JP2010242563A - 内燃機関の自動停止始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に再始動要求が発生して再始動する場合の車両振動抑制、エンスト防止、急加速要求時の加速応答性向上を実現する。
【解決手段】アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に再始動要求が発生したときに、エンジンのフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のあるパラメータに基づいて、エンジン回転上昇優先であるか、車両振動抑制優先であるかを判定し、エンジン回転上昇優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を進角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも進角側の点火時期)に設定し、車両振動抑制優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を遅角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期)に設定する。
【選択図】図2
【解決手段】アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に再始動要求が発生したときに、エンジンのフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のあるパラメータに基づいて、エンジン回転上昇優先であるか、車両振動抑制優先であるかを判定し、エンジン回転上昇優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を進角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも進角側の点火時期)に設定し、車両振動抑制優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を遅角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期)に設定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動停止制御(アイドルストップ制御)による燃料噴射停止により内燃機関(エンジン)の回転速度が降下する過程で再始動要求が発生したときに直ちに内燃機関を再始動させる機能を備えた内燃機関の自動停止始動制御装置に関する発明である。
近年、燃費節減、エミッション低減等を目的として、エンジン自動停止始動制御システム(いわゆるアイドルストップ制御システム)を搭載した車両が増加しつつある。従来の一般的なアイドルストップ制御システムは、運転者が車両を停車させたときに燃料噴射を停止(燃料カット)してエンジンを自動的に停止させ、その後、運転者が車両を発進させようとする操作(ブレーキ解除操作やアクセル踏込み操作等)を行ったときに自動的にスタータ又はスタータ兼用のモータに通電してエンジンをクランキングして再始動させるようにしている。ハイブリッド電気自動車では、車両駆動用のモータをスタータとして使用してエンジンを再始動させるものがあるため、以下の説明では、「スタータ又はスタータ兼用のモータ」を単に「スタータ」と記載して説明を簡略化する。
このようなアイドルストップ制御システムでは、自動停止要求発生直後に、燃料カットによりエンジン回転速度が降下する途中で再始動要求が発生することがあるが、このような場合、エンジン回転が完全に停止してから、スタータに通電してエンジンをクランキングして再始動させると、自動停止要求発生から再始動完了までに時間がかかってしまい、運転者に再始動の遅れ(もたつき)を感じさせてしまう。
そこで、特許文献1(特開2005−146875号公報)に記載されているように、エンジン運転中も、スタータのピニオンをエンジン側のリングギヤに常時噛み合わせた常時噛合い式のスタータ(「常噛スタータ」ともいう)を搭載したアイドルストップ制御システムでは、燃料カットによりエンジン回転速度が降下する期間中に再始動要求が発生したときには、エンジン回転停止を待たずにスタータに通電してエンジンを再始動するようにしたものがある。
しかし、この構成では、スタータ始動回数が増加することは避けられないため、スタータの耐久性低下が懸念される。
そこで、特許文献2(特開2008−267297号公報)に記載されているように、アイドルストップ制御の燃料カットによりエンジン回転速度が降下する途中で、再始動要求が発生したときに、まだエンジン回転速度がスタータレス始動可能(燃料噴射のみで再始動可能)な回転速度領域であれば、スタータを使用せずに燃料噴射のみでエンジンを再始動する“スタータレス始動”を行うようにしたものがある。
そこで、特許文献2(特開2008−267297号公報)に記載されているように、アイドルストップ制御の燃料カットによりエンジン回転速度が降下する途中で、再始動要求が発生したときに、まだエンジン回転速度がスタータレス始動可能(燃料噴射のみで再始動可能)な回転速度領域であれば、スタータを使用せずに燃料噴射のみでエンジンを再始動する“スタータレス始動”を行うようにしたものがある。
