,000mJ/cm2の範囲であり、30〜5,000mJ/cm2の範囲が好ましい。10mJ/cm2より少ないと(メタ)アクリル系ブロック共重合体の硬化性が不十分となる傾向があり、20,000mJ/cm2より多いと(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(II)が劣化するおそれがある。
本発明の重合体組成物、または該重合体組成物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に対して活性エネルギー線を照射する場合の相対湿度は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(II)の分解を抑制する観点から、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
本発明の重合体組成物、または該重合体組成物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に対して、活性エネルギー線照射中または照射後に、さらに必要に応じて加熱を行って硬化を促進させることもできる。かかる加熱温度は40〜130℃の範囲が好ましく、50〜100℃の範囲がより好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
下記合成例において、原料は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用し、移送および供給は窒素雰囲気下にて行った。
[単量体消費率]
下記合成例における、重合後の各単量体の消費率は、反応液0.5mLを採取してメタノール0.5mL中に入れて混合後、該混合液から0.1mLを採取して、重クロロホルム0.5mLに溶解させて1H−NMR測定を下記の測定条件にて行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値5.79〜6.37ppm)および溶媒として用いたトルエンの芳香環に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値7.00〜7.38ppm)の積分値の比率の変化から算出した。
1H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製 核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
温度:25℃
[数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)]
下記合成例において、得られた重合体のGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定を下記の測定条件にて行い、標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の値を求めた。
(GPC測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
[合成例1]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した2Lのフラスコにトルエン820gを添加した後、攪拌しながら、さらに、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、PMDTAと略称する)9.6g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26質量%含むトルエン溶液(以下、IBTと略称する)120gを順次添加した後、−30℃に冷却した。これにsec−ブチルリチウムを10質量%含むシクロヘキサン溶液(以下、sBLと略称する)34gを加え、その後、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート(以下、DMAと略称する)36gとメタクリル酸メチル(以下、MMAと略称する)30gとの混合物66gを一括で添加し、アニオン重合を開始した。引き続き、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。
工程(1)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
(工程(2))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸n−ブチル(以下、nBAと略称する)230gを4g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
工程(2)におけるnBAの消費率は100%であった。
(工程(3))
引き続き反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA32gとMMA26gとの混合物58gを一括で添加したのち、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
(工程(4))
引き続き反応液を25℃で攪拌しつつ、メタノールを30g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(A)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)−メタクリル系重合体ブロック(A)(A−B−A)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)のMnは9,100、Mw/Mnは1.20であった。
(工程(5))
次いで得られた溶液を2,000gのメタノール中に注ぎ、油状沈殿物を析出させた。油状沈殿物を回収後、乾燥させることにより、340gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)」と称する)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)の重合体ブロック(B)のガラス転移温度および溶解度パラメーター(SP(B))を表1に示す。
[合成例2〜6]
工程(1)〜(4)の各工程において、各試薬の使用量を表1に記載されるように変更する以外は合成例1と同じ方法で、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)〜(I−6)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−2)〜(I−6)の重合体ブロック(B)のガラス転移温度および溶解度パラメーター(SP(B))を表1に示す。
[合成例7、8]
工程(1)、(3)および(4)において各試薬の使用量を表1に記載されるように変更し、工程(2)において単量体の種類および量を表1に記載されるように変更する以外は、合成例1と同じ方法で、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−7)および(I−8)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−7)および(I−8)の重合体ブロック(B)のガラス転移温度および溶解度パラメーター(SP(B))を表1に示す。
[合成例9]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換した後、室温にて攪拌しながら、トルエン870gと1,2−ジメトキシエタン44gを加え、続いて、IBT80gを加え、さらにsBL3.2gを加えた。
(2)続いて、これにMMA36gを加えて室温にて60分撹拌した。
(3)引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、nBA240gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した。
(4)さらに、これにMMA36gを加え、一晩室温にて攪拌した。
(5)メタノ−ル5gを添加して重合反応を停止した後、得られた反応液を1,500gのメタノール中に注ぎ、沈殿物を析出させた。その後、沈殿物を回収し、乾燥させることにより、310gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II−1)」と称する)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II−1)についてGPC測定と1H−NMR測定を行った結果、数平均分子量(Mn)は67,900であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロック(C))が23質量%で、PnBAブロック(重合体ブロック(D))が77質量%であった。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II−1)の重合体ブロック(D)のガラス転移温度は−50℃、重合体ブロック(D)の溶解度パラメーター(SP(D))は10.2であった。
