JP2019044719A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素吸蔵能及び酸化能を有する2つの排気浄化触媒が排気通路に直列に配置される内燃機関において、下流側に配置される排気浄化触媒のHC被毒やS被毒を解消する機会を増やすことを課題とする。【解決手段】本発明は、内燃機関を始動させる場合に、スタータモータによる内燃機関のクランキング開始後であって且つ燃料噴射弁による燃料噴射開始前の所定のタイミングで空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比より高いリーン空燃比であるときは、該所定のタイミングで空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比以下であるときに比べ、燃料噴射弁によって燃料噴射が開始される時期を遅らせることで、クランキング期間を延長するようにした。【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。特に、酸素吸蔵能及び酸化能を有する排気浄化触媒が排気通路に直列に2つ配置される内燃機関の制御装置に関する。
従来、内燃機関の運転停止要求が発生したときに、フューエルカット状態でスタータモータを作動させることで、内燃機関を強制的にモータリングさせて、排気通路の残留ガスを掃気させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、内燃機関の排気通路に配置される排気浄化触媒は、排気中の炭化水素や硫黄成分等が該排気浄化触媒の活性点に付着することで、該排気浄化触媒の浄化性能が低下する、所謂、HC被毒やS被毒を起こす場合がある。なお、これらのHC被毒やS被毒は、排気浄化触媒がリーン雰囲気に曝されたときに、活性点に付着した炭化水素や硫黄成分が酸化されることで解消される。
ところで、近年では、排気エミッションに対する規制強化に伴い、酸素吸蔵能及び酸化能を有する排気浄化触媒(例えば、三元触媒や酸化触媒)を排気通路に直列に2つ配置する構成が普及してきている。このような構成においては、内燃機関からリーン空燃比の排気が排出された場合に、その排気中に含まれる酸素が上流側の排気浄化触媒に吸蔵され易いため、下流側の排気浄化触媒がリーン雰囲気に曝される機会が少なくなり易い。
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素吸蔵能及び酸化能を有する2つの排気浄化触媒が排気通路に直列に配置される内燃機関において、下流側に配置される排気浄化触媒のHC被毒やS被毒を解消する機会を増やすことにある。
本発明は、上記した課題を解決するために、以下のような手段を採用した。すなわち、本発明は、内燃機関の排気通路に配置され、酸素吸蔵能及び酸化能を有する第1排気浄化触媒と、該第1排気浄化触媒より下流の排気通路に配置され、酸素吸蔵能及び酸化能を有する第2排気浄化触媒と、第1排気浄化触媒と第2排気浄化触媒との間の排気通路に配置され、該排気通路を流れるガスの空燃比を検出する空燃比センサと、内燃機関の始動時に該内燃機関をクランキングさせるための駆動装置と、内燃機関の気筒内へ燃料を供給するための燃料噴射弁と、を備えた内燃機関に適用される制御装置である。そして、制御装置は、内燃機関を始動させる場合に、駆動装置による内燃機関のクランキング開始後であって且つ燃料噴射弁による燃料噴射開始前の所定のタイミングにおいて空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比より高いリーン空燃比であるときは、該所定のタイミングにおいて空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比以下であるときに比べ、燃料噴射弁により燃料噴射が開始される時期を遅らせることで、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させるようにした。
本発明によれば、酸素吸蔵能及び酸化能を有する2つの排気浄化触媒が排気通路に直列に配置される内燃機関において、下流側に配置される排気浄化触媒のHC被毒やS被毒を解消する機会を増やすことができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、車両に搭載されて、ガソリンやエタノール等を燃料として運転される火花点火式の内燃機関である。内燃機関1は、図示しない気筒内へ燃料を供給するための燃料噴射弁2を備えている。燃料噴射弁2は、気筒内へ直接燃料を噴射するように構成されてもよく、又は吸気ポート内に燃料を噴射するように構成されてもよい。また、内燃機関1には、該内燃機関1を始動させる際に、図示しないクランクシャフトを回転駆動(クランキング)させるためのスタータモータ100が取り付けられている。なお、スタータモータ100は、本発明に係わる「駆動装置」の一例である。
内燃機関1は、気筒内へ吸入される新気(空気)を流通させるための吸気通路3と接続されている。吸気通路3の途中には、該吸気通路3の通路断面積を変更することで、内燃機関1の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ30が設けられる。また、該スロットルバルブ30より上流の吸気通路3には、該吸気通路3を流れる新気(空気)の量(質量)を検出するためのエアフローメータ31が設けられる。
