JP2019050836A - ステント - Google Patents
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Abstract
【課題】ストラットに設けられた機械的な接続構造と生分解性材料とによりストラット同士の接続を所望の期間に亘って良好に維持し得るステントを提供する。【解決手段】円筒形状のステント100のリンク部は、隣り合うストラット111同士のそれぞれに一体的に設けられ、互いに対向した状態で配置されている第1接続部112および第2接続部113と、第1接続部および第2接続部に介在して第1接続部および第2接続部を接続する生分解性材料121と、を含む。第1接続部および第2接続部は、円筒形状の周方向D2において互いに重なる位置に配置される。第1接続部および第2接続部は、ストラットの表面から厚み方向D3に貫通あるいは窪んで形成されて生分解性材料を保持する保持部112c、113cを有し、第1接続部の保持部は、円筒形状の軸方向D1において第2接続部と重なる位置に配置されており、第2接続部の保持部は、円筒形状の軸方向D1において第1接続部と重なる位置に配置されている。【選択図】図4
Description
本発明は、ステントに関する。
ステントは、血管等の生体管腔内に生じた狭窄部位または閉塞部位に拡張した状態で留置されて生体管腔の開存状態を維持するものであり、拡張した状態を保持するための強度が求められる。その一方で、ステントには生体管腔の形状に追従する柔軟性も求められ、柔軟性を向上させるための様々な試みがなされている。
例えば、下記特許文献1には、生分解性材料(生体吸収性ポリマー)で構成されたブリッジでストラット同士を接続し、生体管腔内に留置した後、所定の期間が経過した後にストラット同士の接続を解除することにより所望の柔軟性を発揮し得るように構成されたステントが開示されている。
しかしながら、生分解性材料で構成されたブリッジのみを利用してストラット同士を接続した場合、ステントに不用意に力が付加されると、ストラット同士の接続が解除されてしまい、ステントの機械特性が意図せずに変化してしまうことが起こり得る。例えば、ステントを生体管腔内にデリバリーする際や、バルーンにクリンプしたステントを生体管腔内で拡張する際や、留置後にステントの内腔を通じて各種の医療器具を導入して処置を行う際などには、ブリッジによる接続が解除されてしまう可能性が高くなる。
また、例えば、生分解性材料で構成されたブリッジのみに依らずに、ストラットに形状等を付加して機械的な接続構造を設けることにより、ストラット間の接続力を補強することは可能であると考えられるが、これまでは接続力を向上させるのに適したストラットの接続構造については十分な検討がなされていなかった。
そこで、本発明は、ストラットに設けられた機械的な接続構造と生分解性材料とによりストラット同士の接続を所望の期間に亘って良好に維持し得るように構成されたステントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のステントは、隙間が形成された円筒形状の外周を形作る線状のストラットと、前記隙間で前記ストラット同士を接続する複数のリンク部と、を有する。前記リンク部の少なくも一つは、隣り合う一の前記ストラットと他の前記ストラットのそれぞれに一体的に設けられており、互いに対向した状態で配置される一の接続部および他の接続部と、前記一の接続部および前記他の接続部に介在して前記一の接続部および前記他の接続部を接続する生分解性材料と、を含む。前記一の接続部および前記他の接続部は、前記円筒形状の周方向において互いに重なる位置に配置されている。前記一の接続部および前記他の接続部のそれぞれは、前記ストラットの表面から厚み方向に貫通あるいは窪んで形成されて前記生分解性材料を保持する保持部を有する。前記一の接続部の前記保持部は、前記円筒形状の軸方向において前記他の接続部と重なる位置に配置されており、前記他の接続部の前記保持部は、前記円筒形状の軸方向において前記一の接続部と重なる位置に配置されている。
上記構成を有するステントによれば、ストラット同士を接続するリンク部は、生分解性材料に加え、機械的な接続構造として一対の接続部を有している。一対の接続部のうち一方の接続部は、保持部が形成されている位置まで軸方向において他方の接続部と重なるように配置されているため、接続部同士の軸方向において重なっている部分の長さを比較的長くすることができる。このため、仮に、ステントに不用意に力が加わったとしても、リンク部における機械的な接続を良好に維持することができる。その結果、ステントを生体管腔内に留置し、所定の期間が経過して生分解性材料が分解されるまでの間、ストラット同士の接続を良好に維持することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる。
