(第1実施形態)
以下、この発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係る検眼装置1の外観を示す斜視図である。図2〜図4は、検眼装置1に対する検者の位置に対応したモニタ部の姿勢を説明するための図である。なお、本明細書を通じて各図に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、図1における左右方向(X軸正方向が右方向、負方向が左方向)、前後方向(Y軸正方向が後方向、負方向が前方向)及び上下方向(Z軸正方向が上方向、Z軸負方向が下方向)を基準として明細書中の説明を行う。また、被検者側(Y軸負方向)を検眼装置1の正面、被検者と対峙する側(Y軸正方向)を検眼装置1の背面、被検者の右側(X軸正方向)を検眼装置1の右側、被検者の左側(X軸負方向)を検眼装置1の左側と定義する。
本実施形態の検眼装置1は、例えば、自覚検査として、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査などを実行可能であり、他覚測定として、他覚屈折測定、角膜形状測定などを実行可能な検眼装置(オートレフケラトメータ)とすることができる。なお、検眼装置1がこれに限定されるものではなく、眼底撮影装置や、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)装置、眼軸長測定装置、眼圧計等であってもよい。
図1〜図4に示すように、本実施の形態に係る検眼装置1は、ベース部2と測定ヘッド3とを備えている。ベース部2の前方(正面)には顎受け部4が設けられ、この顎受け部4の上部には、この顎受け部4と一体に形成された額当て5が設けられている。本実施の形態に係る検眼装置1の被検者は、検眼装置1の前方(正面)に設けられた椅子等に座った状態で検眼装置1と対峙し、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
測定ヘッド3内部には、図2等に破線で示すように、公知の観察・撮影用の光学系6が設けられている。この光学系6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能である。また、測定ヘッド3の正面には、前眼部照明用の光源が、例えば輪環状に配置されている。この光源は、角膜形状を測定する測定光源としても用いられる。
ベース部2には、図2等に破線で示すように、測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。駆動機構・駆動回路8の駆動部には、例えば、ステッピングモータが用いられる。
測定ヘッド3は、後述するモニタ部10を操作することにより、駆動機構・駆動回路8によりベース部2に対して水平方向つまり前後左右方向(Y軸方向及びX軸方向)、及びこれに垂直な垂直方向つまり上下方向(Z軸方向)に駆動される。これにより、測定ヘッド3はベース部2に対して水平方向及び垂直方向にそれぞれ可動可能に支持されている。
測定ヘッド3は、矩形状の箱形の本体部3aと、本体部3aの上方に設けられた頂部9とを有している。頂部9は、本体部3aと分離しており、本体部3aに対して、頂部9の中心を通り水平方向に垂直な垂直軸(Z軸)回りに回動自在に設けられている。本実施形態では、頂部9は、時計回り及び反時計回りで360°方向に回動自在となっているが、これに限定されるものではなく、垂直軸回りであって所望の方向に所望の角度で回動自在とすることができる。頂部9を垂直軸回りに回動させる回動機構は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。なお、本体部3aが矩形状に限定されることもなく、円柱状、曲線形状など、デザインや機能に応じて適宜の形状とすることができる。
このような測定ヘッド3の頂部9の一縁に、モニタ部10を支持する支持部11が固定され、この支持部11に水平軸回り(X軸又はY軸回り)に回動自在にモニタ部10が取付けられている。本実施形態では支持部11は、モニタ部10の背面の上下左右方向の略中央に取付けられているが、取付位置がこれに限定されるものではない。モニタ部10は、液晶ディスプレイからなり、被検眼像と操作ボタンなどが表示されるタッチパネル式の表示面10aを有している。モニタ部10は、カバー部材12によって被覆されている。カバー部材12には、検眼装置1の動作を制御する制御回路ユニット13などが内蔵されている。
