JP2019044535A - キーレスエントリーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】リレーアタックの誤判定を防止する。【解決手段】車載機1は、送信アンテナ7a、7bからそれぞれ第1のリクエスト信号S1a、S1bを送信すると共に、送信アンテナ7a、7bから同時に第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させるLF送信部13を備え、携帯機3は、受信アンテナ32a、32b、32cによって車載機1から第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信するLF受信部37と、を備える。携帯機3は、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の強度比と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の強度比に基づいて、車両に対するリレーアタックを判定する制御部40を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、キーレスエントリーシステムに関する。
キーレスエントリーシステムは、車載機と携帯機から構成される。キーレスエントリーシステムにおいて、車載機と携帯機が通信を行い、車両のドアを施錠および開錠、またはエンジンの始動等の操作を行う。
このようなキーレスエントリーシステムにおいて、例えばドアの開錠操作を行う場合、携帯機を所持した使用者が、ドアに設置されたリクエストスイッチを操作する。リクエストスイッチが操作されると、車載機は携帯機に対して到達距離を限定したLF(低周波)のリクエスト信号を送信する。リクエスト信号を受信した携帯機は、車載機にアンサー信号を送信する。車載機は、携帯機からアンサー信号を受信すると、ドアの開錠操作を行う。
悪意を持った第三者が、中継器を用いてドアを不正に開錠する、いわゆるリレーアタックを試みることがある。第三者は、携帯機を所持する使用者が車両の遠方に居るときに、リクエストスイッチを操作する。リクエストスイッチの操作に応じて車載機はリクエスト信号を送信する。通常であれば、携帯機は車両の遠方にあるため、LF信号であるリクエスト信号を受信しない。ところが、携帯機と車両の間に設置された複数の中継器がリクエスト信号を中継するため、携帯機は遠方にあるにも関わらずリクエスト信号を受信する。携帯機がリクエスト信号に応じて送信するアンサー信号はRF(高周波)信号であるため、車載機に到達してドアが開錠される。これによって車両の側にいる第三者によって車両が盗難されるおそれがある
リレーアタックへの対策として、例えば、車載機に異なる位置に設置した複数の送信アンテナを備えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。携帯機には、異なる軸線方向を向いた複数の受信アンテナを備える。車載機はリクエスト信号を各送信アンテナから出力する。携帯機は、各受信アンテナで受信したリクエスト信号の強度比を比較する。車載機の複数の送信アンテナは設置位置が異なるため、携帯機が受信するリクエスト信号の強度比も異なる。一方、中継器がリクエスト信号を中継して携帯機に送信した場合は、携帯機が受信するリクエスト信号の強度比は同じになる。携帯機は、リクエスト信号の強度比が同じである場合にはリレーアタックと判定して、アンサー信号を返信しない。
特開2006−342545号公報
しかしながら、車載機の送信アンテナと携帯機の受信アンテナの位置関係によっては、中継器が中継していない場合でも、リクエスト信号の強度比が同じになってしまう可能性もある。例えば、複数の送信アンテナから送信した各リクエスト信号の磁界の向きが、携帯機の受信アンテナの位置で平行に近くなってしまう場合には、異なる送信アンテナから送信したリクエスト信号であっても、強度比が同じとなってしまう可能性がある。また、例えば、各リクエスト信号の磁界の向きが受信アンテナを中心として線対称となる場合には、各リクエスト信号の位相は互いに逆になるが、検出される強度比は同じとなってしまう。このような場合には、携帯機が誤ってリレーアタックを判定してしまう可能性がある。
キーレスエントリーシステムにおいて、リレーアタックの判定の精度を高め、セキュリティとユーザの利便性を向上させることが求められている。
本発明は、車両に設けられリクエスト信号を送信する車載機と、前記リクエスト信号に応答してアンサー信号を送信する携帯機とを有し、前記車載機が前記アンサー信号に応じて車両の動作を制御するキーレスエントリーシステムであって、
前記車載機は、
車両にそれぞれ配置された複数の送信アンテナと、
前記携帯機に対して、前記複数の送信アンテナのそれぞれから第1のリクエスト信号を送信すると共に、前記複数の送信アンテナから同時に第2のリクエスト信号を送信させる車載機送信部を備え、
前記携帯機は、
