JP2023168000A - 波長変換部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】量子ドット蛍光体の凝集を抑制するとともに、均一分散性を有し、光学特性が維持された波長変換部材を提供する。【解決手段】波長変換部材は、ガラスマトリクスと、ガラスマトリクスに分散している量子ドット蛍光体と、を含む波長変換部材であって、ガラスマトリクスは、アルコキシシラン縮重合物を有し、量子ドット蛍光体は、カルボキシ基を有する配位子を有し、ガラスマトリクスにおけるアルコキシ基の脱離部と、量子ドット蛍光体の配位子におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものであって、波長変換部材のヘイズ値は、ガラスマトリクスに対して+1%以内である。【選択図】図1

Description

本開示は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)などの固体光源が発する光を、異なる波長域の光に変換することができる波長変換部材に関する。
近年、低消費電力、小型軽量という観点から、蛍光灯や白熱灯に変わる光源として、LEDやLDのような固体光源に対する注目が高まっている。一般的な光源として利用されている白色LEDは、青色光を出射する固体光源上に、その光を黄色光に変換することができる蛍光体と、それを担持するマトリクスと、で構成される波長変換部材が配置されており、青色光と黄色光とが混色して白色光を発する。最近では用途に応じて様々な発光色が要求されていることもあり、蛍光体の中でも粒径によって発光波長が変化する量子ドット蛍光体を用いた波長変換部材もみられる。
波長変換部材としては、従来、樹脂マトリクス中に蛍光体を分散させたものが使用されている。しかしながら、この波長変換部材を用いた場合、構成する樹脂マトリクスが固体光源からの光によって劣化し、変色する。そのため、波長変換部材から発する光の強度が弱くなる問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献1には、ガラス粉末と、量子ドット蛍光体と、を含む波長変換部材用原料粉末の焼結体からなることを特徴とする波長変換部材が提案されている。
特許第6830751号公報
しかしながら、特許文献1に記載の波長変換部材は、蛍光体として量子ドット蛍光体を用いた場合、焼結時の熱によって量子ドット蛍光体の表面の配位子が失われ、ガラス粒界における量子ドット蛍光体の凝集が進行し、発光特性が低下する。また、ガラス粒子同士の界面(ガラス粒界)に量子ドット蛍光体が存在することとなり、単位体積あたりの発光特性の低さが問題となる。したがって、量子ドット蛍光体が有する光学特性を維持したまま波長変換部材を作製するためには、ガラスマトリクスにおける量子ドット蛍光体の凝集を抑制するとともに、均一分散性を有するものとすることが課題として挙げられる。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、量子ドット蛍光体が有する光学特性が維持された波長変換部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る波長変換部材は、ガラスマトリクスと、ガラスマトリクスに分散している量子ドット蛍光体と、を含む波長変換部材であって、ガラスマトリクスは、アルコキシシラン縮重合物を有し、量子ドット蛍光体は、カルボキシ基を有する配位子を有し、ガラスマトリクスにおけるアルコキシシラン縮合物のアルコキシ基脱離部と、量子ドット蛍光体のカルボキシ基におけるプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものであって、波長変換部材のヘイズ値は、前記ガラスマトリクスに対して+1%以内である。
本開示に係る波長変換部材の製造方法は、ガラスマトリクスの材料であるアルコキシシランと水とを混合し、アルコキシシラン混合溶液を得る、アルコキシシラン混合工程と、アルコキシシラン混合溶液と酸性触媒溶液とを混合し、触媒混合溶液を得る、触媒混合工程と、触媒混合溶液と、量子ドット蛍光体とが分散した水溶液とを混合し、量子ドット蛍光体混合溶液を得る、量子ドット蛍光体混合工程と、量子ドット蛍光体混合溶液を硬化させる溶液硬化工程と、を含む。
本開示に係る波長変換部材およびその製造方法によれば、ガラスマトリクスにおける量子ドット蛍光体の凝集を抑制するとともに、量子ドット蛍光体が均一に分散した波長変換部材を作製できるため、量子ドット蛍光体が有する光学特性が維持された波長変換部材を実現することができる
実施の形態1に係る波長変換部材の断面構造を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る波長変換部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。
