以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは適宜、設計変更することができる。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態に係る検出装置は、たとえば、サンプルから抽出した特定の菌(被検出物)などの有機物の有無を検出する。検出装置は、空隙が設けられた構造体を有する検出センサに対して所定の周波数を有する電磁波を照射し検出センサを透過した透過波を検出する。検出センサは、サンプルから抽出した特定の菌が添加されていない第1の領域とサンプルから抽出した特定の菌が添加された第2の領域とから構成される。検出装置は、第1の領域の透過率と第2の領域の透過率とを測定する。検出システムは、両透過率が一致しない場合に、検出センサ上に被検出物が堆積していると判定する。
図1は、検出装置1の構成例を示す。図1が示すように、検出装置1は、制御装置10、D/Aコンバータ20、電磁波発生素子30、電磁波受光素子40、A/Dコンバータ50、駆動部60及び検出センサ100などを備える。制御装置10とD/Aコンバータ20、A/Dコンバータ50及び駆動部60とは、互いに電気的に接続される。D/Aコンバータ20と電磁波発生素子30とは、互いに電気的に接続される。電磁波受光素子40とA/Dコンバータ50とは、互いに電気的に接続される。
制御装置10は、検出装置1全体を制御する。制御装置10は、制御信号を送信し各部を制御する。また、制御装置10は、検出装置1の各部から種々の信号を受信する。たとえば、制御装置10は、駆動部60に対して検出センサ100を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。また、制御装置10は、D/Aコンバータ20に対して電磁波発生素子30に電力を供給することを指示する制御信号を送信する。また、制御装置10は、A/Dコンバータ50から電磁波受光素子40が受光した電磁波の強度を示すセンサ信号を受信する。制御装置10は、センサ信号などに基づいて検出センサ100上に被検出物があるかを判定する。
制御装置10については、後に詳述する。
D/Aコンバータ20は、制御装置10からの制御信号に基づいて電磁波発生素子30に電圧を印加する。即ち、D/Aコンバータ20は、制御信号をアナログ信号に変換して電磁波発生素子30に印加する。D/Aコンバータ20は、制御信号に基づく電圧を電磁波発生素子30に印加する。D/Aコンバータ20は、少なくとも異なる2つの電圧(第1の電圧及び第2の電圧)を電磁波発生素子30に印加する。たとえば、D/Aコンバータ20は、電圧を指示する制御信号を受信し、当該電圧を電磁波発生素子30に印加する。
電磁波発生素子30は、D/Aコンバータ20からの電力によって電磁波を検出センサ100に照射する。電磁波発生素子30は、D/Aコンバータ20によって印加された電圧に応じた周波数の電磁波を照射する。たとえば、電磁波発生素子30は、数テラヘルス程度の周波数の電磁波を照射する。
図2は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の周波数を示すグラフである。図2では、横軸は、電圧を示す。縦軸は、周波数を示す。図2が示すように、電磁波発生素子30は、電圧が上がるほど高い周波数の電磁波を照射する。電磁波発生素子30は、第1の電圧が印加された場合、第1の周波数の電磁波を照射する。また、電磁波発生素子30は、第2の電圧が印加された場合、第2の周波数の電磁波を照射する。
なお、電磁波発生素子30の電圧特性は、特定の構成に限定されるものではない。
D/Aコンバータ20及び電磁波発生素子30は、照射部を構成する。
電磁波受光素子40は、電磁波発生素子30から照射され検出センサ100を透過した透過波の強度を検出する。たとえば、電磁波受光素子40は、強度に応じた電圧をA/Dコンバータ50に出力する。また、電磁波受光素子40は、フォトトランジスタなどであってもよい。
A/Dコンバータ50は、電磁波受光素子40が検出した強度を示すセンサ信号(たとえば、デジタル信号)を生成する。A/Dコンバータ50は、センサ信号を制御装置10に送信する。
電磁波受光素子40及びA/Dコンバータ50は、検出部を構成する。
駆動部60は、制御装置10からの制御信号に従って検出センサ100を移動させる。駆動部60は、電磁波発生素子30からの電磁波を検出センサ100の任意の位置に照射するため、検出センサ100を移動させる。ここでは、駆動部60は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の方向と垂直な方向に検出センサ100を移動させる。駆動部60は、たとえば、モータ及び駆動ベルトなどから構成される。
検出センサ100は、電磁波発生素子30からの電磁波を所定の透過率で電磁波受光素子40に透過させる。検出センサ100は、所定の周波数特性を有する。即ち、検出センサ100は、電磁波の周波数によって透過率が異なる構成を有する。また、菌などの有機物(被検出物)が検出センサ100の表面に付着すると、検出センサ100の透過率が変化する。
検出センサ100については、後に詳述する。
次に、制御装置10について説明する。
図3は、制御装置10の構成例を示すブロック図である。
図3が示す構成例において、制御装置10は、プロセッサ11(制御部)、ROM12、RAM13、NVM14、インターフェース15、操作部16及び表示部17などを備える。これらの各部は、データバスを介して互いに接続される。なお、制御装置10は、図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
プロセッサ11は、制御装置10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、制御装置10の仕様に応じて予め組み込まれる。ROM12は、たとえば、制御装置10の回路基板を制御するプログラム(たとえば、BIOS)などを格納する。
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(登録商標)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、制御装置10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
インターフェース15は、D/Aコンバータ20、A/Dコンバータ50及び駆動部60とデータを送受信するためのインターフェースである。インターフェース15は、D/Aコンバータ20、A/Dコンバータ50及び駆動部60のそれぞれに対応するインターフェースから構成されてもよい。たとえば、インターフェース15は、USB接続をサポートするものであってもよい。
操作部16は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部16は、受け付けた操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。たとえば、操作部16は、キーボード、テンキー及びタッチパネルから構成される。