内燃機関1は、気筒内から排出される既燃ガス(排気)を流通させるための排気通路4と接続されている。排気通路4の途中には、第1触媒ケーシング40と第2触媒ケーシング41とが直列に配置されている。これら2つの触媒ケーシング40、41のうち、上流側に配置される第1触媒ケーシング40は、筒状のケーシング内に、第1排気浄化触媒が担持された触媒担体を収容して構成されている。第1排気浄化触媒は、酸素吸蔵能と酸化能とを有する触媒であり、例えば、三元触媒である。また、2つの触媒ケーシング40、41のうち、下流側に配置される第2触媒ケーシング41は、第1触媒ケーシング40と同様に、筒状のケーシング内に三元触媒(以下では、「第2排気浄化触媒」と称する)が担持された触媒担体を収容して構成されている。
第1触媒ケーシング40より上流の排気通路4には、該第1触媒ケーシング40へ流入するガスの空燃比を検出する第1空燃比センサ42が配置される。第1触媒ケーシング40と第2触媒ケーシング41との間の排気通路4には、第1触媒ケーシング40から流出するガスの空燃比、言い換えると、第2触媒ケーシング41へ流入するガスの空燃比を検出する第2空燃比センサ43が配置されている。第2空燃比センサ43は、本発明に係わる「空燃比センサ」に相当する。なお、本発明に係わる「空燃比センサ」としては、第2
空燃比センサ43の代わりに、酸素濃度センサを用いることも可能である。要するに、本発明に係わる「空燃比センサ」は、空燃比そのものを検出するセンサに限定されず、空燃比に相関する物理量を検出可能なセンサであればよい。第2触媒ケーシング41より下流の排気通路4には、第2触媒ケーシング41から流出するガスの温度を検出する排気温度センサ44が配置されている。
空燃比センサ43の代わりに、酸素濃度センサを用いることも可能である。要するに、本発明に係わる「空燃比センサ」は、空燃比そのものを検出するセンサに限定されず、空燃比に相関する物理量を検出可能なセンサであればよい。第2触媒ケーシング41より下流の排気通路4には、第2触媒ケーシング41から流出するガスの温度を検出する排気温度センサ44が配置されている。
このように構成された内燃機関1には、ECU5が併設されている。ECU5は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等を備えた電子制御ユニットである。ECU5には、上記したエアフローメータ31、第1空燃比センサ42、第2空燃比センサ43、及び排気温度センサ44に加え、アクセルポジションセンサ50やクランクポジションセンサ51等の各種センサが電気的に接続されている。なお、アクセルポジションセンサ50は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関する電気信号を出力する。クランクポジションセンサ51は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転位置に相関する電気信号を出力する。
また、ECU5は、上記した燃料噴射弁2やスタータモータ100等の各種機器と電気的に接続されている。ECU5は、前記した各種センサの出力信号に基づいて、上記した各種機器を電気的に制御する。例えば、ECU5は、内燃機関1の機関負荷や機関回転速度に応じて燃料噴射弁の噴射量や噴射時期を制御する燃料噴射制御を行う。また、ECU5は、内燃機関1の自動停止条件が成立したときに燃料噴射弁2による燃料噴射を停止(フューエルカット)させることで内燃機関1を自動的に停止(自動停止)させる一方で、自動停止中に自動再始動条件が成立したときにスタータモータ100による内燃機関1のクランキング及び燃料噴射弁2による燃料噴射の再開を行わせることで内燃機関1を自動的に再始動(自動再始動)させる自動停止再始動制御(以下、「エコラン制御」と称する場合もある。)を行う。なお、エコラン制御では、例えば、内燃機関1が暖機完了状態にあること、アクセル開度が零であること、ブレーキペダルが踏み込まれていること(図示しないブレーキスイッチがONであること)、内燃機関1を搭載した車両の走行速度(車速)が所定速度以下であること、等の条件が成立したときに、自動停止条件が成立していると判定される。また、上記した自動停止条件が成立することで内燃機関1が自動停止されているときに、上記した条件の少なくとも1つが成立しなくなると、自動再始動条件が成立したと判定される。
本実施例におけるECU5は、上記した既知の制御に加え、内燃機関1の自動再始動時に、所定の条件が成立すると、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させることで、第2触媒ケーシング41に収容された第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒の解消を図る。以下では、内燃機関1の自動再始動時に、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させる処理(以下、「クランキング延長処理」と称する場合もある。)について説明する。