しかし、アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に、スタータレス始動で再始動する場合は、アイドル回転速度以下の極低回転領域から再始動することになるため、エンジン状態によってはエンジン回転変動が大きくなって車両振動が増大することがあり、その車両振動が運転者に不快感を感じさせてしまう場合がある。従って、運転者が急激な加速を要求しないような場合には、再始動時の車両振動を出来るだけ抑制することが望ましい。
また、エンジンのフリクション(摩擦抵抗)が大きい状態でスタータレス始動すると、フリクションによりエンスト(エンジンストール)が発生しやすくなるため、エンジンのフリクションが大きい状態では、エンジントルクを増大させてエンストを防止することが望ましい。
また、運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んで再始動要求が発生した場合は、運転者が急加速を要求しているため、多少の車両振動を生じたとしても、再始動完了までの時間を出来るだけ短縮して急加速要求に応じることが望ましい。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アイドルストップ制御の燃料カット/内燃機関回転降下中に再始動要求が発生して再始動する場合の車両振動抑制、エンスト防止、急加速要求時の加速応答性向上を実現することができる内燃機関の自動停止始動制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の運転中に自動停止要求が発生したときに燃料噴射を停止させる自動停止制御手段と、前記自動停止制御手段による燃料噴射停止中に内燃機関回転速度が降下する過程で再始動要求が発生したときに燃料噴射を再開して前記内燃機関を再始動させる自動始動制御手段とを備え、前記自動始動制御手段によって、前記再始動要求発生時に、前記内燃機関のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のあるパラメータに基づいて点火時期を設定するようにしたものである。
例えば、再始動要求発生時に、パラメータに基づいて再始動時の内燃機関のフリクションが大きいと推定され、エンストが懸念される場合は、点火時期をノック発生限界内で進角側に設定して内燃機関のトルクを増大させば良い。また、パラメータに基づいて再始動時の内燃機関の回転変動が大きいと推定され、再始動時の車両振動が運転者に不快感を与えることが懸念される場合は、再始動に必要なトルクを確保できる範囲内で点火時期を遅角側に設定して、トルクを低下させて緩やかに再始動させれば良い。また、パラメータに基づいて運転者が急加速を要求していると推定される場合は、点火時期をノック発生限界内で進角側に設定してトルクを増大させて、内燃機関の回転上昇を促進して再始動完了までの時間を短縮するようにすれば良い。このようにすれば、アイドルストップ制御の燃料カット/内燃機関回転降下中に再始動要求が発生して再始動する場合の車両振動抑制、エンスト防止、急加速要求時の加速応答性向上を実現することができる。
また、請求項2のように、再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて内燃機関回転上昇優先と判断したときに点火時期を再始動要求発生前の点火時期よりも進角側に設定するようにすれば良い。このように、内燃機関回転上昇優先と判断した場合に、点火時期を進角側に設定すれば、再始動時の内燃機関のトルクを増大させて再始動時の回転上昇を促進して再始動完了までの時間を短縮することができる。
また、請求項3のように、前記再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて車両振動抑制優先と判断したときに前記点火時期を前記再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側に設定するようにすれば良い。このように、車両振動抑制優先と判断したときに点火時期を遅角側に設定すれば、再始動時のトルクを低下させて、緩やかに再始動させることができ、再始動時の車両振動を抑制して、再始動時の車両振動によるドライブフィーリングの悪化を抑えることができる。
この場合、請求項4のように、前記再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて設定した点火時期を再始動完了と判定されるまで維持(固定)するようにしても良い。このようにすれば、再始動時の点火時期制御の演算処理を簡単化することができ、点火時期制御に用いるコンピュータの演算処理負荷を軽減することができる。
