JP2019049189A - 木舞構造および塗壁 - Google Patents
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Abstract
Description
また、塗壁の1種である土塗壁を、現代建築に利用する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では、塗壁用下地構造の腐食等に対する耐性が改善されていない。
[1]長繊維の強化繊維が束ねられてなる強化繊維束と固化材からなる繊維強化複合材料を有する木舞構造。
[2]前記繊維強化複合材料は、前記強化繊維束を含む強化繊維線材が複数本撚り合わされた、ストランド構造体である前記[1]に記載の木舞構造。
[3]前記強化繊維線材は、前記強化繊維束が、繊維によって組織された外層に覆われてなる前記[2]に記載の木舞構造。
[4]前記繊維強化複合材料が複数本格子状に配置され、該格子状をなす繊維強化複合材料に、前記強化繊維束を含む木舞縄が巻き付けられた前記[1]〜前記[3]のいずれかに記載の木舞構造。
[5]前記固化材は、熱可塑性樹脂である前記[1]〜前記[4]いずれかに記載の木舞構造。
[6]前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂である前記[5]に記載の木舞構造。
[7]前記[1]〜前記[6]のいずれかに記載の木舞構造を備えた塗壁。
[8]壁倍率が2.0以上である[7]に記載の塗壁。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の木舞構造は、長繊維の強化繊維が束ねられてなる強化繊維束と固化材からなる繊維強化複合材料を有する。
以下、図面を参照して、本実施形態の木舞構造を具体的に説明する。
図1に示すように、本実施形態の木舞構造10は、長繊維の強化繊維が束ねられてなる繊維強化複合材料20を有する。具体的には、本実施形態の木舞構造10は、2本の縦柱部110,110と2本の横柱部120,120を組み合わせてなり、平面視長方形状の枠状の部材(以下、「枠材」という。)100の内側の領域に、格子状に配置された複数本の繊維強化複合材料20を有する。
なお、枠材100の横方向、すなわち、2本の縦柱部110,110の間には、縦柱部110の長手方向に対して垂直に横木(貫ともいう)130が固定されている。
また、繊維強化複合材料20Aのうち、両端部が縦柱部110に嵌合されず、かつ固定されないものは、後述する木舞縄140により、繊維強化複合材料20Bに結び付けられていることが好ましい。木舞縄140によって、繊維強化複合材料20Aのうち両端部が縦柱部110に固定されていないものと結び付けられる、繊維強化複合材料20Bは、その両端部が横柱部120に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。繊維強化複合材料20Aのうち両端部が縦柱部110に固定されていないものを強固に固定するためには、繊維強化複合材料20Bは、その両端部が横柱部120に固定されているものであることが好ましい。
また、繊維強化複合材料20Bのうち、両端部が横柱部120に嵌合されず、かつ固定されないものは、後述する木舞縄140により、繊維強化複合材料20Aに結び付けられていることが好ましい。木舞縄140によって、繊維強化複合材料20Bのうち両端部が横柱部120に固定されていないものと結び付けられ、繊維強化複合材料20Aは、その両端部が縦柱部110に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。繊維強化複合材料20Bのうち両端部が横柱部120に固定されていないものを強固に固定するためには、繊維強化複合材料20Aは、その両端部が縦柱部110に固定されているものであることが好ましい。
木舞縄140を、繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bの交差部分に巻き付けて、その木舞縄140によって、繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bを結び付けることにより、繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bを固定し、繊維強化複合材料20A,20Bからなる格子を安定に形成することができる。
木舞縄140の巻き付け方法としては、特に限定されず、例えば、千鳥掛け、螺旋巻き等が挙げられる。木舞縄140の巻き付け方法は、いずれの方法を用いてもよい。