第1の態様に係る波長変換部材は、ガラスマトリクスと、ガラスマトリクスに分散している量子ドット蛍光体と、を含む波長変換部材であって、ガラスマトリクスは、アルコキシシラン縮重合物を有し、量子ドット蛍光体は、カルボキシ基を有する配位子を有し、ガラスマトリクスにおけるアルコキシ基の脱離部と、量子ドット蛍光体の配位子におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものであって、波長変換部材のヘイズ値は、前記ガラスマトリクスに対して+1%以内である。
第2の様態に係る波長変換部材は、上記第1の態様において、量子ドット蛍光体は、リン化インジウム(InP)、セレン化亜鉛(ZnSe)やテルル化亜鉛(ZnTe)、硫化銅インジウム(CuInS)の群から選択される1以上の化合物、又は、選択された1以上の化合物の周囲が硫化亜鉛(ZnS)のシェルによって被覆されたInP/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnTe/ZnS、CuInS/ZnSの群から選択されるものであってもよい。
第3の様態に係る波長変換部材は、上記第1の態様において、量子ドット蛍光体は、一粒子がシングルナノオーダーサイズの平均粒子径を有し、特定波長の光によって励起され発光する機能を有してもよい。
第4の様態に係る波長変換部材の製造方法は、ガラスマトリクスの材料であるアルコキシシランと水とを混合し、アルコキシシラン混合溶液を得る、アルコキシシラン混合工程と、アルコキシシラン混合溶液と酸性触媒溶液とを混合し、触媒混合溶液を得る、触媒混合工程と、触媒混合溶液と量子ドット蛍光体が分散した水溶液とを混合し、量子ドット蛍光体混合溶液を得る、量子ドット蛍光体混合工程と、量子ドット蛍光体混合溶液を硬化させる溶液硬化工程とを含む。
第5の様態に係る波長変換部材の製造方法は、上記第4の態様において、量子ドット蛍光体は、リン化インジウム(InP)、セレン化亜鉛(ZnSe)やテルル化亜鉛(ZnTe)、硫化銅インジウム(CuInS)の群から選択される1以上の化合物、又は、前記選択された1以上の化合物の周囲が硫化亜鉛(ZnS)のシェルによって被覆されたInP/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnTe/ZnS、CuInS/ZnSの群から選択されるものであってもよい。
第6の様態に係る波長変換部材の製造方法は、上記第4の態様において、量子ドット蛍光体は、一粒子がシングルナノオーダーサイズの平均粒子径を有し、特定波長の光によって励起され発光する機能を有し、カルボキシ基を有する配位子を有してもよい。
第7の様態に係る波長変換部材の製造方法は、上記第4の態様において、アルコキシシランは、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを含んでもよい。
第8の様態に係る波長変換部材の製造方法は、上記第4の態様において、酸性触媒溶液は、酢酸であってもよい。
第9の様態に係る波長変換部材の製造方法は、量子ドット蛍光体混合工程において、触媒混合溶液が、20Pas以上40Pas以下の粘度のときに量子ドット蛍光体が分散した水溶液を混合してもよい。
以下、実施の形態に係る波長変換部材およびその製造方法について、添付図面を参照しながら詳述する。
(実施の形態1)
<波長変換部材>
図1は、本開示の実施の形態1に係る波長変換部材200の断面を例示した概略図である。波長変換部材200は、ガラスマトリクス101と、ガラスマトリクスに分散している量子ドット蛍光体102と、を含む。ガラスマトリクス101は、アルコキシシラン縮重合物を有している。量子ドット蛍光体102は、カルボキシ基を有する配位子103を有している。ガラスマトリクス101におけるアルコキシ基の脱離部と、量子ドット蛍光体102の配位子におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有する。これにより、ガラスマトリクス101において分散した量子ドット蛍光体102を固定化させることができる。波長変換部材のヘイズ値は、前記ガラスマトリクスに対して+1%以内である。
また、ガラスマトリクス101は、無色透明であるものの、量子ドット蛍光体102を加えることによって波長変換部材200のヘイズ値が変化する。波長変換部材200のヘイズ値は、ガラスマトリクス101のヘイズ値に対して+1%以内であることが好ましい。+1%より大きい場合、波長変換部材200は、濁りが発生している状態になり、波長変換部材200の波長変換光の強度が低下する。
以下、波長変換部材200を構成する要素ごとに詳述する。
[ガラスマトリクス101]