或は、請求項5のように、前記再始動要求発生から再始動完了と判定されるまでの期間に、前記パラメータに基づいて点火時期を設定する処理を所定周期で繰り返すようにしても良い。このようにすれば、再始動完了までの内燃機関の回転挙動に見合った適正な点火時期を設定できる。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を吸気ポートに向けて噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26が取り付けられている。エンジン11のクランク軸27の外周側には、クランク軸27が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ28が取り付けられ、このクランク角センサ28の出力パルスの間隔(周期)に基づいてエンジン回転速度が検出されると共に、カム角センサ(図示せず)の出力信号又はクランク角センサ28の欠歯部(基準クランク角)を基準にしてクランク角センサ28の出力パルスをカウントすることで、クランク角の検出と気筒判別[吸気行程の気筒(噴射気筒)と圧縮行程の気筒(点火気筒)の判別]が行われる。
更に、エンジン11には、後述するスタータレス始動時以外の通常の始動時にクランク軸27を回転駆動(クランキング)するためのスタータ30が取り付けられている。スタータ30は、エンジン11のクランク軸27に連結されたリンクギアにピンオンを常時噛み合わせた常時噛合い式のスタータを用いても良いし、或は、スタータレス始動時以外の通常の始動時にのみ、ピンオンを突出させてリンクギアに噛み合わせるようにしたスタータを用いても良い。また、ハイブリッド電気自動車では、車両駆動用のモータをスタータとして使用しても良い。
エンジン11とスタータ30の動作を制御する制御装置31は、1つ又は複数のECU(例えばエンジン用ECU、アイドルストップ用ECU)によって構成されている。この制御装置31には、運転状態を検出する各種センサ、例えば、上述したエアフローメータ14、スロットル開度センサ17、吸気管圧力センサ19、排出ガスセンサ24、冷却水温センサ26の他に、ブレーキの作動(ON)/非作動(OFF)を検出するブレーキスイッチ32、アクセル開度を検出するアクセルセンサ33、車速を検出する車速センサ34等からの信号が入力される。
制御装置31は、エンジン運転中には、上記各種センサで検出した運転状態に応じて、エンジン11の燃料噴射量、吸入空気量(スロットル開度)、点火時期等を制御する。更に、制御装置31は、特許請求の範囲でいう自動停止制御手段及び自動始動制御手段としても機能し、エンジン運転中に自動停止要求(アイドルストップ要求)が発生したか否かを監視して、自動停止要求が発生したときに燃料噴射を停止(燃料カット)して、エンジン11の燃焼を自動的に停止(アイドルストップ)させる。
更に、本実施例1では、アイドルストップ制御の燃料カット領域を拡大するために、車両走行中に車両停止に至る可能性のある低速での減速領域でも、自動停止要求が発生するようにしている。具体的には、車両走行中に車両停止に至る可能性のある所定減速状態になったか否か(自動停止要求が発生したか否か)を次の条件で判定する。例えば、(1) アクセルオフ(スロットル全閉)、(2) ブレーキON、(3) 所定車速以下の低速域であるか否かを判定し、これらの条件(1) 〜(3) を全て満たす状態が所定時間以上継続したときに、車両停止に至る可能性のある所定減速状態であると判定する。尚、車両停止に至る可能性のある所定減速状態の判定方法は、適宜変更しても良いことは言うまでもない。
車両走行中に車両停止に至る可能性のある所定減速状態であると判定した時点で、自動停止要求(アイドルストップ要求)が発生したと判断して、燃料噴射を停止(燃料カット)して、エンジン11の燃焼を自動的に停止(アイドルストップ)させる。その後、アイドルストップ期間中(燃料カットによるエンジン回転降下中又はエンジン回転停止後)に運転者が車両を再加速又は発進させようとする操作(例えば、ブレーキ操作の解除、アクセル踏込み操作、シフトレバーのドライブレンジへの操作等)を行ったときに、再始動要求が発生してエンジン11を再始動させる。その他、バッテリ充電制御システムやエアコン等の車載機器の制御システムから再始動要求が発生してエンジン11を再始動させる場合もある。
ところで、アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に、スタータレス始動で再始動する場合は、アイドル回転速度以下の極低回転領域から再始動することになるため、エンジン11の状態によってはエンジン回転変動が大きくなって車両振動が増大することがあり、その車両振動が運転者に不快感を感じさせてしまう場合がある。従って、運転者が急激な加速を要求しないような場合には、再始動時の車両振動を出来るだけ抑制することが望ましい。
また、エンジン11のフリクション(摩擦抵抗)が大きい状態でスタータレス始動すると、フリクションによりエンスト(エンジンストール)が発生しやすくなるため、エンジン11のフリクションが大きい状態では、エンジントルクを増大させてエンストを防止することが望ましい。
また、運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んで再始動要求が発生した場合は、運転者が急加速を要求しているため、多少の車両振動を生じたとしても、再始動完了までの時間を出来るだけ短縮して急加速要求に応じることが望ましい。
そこで、本実施例1では、アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に再始動要求が発生したときに、エンジン11のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のあるパラメータに基づいて点火時期を設定するようにしている。