ここで、第1触媒ケーシング40の第1排気浄化触媒や第2触媒ケーシング41の第2排気浄化触媒は、排気に含まれる炭化水素や硫黄成分がそれらの排気浄化触媒の活性点に付着することで、それら活性点と排気中の有害ガス成分との接触が阻害されて、それら排気浄化触媒の浄化性能が低下する、所謂、HC被毒やS被毒を起こす可能性がある。ただし、第1排気浄化触媒及び第2排気浄化触媒は、前述したように酸化能を有しているため、酸素過剰な雰囲気に曝されることで、活性点に付着した炭化水素や硫黄成分を酸化させることができる。ここで、酸素過剰な雰囲気のガスが内燃機関1から排出される場合としては、エコラン制御における自動停止に伴うフューエルカットが行われた場合や、内燃機関1の減速運転中にフューエルカット(減速フューエルカット)が行われた場合等のように、内燃機関1に吸入された空気が気筒内で燃焼に供されることなく排気通路4へ排出される場合が考えられる。しかしながら、エコラン制御における自動停止に伴うフューエルカットや、内燃機関1の減速運転中における減速フューエルカットは、比較的短時間に行
われるため、第1排気浄化触媒には酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り易いものの、第2排気浄化触媒には酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り難い。特に、第1排気浄化触媒が酸素吸蔵能を有していると、該第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能によってガス中の酸素が吸蔵されるため、第2排気浄化触媒へ酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り難い。よって、第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消される機会は、第1排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消される機会より少なくなり易いと言える。
われるため、第1排気浄化触媒には酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り易いものの、第2排気浄化触媒には酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り難い。特に、第1排気浄化触媒が酸素吸蔵能を有していると、該第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能によってガス中の酸素が吸蔵されるため、第2排気浄化触媒へ酸素過剰な雰囲気のガスが行き渡り難い。よって、第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消される機会は、第1排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消される機会より少なくなり易いと言える。
そこで、本実施例では、内燃機関1の自動再始動時において、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させることで、第2排気浄化触媒へ酸素過剰な雰囲気のガスを行き渡らせ、以て第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消される機会を増やすようにした。なお、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能に余力がある状態において酸素過剰な雰囲気のガスを第2排気浄化触媒に行き渡らせようとすると、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和するまでの期間も含めて、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させる必要がある。その結果、内燃機関1の再始動が完了するまでに要する時間が過剰に長くなる可能性がある。よって、本実施例のクランキング延長処理では、スタータモータ100による内燃機関1のクランキング開始後であって且つ燃料噴射弁2による燃料噴射開始前の所定のタイミングにおいて第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していることを条件として、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させるようにした。
なお、ここでいう「所定のタイミング」は、スタータモータ100によるクランキング開始後において、燃料噴射弁2による燃料噴射を開始することが可能になるタイミングであり、例えば、内燃機関1のクランキング開始後において該内燃機関1の機関回転速度が所定の閾値(例えば、800rpmから1000rpm程度)まで上昇したタイミングである。
また、上記した所定のタイミングにおいて第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和しているか否かを判定する方法としては、該所定のタイミングにおける第2空燃比センサ43の検出値が理論空燃比より高いリーン空燃比を示していれば、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していると判定する一方で、該所定のタイミングにおける第2空燃比センサ43の検出値が理論空燃比以下の空燃比を示していれば、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していないと判定する方法を用いることができる。