図1および図2は、実施形態のステント100の構造を示す概略図である。図3および図4は、実施形態のステント100のリンク部120の構造を示す概略図である。なお、図4では、生分解性材料121(図3(A)参照)を省略して示している。以下、図1〜図4を参照して、実施形態のステント100について説明する。
図1に示すように、実施形態のステント100は、線状の構成要素であるストラット110、111を有する。ストラット110、111は、隙間が形成された円筒形状の外周を形作っている。
なお、明細書中、ストラット110、111によって形作られた円筒形状の軸方向は、単に「軸方向D1」と記載し(図1参照)、円筒形状の周方向は、単に「周方向D2」と記載する(図3(A)参照)。
ストラット110は、軸方向D1の両端に位置し、波状に折り返されつつ周方向D2に延在して無端の環状形状を形作っている。
ストラット111は、一端のストラット110と他端のストラット110との間において、波状に折り返されつつ軸方向D1のまわりに螺旋状に延在している。
ストラット110、111を形成する材料は、例えば、生体内で分解しない非生分解性の材料である。そのような材料としては、例えば、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(例えばCoCrWNi合金)等のコバルト系合金、プラチナ−クロム合金(例えばPtFeCrNi合金)等の弾性金属、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金等が挙げられる。
図2に示すように、実施形態のステント100は、複数のリンク部120、130を有する。
リンク部120は、隣り合うストラット111とストラット111との間の隙間でそれらを接続している。リンク部130は、隣り合うストラット110とストラット111との間の隙間でそれらを接続している。
リンク部120は、隙間を空けて隣り合うストラット111同士の離間方向S1に対して交差する方向S2において、所定の間隔で配置されている。リンク部130は、周方向D2において、所定の間隔で配置されている。
図3(A)に示すように、リンク部120は、第1接続部112および第2接続部113、ならびに生分解性材料121を含む。
第1接続部112および第2接続部113は、隣り合うストラット111とストラット111のそれぞれに一体的に設けられるとともに、互いに対向した状態で配置されており、生分解性材料121によって接続されている。
第1接続部112は、隣接する2つのストラット111のうち、一方のストラット111の一部が部分的に突出して形成されており、第2接続部113は、他方のストラット111の一部が部分的に突出して形成されている。
図3(A)、(B)に示すように、第1接続部112は、第2接続部113側に向けて突出し、かつ、丸みを帯びた湾曲形状を有する突出部112aと、突出部112aに連なり、第2接続部113の突出部113aの外形形状に応じた凹形状を有する収容部112bと、ストラット111の表面から厚み方向D3に貫通して形成されて生分解性材料121を保持する保持部112cと、を有する。第2接続部113は、第1接続部112側に向けて突出し、かつ、丸みを帯びた湾曲形状を有する突出部113aと、突出部113aに連なり、第1接続部112の突出部112aの外形形状に応じた凹形状を有する収容部113bと、ストラット111の表面から厚み方向D3に貫通して窪んで形成されて生分解性材料121を保持する保持部113cと、を有する。
図3(A)に示すように、本実施形態では、各突出部112a、113aは、円筒形状の径方向(図1の矢印Rで示す方向。以下、「径方向R」と記載する)から見たときに、円弧状の外形形状を備えている。
収容部112bの凹形状は、突出部113aの外形形状よりも大きく形成されている。突出部113aは、収容部112bの凹形状内に隙間を設けて収容される。収容部113bの凹形状は、突出部112aの外形形状よりも大きく形成されている。突出部112aは、収容部113bの凹形状内に隙間を設けて収容される。なお、突出部112aは、収容部113bに部分的に接触してもよい。また、突出部113aは、収容部112bに部分的に接触してもよい。
図3(B)に示すように、本実施形態では、各保持部112c、113cは、ストラット111を厚み方向D3に貫通する貫通穴によって構成されている。ただし、各保持部112c、113cは、生分解性材料121を保持可能であれば、貫通穴である必要はなく、少なくともストラット111の厚み方向D3にある程度窪んだ形状であればよい。
図3(A)に示すように、各保持部112c、113cは、径方向Rから見たときに、円形の外形形状を備えている。各保持部112c、113cは、径方向Rから見たときの各突出部112a、113aの円弧状の外形形状の中心に、各保持部112c、113cの中心P1、P2を位置合わせするように配置されている。
