JP2019052160A - 組織の再生の刺激および促進 - Google Patents

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ビー. ストレインジ,ケビン
B Strange Kevin
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Abstract

【課題】対象における組織の再生を促進または刺激する方法および組成物の提供。【解決手段】組織の再生を刺激または促進する方法において使用するための、組織の刺激または促進のための薬学的組成物であって、上記方法は治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、上記それを必要とする対象は、上記組織の負傷を有しており、上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、かつ上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
〔連邦政府資金による研究開発の記載〕
非適用。
〔発明の背景技術〕
ヒトにおける組織再生は、非常に限られており、損傷した四肢の機能の修復へは大きな挑戦を与える。負傷した組織は、再生によって、修復によって、またはこれらのプロセスの組み合わせによって治癒すことができる。再生は、元の組織構造および機能の再建をもたらす。混成の組織からなる身体構造(四肢もしくは指、または付属器官など)は、個々に維持された組織的な反復構造において配置された多数の細胞タイプから作られる。混成の組織または混成の組織からなる身体構造が負傷した場合、元のものと事実上区別できない身体構造を再生するためには、再生は、混成の組織内における多数の細胞タイプの調和的な成長および相互作用を必要とする。組織再生は、損傷した組織の再生を目的とするバイオメディカル研究の急速に発展している分野である。しかし、哺乳類および他の高等生物において、混成または複合の組織の再生は失敗する。それゆえ、負傷後における損傷または負傷した組織および四肢を再生する方法および組成物への要求がある。
〔発明の概略〕
対象における組織(非限定的な例として、四肢または器官が挙げられる)の再生を促進または刺激する方法および組成物が提供される。当該促進または刺激の結果として、負傷した組織(肝臓、皮膚、柔組織および筋肉、心臓、神経系、腸、造血および血管系を含むもの等)の再生が有益であろう、疾患、障害、外傷または他の異常によって負傷した組織の治療を含む、一定の医学的利益が達成される。本発明の目的は、負傷した組織の速度および治癒力を促進することである。ある局面において、本発明の方法は、組織の負傷(非限定的な例として、四肢または器官の負傷が挙げられる)を有する対象を同定すること、および、対象において組織の再生を促進または刺激する治療上効果的な量のアミノステロール(例えば、MSI−1436等)または薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を投与することを含む。
治療上効果的な量のアミノステロール(例えば、MSI−1436等)または薬学的に許容可能なアミノステロールの塩の対象への投与が、負傷した組織の再生を促進または刺激し、疾患、障害、外傷または他の異常を治療または予防することを発見した。対象は、好ましくは哺乳類を包含し、より好ましくはヒトを包含し得る。ターゲットの組織は、肝臓組織、皮膚軟組織、骨格筋、心筋、血管樹、中枢および末梢神経系、胃腸管、膵外分泌および膵内分泌、骨格系、ならびに造血組織から選択され得る。本発明は、治療上効果的な量のMSI−1436(好ましくは、約0.1〜約20mg/kg体重(ヒトにおいては、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重に相当する)を含む)が、負傷した組織(非限定的な例として、四肢または器官が挙げられる)の再生を助長することを示す。
一局面において、本発明は、組織の再生を刺激または促進するために、治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態において、本発明は、上記投与するステップの前に、上記組織の負傷を有する対象を同定することを提供する。別の実施形態において、本発明は、上記組織が、肝臓組織、皮膚軟組織、骨格筋組織、心筋組織、血管樹組織、中枢神経系組織、末梢神経系組織、胃腸管組織、膵外分泌組織、膵内分泌組織、骨格系組織、および造血組織からなる群より選択される方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールがMSI−1436である、または上記アミノステロールがMSI−1436の異性体である方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、ポリアミンによってもたらされる少なくとも+1の正味の電荷を示すように、ステロール核と当該ステロール上の任意の位置に結合したポリアミンとを含む方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、以下のうちの少なくとも1つ:スルホネート、ホスフェート、カルボキシレートおよび陰イオン成分からなる群より選択され、スルフェート成分の代謝的除去およびコレステロール側鎖の酸化を回避するために選択される、スルフェートの置換;ヒドロキシル基の代謝的酸化または共役を回避するための、代謝できない極性の置換基による当該ヒドロキシル基の置換;ならびにステロイド環系の酸化的または還元的代謝を回避するための、少なくとも1つの環の水素原子の置換、を含むよう改変されている方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記代謝できない極性の置換基がフッ素原子である方法を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、体内分布、投与の容易性、代謝安定性、およびこれらの少なくとも2つの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを改善するために医化学によって改変されたMSI−1436の誘導体である方法を提供する。
さらに、本発明は、上記治療上効果的な量のMSI−1436が、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重である方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、上記治療上効果的な量のMSI−1436が、相加効果または相乗効果を達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤と組み合わせて投与される方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、上記活性剤が、付随的に、混合物として、別々で且つ同時に、別々で且つ並行して、または別々で且つ逐次的に投与される方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記治療上効果的な量のアミノステロールが、液体の形態で、カプセルの形態で、錠剤の形態で、静脈内に、腹腔内に、吸入されて、または局所的に投与される方法を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記対象が哺乳類である方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、上記対象がヒトである方法を提供する。
別の局面において、本発明は、組織の負傷によって引き起こされる障害、疾患または異常を治療または予防するために当該組織の再生を刺激または促進するために、治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、対象に投与すること、を含む方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、上記投与するステップの前に、上記組織の負傷によって引き起こされる障害、疾患、外傷または異常を有する対象を同定することを含む。別の実施形態において、本発明は、上記組織が、肝臓組織、皮膚軟組織、骨格筋組織、心筋組織、血管樹組織、中枢神経系組織、末梢神経系組織、胃腸管組織、膵外分泌組織、膵内分泌組織、骨格系組織、および造血組織からなる群より選択される方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールがMSI−1436である方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールがMSI−1436の異性体である方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、ポリアミンによってもたらされる少なくとも+1の正味の電荷を示すように、ステロール核と当該ステロール上の任意の位置に結合したポリアミンとを含む方法を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、以下のうちの少なくとも1つ:スルホネート、ホスフェート、カルボキシレートおよび陰イオン成分からなる群より選択され、スルフェート成分の代謝的除去およびコレステロール側鎖の酸化を回避するために選択される、スルフェートの置換;ヒドロキシル基の代謝的酸化または共役を回避するための、代謝できない極性の置換基による当該ヒドロキシル基の置換;ならびにステロイド環系の酸化的または還元的代謝を回避するための、少なくとも1つの環の水素原子の置換、を含むよう改変されている方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、上記代謝できない極性の置換基がフッ素原子である方法を提供する。
さらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、体内分布、投与の容易性、代謝安定性、およびこれらの少なくとも2つの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを改善するために医化学によって改変されたMSI−1436の誘導体である方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、上記治療上効果的な量のMSI−1436が、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重である方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、上記治療上効果的な量のMSI−1436が、相加効果または相乗効果を達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤と組み合わせて投与される方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記活性剤が、付随的に、混合物として、別々で且つ同時に、別々で且つ並行して、または別々で且つ逐次的に投与される方法を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記治療上効果的な量のアミノステロールが、液体の形態で、カプセルの形態で、錠剤の形態で、静脈内に、腹腔内に、吸入されて、または局所的に投与される方法を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記対象が哺乳類である方法を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記対象がヒトである方法を提供する。
別の局面において、本発明は、組織の再生を刺激または促進するために、治療上効果的な量のアミノステロールを含む、薬学的組成物を提供する。一実施形態において、本発明は、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重の範囲のアミノステロールを提供する。一実施形態において、本発明は、上記薬学的組成物を含むキットを提供する。別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールがMSI−1436である組成物を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールがMSI−1436の異性体である組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、ポリアミンによってもたらされる少なくとも+1の正味の電荷を示すように、ステロール核と当該ステロール上の任意の位置に結合したポリアミンとを含む組成物を提供する。よりさらなる実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、以下のうちの少なくとも1つ:スルホネート、ホスフェート、カルボキシレートおよび陰イオン成分からなる群より選択され、スルフェート成分の代謝的除去およびコレステロール側鎖の酸化を回避するために選択される、スルフェートの置換;ヒドロキシル基の代謝的酸化または共役を回避するための、代謝できない極性の置換基による当該ヒドロキシル基の置換;ならびにステロイド環系の酸化的または還元的代謝を回避するための、少なくとも1つの環の水素原子の置換、を含むよう改変されている組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、上記代謝できない極性の置換基がフッ素原子である組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、上記アミノステロールが、体内分布、投与の容易性、代謝安定性、およびこれらの少なくとも2つの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを改善するために医化学によって改変されたMSI−1436の誘導体である組成物を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、相加効果または相乗効果を達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤を含む組成物を提供する。
本発明のこれらおよび他の特徴、局面および利点は、以下の説明および添付の請求項に関して、より良く理解されるであろう。
〔図面の簡単な説明〕
本発明のこれらおよび他の有利な局面は、以下の詳細な説明(添付の図面との共に考慮されるべきである)から明白になるであろう。
図1は、アミノステロール1436の分子構造を説明する。
図2は、成体のゼブラフィッシュの尾ひれの再生に対するアミノステロールMS−1436の効果を示す。
図3は、成体のゼブラフィッシュにおける再プログラムされた尾ひれの芽細胞の増殖に対するMSI−1436の効果を示す。
図4は、成体のゼブラフィッシュの尾ひれにおける組織の過度な成長に対する、長期間のMSI−1436暴露の効果を示す。
図5は、成体のゼブラフィッシュにおける心筋細胞の再生的増殖に対するMSI−1436の効果を示す。
図6は、成体のゼブラフィッシュにおける心臓の負傷に対する応答における、MSI−1436のターゲット遺伝子PTP1Bの下方制御を示す。
図7は、成体のゼブラフィッシュの心臓における心臓の再生的増殖の、遺伝的に誘発された減少に対するMSI−1436の効果を示す。
図8は、哺乳類細胞の増殖に対するMSI−1436の効果を示す。
〔詳細な説明〕
本発明は、対象における組織の再生を促進または刺激する方法に関する。当該組織は、非限定的な例として、四肢または器官を包含し得る。本発明は、予期できるものではなく、アミノステロールMSI−1436の従来未知の特性の発見に基づいている。本発明によって与えられる有用性としては、組織(非限定的な例として、混合の組織または複合の組織が挙げられる)の再生の刺激または促進が利益を有するであろう、全ての適用が挙げられる。これらの適用は、非限定的な例として、皮膚、真皮または筋肉を関する柔組織の負傷;部分的な肝切除の後の、または肝硬変の状態における、肝臓の再生;虚血性負傷の状態における心筋;外傷性負傷の後の神経系;切断された四肢の再成長;真性糖尿病における島細胞の潜在的な再生;炎症性腸疾患の状態における腸管上皮の修復;のような状況を包含する。
(1.定義)
特に定義しない限り、本書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料は以下に記載するものである。本書において言及される全ての文献は、参照により本書に組み込まれる。
一般的に、本書に記載の、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質、ならびに核酸化学およびハイブリダイゼーション、に関して使用される命名法および技術は、当技術分野において周知であり広くに使用されているものである。本発明の方法および技術は、一般に、当技術分野で周知であり、特に断らない限り、本書を通して言及および議論される種々の一般的且つより具体的な参考文献に記載されているような、従来の方法に従って実施される(例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992, and Supplements to 2002); Harlow and Lan, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990); Principles of Neural Science, 4th ed., Eric R. Kandel, James H. Schwart, Thomas M. Jessell editors. McGraw-Hill/Appleton & Lange: New York, N. Y. (2000)を参照)。特に定義しない限り、本書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本書で使用する用語「動物」、「患者」または「対象」は、特定の治療のレシピエントである、任意の動物(限定されないが、例えば、ヒト、霊長類、イヌ、ウシ、ウシ、ウマ、カンガルー、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、ウサギ、齧歯目を含む哺乳類)、非ヒトトランスジェニック動物、魚類、両生類(カエルおよびサンショウウオに限定されない)、爬虫類、他の脊椎動物、および無脊椎動物等を意味する。一般に、用語「動物」、「対象」および「患者」は、本書においてヒト対象に関して互換性のあるものとして使用される。好ましい動物、患者、または対象は、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