異なる軸線方向を向いた複数の受信アンテナと、
前記複数の受信アンテナによって前記車載機から送信された前記第1および第2のリクエスト信号を受信する携帯機受信部と、を備えるものとした。
本発明によれば、キーレスエントリーシステムにおいて、リレーアタックの判定の精度を高め、セキュリティとユーザの利便性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係るキーレスエントリーシステムの概要図である。 車載機の構成を示すブロック図である。 実施の形態のリクエスト信号の送信態様を示す図である。 リクエスト信号の構成を示す図である。 携帯機の構成を示すブロック図である。 送信アンテナから送信された各リクエスト信号Sの強度比の一例を示す図である。 リレーアタックの仕組みを説明する図である。 車載機の処理を示すフローチャートである。 携帯機の処理を示すフローチャートである。 変形例1のリクエスト信号の送信態様を示す図である。 変形例2に係る車載機のメモリに記憶された送信方法情報の一例を示す図である。 変形例2に係る車載機の処理を示すフローチャートである。 変形例3に係る車載機の処理を示すフローチャートである。 変形例3に係る携帯機の処理を示すフローチャートである。 変形例4に係る車載機のメモリに記憶された送信方法情報の一例を示す図である。 変形例5に係る車載機の処理を示すフローチャートである。 変形例5に係る携帯機の処理を示すフローチャートである。 変形例6に係る車載機の処理を示すフローチャートである。 変形例6に係る携帯機の処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るキーレスエントリーシステムの概要図である。
図1に示すように、キーレスエントリーシステムは、車両Vに設けられた車載機1と、車両Vの使用者が所持する携帯機3とを有する。車載機1と携帯機3は、無線通信を行って、車両Vと携帯機3の対応関係の認証を行う。
車載機1は携帯機3にリクエスト信号Sを送信し、携帯機3はリクエスト信号Sに応答するアンサー信号を送信する。車載機1は、アンサー信号を用いて車両Vと携帯機3の対応関係の認証を行い、ドアロックの施錠または開錠の制御を行う。車載機1は、リクエスト信号Sを、例えば125−135KHzのLF信号として送信する。携帯機3は、例えばUHF帯のRF信号をアンサー信号として送信する。なお、キーレスエントリーシステムの制御対象としては、ドアロックのほかにエンジン始動やステアリングロック等もあるが、詳細な説明は省略する。実施の形態ではドアロックの制御について、特に開錠の制御について説明する。
図2は車載機1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車載機1は、リクエストスイッチ5、キーレスコントローラ10、送信アンテナ7、受信アンテナ8およびドアロックアクチュエータ9を備える。
リクエストスイッチ5は車体のドアに設置され、使用者のドアの開錠要求を受け付ける。リクエストスイッチ5は、車体の複数のドアのそれぞれに設置し、各ドアに対する開錠要求を受け付けるようにしても良い。例えば、図1に示すように、リクエストスイッチ5は、DRドアリクエストスイッチ(DRSW)5a、ASドアリクエストスイッチ(ASSW)5b、およびBKドアリクエストスイッチ(BKSW)5cを備える。DRSW5aは運転席ドアに設置する。ASSW5bは助手席ドアに設置する。BKSW5cはバックドアに設置する。リクエストスイッチ5は、例えばスイッチボタンとすることができる。スイッチボタンは、使用者がプッシュするまたは触れる等の操作を行うことによって、開錠要求を受け付ける。
送信アンテナ7はリクエストスイッチ5が操作されると、リクエスト信号SをLF信号として送信する。車載機1は、例えば、送信アンテナ7として、異なる位置に設置された送信アンテナ7aと送信アンテナ7bを備える。送信アンテナ7aは、例えば、車両V後方のバックドアの近傍に設置し、送信アンテナ7bは、例えば、車両V前方の助手席ドアの近傍に設置する。なお、送信アンテナ7の設置位置および設置数はこの例に限られない。送信アンテナ7は他にも、運転席ドアの近傍や、後部座席付近、ラゲッジルーム内等に設置しても良い。また、ここでは送信アンテナ7a、7bを車両の異なる位置に設置する例を説明しているが、複数の送信アンテナ7を、同じ位置に配置方向(アンテナの向き)が異なるように配置しても良い。
受信アンテナ8は、携帯機3からアンサー信号を受信する。アンサー信号は、携帯機3がリクエスト信号Sへの返信として送信するものである。ドアロックアクチュエータ9は、運転席ドア、助手席ドアおよびバックドアを開錠および施錠する。
キーレスコントローラ10は、リクエストスイッチ5、送信アンテナ7、受信アンテナ8およびドアロックアクチュエータ9のそれぞれに接続する。キーレスコントローラ10は、リクエストスイッチ5の操作に応じてリクエスト信号Sを生成し、送信アンテナ7から携帯機3に送信させる。キーレスコントローラ10は、受信アンテナ8を介して、リクエスト信号Sに対するアンサー信号を受信して認証を行う。キーレスコントローラ10は、アンサー信号の認証結果に応じて、ドアロックアクチュエータ9の駆動を制御して、ドアの開錠を行う。