図3は、本実施形態の木舞構造10における繊維強化複合材料の概略構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態の木舞構造10における強化繊維線材の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
本実施形態の木舞構造10における繊維強化複合材料20は、図3に示すように、長繊維の強化繊維が束ねられてなる強化繊維束を含む強化繊維線材が複数本撚り合わされた、ストランド構造を有するストランド構造体であることが好ましい。
強化繊維線材30は、図4に示すように、長繊維の強化繊維31が束ねられてなる芯線32と、芯線32を被覆する外層33と、芯線32および外層33に含浸された固化材34とを備える。
強化繊維31としては、スーパー繊維とも称される繊維が用いられる。このような繊維としては、例えば、炭素繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA繊維)等が挙げられる。強化繊維束では、上記の繊維を1種類で用いてもよく、2種類以上を混繊して用いてもよい。また、強化繊維束では、上記の繊維と、上記以外の有機繊維および無機繊維の少なくとも一方とを、その強度や曲げ性が損なわれない範囲で混繊して用いてもよい。
芯線32は所定の回数の撚りがかけられた状態で外層33と共に固化材34により固化されている。芯線32の撚り数は、得られる強化繊維線材30の曲げ応力に対する耐性、強化繊維31のバラケ防止性、強化繊維31の撚りに対する強度(撚りにより強化繊維が切れない)や、後述する固化材を付与する前の外層で被覆された状態のときに外層の間から強化繊維束が飛び出す(目むき)ことがないようにすることを考慮して決定される。芯線32の撚り数は、2回/m〜50回/mであることが好ましく、5回/m〜40回/mであることがより好ましく、10回/m〜30回/mであることがさらに好ましい。芯線32の撚り方向は、特に限定されず、S(右)撚りであってもよく、Z(左)撚りであってもよい。
サイジング剤や集束剤としては、後述する固化材と親和性の高いものを用いることが好ましい。
強化繊維31の単繊維の本数の上限は、特に限定されない。強化繊維31の束が開繊されていないものの場合には、強化繊維31の単繊維の本数の上限は、50万本程度である。なお、強化繊維31の束を開繊して用いる場合には、強化繊維31の単繊維の本数はさらに多くてもよい。
また、外層33に用いられる繊維としては、固化材34の耐熱性や固化の状態にもよるが、強化繊維線材30の製造工程あるいは使用環境において熱が加わる場合には、熱安定性に優れる繊維が好ましい。熱安定性に優れる繊維としては、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。熱安定性に優れる繊維を用いることにより、熱が加わったときに、芯線32と外層33とのずれの発生を抑制し、繊維強化複合材料20は安定した引張強さを発現することができる。
外層33を有する芯線32は、固化材34が塗布されることにより、芯線32と外層33が接着して一体化した強化繊維線材30となってより強度が向上する。強度の観点から、塗布される固化材34は強化繊維線材30の内部まで含浸し、外層33を構成する繊維と、強化繊維線材30の内部の強化繊維束とが、さらには強化繊維束の内部に存在する強化繊維の単繊維もが接着結合し一体化していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、硬化した後も熱可塑性を有するものである。これらの熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を配合して用いてもよい。
このような熱可塑性樹脂を用いて得られた繊維強化複合材料20は、成形後も加熱することにより容易に変形させることができ、また、リサイクルも容易である。
後反応型の熱可塑性樹脂は、外層33で覆われた強化繊維束に付与し、強化繊維束の内部まで含浸させた後に、反応させて硬化させるため、破壊靱性、曲げ強度、耐衝撃性等の強度向上や、強度や成形性等の各種性能の安定性の観点から好ましい。
また、生産性の観点からは、160℃程度で反応を完結できる6,6−ナイロンが好ましい。
繊維強化複合材料20の熱安定性の観点からは、熱可塑性樹脂のガラス転移点は95℃以上であることがより好ましい。また、繊維強化複合材料20の成形性の観点からは、熱可塑性樹脂のガラス転移点は170℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。