本書で使用する用語「投与する」、「投与」、および「投与された」は、テストまたは治療(処置)される対象に薬物を与えることを指すものである。ある実施形態において、アミノステロール(例えば、MSI−1436)は、液体の形態、カプセルの形態、錠剤の形態で、腹腔内に、皮下に、静脈内に、吸入されて(即ち鼻腔内に)、または局所的に、投与される。なお、局所的投与は、負傷した組織(限定されないが、例えば、負傷した四肢または臓器)へのマイクロインジェクションおよび/または直接適用を含む。
本書で使用する用語「促進する」、「促進」、および「促進された」は、その効果が、コントロール、あるいは未処置群または未処置対象において観察されるものよりも大きい働きを指すものである。促進された働きは、インビボまたは細胞培養試験において測定され得る。
本書で使用する用語「成長」、「成長する」、「成長した」、または「成長している」は、疾患、障害、外傷、または他の異常に起因する組織の負傷後の、組織(限定されないが、例えば、1つ以上の組織、四肢または臓器を包含する)の成長を意味し、本書の以下に記載される再生を含むがこれに限定されるものではない
本書で使用する用語「組織の負傷」および「組織負傷」は、本書で使用される場合、その機能の障害を生じる、その物理的構造を破壊する組織の損傷を意味する。
本書で使用する用語「四肢の負傷」および「四肢負傷」は、四肢(限定されないが、例えば、指、腕、または足など)の損傷を意味し、四肢に含まれる組織のいずれかまたは全てに対する外傷を伴うものである。
本書で使用する用語「臓器の損傷」および「臓器損傷」は、臓器の障害を意味し、臓器に含まれる組織のいずれかまたは全てに対する外傷を伴う。
本書で使用する用語「キット」は、例えば、少なくとも1つの試薬(例えば、MSI−1436等のアミノステロール)を含む任意の製品(例えば、パッケージまたは容器)を意味する。ある実施形態では、上記製品は、本発明の方法を実施するためのユニットとして、促進、流通、または販売され得る。
本書で使用する用語「再生する」、「再生」、または「再生すること」は、組織(限定されないが、1つ以上の組織、四肢または臓器を包含する)が、疾患、障害、外傷または他の異常に起因する組織の損傷後に、修復し、元の状態になることを意味する。
本書中で使用する用語「刺激する」、「刺激」、「刺激された」は、その効果が対照または未処置群で観察されるものよりも大きい活性を指すものである。刺激の効果は、インビボまたは細胞培養試験で評価することができる。
本書で使用する場合、用語「治療的活性」または「活性」は、その効果がヒトにおける望ましい治療結果と一致する活性を指すものであってもよいし、非ヒト哺乳動物または他の種もしくは他の生物における所望の効果を指すものであってもよい。
本書で使用する用語「治療上効果的な量」は、対象における組織(限定されないが、1つ以上の組織、四肢または臓器を包含する)の再生を促進または刺激する意図する治療上の効果を達成する量を意味する。十分な治療効果は、必ずしも1用量の投与によって生じるのではなく、一連の用量の投与後にのみ発生することがあり得る。したがって、治療上効果的な量は、連日、1日あたり1回または複数回の投与において与えてもよい。
疾患、障害、外傷または他の異常に起因する組織への負傷を有する対象において、本書で使用する用語「治療(処置)する」「治療(処置)」、「治療(処置)した」、または「治療(処置)」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのステップを踏むことを意味する。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、対象における組織(限定されないが、1つ以上の組織、四肢または臓器を包含する)の再生の刺激または促進を含むが、これらに限定されない。
本書で使用される用語「組織」および「複数の組織」は、ものである単数の、混合の、および/または複合の組織(制限されないが、例えば、四肢または臓器を形成することができる)を指す。
(2.概要)
MSI−1436等のアミノステロールは、組織再生のための新たな治療法であることが発見されている。MSI−1436の分子構造は、図1に示される。特に、MSI−1436は、組織再生のための重要な成長因子経路を増幅することにより、欠落した四肢の組織および欠落した心臓の組織のより迅速な再生を刺激する。重要なことに、MSI−1436の治療は、心筋細胞の増殖において遺伝的にもたらされた欠陥が正常レベルになるのを救援する。ある実施形態は、組織の負傷を有する対象を同定すること、および、組織の再生を促進または刺激する治療上効果的な量のMSI−1436等のアミノステロールを対象に投与することに関する。他の実施形態において、本発明は、MSI−1436を含む医薬製剤に関する。
脊椎動物の再生は、魚類、両生類、爬虫類を含む、限られた数の種において、確実に観察される(K D Poss, Keating, & Nechiporuk, 2003; Sanchez Alvarado & Tsonis, 2006)。哺乳類では、再生活動が早期の胎児の発達において観察されているが、出生後の生涯においては特定の器官に極めて限られたものとなる(Kenneth D Poss, 2010)。
特に、ヒト肝臓が部分的な肝切除後に機能的に再生することが知られている(Taub, 2004)。小腸および大腸の上皮層は、重度の炎症性傷害後に再構築でき(Simons & Clevers, 2011)、骨髄中の血液形成組織の修復は、アブレーション治療後に起こる。出生後のヒトの他の組織は、はるかに少ない再生能力を示す。実際、四肢への広範囲な軟組織負傷は、前組織構造を復元するプロセスよりもむしろ、瘢痕組織を認める創傷治癒プロセスを経て修復される。いかなる場合においても、出生後のヒトにおいて付属器官の再生は不可能である。
(3.背景)
MSI−1436は、スクアラミンと構造が類似の分子であるが、ポリアミン(MSI−1436ではスペルミンであり、スクアラミンではスペルミジンである)の性質が異なっている。
アミノステロール1436は、ツノザメから単離されたアミノステロールであり、スクアラミンに構造的に関連している(米国特許第5840936号; Rao et al., 2000)。アミノステロール1436は、1436によるリンパ球特異的NHEの阻害に関与し、結果として、サイトカイン応答の抑制、およびその後のHIVの複製をサポートするリンパ球の能力の低下をもたらす(米国特許第5763430号)ことが提唱されているメカニズムを介して、組織培養においてHIVに対する抗ウイルス活性を示す(米国特許第5763430号)。アミノステロール1436は、付加的な薬理学的特性、すなわち、強力な食欲抑制および用量依存性の体重減少の促進を有しているが、これはスクアラミンと共有しない(米国特許第6143738号; M Zasloff et al., 2001; Ahima et al., 2002)。加えて、MSI−1436は、レプチン受容体病変およびレプチン欠損を有するマウスにおける糖尿病の表現型を正した(Takahashi, Qi, Patel, & Ahima, 2004)。代謝的効果の多くは、中枢神経系の特定の中心におけるその活性の結果に対して現れる(Bence et al., 2006)。
抗感染症としてのMSI−1436の有用性は、細菌および真菌に対してインビトロにおいて実証されている(Rao et al., 2000))。スクアラミンと同様に、MSI−1436は、陰イオン性リン脂質からなる膜に対して親和性を示すカチオン性両親媒性物質である(Selinsky et al., 1998; Selinsky, Smith, Frangiosi, Vonbaur, & Pedersen, 2000)。マガイニンおよびカチオン性抗菌性ペプチドを含む他の薬剤と同様に、MSI−1436は、標的微生物の膜と静電的に相互作用することによって、抗菌作用を発揮すると考えられている。これは、一般に、環境にさらされた膜表面に陰イオン性リン脂質をあらわにし、続いて、それらの機能全体を乱し、そして、標的微生物の死を引き起こす(Michael Zasloff, 2002; Salmi et al., 2008; Sills et al., 1998)。