キーレスコントローラ10は、CPU11、LF送信部13、RF受信部14、メモリ12およびアクチュエータ駆動回路15を備える。LF送信部13は送信回路等から構成され、送信アンテナ7に接続し、CPU11で生成したリクエスト信号SをLF電波として送信アンテナ7から送信させる。RF受信部14は受信回路等から構成され、受信アンテナ8に接続し、アンサー信号を受信させる。アクチュエータ駆動回路15は、CPU11の入力に従って、ドアロックアクチュエータ9を駆動させる回路である。
メモリ12は、キーレスコントローラ10の制御プログラムや、キーレスコントローラ10の処理に必要な情報を格納する。メモリ12はまた、CPU11の処理において生成される諸データを一時的に記憶する。メモリ12は、一例として、携帯機3のID51を格納する。
図2に示すように、CPU11は、制御部20、スイッチ判別部21、信号生成部22、および暗号処理部23を備える。制御部20は、不図示のタイマを備える。
特に記載しないが、CPU11の各部は、処理結果を一時的にメモリ12に記憶させ、必要なデータや処理対象をメモリ12から読み出し、処理終了後に一時的に記憶させたデータをリセットする。
スイッチ判別部21はリクエストスイッチ5a、5b、5cのいずれが操作されたかを判別し、判別結果を制御部20に入力する。
制御部20はCPU11全体の制御を行う。制御部20は、リクエスト信号Sの送信に関して、乱数などの暗号Cを生成する。制御部20は、生成した暗号Cを処理指令と共に暗号処理部23に入力する。制御部20は、また、生成した暗号Cを信号生成指令と共に信号生成部22に入力する。
暗号処理部23は、制御部20の処理指令に従って、制御部20が生成した暗号Cを、所定の計算プロセスで計算処理する。所定の計算プロセスは、メモリ12に記憶させた携帯機3のID51を組み込んでいる。暗号処理部23は、処理結果を車載機側処理結果としてメモリ12に記憶させる。この車載機側処理結果は、携帯機3からアンサー信号を受信したときに使用する。
信号生成部22は、制御部20の信号生成指令に従って、リクエスト信号Sを生成し、LF送信部13に出力する。信号生成部22は、LF送信部13を制御して、送信アンテナ7aおよび7bからリクエスト信号Sを出力させる。
図3は、実施の形態のリクエスト信号の送信態様の一例を示す図である。図4は、リクエスト信号の構成を示す図である。
図3に示すように、信号生成部22は、送信アンテナ7aおよび7bから、それぞれリクエスト信号Sを2回送信させるように、LF送信部13を制御する。LF送信部13は、リクエスト信号Sを電磁波であるLF送信波に変換して送信アンテナ7aおよび7bに出力する。送信アンテナ7aおよび7bがそれぞれの周囲に磁界を形成し、携帯機3が形成された磁界を検出することで、車載機1から携帯機3にリクエスト信号Sが送信される。図3では、送信アンテナ7aおよび7bが形成する磁界のうち携帯機3によって検出される磁界を、各リクエスト信号Sのイメージとして示している。
送信アンテナ7aおよび7bから1回目に送信するリクエスト信号を「第1のリクエスト信号S1a、S1b」とする。送信アンテナ7aおよび7bから2回目に送信するリクエスト信号を「第2のリクエスト信号S2a、S2b」とする。LF送信部13は、第1のリクエスト信号S1a、S1bは、それぞれの送信アンテナ7aおよび7bから順番に送信する。図3では、送信アンテナ7aが先に送信する例を図示しているが、送信アンテナ7bが先に送信しても良い。また、送信アンテナ7aからの送信と送信アンテナ7bからの送信の間に、時間間隔を設けても良く、あるいは一方の送信が完了した後に、時間間隔を設けず直ぐに他方の送信を行うようにしても良い。
LF送信部13は、第1のリクエスト信号S1a、S1bを送信した後に、第2のリクエスト信号S2a、S2bを、送信アンテナ7aおよび7bから同時に送信する。LF送信部13は、また、送信アンテナ7aから送信するリクエスト信号S2aと、送信アンテナ7bから送信するリクエスト信号S2bとが逆位相になるように送信を行う。
図4に示すように、始めに送信する送信アンテナ7aからの第1のリクエスト信号S1aは、ウエイクアップ信号、データ信号およびバースト信号を含む。データ信号は、たとえば、第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2b全ての送信が完了する時間(送信完了時間)T1と暗号Cとを含む。バースト信号は、携帯機3で受信強度を測定するための信号である。2番目以降に送信される、送信アンテナ7bからの第1のリクエスト信号S1bと、送信アンテナ7a、7bが同時に送信する第2のリクエスト信号S2a、S2bとは、バースト信号のみを含む。