制御回路ユニット13は、表示制御部としても機能し、表示面10aへ被検眼像や操作ボタンなどの画像を編集して、表示面10aに表示する。また、制御回路ユニット13は、検者による表示面10aの操作ボタンへのタッチ操作を検出する。そして、タッチ操作による検者の指示に応じて、駆動機構・駆動回路8を制御し、被検眼に対して測定ヘッド3を水平方向及び垂直方向に移動させる。また、タッチ操作による検者の指示に応じて、光学系6を制御して、被検眼の観察や撮影を行う。
本実施の形態の支持部11は、モニタ部10を支持する機能の他に、モニタ部10を水平軸周りに回動させる水平軸回動機構としての機能も有している。支持部11は、図1に示すように、モニタ部10の裏面のカバー部材12に設けられた円筒部11aと、頂部9の一縁にモニタ部10に向けて斜め方向に突出した一対の支持アーム11bと、この一対の支持アーム11bと円筒部11aとに挿通された水平軸11cとから構成される。この構成により、図2(a)にA又はB方向の矢印で示すように、モニタ部10が水平軸11cを回転軸として水平軸回りに回動し、モニタ部10(表示面10a)の上下の向きを任意に変更することができる。
水平軸回動機構は、モニタ部10を水平軸回りに回動でき、かつ回動力を調節して、所望の回動位置でのモニタ部10の姿勢を維持できる構成であれば、本実施の形態の構成に限定されることはなく、公知のものを用いることができる。
モニタ部10を水平軸回りに回動するときは、例えば、検者がモニタ部10を保持して手動で行うことができる。しかしながら、手動に限定されるものではなく、表示面10aに表示された操作ボタンの操作などに従って、公知の駆動機構により自動で行うようにすることもできる。
また、モニタ部10を、頂部9を介して垂直軸回りへ回動させるときも、検者がモニタ部10又は頂部9を保持して手動で行うことができる。また、表示面10aに表示された操作ボタンの操作などに従って、駆動機構・駆動回路8によって自動で行うようにすることもできる。
なお、本実施の形態では、図2(a)に示すように、モニタ部10の向きを、水平状態から垂直状態まで、約90°の範囲で回転させることができる。また、この範囲で回動させても、表示面10aが逆さまになることはなく、特許文献2の従来技術のように、フォトセンサなどでモニタ部10の向きを検出する必要や、表示情報を上下左右反転させて表示する必要がない。そのため、制御回路ユニット13の制御動作や、検眼装置1の構成をより簡易にすることができる。
なお、本実施の形態では頂部9自体が垂直軸回りに回動することで支持部11及びモニタ部10が垂直軸回りに回動自在となっているが、これに限定されるものではない。頂部9を回動不能に本体部3aに固定し、支持部11が適宜の回動手段によって頂部9に対して頂部9の中心を通る垂直軸回りに回動自在となる構成であってもよい。
また、モニタ部10と測定ヘッド3とは、測定ヘッド3の内部に挿通されたケーブルで電気的に接続され、互いに通信可能となっている。これにより、モニタ部10での操作ボタンのタッチ操作に従って、光学系6や駆動機構・駆動回路8を駆動制御したり、光学系6からの被検眼像を表示面10aに表示したりすることができる。なお、モニタ部10と測定ヘッド3とを、Wi−Fi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)などの無線通信によって接続し、互いに通信可能としてもよい。
次に、上述のような構成の検眼装置1を用いて、被検眼の検査をするときのモニタ部10の姿勢の制御について、図1〜図4を参照しながら説明する。まず、検者が被検者と対峙する位置、つまり検眼装置1の背面側に位置して検査を行う場合は、頂部9を介してモニタ部10を垂直軸回りに回動し、図1、図2に示すように、モニタ部10を検眼装置1の背面側に配置する。
このようなモニタ部10の姿勢によって、検者は被検者と対峙して座った状態で、モニタ部10を視認しながらタッチパネルを操作して、測定作業を行うことができる。さらに、モニタ部10が水平軸回り(図1、図2の場合はX軸回り)に回動自在であるため、検者は視認や操作がし易くなるように、モニタ部10及びその表示面10aの向きを任意に変更することができる。