ここで、エンジン11のフリクションに関連性のあるパラメータとしては、例えば、冷却水温、油温等のエンジン温度に相関する温度情報を用いれば良い。エンジン温度が低くなるほど、エンジン11のフリクションが大きくなるという関係がある。
また、エンジン11の回転変動に関連性のあるパラメータとしては、例えば、冷却水温等のエンジン温度、エンジン回転速度、所定時間当たりのエンジン回転速度変化量を用いれば良い。エンジン温度が低くなるほど、エンジン11の回転変動が大きくなり、また、エンジン回転速度が低くなるほど、エンジン11の回転変動が大きくなるという関係がある。
また、運転者が要求する加速度合に関連性のあるパラメータとしては、アクセルセンサ33で検出したアクセル開度を用いれば良い。再始動要求発生時のアクセル開度が大きくなるほど、運転者が要求する加速度合が大きいことを意味する。
更に、本実施例1では、再始動要求発生時に、上記パラメータの少なくとも1つに基づいて、エンジン回転上昇優先であるか、車両振動抑制優先であるかを判定し、エンジン回転上昇優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を進角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも進角側の点火時期)に設定し、車両振動抑制優先であると判定した場合は、再始動時の点火時期を遅角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期)に設定する。
ここで、エンジン回転上昇優先とは、多少の車両振動を生じたとしても、エンジン回転上昇を促進して再始動完了までの時間を出来るだけ短縮する制御モードであり、車両振動抑制優先とは、緩やかに再始動させて再始動時の車両振動を抑制する制御モードである。一般に、点火時期を進角側に設定するとエンジントルクが上昇し、点火時期を遅角側に設定するとエンジントルクが低下することを考慮して、図2(b)に示すように、エンジン回転上昇優先時における点火時期の設定値である進角側設定値は、再始動要求発生前の点火時期よりも進角側で且つ点火時期ノック発生限界内で進角側に設定されている。一方、車両振動抑制優先時における点火時期の設定値である遅角側設定値は、図2(c)に示すように、再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側で且つ再始動に必要なエンジントルクを確保できる範囲内で遅角側に設定されている。
更に、本実施例1では、再始動要求発生時に、前記パラメータに基づいて設定した点火時期を再始動完了と判定されるまで維持(固定)するようにしている。このようにすれば、再始動時の点火時期制御の演算処理を簡単化することができ、点火時期制御に用いる制御装置31の演算処理負荷を軽減することができる。
以上説明した本実施例1のアイドルストップ中の再始動制御は、制御装置31によって図3のアイドルストップ中再始動制御プログラムに従って次のようにして実行される。
図3のアイドルストップ中再始動制御プログラムは、制御装置31の電源オン期間中(イグニッションスイッチのオン期間中)に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう自動始動制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、アイドルストップ中(燃料カット中)であるか否かを判定し、アイドルストップ中(燃料カット中)でなければ、以降の処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
図3のアイドルストップ中再始動制御プログラムは、制御装置31の電源オン期間中(イグニッションスイッチのオン期間中)に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう自動始動制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、アイドルストップ中(燃料カット中)であるか否かを判定し、アイドルストップ中(燃料カット中)でなければ、以降の処理を行うことなく、本プログラムを終了する。
一方、上記ステップ101で、アイドルストップ中(燃料カット中)であると判定されれば、ステップ102に進み、再始動要求が発生したか否かを判定し、再始動要求が発生していなければ、そのままアイドルストップ中(燃料カット中)を継続し、本プログラムを終了する。
上記ステップ102で、再始動要求が発生したと判定されれば、ステップ103、104で共に「Yes」と判定されるか否かで、スタータレス始動実行条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、まず、ステップ103で、現時点のエンジン回転速度がスタータレス始動可能な回転速度領域の下限値に相当するスタータレス始動判定値以上であるか否かを判定し、その時点で、既にエンジン回転速度がスタータレス始動判定値を下回っていれば、スタータレス始動困難(スタータレス始動実行条件不成立)と判断して、ステップ113に進み、通常の点火時期制御によって点火時期を設定し、次のステップ114で、スタータ30に通電してスタータ30でエンジン11をクランキングしながら燃料噴射を再開してエンジン11を再始動する。
