JP2019051736A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ビード部全体の耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】カーカス本体部51とターンナップ部52とを有するカーカス50と、カーカス50におけるビードコア21が位置する側の面の反対側の面側に配設されるスチール補強層60と、スチール補強層60におけるカーカス50が位置する側の面の反対側の面側に配設される有機繊維補強層70と、を備え、スチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1と、ターンナップエッジ53の高さH2と、の関係がH1<H2であり、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5と、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6と、の関係がH5<H6であり、且つ、有機繊維補強層70は、スチール補強層60の内側エッジ部62を覆っており、有機繊維補強層70は、外側エッジ部71がターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置している。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、ビードコアを有するビード部がリムホイールに嵌合することにより、リムホイールに装着されるが、ビード部には、空気入りタイヤに充填される空気の空気圧や、車両走行時における荷重により、大きな負荷が作用する。ビード部には、このように大きな負荷が作用し易く、負荷によってクラック等の破損が生じ易いため、従来の空気入りタイヤの中には、ビード部付近の耐久性の向上を図っているものがある。
例えば、特許文献1では、ビード部におけるビードコアの位置とビードコアの幅を規定することにより、チューブタイプの空気入りタイヤにおけるビード部の耐久性を確保している。また、特許文献2では、カーカスにおけるビードコアの周りでの巻き上げ部分に沿って、ビードコアの周りでタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられるスチール保護層と有機繊維保護層とを配置することにより、カーカスプライの巻き上げ端だけでなく、スチール保護層の端部での故障も抑制している。また、特許文献3では、ビード部に有機繊維補強層を設けた場合における有機繊維補強層のエッジからのクラックの発生を抑制している。
特許第5475096号公報 特開2016−117411号公報 特開2017−114451号公報
ここで、ビード部の故障は、特許文献1〜3に記載されているような、ビード部におけるカーカスの巻き上げ端側で発生するのみでなく、ビード部におけるビードコアよりもタイヤ幅方向内側の領域で発生することもある。例えば、ビード部を補強するために、特許文献2に記載されているスチール保護層のような補強層を設けて、スチール保護層におけるカーカスプライの巻き上げ端側の端部での故障を抑制したとしても、スチール保護層の反対側の端部付近で故障が発生する虞がある。つまり、ビード部には、全体に大きな荷重がかかるため、補強層によってビード部の一部の故障を抑制したとしても、ビード部全体の耐久性を確保してビード部で発生する故障を抑制するのは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ビード部全体の耐久性を向上させることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面の両側に配設され、円環状に形成されるビードコアを備える一対のビード部と、一対の前記ビード部同士の間に亘って配設されるカーカス本体部と、前記カーカス本体部から連続して形成され前記ビードコアのタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて折り返されるターンナップ部と、を有するカーカスと、複数のスチールコードを有し、前記カーカスにおける前記ビードコアが位置する側の面の反対側の面側に配設されるスチール補強層と、複数の有機繊維コードを有し、前記スチール補強層における前記カーカスが位置する側の面の反対側の面側に配設される有機繊維補強層と、を備え、前記スチール補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアのタイヤ径方向における内端部からのタイヤ径方向における高さH1と、前記ターンナップ部のタイヤ径方向外側の端部であるターンナップエッジの前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH2と、の関係がH1<H2であり、前記スチール補強層における前記カーカス本体部のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH5と、前記有機繊維補強層における前記カーカス本体部のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH6と、の関係がH5<H6であり、且つ、前記有機繊維補強層は、前記スチール補強層の内側エッジ部を覆っており、前記有機繊維補強層は、前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部が、前記ターンナップエッジよりもタイヤ径方向外側に位置していることを特徴とする。
上記空気入りタイヤにおいて、前記有機繊維補強層は、内側有機繊維補強層と、前記内側有機繊維補強層に対して前記カーカスが位置する側の反対側に位置する外側有機繊維補強層との2枚が重ねられて配設されており、且つ、2枚の前記有機繊維補強層は、前記有機繊維コードが互いに交差することが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、2枚の前記有機繊維補強層は、前記内側有機繊維補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH3と、前記外側有機繊維補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH4と、の関係がH3<H4であることが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、前記外側有機繊維補強層は、タイヤ幅方向内側の端部である内側エッジ部が、前記ビードコアの中心よりもタイヤ幅方向内側で、且つ、前記ビードコアの中心から20mm以下の範囲内に位置することが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、前記ビードコアの前記内端部からの前記ターンナップエッジのタイヤ径方向における高さH2と、前記ビードコアの前記内端部からの前記スチール補強層の内側エッジ部のタイヤ径方向における高さH5とは、H2<H5の関係であることが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、前記ビード部は、前記ターンナップエッジを通り前記カーカス本体部に対して直交する仮想線の延在方向における前記ビード部の厚さW1が、前記ビードコアの幅W2に対して1.85倍以上1.95倍以下の範囲内であることが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、前記ビードコアの前記内端部からの前記ターンナップエッジのタイヤ径方向における高さH2は、29mm以上41mm以下の範囲内であり、前記ビードコアの前記内端部からの前記有機繊維補強層の内側エッジ部のタイヤ径方向における高さH6は、53mm以上71mm以下の範囲内であることが好ましい。
上記空気入りタイヤにおいて、前記有機繊維コードは、材質がナイロンからなり、総繊度が1000dtex以上2000dtex以下の範囲内であり、50mmあたりの本数が25本以上40本以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、ビード部全体の耐久性を向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1のA部詳細図である。 図3は、図2に示すビードコアの詳細図であり、ビードコア中心についての説明図である。 図4は、図2のB−B矢視方向における有機繊維補強層の説明図であり、有機繊維補強層の要部断面図である。 図5は、ビード部の厚さとビードコアの幅についての説明図である。 図6は、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう方向、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる方向をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、いわゆるチューブレスタイヤである。本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トラック及びバスに装着される重荷重用空気入りタイヤである。トラック及びバス用タイヤ(重荷重用空気入りタイヤ)とは、日本自動車タイヤ協会(japan automobile tire manufacturers association:JATMA)から発行されている「日本自動車タイヤ協会規格(JATMA YEAR BOOK)」のC章に定められるタイヤをいう。なお、空気入りタイヤ1は、乗用車に装着されてもよいし、小型トラックに装着されてもよい。