例えば、検者が立って測定作業を行う場合や、座高の高い検者の場合は、モニタ部10を水平軸回りで図2(a)のA方向に回動することで、モニタ部10を水平又はより水平に近い上向きの姿勢で配置することができる。一方、検者が座って測定作業を行う場合や、座高の低い検者の場合は、モニタ部10を水平軸回りで図2(a)のB方向に回動することで、図2(a)の仮想線又は図2(b)に示すように、モニタ部10を垂直又はより垂直に近い横向きの姿勢で配置することができる。いずれの場合でも、検者の目線の高さに合わせてモニタ部10の向きを調整することができ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の姿勢の自由度を高めることができる。その結果、検者の姿勢の自由度や操作ボタン等の操作性も向上し、測定効率を向上させることができる。
次に、検者が被検者に寄り添って、検眼装置1の正面側から検査を行う場合は、図3に示すように、頂部9を介してモニタ部10を垂直軸回りに回動し、検眼装置1の正面側に配置し、表示面10aが正面側を向くようにする。これにより、検者は被検者の後ろで、被検者を補助しながらモニタ部10を操作して測定作業を行うことができる。また、水平軸回りに回動することで、検者の姿勢や身長などに応じて、視認や操作がし易い向きにモニタ部10を配置することができる。したがって、検者の姿勢の自由度や操作ボタン等の視認性や操作性が向上し、測定効率を向上させることができる。
また、検者が検眼装置1の右側又は左側に位置して検査を行う場合について説明する。このような状況としては、例えば、検眼装置1を室内の隅部の壁に沿って設置して、検眼装置1の背面側から被検者と対峙して検査できない場合などが挙げられる。検者が検眼装置1の右側から検査を行う場合は、図4(a)、図4(b)に示すように、頂部9を介してモニタ部10を垂直軸回りに回動し、モニタ部10を右側(X軸正方向)に配置する。次に、モニタ部10を水平軸回り(この場合は、Y軸回り)に回動し、図4(a)、図4(b)に実線又は仮想線で示すように、検者の姿勢や身長などに応じてモニタ部10の向きを垂直、斜め、水平の所望の向きに配置することができる。
一方、検者が被検者の検眼装置1の左側から検査を行う場合は、垂直軸回りであって図4の場合とは反対方向にモニタ部10を回動し、モニタ部10を左側(X軸負方向)に配置する。又はモニタ部10を図4の場合と同じ方向に回動させてもよい。本実施形態では、モニタ部10(及び頂部9)を、時計回り又は反時計回りで360°方向に自在に回動できるので、所望の方向へモニタ部10を回動して、所望の位置に配置することができる。次いでモニタ部10を水平軸回りに回動して、モニタ部10の向きを所望の角度に調節する。
これにより、検者は検眼装置1の右側又は左側で、モニタ部10の視認や操作を容易に行いながら測定作業を行うことができる。この場合、検者の位置が被検者に近くなるため、被検者を補助しながら測定作業を行うこともできる。したがって、検者の姿勢の自由度や操作ボタン等の視認性や操作性が向上し、さらに被検者への補助によって測定エラー等を防止することができ、測定効率や測定精度をより向上させることができる。
以上、第1実施形態によれば、測定ヘッド3とこれを操作するモニタ部10との一体化を図った場合でも、モニタ部10の位置変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度の向上を図ることができ、視認性及び操作性に優れ、しかも簡易な構成の検眼装置1を提供することができる。