これに対して、上記ステップ103で、現時点のエンジン回転速度がスタータレス始動判定値以上であると判定されれば、スタータレス始動可能な回転速度領域であると判断して、ステップ104に進み、現時点の冷却水温がスタータレス始動可能な水温領域の下限値(例えば40℃)に相当する所定温度以上であるか否かを判定する。その結果、冷却水温が所定温度よりも低いと判定されれば、スタータレス始動困難(スタータレス始動実行条件不成立)と判断して、ステップ113に進み、通常の点火時期制御によって点火時期を設定し、次のステップ114で、スタータ30を使用してエンジン11をクランキングしながら燃料噴射を再開してエンジン11を再始動する。
一方、上記ステップ104で、現時点の冷却水温が所定温度以上であると判定されれば、スタータレス始動可能な水温領域であると判断する。以上のようにして、ステップ103、104で共に「Yes」と判定されれば、スタータレス始動実行条件が成立していると判断して、ステップ105以降の処理により、スタータレス始動を次のようにして実行する。
まず、ステップ105で、エンジン11のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のある点火時期算出用のパラメータ(例えば冷却水温、エンジン回転速度、所定時間当たりのエンジン回転速度変化量、アクセル開度等)を読み込み、次のステップ106で、その点火時期算出用のパラメータに基づいてエンジン回転上昇優先であるか否かを判定する。その結果、エンジン回転上昇優先と判定されれば、ステップ107に進み、再始動時の点火時期を進角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも進角側の点火時期)に設定する。
上記ステップ106で、エンジン回転上昇優先ではないと判定されれば、車両振動抑制優先であると判断して、ステップ108に進み、再始動時の点火時期を遅角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期)に設定する。
この後、ステップ109に進み、今回の噴射対象の気筒の燃料噴射タイミングであるか否かを判定し、燃料噴射タイミングになるまで待機する。その後、燃料噴射タイミングになった時点で、ステップ110に進み、今回の噴射対象の気筒に燃料噴射を実行する。
そして、次のステップ111で、エンジン回転速度が再始動完了判定値を越えたか否かで再始動が完了したか否かを判定し、まだ再始動が完了していないと判定されれば、ステップ112に進み、スタータレス始動を失敗したか否かを、例えばエンジン回転速度がスタータ始動判定値以下に落ち込んだか否かを判定し、スタータレス始動失敗と判定されなければ、上述したステップ109〜112の処理を繰り返して、各気筒に順番に燃料噴射を実行する。この際、点火時期は、前記ステップ106又は107で設定した設定値に維持(固定)される。
以上の処理を繰り返して、ステップ111で、再始動完了と判定されれば、本プログラムを終了し、通常の点火時期制御に移行する。
一方、上記ステップ112で、スタータレス始動失敗と判定されれば、ステップ113に進み、通常の点火時期制御によって点火時期を設定し、次のステップ114で、スタータ30を使用してエンジン11をクランキングしながら燃料噴射を再開してエンジン11を再始動する。
以上説明した本実施例1によれば、アイドルストップ制御の燃料カット/エンジン回転降下中に再始動要求が発生したときに、エンジン11のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のある点火時期算出用のパラメータに基づいてエンジン回転上昇優先であると判断した場合(例えば運転者が急加速を要求している場合又はエンジン11のフリクションが大きくてエンストが懸念される場合)に、再始動時の点火時期を進角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも進角側の点火時期)に設定するようにしたので、エンジン回転上昇優先であると判断した場合に、点火時期の進角により再始動時のエンジントルクを増大させて再始動時のエンジン回転上昇を促進して再始動完了までの時間を短縮することができる。これにより、運転者の急加速要求に対する加速応答性を向上できると共に、エンジン11のフリクションが大きい場合でも、点火時期の進角により増大させたエンジントルクによりエンストを防止してスタータレス始動を完了させることができる。
また、再始動要求発生時に、エンジン11のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のある点火時期算出用のパラメータに基づいて車両振動抑制優先であると判断した場合(例えば運転者が急加速を要求していない場合又はエンジン11のフリクションが小さい場合又はエンジン回転変動による車両振動が運転者に不快感を与えることが懸念される場合)に、再始動時の点火時期を遅角側設定値(再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期)に設定するようにしたので、車両振動抑制優先であると判断した場合に、点火時期の遅角により再始動時のエンジントルクを低下させて、緩やかに再始動させることができ、再始動時の車両振動を抑制して、再始動時の車両振動によるドライブフィーリングの悪化を抑えることができる。