図4に示すように、第1接続部112および第2接続部113は、周方向D2において互いに重なる位置に配置されている。第1接続部112および第2接続部113において、周方向D2に互いに重なっている部分の軸方向D1に沿う長さは、L1である。
また、第1接続部112は、第2接続部113の保持部113cと、軸方向D1において重なる位置に配置されている。第1接続部112および保持部113cにおいて、軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2に沿う長さは、L12である。同様に、第2接続部113は、第1接続部112の保持部112cと、軸方向D1において重なる位置に配置されている。第2接続部113および保持部112cにおいて、軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2に沿う長さは、L13である。
したがって、径方向Rから見たときの突出部113a(または突出部112a)の周縁と保持部113c(または保持部112c)の周縁との間の部分の距離をΔLとすれば、第1接続部112および第2接続部113において、軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2に沿う長さは、ΔL+L12(=ΔL+L13)である。
さらに、第1接続部112の保持部112cの中心P1は、軸方向D1において、第2接続部113と重なる位置に配置されている。同様に、第2接続部113の保持部113cの中心P2は、軸方向D1において、第1接続部112と重なる位置に配置されている。
さらに、第1接続部112および第2接続部113は、ステント100を拡張させる際にリンク部120に作用する引張力Fの方向T(以下、「引張方向T」と記載する)との関係を考慮して配置することができる。本実施形態においては、第1接続部112および第2接続部113は、保持部112c、113cの中心P1、P2同士を繋ぐ仮想線K1が、引張方向Tに対して、保持部112c、113cが軸方向D1において互いに重なり合う方向a1(以下、「重なり方向a1」と記載する)に向けて傾斜するように、配置されている。
なお、引張方向Tは、リンク部の配置やストラット形状等のステント構造、ステントの拡張時の形状等によって異なり、解析や実験等によって特定することができる。例えば、本実施形態では、図2に示すように、1つのリンク部120を中心として、隣接する他のリンク部120との間に設けられるストラット111の折り返し部111aの数は、第1範囲A1では2つであるのに対し、第2範囲A2では4つである。このため、ステント100の拡張に伴いストラット111が伸びたとき、折り返し部111aの数が少なく比較的伸びにくい第1範囲A1におけるストラット111の方が、第2範囲A2におけるストラット111よりもリンク部120を引っ張る力が強い。したがって、ステント構造に基づけば、本実施形態では、引張方向Tは、ステント100の軸方向D1に対して第1範囲A1側に傾くと概ね特定できる。
図3(A)、(B)に示すように、生分解性材料121は、ステント100が生体管腔内において留置された後、所定時間経過して分解されるまでの間、第1接続部112と第2接続部113とを繋ぎ止める。
生分解性材料121は、第1接続部112および第2接続部113の表面と、第1接続部112と第2接続部113との間の隙間と、各保持部112c、113c内とに一体的に連なるように形成されている。第1接続部112および第2接続部113の表面を覆うように生分解性材料121を設けるだけでなく、第1接続部112と第2接続部113との間の隙間および各保持部112c、113c内に生分解性材料121を充填することにより、第1接続部112および第2接続部113をより良好に繋ぎ止めることができる。
生分解性材料121は、生体内で分解される材料である限り特に限定されず、そのような材料としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸−カプロラクトン共重合体、グリコール酸−カプロラクトン共重合体、ポリ−γ−グルタミン酸等の生分解性合成高分子材料、あるいは、コラーゲン等の生分解性天然高分子材料、マグネシウム、亜鉛等の生分解性金属材料が挙げられる。
リンク部120は、生分解性材料121の表面に、薬剤を含む被覆体122を備える。被覆体122は、生分解性材料121の表面のうち、好ましくは、生体管腔の内周面と対向する側の外表面に形成されるが、これに限定されない。
被覆体122は、新生内膜の増殖を抑制可能な薬剤と、薬剤を担持するための薬剤担持体と、を含んでいる。なお、被覆体122は、薬剤のみによって構成されていてもよい。被覆体122に含まれる薬剤は、例えば、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル等からなる群より選択される少なくとも1種である。薬剤担持体の構成材料としては、特に限定されないが、生分解性材料が好ましく、生分解性材料121と同様の材料を適用できる。