図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸に平行な向きでタイヤ回転軸を通る断面である子午断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されている。トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝15と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝(図示省略)とがそれぞれ複数形成されている。トレッド面3には、これらの複数の周方向主溝15やラグ溝によって複数の陸部10が画成されている。なお、周方向主溝15の本数やタイヤ周方向におけるラグ溝の間隔、ラグ溝の長さや角度、各溝の溝幅や溝深さ等は、適宜設定されるのが好ましい。即ち、トレッド面3に形成される、いわゆるトレッドパターンは、適宜設定されるのが好ましい。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配設されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されている。
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側には、ビード部20が位置しており、ビード部20は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配設されている。即ち、ビード部20は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対が配設されている。一対のビード部20のそれぞれにはビードコア21が設けられている。ビードコア21は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されており、タイヤ回転軸を中心とする円環状の形状で形成されている。それぞれのビードコア21のタイヤ径方向外側にはビードフィラー40が配設されている。ビードフィラー40は、後述するカーカス50がビードコア21の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成される空間に少なくとも一部が配置されるゴム材である。
ビード部20は、15°テーパーの規定リムに装着することができるように構成されている。ここでいう規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。即ち、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20と嵌合する部分がタイヤ回転軸に対して15°の傾斜角で傾斜する規定リムに装着することが可能になっている。
トレッド部2のタイヤ径方向内側には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、例えば、4層のベルト7a,7b,7c,7dを積層した多層構造をなし、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルト7a,7b,7c,7dは、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向へのベルトコードの傾斜角が互いに異なっており、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。
ベルト層7のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス50が連続して設けられている。このカーカス50は、一対のビードコア21に支持される。カーカス50は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設されるビードコア21間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス50は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部20のうち、一方のビード部20から他方のビード部20にかけて配設されており、ビードコア21を包み込むようにビード部20で、ビードコア21に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって巻き返されている。即ち、カーカス50は、ビードコア21のタイヤ幅方向内側からビードコア21のタイヤ径方向内側を通り、ビードコア21のタイヤ幅方向外側にかけて配設されるように、ビード部20でビードコア21周りに折り返されている。
このためカーカス50は、一対のビード部20同士の間に亘って配設されるカーカス本体部51と、カーカス本体部51から連続して形成されビードコア21のタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて折り返されるターンナップ部52と、を有している。ここでいうカーカス本体部51は、カーカス50における一対のビードコア21のタイヤ幅方向内側同士の間に亘って形成される部分になっており、ターンナップ部52は、ビードコア21のタイヤ幅方向内側でカーカス本体部51から連続して形成され、ビードコア21のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側にかけて折り返される部分になっている。このように配設されるカーカス50のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成されている。
また、カーカス50の内側、或いは、当該カーカス50の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス50に沿って形成されている。
図2は、図1のA部詳細図である。ビード部20には、さらにスチール補強層60と有機繊維補強層70とが配設されている。このうち、スチール補強層60は、コートゴムで被覆された複数のスチールコードを有し、カーカス50におけるビードコア21が位置する側の面の反対側の面側に配設されている。また、有機繊維補強層70は、コートゴムで被覆された複数の有機繊維コードを有し、スチール補強層60におけるカーカス50が位置する側の面の反対側の面側に配設されている。
詳しくは、スチール補強層60は、カーカス50のカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側からカーカス50のターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のタイヤ径方向内側を通り、ターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分のタイヤ幅方向外側にかけて配設されている。スチール補強層60におけるターンナップ部52のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部61は、ターンナップ部52のタイヤ径方向外側の端部であるターンナップエッジ53よりも、タイヤ径方向内側に位置している。また、スチール補強層60におけるカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部62は、ビードコア21のいずれの部分よりもタイヤ径方向外側に位置している。これらのように、スチール補強層60は、カーカス50に沿って配設されつつ、外側エッジ部61はターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向内側に位置し、内側エッジ部62はビードコア21よりもタイヤ径方向内側に位置して配設されている。
また、有機繊維補強層70は、スチール補強層60と同様に、カーカス50のカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側からカーカス50のターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のタイヤ径方向内側を通り、ターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分のタイヤ幅方向外側にかけて配設されている。また、有機繊維補強層70は、スチール補強層60が配設されている位置では、スチール補強層60に対してカーカス50が配設される側の反対側に配設される。換言すると、カーカス50とスチール補強層60と有機繊維補強層70とが配設される範囲では、カーカス50と有機繊維補強層70とでスチール補強層60を挟み込む状態でスチール補強層60と有機繊維補強層70とは配設される。