制御部20は、携帯機3からのアンサー信号の受信に関して、アンサー信号の認証を行う。詳細は後述するが、アンサー信号は、リクエスト信号Sが含む暗号Cの、携帯機3での処理結果(以降、「携帯機側処理結果」という)を含む。制御部20は、携帯機側処理結果を、メモリ12に記憶させた車載機側処理結果と照合する。携帯機3は車載機1の暗号処理部23と同じ計算プロセスで計算処理を行っているため、アンサー信号が対応する携帯機3から送信されたものであれば、処理結果は同一となる。携帯機側処理結果と車載機側処理結果が同一であれば、制御部20はアンサー信号が対応する携帯機3からのものである旨を認証する。制御部20はアンサー信号を認証すると、駆動指令をアクチュエータ駆動回路15に出力する。アクチュエータ駆動回路15はドアロックアクチュエータ9を駆動させてドアを開錠する。
図5は携帯機3の構成を示すブロック図である。
携帯機3は、リモートコントローラ30、受信アンテナ32および送信アンテナ33を備えている。
受信アンテナ32は、車載機1が送信するリクエスト信号Sを受信し、送信アンテナ33は、アンサー信号をRF信号として送信する。受信アンテナ32は、いわゆる3軸アンテナであり、3つの受信アンテナ32a、32b、32cを備える。受信アンテナ32a、32b、32cは、それぞれ、x軸、y軸およびz軸と、異なる軸線方向(図1参照)を向くように配置する。受信アンテナ32a、32b、32cは、LF送信波であるリクエスト信号Sの磁界を検出することで、リクエスト信号Sを受信する。受信アンテナ32a、32b、32cはそれぞれ異なる軸線方向を向くように配置されているため、それぞれが検出する磁界成分は異なったものとなる。
前記したように、第1のリクエスト信号S1a、S1bは、それぞれ順番に送信されるため、受信アンテナ32もそれぞれの信号を順番に受信する。受信アンテナ32a、32b、32cは、第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界の各軸の成分を検出する(図3参照)。一方、第2のリクエスト信号S2a、S2bは同時に送信されるため、受信アンテナ32も同時に受信する。そのため、受信アンテナ32a、32b、32cは、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の成分を検出する(図3参照)。
リモートコントローラ30は、受信アンテナ32を介して受信したリクエスト信号Sに対して後述する処理を行い、アンサー信号を生成する。リモートコントローラ30は、生成したアンサー信号を送信アンテナ33から車載機1に送信させる。
リモートコントローラ30は、CPU35、LF受信部37、強度検出部38、RF送信部39、およびメモリ36を備える。
LF受信部37は、受信回路等から構成され、受信アンテナ32に接続して、車載機1が送信するリクエスト信号Sを順次受信する。
強度検出部38は、LF受信部37が受信したリクエスト信号Sについて、それぞれが含むバースト信号の受信強度を検出する。受信強度とは、受信アンテナ32a、32b、32cが検出するリクエスト信号Sの磁界成分の各軸の強度である。強度検出部38は、順番に第1のリクエスト信号S1a、S1bについては、それぞれの磁界の受信強度を検出する。強度検出部38は、同時に受信する第2のリクエスト信号S2a、S2bについては、2つの信号の合成磁界の受信強度を検出する。強度検出部38は、検出した各信号の受信強度をメモリ36に格納する。
RF送信部39は、アンサー信号をRF信号として送信アンテナ33から出力させる。メモリ36は、リモートコントローラ30の制御プログラムや、リモートコントローラ30の処理に必要な情報を格納する。メモリ36は、一例として、携帯機3のID51を格納する。
CPU35は、制御部40、暗号処理部41、および信号生成部42を備える。制御部40は、不図示のタイマを備える。
車載機1と同様に、CPU35の各部は、処理結果を一時的にメモリ36に記憶させ、必要なデータや処理対象をメモリ36から読み出し、処理終了後に一時的に記憶させたデータをリセットする。例えば、前記したようにメモリ36には強度検出部38が検出した受信強度が格納されるが、受信したリクエスト信号Sに応答するアンサー信号の送信が完了すると、CPU35は受信強度をメモリ36から消去する。
なお、詳細な説明は省略するが、携帯機3はコントロールスイッチを備えるようにしても良い。使用者がコントロールスイッチを操作することで、遠隔から車両のドアを施錠または開錠させたり、エンジンを始動させたりすることができる。
制御部40は、CPU35全体の制御を行う。制御部40は、リクエスト信号Sの受信に関して、判定部としてリレーアタックの判定を行う。制御部40は、具体的には、強度検出部38が検出した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の受信強度と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の受信強度を用いて、各軸の受信強度比(以下、単に「強度比」ともいう)を算出する。制御部40は、算出した強度比を比較して、リレーアタックの判定を行う。