表示部17は、プロセッサ11の制御により種々の情報を表示する。たとえば、表示部17は、液晶モニタから構成される。なお、操作部16がタッチパネルなどで構成される場合、表示部17は、操作部16と一体的に形成されてもよい。
次に、検出センサ100について説明する。図4は、検出センサ100の上面図である。図5は、F5−F5の断面図である。
図4及び図5が示すように、検出センサ100は、基材101及び構造体102などから構成される。
基材101は、たとえば、所定の大きさの矩形に形成される。基材101は、電磁波発生素子30が照射する電磁波に対して変化を生じさせない素材から構成されるのが望ましい。即ち、基材101は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の周波数帯において透過性を有する素材から構成されることが望ましい。たとえば、基材101は、シリコンウエハなどから構成される。また、基材101は、ポリエチレンなどの有機材料から構成されてもよい。
たとえば、基材の厚さは、100〜800μmの範囲である。たとえば、基材101の厚さは、525μm程度である。
なお、基材101の素材及び外寸は、特定の構成に限定されるものではない。
構造体102は、透過率における周波数特性においてピークを有する。構造体102は、ピークに寄与する所定の形状の構造体から構成される。構造体102は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の周波数帯においてピークを有することが望ましい。
たとえば、構造体102は、金又はアルミニウムなどの導電体から形成される。構造体102は、複数の層を備える構造であってもよい。たとえば、構造体102は、基材101との接着層としてクロム又はチタンなどの層を備えてもよい。
たとえば、構造体102の厚さは、0.1μmから50μmの範囲である。たとえば、構造体102の厚さは、0.2μm程度である。
構造体102は、周期的に配置される周期構造体として基材101上に複数個形成される。
構造体102は、環状構造である。構造体102は、環の一部が切断する構造である。即ち、構造体102は、C字型に形成される。たとえば、構造体102の外寸は、18μm程度である。また、構造体102の幅(環の幅)は、3μm程度である。
構造体102は、分割リング共振器を形成する。構造体102は、分割リング共振器によってLCR(コイル、コンデンサ、抵抗)回路を形成する。構造体102は、LCR回路によって所定の共振周波数において共振特性を有する。
なお、構造体102の形状及び大きさは、特定の構成に限定されるものではない。
検出センサ100は、第1の領域100a及び第2の領域100bに分割される。
第1の領域100aと第2の領域100bとは、それぞれ同一の構造体102を有する。即ち、第1の領域100aと第2の領域100bとは、被検出物が存在しない状態では、同一の周波数特性を有する。
第1の領域100aは、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されない領域である。第1の領域100aは、検出センサ100が元々有している周波数特性を有する。
第2の領域100bは、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加される領域である。サンプルに被検出物が存在する場合、第2の領域100bの周波数特性の共振周波数は、サンプルが持つ誘電率に応じて変化する。即ち、第2の領域100bの周波数特性のピークの位置が変化する。プロセッサ11は、この変化量に応じて抽出したサンプルの量を把握することもできる。
たとえば、被検出物は、磁性ビーズを有する。また、被検出物は、抗体などで検出センサ100の第2の領域100bに固定される。
第2の領域100bの構造体102に磁性ビーズを有する被検出物が堆積すると、第2の領域100bのLCR回路の特性が変化する。主に、第2の領域100bのコンダクタンスが被検出物の磁性ビーズによって変化する。そのため、第2の領域100bが有する共振周波数が変化し、第2の領域100bの周波数特性が変化する。
次に、制御装置10が実現する機能について説明する。以下の機能は、制御装置10のプロセッサ11がNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
ここでは、検出センサ100の第2の領域100bには、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されているものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、検出センサ100の第1の領域100aの透過率(リファレンス透過率)を第1の周波数及び第2の周波数で測定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、電磁波発生素子30からの電磁波が検出センサ100の第1の領域100aに照射されるように、駆動部60を用いて検出センサ100を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部60に検出センサ100を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部60は、当該制御信号に従って検出センサ100を移動させる。
図1が示す例は、プロセッサ11が電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域100aに照射されるように、検出センサ100を移動させた状態の例である。図1が示すように、検出センサ100は、電磁波発生素子30が第1の領域100aに電磁波を照射することができる位置に移動されている。
なお、検出センサ100のデフォルトの位置が、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域100aに照射される位置であれば、プロセッサ11は、検出センサ100を移動させなくともよい。
検出センサ100に移動させると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第1の周波数の電磁波を検出センサ100の第1の領域100aに照射する。たとえば、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて第1の電圧を設定する制御信号をD/Aコンバータ20へ送信する。プロセッサ11は、電圧(第1の電圧)を電磁波発生素子30に印加することを指示する制御信号をD/Aコンバータ20に送信する。D/Aコンバータ20は、制御信号に従って第1の電圧を電磁波発生素子30に印加する。電磁波発生素子30は、印加された第1の電圧によって第1の周波数の電磁波を検出センサ100の第1の領域100aに照射する。