上記実施例1では、再始動要求発生時に、点火時期算出用のパラメータに基づいて設定した点火時期を、再始動完了と判定されるまで維持(固定)するようにしたが、図4及び図5に示す本発明の実施例2では、再始動要求発生から再始動完了と判定されるまでの再始動期間に、点火時期算出用のパラメータに基づいて点火時期を設定する処理を所定周期で繰り返して、再始動期間中の点火時期算出用のパラメータのパラメータの変化に応じて点火時期を変化させるようにしている。本実施例2でも、ハードウエア構成は、前記実施例1と同じである。
図4のタイムチャートは、再始動要求発生時に車両振動抑制を優先させる状態である場合(例えば運転者が急加速を要求していない場合又はエンジン11のフリクションが小さい場合又はエンジン回転変動による車両振動が運転者に不快感を与えることが懸念される場合)の再始動時の点火時期制御例である。この場合は、再始動要求発生直後に、再始動の点火時期を、再始動に必要なエンジントルクを確保できる範囲内で遅角側に設定し、再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側の点火時期に設定する。この後、点火時期算出用のパラメータに基づいて点火時期を算出する処理を所定周期で繰り返す。これにより、例えば、エンジン回転上昇促進の方を優先させる状態になれば、点火時期を徐々に進角させていく。
以上説明した本実施例2のアイドルストップ中の再始動制御は、制御装置31によって図5のアイドルストップ中再始動制御プログラムに従って実行される。図5のアイドルストップ中再始動制御プログラムは、前記実施例1で説明した図3のアイドルストップ中再始動制御プログラムのステップ106〜108の処理をステップ106aの処理に変更すると共に、ステップ112の判定結果が「No」の場合にステップ105の処理に戻るように変更しただけであり、その他の各ステップの処理は同じである。
図5のアイドルストップ中再始動制御プログラムでは、再始動要求発生時にスタータレス始動実行条件が成立してスタータレス始動を実行する場合(ステップ101〜104で全て「Yes」と判定された場合)は、再始動完了と判定されるまでの期間に、ステップ105と106aの処理を所定周期で繰り返して、点火時期算出用のパラメータを読み込んでそのパラメータに基づいて点火時期を算出する処理を所定周期で繰り返す。これにより、再始動完了までのエンジン11の回転挙動に見合った適正な点火時期を設定することができる。
尚、本発明を適用可能な内燃機関は、図1に示すように吸気ポート噴射型のエンジンに限定されず、筒内噴射型のエンジンや、吸気ポート噴射と筒内噴射を併用するデュアル噴射型のエンジンにも適用して実施できる。
その他、本発明は、動力源として内燃機関(エンジン)とモータを併用するハイブリッド電気自動車にも適用して実施できる等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、30…スタータ、31…制御装置(自動停止制御手段,自動始動制御手段)、32…ブレーキスイッチ、33…アクセルセンサ、34…車速センサ
Claims (5)
- 内燃機関の運転中に自動停止要求が発生したときに燃料噴射を停止させる自動停止制御手段と、
前記自動停止制御手段による燃料噴射停止中に内燃機関回転速度が降下する過程で再始動要求が発生したときに燃料噴射を再開して前記内燃機関を再始動させる自動始動制御手段とを備え、
前記自動始動制御手段は、前記再始動要求発生時に、前記内燃機関のフリクション、回転変動、運転者が要求する加速度合のうちの少なくとも1つに関連性のあるパラメータに基づいて点火時期を設定することを特徴とする内燃機関の自動停止始動制御装置。 - 前記自動始動制御手段は、前記再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて内燃機関回転上昇優先と判断したときに前記点火時期を前記再始動要求発生前の点火時期よりも進角側に設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。
- 前記自動始動制御手段は、前記再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて車両振動抑制優先と判断したときに前記点火時期を前記再始動要求発生前の点火時期よりも遅角側に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。
- 前記自動始動制御手段は、前記再始動要求発生時に前記パラメータに基づいて設定した点火時期を再始動完了と判定されるまで維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。
- 前記自動始動制御手段は、前記再始動要求発生から再始動完了と判定されるまでの期間に前記パラメータに基づいて点火時期を設定する処理を所定周期で繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の自動停止始動制御装置。
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