図6は、送信アンテナ7a、7bから送信されたそれぞれ送信されたリクエスト信号Sの強度比の一例を示す図である。
前記したように、リクエスト信号Sの送信元である送信アンテナ7a、7bは、車両の異なる位置に設置され、それぞれの携帯機3との距離と方向が異なる。そのため、図6に示すように、送信アンテナ7a、7bからのそれぞれのリクエスト信号Sについて、携帯機3の受信アンテナ32a、32b、32cが検出する各軸の磁界成分は異なり、結果としてそれぞれの強度比も、異なったものとなる。
一方、リクエスト信号Sがリレーアタックを行う中継器により中継された場合には、全てのリクエスト信号Sの強度比は同じとなる可能性が高い。
図7は、リレーアタックの仕組みを説明する図である。
図7に示すように、車両Vのドアの不正開錠を試みる第三者は、携帯機3を所持する使用者が車両Vの遠方に居るときに、DRSW5aを操作する。DRSW5aの操作に応じて車載機1はリクエスト信号Sを送信する。携帯機3と車両Vの間に設置され、それぞれにアンテナを備えた複数の中継器が、このリクエスト信号Sを中継して、遠方にある携帯機3に受信させる。
このような中継器によって送信されたリクエスト信号Sに携帯機3がアンサー信号を返信すれば、ドアが不正開錠されてしまう。それを防止するために、車載機1は異なる位置に設置された送信アンテナ7a、7bからリクエスト信号Sを送信し、携帯機3は各リクエスト信号Sの強度比を比較する処理を行う。車載機1の異なる位置に設置された送信アンテナ7a、7bが送信したリクエスト信号Sを、携帯機3が中継器を介することなく適切に受信した場合は、各リクエスト信号Sの強度が異なる。一方、各リクエスト信号Sを中継器が中継した場合、携帯機3は中継の単一の送信アンテナから各リクエスト信号Sを受信する。そのため、送信元が異なる送信アンテナ7a、7bであっても、携帯機3が受信するリクエスト信号Sの強度比は同じとなる。強度比が同じであった場合には、携帯機3は車載機1にアンサー信号を返信しないようにすることで、リレーアタックを受けることを防止する。
なお、中継器の同じ送信アンテナが各リクエスト信号Sを送信したとしても、条件によって携帯機3での強度比に微差が生じることがある。そのため、強度比が完全に一致する場合のみを「同じ」と判定するのではなく、微差と判断できる一定の範囲内の場合は「同じ」と判定するようにしても良い。
ただし、車載機1の各送信アンテナ7a、7bと携帯機3の受信アンテナ32a、32b、32cの位置関係によっては、中継器によって中継されていなくても、リクエスト信号Sの強度比が同じになってしまうケースがある。
図3に、そのケースの一例を示している。送信アンテナ7a、7bそれぞれが送信した第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界が、携帯機3の受信アンテナ32a、32b、32cにおいてほぼ平行になっている。第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界がほぼ平行になると、それぞれの強度比もほぼ同じになってしまう。このような場合には、第1のリクエスト信号S1a、S1bの強度比のみを比較した場合には、信号が適正なものであるにも関わらず、リレーアタックと判定されてしまう可能性がある。
実施の形態では、前記したように、車載機1は、第1のリクエスト信号S1a、S1bを送信した後に、送信アンテナ7a、7bから第2のリクエスト信号S2a、S2bを、互いに逆位相で同時に送信する。そのため、携帯機3の受信アンテナ32a、32b、32cにおいては、同時に受信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の成分が検出される。第2のリクエスト信号S2a、S2bの磁界が合成されることによって、その磁界成分は第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界成分と異なったものとなる。また、第2のリクエスト信号S2a、S2bは互いに逆位相であるため、それらの合成磁界の成分と、第1のリクエスト信号S1a、S1bの個々の磁界成分の差がより明確になる。結果として、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の強度比は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの個々の磁界の強度比と異なったものとなる。