第1の周波数の電磁波を第1の領域100aに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第1の領域100aからの透過波の強度を取得する。たとえば、電磁波受光素子40は、透過波の強度に対応する電圧をA/Dコンバータ50に出力する。A/Dコンバータ50は、当該電圧に従って透過波の強度を示すセンサ信号を生成し制御装置10へ送信する。プロセッサ11は、インターフェース15を通じて当該センサ信号を受信する。
透過波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と透過波の強度となどから第1の周波数における透過率(第1のリファレンス透過率)を算出する。
第1のリファレンス透過率を算出すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第2の周波数の電磁波を検出センサ100の第1の領域100aに照射する。たとえば、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて第2の電圧を設定する制御信号をD/Aコンバータ20へ送信する。プロセッサ11は、電圧(第2の電圧)を電磁波発生素子30に印加することを指示する制御信号をD/Aコンバータ20に送信する。D/Aコンバータ20は、制御信号に従って第2の電圧を電磁波発生素子30に印加する。電磁波発生素子30は、印加された第2の電圧によって第2の周波数の電磁波を検出センサ100の第1の領域100aに照射する。
第2の周波数の電磁波を第1の領域100aに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第1の領域100aからの透過波の強度を取得する。たとえば、電磁波受光素子40は、透過波の強度に対応する電圧をA/Dコンバータ50に出力する。A/Dコンバータ50は、当該電圧に従って透過波の強度を示すセンサ信号を生成し制御装置10へ送信する。プロセッサ11は、インターフェース15を通じて当該センサ信号を受信する。
透過波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と透過波の強度となどから第2の周波数における透過率(第2のリファレンス透過率)を算出する。
また、リファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、検出センサ100の第2の領域100bの透過率(検出透過率)を第1の周波数及び第2の周波数で測定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、電磁波発生素子30からの電磁波が検出センサ100の第2の領域100bに照射されるように、駆動部60を用いて検出センサ100を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部60に検出センサ100を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部60は、当該制御信号に従って検出センサ100を移動させる。
図6は、プロセッサ11が電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域100bに照射されるように、検出センサ100を移動させた状態の例である。図6が示すように、検出センサ100は、電磁波発生素子30が第2の領域100bに電磁波を照射することができる位置に移動されている。
検出センサ100に移動させると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第1の周波数の電磁波を検出センサ100の第2の領域100bに照射する。第1の周波数の電磁波を第2の領域100bに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第2の領域100bからの透過波の強度を取得する。
透過波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と透過波の強度となどから第1の周波数における透過率(第1の検出透過率)を算出する。
第1の検出透過率を算出すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第2の周波数の電磁波を検出センサ100の第2の領域100bに照射する。第2の周波数の電磁波を第2の領域100bに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第2の領域100bからの透過波の強度を取得する。
透過波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と透過波の強度となどから第2の周波数における透過率(第2の検出透過率)を算出する。
また、検出透過率を測定すると、プロセッサ11は、測定されたリファレンス透過率及び検出透過率に基づいて検出センサ100の第2の領域100bに被検出物があるか判定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率とに差があるか判定する。プロセッサ11は、第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率との差が所定の閾値以上である場合に、両者に差があると判定してもよい。
第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率とに差があるか判定すると、プロセッサ11は、第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率とに差があるか判定する。同様に、プロセッサ11は、第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率との差が所定の閾値以上である場合に、両者に差があると判定してもよい。
プロセッサ11は、第1の周波数又は第2の周波数の少なくとも1つにおいてリファレンス透過率と検出透過率とに差がある場合に、被検出物を検出したと判定する。即ち、プロセッサ11は、第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率とに差がある場合又は第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率とに差がある場合、被検出物を検出したと判定する。
他方、プロセッサ11は、第1の周波数及び第2の周波数においてリファレンス透過率と検出透過率とに差がない場合に、被検出物がないと判定する。即ち、プロセッサ11は、第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率とに差がなく第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率とに差がない場合、被検出物がないと判定する。
プロセッサ11は、検出結果を表示部17などに表示してもよい。プロセッサ11は、通信部などを通じて検出結果を外部装置へ送信してもよい。
