JP2019045583A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低低温定着時に定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の繰り返し使用後でも転写ボソが発生しにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】 像担持体、現像手段、及び中間転写体を有する画像形成装置であって、現像手段はトナーを有し、中間転写体表面の帯電量の絶対値が3.0nC/g以下であり、トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、トナー粒子の反射電子像から得られる輝度ヒストグラムにおいて、二つの極大値P1及びP2と、該P1及びP2間の極小値Vを持ち、P2は、有機ケイ素重合体由来の極大値であり、P1の輝度が20〜70であり、P2の輝度が130〜230であり、P1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、第1範囲の合計ピクセル数A1、第2範囲の合計ピクセル数AV、第3範囲の合計ピクセル数A2が、特定の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
レーザービームプリンタや複写機において、近年は低消費電力化や一層の高画質化が求められている。この要求に対し、低温定着性と転写性に優れたトナーを開発すべく、種々の検討がなされている。
その中でも、低温定着性を保ちながら、薄紙が定着器の加熱部材へ巻きつかないトナーが提案されている。特許文献1においては、コア粒子を樹脂のシェル層で被覆し、シェル層に一定の穴を形成することで、巻きつきを抑制する技術が開示されている。しかしながら、樹脂のシェル層のみでは流動性や帯電性の観点から現像転写性に課題があるため、外添剤が必要になる。その一方で、外添剤は連続使用につれて埋め込みや外れが問題になるため、耐久性に関しては未だ改善の余地があった。
そこで、特許文献2においては、帯電安定性を高めて耐久性を改善する技術として、シラン化合物の被覆層と外添された無機粒子の両方を有したトナーが提案されている。
特開2009−186640号公報 特許第5407377号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術において、トナー母粒子への被覆性の高さによる定着性阻害は無視できるものではなく、特に低温時における定着器への薄紙の巻きつきには課題が残っていた。
本発明の目的は、低温定着時に定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の繰り返し使用後でも転写不良(所謂転写ボソ)が発生しにくい画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明は、像担持体、
トナー担持体上のトナーを現像して該像担持体にトナー像を形成する現像手段、及び
該像担持体から1次転写されたトナー像を転写材に2次転写するために搬送する中間転写体、を有する画像形成装置であって、
現像手段が、該トナーを有し、
該中間転写体表面は、傾斜帯電法による帯電量の絶対値が3.0nC/g以下であり、
該トナーは、結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有し、
該トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
該トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、該トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、
該ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、該P1及びP2間の極小値Vを持ち、該P2は、該有機ケイ素重合体由来の極大値であり、
該P1の輝度が20以上70以下であり、
該P2の輝度が130以上230以下であり、
該反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、
該Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl−29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成装置に関する。
(A1/AV)≧1.50 (1)
(A2/AV)≧1.50 (2)
また、本発明は、トナー担持体上のトナーを現像して該像担持体にトナー像を形成する現像工程、
該トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程、及び
該中間転写体上の該トナー像を転写材に二次転写する二次転写工程、
を有する画像形成方法であって、
該中間転写体表面は、傾斜帯電法による帯電量の絶対値が3.0nC/g以下であり、
該トナーは、結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有し、
該トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
該トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、該トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、
該ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、該P1及びP2間の極小値Vを持ち、該P2は、該有機ケイ素重合体由来の極大値であり、
該P1の輝度が20以上70以下であり、
該P2の輝度が130以上230以下であり、
該反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、
該Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl−29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成方法に関する。
(A1/AV)≧1.50 (1)
(A2/AV)≧1.50 (2)
以上説明したように、本発明によれば、低温定着時に定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の繰り返し使用後でも転写ボソが発生しにくい画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
トナー粒子表面の反射電子像から取得した輝度ヒストグラムの例 ネットワーク構造の有無を示すトナー粒子表面反射電子像及び二値化画像の例 画像形成装置の概略断面図 傾斜帯電法の測定装置を示す模式的な断面図 中間転写ベルトの層構成を示す模式的な断面図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明の画像形成装置は、像担持体、トナー担持体上のトナーを現像して像担持体にトナー像を形成する現像手段、及び像担持体から一次転写されたトナー像を転写材に二次転写するために搬送する中間転写体を有する。現像手段は、トナー担持体と、トナーを含有するトナー容器と、を有する。
また、本発明の画像形成方法は、トナー担持体上のトナーを現像して像担持体にトナー像を形成する現像工程、トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程、及び中間転写体上のトナー像を転写材に二次転写する二次転写工程を有する。
[装置の説明]
図3は、回転可能な像担持体上に形成されたトナー像を、転写材に転写する画像形成装置の一例の概略構成図である。尚、以下の装置の説明では、中間転写体として中間転写ベルトを用いトナー担持体として現像ローラを用いる例について述べる。
30は、移動する中間転写ベルト8に対して複数色のトナー像、ここではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の重畳トナー像を形成する画像形成部である。画像形成部30は、画像形成装置本体100に対して、現像手段としての着脱自在な4個のプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)をそれぞれ備えている。また、画像形成部30は、中間転写ベルト8を用いた中間転写ベルトユニット40を有している。4個のプロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、同一構造である。異なる点は、プロセスカートリッジPが収容しているトナーの色、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーによる画像を形成することである。
プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれトナー容器23Y、23M、23C、23Kを有している。さらに、像担持体としての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを有している。さらに、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kと、現像ローラ3Y、3M、3C、3Kを有している。また、ドラムクリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kと、廃トナー容器24Y、24M、24C、24Kを有している。
プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKの下方にはレーザユニット7Y、7M、7C、7Kが配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して行う。感光ドラム1Y、1M、1C、1Kは矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。そして、各感光ドラムは、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kに所定の負極性の電圧を印加することで、所定の負極性の電位に帯電された後、レーザユニット7Y、7M、7C、7Kによる走査露光によってそれぞれ静電潜像が形成される。