リンク部130は、ストラット110およびストラット111と一体的に形成されている。
次に本実施形態のステント100の作用効果について述べる。
ステント100は、例えば、血管、胆管、気管、食道、または尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部位または閉塞部位に、バルーンカテーテル等のステントデリバリー用の医療器具を用いてデリバリーされる。本実施形態のリンク部120では、図4に示すように、第1接続部112は、保持部113cと軸方向D1において重なる位置に配置されており、第2接続部113は、保持部112cと軸方向D1において重なる位置に配置されている。このため、接続部112、113同士の軸方向D1に重なっている部分の周方向D2に沿う長さが比較的長く、デリバリーの際に、仮に、ステント100に不用意に力が加わったとしても、リンク部120の機械的な接続を良好に維持することができる。
また、デリバリーされたステント100は、生体管腔の狭窄部位または閉塞部位において拡張される。この際、図4に示すように、本実施形態のリンク部120では、保持部112c、113cの中心P1、P2同士を繋ぐ仮想線K1が、引張方向Tに対して、重なり方向a1に向けて傾斜している。このため、ステント100を拡張させた際に各接続部112、113に作用する引張力Fを、仮想線K1に沿う方向の成分f1と、仮想線K1に直交する方向の成分f2とに分解して表現すれば、成分f2は、重なり方向a1に作用する。すなわち、ステント100を拡張させると、各接続部112、113には、軸方向D1において互いに重なり合う方向に引張力Fが作用する。このため、ステント100の拡張に伴って、接続部112、113同士の接続が解除されるのを好適に防止することができる。その結果、ステント100の留置後においてもリンク部120の接続を良好に維持することができる。
図5は、比較例のリンク部220を示す図である。なお、図5では、図4と同様に、生分解性材料121(図3(A)参照)を省略して示している。
比較例のリンク部220では、第1接続部112は、保持部113cと軸方向D1において重なる位置に配置されていない。また、比較例のリンク部220では、第2接続部113は、保持部112cと軸方向D1において重なる位置に配置されていない。比較例のリンク部220では、第1接続部112と第2接続部113は、第1接続部112および第2接続部113において軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2沿う長さがΔLとなるように配置された状態で、生分解性材料121によって繋ぎ合わされている。このため、比較例のリンク部220は、本実施形態のリンク部120と比較すると、接続部112、113同士の軸方向D1に重なっている部分の周方向D2に沿う長さが、長さL12(L13)だけ短く、その分、機械的な接続が弱い。
さらに、比較例のリンク部220では、保持部112c、113cの中心P1、P2同士を繋ぐ仮想線K2が、引張方向Tに対して、重なり方向a1と反対の方向a2(以下、「重なり解除方向a2」と記載する)に向けて傾斜している。このため、ステント100を拡張させた際に、各接続部112、113に作用する引張力Fを、仮想線K2に沿う方向の成分f1と、仮想線K2に直交する方向の成分f2とに分解して表現すれば、成分f2は、重なり解除方向a2に作用する。すなわち、ステント100を拡張させると、各接続部112、113は、軸方向D1の重なり合いを解除する方向に引張力Fが作用する。このため、比較例のリンク部220は、本実施形態のリンク部120と比較すると、ステント100を拡張させた際にストラット111同士の接続が外れ易い。
本実施形態のステント100は、留置から日が浅く再治療の可能性のある急性期では、生分解性材料121の分解はあまり進行しておらず、また、前述したように第1接続部112および第2接続部113によってリンク部120の接続が良好に保たれている。このため、ステント100は、強度が高く、留置直後の大きく拡張した状態をより確実に維持するので、例えば、留置状態等の確認に適用されるIVUS(血管内超音波検査法)用のカテーテルもしくはOFDI(光干渉断層診断)用のカテーテル、または後拡張用のバルーンカテーテル等のデバイスを、ステント100の内側に通し易い。
また、ステント100は高い強度を保つため、例示した上記の各デバイス等が内側を通る際に意図せず接触したとしても、軸方向D1にステント100が変形(デフォメーション)するリスクが抑制される。
急性期後、内皮化が進行する時期にあっては、生分解性材料121がある程度分解され、リンク部120の接続が弱まる。
その結果、ステント100は、柔軟性が増し、生体管腔の形状に追従して変形し易い。