次に、制御装置10の動作例について説明する。図7は、制御装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。ここでは、検出センサ100は、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域100aに照射される位置にあるものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、第1の周波数で第1の領域100aの透過率(第1のリファレンス透過率)を測定する(ACT11)。第1のリファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、第2の周波数で第1の領域100aの透過率(第2のリファレンス透過率)を測定する(ACT12)。
第1のリファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、駆動部60を用いて検出センサ100を、電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域100bに照射される位置に移動させる(ACT13)。検出センサ100を移動させると、プロセッサ11は、第1の周波数で第2の領域100bの透過率(第1の検出透過率)を測定する(ACT14)。第1の検出透過率を測定すると、プロセッサ11は、第2の周波数で第2の領域100bの透過率(第2の検出透過率)を測定する(ACT15)。
第2の検出透過率を測定すると、プロセッサ11は、第1及び第2のリファレンス透過率と第1及び第2の検出透過率とをそれぞれ比較して少なくとも1つに差があるか判定する(ACT16)。
少なくとも1つに差があると判定すると(ACT16、YES)、プロセッサ11は、第2の領域100bに被検出物があると判定する(ACT17)。
両者に差がないと判定すると(ACT16、NO)、プロセッサ11は、第2の領域100bに被検出物がないと判定する(ACT18)。
被検出物があると判定した場合、又は、被検出物がないと判定した場合、プロセッサ11は、動作を終了する。
次に、プロセッサ11がリファレンス透過率又は検出透過率を測定する動作例(ACT11、12、14及び15)について説明する。ここでは、代表してACT11について説明する。ACT12、14及び15についてはACT11と同様であるため説明を省略する。
図8は、ACT11の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて第1の電圧を設定する制御信号をD/Aコンバータ20に送信する(ACT21)。当該制御信号をD/Aコンバータ20に送信すると、プロセッサ11は、電圧を電磁波発生素子30に印加することを指示する制御信号をD/Aコンバータ20に送信する(ACT22)。
当該制御信号をD/Aコンバータ20に送信すると、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて透過波の強度を示すセンサ信号をA/Dコンバータ50から受信する(ACT23)。
当該センサ信号を受信すると、プロセッサ11は、透過波の強度などに基づいて第1のリファレンス透過率を算出する(ACT24)。第1のリファレンス透過率を算出すると、プロセッサ11は、算出した第1のリファレンス透過率をNVM14に格納する(ACT25)。
リファレンス透過率を格納すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
次に、検出センサ100の周波数特性について説明する。ここでは、第2の領域100bに被検出物が添加されているものとする。
図9は、検出センサ100の周波数特性について説明するためのグラフである。図9において、横軸は、電磁波の周波数を示す。縦軸は、透過率を示す。図9は、グラフ301及びグラフ302を示す。
グラフ301は、第1の領域100aの周波数特性を示す。また、グラフ302は、第2の領域100bの周波数特性を示す。
図9が示すように、グラフ301及びグラフ302は、ピークを有する。グラフ302のピークは、被検出物の量に応じてグラフ301のピークよりも左(低い周波数)にずれる。
また、線401は、第1の周波数を示す。また、線402は、第2の周波数を示す。図9が示す例では、グラフ302における第1の周波数の電磁波の透過率は、グラフ301におけるそれと同一である。即ち、第1の周波数では、第2の領域200bに被検出物が付与されても、第1の領域100aの透過率と第2の領域200bの透過率とに差がない。
他方、グラフ302における第2の周波数の電磁波の透過率は、グラフ301におけるそれと異なる。即ち、第2の周波数では、第2の領域200bに被検出物が付与されると、第1の領域100aの透過率と第2の領域200bの透過率とに差が生じる。
プロセッサ11は、第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率とが一致しないと判定する。その結果、プロセッサ11は、第2の領域200b上にある被検出物を検出することができる。
なお、検出センサ100は、全体にサンプルから抽出した特定の被検出物を添加されてもよい。たとえば、プロセッサ11は、添加前の検出センサ100から第1及び第2のリファレンス透過率を測定する。また、プロセッサ11は、添加後の検出センサ100から第1及び第2の検出透過率を測定してもよい。
また、検出装置1は、3つ以上の周波数でリファレンス透過率及び検出透過率を測定してもよい。検出装置1は、少なくとも1つの周波数でリファレンス透過率と検出透過率とに差がある場合に、被検出物を検出したと判定する。
また、電磁波発生素子30は、第1の周波数の電磁波を放射する電磁波発生素子と第2の周波数の電磁波を放射する電磁波発生素子とから構成されてもよい。
また、構造体102は、格子状に形成される導電体であってもよい。
また、検出センサ100は、基材101を有しなくともよい。
以上のように構成された検出装置は、検出センサに対して第1及び第2の周波数の電磁波を照射して透過率を測定する。そのため、検出装置は、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されていない第1の領域とサンプルから抽出した特定の被検出物が添加された第2の領域との透過率を第1及び第2の周波数の電磁波で測定することができる。
たとえば、第1の周波数でのみ透過率の変化を検出する場合、図9の第1の周波数の線401のみで検出する例が示す例では、検出装置は、被検出物によって第1の領域と第2の領域とで周波数特性が異なるにも関わらず、差を検出することができない。その結果、検出装置は、適切に被検出物を検出することができない。
他方、実施形態に係る検出装置は、第1及び第2の周波数の電磁波で透過率を検出する。その結果、検出装置は、どちらかの周波数で透過率に差が生じれば被検出物を検出することができる。図9が示す例では、検出装置は、第2の周波数において透過率の差を検出することができる。従って、検出装置は、適切に被検出物を検出することができる。
よって、検出装置は、より精度よく被検出物を検出することができる。