なお、熱可塑性樹脂のガラス転移点は、硬化後の熱可塑性樹脂を用いて、示差走査熱量測定法(DSC)にて測定したものである。
繊維強化複合材料20における繊維体積含有率が下限値以上であれば、繊維強化複合材料20は充分な機械的強度(引張強さ)を確保することができる。一方、繊維強化複合材料20における繊維体積含有率が上限値以下であれば、繊維強化複合材料20を安定に製造することができる。また、繊維強化複合材料20内部の強化繊維束が切断されたりすることがなく、強化繊維束本来の機械的強度を保持することができる。
Vf値(%)=(W−ρ3×V)/[(ρ2−ρ3)×V]×100・・・(1)
繊維強化複合材料20の撚り数は、1回/m〜50回/mであることが好ましい。
なお、上記実施形態においては、強化繊維線材30が芯線32の外周に外層33を有するものである場合を例示したが、強化繊維線材30は外層33を有さないものであってもよい。
本実施形態の木舞構造10における木舞縄140は、長繊維の強化繊維束からなる芯線と、その芯線を被覆してなる外層とを備える。木舞縄140の外層は、筒状の構造を有する。筒状の構造としては、例えば、繊維を編み上げた丸編み構造や、繊維を筒状に組み上げた組紐構造が挙げられ、外層33と同様、組紐構造であることが好ましい。
なお、木舞縄140は、上記の芯線と、その芯線を被覆してなる外層とを備えるものに限定されず、目的とする塗壁の物性や使用環境等に応じ、上記の素材、構造等に制限されることなく任意に選択すればよい。
次に、本実施形態の木舞構造の製造方法について説明する。なお、本実施形態の木舞構造の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
長繊維の強化繊維を束ねて、強化繊維束を形成する。
次いで、強化繊維束に、繊維を巻き回し、筒状の組紐構造を作ることで、組紐構造体を得る。または、強化繊維束の外周に沿って、繊維を編み上げて、筒状の組紐構造を作ることで、組紐構造体を得る。得られた組紐構造体は、強化繊維束からなる芯線が、外層で被覆されたものである。
また、組紐構造としては、上述の本実施形態の木舞構造における繊維強化複合材料と同様の構造が挙げられる。
熱可塑性樹脂溶液の粘度が5mPa・s以上であれば、組紐構造体に充分な量の熱可塑性樹脂を容易に付与することができる。一方、熱可塑性樹脂溶液の粘度が1000mPa・s以下であれば、組紐構造体に含まれる強化繊維束の内部まで熱可塑性樹脂を容易に浸透させることができる。
組紐構造体に熱可塑性樹脂を付与した後、乾燥および熱処理の少なくとも一方を行うことが好ましい。乾燥と熱処理は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。熱可塑性樹脂を付与した組紐構造体に、乾燥および熱処理の少なくとも一方を施すことにより、強化繊維線材が得られる。
乾燥温度は、40℃〜120℃であることが好ましく、50℃〜100℃であることがより好ましい。乾燥時間は、1分〜1時間であることが好ましく、10分〜30分であることがより好ましい。
熱処理温度および熱処理時間は、熱可塑性樹脂、硬化剤または溶媒の種類に応じて適宜調整される。
熱処理温度は、熱硬化性樹脂や後反応型の熱可塑性樹脂が反応する温度で行い、120℃〜250℃であることが好ましく、120℃〜180℃であることがより好ましい。熱処理時間は、1分〜1時間であることが好ましく、3分〜40分であることがより好ましい。
上記の乾燥温度、乾燥時間、熱処理温度および熱処理時間の範囲は、強化繊維線材の品位および生産性の観点から好ましい。
束ねられた強化繊維線材の加熱温度は、80℃〜200℃であることが好ましく、加熱時間は3分〜40分であることが好ましい。
ストランド構造体の撚り方向は、特に限定されず、S(右)撚りであってもよく、Z(左)撚りであってもよい。
長繊維の強化繊維を束ねて、強化繊維束を形成する。
強化繊維束に、他の繊維を巻き回し、強化繊維の束の外周を筒状の組紐構造で覆う(筒状物の筒の内部に強化繊維の束が通っている)ことで、木舞縄を得る。得られた木舞縄は、強化繊維束からなる芯線が、外層で被覆された組紐構造体である。
また、組紐構造としては、上述の本実施形態の木舞構造における強化繊維複合材と同様の構造が挙げられる。
本実施形態の塗壁(土塗壁ともいう)は、本実施形態の木舞構造を備える。