有機繊維補強層70におけるターンナップ部52のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部71は、ターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置している。また、有機繊維補強層70におけるカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部72は、スチール補強層60の内側エッジ部62よりもタイヤ径方向外側に位置している。これらのように、有機繊維補強層70は、カーカス50及びスチール補強層60に沿って配設されつつ、外側エッジ部71はターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置し、内側エッジ部72はスチール補強層60の内側エッジ部62よりもタイヤ径方向外側に位置して配設されている。また、有機繊維補強層70における、スチール補強層60の内側エッジ部62よりも有機繊維補強層70の内側エッジ部72寄りの部分は、少なくとも一部がカーカス50に接している。これにより、有機繊維補強層70は、スチール補強層60の内側エッジ部62を覆っている。
カーカス50に沿って配設されるスチール補強層60と有機繊維補強層70とを、空気入りタイヤ1の子午断面においてビードコア21のタイヤ径方向における内端部22を基準として比較すると、スチール補強層60とカーカス50とは、スチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1と、ターンナップ部52のターンナップエッジ53の高さH2との関係が、H1<H2になっている。この場合におけるスチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1は、スチール補強層60の外側エッジ部61の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。また、ターンナップ部52のターンナップエッジ53の高さH2は、ターンナップエッジ53の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。また、ビードコア21の内端部22は、空気入りタイヤ1の子午断面において、ビードコア21におけるタイヤ径方向の最も内側に位置する部分になっている。
また、スチール補強層60と有機繊維補強層70とを、空気入りタイヤ1の子午断面においてビードコア21の内端部22を基準として比較すると、スチール補強層60とカーカス50とは、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5と、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6との関係が、H5<H6になっている。この場合におけるスチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5は、スチール補強層60の内側エッジ部62の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。また、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6は、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。
さらに、スチール補強層60は、内側エッジ部62のタイヤ径方向における位置が、ターンナップ部52のターンナップエッジ53のタイヤ径方向における位置よりも、タイヤ径方向外側に位置している。このため、ビードコア21の内端部22からのターンナップエッジ53のタイヤ径方向における高さH2と、ビードコア21の内端部22からのスチール補強層60の内側エッジ部62のタイヤ径方向における高さH5とは、H2<H5の関係になっている。
ビードコア21の内端部22からの各高さは、本実施形態ではビードコア21の内端部22からのスチール補強層60の外側エッジ部61のタイヤ径方向における高さH1は、15mm以上29mm以下の範囲内になっており、ターンナップエッジ53のタイヤ径方向における高さH2は、29mm以上41mm以下の範囲内になっている。また、ビードコア21の内端部22からのスチール補強層60の内側エッジ部62のタイヤ径方向における高さH5は、43mm以上53mm以下の範囲内になっており、ビードコア21の内端部22からの有機繊維補強層70の内側エッジ部72のタイヤ径方向における高さH6は、53mm以上71mm以下の範囲内になっている。
また、有機繊維補強層70は、内側有機繊維補強層80と、内側有機繊維補強層80に対してカーカス50が位置する側の反対側に位置する外側有機繊維補強層85との2枚が重ねられて配設されている。このうち、内側有機繊維補強層80は、カーカス50のカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側からカーカス50のターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ径方向内側に位置する部分のタイヤ径方向内側を通り、ターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分のタイヤ幅方向外側にかけて配設されている。有機繊維補強層70とカーカス50とによって挟まれて配設されるスチール補強層60は、この内側有機繊維補強層80とカーカス50とによって挟み込まれて配設されている。
内側有機繊維補強層80におけるターンナップ部52のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部81は、ターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置している。また、内側有機繊維補強層80におけるカーカス本体部51のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部82は、スチール補強層60の内側エッジ部62よりもタイヤ径方向外側に位置している。この内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82が、有機繊維補強層70の内側エッジ部72になっており、有機繊維補強層70によって覆われるスチール補強層60の内側エッジ部62は、内側有機繊維補強層80によって覆われている。
また、外側有機繊維補強層85は、ターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ径方向内側の位置する部分のタイヤ径方向内側から、ターンナップ部52におけるビードコア21のタイヤ幅方向外側に位置する部分のタイヤ幅方向外側にかけて配設されている。また、外側有機繊維補強層85は、内側有機繊維補強層80が配設されている位置では、内側有機繊維補強層80に対してカーカス50が配設される側の反対側に配設されている。このため、外側有機繊維補強層85は、ビードコア21のタイヤ径方向内側の位置では、内側有機繊維補強層80のタイヤ径方向内側に位置し、ビードコア21のタイヤ幅方向外側の位置では、内側有機繊維補強層80のタイヤ幅方向外側に位置している。
外側有機繊維補強層85におけるターンナップ部52のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部86は、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81よりもタイヤ径方向外側に位置している。この外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86が、有機繊維補強層70の外側エッジ部71になっている。また、外側有機繊維補強層85におけるターンナップ部52のタイヤ径方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部87、即ち、外側有機繊維補強層85のタイヤ幅方向内側の端部である内側エッジ部87は、ビードコア21のタイヤ径方向内側で、ビードコア21の中心であるビードコア中心CBよりもタイヤ幅方向内側に位置している。さらに、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、ビードコア中心CBから20mm以下の範囲内に位置している。