また、第1の周波数でのみ透過率の変化を検出する場合であっても、第1の周波数と検出センサ100の周波数特性のピークの位置とが一致すれば、検出装置は、透過率の差を検出することができる。しかしながら、検出センサの製造誤差などによって生じる個体差などによって第1の周波数とピークの位置とを完全に一致させることは、困難である。
第1及び第2の周波数の電磁波で透過率を検出することで、検出装置は、電磁波の周波数とピークの位置とを一致させなくとも、精度よく被検出物を検出することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る検出装置1は、最も感度のよい周波数の電磁波で透過率を測定する点で第1の実施形態に係る検出装置1と異なる。従って、他の点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
検出装置1の構成は、第1の実施形態のそれと同様であるため説明を省略する。
次に、制御装置10が実現する機能について説明する。以下の機能は、制御装置10のプロセッサ11がNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、検出センサ100の第1の領域100aの透過率(リファレンス透過率)を複数の周波数の電磁波でそれぞれ測定する機能を有する。ここでは、プロセッサ11は、第1の周波数の電磁波及び第2の周波数の電磁波でリファレンス透過率を測定する。第1の周波数の電磁波及び第2の周波数の電磁波でリファレンス透過率を測定する動作例については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、リファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、検出センサ100の第2の領域200bの透過率(検出透過率)を複数の周波数の電磁波でそれぞれ測定する機能を有する。ここでは、プロセッサ11は、第1の周波数の電磁波及び第2の周波数の電磁波で検出透過率を測定する。第1の周波数の電磁波及び第2の周波数の電磁波で検出透過率を測定する動作例については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、プロセッサ11は、リファレンス透過率と検出透過率との差が最も大きな周波数を検出に使用する周波数(検出用周波数)として特定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、第1のリファレンス透過率と第1の検出透過率との差を算出する。また、プロセッサ11は、第2のリファレンス透過率と第2の検出透過率との差を算出する。プロセッサ11は、差の大きな周波数(第1の周波数又は第2の周波数)を検出用周波数として特定する。プロセッサ11は、特定した検出用周波数をNVM14に格納する。
たとえば、プロセッサ11は、初回の起動時において検出用周波数を特定する。また、プロセッサ11は、オペレータの操作に従って検出用周波数を更新してもよい。たとえば、検出センサ100(又は、検出センサ100のロット)を交換した場合になどに、オペレータは、検出用周波数を更新させる操作を操作部16などに入力する。
また、プロセッサ11は、検出センサ100の第1の領域100aの透過率(リファレンス透過率)を検出用周波数の電磁波で測定する機能を有する。
検出用周波数の電磁波でリファレンス透過率を測定する動作例については、第1の実施形態において第1の周波数又は第2の周波数でリファレンス透過率を測定する動作例と同様であるため説明を省略する。
また、リファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、検出センサ100の第2の領域200bの透過率(検出透過率)を検出用周波数の電磁波で測定する機能を有する。
検出用周波数の電磁波で検出透過率を測定する動作例については、第1の実施形態において第1の周波数又は第2の周波数で検出透過率を測定する動作例と同様であるため説明を省略する。
また、プロセッサ11は、検出用周波数のリファレンス透過率と検出用周波数の検出透過率とに基づいて検出センサ100の第2の領域200bに被検出物があるか判定する機能を有する。
プロセッサ11は、検出用周波数のリファレンス透過率と検出用周波数の検出透過率とに差があるか判定する。プロセッサ11は、検出用周波数のリファレンス透過率と検出用周波数の検出透過率との差が所定の閾値以上である場合に、両者に差があると判定してもよい。
両者に差があると判定した場合、プロセッサ11は、被検出物を検出したと判定する。また、両者に差がないと判定した場合、プロセッサ11は、被検出物がないと判定する。
プロセッサ11は、検出結果を表示部17などに表示してもよい。プロセッサ11は、通信部などを通じて検出結果を外部装置へ送信してもよい。
次に、制御装置10の動作例について説明する。
まず、制御装置10が検出用周波数を特定する動作例について説明する。図10は、制御装置10が検出用周波数を特定する動作例について説明するためのフローチャートである。ここでは、検出センサ100は、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域100aに照射される位置にあるものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、複数の周波数で第1の領域100aの透過率(リファレンス透過率)をそれぞれ測定する(ACT31)。リファレンス透過率をそれぞれ測定すると、プロセッサ11は、駆動部60を用いて検出センサ100を、電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域200bに照射される位置に移動させる(ACT32)。
検出センサ100を移動させると、プロセッサ11は、複数の周波数で第2の領域200bの透過率(検出透過率)をそれぞれ測定する(ACT33)。検出透過率をそれぞれ測定すると、プロセッサ11は、リファレンス透過率と検出透過率とをそれぞれ比較して少なくとも1つに差があるか判定する(ACT34)。
少なくとも1つに差があると判定すると(ACT34、YES)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物があると判定する(ACT35)。被検出物があると判定すると、プロセッサ11は、差が最も大きな周波数を検出用周波数として特定する(ACT36)。
両者に差がないと判定すると(ACT34、NO)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物がないと判定する(ACT37)。
検出用周波数を特定する場合、又は、被検出物がないと判定した場合、プロセッサ11は、動作を終了する。
なお、両者に差がないと判定した場合(ACT34、NO)、プロセッサ11は、次の検出処理においてもACT31乃至37を実行してもよい。