一方、第2のリクエスト信号S2a、S2bを中継器が中継した場合には、同じ中継器の送信アンテナから携帯機3に送信されるため、合成磁界の強度比は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの個々の磁界の強度比と同じになる。したがって、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比を比較の対象に加えることで、リクエスト信号Sの磁界が携帯機3においてほぼ平行になるようなケースでも、制御部40が誤ってリレーアタックと判定するのを回避することができる。
携帯機3の制御部40は、第1のリクエスト信号S1aの磁界、第1のリクエスト信号S1bの磁界、および第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の3つの強度比を比較する。制御部40は、全ての強度比が同じであればリレーアタックの可能性があると判定して、アンサー信号の返信を行わない。
制御部40は、3つの強度比のなかで、他の強度比と異なるものがあれば、リレーアタックではないと判定して、アンサー信号を返信するための処理を行う。制御部40は第1のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む暗号Cを取得する。制御部40は、取得した暗号Cを処理指令と共に暗号処理部41に入力する。
暗号処理部41は制御部40が入力した暗号Cを、所定の計算プロセスで計算処理する。所定の計算プロセスは、携帯機3のID51を組み込んだものであり、車載機1の暗号処理部23と同じ計算プロセスである。暗号処理部41は、処理結果を携帯機側処理結果として制御部40に入力する。制御部40は、携帯機側処理結果を、信号生成指令と共に信号生成部42に入力する。
信号生成部42は、携帯機側処理結果を含むアンサー信号を生成して、RF送信部39に送る。RF送信部39は、アンサー信号をRF信号として送信アンテナ33から出力する。
以下、キーレスエントリーシステムの処理を説明する。
図8は、車載機1の処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、使用者によりリクエストスイッチ5が操作されると(ステップS11)、スイッチ判別部21が、DRSW5a、ASSW5b、およびBKSW5cのうちのどれが操作されたのかを判別して、メモリ12に記憶させる。
制御部20は、リクエスト信号Sに含ませる暗号Cを生成する(ステップS12)。制御部20は、生成した暗号Cと共に処理指令を暗号生成部に入力する。制御部20は、暗号Cと共に、信号生成指令を信号生成部22に入力する。
暗号処理部23は、処理指令に従い、暗号Cを所定の計算プロセスで計算処理し、車載機側処理結果をメモリ12に記憶させる(ステップS13)。
信号生成部22は、信号生成指令に従ってリクエスト信号Sを生成し、LF送信部13を制御して、送信アンテナ7a、7bのそれぞれから、第1のリクエスト信号S1a、S1bを、それぞれ順番に送信させる(ステップS14)。
信号生成部22は、続いて、LF送信部13を制御して、送信アンテナ7a、7bのそれぞれから、第2のリクエスト信号S2a、S2bを、互いに逆位相で同時に送信させる(ステップS15)。
制御部20は、すべてのリクエスト信号Sの送信が完了すると、携帯機3からのアンサー信号を待ち受ける(ステップS16)。なお、制御部20は、タイマを参照して、予め設定した応答待ち時間が経過してもアンサー信号を受信しなかった場合は、処理を終了する。
制御部20は、アンサー信号を受信すると(ステップS16:Yes)、アンサー信号が含む携帯機側処理結果をメモリ12に記憶させておいた車載機側処理結果と照合する(ステップS17)。制御部20は、携帯機側処理結果と車載機側処理結果が一致しなかった場合は(ステップS17:No)、処理を終了する。制御部20は、携帯機側処理結果と車載機側処理結果が一致した場合(ステップS17:Yes)、アクチュエータ駆動回路15に駆動指令を出力する。アクチュエータ駆動回路15はドアロックアクチュエータ9を駆動させ(ステップS18)、ドアロックを開錠する。
図9は、携帯機3の処理を示すフローチャートである。
携帯機3のリモートコントローラ30は、コントロールスイッチが操作されたときを除き、リクエスト信号Sを受信するまではスリープモードにある。図9に示すように、リモートコントローラ30は、リクエスト信号Sを受信すると(ステップS21:Yes)、スリープモードを解除する。具体的には、携帯機3が最初に受信するリクエスト信号S1aは、ウエイクアップ信号を含む。リモートコントローラ30は、このウエイクアップ信号に応答してスリープモードを解除する。
リモートコントローラ30の制御部40は、最初のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む送信完了時間T1を取得して、タイマのカウントを開始する(ステップS22)。携帯機3は、送信完了時間T1内に送信される2番目以降の信号、すなわち、第1のリクエスト信号S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bを順次受信する。