この静電潜像は現像ローラ3Y、3M、3C、3Kに所定の負極性の電圧を印加することで反転現像されて、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に、それぞれY色、M色、C色、K色の各色トナー像(負極性)が形成される(現像工程)。
中間転写ベルトユニット40は、可撓性を有する無端状の中間転写ベルト8と、このベルト8を懸回張設する駆動ローラ9と従動ローラ10から構成されている。また、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向して、中間転写ベルト8の内側に一次転写ローラ(転写部材)6Y、6M、6C、6Kが配設されており、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光ドラム1と当接している。各感光ドラム1と中間転写ベルト8の当接部が一次転写ニップ部である。各一次転写ローラ6には不図示の電圧印加手段により転写電圧を印加する構成となっている。
中間転写ベルト8は駆動ローラ9の回転駆動による矢印Aの反時計方向に感光ドラム1の回転周速度に対応した周速度Aで回転(移動)する。本実施例においては、A=210mm/secとした。感光ドラム1Y、1M、1C、1K上にそれぞれ形成された負極性のトナー像は、一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kに正極性の電圧を印加することにより、一次転写ニップ部にて中間転写ベルト8上に順次に所定に重畳されて一次転写される(一次転写工程)。
即ち、中間転写ベルト8の面に、Y色、M色、C色、K色の4色のトナー像がこの順で重なった状態で形成される。そして、引き続き、中間転写ベルト8が回転(移動)して、中間転写ベルト8と二次転写ローラ(転写部材)11との当接部である二次転写ニップ部へ搬送される。
給搬送装置12は、シート状の転写材Sを積載して収納する転写材カセット13内から転写材Sを給送する給送ローラ14と、給送された転写材Sを搬送する搬送ローラ対15とを有している。給搬送装置12から搬送された転写材Sはレジストローラ対16によって所定の制御タイミングにて二次転写ニップ部に導入されて、二次転写ニップ部で挟持搬送される。二次転写ローラ11には正極性の電圧が印加される。これにより、二次転写ニップ部で挟持搬送される転写材Sに対して中間転写ベルト8側の上記の4色重ね合わせのトナー像が順次に一括して二次転写されていく(二次転写工程)。
上記のようにトナー像が二次転写により形成された転写材Sが、定着部としての定着装置17に導入される。この定着装置17でトナー像(トナー画像)の加熱定着を受けた転写材Sが排出ローラ対20によって排出トレイ50上に排出される。
各プロセスカートリッジPY、PM、PC、PKにおいて、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kから中間転写ベルト8へのトナー像に一次転写後に感光ドラム表面に残ったトナー(転写残トナー)は、ドラムクリーニングブレード4Y、4M、4C、4Kによって除去される。また、中間転写ベルト8から転写材Sへのトナー像の二次転写後に中間転写ベルト8の面に残ったトナー(転写残トナー)は、ベルト8にカウンター当接しているクリーニング部材としてのクリーニングブレード21によって除去される。除去されたトナーは廃トナー回収容器22へと回収される。
[中間転写体の説明]
本発明の中間転写体は、傾斜帯電法による中間転写体の表面の帯電量の絶対値が3.0nC/g以下である。3.0nC/gより小さいと、トナーとの電荷授受量が小さくなり、2次転写効率が高くなり画像均一性が良くなる。傾斜帯電法による中間転写体の表面の帯電量の測定方法については、以下に述べる。
次に、中間転写ベルト8について更に説明する。図5は、中間転写ベルト8の層構成を示す模式的な断面図である。
中間転写ベルト8は、基層8bと、表層8aと、を有する。本発明では、中間転写ベルト8は、基層8bと、基層8b上に形成された表層8aと、の2層で構成されている。表層8aは、基層8bよりも中間転写ベルト8の外周面側に設けられた層であって、感光ドラム1から転写されたトナーを担持(保持)する面を有する層である。
基層8bを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4メチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは混合して2種以上使用することもできる。基層8bは、これらの熱可塑性樹脂中に、導電材料などを熔融混煉し、次いで、インフレーション成形、円筒押出し成形、インジェクションストレッチブロー成形などの成形方法を適宜選択して用いて成形することで得ることができる。
一方、中間転写ベルト8の表層8aは、結着材料としてアクリル樹脂を含有する。より詳細には、中間転写ベルト8の表層8aは、アクリル樹脂を主成分として含有する。ここで、主成分とは、表層8aを構成する結着材料に対して50質量%以上であることを意味する。本実施形態では、表層8aを構成する樹脂としては、熱、又は光(紫外線など)や電子線などのエネルギー線の照射によって硬化する硬化性材料81であり、不飽和二重結合含有アクリル共重合体を硬化させて得られるアクリル樹脂が好ましい。不飽和二重結合含有アクリル共重合体としては、例えば、JSR社製のアクリル系紫外線硬化樹脂:オプスターZ7501を用いることができる。すなわち、中間転写ベルト8は、紫外線硬化性モノマー及び/又はオリゴマー成分を含有してなる液で、これにエネルギー線を照射し、硬化させて得られた表層(硬化膜)8aを有する。
本実施形態では、表層8aには、電気抵抗の調整のために、導電材料(導電性フィラー、電気抵抗調整剤)82が添加される。導電材料82としては、電子導電性材料又はイオン導電性材料を用いることができる。電子導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、PAN系炭素繊維、膨張化黒鉛粉砕品などの、粒子状、繊維状又はフレーク状のカーボン系導電性フィラーが挙げられる。また、電子導電性材料としては、例えば、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄などの、粒子状、繊維状又はフレーク状の金属系導電性フィラーが挙げられる。また、電子導電性材料としては、例えば、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープの酸化スズ、アンチモンドープの酸化亜鉛、スズドープの酸化インジウム、アルミニウムドープの酸化亜鉛などの、粒子状の金属酸化物系導電性フィラーが挙げられる。イオン導電性材料としては、例えば、イオン液体、導電性オリゴマー、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの導電材料の中から1種又はそれ以上を適宜選択して用いることができ、電子導電性材料とイオン導電性材料とを混合して用いてもよい。これらの中でも、添加量が少量で済む点で、粒子状(サブミクロン以下の粒子など)の金属酸化物系導電性フィラーが好ましい。
また、表層8aには、転写効率の向上やベルトクリーニングブレード21との摩擦力の低減を目的として、表層粒子83を添加しても良い。表層粒子83は、好ましくは固体潤滑剤であり、通常、絶縁性の粒子である。表層粒子83は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粉体、三フッ化塩化エチレン樹脂粉体、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粉体、フッ化ビニル樹脂粉体、フッ化ビニリデン樹脂粉体、二フッ化二塩化エチレン樹脂粉体、フッ化黒鉛などのフッ素含有粒子、及びそれらの共重合体が挙げられる。表層粒子83は、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。また、表層粒子83は、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、二硫化モリブデン粉体などの固体潤滑剤であってもよい。これらの中でも、粒子の表面の摩擦係数が低く、中間転写ベルト8の表面に当接する他の部材、例えば、ベルトクリーニングブレード21の摩耗を低減できる点で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粒子(乳化重合系のPTFE樹脂粒子など)が好ましい。
表層8aの作製方法の一例の概略を示せば次のとおりである。不飽和二重結合含有アクリル共重合体中に、導電材料としてのアンチモン酸亜鉛粒子、固体潤滑剤としてのPTFE粒子を混合し、高圧乳化分散機で分散混合し、表層形成用塗工液を作製する。この表層形成用塗工液を用いて表層8aを基層8b上に形成する方法としては、通常のコーティング方法、例えばディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどを挙げることができる。これらの方法から適宜選択して用いることで、所望の膜厚の表層8aを得ることができる。
中間転写ベルト8の体積抵抗率は、1×10〜1×1012Ω・cmの範囲であることが、良好な画像形成を行う点で好ましい。体積抵抗率は、汎用測定器Hiresta・UPMCP−HT450(三菱化学社製)を用いて、温度23.5℃、相対湿度60%の環境下で測定することで得ることができる。
<傾斜帯電法の測定方法>
図4に傾斜帯電法で用いる測定装置の模式図を示す。水平方向に対して45°の傾斜を持たせた土台74の上に、金属板73を固定する。75mm×95mmの大きさにカットされた中間転写ベルト試料76の裏面と金属板73の表面とを導電性の両面テープ(3M社製 X−7001)で固定する。23℃/50%RHの環境下で、金属板73の上方に設置された漏斗70に、キャリア71(日本画像学会標準ネガキャリア:N−01)を充填し、20秒間シャッター77を開いてキャリア71を中間転写ベルト試料76の上に落下させる。落下後に電子天秤72でキャリアの質量M(g)を測定し、金属板73とアース間に設置されたQメータ75で電荷量Q(nC)を測定し、帯電量Q/M(nC/g)を算出する。
[トナーの説明]