ここで、本実施例におけるクランキング延長処理の実行方法について図2に基づいて説明する。図2は、内燃機関1が自動停止状態から自動再始動される際における、停止要求フラグ、燃料噴射量、スロットル開度、機関回転速度、内燃機関1から排出される空気量(排出空気量)、第2空燃比センサ43の検出値(A/F2)、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵量(OSA1)、及び第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量(OSA2)の経時変化を示すタイミングチャートである。なお、ここでいう「停止要求フラグ」は、前述した自動停止条件が成立したときにONにされる一方で、前述した自動再始動条件が成立したときにOFFにされるフラグである。
図2中のt1において停止要求フラグがONからOFFへ切り換わると、ECU5は、スロットルバルブ30の開度を増加させるとともに、スタータモータ100による内燃機関1のクランキングを開始させる。これにより、内燃機関1の気筒内へ新気(空気)が吸入されるようになるとともに、気筒内に吸入された新気(空気)がそのまま排気通路4へ排出されるようになるため、それに伴って排出空気量が増加し始める。その際、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していなければ(酸素吸蔵量OSA1が飽和吸蔵量より少なければ)、排出空気に含まれる酸素が第1排気浄化触媒に吸蔵されることで、該第1排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA1が増加し始める。その場合、第2空燃比センサ43の検出値A/F2は、理論空燃比相当の値になる。
その後、内燃機関1の機関回転速度(クランキング回転速度)が所定の閾値Nethまで上昇すると(図2中のt2(所定のタイミングに相当))、ECU5は、第2空燃比センサ43の検出値A/F2を読み込み、その検出値A/F2がリーン空燃比を示しているか否かを判別する。ここで、図2中の一点鎖線で示すように、クランキング開始(図2中のt1)から所定のタイミング(図2中のt2)までの期間中に第1排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA1が飽和吸蔵量に達していなければ、排出空気中の酸素が第1排気浄化触媒に吸蔵されるため、所定のタイミングにおける第2空燃比センサ43の検出値A/F2が理論空燃比相当の値を示すことになる。その場合、ECU5は、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させずに、所定のタイミング(図2中のt2)で燃料噴射弁2による燃料噴射を開始(再開)させる。一方、図2中の実線で示すように、クランキング開始(図2中のt1)から所定のタイミング(図2中のt2)までの期間中に第1排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA1が飽和吸蔵量に達していると、該第1排気浄化触媒で吸蔵しきれない酸素が第1触媒ケーシング40より下流へ流出することになるため、所定のタイミングにおける第2空燃比センサ43の検出値A/F2がリーン空燃比相当の値を示すことになる。その場合、ECU5は、所定のタイミング(図2中のt2)において燃料噴射弁2による燃料噴射を開始(再開)させずに、スタータモータ100による内燃機関1のクランキングを継続させることで、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させる。つまり、ECU5は、燃料噴射弁2による燃料噴射開始タイミングを所定のタイミング(図2中のt2)より遅らせることで、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させる。このようにして、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長されると、第1排気浄化触媒で吸蔵しきれない酸素が第2排気浄化触媒へ供給されることで、第2排気浄化触媒が酸素過剰な雰囲気に曝されることになる。その結果、第2排気浄化触媒の活性点に付着していた炭化水素や硫黄成分が酸化されて、該第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消されることになる。なお、第2排気浄化触媒の活性点に付着している炭化水素や硫黄成分をより確実に酸化させるという観点にたつと、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和する程度まで、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させることが望ましい。そして、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2が飽和吸蔵量に達すると(図2中のt3)、ECU5は、燃料噴射弁2による燃料噴射を開始(再開)させる。