次に、制御装置10が検出用周波数で被検出物を検出する動作例について説明する。図11は、制御装置10が検出用周波数で被検出物を検出する動作例について説明するためのフローチャートである。ここでは、検出センサ100は、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域100aに照射される位置にあるものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、検出用周波数で第1の領域100aの透過率(リファレンス透過率)を測定する(ACT41)。リファレンス透過率を測定すると、プロセッサ11は、駆動部60を用いて検出センサ100を、電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域200bに照射される位置に移動させる(ACT42)。
検出センサ100を移動させると、プロセッサ11は、検出用周波数で第2の領域200bの透過率(検出透過率)を測定する(ACT43)。検出透過率を測定すると、プロセッサ11は、リファレンス透過率と検出透過率とに差があるか判定する(ACT44)。
差があると判定すると(ACT44、YES)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物があると判定する(ACT45)。
差がないと判定すると(ACT44、NO)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物がないと判定する(ACT46)。
被検出物があると判定した場合、又は、被検出物がないと判定した場合、プロセッサ11は、動作を終了する。
なお、プロセッサ11は、3つ以上の異なる周波数でリファレンス透過率及び検出透過率を測定してもよい。プロセッサ11は、3以上の周波数の中から差が最も大きな周波数を検出用周波数として特定してもよい。
以上のように構成された検出装置は、リファレンス透過率と検出透過率との差が最も大きな周波数を特定する。その結果、検出装置は、最も感度がよい周波数を特定することができる。
検出装置は、最も感度がよい周波数を用いて被検出物を検出する。その結果、検出装置は、2つ以上の周波数を用いた場合と同様に適切に被検出物を検出することができる。従って、検出装置は、2つ以上の周波数を用いなくとも適切に被検出物を検出することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る検出装置は、電磁波発生素子30及び電磁波受光素子40を移動させる点で第1の実施形態に係る検出装置1と異なる。従って、他の点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図12は、第3の実施形態に係る検出装置2の構成例を示す。図12が示すように、検出装置2は、制御装置10、D/Aコンバータ20、電磁波発生素子30、電磁波受光素子40、A/Dコンバータ50、駆動部70、駆動部80及び検出センサ100などを備える。
制御装置10と駆動部70及び駆動部80とは、互いに電気的に接続される。
駆動部70は、制御装置10からの制御信号に従って電磁波発生素子30を移動させる。駆動部70は、電磁波を検出センサ100の任意の位置に照射するため電磁波発生素子30を移動させる。ここでは、駆動部70は、照射される電磁波の方向と垂直な方向に電磁波発生素子30を移動させる。駆動部70は、たとえば、モータ及び駆動ベルトなどから構成される。
駆動部80は、制御装置10からの制御信号に従って電磁波受光素子40を移動させる。駆動部80は、電磁波を検出センサ100の任意の位置に照射するため電磁波受光素子40を移動させる。ここでは、駆動部80は、照射される電磁波の方向と垂直な方向に電磁波受光素子40を移動させる。駆動部80は、たとえば、モータ及び駆動ベルトなどから構成される。
なお、駆動部70と駆動部80とは、一体的に構成されてもよい。
次に、制御装置10が実現する機能について説明する。制御装置10は、第1の実施形態に係る制御装置10の機能に加えて以下の機能を実現する。以下の機能は、制御装置10のプロセッサ11がNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
プロセッサ11は、第1の領域100aのリファレンス透過率を測定する場合、駆動部70を用いて、電磁波が第1の領域100aに照射される位置に電磁波発生素子30を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部70に電磁波発生素子30を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部70は、当該制御信号に従って電磁波発生素子30を移動させる。
また、プロセッサ11は、駆動部80を用いて、第1の領域100aを透過する透過波を受光可能な位置に電磁波受光素子40を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部80に電磁波受光素子40を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部80は、当該制御信号に従って電磁波受光素子40を移動させる。
同様に、プロセッサ11は、第2の領域200bの検出透過率を測定する場合、駆動部70を用いて、電磁波が第2の領域200bに照射される位置に電磁波発生素子30を移動させる。
また、プロセッサ11は、駆動部80を用いて、第2の領域200bを透過する透過波を受光可能な位置に電磁波受光素子40を移動させる。
制御装置10の動作例については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
なお、検出装置2は、第2の実施形態に係る検出装置1の特徴を備えてもよい。
以上のように構成された検出装置は、検出センサを固定し、電磁波発生素子30及び電磁波受光素子40を移動する。その結果、検出装置は、検出センサを固定したままでリファレンス透過率及び検出透過率を測定することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態に係る検出装置は、検出センサ100の反射率を測定する点で第1の実施形態に係る検出装置1と異なる。従って、他の点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図13は、第4の実施形態に係る検出装置3の構成例を示す。図13が示すように、検出装置3は、制御装置10、D/Aコンバータ20、電磁波発生素子30、電磁波受光素子40、A/Dコンバータ50、駆動部90及び検出センサ200などを備える。
制御装置10と駆動部90とは、互いに電気的に接続される。
電磁波発生素子30は、検出センサ200に電磁波を照射する。図13が示すように、電磁波発生素子30は、検出センサ200に対して所定の角度で電磁波を照射する。
電磁波受光素子40は、電磁波発生素子30が照射し検出センサ200で反射した反射波の強度を検出する。図13が示すように、電磁波受光素子40は、検出センサ200に対して所定の角度で反射される反射波を受光する。
駆動部90は、制御装置10からの制御信号に従って検出センサ200を移動させる。駆動部90は、電磁波発生素子30からの電磁波を検出センサ100の任意の位置に照射するため、検出センサ200を移動させる。ここでは、駆動部90は、水平な方向に検出センサ200を移動させる。駆動部90は、たとえば、モータ及び駆動ベルトなどから構成される。