波長変換部材200におけるガラスマトリクス101とは、量子ドット蛍光体102を分散させて保持するものである。ガラスマトリクス101の材料としては、ソーダ石灰ガラスや鉛ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられるが、これらの材料は硬化に高温を必要とするため、量子ドット蛍光体102を含む場合は、光学特性の劣化に寄与するため好ましくない。そこで、ガラスマトリクス101の材料としては、上記材料と比較して低温で硬化させることができるアルコキシシランを用いることが好ましい。前記アルコキシシランの中でも、低温で縮重合が進み緻密なガラスマトリクスを形成することができる、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いることがより好ましい。
[量子ドット蛍光体102]
波長変換部材200における量子ドット蛍光体102とは、一粒子がシングルナノオーダーサイズの平均粒子径を有し、ある特定波長の光によって励起され発光する機能を有するものである。量子ドット蛍光体102の材料候補としては二元系に分類されIII-V族に属するリン化インジウム(InP)、II-VI族に属するセレン化亜鉛(ZnSe)やテルル化亜鉛(ZnTe)、または、三元系に分類されI-III-VI族に属する硫化銅インジウム(CuInS)、さらにはこれらの周囲が硫化亜鉛(ZnS)などのシェルによって被覆されたInP/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnTe/ZnS、CuInS/ZnSが挙げられる。
また、量子ドット蛍光体は、一粒子の表面に分散性を高めるために配位子103が配位する構造を有する。配位子103としては、一般的にはトリオクチルフォスフィンやトリオクチルフォスフィンオキシド、ドデシルアミンといった疎水性配位子があるが、ここでは、配位子103として、親水性配位子であることが好ましい。前記親水性配位子の中でもカルボキシ基を有するものが好ましい。例えば、チオグリコール酸やN-アセチルシステインがある前記親水性配位子は水分散性に優れるため、波長変換部材200を作製するプロセスにおいて容易に分散させることが可能である。
<波長変換部材の製造方法>
図2は、本開示の実施の形態1に係る波長変換部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。以下、波長変換部材200を製造するプロセスごとに詳述する。P1はアルコキシシラン混合工程、P2は、触媒混合工程、P3は量子ドット蛍光体混合工程、P4は溶液硬化工程、をそれぞれ示す。
以下、波長変換部材の製造方法の各要素について詳述する。
(アルコキシシラン混合工程P1)
アルコキシシラン混合工程P1は、波長変換部材200を作製するために、ガラスマトリクス101の材料であるアルコキシシランと水とを混合し、アルコキシシラン混合溶液を得る工程である。上記ガラスマトリクス101でも述べたように、ガラスマトリクス101の材料としては、低温で硬化させることができるアルコキシシランを用いることが好ましく、前記アルコキシシランの中でも、低温で縮重合が進み、緻密なガラスマトリクスを形成することができる、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いることがより好ましい。
(触媒混合工程P2)
触媒混合工程P2は、アルコキシシラン混合溶液と酸性触媒溶液とを混合し、触媒混合溶液を得る工程である。この触媒混合溶液をマグネットスターラーにて混合しながら加熱することにより、アルコキシシランの縮重合が進行する。酸性触媒溶液としては、塩酸や硝酸などが挙げられるが、酢酸を選択することがより好ましい。酢酸を選択することで、縮重合の進行を適度に調節でき、アルコキシシランの縮重合における分子の規則的な配列を制御することが可能となる。時間が経過するにつれてアルコキシシランの縮重合が進行するため、触媒混合溶液の粘度が徐々に高くなる。
(量子ドット蛍光体混合工程P3)
量子ドット蛍光体混合工程P3は、触媒混合溶液と量子ドット蛍光体102が分散した水溶液とを混合し、量子ドット蛍光体混合溶液を得る工程である。量子ドット蛍光体混合工程P3において、触媒混合溶液が、20Pas(Pa・s)以上40Pas(Pa・s)以下の粘度のときに量子ドット蛍光体102が分散した水溶液を混合することが好ましい。この範囲における粘度にて溶液を作製すると、ガラスマトリクス101におけるアルコキシ基の脱離部と、量子ドット蛍光体102の配位子103におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものとなり、ガラスマトリクス101において量子ドット蛍光体102が均一に分散させることができる。触媒混合溶液が、この粘度の範囲外である場合、ガラスマトリクス101におけるアルコキシ基の脱離部と、量子ドット蛍光体102の配位子103におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を十分有さないことから、均一分散することが困難となるため、好ましくない。