ところで、上記した方法により、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長させられると、燃料噴射弁2による燃料噴射が開始(再開)された際に気筒内で燃焼に供されたガス(既燃ガス)が第1排気浄化触媒や第2排気浄化触媒へ流入したときに、第1排気浄化触媒や第2排気浄化触媒の内部がリーン雰囲気になり易く、既燃ガスに含まれるNOXが効率的に浄化され難くなる可能性がある。そこで、燃料噴射弁2による燃料噴射が開始(再開)される際の始動時増量補正は、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長されない場合(図2中の一点鎖線)よりも燃料噴射開始前のクランキング期間が延長された場合(図2中の実線)の方が大きくされるものとする。このように始動時増量補正が調整されると、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長された場合においても、燃料噴射が開始(再開)された直後に大気中へ排出されるNOX量を少なく抑えることができる。
次に、本実施例におけるクランキング延長処理の実行手順について図3に沿って説明する。図3は、内燃機関1が自動停止状態にあるときにECU5によって周期的に実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、予めECU5のROMに記憶されているものとする。
図3の処理ルーチンでは、ECU5は、先ずS101の処理において、停止要求フラグがOFFからONへ切り替えられたか否かを判別する。S101の処理において否定判定された場合は、ECU5は、本処理ルーチンの実行を一旦終了する。一方、S101の処理において肯定判定された場合は、ECU5は、S102の処理へ進む。
S102の処理では、ECU5は、スタータモータ100を作動させることで、内燃機関1のクランキングを開始する。続いて、ECU5は、S103の処理へ進み、クランクポジションセンサ51の出力信号から機関回転速度Neを演算する。そして、ECU5は、算出された機関回転速度Neが所定の閾値Neth以上であるか否かを判別する。機関回転速度Neが所定の閾値Neth未満である場合(機関回転速度Neが所定の閾値Nethまで上昇していない場合)は、ECU5は、該S103の処理を繰り返し実行する。一方、機関回転速度Neが所定の閾値Neth以上である場合(機関回転速度Neが所定の閾値Neth以上まで上昇している場合)は、ECU5は、S104の処理へ進む。
S104の処理では、ECU5は、第2空燃比センサ43の検出値A/F2を読み込む。続いて、ECU5は、S105の処理へ進み、前記S104の処理で読み込まれた検出値A/F2がリーン空燃比相当の値を示しているか否かを判別する。S105の処理で肯定判定された場合は、第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していると推定することができるため、ECU5は、S106〜S107の処理において、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させる。
先ず、S106の処理では、ECU5は、機関回転速度Neが所定の閾値Nethに達した時点から経過したサイクル数Ncylの計測を開始する。続いて、ECU5は、S107の処理へ進み、機関回転速度Neが所定の閾値Nethに達した時点から経過したサイクル数Ncylが所定の目標値Nctrg以上に達したか否かを判別する。ここでいう所定の目標値Nctrgは、例えば、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2が飽和吸蔵量に達するまでに要するサイクル数である。そのため、ECU5は、先ず、第2排気浄化触媒の飽和吸蔵量と酸素吸蔵量OSA2との差分(飽和吸蔵量から酸素吸蔵量OSA2を減算した量)を求め、その差分に相当する酸素量が第2排気浄化触媒へ供給されるために必要なサイクル数を演算する。なお、第2排気浄化触媒の飽和吸蔵量は、該第2排気浄化触媒の温度が低い場合より高い場合の方が多くなる傾向があるため、排気温度センサ44の検出値から第2排気浄化触媒の温度を推定し、その推定値をパラメータとして第2排気浄化触媒の飽和吸蔵量を求めるものとする。また、所定の目標値Nctrgを決定するための他の方法として、第2排気浄化触媒の温度と、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2と、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2が飽和吸蔵量に達するまでに要するサイクル数と、の相関を予め実験やシミュレーションの結果から求めておき、それらの相関をマップ化しておくようにしてもよい。その場合、ECU5は、第2排気浄化触媒の温度と第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2とを引数として上記したマップにアクセスすることで、第2排気浄化触媒の酸素吸蔵量OSA2が飽和吸蔵量に達するまでに要するサイクル数を導出すればよい。