次に、検出センサ200について説明する。図14は、検出センサ100の上面図である。図15は、F15−F15の断面図である。
図14及び図15が示すように、検出センサ200は、基材101及び構造体202などから構成される。
構造体202は、電磁波発生素子30が照射する電磁波を反射する。構造体202は、反射率における周波数特性においてピークを有する。構造体202は、ピークに寄与する所定の形状の構造体から構成される。構造体202は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の周波数帯においてピークを有することが望ましい。
たとえば、構造体202は、金又はアルミニウムなどの導電体から形成される。構造体202は、複数の層を備える構造であってもよい。たとえば、構造体202は、基材101との接着層としてクロム又はチタンなどの層を備えてもよい。
たとえば、構造体202の厚さは、0.1μから50μmの範囲である。たとえば、構造体202の厚さは、0.2μm程度である。
構造体202は、相補型分割リング共振器を形成することに寄与する空隙203を有する。構造体202は、周期的に配置される複数の空隙203を有する。
空隙203は、環状構造である。空隙203は、環の一部が切断する構造である。即ち、空隙203は、C字型に形成される。たとえば、空隙203の外寸は、18μm程度である。また、空隙203の幅(隙間の幅)は、3μm程度である。
構造体202は、空隙203によって相補型分割リング共振器を形成する。構造体202は、相補型分割リング共振器によってLCR(リアクタンス、コンダクタンス、レジスタンス)回路を形成する。構造体202は、LCR回路によって所定の共振周波数において共振特性を有する。
なお、空隙203の形状及び大きさは、特定の構成に限定されるものではない。
検出センサ200は、第1の領域200a及び第2の領域200bに分割される。
第1の領域200aと第2の領域200bとは、それぞれ同一の空隙203を有する。即ち、第1の領域200aと第2の領域200bとは、被検出物が存在しない状態では、同一の周波数特性を有する。
第1の領域200aは、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されない領域である。第1の領域200aは、検出センサ200が元々有している周波数特性を有する。
第2の領域200bは、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加される領域である。被検出物が存在する場合、第2の領域200bの周波数特性は、変化する。即ち、第2の領域200bの周波数特性のピークの位置が変化する。
前述の通り、被検出物は、磁性ビーズを有する。また、被検出物は、抗体などで検出センサ200の第2の領域200bに固定される。
第2の領域200bの構造体202に磁性ビーズを有する被検出物が堆積すると、第2の領域200bのLCR回路の特性が変化する。主に、第2の領域200bのコンダクタンスが被検出物の磁性ビーズによって変化する。そのため、第2の領域200bが有する共振周波数が変化し、第2の領域200bの周波数特性が変化する。
次に、制御装置10が実現する機能について説明する。以下の機能は、制御装置10のプロセッサ11がNVM14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
ここでは、検出センサ200の第2の領域200bには、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されているものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、検出センサ200の第1の領域200aの反射率(リファレンス反射率)を第1の周波数及び第2の周波数で測定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、電磁波発生素子30からの電磁波が検出センサ200の第1の領域200aに照射されるように、駆動部90を用いて検出センサ200を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部90に検出センサ200を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部90は、当該制御信号に従って検出センサ200を移動させる。
図13が示す例は、プロセッサ11が電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域200aに照射されるように、検出センサ200を移動させた状態の例である。図13が示すように、検出センサ200は、電磁波発生素子30が第1の領域200aに電磁波を照射することができる位置に移動されている。
なお、検出センサ200のデフォルトの位置が、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域200aに照射される位置であれば、プロセッサ11は、検出センサ200を移動させなくともよい。
検出センサ200に移動させると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第1の周波数の電磁波を検出センサ200の第1の領域200aに照射する。第1の周波数の電磁波を第1の領域200aに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第1の領域200aからの反射波の強度を取得する。
反射波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と反射波の強度となどから第1の周波数における反射率(第1のリファレンス反射率)を算出する。
第1のリファレンス反射率を算出すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第2の周波数の電磁波を検出センサ200の第1の領域200aに照射する。第2の周波数の電磁波を第1の領域200aに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第1の領域200aからの反射波の強度を取得する。
反射波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と反射波の強度となどから第2の周波数における反射率(第2のリファレンス反射率)を算出する。
また、リファレンス反射率を測定すると、プロセッサ11は、検出センサ200の第2の領域200bの反射率(検出反射率)を第1の周波数及び第2の周波数で測定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、電磁波発生素子30からの電磁波が検出センサ200の第2の領域200bに照射されるように、駆動部90を用いて検出センサ200を移動させる。即ち、プロセッサ11は、インターフェース15を通じて駆動部90に検出センサ200を所定の位置に移動させる制御信号を送信する。駆動部90は、当該制御信号に従って検出センサ200を移動させる。