図3は、図2に示すビードコア21の詳細図であり、ビードコア中心CBについての説明図である。ビードコア21は、ビードワイヤ23を環状に、且つ、多重に巻き回してなり、本実施形態では、ビードコア21は空気入りタイヤ1の子午断面において六角形のワイヤ配列構造を有している。即ち、ビードコア21は、空気入りタイヤ1の子午断面において、外周部分に6つの辺25と6つの角部26とを有して構成されている。この場合における辺25は、空気入りタイヤ1の子午断面において、断面に表れるビードワイヤ23が一方向に並ぶことにより構成される。また、角部26は、空気入りタイヤ1の子午断面においてそれぞれ1つのビードワイヤ23によって構成され、角部26を構成するビードワイヤ23は、隣り合う辺25同士で共有するビードワイヤ23になっている。また、ビードコア21は、ゴム材料からなると共に巻き回されたビードワイヤ23の外周を覆うビードカバー24を備えている。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード部20は、15°テーパーの規定リムに装着することができるように構成されているため、ビードコア21も、ビード部20を15°テーパーの規定リムへの装着を可能とする形状で形成されている。具体的には、ビードコア21は、空気入りタイヤ1の子午断面において最もタイヤ径方向内側に位置する辺25を構成する複数のビードワイヤ23が、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かうに従って、タイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向かう方向に傾斜して配列されている。ビードコア21の内端部22は、この最もタイヤ径方向内側に位置する辺25を構成する複数のビードワイヤ23のうち、最もタイヤ幅方向内側に位置するビードワイヤ23のタイヤ径方向内側の位置でのビードカバー24の表面になっている。6つの辺25のうち、最もタイヤ径方向外側に位置する辺25を構成する複数のビードワイヤ23は、配列方向が、最もタイヤ径方向内側に位置する辺25を構成する複数のビードワイヤ23の配列方向と略平行になっている。
ビードコア中心CBは、角部26を構成するビードワイヤ23のうち、六角形の周上において互いに3つ目となる角部26同士、即ち、向かい合う角部26同士のビードワイヤ23の中心同士を結ぶ対角線Dを複数引いた場合における対角線D同士の交点になっている。例えば、複数の角部26のうち、タイヤ幅方向において最も外側に位置する角部26と、タイヤ幅方向において最も内側に位置する角部26との、それぞれの角部26を構成するビードワイヤ23の中心同士を結ぶ対角線Dを、第1対角線D1とする。また、複数の角部26のうち、タイヤ幅方向において2番目に外側に位置する角部26と、タイヤ幅方向において2番目に内側に位置する角部26との、それぞれの角部26を構成するビードワイヤ23の中心同士を結ぶ対角線Dを、第2対角線D2とする。この第1対角線D1と第2対角線D2との交点が、ビードコア中心CBになっている。
なお、対角線Dを設定するのに用いる角部26は、タイヤ径方向を基準として選定してもよい。例えば、タイヤ径方向において、最も外側に位置する角部26と最も内側に位置する角部26とのビードワイヤ23の中心同士を結ぶ対角線Dを第1対角線D1とし、タイヤ径方向において、2番目に外側に位置する角部26と2番目に内側に位置する角部26とのビードワイヤ23の中心同士を結ぶ対角線Dを第2対角線D2としてもよい。外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、空気入りタイヤ1の子午断面において、これらのように定めされるビードコア中心CBから半径20mm以下の範囲内に位置している。
ビードコア21におけるタイヤ径方向内側に位置する辺25を構成するビードワイヤ23が、タイヤ幅方向内側から外側に向かうに従ってタイヤ径方向内側から外側に向かう方向に傾斜して配列されるのと同様に、ビード部20の内周面であるビードベース部30も、タイヤ幅方向内側から外側に向かうに従って、タイヤ径方向内側から外側に向かう方向に傾斜している。なお、ビード部20の内周面は、ビード部20のうちタイヤ径方向内側を向く面である。つまり、ビードベース部30は、ビードベース部30におけるタイヤ幅方向外側の端部であるビードヒール31よりも、ビードベース部30におけるタイヤ幅方向内側の先端部であるビードトウ32の方が、タイヤ径方向内側に位置する方向に傾斜している。このビードベース部30は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1を規定リムに装着する際に、規定リムに嵌合して規定リムと接触する嵌合部として設けられている。
また、ビード部20では、タイヤ外表面35が、タイヤ幅方向外側に凸となる方向に湾曲して形成されている。換言すると、空気入りタイヤ1における外気に露出する側の面であるタイヤ外表面35は、ビード部20の部分では、タイヤ幅方向外側に凸となる方向に湾曲している。ビードベース部30の一方の端部であるビードヒール31は、このタイヤ外表面35とビードベース部30との交点になっている。
また、ビード部20では、タイヤ内表面36が、タイヤ幅方向内側に凸となる方向に湾曲して形成されている。換言すると、空気入りタイヤ1における空気が充填される側の面であるタイヤ内表面36は、ビード部20の部分では、タイヤ幅方向内側に凸となる方向に湾曲している。ビードベース部30の他方の端部であるビードトウ32は、このタイヤ内表面36とビードベース部30との交点になっている。
重ねられて配設される内側有機繊維補強層80と外側有機繊維補強層85とを、空気入りタイヤ1の子午断面においてビードコア21のタイヤ径方向における内端部22を基準として比較すると、2枚の有機繊維補強層70は、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の高さH3と、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の高さH4との関係が、H3<H4になっている。この場合における内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の高さH3は、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。また、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の高さH4は、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の、ビードコア21の内端部22からのタイヤ径方向における距離になっている。
ビードコア21の内端部22からの各高さは、本実施形態ではビードコア21の内端部22からの内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81のタイヤ径方向における高さH3は、36mm以上55mm以下の範囲内になっており、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86のタイヤ径方向における高さH4は、47mm以上65mm以下の範囲内になっている。
また、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の近傍には、エッジテープ90が配設されている。エッジテープ90は、ゴムシートからなり、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82近傍におけるタイヤ幅方向内側の面から、内側有機繊維補強層80とカーカス50とに貼り付けられている。つまり、エッジテープ90は、スチール補強層60の内側エッジ部62を覆う内側有機繊維補強層80をさらに覆っている。エッジテープ90は、例えば、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82からタイヤ径方向外側への幅と、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82からタイヤ径方向内側への幅とが同程度の幅で形成されている。即ち、エッジテープ90は、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82を中心とするタイヤ径方向両側への幅が同程度の幅で、内側有機繊維補強層80におけるカーカス50が位置する側の面の反対の面側から、内側有機繊維補強層80とカーカス50との双方に亘って貼り付けられている。これにより、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82は、エッジテープ90によって覆われている。
図4は、図2のB−B矢視方向における有機繊維補強層70の説明図であり、有機繊維補強層70の要部断面図である。有機繊維補強層70は、複数の有機繊維コード73を有しているが、2枚の有機繊維補強層70は、それぞれが有する有機繊維コード73が互いに交差している。例えば、内側有機繊維補強層80の有機繊維コード73と外側有機繊維補強層85の有機繊維コード73とは、タイヤ径方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向が、互いに反対方向となってそれぞれ傾斜して配設されている。これらの内側有機繊維補強層80の有機繊維コード73と外側有機繊維補強層85の有機繊維コード73とは、タイヤ径方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度が、それぞれ±65°の範囲内になっている。また、互いに交差する内側有機繊維補強層80の有機繊維コード73と外側有機繊維補強層85の有機繊維コード73との相対的な角度θは、70°以上130°以下の範囲内であるのが好ましい。