次に本発明で用いるトナーについて説明する。後述するが、本発明における反射電子像の取得条件は、トナー粒子の最表面を反映するように設定する。当該取得条件における、Kanaya−Okayamaの式から概算される各元素についての電子線の進入領域及びX線の発生領域は、およそ数十nmである。
本発明では、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、ヒストグラムが二つの極大値P1、及びP2と、該P1、及びP2間の極小値Vを持つことが必須である。
当該輝度ヒストグラムにおいては、輝度の低い方が暗く(黒)、高い方が明るい(白)。走査電子顕微鏡から得られる反射電子像は“組成像”とも呼ばれており、原子番号の小さいものほど暗く、大きいものほど明るく検出される。トナー粒子は有機ケイ素重合体を表面に有するため、輝度の低い極大値P1はトナー粒子の母体由来、輝度の高い極大値P2は有機ケイ素重合体由来である。
ここでの母体とは、トナー粒子に含まれる結着樹脂や離型剤などの炭素主成分の組成物を指す。また、P2が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡観察で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、反射電子像を重ね合わせることで確認できる。このようなトナー粒子の母体由来のP1と、有機ケイ素重合体由来のP2と、P1及びP2間の極小値Vを持った双峰性ヒストグラムであることが本発明の要件の1つである(例えば図1(a))。図1(b)のように、輝度ヒストグラムが一つの極大値(P1又はP2)を持ち、極小値Vを持たない単峰性ヒストグラムとなる場合、本発明の要件を満たさない。
また、P1の輝度が20以上70以下かつP2の輝度が130以上230以下であることも重要である。P1及びP2の輝度がある程度離れており、かつP1及びP2の輝度がそれぞれ一定の範囲内にあると、極大値P1をもつピーク1と、極大値P2をもつピーク2の重なりが少なく、分離が良好となる。
前述のように、P1はトナー粒子の母体由来、P2は有機ケイ素重合体由来である。ピーク1と2の分離が良好であると、トナー粒子表面にトナー粒子の母体と有機ケイ素重合体が効率的に局在化し、後述するそれぞれの機能がより効果的に発揮される。P1の輝度は20以上60以下、P2の輝度は140以上230以下であることが好ましい。
また、前記反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であることが必要である。さらに、極小値Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl−29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)
(A1/AV)≧1.50 (1)
(A2/AV)≧1.50 (2)
を満たすことが、必須要件である(例えば図1(a))。上記式(1)及び(2)の関係を持たない図1(c)のような輝度ヒストグラムの場合は、本発明の要件を満たさない。ここで、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル数A1は、P1を極大値とするピーク1が主成分であり、輝度(Vl+30)以上255以下のピクセル数A2は、P2を極大値とするピーク2が主成分となる。前述のように、P1はトナー粒子の母体由来、P2は有機ケイ素重合体由来であるため、A1に含まれる各ピクセルはトナー粒子の母体に、A2に含まれる各ピクセルは有機ケイ素重合体に帰属される。
すなわち、P1が大きくA1が多いほど母体成分が、P2が大きくA2が多いほど有機ケイ素重合体成分が、それぞれ十分にトナー粒子表面に存在することを示す。それにより、低温定着時でも定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の繰り返し使用後でも転写ボソが発生しにくくなる。
トナー粒子の母体成分がトナー粒子表面に十分に存在していると、定着温度が低い場合でも、トナー粒子の母体からの離型剤のしみだしが起こりやすくなる。薄紙は巻きつきやすいことが知られているが、定着時にトナー粒子の母体から適切量の離型剤がしみだすことによって、定着器の部材と薄紙との分離が容易になる。反射電子像の全ピクセル数に対するP1のピクセル数の割合が0.50%以上であり、下記式(1)
(A1/AV)≧1.50 (1)
を満たすとき、低温定着時における定着器への薄紙巻きつきの抑制という効果を発揮する。低温定着時の薄紙巻きつき性の観点から、好ましい条件は、反射電子像の全ピクセル数に対するP1のピクセル数が0.70%以上5.00%以下であり、下記式(3)
4.00≧(A1/AV)≧1.70 (3)
を満たすことである。
一方、有機ケイ素重合体成分がトナー粒子表面に十分に存在していると、高温高湿環境下の転写時においても、感光ドラムや中間転写体との非静電付着力を低く保つことができる。非静電付着力が小さいと転写電圧に対する応答性が増すため、転写ボソが発生しにくくなる。
ここでの転写ボソとは、均一な濃度の画像を出力する際に、ところどころで転写されないトナーがあるために、画像の面内均一性が低下する画像不良のことである。有機ケイ素重合体はその重合条件によって、トナー粒子表面への被覆率を一定以上に保ちながら、数nmレベルの微細な凹凸から数十〜百nmレベルの凹凸を形成することができる。加えて、詳細な化学構造は後述するが、有機ケイ素重合体は、好ましくは炭化水素基などの疎水性の有機基を有するため、表面エネルギーが低くなる。
このようなトナー粒子表面の有機ケイ素重合体の存在が効率的なスペーサーとなり、トナー粒子の母体が部材へ接触する頻度及び付着力を低下させていると考えている。また、好ましい態様として、有機ケイ素重合体に炭化水素基等の疎水性有機基が存在すると、高温高湿環境における帯電安定性も良好になる。また有機ケイ素重合体は好ましくはシロキサン結合を有し、これにより強固な共有結合を有した表層としてトナー粒子表面に存在できるため、外添剤に比べて耐久持続性も優位になる。
本発明では、反射電子像の全ピクセル数に対するP2のピクセル数の割合が0.50%以上であり、下記式(2)
(A2/AV)≧1.50 (2)
を満たすとき、高温高湿環境下の繰り返し使用後における転写ボソの抑制という効果を発揮する。また、反射電子像の全ピクセル数に対するP2のピクセル数が0.70%以上5.00%以下であり、下記式(4)
4.00≧(A2/AV)≧1.70 (4)
を満たすと、高温高湿環境における繰り返し使用後の転写ボソ抑制にさらに効果があり、好ましい。
ここで、式(1)〜(4)中のAVについて記述する。前述のように、反射電子像の輝度ヒストグラムが双峰性であるとき、トナー粒子母体及び有機ケイ素重合体に由来する二つのピークが独立している状態が、本発明の理想的な形態である。その場合、二つのピークの重なりはほとんどなく、極小値Vを含むAVは限りなく少なくなる。しかしながら、実際には二つのピークが連結したような輝度ヒストグラムが得られ、AVは一定のピクセル数を有する。このときAVに含まれる各ピクセルは、A1及びA2から流入してきた、母体及び有機ケイ素重合体両方の成分を含んだグレー値である。
具体的には、トナー粒子の母体表面に有機ケイ素重合体が数nmレベルの薄膜として存在している場合や、有機ケイ素重合体の表面にトナー粒子母体由来の低融点・低分子成分がフィルミングしている場合などが挙げられる。このような場合は、トナー粒子の母体及び有機ケイ素重合体がそれぞれ純度高く局在している場合に比べ、母体及び有機ケイ素重合体がそれぞれ持っている効果は低下する。
AVが小さいほど、A1及びA2は増え、トナー粒子の母体及び有機ケイ素重合体がそれぞれ効率的に局在する。すなわち、低温定着時でも定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の繰り返し使用後でも転写ボソが発生しにくい画像形成装置を達成する。
前記P1、P2の輝度及びピクセル数、極小値Vの輝度Vl、並びにピクセル数A1、A2、及びAVは、有機ケイ素重合体のモノマー種や、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御が可能である。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体は、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることが好ましい。そして、トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子(以下、粒子A1ともいう)について粒子解析をしたとき、粒子面積の個数平均値が2.00×10nm以上1.00×10nm以下であり、粒子フェレ径の個数平均値が60nm以上200nm以下であることが好ましい。より好ましくは、粒子面積の個数平均値が2.00×10nm以上8.00×10nm以下であり、粒子フェレ径の個数平均値が60nm以上150nm以下である。
前述のように、A1はトナー粒子の母体に帰属される。トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造を有するとき、図2(a)のように、輝度(Vl−29)以上255以下のピクセル部分(白)が網を形成する。そして、有機ケイ素重合体の存在しない輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分(黒)から構成される粒子(粒子A1)部分はネットワーク構造の“網の目”を形成し、孤立した粒子のように検出される。詳細な手法は後述するが、粒子A1について粒子解析を行い、粒子面積及びフェレ径を算出することで、ネットワーク構造の“網の目”の大きさを表現することができる。定着時、結着樹脂の溶融や離型剤のしみだしが起こるのは、トナー粒子の母体部分である粒子A1部分からである。
つまり、粒子A1について粒子解析をしたとき、その粒子面積及びフェレ径が一定の大きさを持つと、定着時にトナー粒子の母体からの結着樹脂の溶融や離型剤のしみだしが適切に起こる。それにより、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。ここでのフェレ径とは、選択範囲の外周の境界線上にある任意の2点を結ぶ直線のうち、もっとも長いものの距離である。粒子面積が2.00×10nm以上、あるいはフェレ径が60nm以上であると、結着樹脂の溶融や離型剤のしみだしが十分になり、特にブリスターの観点から低温定着性に有利である。