図16は、プロセッサ11が電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域200bに照射されるように、検出センサ200を移動させた状態の例である。図16が示すように、検出センサ200は、電磁波発生素子30が第2の領域200bに電磁波を照射することができる位置に移動されている。
検出センサ200に移動させると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第1の周波数の電磁波を検出センサ200の第2の領域200bに照射する。第1の周波数の電磁波を第2の領域200bに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第2の領域200bからの反射波の強度を取得する。
反射波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と反射波の強度となどから第1の周波数における反射率(第1の検出反射率)を算出する。
第1の検出反射率を算出すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30を用いて第2の周波数の電磁波を検出センサ200の第2の領域200bに照射する。第2の周波数の電磁波を第2の領域200bに照射すると、プロセッサ11は、電磁波受光素子40を用いて第2の領域200bからの反射波の強度を取得する。
反射波の強度を取得すると、プロセッサ11は、電磁波発生素子30が照射する電磁波の強度と反射波の強度となどから第2の周波数における反射率(第2の検出反射率)を算出する。
また、検出反射率を測定すると、プロセッサ11は、測定されたリファレンス反射率及び検出反射率に基づいて検出センサ200の第2の領域200bに被検出物があるか判定する機能を有する。
たとえば、プロセッサ11は、第1のリファレンス反射率と第1の検出反射率とに差があるか判定する。プロセッサ11は、第1のリファレンス反射率と第1の検出反射率との差が所定の閾値以上である場合に、両者に差があると判定してもよい。
第1のリファレンス反射率と第1の検出反射率とに差があるか判定すると、プロセッサ11は、第2のリファレンス反射率と第2の検出反射率とに差があるか判定する。同様に、プロセッサ11は、第2のリファレンス反射率と第2の検出反射率との差が所定の閾値以上である場合に、両者に差があると判定してもよい。
プロセッサ11は、第1の周波数又は第2の周波数の少なくとも1つにおいてリファレンス反射率と検出反射率とに差がある場合に、被検出物を検出したと判定する。即ち、プロセッサ11は、第1のリファレンス反射率と第1の検出反射率とに差がある場合又は第2のリファレンス反射率と第2の検出反射率とに差がある場合、被検出物を検出したと判定する。
他方、プロセッサ11は、第1の周波数及び第2の周波数においてリファレンス反射率と検出反射率とに差がない場合に、被検出物がないと判定する。即ち、プロセッサ11は、第1のリファレンス反射率と第1の検出反射率とに差がなく第2のリファレンス反射率と第2の検出反射率とに差がない場合、被検出物がないと判定する。
プロセッサ11は、検出結果を表示部17などに表示してもよい。プロセッサ11は、通信部などを通じて検出結果を外部装置へ送信してもよい。
次に、制御装置10の動作例について説明する。図17は、制御装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。ここでは、検出センサ200は、電磁波発生素子30からの電磁波が第1の領域200aに照射される位置にあるものとする。
まず、制御装置10のプロセッサ11は、第1の周波数で第1の領域200aの反射率(第1のリファレンス反射率)を測定する(ACT51)。第1のリファレンス反射率を測定すると、プロセッサ11は、第2の周波数で第1の領域200aの反射率(第2のリファレンス反射率)を測定する(ACT52)。
第1のリファレンス反射率を測定すると、プロセッサ11は、駆動部90を用いて検出センサ200を、電磁波発生素子30からの電磁波が第2の領域200bに照射される位置に移動させる(ACT53)。検出センサ200を移動させると、プロセッサ11は、第1の周波数で第2の領域200bの反射率(第1の検出反射率)を測定する(ACT54)。第1の検出反射率を測定すると、プロセッサ11は、第2の周波数で第2の領域200bの反射率(第2の検出反射率)を測定する(ACT55)。
第2の検出反射率を測定すると、プロセッサ11は、第1及び第2のリファレンス反射率と第1及び第2の検出反射率とをそれぞれ比較して少なくとも1つに差があるか判定する(ACT56)。
少なくとも1つに差があると判定すると(ACT56、YES)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物があると判定する(ACT57)。
両者に差がないと判定すると(ACT56、NO)、プロセッサ11は、第2の領域200bに被検出物がないと判定する(ACT58)。
被検出物があると判定した場合、又は、被検出物がないと判定した場合、プロセッサ11は、動作を終了する。
なお、検出装置1は、駆動部を用いて電磁波発生素子30及び電磁波受光素子40を移動させてもよい。たとえば、プロセッサ11は、第1の領域200aの反射率を測定する場合、電磁波が第1の領域200aに照射される位置に電磁波発生素子30を移動させる。また、プロセッサ11は、第1の領域200aからの反射波を受光可能な位置に電磁波受光素子40を移動させる。
また、プロセッサ11は、第2の領域200bの反射率を測定する場合、電磁波が第2の領域200bに照射される位置に電磁波発生素子30を移動させる。また、プロセッサ11は、第2の領域200bからの反射波を受光可能な位置に電磁波受光素子40を移動させる。
また、検出装置3は、第2の実施形態に係る検出装置1の特徴を備えてもよい。また、検出装置3は、第3の実施形態に係る検出装置2の特徴を備えてもよい。
また、検出センサ200は、基材101を備えなくともよい。
また、検出装置3は、検出センサ200の代わりに検出センサ100を用いてもよい。
以上のように構成された検出装置3は、検出センサに対して複数の周波数の電磁波を照射して反射率を測定する。そのため、検出装置は、サンプルから抽出した特定の被検出物が添加されていない第1の領域とサンプルから抽出した特定の被検出物が添加された第2の領域との反射率を複数の周波数の電磁波で測定することができる。
従って、第1の実施形態と同様に、検出装置は、より精度よく被検出物を検出することができる。
なお、第1又は2の実施形態に係る検出装置1は、検出センサ100の代わりに検出センサ200を用いてもよい。第3の実施形態に係る検出装置2は、検出センサ100の代わりに検出センサ200を用いてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。