これまでに、インビボでのMSI−1436の有用性が、肥満モデル(Lantz et al., 2010)、糖尿病モデル(Takahashi et al., 2004)、および肝脂肪症モデル(Lantz et al., 2010)において実証されている。再生を刺激する能力の報告は、これまでに記述も実証もされていない。
スクアラミンは、細胞の機能的状態での多面的変化を引き起こしながら、負に帯電した膜に静電的に結合したタンパク質を置き換えることによって、細胞レベルでのヒトの細胞および組織において、その効果を発揮することが報告されている(Alexander et al., 2011; Yeung et al., 2008; Sumioka, Yan, & Tomita, 2010; Michael Zasloff et al., 2011)。MSI−1436の作用の基本的なメカニズムはまた、標的とされる正確なリン脂質、およびMSI−1436がスクアラミンとは異なって局在する特定の膜ではなく、負に帯電した細胞内膜との静電的相互作用を伴う、と考えられている。
細胞レベルでは、MSI−1436は、広く作用するチロシンホスファターゼPTP1Bを阻害することが示されている(Lantz et al., 2010)。特に、MSI−1436は、インビトロの酵素アッセイにおいて、PTP1Bの活性を阻害することが示された(Lantz et al., 2010)。さらに、肝細胞へのMSI−1436の添加によって、インスリン受容体のリン酸化のレベルおよびPTP1Bの既知の標的の増加が示された(Lantz et al., 2010)。マウスへの1436−MSIの投与は、インスリン投与に関連する視床下部からのリン酸化インスリン受容体の回復における増加をもたらした(Lantz et al., 2010)。さらに、インスリン受容体回路の下流の構成要素であるリン酸化STAT3のレベルは、単独のインスリン投与後に観察された程度と比較して、両方のインスリン投与後に増加した(Lantz et al., 2010)。
スクアラミンは、細胞の機能的状態での多面的変化を引き起こしながら、負に帯電した膜に静電的に結合したタンパク質を置き換えることによって、細胞レベルにおいてその効果を発揮することが報告されている(Alexander et al., 2011; Sumioka et al., 2010; Yeung et al., 2008; Michael Zasloff et al., 2011)。開示された発明に関連し、かつ、理論によって束縛されることなく、アミノステロール1436等のアミノステロールは、(特定の輸送体を介して)特定の組織に入り、そして、提唱された静電的メカニズムによって細胞内シグナル伝達に影響を与えると考えられる。
MSI−1436は、PTP1Bを阻害することが知られており、PTP1Bは、インスリンによって占有されると、インスリン受容体を通常「オフ」にし、それによりインスリン反応「鎮静(quiets)」を行うホスファターゼである。PTP1Bは、インスリン受容体に加えて、他のチロシンキナーゼ受容体に作用することが知られている。PTP1Bの既知の標的は、インスリン受容体に加え、インスリン関連成長因子受容体(IGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、コロニー刺激増殖因子受容体(CSFR)、肝細胞刺激因子受容体(HSFR)、および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)を含む。
PTP1Bは、細胞の小胞体内に局在することが知られている(Frangioni, Beahm, Shifrin, Jost, & Neel, 1992)。PTP1Bを含む小胞体の「フリル」の側で、リン酸化部位が局在化した原形質膜の細胞質面の「接触(kissing)」を伴う機構によって受容体標的にアクセスすると考えられている(Frangioni et al., 1992)。したがって、小胞体に存在するPTP1Bの、形質膜の細胞質表面に存在するリン酸化受容体との物理的接触は、脱リン酸化を起こすために必要とされる。
総合すると、PTP1Bのこれらの特性は、MSI−1436が小胞体からPTP1Bを移動させるようであることを示唆している。我々は、MSI−1436が小胞体に結合し、PTP1Bの結合に関与している静電相互作用を中和し、その放出と、その最終的な「不活性化」とをもたらす、と推測する。このシナリオでは、不活性化は、酵素自体の直接の影響とは対照的に、それが正常に動作している細胞内の部位からの変位の直接の結果である。
脊椎動物の再生は、魚類、両生類、爬虫類を含む、限られた数の種において、確実に観察される(K D Poss, Keating, & Nechiporuk, 2003; Sanchez Alvarado & Tsonis, 2006)。哺乳類では、再生活動が早期の胎児の発達において観察されているが、出生後の生涯においては特定の器官に極めて限られたものとなる(Kenneth D Poss, 2010)。
特に、ヒト肝臓が部分的な肝切除後に機能的に再生することが知られている(Taub, 2004)。小腸および大腸の上皮層は、重度の炎症性傷害後に再構築でき(Simons & Clevers, 2011)、骨髄中の血液形成組織の修復は、アブレーション治療後に起こる。出生後のヒトの他の組織は、はるかに少ない再生能力を示す。実際、四肢への広範囲な軟組織負傷は、前組織構造を復元するプロセスよりもむしろ、瘢痕組織を認める創傷治癒プロセスを経て修復される。出生後のヒトにおける付属器官の再生を示す、我々が確認できる事例は、これまでに知られていない。
ゼブラフィッシュは、様々な組織および臓器を確実に再生する能力を有することが知られており、脊椎動物における再生プロセスの系統的な研究のための十分に特徴付けられたモデルとなっている(K D Poss et al., 2003; Kenneth D Poss, 2010)。特に、心臓および肝臓の再生が、この動物において広く検討されてきた(Curado & Stainier, 2010; Kenneth D Poss, Wilson, & Keating, 2002)。切断された尾びれの再成長は、脊椎動物の付属器官の再成長の研究のためのモデルに使用されている。最近の報告では、Wnts、インスリン関連成長因子、レチノイン酸、TGFβ、および線維芽細胞関連増殖因子のものを含む、ゼブラフィッシュの再生プロセスにおける、いくつかのよく研究された成長因子経路の役割が強調されている(Chablais & Jazwinska, 2010; Jazwinska, Badakov, & Keating, 2007; Yin et al., 2008; Blum & Begemann, 2012; Lee, Grill, Sanchez, Murphy-Ryan, & Poss, 2005; Stoick-Cooper et al., 2007)。
MSI−1436が、脊椎動物における組織(非限定的な例として、四肢または臓器が挙げられる)の再生に対して、前例のない予期せぬ効果を発揮することの正確なメカニズムは、理解されていないが、理論に縛られることなく、(1)再生プロセスが、チロシン受容体キナーゼによってリン酸化された受容体を利用する多数の成長因子の作用を含んでいるため、そして(2)PTP1Bが、通常、活性化した後、これらの受容体をオフにすること、そして(3)MSI−1436が、PTP1Bを阻害すること、が考えられ、MSI−1436は、再生過程に関与している成長因子の活性を促進する。活性化受容体が通常より長い期間アクティブなままでいることを可能にすることで、同族の成長因子に対する生物学的応答の大きさを向上させることになる。ある意味では、系の「ゲイン」が増加したことになる。修復プロセスの「マスター」レギュレーターが、これらの成長因子であるため、かつ、時間および空間のアンフォールディングが、これらの成長因子の正確な同化を必要とするため、受容体の不活性化の減少を介して伝達された「信号強度」を増加させることによる再生速度の増進は、効果的な再生のために重要な情報を保持しなければならない。MSI−1436によるPTP1Bの不活性化は、多くの成長因子が四肢の複雑な修復に利用されているため、我々が有利であることを信じている、多くの異なる受容体が標的にされることを保証する。
(4.本発明の実験結果および実施形態の概略)
この概略では、本書に開示された本発明は、ゼブラフィッシュの特定の組織の再生におけるMSI−1436等のアミノステロールの刺激および促進の効果の、前例のない予期せぬ発見について説明する。
・MSI−1436で処理した動物は、尾が完全に修復する前の時点において評価した場合、コントロールまたはスクアラミン顕微注射群と比較して、再生された長さが〜200%大きいことを示した。