一方、粒子面積が1.00×10nm以下、あるいはフェレ径が200nm以下であると、結着樹脂の溶融や離型剤のしみだしが適切になり、特にホットオフセットの観点から低温定着性に有利である。
粒子面積及びフェレ径は、有機ケイ素重合体のモノマー種や、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御が可能である。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体が、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることは、以下の方法で確認できる。前記反射電子像から、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分を黒とした二値化画像を得たとき、図2(a’)のような形状を有していれば、有機ケイ素重合体がネットワーク構造を形成していると判断する。
一方、図2(b)のように、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造を持たないとき、輝度(Vl−29)以上255以下のピクセル部分(白)が孤立した粒子のように検出される。そして、有機ケイ素重合体の存在しない輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分(黒)から構成される粒子A1が網を形成する。つまり、トナー粒子表面の有機ケイ素重合体がネットワーク構造の網を形成しない場合、粒子A1について粒子解析をすると、粒子面積及びフェレ径は大きくなる傾向にある。
有機ケイ素重合体が、下記式(RaT3)で表される構造を有する重合体であることが好ましい。
(式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基(好ましくはアルキル基)、又は下記式(i)若しくは下記式(ii)で表されるユニットを表す。(式(i)及び(ii)において、*はRaT3構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基(好ましくはメチレン基)又はアリーレン基(好ましくはフェニレン基)を表す。))
なお、炭素数が1以上6以下の炭化水素基には、ビニル基などの不飽和基を有する炭化水素基であってもよい。
上記式(RaT3)中のSi原子の4個の原子価電子について、1個はRaとの結合に関与し、残り3個はO原子との結合に関与している。O原子は、原子価電子2個がいずれもSiとの結合に関与している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。
もし、そのうち酸素1つがシラノール基であったとすると、その有機ケイ素重合体の構造は−SiO2/2−OHで表現される。さらに、酸素2つがシラノール基であれば、その構造は−SiO1/2(−OH)となる。これら構造を比較すると、より多くの酸素原子がSi原子と架橋構造を形成するほうが、SiOで表されるシリカ構造に近い。そのため−SiO3/2骨格が多いほど、トナー粒子表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び耐部材汚染に優れた効果がある。
また、Raは疎水性の有機基であるため、Raの存在によってもトナー粒子表面の表面自由エネルギーが低く保たれ、環境安定性に優れた効果を発揮する。
式(RaT3)中の、シロキサン重合体部位(−SiO3/2)の存在は、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定によって確認できる。また式(RaT3)中のRaの存在は、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の13C−NMRの測定によって確認できる。
前記構造は、有機ケイ素重合体のモノマー種の種類及び量や、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御が可能である。
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が挙げられる。ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法である。ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。有機ケイ素重合体は、好ましくは、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物(好ましくは下記式(Z)で表される化合物)の加水分解及び縮重合によって生成される。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子表面に存在させやすい。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHやケイ素化合物の種類及び量などによって調整することができる。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが一つの反応基(例えばアルコキシ基)の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロキシ基になる。水が十分に存在している場合には、水素イオンひとつで反応基(例えばアルコキシ基)の酸素をひとつ攻撃するため、反応の進行に伴って媒体中の水素イオンの含有率及び反応基が少なくなると、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、シランに付いた反応基のすべてが加水分解する前に重縮合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成し易い。
一方、媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えばアルコキシ基)が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一シランに3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び重縮合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
(式(Z)中、Raは、炭素数が1以上6以下のアルキル基、又は下記式(iii)若しくは下記式(iv)で表される構造を表す。R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、(好ましくは炭素数1以上3以下の)アルコキシ基を表す。)
(式(iii)及び(iv)において、*はZ構造中のSi元素との結合部位を表し、式(iv)におけるLは、アルキレン基(好ましくはメチレン基)又は、アリーレン基(好ましくはフェニレン基)を表す。)
Raの有機基により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、アリール基として芳香族炭化水素基であるフェニル基を用いることもできる。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合して架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を得るには、上記式(Z)中のRaを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
式(Z)としては以下のものが挙げられる。
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性(反応基を3つ有する)のビニルシラン;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメトキシジクロロシラン、アリルエトキシジクロロシラン、アリルジメトキシクロロシラン、アリルメトキシエトキシクロロシラン、アリルジエトキシクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルジアセトキシメトキシシラン、アリルジアセトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジメトキシシラン、アリルアセトキシメトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジエトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、アリルメトキシジヒドロキシシラン、アリルエトキシジヒドロキシシラン、アリルジメトキシヒドロキシシラン、アリルエトキシメトキシヒドロキシシラン、アリルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のアリルシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン;エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のエチルシラン;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のプロピルシラン;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のブチルシラン;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のヘキシルシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。有機ケイ素化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
加水分解及び重縮合の結果、有機ケイ素重合体中の、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の含有量は、50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上である。