内側有機繊維補強層80の有機繊維コード73と外側有機繊維補強層85の有機繊維コード73とは、いずれも材質がナイロンからなり、総繊度が1000dtex以上2000dtex以下の範囲内になっている。また、有機繊維コード73の打ち込み密度は、内側有機繊維補強層80の有機繊維コード73と外側有機繊維補強層85の有機繊維コード73とのいずれも、50mmあたりの本数が25本以上40本以下の範囲内になっている。
図5は、ビード部20の厚さとビードコア21の幅についての説明図である。ビード部20は、ターンナップエッジ53を通りカーカス本体部51に対して直交する仮想線Lの延在方向におけるビード部20の厚さW1が、ビードコア21の幅W2に対して1.85倍以上1.95倍以下の範囲内になっている。この場合における仮想線Lは、ターンナップエッジ53を通り、カーカス本体部51のタイヤ幅方向外側の面に直交する線になっており、ビード部20の厚さW1は、ビード部20におけるタイヤ内表面36と仮想線Lとの交点と、ビード部20におけるタイヤ外表面35と仮想線Lとの交点との距離になっている。
また、ビードコア21の幅W2は、ビードコア21において最も幅が広い位置での幅になっている。本実施形態では、ビードコア21の幅W2は、空気入りタイヤ1の子午断面におけるビードコア21の角部26のうち、タイヤ幅方向において最も内側に位置する角部26の位置でのビードカバー24の表面と、タイヤ幅方向において最も外側に位置する角部26の位置でのビードカバー24の表面との距離になっている(図3参照)。ビード部20は、これらのように規定されるビード部20の厚さW1とビードコア21の幅W2との関係が、1.85≦(W1/W2)≦1.95の範囲内になっている。
また、ビードフィラー40は、ロアーフィラー41とアッパーフィラー42とを有している。ロアーフィラー41は、カーカス本体部51とターンナップ部52との間の領域においてビードコア21のタイヤ径方向外側でビードコア21に接触して配設されている。アッパーフィラー42は、一部がロアーフィラー41に対してタイヤ幅方向に重なりつつ、大部分がロアーフィラー41のタイヤ径方向外側に配設されている。また、アッパーフィラー42は、タイヤ径方向外側の端部のタイヤ径方向における位置が、ターンナップエッジ53のタイヤ径方向における位置よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、アッパーフィラー42、即ちビードフィラー40は、カーカス50のカーカス本体部51とターンナップ部52との間の領域から、当該領域のタイヤ径方向外側に亘って配設されている。
さらに、ビードフィラー40のタイヤ幅方向外側には、補強ゴム層45が配設されている。補強ゴム層45は、ビードフィラー40のタイヤ幅方向外側に配設されると共に、外側有機繊維補強層85におけるターンナップ部52よりもタイヤ幅方向外側に位置する部分の、さらにタイヤ幅方向外側の所定の領域も含んで配設されている。また、補強ゴム層45のタイヤ径方向における外側の端部46のタイヤ径方向における位置は、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86のタイヤ径方向における位置よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、補強ゴム層45は、ビードフィラー40のタイヤ幅方向外側の位置で、カーカス50のターンナップ部52、スチール補強層60、内側有機繊維補強層80、外側有機繊維補強層85のそれぞれの少なくとも一部を覆っている。即ち、補強ゴム層45は、ターンナップ部52のターンナップエッジ53と、スチール補強層60の外側エッジ部61と、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81と、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86とにそれぞれ接触し、それぞれを覆って配設されている。
また、補強ゴム層45のゴム硬さは、ビードフィラー40のゴム硬さよりも高くなっている。この場合おけるゴム硬さは、JISK6253−3:2012に準拠し、タイプAデュロメータで測定した値である。また、補強ゴム層45の複素弾性率は、6MPa以上10MPa以下の範囲内であり、補強ゴム層45の破断伸びは、300%以上450%以下になっている。粘弾性特性は、JIS K 7244−4:1999に規定された測定方法での値(測定温度60°、初期歪み:10%、振幅±1%、周波数:10Hz、変形モード:引張り)である。破断伸びは、JIS K 6251:2017に記載の切断時伸びである。
これらのように構成される本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、用途が重荷重用空気入りタイヤになっている。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で車両に装着する。リムホイールにリム組みした状態の空気入りタイヤ1は、例えばトラックやバス等の大型の車両に装着して使用される。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド面3のうち下方に位置するトレッド面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、トレッド面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。例えば、駆動力を路面に伝達する際には、車両が有するエンジン等の原動機で発生した動力がリムホイールに伝達され、リムホイールからビード部20に伝達され、空気入りタイヤ1に伝達される。
空気入りタイヤ1の使用時は、これらのように各部に様々な方向の荷重が作用し、これらの荷重は、インフレートした空気の圧力や、空気入りタイヤ1の骨格として設けられるカーカス50によって受ける。例えば、車両の重量や路面の凹凸によって、トレッド部2とビード部20との間でタイヤ径方向に作用する荷重は、主にインフレートした空気の圧力やカーカス50によって受ける。
カーカス50は、タイヤ幅方向における両側に配設されているビード部20でビードコア21に巻き回されているため、カーカス50に大きな荷重が作用した場合、カーカス50には大きな張力が作用し、カーカス50の張力は、ビード部20に伝達される。このため、車両の走行時は、ビード部20にも大きな荷重が作用し、例えば、ターンナップエッジ53付近でゴム部材のセパレーションが発生し、セパレーションを起点としてクラックが発生する等の故障が発生する虞がある。特に、重荷重用空気入りタイヤとして用いられる空気入りタイヤ1では、使用時に高荷重が作用し易く、また、インフレートする空気圧も高空気圧で使用されることが多いため、カーカス50やビード部20には、より大きな荷重が作用し易くなる。このため、重荷重用空気入りタイヤとして用いられる空気入りタイヤ1では、ビード部20でクラック等の故障がより発生し易くなる。
これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビード部20に、カーカス50に沿ってスチール補強層60と有機繊維補強層70とが配設されている。これにより、カーカス50に大きな張力が作用した場合でも、カーカス50に作用する張力によるカーカス50の変形やビード部20の変形を、スチール補強層60と有機繊維補強層70とによって抑制することができる。
また、カーカス50のターンナップ部52のタイヤ幅方向外側の領域では、スチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1と、ターンナップエッジ53の高さH2との関係がH1<H2になっており、有機繊維補強層70の外側エッジ部71が、ターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置している。このため、ビード部20の耐久性の向上にスチール補強層60を用いる場合における、スチール補強層60の外側エッジ部61の位置でのセパレーションを抑制することができる。つまり、スチール補強層60の端部では、スチール補強層60が有するスチールコードの切断面が剥き出しになっているが、スチールコードの切断面は、メッキが施されていないため、ゴムとの接着性が弱くなっている。これにより、スチール補強層60の端部付近に大きな応力が作用した場合、ゴム部材がスチール補強層60の端部から剥離してセパレーションが発生する虞がある。
これに対し、本実施形態では、ターンナップエッジ53と有機繊維補強層70の外側エッジ部71とのタイヤ径方向における位置を、スチール補強層60の外側エッジ部61のタイヤ径方向における位置よりもタイヤ径方向外側にすることにより、スチール補強層60の外側エッジ部61を、ターンナップ部52と有機繊維補強層70とによってタイヤ幅方向における両側から挟み込むことができる。これにより、スチール補強層60の外側エッジ部61近傍のゴム部材を、ターンナップ部52と有機繊維補強層70とによって保持することができるため、ゴム部材がスチール補強層60の外側エッジ部61から剥離することを抑制することができる。