強度検出部38は、受信したリクエスト信号Sの磁界の各軸の強度を順次検出して(ステップS23)、メモリ36に記憶させる。強度検出部38は、それぞれ順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bは、それぞれの磁界の強度を検出するが、同時に受信した第2のリクエスト信号S2a、S2bについては合成磁界の強度を検出する。
制御部40は、送信完了時間T1が経過すると(ステップS24:Yes)、メモリ36に記憶された第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界の強度と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度から、x軸、y軸およびz軸の強度比を算出する(ステップS25)。
制御部40は、算出した3つの強度比を比較し、全て同じであれば(ステップS26:Yes)は、リレーアタックを受けている可能性があると判定し、アンサー信号の生成を行わずに処理を終了する。
制御部40は、3つの強度比の中で、他の強度比と異なるものがあれば(ステップS26:No)、最初のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む暗号Cを、処理指令と共に暗号処理部41に入力する。
暗号処理部41は、処理指令に従い、暗号Cを所定の計算プロセスで計算処理し(ステップS27)、算出した携帯機側処理結果を制御部40に入力する。制御部40は、携帯機側処理結果を、信号生成指令と共に信号生成部42に入力する。信号生成部42は、携帯機側処理結果を含むアンサー信号を生成する。信号生成部42は、RF送信部39を制御して、アンサー信号を送信アンテナ33から送信させる(ステップS28)。
リモートコントローラ30は、アンサー信号の返信後、通常動作状態からスリープ状態に戻り、処理を終了する。
以上の通り、実施の形態のキーレスエントリーシステムは、
(1)車両に設けられリクエスト信号Sを送信する車載機1と、リクエスト信号Sに応答してアンサー信号を送信する携帯機3とを有し、車載機1がアンサー信号に応じて車両の動作を制御するキーレスエントリーシステムであって、
車載機1は、
車両にそれぞれ配置された複数の送信アンテナ7a、7bと、
携帯機3に対して、複数の送信アンテナ7a、7bのそれぞれから順番に第1のリクエスト信号S1a、S1bを送信すると共に、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させるLF送信部13(車載機送信部)を備え、
携帯機3は、
異なる軸線方向を向いた複数の受信アンテナ32a、32b、32cと、
複数の受信アンテナ32a、32b、32cによって車載機1から送信された第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信するLF受信部37(携帯機受信部)と、を備える。
また、携帯機3は、
複数の受信アンテナ32a、32b、32cで順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の強度比と、複数の受信アンテナ32a、32b、32cで同時に受信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の強度比に基づいて、車両に対するリレーアタックを判定する制御部40(判定部)を備える。
リレーアタックを判定するために、異なる位置に設置した送信アンテナ7a、7bからそれぞれリクエスト信号Sを送信し、それらの強度比を比較する。しかしながら、送信アンテナ7a、7bが異なる位置に設置されていても、携帯機3に対する位置関係によって、携帯機3で受信した各リクエスト信号Sの磁界の強度比が同じになってしまうケースがある。
実施の形態のキーレスエントリーシステムでは、送信アンテナ7a、7bから第1のリクエスト信号S1a、S1bを個別に送信した後に、送信アンテナ7a、7bから第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相で同時に送信する。同時に送信された第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比は、個々に送信された第1のリクエスト信号S1a、S1bの強度比とは異なるものとなる。同時に送信したリクエスト信号Sの合成磁界の強度比も用いて比較処理を行うことで、位置関係によって個々の信号の磁界の強度比がたまたま同じになったようなケースでも、リレーアタックの誤判定を防止することができる。これによって、リレーアタックの判定の精度を高め、セキュリティと利便性を向上させることができる。