また、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物以外に、一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に3つの反応基を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)または1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を併用してもよい。例えば、以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、トリメチルシリルクロライド、トリエチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、N,N‘−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフロロアセトアミド、トリメチルシリルトリフロロメタンスルホネート、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、トリメチルシリルアセチレン、ヘキサメチルジシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン。
次いで、トナーが含有する成分について記載する。
有機ケイ素重合体を表面に有するトナー粒子は、結着樹脂、離型剤、必要に応じて着色剤、及びその他の成分を含有する。
結着樹脂としては、トナー用の結着樹脂として一般的に用いられている(好ましくは非晶性の)樹脂を用いることができる。具体的には、スチレンアクリル系樹脂(スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリエステル、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等を用いることができる。
着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、更には固溶体の状態で用いることが出来る。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂。なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。これらは単独又は混合して使用できる。
離型剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して5.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子は、荷電制御剤を含有していてもよく、公知のものが使用できる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10.0質量部であることが好ましい。
必要に応じて、トナー粒子に各種有機又は無機微粉体を外添してもよい。該有機又は無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機又は無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粉体は、トナーの流動性の改良及びトナー粒子の帯電均一化のために、表面を疎水化処理されていてもよい。有機又は無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
以下、トナーの具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。
第一製法としては、トナー母体粒子を得てから水系媒体中で有機ケイ素重合体の表層を形成することで、トナー粒子を得る方法である。この方法は、有機ケイ素化合物がトナー母体粒子の表面近傍において析出/重合されるため、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を含む層を効率的に形成させることができ、好ましい。
すなわち、結着樹脂を含有するトナー母体粒子を作製して水系媒体に分散し、トナー母体粒子が分散された母体粒子分散液を得る。母体粒子分散液総量に対し、母体粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。また、母体粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。さらに、母体粒子分散液のpHを有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整しておく。有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
次に、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物を別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくは、pHが1.0〜7.0、温度が15〜80℃、時間が1〜600分である。
そして、加水分解処理された有機ケイ素化合物を母体粒子分散液に添加する。母体粒子分散液と有機ケイ素化合物の加水分解液を撹拌混合し、好ましくは35℃以上で3分以上120分以下保持する。その後、縮合に適したpH(好ましくはpH6.0以上又は3.0以下、より好ましくはpH8.0以上)に調整して有機ケイ素化合物を一気に縮合させて、好ましくは35℃以上で60分以上保持し、トナー表面に有機ケイ素重合体を含有する表層を形成させるとよい。
以下、トナー母体粒子の製造方法の一例を挙げる。
(1)懸濁重合法:結着樹脂を生成しうる重合性単量体、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合することにより、トナー母体粒子を得る。
(2)粉砕法:結着樹脂、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを溶融混練し、粉砕することにより、トナー母体粒子を得る。
(3)溶解懸濁法:結着樹脂、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去することにより、トナー母体粒子を得る。
(4)乳化凝集重合法:結着樹脂粒子、離型剤粒子、及び必要に応じて着色剤などの粒子を、水系媒体中で凝集し、会合することにより、トナー母体粒子を得る。
第二製法としては、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、有機ケイ素化合物、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合することによってトナー粒子を得る方法である。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素化合物、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを、有機溶媒に溶解/分散し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る方法である。
第四製法としては、結着樹脂粒子、ゾル又はゲル状態の有機ケイ素化合物含有粒子、及び必要に応じて着色剤粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する方法である。
第五製法としては、トナー母体粒子の表面に有機ケイ素化合物を有する溶媒をスプレードライ法によりトナー母体粒子の表面に噴射し、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素化合物含有の表層を形成する方法である。
なお、水系媒体としては、以下のものが挙げられる。水;水と、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類との混合溶媒;などが挙げられる。
トナー粒子の製造方法として、上述した製造方法の中でも、第一製法のうちトナー母体粒子を懸濁重合法で製造する方法が最も好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面に均一に析出し易く、環境安定性、現像転写性、及びそれらの耐久持続性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じてその他の樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥してトナー母体粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。なお、重合工程終了後に洗浄、濾過及び乾燥を行わずに、トナー母体粒子が分散された母体粒子分散液を用いて、有機ケイ素重合体を含む表層を形成させてもよい。
上記その他の樹脂として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、以下の樹脂を用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独又は混合して使用できる。
上記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチル、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
これらの単量体の中でも、スチレン、スチレン誘導体、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体が好ましい。
また、重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体100質量部に対して0.5〜30.0質量部の添加が好ましく、単独でもよいし複数を併用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対し、0.001〜15.0質量部である。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋性単量体としては、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15.0質量部である。
上記懸濁重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものを使用することができる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
以下、本発明のトナーに関する各種測定方法を述べる。