また、スチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1と、ターンナップエッジ53の高さH2との関係がH1<H2になっており、有機繊維補強層70の外側エッジ部71が、ターンナップエッジ53よりもタイヤ径方向外側に位置しているため、有機繊維補強層70とターンナップ部52とスチール補強層60との剛性を、タイヤ径方向における外側から内側に向かうに従って徐々に大きくすることができる。これにより、ビード部20に大きな荷重が作用した場合でも、有機繊維補強層70、ターンナップ部52、スチール補強層60の周囲のゴム部材に局所的に大きな応力集中が発生することを抑制することができ、ゴム部材のセパレーションがきっかけとなってクラックが発生することを抑制することができる。
また、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5と、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6との関係がH5<H6であり、有機繊維補強層70は、スチール補強層60の内側エッジ部62を覆っているため、スチール補強層60の外側エッジ部61と同様にゴムとの接着性が弱いスチール補強層60の内側エッジ部62から、ゴム部材が剥離することを抑制することができる。これにより、スチール補強層60の内側エッジ部62からゴム部材が剥離することがきっかけとなって、ゴム部材がカーカス50から剥離してセパレーションが発生したりゴム部材にクラックが入ったりすることを抑制することができる。これらの結果、ビード部20全体の耐久性を向上させることができる。
また、有機繊維補強層70は、内側有機繊維補強層80と外側有機繊維補強層85との2枚が重ねられて配設されているため、ビード部20の変形を、2枚の有機繊維補強層70によってより確実に抑制することができる。さらに、2枚の有機繊維補強層70は、有機繊維コード73が互いに異なる向きで配設されており、即ち、有機繊維コード73が互いに交差する向きで配設されているため、より多くの方向に対する強度を高めることができる。これにより、空気入りタイヤ1の回転時にターンナップエッジ53に歪みが集中することを抑制することができる。つまり、タイヤ幅方向におけるターンナップ部52の外側に、有機繊維コード73が互いに交差する向きで配設される2枚の有機繊維補強層70を重ねて配設することにより、ターンナップ部52付近の強度を高めることができるため、カーカス50に大きな張力が作用した場合におけるターンナップ部52付近の動きを、2枚の有機繊維補強層70によって抑制することができる。これにより、ターンナップエッジ53付近で応力集中が発生することを抑制でき、応力集中に起因するセパレーションが起点となってクラック等の故障が発生することを抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、2枚の有機繊維補強層70は、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の高さH3と、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の高さH4との関係が、H3<H4であるため、外側エッジ部81、86同士の段差を、2枚の有機繊維補強層70におけるタイヤ幅方向内側に位置させることができる。これにより、有機繊維補強層70の外側エッジ部71付近でのゴム不在のセパレーションが起点となるクラック等の故障を、より確実に抑制することができる。つまり、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の高さH3と、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の高さH4との関係が、H3>H4である場合は、外側エッジ部81、86同士の段差が、2枚の有機繊維補強層70におけるタイヤ幅方向外側に位置し、ビード部20におけるタイヤ外表面35に近いため、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86付近に応力集中が発生してクラック等の故障が発生する虞がある。
これに対し、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81の高さH3と、外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86の高さH4との関係が、H3<H4である場合は、外側エッジ部81、86同士の段差が、有機繊維補強層70におけるビード部20におけるタイヤ外表面35側の面の反対側に位置することになる。これにより、ビード部20が変形する場合でも、有機繊維補強層70の外側エッジ部71付近に応力集中が発生することを抑制でき、ゴム部材のセパレーションを抑制できるため、セパレーションが起点となるクラック等の故障をより確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、外側有機繊維補強層85は、内側エッジ部87が、ビードコア中心CBよりもタイヤ幅方向内側で、且つ、ビードコア中心CBから20mm以下の範囲内に位置するため、空気入りタイヤ1の製造時における作業性を確保することができる。つまり、内側有機繊維補強層80と外側有機繊維補強層85とは、有機繊維コード73が互いに交差する向きで配設されるため、2枚を重ねた強度が高くなっているが、このため製造時に、カーカス50に沿ってビードコア21のタイヤ幅方向における両側にかけて折り返すように曲げて配置するのが、困難になり易くなる。これに対し、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87が、ビードコア中心CBから20mm以下の範囲内に位置するように配置する場合には、外側有機繊維補強層85と内側有機繊維補強層80とで重なる範囲が小さくなるので、空気入りタイヤ1の製造時に、2枚の有機繊維補強層70を重ねた状態で折り返す範囲を小さくすることができる。これにより、空気入りタイヤ1の製造時における製造の容易性を確保することができる。また、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、ビードコア中心CBよりもタイヤ幅方向内側に位置するため、内側有機繊維補強層80と外側有機繊維補強層85との重なる範囲は極力小さくしつつ、2枚の有機繊維補強層70によってビード部20の補強を行うことができる。これらの結果、製造のし易さを確保しつつ、ビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ターンナップエッジ53の高さH2と、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5とは、H2<H5の関係であるため、ビード部20に対して作用する力を分散させることができる。つまり、空気入りタイヤ1の回転時にビード部20が変形する場合、ビード部20では、その変形によってターンナップエッジ53付近に大きな力が作用し易くなる。このため、ターンナップエッジ53の高さH2と、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5との関係が、H2>H5である場合、ビード部20に対して作用する力はターンナップエッジ53に集中し、ターンナップエッジ53付近で応力集中が発生し易くなるため、ゴム部材のセパレーションが起点となるクラック等の故障が発生し易くなる虞がある。これに対し、ターンナップエッジ53の高さH2と、スチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5との関係が、H2<H5である場合は、ビード部20に対して作用する力を、スチール補強層60の内側エッジ部62付近でも受けることができ、力を分散させることができる。これにより、ターンナップエッジ53付近への応力集中を抑制し、クラック等の故障を抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ビード部20は、ターンナップエッジ53を通りカーカス本体部51に対して直交する仮想線Lの延在方向におけるビード部20の厚さW1が、ビードコア21の幅W2に対して1.85倍以上1.95倍以下の範囲内であるため、より確実にビード部20の強度を確保することができる。つまり、ビード部20の厚さW1が、ビードコア21の幅W2に対して1.85倍未満である場合は、ビード部20の厚さW1が小さ過ぎるため、ビード部20の強度を確保するのが困難になり、ビード部20の耐久性を向上させ難くなる虞がある。または、ビードコア21の幅W2が大き過ぎるため、カーカス50に引っ張られた際にビードワイヤ23の配列が崩れる虞がある。また、ビード部20の厚さW1が、ビードコア21の幅W2に対して1.95倍を超える場合は、ビード部20の厚さW1が大き過ぎるため、ビード部20の強度が大きくなり過ぎ、乗り心地性が低下したり、空気入りタイヤ1の重量が大きくなり過ぎたりする虞がある。または、ビードコア21の幅W2が小さ過ぎるため、リムホイールへのビード部20の嵌合性を確保し難くる虞がある。