・言い換えると、再生速度は、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)またはスクアラミンの何れかを受けた動物よりも、MSI−1436を受けた動物の方が200%大きかった。
本明細書において、本発明をその具体的な実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされ得ることは明白である。本書および図面は、それゆえ、限定的でなく例示的であるとみなされるべきである。本出願全体を通じて引用した全ての参照文献、係属中の特許出願、および公開された特許の内容は、専門用語が本書の定義と一致しない場合を除き、その全体が本書に述べられているものとして参照することで、本書に明確に組み込まれる。特定の用語が使用されているが、特に断りのない限り、それらは当技術分野において使用されるものである。
(治療方法)
本発明の実施形態は、対象における組織(非限定的な例として、四肢および臓器が挙げられる)の再生を促進または刺激するために提供される。組織の再生が有益であろう、疾患、障害、外傷または他の異常(肝臓、皮膚、軟組織および筋肉、心臓、神経系、腸、造血および血管系が関与するもの等)を、治療することが可能である。目的は、これらの組織の速度および治癒力を促進することである。
対象におけるこれらの組織の再生は、組織の負傷を有する対象を同定すること、および、治療上効果的な量のMSI−1436等のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩、および/または付加的な活性剤を、組織の負傷を有する対象に投与することを含む。新たな発見の観点から、組織への負傷の結果としての、障害、疾患、外傷または異常(例えば、肝硬変、肝炎、筋ジストロフィー、神経原性筋疾患、I型糖尿病)を有する対象に、治療上効果的な量のアミノステロール(例えば、MSI−1436)または薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を投与することが、今や可能である。このような投与は、組織(非限定的な例として、四肢および/または臓器が挙げられる)が、発生した組織の負傷から再生するのを、最終的に刺激または促進することができ、ゆえに、障害、疾患、外傷または異常を治療する。これらの疾患、疾病、外傷または異常の治療は、肝臓、皮膚、軟組織および筋肉、心臓、神経系、腸、造血および血管系を含むような組織の再生修復が有益である場合、可能である。これらの実施形態における対象は、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトであり、標的の組織は、肝臓組織、皮膚軟組織、骨格筋、心筋、血管樹、中枢および末梢神経系、消化管、膵外分泌および膵内分泌、骨格系、および造血組織から選択されてもよい。
本発明のある実施形態では、アミノステロールは、MSI−1436の異性体である。アミノステロールは、その分子が、ポリアミンによってもたらされる少なくとも+1の正味の電荷を示すように、ステロール核と当該ステロール上の任意の位置に結合したポリアミンとを含む。
本発明の他の実施形態では、アミノステロールは、(1)スルフェート成分の代謝的除去およびコレステロール側鎖の酸化を回避するために選択された、スルホネート、ホスフェート、カルボキシレート、または陰イオン成分による、スルフェートの置換;(2)ヒドロキシル基の代謝的酸化または共役を回避するための、代謝できない極性の置換基(例えば、フッ素原子等)による、当該ヒドロキシル基の置換;(3)ステロイド環系の酸化的または還元的代謝を回避するための、種々の環の水素原子の置換:の1つ以上を含むように改変されている。さらに、本発明の他の実施形態では、アミノステロールは、体内分布、投与の容易性、代謝安定性、またはこれらの任意の組み合わせを改善するために、ある当業者または一般の当業者に知られた医化学技術によって改変されたMSI−1436の誘導体である。
本書に記載の実施形態では、約0.1〜約20mg/kg体重(ヒトでは、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重に相当する)の治療上効果的な量のMSI−1436が、組織および四肢を再生することが示された。より好ましくは、MSI−1436の治療上効果的な量として、約0.1〜10mg/kg体重(ヒトでは、約0.07mg/kg体重〜約1.33mg/kg体重に相当する)の用量が挙げられ、最も好ましくは、MSI−1436の治療上効果的な量として、約0.1〜5mg/kg体重(ヒトでは、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重に相当する)の用量が挙げられる。さらなる活性剤は、MSI−1416と組み合わせて投与することができる。活性剤としては、抗感染剤、抗炎症性化合物、造血成長因子、抗代謝産物(癌に使用されるもの等)、鎮痛剤、制吐剤、抗高血圧剤、およびコレステロール低下剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性剤の量は、多くの要因に依存して変わるであろう。要因としては、組織の重症度(非限定的な例として、四肢または臓器の変性が挙げられる)、損傷の大きさ、損傷の場所、対象の年齢、対象の性別、および対象の免疫状態が挙げられるが、これらに限定されない。当業者に公知の種々の要因は、特にヒトにおいて、インビボで使用される実際の治療量に影響を与える。例えば、MSI−1436等のアミノステロールは、相加効果および相乗効果の何れかを達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤、例えば既知の成長因子(例えば、造血、上皮、血小板由来、または血管増殖因子)の1つと組み合わせて投与することもできる。活性剤は、(a)付随的に、(b)混合物として、(c)別々で且つ同時にもしくは並行して、または(d)別々で且つ逐次的に、投与され得る。ある実施形態では、アミノステロール(例えば、MSI−1436)は、液体の形態で、カプセルの形態で、錠剤の形態で、静脈内に、腹腔内に、吸入されて、または局所的に、投与される。
(薬学的組成物または医薬製剤および投与)
「治療薬」(例えば、MSI−1436等のアミノステロール)は、薬学的に許容可能な酸および塩基の薬学的に許容可能な塩の形態で薬学的組成物中に存在してもよい。これらは、非晶質の形態、または水和物および溶媒和物を含む結晶の形態であってもよい。好ましくは、薬学的組成物は治療上効果的な量を含む。
本書に記載の治療薬の薬学的に許容可能な塩としては、薬学的に許容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導される塩が挙げられる。適切な酸性塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタ酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それ自体は薬学的に許容可能なものではないが、薬学的に許容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に使用することができる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびそれらの塩が挙げられる。
本発明の治療薬はまた、治療薬のすべての立体化学的形態を含むことを意味する(すなわち、各不斉中心に対するR配置およびS配置)。したがって、治療薬の、単一のエナンチオマー、ラセミ混合物、およびジアステレオマーは、本発明の範囲に含まれる。また、治療薬の立体異性体および位置異性体も、本発明の範囲に含まれる。
好ましい実施形態では、本発明の治療薬は、薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルを含む薬学的組成物において投与される。用語「薬学的に許容可能な、担体、アジュバント、またはビヒクル」は、それと共に処方される治療薬の薬理学的活性を破壊または有意に減少させない、非毒性の、担体、アジュバント、またはビヒクルを指すものである。
本発明の組成物において用いられ得る薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルは、リン酸緩衝塩類溶液、水、ならびにエマルジョン(油/水エマルジョンまたはトリグリセリドエマルジョン等)等の、任意の標準的な薬学的に許容可能な液体担体を包含する。固体担体は、例えば、デンプン、ミルク、砂糖、ある種の粘土、ステアリン酸、タルク、ゴム、グリコール、または他の公知の賦形剤等の賦形剤を含んでもよい。担体はまた、香味剤、着色剤、または他の成分を含んでいてもよい。本発明の組み合わせの製剤は、薬学分野で周知の方法および本書に記載されている方法によって調製することができる。代表的な許容される薬学的担い手は、上記で議論されている。