上記したS107の処理において否定判定された場合は、ECU5は、該S107の処理を繰り返し実行する。一方、上記したS107の処理において肯定判定された場合は、ECU5は、S108の処理へ進み、燃料噴射弁2による燃料噴射を開始(再開)させる。このように、燃料噴射開始時期を所定のタイミング(機関回転速度Neが所定の閾値Nethまで上昇したタイミング)より遅らせると、それに伴って燃料噴射開始前のクランキング期間が長くなるため、酸素過剰な雰囲気のガスを第2排気浄化触媒に行き渡らせることができ、以て第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が解消され易くなる。なお、ECU5は、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させた場合は延長させない場合に比べ、始動時増量補正を大きくすることで、燃料噴射弁2による燃料噴射が開始された直後に大気中へ排出されるNOX量の増加を抑制させるものとする。
また、上記したS105の処理において否定判定された場合は、ECU5は、S106及びS107の処理をスキップして、S108の処理を実行する。すなわち、機関回転速
度Neが所定の閾値Nethに達した時点(所定のタイミング)で第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していなければ、ECU5は、所定のタイミングにおいて直ちに燃料噴射弁2による燃料噴射を開始させる。その場合、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長されないことになる。
度Neが所定の閾値Nethに達した時点(所定のタイミング)で第1排気浄化触媒の酸素吸蔵能が飽和していなければ、ECU5は、所定のタイミングにおいて直ちに燃料噴射弁2による燃料噴射を開始させる。その場合、燃料噴射開始前のクランキング期間が延長されないことになる。
ECU5は、S108の処理を実行し終えると、S109の処理へ進み、内燃機関1の始動が完了したか否かを判別する。この判別方法としては、例えば、機関回転速度Neが始動完了判定値以上に上昇したことを条件として、内燃機関1の始動が完了したと判定する既知の方法を用いることができる。そして、S109の処理において否定判定された場合は、ECU5は、該S109の処理を繰り返し実行する。一方、S109の処理において肯定判定された場合は、ECU5は、S110の処理へ進み、スタータモータ100による内燃機関1のクランキングを停止させる。
以上述べた手順によってクランキング延長処理が実行されると、第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒を解消する機会を増やすことができる。その結果、第2排気浄化触媒のHC被毒やS被毒が進行して、該第2排気浄化触媒の浄化性能が著しく低下することを抑制することができる。
なお、本実施例では、エコラン制御が行われる内燃機関に本発明を適用する例について述べたが、内燃機関と電動モータとの少なくとも一方で車両を駆動することができるハイブリット車両のように、内燃機関を間欠運転させることが可能な車両の内燃機関に本発明を適用することもできる。また、本実施例では、エコラン制御による自動再始動時にクランキング延長処理を行う例について述べたが、内燃機関1が運転者の手動によって始動される際にもクランキング延長処理が行われるようにしてもよい。
1 内燃機関
2 燃料噴射弁
3 吸気通路
4 排気通路
5 ECU
30 スロットルバルブ
31 エアフローメータ
40 第1触媒ケーシング
41 第2触媒ケーシング
42 第1空燃比センサ
43 第2空燃比センサ
44 排気温度センサ
100 スタータモータ
2 燃料噴射弁
3 吸気通路
4 排気通路
5 ECU
30 スロットルバルブ
31 エアフローメータ
40 第1触媒ケーシング
41 第2触媒ケーシング
42 第1空燃比センサ
43 第2空燃比センサ
44 排気温度センサ
100 スタータモータ
Claims (1)
- 内燃機関の排気通路に配置され、酸素吸蔵能及び酸化能を有する第1排気浄化触媒と、
前記第1排気浄化触媒より下流の排気通路に配置され、酸素吸蔵能及び酸化能を有する第2排気浄化触媒と、
前記第1排気浄化触媒と前記第2排気浄化触媒との間の排気通路に配置され、該排気通路を流れるガスの空燃比を検出する空燃比センサと、
内燃機関の始動時に該内燃機関をクランキングさせるための駆動装置と、
内燃機関の気筒内へ燃料を供給するための燃料噴射弁と、
を備えた内燃機関に適用される制御装置であって、
内燃機関を始動させる場合に、前記駆動装置による内燃機関のクランキング開始後であって且つ前記燃料噴射弁による燃料噴射開始前の所定のタイミングにおいて前記空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比より高いリーン空燃比であるときは、該所定のタイミングにおいて前記空燃比センサにより検出される空燃比が理論空燃比以下であるときに比べ、前記燃料噴射弁により燃料噴射が開始される時期を遅らせることで、燃料噴射開始前のクランキング期間を延長させることを特徴とする、内燃機関の制御装置。
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JP2017170071A JP2019044719A (ja) | 2017-09-05 | 2017-09-05 | 内燃機関の制御装置 |
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