これに対し、ビード部20の厚さW1が、ビードコア21の幅W2に対して1.85倍以上1.95倍以下の範囲内である場合は、ビード部20の厚さW1を最適化し、乗り心地性が低下したり空気入りタイヤ1の重量が大きくなり過ぎたりすることを抑制しつつ、ビード部20の強度を確保することができる。また、ビードコア21の大きさを最適化し、ビードワイヤ23の配列の崩れを抑制しつつ、ビード部20の嵌合性を確保することができる。この結果、乗り心地性の低下や重量の増加を抑えつつ、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、ターンナップエッジ53の高さH2は、29mm以上41mm以下の範囲内であるため、より確実にビード部20の強度を確保し、また、ターンナップエッジ53付近で発生する故障を抑制することができる。つまり、ターンナップエッジ53の高さH2が29mm未満である場合は、ターンナップ部52のタイヤ径方向における幅が小さ過ぎるため、ビード部20の強度を確保し難くなる虞がある。また、ターンナップエッジ53の高さH2が41mmを超える場合は、ビード部20の変形時にビード部20に作用する力が、ターンナップエッジ53付近に集中し易くなるため、ターンナップエッジ53付近でのクラック等の故障を効果的に抑制し難くなる虞がある。
これに対し、ターンナップエッジ53の高さH2が、29mm以上41mm以下の範囲内である場合は、ビード部20の強度を効果的に確保すると共に、ターンナップエッジ53付近で発生する故障をより確実に抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6は、53mm以上71mm以下の範囲内であるため、有機繊維補強層70の内側エッジ部72付近からのゴム部材のセパレーションを、より確実に抑制することができる。つまり、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6が53mm未満である場合は、スチール補強層60の内側エッジ部62を覆い難くなる虞があり、スチール補強層60の内側エッジ部62付近で発生するゴム部材のセパレーションを抑制し難くなる虞がある。また、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6が71mmを超える場合は、ビード部20の変形時にビード部20に作用する力が、有機繊維補強層70の内側エッジ部72付近に集中し易くなるため、内側エッジ部72付近からゴム部材のセパレーションを誘発し易くなる虞がある。
これに対し、有機繊維補強層70の内側エッジ部72の高さH6は、53mm以上71mm以下の範囲内であるため、有機繊維補強層70の内側エッジ部72付近からのゴム部材のセパレーションを抑制しつつ、スチール補強層60の内側エッジ部62を、有機繊維補強層70によってより確実に覆うことができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、有機繊維補強層70の有機繊維コード73は、材質がナイロンからなり、総繊度が1000dtex以上2000dtex以下の範囲内であり、50mmあたりの本数が25本以上40本以下の範囲内であるため、有機繊維補強層70の重量の増加を抑えつつ、有機繊維補強層70の強度を確保することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
また、補強ゴム層45の複素弾性率は6MPa以上10MPa以下の範囲内であり、補強ゴム層45の破断伸びは300%以上450%以下になっている。これにより、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81と外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86とに隣接する補強ゴム層45に作用する歪みを低減することができ、且つ、破断伸びに関してもある一定の大きさを維持できるため、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81や外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86を起点として、補強ゴム層45やビードフィラー40にクラックが発生することを抑制することができる。
つまり、補強ゴム層45の複素弾性率が10MPaよりも大きい場合、破断伸びが300%未満となり、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81や外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86を起点として補強ゴム層45やビードフィラー40にクラックが発生する可能性が高くなる。また、補強ゴム層45の複素弾性率が6MPaよりも小さい場合、内側有機繊維補強層80の外側エッジ部81や外側有機繊維補強層85の外側エッジ部86に隣接する補強ゴム層45に作用する歪みが増大し、この場合も補強ゴム層45やビードフィラー40にクラックが発生する可能性が高くなる。これに対し、補強ゴム層45の物性を上記範囲にした場合は、補強ゴム層45の破断伸びを確保しつつ、補強ゴム層45に作用する歪みを低減することができるため、クラックの発生を抑制することができる。
また、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82は、ゴムシートからなるエッジテープ90によって覆われているため、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82付近でゴム部材のセパレーションが発生し、セパレーションした部分が起点となってゴム部材にクラックが発生することを抑制することができる。この結果、より確実にビード部20の耐久性を向上させることができる。
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82から大きく離れて空気入りタイヤ1の子午断面においてビードコア中心CBから半径20mm以下の範囲内に位置しているが、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、これ以外の位置に位置していてもよい。外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87は、例えば、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の近くに位置していてもよい。外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87が内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の近くに位置する場合、外側有機繊維補強層85と内側有機繊維補強層80とが重なる範囲が大きくなるため、互いの有機繊維コード73が交差する方向に配置される2枚の有機繊維補強層70によって、ビード部20をより確実に補強することができる。
また、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87を内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の近くに位置させ、外側有機繊維補強層85と内側有機繊維補強層80とが重なる範囲を大きくする場合は、有機繊維コード73の数を減らしてもよい。内側有機繊維補強層80と外側有機繊維補強層85とは、有機繊維コード73が互いに交差する向きで配設されているため、製造時に、2枚の有機繊維補強層70が重なった状態でビードコア21周りに折り返すのは困難であるが、有機繊維コード73の数を減らすことにより、2枚の有機繊維補強層70が重なった状態でも、比較的折り返し易くなる。これにより、製造時における困難性が高くなることを抑えつつ、ビード部20をより確実に補強することができる。これらのように、2枚の有機繊維補強層70は、ビード部20の補強性と製造のし易さとを考慮して、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87や有機繊維コード73の数を適宜設定するのが好ましい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ビードコア21は、空気入りタイヤ1の子午断面におけるビードワイヤ23の配列構造が六角形になっているが、ビードコア21は、六角形以外の形状で形成されていてもよい。ビードコア21の形状に関わらず、カーカス50、スチール補強層60、有機繊維補強層70の相対的な関係が、実施形態に示した関係になっていればよい。
〔実施例〕
図6は、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、ビード部20が壊れるまでの走行距離と、ビード部20の耐クラック性とについての試験を行った。