(溶液硬化工程P4)
溶液硬化工程P4は、前記量子ドット蛍光体混合溶液を硬化させる工程である。前記量子ドット蛍光体混合溶液をさらに加熱することにより、波長変換部材200を得ることができる。
以下、配位子103として、親水性配位子を有し、かつカルボキシ基を有するチオグリコール酸が配位したInP量子ドット蛍光体をもとに作製した波長変換部材200に関して、実施例に基づきさらに具体的な説明をするが、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)ガラスマトリクス101の材料であるテトラメトキシシラン1molと、水8molと、酸性触媒溶液として酢酸0.1molと、をそれぞれ秤量する。また、これらの総重量に対し、配位子103としてチオグリコール酸を有するInP量子ドット蛍光体を重量比1/10となるように秤量する。
(2)次に秤量したガラスマトリクス101の材料であるテトラメトキシシランと、水をビーカー内に移す。マグネットスターラーにて混合することで、アルコキシシラン混合溶液を得る。その後、前記アルコキシシラン混合溶液と酢酸を混合し、触媒混合溶液を得る。この触媒混合溶液を130℃で加熱しながら、時間経過とともに、縮重合が進むため、溶液の粘度が徐々に高まってくる。
(3)及び(4)前記触媒混合溶液が、20Pas以上40Pas以下の粘度のときにInP量子ドット蛍光体を混合し、所定の形状の型に流し込み加熱する。縮重合が完了すると、硬化した波長変換部材200を得ることができる。
得られた波長変換部材200について光学特性(量子効率、およびヘイズ値)を評価した。
(実施例2)
ガラスマトリクス101の原料として、テトラエトキシシランを使用したことを除いて、実施例1に記載の内容と同様である。
(比較例1)
量子ドット蛍光体混合工程P3にて触媒混合溶液が、20Pasより小さい粘度のときにInP量子ドット蛍光体を混合することを除いて、実施例1に記載の内容と同様である。
(比較例2)
量子ドット蛍光体混合工程P3にて触媒混合溶液が、40Pasより大きい粘度のときにInP量子ドット蛍光体を混合することを除いて、実施例1に記載の内容と同様である。
(比較例3)
量子ドット蛍光体102が配位子103としてトリオクチルホスフィンを有することを除いて、実施例1に記載の内容と同様である。
(判定方法)
表1に、実施例1、2および比較例1から3において、波長変換部材200の量子効率を評価した結果、および使用するガラスマトリクス101のみのヘイズ値に対する波長変換部材200のヘイズ値との差分割合を評価した結果を示す。量子効率が30.0%以上であり、かつヘイズ値差分割合が+1.0%以内におさまる場合、光学製品への展開ができる波長変換部材200が作製できたと判定し、〇(良)とした。一方で、量子効率が30.0%より低い、あるいは、ヘイズ値差分割合が+1.0%より大きい場合、光学製品への展開ができる波長変換部材200が作製できなかったと判定し、×(不良)とした。
Figure 2023168000000002
(結果)
実施例1および2で作製した波長変換部材200は、ともに量子効率が30.0%以上であり、ヘイズ値差分割合が+1.0%以内におさまっていることがわかる。量子ドット蛍光体混合工程P3において、量子ドット蛍光体102混合前の溶液粘度が20.0Pas以上、40.0Pas以下である場合、量子ドット蛍光体102が十分に混合されるとともに、前記ガラスマトリクス101におけるアルコキシ基の脱離部と、前記量子ドット蛍光体102の配位子103におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものとなり、硬化した波長変換部材200の中で固定化されたことが要因であると考えられる。このことから本発明の実施形態にて、量子効率およびヘイズ値差分割合が所望の特性を有する範囲で作製できることが分かる。
一方、比較例1を確認すると、量子効率は低下し、ヘイズ差分割合は大きくなっていることが分かる。量子ドット蛍光体混合工程P3において、量子ドット蛍光体102混合前の溶液粘度が20.0Pasより小さく、縮重合が十分に進行していない状態である。このときに量子ドット蛍光体102を混合すると量子ドット蛍光体102が固定化される前にそれ自身の凝集が進み、その状態を保持したまま硬化するため、このような結果が得られたと考えられる。
比較例2でも比較例1と同様に量子効率はさらに低下し、ヘイズ差分割合もより大きくなっていることが分かる。量子ドット蛍光体混合工程P3において、量子ドット蛍光体102混合前の溶液粘度が40.0Pasより大きく、量子ドット蛍光体102が十分に混合されず硬化したため、このような結果が得られたと考えられる。
