JP2019045713A - 波長変換部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性の低い蛍光体の劣化を抑制しつつ波長変換部材を製造する方法を提供する。【解決手段】マトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材の製造方法であって、(1)金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸を混合し、加熱することにより融液を得る工程、及び、(2)前記融液中に蛍光体を添加した後、冷却する工程、を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発する光の波長を別の波長に変換する波長変換部材の製造方法に関する。
近年、白色LEDは、白熱電球や蛍光灯に代わる次世代の光源として、照明用途への応用が進みつつある。そのような次世代光源の一例として、例えば特許文献1には、青色光を出射するLED上に、LEDからの光の一部を吸収して黄色光に変換する波長変換部材が配置された光源が開示されている。この光源は、LEDから出射された青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光を発する。
波長変換部材としては、従来、樹脂マトリクス中に蛍光体を分散させたものが用いられていた。しかしながら、当該波長変換部材を用いた場合、LEDからの光により樹脂マトリクスが劣化し、光源の輝度が低くなりやすいという問題がある。具体的には、LEDが発する熱や高エネルギーの短波長(青色〜紫外)光によって樹脂マトリクスが劣化し、変色や変形を起こすという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献2には、500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末と蛍光体を含む材料をガラスの屈伏点付近の温度で焼結することで、ガラスマトリクス中に蛍光体を分散させた波長変換部材が提案されている。当該波長変換部材は、蛍光体が無機材料であるガラスマトリクス中に分散されているため、化学的に安定で劣化が少なく、しかも励起光による部材の変色も生じにくいという利点を有する。しかしながら、蛍光体の中には耐熱性の低いものがあり、これを500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末とともに焼結すると、蛍光体が熱劣化して発光効率が低下するという問題がある。
そこで、蛍光体の熱劣化を抑制するため、ガラス転移点が500℃未満のガラスマトリクス中に蛍光体を分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載の波長変換部材も、焼結温度が500℃以上と依然として高いため、耐熱性の低い蛍光体は焼結時に劣化してしまうという問題がある。
以上に鑑み、本発明は、耐熱性の低い蛍光体の劣化を抑制しつつ波長変換部材を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の波長変換部材の製造方法は、マトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材の製造方法であって、(1)金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸を混合し、加熱することにより融液を得る工程、及び、(2)融液中に蛍光体を添加した後、冷却する工程、を含むことを特徴とする。金属ハロゲン化物と多価無機弱酸は比較的低温で反応し、蛍光体を分散させるためのマトリクスを形成する。そのため、耐熱性の低い蛍光体であっても、ほとんど劣化させることなく当該マトリクス中に分散させることができ、波長変換部材を得ることができる。
本発明の波長変換部材の製造方法は、金属ハロゲン化物が、NaX、SnX2、ZnX2及びPbX2(X=ハロゲン元素)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、金属ハロゲン化物が、金属塩化物であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、多価弱酸が、リン酸またはホウ酸であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、工程(1)における加熱温度が100〜480℃であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、蛍光体が量子ドット蛍光体であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、マトリクスの軟化点が300℃以下であることが好ましい。
本発明によれば、耐熱性の低い蛍光体の劣化を抑制しつつ波長変換部材を製造することが可能となる。
本発明の波長変換部材の製造方法は、マトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材の製造方法であって、(1)金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸を混合し、加熱することにより融液を得る工程、及び、(2)融液中に蛍光体を添加した後、冷却する工程、を含むことを特徴とする。
金属ハロゲン化物としては、NaX、SnX2、ZnX2及びPbX2(X:ハロゲン)が挙げられる。これらは1種で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、環境面への配慮と、得られる材料の安定性の観点から、SnX2が好ましい。なお、金属ハロゲン化物としては、発生するハロゲン化水素が系外に放出されやすく、より低温で反応が進行しやすいことから金属塩化物が好ましい。
多価弱酸としては、リン酸やホウ酸が挙げられる。なかでも酸性度が高く、より低温で反応が進行しやすいことからリン酸が好ましい。なお、リン酸としてはオルトリン酸、メタリン酸、ポリリン酸等を使用することができる。
金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸を混合し、加熱することにより融液を得る。具体的には、金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸が反応して、ハロゲン化水素等のガスの発生を伴いながら縮合することにより非晶質のマトリクスが得られる。加熱温度は100〜480℃、150〜400℃、特に200〜350℃であることが好ましい。加熱温度が低すぎると、反応が不十分になり、透明なマトリクスが得にくくなる。一方、加熱温度が高すぎると、多価弱酸が揮発して、組成ずれが生じ、失透や耐候性低下の原因となる。
金属ハロゲン化物と多価無機弱酸の混合割合は、所望の組成を有するマトリクスが得られるように適宜調整する。具体的には、金属ハロゲン化物と多価無機弱酸は、モル比で1:10〜10:1、1:5〜5:1、特に1:4〜4:1の割合で混合することが好ましい。金属ハロゲン化物が少なすぎる(多価無機弱酸が多すぎる)と、マトリクスの耐候性が低下しやすくなる。一方、金属ハロゲン化物が多すぎる(多価無機弱酸が少なすぎる)と、均質な融液を得るための熱処理温度が高くなり、多価弱酸が揮発して、組成ずれが生じ、失透や耐候性低下の原因となる。
次に融液に蛍光体を添加し、混合した後、容器内や基板上に流し出して冷却固化することにより波長変換部材を得る。なお、上記加熱温度から温度を低下させた(例えば10〜100℃、さらには20〜50℃)融液に対して蛍光体を添加してもよい。このようにすれば、蛍光体の熱劣化をより一層抑制することができる。