なお、トナーに有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法等によって、有機微粉体又は無機微粉体を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS−1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<トナー粒子の表面の反射電子像の取得方法>
トナー粒子の表面の反射電子像は、走査電子顕微鏡(SEM)により取得する。
SEMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:800V
観察倍率:50,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布(蒸着は行わない)
以下の手順に従って、コントラスト及びブライトネスを決定する。まず、輝度ヒストグラム上で二つの極大値P1、P2がそれぞれ可能な限り大きなピクセル数をもち、P1、P2の輝度ができるだけ離れるようにコントラストを設定する。次に、P1、P2を極大値とする二つのピークの裾が輝度ヒストグラム内に収まるように、ブライトネスを設定する。これらコントラストおよびブライトネスは、使用装置の状態に合わせ、前記手順に沿って適宜設定する。また、本発明の加速電圧及びEsB Gridは、トナー粒子の最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近を選択する。
<P2が有機ケイ素重合体由来であることの確認方法>
P2が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認する。
SEM/EDSの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置(SEM):カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
使用装置(EDS):サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 NORAN System 7、Ultra Dry EDS Detecter
加速電圧:5.0kV
WD:7.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子)
観察倍率:50,000倍
モード:Spectral Imaging
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布し、白金スパッタ
本手法で取得したケイ素元素のマッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせ、マッピング像のケイ素原子部と反射電子像の明部とが一致することを確認する。
<輝度ヒストグラムの取得方法>
輝度ヒストグラムは、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まずImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8−bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、AnalyzeメニューのHistgramを選択し、輝度ヒストグラムを新規ウインドウに表示させる。前記ウインドウのListから、輝度ヒストグラムの数値を取得する。必要に応じて、輝度ヒストグラムのフィッティングを行ってもよい。ここから、極大値P1、P2の輝度及びピクセル数、極小値Vの輝度Vl、並びにピクセル数A1、A2、及びAVを算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値を輝度ヒストグラムから得られるトナー粒子の物性値とする。
<粒子A1についての粒子解析方法>
粒子A1の粒子解析は、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まずImageメニューのTypeから、反射電子像を8−bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ImageメニューのAdjustから、Thresholdを選択する。手動操作において、輝度0以上(Vl−30)以下に該当する全ピクセルを選び、Applyをクリックして二値化画像を得る。この操作によって、A1に該当するピクセルが黒で表示される。再度、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、ツールバーの直線ツール(Straight Line)を用い、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部中のスケールバーを選択しておく。その状態でAnalyzeメニューのSet Scaleを選択すると、新規ウインドウが開き、Distance in Pixels欄に選択されている直線のピクセル距離が入力される。前記ウインドウのKnown Distance欄に前記スケールバーの値(例えば100)を入力し、Unit of Mesurement欄に前記スケールバーの単位(例えばnm)を入力し、OKをクリックするとスケール設定が完了する。続いて、AnalyzeメニューのSet Mesurementsを選択し、AreaとFeret’s diameterにチェックを入れる。AnalyzeメニューのAnalyze Particlesを選択し、Display Resultにチェックを入れてOKをクリックすると粒子解析が行われる。新規に開いたResultsウインドウから、A1に該当する各粒子についての粒子面積(Area)と粒子フェレ径(Feret)を取得し、個数平均値を算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値をA1についての粒子解析から得られるトナー粒子の物性値とする。
<有機ケイ素重合体のネットワーク構造の確認方法>
トナー粒子表面の有機ケイ素重合体が、トナー粒子表面に輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成していることは、以下の方法で確認する。
粒子A1についての粒子解析方法と同様にして、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセル部分を黒とした1.5μm四方の二値化画像を得る。そのとき、図2(a’)のような形状を有していれば、有機ケイ素重合体がネットワーク構造を形成していると判断する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行うことで算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<式(RaT3)で表される構造の確認方法>
有機ケイ素重合体の前記式(RaT3)で表される構造の確認は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行う。
NMR測定用試料は、以下のように調製する。
測定試料の調製:トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用試料とする。
式(RaT3)で表される構造のうち、ケイ素原子に結合するRaについては、13C−NMR(固体)測定により確認する。以下に測定条件を示す。
13C−NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
式(RaT3)において、Raが炭素数1以上6以下の炭化水素基で表される構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si−CH)、エチル基(Si−C)、プロピル基(Si−C)、ブチル基(Si−C)、ペンチル基(Si−C11)、ヘキシル基(Si−C13)、フェニル基(Si−C−))などに起因するシグナルの有無により、Raの存在を確認する。
また、式(RaT3)において、Raが式(i)で表される構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチン基(>CH−Si)に起因するシグナルの有無により、式(i)で表される構造の存在を確認する。
また、Raが式(ii)で表される構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチレン基(Si−CH−)、エチレン基(Si−C−)などのアルキレン基又はアリーレン基(例えばフェニレン基(Si−C−))などに起因するシグナルの有無により、式(ii)で表される構造の存在を確認する。
式(RaT3)で表される構造のうち、シロキサン結合部分については、29Si−NMR(固体)測定により確認した。以下に測定条件を示す。
29Si−NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000〜8000回
上記測定後に、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
式(5)で表されるX1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2
式(6)で表されるX2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2
式(7)で表されるX3構造:RmSi(O1/2
式(8)で表されるX4構造:Si(O1/2
(式(5)〜(8)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素原子に結合している炭素数が1以上6以下の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
なお、式(5)〜(8)において、四角形で囲まれる部分の構造がそれぞれX1構造〜X4構造である。
トナーのテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(RaT3)の構造に帰属されるピーク面積の割合が、20%以上100%以下であることが好ましく、40%以上80%以下であることがより好ましい。
なお、式(RaT3)で表される構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C−NMR及び29Si−NMRの測定結果と共にH−NMRの測定結果によって同定してもよい。