また、比較例3は、実施例1と比較して、配位子103がトリオクチルホスフィンである量子ドット蛍光体102を選択し作製したものであるが、量子効率はさらに低下するとともに、ヘイズ差分割合がさらに大きくなった。配位子103としてトリオクチルホスフィンを有する量子ドット蛍光体102は、有機溶媒中の分散性は非常に良好ではあるものの、水中の分散性が非常に悪い。したがって、量子ドット蛍光体混合工程P3において、水系溶液中に混合した時点で量子ドット蛍光体102の凝集がより進行してしまい、このような結果が得られたと考えられる。
これらの結果から、本開示の実施の形態において、量子ドット蛍光体102の有する配位子103と波長変換部材200作製時の工程の中でも、量子ドット蛍光体混合工程P3における量子ドット蛍光体102混合前の溶液の粘度が、所望の特性を有する波長変換部材200の作製できることに大きく影響をおよぼしていることが分かる。
以上から、本開示に係る波長変換部材の製造方法によれば、量子ドット蛍光体102の凝集を抑制するとともに、均一分散性を有し、光学特性が維持された波長変換部材200を実現することが可能となる。
101:ガラスマトリクス
102:量子ドット蛍光体
103:配位子
200:波長変換部材
P1:アルコキシシラン混合工程
P2:触媒混合工程
P3:量子ドット蛍光体混合工程
P4:溶液硬化工程

Claims (9)

  1. ガラスマトリクスと、
    前記ガラスマトリクスに分散している量子ドット蛍光体と、
    を含む波長変換部材であって、
    前記ガラスマトリクスは、アルコキシシラン縮重合物を有し、
    前記量子ドット蛍光体は、カルボキシ基を有する配位子を有し、
    前記ガラスマトリクスにおけるアルコキシ基の脱離部と、前記量子ドット蛍光体の配位子におけるカルボキシ基のプロトン脱離部とが結合している箇所を有するものであって、
    前記波長変換部材のヘイズ値は、前記ガラスマトリクスに対して+1%以内である、
    波長変換部材。
  2. 前記量子ドット蛍光体は、リン化インジウム(InP)、セレン化亜鉛(ZnSe)やテルル化亜鉛(ZnTe)、硫化銅インジウム(CuInS)の群から選択される1以上の化合物、又は、前記選択された1以上の化合物の周囲が硫化亜鉛(ZnS)のシェルによって被覆されたInP/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnTe/ZnS、CuInS/ZnSの群から選択されるものである、請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記量子ドット蛍光体は、一粒子がシングルナノオーダーサイズの平均粒子径を有し、特定波長の光によって励起され発光する機能を有する、請求項1に記載の波長変換部材。
  4. ガラスマトリクスの材料であるアルコキシシランと水とを混合し、アルコキシシラン混合溶液を得る、アルコキシシラン混合工程と、
    前記アルコキシシラン混合溶液と酸性触媒溶液とを混合し、触媒混合溶液を得る、触媒混合工程と、
    前記触媒混合溶液と、量子ドット蛍光体とが分散した水溶液とを混合し、量子ドット蛍光体混合溶液を得る、量子ドット蛍光体混合工程と、
    前記量子ドット蛍光体混合溶液を硬化させる溶液硬化工程と、
    を含む、
    波長変換部材の製造方法。
  5. 前記量子ドット蛍光体は、リン化インジウム(InP)、セレン化亜鉛(ZnSe)やテルル化亜鉛(ZnTe)、硫化銅インジウム(CuInS)の群から選択される1以上の化合物、又は、前記選択された1以上の化合物の周囲が硫化亜鉛(ZnS)のシェルによって被覆されたInP/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnTe/ZnS、CuInS/ZnSの群から選択されるものである、請求項4に記載の波長変換部材の製造方法。
  6. 前記量子ドット蛍光体は、一粒子がシングルナノオーダーサイズの平均粒子径を有し、特定波長の光によって励起され発光する機能を有し、カルボキシ基を有する配位子を有する、請求項4に記載の波長変換部材の製造方法。
  7. 前記アルコキシシランは、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを含む、
    請求項4に記載の波長変換部材の製造方法。
  8. 前記酸性触媒溶液は、酢酸である、請求項4に記載の波長変換部材の製造方法。
  9. 前記量子ドット蛍光体混合工程において、
    前記触媒混合溶液が、20Pas以上40Pas以下の粘度のときに、量子ドット蛍光体が分散した水溶液を混合する、
    請求項4に記載の波長変換部材の製造方法。
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