蛍光体としては、無機蛍光体が挙げられる。具体例としては、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物及びハロリン酸塩化物等の無機粒子からなるものを使用することもできる。これらは単独、または二種以上を混合して使用することができる。これらの無機蛍光体の平均粒子径(D50)は、1〜50μm、特に5〜25μmであることがより好ましい。無機蛍光体の平均粒子径が小さすぎると、発光強度が低下する場合がある。一方、無機蛍光体の平均粒子径が大きすぎると、発光色が不均一になる場合がある。
無機蛍光体として量子ドット蛍光体も使用することができる。量子ドット蛍光体としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、InP、GaN、GaAs、GaP、AlN、AlP、AlSb、InN、InAs及びInSb等の量子ドット蛍光体が挙げられる。これらは単独、または二種以上を混合して使用することができる。あるいは、これら二種以上からなる複合体(例えば、CdSe粒子表面がZnSにより被覆されたコアシェル構造体)を使用してもよい。量子ドット蛍光体の平均粒子径は特に限定されないが、1〜100nm、1〜50nm、1〜30nm、1〜15nm、さらには1.5〜12nm程度である。
蛍光体の添加量は、目的とする発光強度や発光色に応じて適宜選択すればよい。例えば、波長変換部材中に、質量%で1〜50%、3〜30%、特に5〜20%の範囲で含有させることが好ましい。蛍光体の含有量が少なすぎると、所望の発光強度や発光色が得にくくなる。一方、蛍光体の含有量が多すぎると、波長変換部材の機械的強度が低下しやすくなる。
例えばCASN蛍光体(CaAlSiN3:Eu2+)や量子ドット蛍光体は耐熱性が低く、波長変換部材作製時の加熱工程で熱劣化しやすいが、本発明の方法は蛍光体を添加する融液の温度が低いため、蛍光体の熱劣化が生じにくい。なお、詳細な理由は明らかではないが、本発明において、蛍光体としてCASN蛍光体を使用した場合、得られる波長変換部材のマトリクスの耐候性が向上する傾向がある。
上記のようにして、金属成分と多価無機弱酸成分から構成される非晶質のマトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材が得られる。マトリクス組成の具体例としては、モル%で、SnO 20〜50%、P2O5 50〜80%を含有するものや、SnO 20〜50%、B2O3 50〜80%を含有するものが挙げられる。
マトリクスの軟化点は400℃以下、300℃以下、250℃以下、特に200℃以下であることが好ましい。マトリクスの軟化点が高すぎると、金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸からなる融液の温度も高くなり、蛍光体が熱劣化しやすくなる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
リン酸(85質量%水溶液)3.04mLに塩化スズ3.63g(モル比で、リン酸:塩化スズ=7:3)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
リン酸(85質量%水溶液)3.04mLに塩化スズ3.63g(モル比で、リン酸:塩化スズ=7:3)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
得られた波長変換部材に対し青色LED(波長450nm)の光を照射したところ、CASN蛍光体に由来する赤色の蛍光が確認できた。
(実施例2)
リン酸(85質量%水溶液)2.55mLに塩化スズ3.54g及び塩化亜鉛0.85g(モル比で、リン酸:塩化スズ:塩化亜鉛=3:3:1)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
リン酸(85質量%水溶液)2.55mLに塩化スズ3.54g及び塩化亜鉛0.85g(モル比で、リン酸:塩化スズ:塩化亜鉛=3:3:1)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
得られた波長変換部材に対し青色LED(波長450nm)の光を照射したところ、CASN蛍光体に由来する赤色の蛍光が確認できた。
(実施例3)
リン酸(85質量%水溶液)8.32mLに塩化ナトリウム3.05gを添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
リン酸(85質量%水溶液)8.32mLに塩化ナトリウム3.05gを添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を得た後、CASN蛍光体0.1gを添加して撹拌し、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
得られた波長変換部材に対し青色LED(波長450nm)の光を照射したところ、CASN蛍光体に由来する赤色の蛍光が確認できた。
(実施例4)
リン酸(85質量%水溶液)3.04mLに塩化スズ3.63g(モル比で、リン酸:塩化スズ=7:3)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を150℃まで降温させたのち、量子ドット蛍光体(CdSe/ZnS、平均粒子径=3nm)を0.1g添加し撹拌した後、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
リン酸(85質量%水溶液)3.04mLに塩化スズ3.63g(モル比で、リン酸:塩化スズ=7:3)を添加した後、250℃まで昇温した。ガスの発生が収まり透明な融液を150℃まで降温させたのち、量子ドット蛍光体(CdSe/ZnS、平均粒子径=3nm)を0.1g添加し撹拌した後、容器に流し出して急冷することにより波長変換部材を得た。
得られた波長変換部材に対し青色LED(波長450nm)の光を照射したところ、上記量子ドット蛍光体に由来する蛍光が確認できた。
Claims (7)
- マトリクス中に蛍光体が分散してなる波長変換部材の製造方法であって、
(1)金属ハロゲン化物及び多価無機弱酸を混合し、加熱することにより融液を得る工程、及び、
(2)前記融液中に蛍光体を添加した後、冷却する工程、
を含むことを特徴とする波長変換部材の製造方法。 - 前記金属ハロゲン化物が、NaX、SnX2、ZnX2及びPbX2(X=ハロゲン元素)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材の製造方法。
- 前記金属ハロゲン化物が、金属塩化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換部材の製造方法。
- 前記多価弱酸が、リン酸またはホウ酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長変換部材の製造方法。
- 前記工程(1)における加熱温度が100〜480℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波長変換部材の製造方法。
- 前記蛍光体が量子ドット蛍光体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の波長変換部材の製造方法。
- 前記マトリクスの軟化点が300℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波長変換部材の製造方法。
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JP2017169340A JP2019045713A (ja) | 2017-09-04 | 2017-09-04 | 波長変換部材の製造方法 |
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