以下、具体的な製造例、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の処方の「部」は特に断りがない場合、質量基準である。
(中間転写ベルトの製造)
[ベルト8−1]
<基層の作製>
次のようにして、ベルト8−1の基層8bを作製した。
電気抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散したポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)を延伸ブローすることで、ボトル状成形体を得て、これを超音波カッターにより切断することで、無端状のベルト体を得た。こうして得られた厚さ70μmのPEN樹脂製のベルトを、ベルト8−1の基層8bとした。
<表層形成用塗工液(紫外線硬化性樹脂組成物)の調製>
次のようにして、ベルト8−1の表層8aを形成するのに用いる塗工液を調製した。
紫外線を遮蔽した容器中において、表層粒子83としての一次粒径が200nmのPTFE粒子(ルブロンL−2:ダイキン工業社製)50部と、硬化性材料81としての不飽和二重結合含有アクリル共重合体(オプスターZ7501:JSR社製)100部と、メチルイソブチルケトン50部と、導電材料82としてのアンチモン酸亜鉛粒子含有イソプロパノールゾル(セルナックスCX−Z210IP:日産化学工業社製、固形分濃度:21質量%)119部とを混合した。この混合液を、高圧乳化分散機で分散混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。これを、ベルト8−1の表層8aを形成するのに用いる塗工液とした。
<表層を付与した中間転写ベルトの作製>
次のようにして、基層8b上に表層8aを形成したベルト8−1を作製した。
上述のようにして作製したベルト8−1の基層8b上に、上述のようにして調製した紫外線硬化性樹脂組成物を、温度25℃、相対湿度60%の塗布環境でディップコートした。
そして、塗工が終了してから10秒後に、塗工環境と同じ環境にある紫外線照射装置(UE06/81−3、アイグラフィック社製、積算光量:1000mJ/cm)を用いて紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その結果、厚さ3μmの硬化したアクリル樹脂を主成分とする表層8aを形成した。このようにして表層8aを有するエンドレスベルト状のベルト8−1を作製した。なお、ベルト8−1の体積抵抗率は、1.0×1010Ω・cmである。
なお、ベルト8−1の表層8a中のPTFE粒子(表層粒子83)の含有量は、アクリル樹脂100部に対して、50部である。アンチモン酸亜鉛粒子(導電材料82)の含有量は、アクリル樹脂100部に対して、25部である。
[ベルト8−2]
ベルト8−1において、表層8aのPTFE粒子(表層粒子83)を含有させない以外は、ベルト8−1の製造例と同様にしてベルト8−2を製造した。
[比較ベルト8−1]
ベルト8−1において、表層8aを形成しなかった以外は、ベルト8−1の製造例と同様にして比較ベルト8−1を製造した。比較ベルト8−1は、単層ベルトである。
[比較ベルト8−2]
比較ベルト8−2は、基層8bにポリイミド(PI)を用いた単層ベルトであり、厚さは70μm、体積抵抗率は1.0×1010Ω・cmである。
[トナー1の製造例]
<水系媒体1の調製工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製、12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を得た。
<重合性単量体組成物の調製工程>
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン:14.0部
・n−ブチルアクリレート:26.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン):0.2部
・飽和ポリエステル樹脂:6.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):10.0部
・荷電制御剤:0.5部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
<有機ケイ素化合物水溶液の調製工程>
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを1.5に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を60℃にした。その後、メチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2分間撹拌し、有機ケイ素化合物水溶液1を得た。
<造粒工程>
水系媒体1の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
<重合工程>
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を換え、150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、95℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行い、トナー粒子のスラリーを得た。その後、スラリーの温度を60℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。60℃で撹拌を継続したまま、有機ケイ素化合物水溶液1を20.0部添加した。そのまま30分保持した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーをpH=9.0に調整して更に300分保持して、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を形成した。
<洗浄、乾燥工程>
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキを気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。
乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。本実施例においては、得られたトナー粒子1を外添せずにそのままトナー1として用いた。トナー1が有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子表面に有することを、前述の方法により確認した。得られたトナーの物性を表2に示す。
[トナー2〜19、比較トナー1、2、5、6の製造例]
表2に示した処方及び製造条件に従い、それ以外は上記トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜19、比較トナー1、2、5、6を得た。得られたトナーの物性を表3に示す。
[比較トナー3の製造例]
トナー1の製造例において、重合性単量体組成物の調製工程において、メチルトリエトキシシラン12.0部をモノマーのまま顔料分散液に添加した。有機ケイ素化合物水溶液の調製工程は行わなかった。重合工程での加水分解液の添加は行わず、pH調整とその後の保持のみ行った。それ以外はトナー1の製造例と同様の方法で、比較トナー3を作製した。得られたトナーの物性を表3に示す。
[比較トナー4の製造例]
比較トナー3の製造例において、メチルトリエトキシシランの部数を7.4部に変更した以外は、比較トナー3の製造例と同様にして比較トナー4を得た。得られたトナーの物性を表3に示す。
[比較トナー7の製造例]
トナー1の製造例について、有機ケイ素化合物水溶液の調製工程は行わなかった。重合工程においてトナー粒子のスラリーを得たあと、スラリーの温度を60℃に冷却して撹拌を継続したまま、メチルトリエトキシシラン8.0部をモノマーのまま添加した。そのまま30分保持した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーをpH=9.0に調整して更に300分保持して、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を形成した。それ以外はトナー1の製造例と同様の方法で、比較トナー7を作製した。得られたトナーの物性を表3に示す。
[比較トナー8の製造例]
比較トナー7の製造例において、メチルトリエトキシシランの部数を9.4部に変更した以外は、比較トナー7の製造例と同様にして比較トナー8を得た。得られたトナーの物性を表3に示す。
[比較トナー9の製造例]
トナー1の製造例について、有機ケイ素化合物水溶液の調製工程は行わなかった。重合工程においてトナー粒子のスラリーを得たあと、スラリーの温度を25℃に冷却して撹拌を継続したまま、メチルトリエトキシシラン250部をモノマーのまま添加した。さらに、4000.0部のイオン交換水を添加した。この溶液をそのまま30分保持した後、pH=9.0に調整した水酸化ナトリウム水溶液10000.0部中に滴下しながら加え、25℃で48時間保持して、トナー粒子表面に有機ケイ素重合体を形成した。それ以外はトナー1の製造例と同様の方法で、比較トナー9を作製した。得られたトナーの物性を表3に示す。
〔画出し評価〕
<低温定着時巻きつき性の評価>
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cの定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した。この改造後のLBP9600Cを用いて、プロセススピ−ド300mm/secで、常温常湿(25℃/50%RH)環境下にて定着温度を140℃から5℃刻みで変更した。評価対象のトナーについて、トナー載量0.40mg/cmのベタ画像を受像紙に作像し、オイルレスで加熱加圧して、受像紙に定着画像を形成した。このとき通紙の状態を目視で確認し、巻きつき無く通紙された時の定着器の温度を調べ、以下の基準に基づいて低温定着時巻きつき性を評価した。受像紙には、GF−600(怦量60g/m、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
A:150℃未満
B:150℃以上155℃未満
C:155℃以上160℃未満
D:160℃以上170℃未満