Figure 2018039940
以下に実施例および比較例を記載する。実施例および比較例の各種物性は以下の方法により測定または評価した。
[リワーク性試験]
以下の実施例および比較例で作成した厚さ25μmの粘着型の光学フィルムを、幅25mm×長さ25mmに切り取り、2kgのローラーを10mm/秒の速度で2往復させてガラス板に貼り付けた。その後、粘着型の光学フィルムをガラス板から剥離し、ガラス板への糊残りの有無を確認した。糊残りが無いものを「○」、糊残りが有るものを「×」とした。
[タック試験]
以下の実施例および比較例で作成した厚さ25μmの粘着型の光学フィルムの粘着面を指触することで、タックの評価を行った。タックを有するものを「○」、タックを有さないものを「×」とした。
[保持力試験]
以下の実施例および比較例で作製した厚さ25μmの粘着型の光学フィルムを、幅25mm×長さ25mmに切り取り、2kgのローラーを10mm/秒の速度で2往復させてガラス板に貼り付けた。作製した粘着テープの評価において、UV照射を行う場合には、UV照射装置(株式会社GSユアサ製、12A12−A10−HD3A,使用ランプ:株式会社GSユアサ製、MAK 125AL−F)を用いてUVを1,000mJ/cm2照射して硬化性組成物を硬化させた。その後、荷重500gを吊り下げ、40℃から205℃まで0.5℃/分の速度で昇温し、落下時の温度(SAFT温度)を求めた。
[実施例1]
(1)(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I−1)、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)およびラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガキュア184)を、表2に示す割合で混合して、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
(2)上記(1)で得られた粘着剤溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上にバーコーターを使用して乾燥後の接着層の厚さが25μmになるようにコーティングを行った後、該フィルムを60℃、30分で乾燥・熱処理して、粘着剤層/ポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる粘着型光学フィルムを製造した。得られた粘着型光学フィルムの粘着剤層は透明であった。
(3)上記(2)で得られた粘着型の光学フィルムについて、リワーク性、タック、および保持力(SAFT温度)の評価結果を表2に示す。
[実施例2〜8、10、11]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)およびラジカル重合開始剤として、表2に示すものを表2の割合で用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤層/PETフィルムよりなる粘着剤の光学フィルムを製造した。得られたそれぞれの粘着型の光学フィルムについて、リワーク性、タック、および保持力(SAFT温度)の評価結果を表2に示す。
[実施例9]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)およびラジカル重合開始剤として、表2に示すものを表2に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
[比較例1〜9]
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)およびラジカル重合開始剤として、表3に示すものを表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
得られた粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして粘着型の光学フィルムを作製した。得られた粘着型の光学フィルムについて、リワーク性、タック、および保持力(SAFT温度)の評価結果を表3に示す。
Figure 2018039940
Figure 2018039940
表2、表3の通り、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)を本発明で規定する範囲内で含有する、実施例1〜8の粘着剤を用いて製造した粘着型の光学フィルムは、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)または(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)のどちらか一方を含有する粘着剤を用いて製造した比較例1〜9と比べて、優れた凝集力を維持しながら、タックを損なわなかった。すなわち、製造加工時の剥がれによる不良を防止でき、リワーク性を改善できた。
一方、実施例9に示すように、本発明で好適範囲として規定する重合体ブロック(B)と重合体ブロック(D)の溶解度パラメーターの要件を満たさない組み合わせで(メタ)アクリル系共重合体(I)および(メタ)アクリル系共重合体(II)を使用した場合、相溶性が低く、粘着剤溶液とした場合に外観が濁り、静置すると二層に分離する不具合が生じて、粘着剤の均一な塗工ができなかった。また実施例10および11に示すように、粘着剤組成物にUV照射を行わなかった場合、粘着剤組成物は未硬化であり、凝集力は向上しなかった。
本発明の重合体組成物は、粘接着性に優れ、例えば粘着剤として用いた場合などに、リワーク性を有する。また、その組成物に活性エネルギー線を照射などして得られる硬化物は、高温での保持力に優れるため、粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムなどに有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示される部分構造(1)を含む活性エネルギー線硬化性基を有するメタクリル系重合体ブロック(A)と、活性エネルギー線硬化性基を有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)とからなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)、および
    メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(C)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(D)とからなり、かつ一般式(1)で示される部分構造(1)を有さない(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)を、
    (メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)/(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)=0.1/99.9〜50.0/50.0の質量比で含有する重合体組成物。
    Figure 2018039940
    (式(1)中、R1は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
  2. 前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)および(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)において、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(C)のガラス転移温度が90℃以上であり、かつ重合体ブロック(B)および重合体ブロック(D)のガラス転移温度が30℃以下である、請求項1に記載の重合体組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(I)における重合体ブロック(B)の溶解度パラメーター(SP(B))と、前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(II)における重合体ブロック(D)の溶解度パラメーター(SP(D))との差が−0.5以上0.5以下である、請求項1または2に記載の重合体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の重合体組成物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の重合体組成物または請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
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