本発明の薬学的組成物は、好ましくは固体組成物として、好ましくは腹腔内にまたは経口で投与される。しかしながら、薬学的組成物は、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、経鼻で、口腔に、経膣で、または移植リザーバーを介して、非経口において投与されてもよい。薬学的組成物の滅菌注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いて、当該分野で公知の技術に従って調製されてもよい。滅菌注射用製剤はまた、非毒性であり非経口用の希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。例えば、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液が挙げられる。採用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒に共通のものは、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。
本発明において用いられる薬学的組成物は、限定されないが、カプセル剤および錠剤などの固体形態を含む、経口投与が可能な任意の剤形で投与される。経口用の錠剤を用いる場合、通常使用される担体としては、微結晶性セルロース、ラクトース、およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も一般的に添加される。経口用の水性懸濁液が必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わせてもよい。必要に応じて、特定の甘味剤、香味剤、または着色剤を添加してもよい。
本発明に用いられる薬学的組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与することもできる。そのような薬学的組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を促進する吸収促進剤、フッ化炭素、および/または他の従来の可溶化剤、または分散剤、を用いた生理食塩水中の溶液として調製することができる。
局所投与は、当業者に一般に公知の任意の方法を使用して達成でき、限定されないが、薬学的組成物をクリーム、軟膏、または経皮パッチに結合させること含むことが、所望される。
脳への血液脳関門を介した薬剤の通過は、薬剤自体の透過性を改善することによって、または血液脳関門の特性を変更することによって、促進することができる。したがって、薬剤の通過は、化学修飾を介してその脂質溶解性を増加させることによって、および/またはカチオン性担体とのカップリングによって、容易にすることができる。薬剤の通過は、血液脳関門を介して薬剤を輸送することができるペプチドベクターとの共有結合によって容易にすることができる。血液脳関門透過剤化合物として知られるペプチド輸送ベクターは、米国特許第5268164号に開示されている。脳への送達に有用な親油性の特性を有する部位特異的な巨大分子は、米国特許第6005004号に開示されている。
投与経路の例としては、例えば、静脈内、皮内、皮下、吸入、経皮(局所)、経粘膜、および直腸、といった非経口、または経口、が挙げられる。非経口である、皮内、または皮下での投与に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝液、および、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性の調整のための物質、を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整され得る。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、または、ガラス製もしくはプラスチック製の複数用量バイアル中に封入できる。注射に適した薬学的組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および、滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与に対する適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝塩類溶液(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性がある必要がある。それは、製造および貯蔵の条件下で安定しているべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、および類似物)、およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には選択された粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物による作用の抑制は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、および類似物といった種々の抗菌剤および抗真菌剤によって達成することができる。いくつかの場合には、等張剤は、組成物中に含まれ、例えば、糖、多価アルコール(マンニトール、ソルビトール等)、または塩化ナトリウムである。注射用組成物の長期間の吸収は、組成物中に、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンのような、吸収を遅らせる物質を含めることによって、達成することができる。
滅菌注射用溶液は、適当な溶媒において、上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせに、指定量の活性化合物を組み込み、必要に応じて、その後濾過滅菌を行うことによって、調製され得る。一般に、分散液は、基本的な分散媒と、上記に列挙したものまたは当技術分野で公知の他のものから選択される他の成分と、を含む滅菌ビヒクル中に、活性化合物を組み込むことで、調製される。滅菌注射用溶液の調製のために滅菌粉末を用いる場合、その調製方法としては、活性成分の粉末に加えて、予め滅菌濾過したそれの溶液からの任意のさらなる所望の成分を生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥が挙げられる。
経口用組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療投与を目的として、活性化合物は、賦形剤に組み込まれ、そして、錠剤の形態、トローチの形態、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口用組成物は、うがい薬として使用するために流体担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント物質を組成物の一部として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチ、および類似物は、以下の成分のいずれかまたは同様の性質の化合物:微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなどの結合剤;例えば、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Ptimogel、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミントなどの香味剤、を含むことができる。
吸入による投与のために、化合物は、適切な噴射剤(例えば、二酸化炭素のようなガス)を詰めた加圧された容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器、からのエアロゾルスプレーの形態で搬送される。
全身投与は、経粘膜手段または経皮手段によって行うことができる。経粘膜投与または経皮投与のために、染み込ますべきバリアに適した浸透剤を製剤中に使用する。このような浸透剤は、一般に当該技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与のための、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用によって実施することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当技術分野で一般に知られている、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームへと調製される。
化合物はまた、直腸への搬送のため、(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を用いた)坐剤の形態、または保持浣腸剤の形態において調製することができる。