内皮化が進んだ後、慢性期に入ると、リンク部120は、生分解性材料121の分解によって接続を解除する。このため、ステント100は、特に高い柔軟性を有し、生体管腔の形状に柔軟に追従する。その結果、ステント100は、長期にわたって低侵襲に生体管腔を支持しつつ開存状態を維持することができる。
以上のように、本実施形態のステント100では、リンク部120は、隣り合う一のストラット111と他のストラット111のそれぞれに一体的に設けられており、互いに対向した状態で配置されている第1接続部112および第2接続部113と、第1接続部112および第2接続部113に介在して第1接続部112および第2接続部113を接続する生分解性材料121と、を含む。第1接続部112および第2接続部113は、周方向D2において互いに重なる位置に配置されている。第1接続部112および第2接続部113のそれぞれは、ストラット111の表面から厚み方向D3に貫通あるいは窪んで形成されて生分解性材料121を保持する保持部112c、113cを有する。第1接続部112の保持部112cは、軸方向D1において第2接続部113と重なる位置に配置されている。第2接続部113の保持部113cは、軸方向D1において第1接続部112と重なる位置に配置されている。
上記構成を有するステント100によれば、ストラット111同士を接続するリンク部120は、生分解性材料121に加え、機械的な接続構造として第1接続部112および第2接続部113を有している。各接続部112、113は、保持部が形成されている位置まで軸方向D1において他方の接続部と重なるように配置されているため、接続部112、113同士の軸方向D1において重なっている部分の長さを比較的長くすることができる。その結果、ステント100に不用意に力が加わったとしても、リンク部120は、機械的な接続を良好に維持することができる。したがって、ステント100を生体管腔内に留置し、所定の期間が経過して生分解性材料121が分解されるまでの間、ストラット111同士の接続を良好に維持することができる。
また、径方向Rから見たときの第1接続部112の保持部112cの中心P1は、第2接続部113と軸方向D1において重なる位置に配置されており、第2接続部113の保持部113cの中心P2は、第1接続部112と軸方向D1において重なる位置に配置されている。すなわち、各接続部112、113は、軸方向D1において、他方の接続部と保持部の中心が設けられている位置にまで重なるように配置されている。このため、接続部112、113同士の軸方向D1において重なっている部分の長さを、より一層長くすることができる。その結果、リンク部120の機械的な接続をより一層強固にすることができる。
また、第1接続部112と第2接続部113は、それぞれが有する保持部112c、113cの中心P1、P2同士を繋ぐ仮想線K1が、ステント100を拡張させる際にリンク部120に作用する引張力Fの方向Tに対して、保持部112c、113cの軸方向D1に互いに重なり合う方向a1に向けて傾斜するように配置されている。このため、ステント100を拡張させると、各接続部112、113には、軸方向D1において互いに重なり合う方向に引張力Fが作用する。したがって、ステント100の拡張によって、接続部112、113同士の接続が解除されるのを好適に防止することができる。
また、各接続部112、113は、他方の接続部側に向けて突出し、かつ、丸みを帯びた湾曲形状を有する突出部112a、113aと、突出部112a、113aに連なり、突出部112a、113aの外形形状に応じた凹形状を有する収容部112b、113bと、突出部112a、113aの外形形状の中心に、中心P1、P2が位置合わせして配置された保持部112c、113cと、を有する。このため、一方の接続部の突出部を他方の接続部の収容部に収容することができ、接続部112、113同士が接続された状態を良好に維持することができる。また、各保持部112c、113cの中心P1、P2を各突出部112a、113aの中心に位置合わせすることによって、突出部112a、113a同士を、生分解性材料121を介して良好に繋ぎ止めることができる。
また、ストラット111は、軸方向D1の周りに螺旋状に延在している。このため、螺旋状のストラット111を備えるステント100において、リンク部120の接続を良好に維持することができる。
また、リンク部120には被覆体122が備えられており、新生内膜の増殖を抑制可能な薬剤が被覆体122から徐々に溶出するため、病変部位の再狭窄を抑制できる。
(変形例)
図6は、変形例のリンク部320を示す図である。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図6では、図4と同様に、生分解性材料121(図3(A)参照)を省略して示している。
図6は、変形例のリンク部320を示す図である。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図6では、図4と同様に、生分解性材料121(図3(A)参照)を省略して示している。