また、例えば、モニタ部10の端部を支持する構成では、モニタ部10を水平軸回りに回動したときに、支持部11とは反対側のモニタ部10の端部が、モニタ部10の上下の長さ分の半径の円を描いて回動する。これに対して、第1実施形態では、支持部11は、モニタ部10の上下方向の中央近傍を支持する構成である。この構成により、モニタ部10の回動半径がモニタ部10の長さの半分となり、回動軌跡を小さくすることができ、検眼装置1の周囲に広い空間を持たせる必要がなく、設置の自由度等も向上する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る検眼装置1Aについて、図5、図6を参照しながら説明する。図5、図6に示す第2実施形態の検眼装置1Aは、図1〜図4に示す第1実施形態の検眼装置1と同様の基本構成を備え、さらに、モニタ部10を上下に移動自在とする上下動機構としてのスライド機構14を備えている。そのため、第1実施形態と同じ構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、詳細な説明は省略し、以下では第1実施形態と異なる構成であるスライド機構14について主に説明する。
スライド機構14として、本実施形態では、モニタ部10の裏面に上下方向に延在する凹部14aを設け、この凹部14aの両端に、レール状の一対の凹溝14bを設けている。このような凹部14a内に、スライダ部材15が上下動自在に装着されている。スライダ部材15の両端は、一対の凹溝14b内に係合され、スライダ部材15の上下の移動を可能としつつ、スライダ部材15の凹部14aからの脱落を防止している。
スライダ部材15には円筒部11aが固定され、この円筒部11aと頂部9に固定された支持アーム11bに水平軸11cを挿通することで、スライダ部材15を水平軸回りに回動自在に支持アーム11bに取付けている。このような構成の支持部11及びスライド機構14により、モニタ部10が頂部9に対して水平軸回りに回動自在かつ、上下に移動自在となっている。
スライダ部材15は、凹部14a内を上下に自在に移動し、かつ所望の移動先で停止した状態を保つことができるように構成されている。例えば、スライダ部材15と凹溝14bとの摩擦力によって停止状態を保つものであってもよいし、凹溝14b内にスライダ部材15を係合する段部などを設けた構成としてもよい。また、他の異なる構成として、カバー部材12の外側にレール部材を突設してもよい。また、上下動機構が本実施の形態のスライド機構14に限定されるものではなく、ピニオンギアとラックレールとで構成してもよいし、ベルトコンベアなどによって構成してもよい。
以上のような構成の第2実施形態の検眼装置1Aでも、頂部9を介してモニタ部10を垂直軸回りに回動することで、検者の位置に応じて、検眼装置1Aの背面側、正面側、右側、左側の所望の位置にモニタ部10を配置することができる。また、それぞれの位置で、モニタ部10を水平軸回りに回動することで、所望の向きにモニタ部10を配置することができる。
さらにこの第2実施形態の検眼装置1Aでは、スライド機構14によってモニタ部10を上下に自在に移動させて、検者の姿勢や目線の高さに応じて、モニタ部10の高さ調節も自在に行うことができる。したがって、測定ヘッド3とこれを操作するモニタ部10とが一体の場合でも、モニタ部10の姿勢変更作業の効率化を図りつつ、測定ヘッド3に対するモニタ部10の位置の自由度の向上を図ることができ、簡易な構成の検眼装置1Aを提供できる。また、検者の姿勢の自由度や操作ボタン等の視認性及び操作性が向上し、測定効率を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、第2実施形態に係る検眼装置1Bについて、図7を参照しながら説明する。図7に示す第3実施形態の検眼装置1Bは、制御回路ユニット13の機能が異なること以外は、第2実施形態と同じ基本構成を備えている。そのため、以下では第2実施形態と異なる制御回路ユニット13の機能について説明し、第3実施形態の検眼装置1Bの各構成部材の詳細な説明は省略する。
第3実施形態の検眼装置1Bでは、制御回路ユニット13が、第2実施形態等と同様の機能の他に、モニタ部10の水平軸回りの回動状態に応じて、モニタ部10への表示内容を上下方向に反転させて表示する機能を備えている。さらに、制御回路ユニット13は、モニタ部10とモニタ部10の操作ボタンの操作者である検者との距離その他の位置関係に応じて、モニタ部10への表示内容の表示倍率を変更する機能を備えている。
以下、制御回路ユニット13によるモニタ部10への表示内容の上下反転制御と、表示倍率の変更制御について、図7の検眼装置1Bの右側面図及び図8の表示面10aへの表示情報の表示例を参照しながら、具体的に説明する。