本明細書において、本発明をその具体的な実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされ得ることは明白である。明細書および図面は、それゆえ、限定的でなく例示的であるとみなされるべきである。本出願全体を通じて引用した全ての参照文献、係属中の特許出願、および公開された特許の内容は、専門用語が本書の定義と一致しない場合を除き、その全体が本書に述べられているものとして参照することで、本書に明確に組み込まれる。特定の用語が使用されているが、特段記載のない限り、それらは当該技術分野において使用されるものである。
〔実施例〕
本発明は、本書において、以下の実施例(限定して解釈すべきではない)によって記載される実験によって説明される。本願全体において引用された全ての参考文献、係属中の特許出願および公開された特許の内容が、参照によって本書に明白に組み込まれる。当業者は本発明が多くの異なる形態において具体化され得、本書に規定される実施形態に限定して解釈すべきではないことを理解するであろう。逆に、これらの実施形態は、本開示が本発明を当業者に十分に伝えるように提供される。多くの変更および本発明の他の実施形態は、本発明が上述の説明において示される教示の利益を有することに関係すると、当業者に思い浮かばせるであろう。特殊な用語が用いられているが、特段記載のない限り、それらは当該技術分野におけるものと同様に用いられている。
(実施例1:ゼブラフィッシュの付属器官に対する、アミノステロール1436の投与の薬理学的効果)
本実施例の目的は、ゼブラフィッシュの尾ひれの再生に対する、アミノステロール1436の投与の薬理学的効果を評価することであった。野生型の成体のゼブラフィッシュを、MSI−1436またはスクアラミンまたはリン酸緩衝塩類溶液(PBS)のコントロールを用いて、毎日の腹腔内顕微注射を介して、4日間にわたって処理した。成体のゼブラフィッシュは、Mount Desert Island Biological LaboratoryのYin研究室において繁殖および飼育された。実験の期間中、50ng/300mg体重に相当する0.125mg/kgの濃度(ヒトに換算すると1用量あたり5〜200mg)において、PBS、スクアラミンおよびMSI−1436の顕微注射を行った。平均して、5μl体積の10μg/ml溶液を、特注の10μlガラスシリンジ(Hamilton part # 80008)を用いて、各動物へ与えた。
腹腔内顕微注射の2日目の後、尾ひれを切断した。これらの切断はかみそりの刃を用いて行い、骨の線の成長の方向に垂直となるやり方において、それぞれ尾ひれの約50%を切除した。実験中の全ての時間において、28℃の標準条件においてゼブラフィッシュを維持した。切断後4日目(4dpa)から14pdaにおいて、Olympus MVX10実体顕微鏡を用いて尾ひれを画像化し、切断面から再生された組織の長さをAdobe Photoshop(登録商標)を用いて定量化した。
図2は、実験結果を示す。(破線は切断面に対応する;スケールバーは1mmである;はスチューデントのt検定のp値<0.01に対応する;エラーバーはSEMに対応する;nは1群あたり8〜10匹に対応する。)図2に示されているとおり、MSI−1436は、切断後4日目(4dpa)において付属器官の再生を2倍刺激した。尾の完全な修復前、切断後4日目において評価した場合、MSI−1436で処理した動物は、コントロール群およびスクアラミン顕微注射群と比較した場合に再生された長さが約200%大きいことを示した。換言すると、再生の速度は、リン酸緩衝塩類溶液(PBS)およびスクアラミンの何れかを受けた動物よりも、MSI−1436を受けた動物では200%早かった。各実験は、1群あたり少なくとも6匹を用いて行った。各実験は4回繰り返し、各回、成体のゼブラフィッシュの尾ひれにおいて、同様の再生の促進が観察された。図1は4回全ての実験の結果を反映している。再生の速度はMSI−1436の投与によって増加したが、修復された尾は解剖学的に正常であった。
コントロールおよびMSI−1436で処理した動物からのゼブラフィッシュの尾ひれを、切断後4日目(4dpa)において摘出し、細胞増殖のマーカーとしてのリン酸化ヒストン3(H3P)に対する抗体で染色した。図3は、この研究の結果を示す。(矢印はH3P陽性細胞のサブセットを強調する;はスチューデントのt検定のp値<0.001に対応する;エラーバーはSEMに対応する;nは1群あたり6匹に対応する)。MSI−1436で処理した尾ひれの芽細胞は、細胞増殖において、有意な2倍の増加を示した。
図1に関しての上記説明のように、野生型の成体のゼブラフィッシュを尾ひれの切断に供し、再生の間の14日間連続して、コントロールのPBSおよびMSI−1436の何れかで毎日処理した。この研究の結果は図4に示されている。(矢印=切断面;n=1群あたり4〜6)。図4に示されるとおり、顕微注射の14日目の終了時、MSI−1436で処理した動物は、再生された組織の過度の成長を何ら示さなかった。全ての測定によって、MSI−1436で処理した群およびコントロール群は、切断後14日目(14dpa)(ゼブラフィッシュの尾の再生は正常に完了した時)において同量の再生した組織を示した。
(実施例2:負傷したゼブラフィッシュの心臓に対する投与の薬理学的効果)
ゼブラフィッシュの成体の心臓の再生に対する、アミノステロール1436の投与の薬理学的効果を、実施例1の最初の研究において記載されているのと同様の実験の枠組みを用いて試験した。
6〜8月齢の成体のゼブラフィッシュを、部分的な心室の切除処置に供した後、0.125mg/kgの濃度におけるPBS(コントロール)またはスクアラミンまたはMSI−1436の腹腔内顕微注射で毎日処理した。心室の切除処置は、各心臓の心室の先端の〜20%を切除し、各動物に新たな心臓組織を再生させた。切断後3日目(3dpa)において、心臓を摘出し、固定し、凍結切断し、Mef2およびPCNAに対する抗体で染色した。各群について、Mef2+PCNA+細胞を、各心臓内の全Mef2+細胞のパーセントとして表すことによって、心筋細胞の増殖インデックスを決定した。この研究の結果は図5に示されている。(=スチューデントのt検定のp値<0.05;エラーバー=SEM;n=1群あたり4)。図5に示されているとおり、MSI−1436の顕微注射で処理した動物は、PBSのみまたはスクアラミンのみを用いて顕微注射した動物と比較した場合に、〜2〜3倍速い、心筋細胞の増殖インデックスによって定量化される心臓の再生の速度を示した。これらの結果は、1群あたり4〜6匹の3つの別個の実験において再現可能であった。
野生型の成体のゼブラフィッシュを上述のとおりの部分的な切除処置に供し、切断後24時間(24hpa)または切断後5日間(5dpa)再生させ、定量PCR研究のための全RNA単離のために心臓を摘出した。結果は図6に示されている。(=スチューデントのt検定のp値<0.05;エラーバー=SEM;n=1群あたり4)図6に示されるとおり、未処理の成体のゼブラフィッシュの心臓への負傷は、PTP1B(MSI−1436によって制御される既知のターゲット遺伝子)の発現における減少を誘発した。PTP1Bのレベルは心臓の負傷の早期の間に有意に減少し、PTP1Bが心臓の再生の遺伝子プログラムを抑制する機能を正常に果たすことを示唆した。
MSI−1436が心臓の再生における欠陥を救出可能であるか否かを決定するために、我々は、small RNA(miRNA)のlet−7ファミリーに結合して活性を取り除くためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを顕微注射した。野生型の成体のゼブラフィッシュを、上述の部分的な心室の切除処置を介して負傷させ、1)PBSのコントロール、2)MSI−1436、3)miRNA欠乏、および4)miRNA欠乏とMSI−1436、の何れかで処理した。切断後3日目(3dpa)において、心臓を摘出し、Mef2+PCNA+細胞を検出するために染色した。各心臓において、心筋細胞の増殖インデックスを、全心筋細胞集団内のMef2+PCNA+細胞のパーセントとして決定した。この研究の結果は図7に示されている。(=スチューデントのt検定のp値<0.05;エラーバー=SEM;n=1群あたり8〜12個の心臓)MSI−1436の含有は、コントロールの心臓と比べた場合に、心筋細胞の増殖インデックスを2倍促進した。アンチセンスヌクレオチドによるmiRNAのlet−7ファミリーの欠乏は、心筋細胞の増殖インデックスを約45%阻害した。miRNA欠乏とMSI−1436で処理した動物において、心筋細胞の増殖インデックスは、野生型コントロールのレベルまで回復した。
(実施例3:正常なミドリザル腎細胞に対する、アミノステロール1436の投与の薬理学的効果)
この研究は、負傷していない正常な哺乳類細胞の細胞増殖に対するMSI−1436の効果を決定するために行った。研究の結果は図8に示されている。