変形例のリンク部320は、径方向Rから見たときの保持部112cの中心が、突出部112aの円弧状の外形形状の中心P3からずれており、また、保持部113cの中心が、突出部113aの円弧状の外形形状の中心P4からずれている点において、前述した実施形態のリンク部120と相違する。以下、変形例のリンク部320について詳述する。
第1接続部112は、第2接続部113の保持部113cと、軸方向D1において重なる位置に配置されている。第1接続部112および保持部113cにおいて、軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2に沿う長さは、L32である。同様に、第2接続部113は、第1接続部112の保持部112cと、軸方向D1において重なる位置に配置されている。第2接続部113および保持部112cにおいて、軸方向D1に互いに重なっている部分の周方向D2に沿う長さは、L33である。
また、第1接続部112と第2接続部113は、突出部112a、113aの中心P3、P4同士を繋ぐ仮想線K3が、ステント100を拡張させる際に、引張方向Tに対して重なり方向a1に向けて傾斜するように配置されている。
このため、ステント100を拡張させた際に各接続部112、113に作用する引張力Fを、仮想線K3に沿う方向の成分f1と、仮想線K3に直交する方向の成分f2とに分解して表現すれば、成分f2は、重なり方向a1に作用する。したがって、ステント100を拡張させると、各接続部112、113には、軸方向D1に互いに重なり合う方向に引張力Fが作用する。
このように、各保持部112c、113cの中心が各突出部112a、113aの中心P3、P4と一致していない場合であっても、各突出部112a、113aの中心P3、P4同士を繋ぐ仮想線K3が、引張方向Tに対して重なり方向a1に向けて傾斜していれば、ステント100の拡張によって、接続部112、113同士の接続が解除されるのを好適に防止することができる。
本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
例えば、リンク部の種類は、少なくとも1つのリンク部が第1接続部、第2接続部および生体分解性材料を備えていればよく、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態において、リンク部130は、リンク部120と同様に第1接続部112、第2接続部113および生分解性材料121によって構成されていてもよい。
また、リンク部の配置も上記実施形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
また、ストラットの形態も上記実施形態および変形例に限定されない。本発明のステントは、例えば、上記実施形態のストラット111のような軸方向D1のまわりに螺旋状に延在するストラットを含まず、上記実施形態のストラット110のような、波状に折り返されつつ軸方向D1のまわりで周方向D2に延在して無端の環状形状を形作るストラットにより構成されていてもよい。
また、突出部、収容部および保持部の外形形状は、上記実施形態および変形例に限定されない。例えば、突出部、収容部および保持部の外形形状は、任意の多角形状に形成することができる。なお、突出部および保持部の外形形状が、円形状、楕円形状等ではない場合、突出部および保持部の中心は、円筒形状の径方向から見た各部の外形形状の重心とすることができる。
さらに、突出部または保持部における仮想線を結ぶ2点は、突出部または保持部の形状に応じて中心または重心としたが、本発明はこれに限定されない。仮想線を結ぶ2点は、ステントを拡張させる際にリンク部に引張力Fが作用した際に、互いに対向する一対の接続部同士の接続関係の保持に寄与する位置に設定すると共に、該2点を結んだ仮想線が引張方向Tに対して重なり方向a1へ傾斜するように設定することが好ましい。そのため、前記設定を満たす限りにおいて、突出部または保持部の形状に応じて、仮想線を結ぶ2点は適宜設定することができる。例えば、引張力Fが作用した際に、突出部または保持部において、物理的な力が集中する箇所を、仮想線を結ぶ点として設定することが考えられる。
上記実施形態のストラット110、111は、非生分解性材料によって形成されているが、本発明はこの形態に限定されない。ストラットは、リンク部に含まれる生分解性材料よりも分解が遅い生分解性材料によって形成されていてもよい。
また、本発明は、被覆体122のない形態、および、生分解性材料121に新生内膜の増殖を抑制可能な薬剤が含まれている形態を含む。後者の形態では、生分解性材料121の分解とともに薬剤が徐々に溶出し、病変部位の再狭窄が抑制される。
100 ステント、
110 ストラット(軸方向両端に位置するストラット)、
111 ストラット(軸方向のまわりに螺旋状に延在するストラット)、
112 第1接続部、
113 第2接続部、