制御回路ユニット13は、例えば、図8の上図に示すように、被検眼像等表示領域20と操作ボタン表示領域21とを有する画面を編集して表示面10aに表示する。被検眼像等表示領域20には、光学系6が備える撮像部で撮影された前眼部、眼底部等の被検眼像が表示される。
操作ボタン表示領域21は、表示面10aに向かって左側に左側表示領域21aを有し、右側に右側表示領域21bを有し、下方に下側表示領域21cを有している。左側表示領域21aには、患者の登録用のキーボードボタンB1、右眼選択用のRボタンB2、顎受け部4の上下動用の顎受け上下動ボタンB3、測定モード切り替え用の測定モードボタンB4が配置されている。右側表示領域21bには、セットアップ画面の表示用のセットアップボタンB5、左眼選択用のLボタンB6、測定ヘッド3を前後動させる測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7、マニュアルモード時の測定用スタートボタンB8、マニュアル・オート切り替えボタンB9等が配置されている。
下側表示領域21cには、白内障等がある場合に用いる白内障ボタンB10、測定ターゲット表示用のターゲット像ボタンB11、角膜直径測定用の角膜直径ボタンB12、測定結果のプリントアウト用のプリントボタンB13、屈折状態示す図形のプリントアウト用のグラフィックプリントボタンB14、観察像の表示用の観察像表示ボタンB15、全測定値のクリア用の全測定値クリアボタンB16、表示画像の上下反転用の上下反転ボタンB17が配置されている。
上述のような各種ボタンをタッチパネル上でタッチ操作することで、検眼装置1を動作させることができる。また、モニタ部10を垂直軸回りに回動させることで、第1、第2実施形態と同様に、所望の位置でのモニタ部10の視認や操作が可能となる。
検者が被検者の背後から検眼を行う際に、検眼装置1のサイズや検眼装置1に対する被検者の頭部の位置関係等の要因で、図3のように被検者側にモニタ部10を配置することが困難な場合がある。このような場合、図7に示すように、被検者とは反対側にモニタ部10を配置した状態で、スライド機構14によって測定ヘッドに対してモニタ部10を下方向に移動し、さらに表示面10aが被検者側を向くように水平軸回りに回動させる。これにより、モニタ部10が被検者側を向き、検者が被検者の背後からモニタ部10の表示面10aを視認して操作することが可能となる。
なお、図7のモニタ部10の配置状態では、水平軸回りへの回動前に対してモニタ部10が上下逆さまとなり、表示面10aへの表示情報も上下逆さまに表示され、検者が表示情報の視認や操作が行いにくくなる。これを解消するため、第3実施形態では、検者が表示面10aの上下反転ボタンB17をタッチ操作すると、この操作を受け付けた制御回路ユニット13が、表示情報を上下反転させて表示面10aに表示する。その結果、図7に示すモニタ部10の姿勢のときの表示面10aは、図8に示す水平軸回りへの回動前の姿勢のときの表示面10aと見た目上、同じとなる。したがって、検者は表示面10aの表示情報を容易に視認したり操作したりすることができる。
また、図7に示す姿勢のモニタ部10を、被検者の背後から検者が視認や操作する場合、モニタ部10と検者との距離によっては、通常の表示倍率では視認や操作がしにくい場合がある。これを解消すべく、第3実施形態では表示面10aへの表示情報の表示倍率を変更することができる。例えば、表示面10aの所定箇所のタッチ操作や領域指定に応じて、所定の画像の拡大表示や縮小表示をする構成することができる。
この表示倍率の変更は、被検眼の画像を画像処理によって行ってもよい。また、光学系6の撮像部を制御して、その撮影範囲や撮影倍率を変更し、変更後に取得された撮影画像を表示面10aに表示することで行ってもよい。
例えば、検者が被検者の背後から測定する場合、被検者の実際の眼の状態を確認しにくく、被検者が適切な方向を視認しているか等を把握しにくい。この場合、図8の上図のような前眼部だけの像では、被検眼の状態は把握しにくい。この場合、表示面10aの所定の箇所、例えば、図8の上図に示すように、被検眼像等表示領域20をタッチ操作する。この操作により、図8の下図に示すように、前眼部の像の表示倍率が縮小されて、被検眼の周辺を含む像が表示される。この画像を視認することで、検者は被検眼の状態を明確に確認できる。また、前眼部の像を拡大表示することで、検者は被検眼の白内障の状態等を詳細に観察することができる。