具体的には、本実施形態の塗壁は、下地となる本実施形態の木舞構造と、本実施形態の木舞構造上に塗布された左官材料からなる表層(荒壁、大直し、中壁、仕上げ壁等)と、を備える。土塗壁としては、土壁、砂壁、漆喰壁等が挙げられ、仕上げ壁の材料は特に限定されない。
壁倍率とは、建築基準法で定められた耐力壁の強さを表す数値のことである。壁倍率は、壁の剛性、降伏強度、最大強度、靭性を総合的に考慮して定められた指標である。壁倍率の値が大きい程、しっかりした壁となり、耐震性が増す。
昭和56年6月1日建設省告示第1100号および建築基準法施行令第46条第4項表1(1)項から(7)項までに掲げる軸組と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る倍率の数値を定める件 最終改正 平成28年6月1日 国土交通省告示796号に定められた別表第4(1)(は)では、一般的な竹で造られた木舞構造を有する、塗厚が8cmの土塗壁の壁倍率が1.5である。したがって、本実施形態の塗壁の壁倍率は、塗壁の塗厚が8cmでも、2.0以上とすれば、従来の土塗壁よりも耐震性に優れる。
面内せん断試験の方法は、以下の通りである。
(1)加力方法
(1−1)加力は正負交番繰り返し加力とする。
(1−2)繰り返し履歴は、試験方法によって異なる。
柱脚固定式の場合:見かけのせん断変形角が1/450rad、1/300rad、1/200rad、1/150rad、1/100rad、1/75rad、1/50radの正負変形時とする(壁の場合は上記に1/30radを追加することが望ましい)。
タイロッド式の場合:真のせん断変形角が1/600rad、1/450rad、1/300rad、1/200rad、1/150rad、1/100rad、1/75rad、1/50radの正負変形時とする(壁の場合は上記に1/30radを追加することが望ましい)。
(1−3)繰り返し回数は、履歴の同一変形段階で3回を原則とする(但し、1/30radを追加する場合は繰り返し回数を1回とする。また、床の面内せん断試験の場合は全ての繰り返し回数を1回とする。)。
(1−4)加力が最大荷重に達した後、最大荷重の80%の荷重に低下するまで加力するか、木造軸組工法住宅の許容応力度設計1(2017年度版)(企画発行 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター)の表4.3.31 試験体の作製・設置方法の例に記載の試験体の2に示す変形角が1/15rad以上に達するまで加力する。
(1−5)筋かいを引張側で破壊させる試験の場合、筋かいの座屈破壊の危険性がある場合は1/120radまでとしも良い。また、火打ち構面の最終的な破壊については、下側の火打ちを引張側で破壊させるもとする。
(2)変位測定
変位測定は、木造軸組工法住宅の許容応力度設計1(2017年度版)(企画発行 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター)の図4.3.32〜図4.3.36に示すように変位計H1で梁材又は桁材の水平方向変位、変位計H2で土台又は桁材の水平方向変位を、変位計V3、V4で柱又は梁の脚部の鉛直方向変位をそれぞれ測定する。変位計はなるべく部材の軸心に取り付ける。
なお、タイロッド式については、タイロッドの浮き上がり拘束力を測定することが望ましい。
短期基準せん断耐力P0=min{(a)降伏耐力Py、(b)終局耐力Pu×0.2(2μ−1)1/2、(c)最大耐力Pmax×2/3、(d)特定変形角時の耐力PR} (1)
短期許容せん断耐力Pa=P0×α (2)
(α:耐久性、使用環境、施工性の影響等を勘案して定める低減係数)
壁倍率=Pa/(壁長×1.96[kN/m]) (3)
本実施形態の塗壁では、上記の式(2)において、α=1とする。
また、短期基準せん断耐力P0は、上記の(a)〜(d)の値に、それぞれのばらつき係数を乗じて算出した値のうち最も小さい値とする。
これは、木造軸組工法住宅の許容応力度設計1(2017年度版)(企画発行 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター)に記載されている枠組壁工法の試験方法評価方法で提案されている図43.5.2(本明細書においては図5)に準じて下記の(1)〜(13)の手順で行う。
図5において、Y軸は許容せん断耐力、X軸はせん断試験における変位を示す。
包絡線は、測定した荷重−変位曲線の終局加力を行った側の最初の荷重−変位曲線より求める。
なお、壁耐力、水平構面等の面内せん断試験では、変位を変位角と読み替える。
(1)包絡線上の0.1Pmaxと0.4Pmaxを結ぶ第I直線を引く。