112a、113a 突出部、
112b、113b 収容部、
112c、113c 保持部、
120、220、320 リンク部、
130 リンク部、
121 生分解性材料、
122 被覆体、
K1、K2、K3 仮想線、
T 引張方向、
D1 軸方向、
D2 周方向、
D3 厚み方向、
P1、P2 保持部の中心、
R 径方向。
110 ストラット(軸方向両端に位置するストラット)、
111 ストラット(軸方向のまわりに螺旋状に延在するストラット)、
112 第1接続部、
113 第2接続部、
112a、113a 突出部、
112b、113b 収容部、
112c、113c 保持部、
120、220、320 リンク部、
130 リンク部、
121 生分解性材料、
122 被覆体、
K1、K2、K3 仮想線、
T 引張方向、
D1 軸方向、
D2 周方向、
D3 厚み方向、
P1、P2 保持部の中心、
R 径方向。
Claims (6)
- 隙間が形成された円筒形状の外周を形作る線状のストラットと、前記隙間で前記ストラット同士を接続する複数のリンク部と、を有するステントであって、
前記リンク部の少なくも一つは、
隣り合う一の前記ストラットと他の前記ストラットのそれぞれに一体的に設けられており、互いに対向した状態で配置されている一の接続部および他の接続部と、前記一の接続部および前記他の接続部に介在して前記一の接続部および前記他の接続部を接続する生分解性材料と、を含み、
前記一の接続部および前記他の接続部は、前記円筒形状の周方向において互いに重なる位置に配置され、
前記一の接続部および前記他の接続部のそれぞれは、前記ストラットの表面から厚み方向に貫通あるいは窪んで形成されて前記生分解性材料を保持する保持部を有し、
前記一の接続部の前記保持部は、前記円筒形状の軸方向において前記他の接続部と重なる位置に配置されており、
前記他の接続部の前記保持部は、前記円筒形状の軸方向において前記一の接続部と重なる位置に配置されている、ステント。 - 前記円筒形状の径方向から見たときの前記一の接続部の保持部の中心は、前記他の接続部と軸方向において重なる位置に配置されており、
前記円筒形状の径方向から見たときの前記他の接続部の保持部の中心は、前記一の接続部と軸方向において重なる位置に配置されている、請求項1に記載のステント。 - 前記一の接続部と前記他の接続部は、それぞれが有する前記保持部の中心同士を繋ぐ仮想線が、当該ステントを拡張させる際に前記リンク部に作用する引張力の方向に対して、前記保持部が前記円筒形状の軸方向に重なり合う方向に向けて傾斜するように配置されている、請求項2に記載のステント。
- 前記一の接続部と前記他の接続部のそれぞれは、
他方の前記接続部側に向けて突出し、かつ、丸みを帯びた湾曲形状を有する突出部と、前記突出部に連なり、前記突出部の外形形状に応じた凹形状を有する収容部と、前記突出部の外形形状の中心に、中心が位置合わせして配置された前記保持部と、を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のステント。 - 前記ストラットの少なくとも一部は、前記円筒形状の軸方向の周りに螺旋状に延在している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステント。
- 前記リンク部は、新生内膜の増殖を抑制可能な薬剤を含む被覆体を、前記生分解性材料の表面に備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のステント。
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JP2016012775A JP2019050836A (ja) | 2016-01-26 | 2016-01-26 | ステント |
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SG11201600641UA (en) * | 2013-09-27 | 2016-04-28 | Terumo Corp | Stent |
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2016
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2017
- 2017-01-13 WO PCT/JP2017/001088 patent/WO2017130747A1/ja active Application Filing
Also Published As
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WO2017130747A1 (ja) | 2017-08-03 |
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