また、図9に、患者の登録用のキーボードボタンB1がタッチ操作されたときの表示面10aの表示例を示す。キーボードボタンB1がタッチ操作されると、図9の上図に示すように被検眼像等表示領域20にキーボードの画像が表示される。モニタ部10と検者との距離が近い場合は、このキーボード画像をタッチ操作することができるが、図7に示す姿勢のモニタ部10で検者との距離が近い場合は、キーの視認や操作が行いにくい場合がある。この場合、キーボードのキー以外の箇所をタッチ操作することで、図9の下図のように、被検眼像等表示領域20全体にキーボードの画像が拡大表示され、視認性や操作性が向上する。よって、検者は容易にキーボードを操作することができ、作業性を向上させることができる。
また、図10に、検眼装置1がOCT装置であった場合に表示面10aに表示される画面例を示す。この図10の中央図に示す画面は、前眼部のステレオ画像30a、瞳孔検知マーク30b、眼底移動ボタン30c、測定ヘッド前後ボタン30d等が表示される前眼部像等表示領域30と、眼底像や前眼部像のライブ映像31a、スキャンパターン31b等が表示される眼底像等表示領域31と、小瞳孔絞りや内部固視標等の変更用の操作ボタン32aが表示される操作ボタン表示領域32と、断層像のライブ映像33a、Zロック位置の変更用のバー33b等が表示される断層像ライブ映像領域33とを有している。
この中央の画面において、前眼部像等表示領域30をタッチ操作すると、図10の上図のように、ステレオ画像30a等が表示面10aに拡大表示される。検者は、拡大表示されたステレオ画像30aや瞳孔検知マーク30bを視認しながら、拡大表示された各種ボタン30c,30dを容易に操作することができる。また、眼底像等表示領域31をタッチ操作すると、図10の左図のように、眼底像等のライブ映像31aやその上に重畳されたスキャンパターン31b等が表示面10aに拡大表示される。検者は、眼底像等を詳細に観察することができる。また、この画面の下方に、スキャンパターンの例を図示した。図10の中央の画面では、ライブ映像31aが小さく、その上に重畳されたスキャンパターンを視認等しにくいが、図10の左図のように拡大表示することで、これらをより明確に確認することができる。
また、操作ボタン表示領域32をクリック操作することで、図10の下図のように、操作ボタンが表示面10aに拡大表示されるため、操作ボタンの視認性や操作性が向上する。また、断層像ライブ映像領域33をクリック操作することで、図10の右図のように、断層像のライブ映像が表示面10aに拡大表示される。これにより、断層像等をより明確に観察することができるとともに、バー33bの視認性や操作性も向上する。
以上説明したように、第3実施形態の検眼装置1Bでも、第1、第2実施形態の検眼装置1,1Aと同様の作用効果を得ることができる。さらに、第3実施形態では、モニタ部10の姿勢に応じて、モニタ部10への表示情報の内容を変更する表示制御部(制御回路ユニット13)を備えている。この構成により、モニタ部10の視認性及び操作性をより向上させることができる。ここで、姿勢とは、例えばモニタ部10の垂直軸回りや水平軸回りの回動状態等である。表示情報の内容の変更とは、アイコンの拡縮表示や使用頻度の低いアイコンの省略、レイアウトの変更、表示情報の上下左右の反転、表示倍率の変更等が挙げられる。
第3実施形態では、表示制御部(制御回路ユニット13)が、モニタ部10の水平軸回りの回動状態に応じて、モニタ部10への表示情報を上下方向に反転させて表示している。これにより、モニタ部10が上下逆さになった場合でも、検者に対して上下方向において正しい配置の画像が表示面10aに表示され、視認及び操作性を向上させることができる。
また、第3実施形態では、表示制御部(制御回路ユニット13)がモニタ部10と操作ボタンの操作者(検者)との位置関係に応じてモニタ部10への表示倍率を変更している。この構成により、前眼部の像や操作ボタン等、所望の画像を拡縮して表示することができ、モニタ部10の表示情報の視認性や操作性をより向上させることができ、測定効率や測定性能をより向上させることができる。なお、上下反転や表示倍率の変更等の表示情報の変更を適用する画面が、図8〜図10の表示例に限定されるものではなく、被検眼の測定に係る様々な画面に適用することができる。