(2)包絡線上の0.4Pmaxと0.9Pmaxを結ぶ第II直線を引く。
(3)包絡線に接するまで第II直線を平行移動し、これを第III直線とする。
(4)第I直線と第III直線との交点の荷重を降伏耐力Pyとし、この点からX軸に平行に第IV直線を引く。
(5)第IV直線と包絡線との交点の変位を降伏変位δyとする。
(6)原点と(δy、Py)を結ぶ直線を第V直線とし、その勾配を初期剛性Kと定める。
(7)最大荷重後の0.8Pmax荷重低下域の包絡線上の変位、又は1/15radのいずれか小さい変位を終局変位δuと定める。
(8)包絡線とX軸及びx=δuの直線で囲まれる面積をSとする。
(9)第V直線とx=δuの直線とX軸及びX軸に平行な直線で囲まれる台形の面積がSと等しくなるようにX軸に平行な第VI直線を引く。
(10)第V直線と第VI直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力Puと定め、その時の変位を完全弾塑性モデルの降伏点変位δvとする。
(11)塑性率μ=δu/δvとする。
(12)構造特性係数Dsは、塑性率μを用い、Ds=1/(2μ−1)1/2とする。
(13)変形角が1/15radを超えても最大荷重に達しない場合には、1/15rad時の荷重を最大荷重Pmaxとする。
なお、完全弾塑性モデルの作成方法は、他の試験であっても同様である。
図1に示す木舞構造に比べて、横木が1本多く、繊維強化複合材料の本数が縦方向と横方向の合計で18本多い、図1に示す木舞構造に準ずる木舞構造を製造した。
具体的な製造方法を、下記の通りとした。
断面寸法120mm角の角材(縦柱部110、横柱部120)を用いて、横柱部120の芯と横柱部120の芯の間隔(木枠の高さ方向において、2本の横柱部120の中心線間の距離)が1820mm、縦柱部110の芯と縦柱部110の芯の間隔(木枠の幅において、2本の縦柱部110の中心線間の距離)が910mmの木枠を仮組みした。
その仮組みした木枠のうち、2本の縦柱部110間に、断面寸法15mm×105mmの板材からなる、3本の横木130を等間隔に固定した。
また、木枠の上部側の横木130と木枠の中央の横木130の間に、これらと平行に15本の繊維強化複合材料20Aを等間隔に配置し、木枠の下部側の横木130と木枠の中央の横木130の間に、これらと平行に15本の繊維強化複合材料20Aを等間隔に配置した。
垂直に交わっている繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bを木舞縄140で結束し、垂直に交わっている繊維強化複合材料20Bと横木130を木舞縄140で結束した。詳細には、木枠の上部側の横木130の長さ方向に平行な下方、および木枠の下部側の横木130の長さ方向に平行な上方において、横木130から2本目の繊維強化複合材料20Aに沿って、繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bを木舞縄140で結束した。
2つの縦柱部110と平行に配置されている繊維強化複合材料20Bであって、2つの縦柱部110の中間(2つの縦柱部110のそれぞれから11本目)の繊維強化複合材料20Bに沿って、垂直に交わっている繊維強化複合材料20Aと繊維強化複合材料20Bを木舞縄140で結束した。
Claims (8)
- 長繊維の強化繊維が束ねられてなる強化繊維束と固化材からなる繊維強化複合材料を有する木舞構造。
- 前記繊維強化複合材料は、前記強化繊維束を含む強化繊維線材が複数本撚り合わされた、ストランド構造体である請求項1に記載の木舞構造。
- 前記強化繊維線材は、前記強化繊維束が、繊維によって組織された外層に覆われてなる請求項2に記載の木舞構造。
- 前記繊維強化複合材料が複数本格子状に配置され、該格子状をなす繊維強化複合材料に、前記強化繊維束を含む木舞縄が巻き付けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の木舞構造。
- 前記固化材は、熱可塑性樹脂である請求項1〜4いずれか1項に記載の木舞構造。
- 前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂である請求項5に記載の木舞構造。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の木舞構造を備えた塗壁。
- 壁倍率が2.0以上である請求項7に記載の塗壁。
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