これらの性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが12R22.5サイズの空気入りタイヤ1をJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、空気圧を900kPaに調整した空気入りタイヤ1を用いて行った。ビード部20が壊れるまでの走行距離の評価試験は、試験を行う各空気入りタイヤ1を、規定荷重の2.2倍の荷重、速度20km/hの条件で室内ドラム試験機により走行させ、ターンナップエッジ53付近で発生するクラックによってビード部20が壊れるまでの走行距離を測定し、測定した走行距離を後述する従来例1を100とする指数で表示した。この数値が大きいほどターンナップエッジ53付近にクラックが発生し難く、ビード部20が壊れ難いことを示している。
ビード部20の耐クラック性は、ビード部20が壊れるまでの走行距離の評価試験によってビード部20が壊れた空気入りタイヤ1におけるスチール補強層60の内側エッジ部62の周辺で発生するクラックの発生個数と長さを測定し評価した。ビード部20の耐クラック性の評価は、スチール補強層60の内側エッジ部62の周辺で発生したクラックの合計の長さの逆数を、後述する従来例1を100とする指数で表示した。この数値が大きいほど、スチール補強層60の内側エッジ部62の周辺で発生するクラックの合計の長さが短く、即ち、クラックの数が少なかったり長さが短かったりすることを示しており、ビード部20のタイヤ幅方向内側の領域での耐クラック性が高いことを示している。
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例1、2の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1〜7との9種類の空気入りタイヤについて行った。これらの空気入りタイヤのうち、従来例1、2の空気入りタイヤは、ビード部20に有機繊維補強層70が設けられていない、または、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の高さH6がスチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5よりも低くなっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜7は、全てビード部20にスチール補強層60と有機繊維補強層70とを有しており、スチール補強層60の外側エッジ部61の高さH1がターンナップエッジ53の高さH2より低くなっており、内側有機繊維補強層80の内側エッジ部82の高さH6がスチール補強層60の内側エッジ部62の高さH5より高くなっている。さらに、実施例1〜7に係る空気入りタイヤ1は、2枚の有機繊維補強層70が有する有機繊維コード73が互いに交差する向きで配設されているか否かや、外側有機繊維補強層85の内側エッジ部87の位置がビードコア中心CBから半径20mm以下であるか否か、ビードコア21の幅W2に対するビード部20の厚さW1が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて評価試験を行った結果、図6に示すように、実施例1〜7の空気入りタイヤ1は、従来例1、2に対して、ビード部20が壊れるまでの走行距離を長くすることができ、また、スチール補強層60の内側エッジ部62の周辺で発生するクラックの数を少なくしたりクラックの長さを短くしたりすることができることが分かった。つまり、実施例1〜7に係る空気入りタイヤ1は、ビード部20のタイヤ幅方向外側の領域と内側の領域との双方の故障を低減することができ、ビード部20全体の耐久性を向上させることができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
4 ショルダー部
5 サイドウォール部
7 ベルト層
8 インナーライナ
10 陸部
15 周方向主溝
20 ビード部
21 ビードコア
22 内端部
40 ビードフィラー
45 補強ゴム層
50 カーカス
51 カーカス本体部
52 ターンナップ部
53 ターンナップエッジ
60 スチール補強層
61、71、81、86 外側エッジ部
62、72、82、87 内側エッジ部
70 有機繊維補強層
73 有機繊維コード
80 内側有機繊維補強層
85 外側有機繊維補強層

Claims (8)

  1. タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面の両側に配設され、円環状に形成されるビードコアを備える一対のビード部と、
    一対の前記ビード部同士の間に亘って配設されるカーカス本体部と、前記カーカス本体部から連続して形成され前記ビードコアのタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側にかけて折り返されるターンナップ部と、を有するカーカスと、
    複数のスチールコードを有し、前記カーカスにおける前記ビードコアが位置する側の面の反対側の面側に配設されるスチール補強層と、
    複数の有機繊維コードを有し、前記スチール補強層における前記カーカスが位置する側の面の反対側の面側に配設される有機繊維補強層と、
    を備え、
    前記スチール補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアのタイヤ径方向における内端部からのタイヤ径方向における高さH1と、
    前記ターンナップ部のタイヤ径方向外側の端部であるターンナップエッジの前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH2と、
    の関係がH1<H2であり、
    前記スチール補強層における前記カーカス本体部のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH5と、
    前記有機繊維補強層における前記カーカス本体部のタイヤ幅方向内側に位置する側の端部である内側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH6と、
    の関係がH5<H6であり、且つ、前記有機繊維補強層は、前記スチール補強層の内側エッジ部を覆っており、
    前記有機繊維補強層は、前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部が、前記ターンナップエッジよりもタイヤ径方向外側に位置していることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記有機繊維補強層は、内側有機繊維補強層と、前記内側有機繊維補強層に対して前記カーカスが位置する側の反対側に位置する外側有機繊維補強層との2枚が重ねられて配設されており、且つ、2枚の前記有機繊維補強層は、前記有機繊維コードが互いに交差する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 2枚の前記有機繊維補強層は、
    前記内側有機繊維補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH3と、
    前記外側有機繊維補強層における前記ターンナップ部のタイヤ幅方向外側に位置する側の端部である外側エッジ部の前記ビードコアの前記内端部からのタイヤ径方向における高さH4と、
    の関係がH3<H4である請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記外側有機繊維補強層は、タイヤ幅方向内側の端部である内側エッジ部が、前記ビードコアの中心よりもタイヤ幅方向内側で、且つ、前記ビードコアの中心から20mm以下の範囲内に位置する請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ビードコアの前記内端部からの前記ターンナップエッジのタイヤ径方向における高さH2と、前記ビードコアの前記内端部からの前記スチール補強層の内側エッジ部のタイヤ径方向における高さH5とは、
    H2<H5の関係である請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ビード部は、前記ターンナップエッジを通り前記カーカス本体部に対して直交する仮想線の延在方向における前記ビード部の厚さW1が、前記ビードコアの幅W2に対して1.85倍以上1.95倍以下の範囲内である請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ビードコアの前記内端部からの前記ターンナップエッジのタイヤ径方向における高さH2は、29mm以上41mm以下の範囲内であり、
    前記ビードコアの前記内端部からの前記有機繊維補強層の内側エッジ部のタイヤ径方向における高さH6は、53mm以上71mm以下の範囲内である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記有機繊維コードは、
    材質がナイロンからなり、
    総繊度が1000dtex以上2000dtex以下の範囲内であり、
    50mmあたりの本数が25本以上40本以下の範囲内である請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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