(変形例)
以下、第3実施形態の変形例を説明する。第3実施形態では、タッチパネルのタッチ操作に応じて、モニタ部10への表示情報の上下反転や、表示倍率の変更を行っている。これに対して、変形例では図7に破線で示すように、モニタ部10の姿勢(ここでは水平軸回りの回動状態)を検出する検出部16をモニタ部10に設けている。この検出部16による検出結果に応じて、制御回路ユニット13の制御により、自動でモニタ部10への表示情報の上下反転や表示倍率の変更を行う構成としている。なお、検出部16が、垂直軸回りの回動状態も検出し、垂直軸回り及び水平軸回りの回動状態の検出結果に基づいて、左右反転、アイコン等の拡縮表示や省略、レイアウト変更等を行うものであってもよい。検出部16は、例えば、ジャイロセンサ等の角速度センサ、加速度センサ等が好適に用いられる。また、フォトセンサ等を用いてもよい。
変形例の検眼装置では、制御回路ユニット13は、検出部16で検出したモニタ部10の姿勢に応じて、表示情報の見た目上の位置や方向を調整して、表示面10aに表示する。したがって、検者がタッチパネル操作をしなくても、自動でモニタ部10の姿勢に応じた好適な表示情報の表示が可能となり、より使い勝手のよい検眼装置を提供できる。また、一対の支持アーム11bを適宜長くする等、支持部11の構成を変えることで、モニタ部10の傾斜角度をより拡げることができ、検者が視認し易い角度にモニタ部10の角度を調整することができる。
また、第1実施形態、第2実施形態の検眼装置1でも、機種に応じて図8〜図10に示すような表示情報を表示面10aに表示してもよい。この場合も、表示面10aのタッチ操作等に従って、所定の表示情報を拡大又は縮小表示する構成とすれば、視認性や操作性をより向上させることができる。第1、第2実施形態では、表示画像の上下反転を行わない仕様としているので、上下反転ボタンB17を設けたり、上下反転の制御を行ったりしなくてもよく、構成がより簡易である。しかしながら、第1実施形態でも上下反転可能な構成とすれば、例えば、図2(a)のようにモニタ部10を水平にした状態で、検者が被検者の側からモニタ部10を操作するときに、検者が視認や操作が行い易くなる。
以上、本発明の検眼装置を実施形態に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、上記第3実施形態では、被検眼像や操作ボタンの表示倍率を変更し、表示倍率が変更された被検眼像又は操作ボタンのみを表示面10aに表示しているが、このような表示に限定されるものではない。他の例として、指定された操作ボタンをポップアップ形式で拡大して、被検眼像や操作ボタンの画像に重畳して表示してもよい。
また、上記第3実施形態では、モニタ部10の水平軸回りの回動に応じて、モニタ部10への表示情報を上下方向に反転させているが、さらに、モニタ部10の垂直軸回りの回動に応じて、モニタ部10への表示情報を左右方向に反転させて表示してもよい。例えば、モニタ部10を検眼装置1の左側へ配置した場合、図8に示す顎受け上下動ボタンB3と測定ヘッド前後ボタンB7を左右入れ替えて表示すれば、顎受け部4に近い側に顎受け上下動ボタンB3を配置することができ、左右側にモニタ部10を配置したときの視認性や操作性をより向上させることができる。この場合も、所定の操作ボタンの操作によって、表示情報を左右反転させるものであってもよいし、垂直軸回りへのモニタ部10の回動を検出部で検出して、自動で表示情報を左右反転させてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、手動又は表示面10aに表示された操作ボタンの操作によって、頂部9を介してモニタ部10を垂直軸回り又は水平軸回りに回動しているが、これに限定されるものではない。例えば、カメラでの撮影画像やセンサで検者の位置を検出して、この検出結果に応じて、モニタ部10を垂直軸回りや水平軸回りに回動してもよい。さらには、この回動状態や検者とモニタ部10との位置関係に応じて、モニタ部10への表示情報の上下左右の反転、表示倍率の変更等を行ってもよい。