正常なミドリザル腎細胞を、PBSのコントロール培地または0.1μg/mlもしくは1.0μg/mlのMSI−1436を補った培地を用いて培養した。2週間にわたって、MSI−1436を含む成長培地およびMSI−1436を含まない成長培地を毎日交換し、各群について全細胞数を決定した。2週間の過程にわたる細胞増殖プロットは、全ての群について、正常な成長曲線を示す。MSI−1436処理は、これらの哺乳類細胞の過度な成長または過剰増殖を促進しなかった。これは、MSI−1436が負傷していない正常な哺乳類細胞において異常な増殖活性を有さないことを示唆する。
本書において、本発明は特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、本発明の広範な意図および範囲から逸脱することなく、種々の変更および改変がなされ得ることは明白であろう。したがって、明細書および図面は、限定的な認識ではなく例証的な認識において考慮されるべきである。本願(付属書類および参考文献リストを含む)全体において引用された全ての参考文献、係属中の特許出願および公開された特許の内容が、専門用語が本書での定義と矛盾する場合を除き、それらの全体において本書に規定されているかのように、参照によって本書に明白に組み込まれる。特殊な用語が用いられているが、それらは特段記載のない限り、当該分野におけるものと同様に用いられている。
〔引用された参考文献〕
本書に言及された全ての引用(例えば、科学雑誌刊行物、特許、および他の参考資料)は、それぞれの引用が参照によって組み込まれるよう明確に且つ個々に示されたかのように、同じ範囲において参照によって本書に組み込まれる。
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アミノステロール1436の分子構造を説明する図である。 成体のゼブラフィッシュの尾ひれの再生に対するアミノステロールMS−1436の効果を示す図である。 成体のゼブラフィッシュにおける再プログラムされた尾ひれの芽細胞の増殖に対するMSI−1436の効果を示す図である。 成体のゼブラフィッシュの尾ひれにおける組織の過度な成長に対する、長期間のMSI−1436暴露の効果を示す図である。 成体のゼブラフィッシュにおける心筋細胞の再生的増殖に対するMSI−1436の効果を示す図である。 成体のゼブラフィッシュにおける心臓の負傷に対する応答における、MSI−1436のターゲット遺伝子PTP1Bの下方制御を示す図である。 成体のゼブラフィッシュの心臓における心臓の再生的増殖の、遺伝的に誘発された減少に対するMSI−1436の効果を示す図である。 哺乳類細胞の増殖に対するMSI−1436の効果を示す図である。

Claims (17)

  1. 組織の再生を刺激または促進する方法において使用するための、組織の刺激または促進のための薬学的組成物であって、
    上記方法は治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象に投与することを含み、
    上記それを必要とする対象は、上記組織の負傷を有しており、
    上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、かつ
    上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。
  2. 対象における組織の再生を刺激または促進する方法において使用するための、組織の刺激または促進のための薬学的組成物であって、
    上記方法は上記組織の負傷によって引き起こされる疾患、障害、外傷または異常を治療または予防するために、治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象に投与すること、を含み、
    上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、かつ
    上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。
  3. 上記治療上効果的な量の上記アミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩は、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重である、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  4. 上記治療上効果的な量の上記アミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩は、相加効果または相乗効果を達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤と組み合わせて投与され、
    任意に、上記活性剤は、付随的に、混合物として、別々で且つ同時に、別々で且つ並行して、または別々で且つ逐次的に、投与される、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  5. 上記治療上効果的な量の上記アミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩は、液体の形態で、カプセルの形態で、錠剤の形態で、静脈内に、腹腔内に、吸入されて、または局所的に、投与される、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  6. 上記対象は哺乳類またはヒトである、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  7. 組織の再生を刺激または促進するための、治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を含む薬学的組成物であって、
    上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、
    上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。
  8. 請求項7に記載の薬学的組成物を含む、骨格筋組織または骨格系組織の再生を刺激または促進するためのキット。
  9. 相加効果または相乗効果のために、少なくとも1つのさらなる活性剤と組み合わせて、上記治療上効果的な量の上記アミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を含む、請求項7に記載の薬学的組成物。
  10. 上記治療上効果的な量の上記アミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩は、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重の範囲である、請求項7に記載の薬学的組成物。
  11. 治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象における組織の再生の刺激または促進のために含む、組織の再生の刺激または促進のための薬学的組成物であって、
    上記対象は、組織の負傷を有しており、
    上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、かつ
    上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。
  12. 組織の負傷によって引き起こされる疾患、障害、外傷または異常を治療または予防するために、治療上効果的な量のアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を、それを必要とする対象における組織の再生の刺激または促進のために含む、組織の再生の刺激または促進のための薬学的組成物であって、
    上記組織は、骨格筋組織または骨格系組織であり、かつ
    上記アミノステロールは、MSI−1436またはMSI−1436の異性体である、薬学的組成物。
  13. 請求項11または12に記載の薬学的組成物を含む、骨格筋組織または骨格系組織の再生を刺激または促進するためのキット。
  14. 上記薬学的組成物は、相加効果または相乗効果を達成するために、少なくとも1つのさらなる活性剤を含む、請求項11または12に記載の薬学的組成物。
  15. 上記薬学的組成物は、ヒトにおいて、約0.07mg/kg体重〜約2.67mg/kg体重の範囲でアミノステロールまたは薬学的に許容可能なアミノステロールの塩を含む、請求項11または12に記載の薬学的組成物。
  16. 上記組織の負傷は、筋ジストロフィーを含む、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  17. 上記組織の負傷は、筋ジストロフィーを含む、請求項11または12に記載の薬学的組成物。
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