E:170℃以上
本発明では、C以上(即ちA〜C)を良好と判断した。
<転写ボソの評価>
前述の図3に示す本発明の実施形態の一つである画像形成装置本体100を用いて、シアンカートリッジPCに評価対象のトナーを200g充填し、トナーカートリッジごと高温高湿(32.5℃/85%RH)環境下で24時間放置した。
24時間放置後のトナーカートリッジを画像形成装置本体100に取り付け、中間転写ベルト8に評価対象の中間転写ベルトを取り付け、1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で15,000枚までプリントアウトした。15,000枚出力後、トナー載量0.40mg/cmのベタ画像をCS−680(坪量68g/m、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)に出力した。この画像を目視観察し、以下の基準に基づいて転写ボソの評価を行った。なお本発明においては、画像均一性の損なわれている部分を転写ボソと判断した。
S:通常光の下でも、強力な光にかざしても、転写ボソは見られない
A:通常光の下でも、強力な光にかざしても、転写ボソはほとんど見られない
B:通常光の下では転写ボソは見られないが、強力な光にかざすと転写ボソが見られる
C:通常光の下でも、1〜2箇所転写ボソが見られるが、白抜けは見られない
D:通常光の下でも、3〜4箇所転写ボソが見られるが、白抜けは見られない
E:通常光の下でも、5箇所以上転写ボソが見られる、あるいは1箇所以上白抜けが見られる
本発明では、C以上を良好、A以上(AまたはS)を更に良好と判断した。
<低温定着性の評価>
低温定着時巻きつき性の評価と同様に、定着温度が調整できるよう改造したLBP9600Cを用いて、プロセススピ−ド300mm/secで、常温常湿(25℃/50%RH)環境下にて定着温度を140℃から5℃刻みで変更した。評価対象のトナーについて、トナー載量0.40mg/cmのベタ画像を受像紙に作像し、オイルレスで加熱加圧して、受像紙に定着画像を形成した。キムワイプ(S−200、株式会社クレシア製)を用い、75g/cmの荷重をかけて定着画像を10回こすり、こすり前後の画像濃度低下率が5%未満になる温度を定着温度とし、以下の基準に基づいて評価した。
受像紙には、business4200(怦量105g/m、Xerox社製)を用いた。画像濃度の測定には、カラー反射濃度計X−RITE 404A(X−Rite Co.製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、摺擦後の画像濃度の低下率を算出した。
A:150℃未満
B:150℃以上160℃未満
C:160℃以上170℃未満
D:170℃以上
本発明では、C以上を良好と判断した。
〔実施例1〜17、比較例1〜11〕
表1に示した中間転写ベルトと表2及び3に示した各トナーについて、低温定着時巻きつき性、転写ボソ、低温定着性の評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示す通り、本発明の実施例1〜17において、低温定着時に定着器への薄紙の巻きつきが発生しにくく、高温高湿環境下の耐久後でも転写ボソが発生しにくいことがわかる。尚、表4に示す実施例1〜17では、便宜上ベルト8−1と8−2の使い分けを行っているが、実施例1〜17で用いたトナーに対してはベルト8−1でも8−2でも同様に「更に良好」な結果が得られることがわかっている。
1 感光ドラム
3 現像ローラ
8 中間転写ベルト
23 トナー容器
100 画像形成装置

Claims (8)

  1. 像担持体、
    トナー担持体上のトナーを現像して該像担持体にトナー像を形成する現像手段、及び
    該像担持体から一次転写されたトナー像を転写材に二次転写するために搬送する中間転写体、を有する画像形成装置であって、
    該現像手段が、該トナー担持体と、該トナーを含有するトナー容器と、を有し、
    該中間転写体の表面は、傾斜帯電法による帯電量の絶対値が3.0nC/g以下であり、
    該トナーは、結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有し、
    該トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
    該トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、該トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、
    該ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、該P1及びP2間の極小値Vを持ち、該P2は、該有機ケイ素重合体由来の極大値であり、
    該P1の輝度が20以上70以下であり、
    該P2の輝度が130以上230以下であり、
    該反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、
    該Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl−29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成装置。
    (A1/AV)≧1.50 (1)
    (A2/AV)≧1.50 (2)
  2. 前記有機ケイ素重合体は、トナー粒子表面に前記輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成し、
    前記反射電子像における、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子について粒子解析をしたとき、
    粒子面積の個数平均値が、2.00×10nm以上1.00×10nm以下であり、
    粒子フェレ径の個数平均値が、60nm以上200nm以下である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記有機ケイ素重合体が、下記式(RaT3)で表される構造を有する重合体である請求項1又は2に記載の画像形成装置。

    (式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、又は下記式(i)若しくは下記式(ii)で表されるユニットを表す。式(i)及び(ii)において、*は該式(RaT3)で表される構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
  4. 前記中間転写体が表層を有し、該表層は、結着材料の主成分としてアクリル樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. トナー担持体上のトナーを現像して像担持体にトナー像を形成する現像工程、
    該トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程、及び
    該中間転写体上の該トナー像を転写材に二次転写する二次転写工程、
    を有する画像形成方法であって、
    該中間転写体の表面は、傾斜帯電法による帯電量の絶対値が3.0nC/g以下であり、
    該トナーは、結着樹脂及び離型剤を有するトナー粒子を有し、
    該トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
    該トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、該トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、該反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、
    該ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、該P1及びP2間の極小値Vを持ち、該P2は、該有機ケイ素重合体由来の極大値であり、
    該P1の輝度が20以上70以下であり、
    該P2の輝度が130以上230以下であり、
    該反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、
    該Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl−30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl−29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする画像形成方法。
    (A1/AV)≧1.50 (1)
    (A2/AV)≧1.50 (2)
  6. 前記有機ケイ素重合体は、トナー粒子表面に前記輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子を網の目とするネットワーク構造を形成し、
    前記反射電子像における、輝度0以上(Vl−30)以下のピクセルから構成される粒子について粒子解析をしたとき、
    粒子面積の個数平均値が、2.00×10nm以上1.00×10nm以下であり、
    粒子フェレ径の個数平均値が、60nm以上200nm以下である、請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記有機ケイ素重合体が、下記式(RaT3)で表される構造を有する重合体である請求項5又は6に記載の画像形成方法。

    (式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、又は下記式(i)若しくは下記式(ii)で表されるユニットを表す。式(i)及び(ii)において、*は該式(RaT3)で表される構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
  8. 前記中間転写体が表層を有し、該表層は、結着材料の主成分としてアクリル樹脂を含有する請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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