(2)車載機1のLF送信部13(車載機送信部)は、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に、互いに逆位相となる第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させる。図3に示したようなリクエスト信号Sの磁界が携帯機3においてほぼ平行となるケースでは、リクエスト信号を互いに逆位相で同時送信することで、強度比の差が大きくなりやすく、リレーアタックの判定の精度を高めることができる。
[変形例1]
実施の形態では、車載機1は、送信アンテナ7a、7bからそれぞれリクエスト信号Sを個別に送信すると共に、リクエスト信号Sの逆位相での同時送信を行った。変形例1では、車載機1は、逆位相での同時送信と共に、同位相での同時送信も行う。すなわち、変形例1では、車載機1は送信アンテナ7a、7bのそれぞれから、リクエスト信号Sの送信を3回行う。
図10は、変形例1のリクエスト信号の送信態様を示す図である。
図10に示すように、車載機1の信号生成部22は、実施の形態と同様に、1回目は、送信アンテナ7a、7bから、それぞれ順番に第1のリクエスト信号S1a、S1bを送信するようにLF送信部13を制御する。図示は省略しているが、車載機1は、2回目も実施の形態と同様に、送信アンテナ7a、7bから逆位相で第2のリクエスト信号S2a、S2bを同時に送信する。なお、送信アンテナ7aが先に送信する例を図示しているが、送信アンテナ7bが先に送信しても良い。車載機1は、3回目は、第3のリクエスト信号S3a、S3bを、送信アンテナ7a、7bから同位相で同時に送信する。
携帯機3は、同時に送信された同位相の第3のリクエスト信号S3a、S3bについて、第2のリクエスト信号S2a、S2bと同様の処理を行う。すなわち、携帯機3の受信アンテナ32a、32b、32cにおいて、第3のリクエスト信号S3aおよびS3bの合成磁界の各軸の成分を検出し、強度検出部38が合成磁界の各軸の受信強度を検出する。携帯機3の制御部40は第3のリクエスト信号S3a、S3bの合成磁界の各軸の強度比を算出する。そして、制御部40は、第1のリクエスト信号S1a、S1b、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界と共に、第3のリクエスト信号S3a、S3bの合成磁界についても、強度比の比較の対象とする。制御部40は、4つの磁界の強度比が全て同じであればリレーアタックと判定してアンサー信号の生成は行わず、他の強度比と異なる強度比があれば、アンサー信号の返信を行う。
前記したように、強度比の比較はリレーアタックの判定のために行う。実施の形態では、異なる送信アンテナ7a、7bから送信されたリクエスト信号Sの磁界が携帯機3においてほぼ平行になることによって、強度比が同じになってしまうケースを説明した(図3参照)。そのようなケースにおいて、誤ってリレーアタックと判定しないように、逆位相で送信したリクエスト信号Sの合成磁界の強度比を比較の対象に加えた。
変形例1では、リクエスト信号Sの強度比が同じになってしまう別のケースにおいて、リレーアタックと誤って判定されないように、同位相でも同時送信したリクエスト信号Sの強度比を比較の対象に加える。
図10に示した例では、送信アンテナ7a、7bから送信された第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界は、携帯機3において平行にはなっていないが、携帯機3の受信アンテナ32を中心として、線対称となっている。この場合、リクエスト信号S1a、S1bの磁界の方向は異なっているが、算出した強度比は同じになってしまう。なお、図10では簡略化のため、x軸、y軸の強度比のみを示し、z軸の強度比は省略している。
図10のケースの場合、逆位相で同時に送信したリクエスト信号Sの合成磁界の強度比でも、第1のリクエスト信号S1a、S1bの磁界の強度比とは異なったものとなるが、逆位相の信号を合成すると打ち消しあって強度比の差が出にくい場合がある。同位相で同時に送信された第3のリクエスト信号S3a、S3bの合成磁界であれば、打ち消しあうことがなく、合成磁界の強度比は、個別の信号の強度比との違いが明確になりやすい。よって、図10に示した磁界が携帯機3において線対称となるケースでも、少なくとも第3のリクエスト信号S3a、S3bの合成磁界の強度比が他の強度比と異なったものとなる。これによってリレーアタックの誤判定が防止され、セキュリティを向上させることができる。なお、ここでは逆位相の第2のリクエスト信号S2a、S2bの後に同位相の第3のリクエスト信号S3a、S3bを送信する例を説明したが、第3のリクエスト信号S3a、S3bを先に送信しても良い。
以上のように、変形例1において、
(3)送信部は、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に、互いに逆位相となる第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させると共に、複数のアンテナから同時に、互いに同位相となる第3のリクエスト信号S3a、S3bを送信させる。
個別に送信したリクエスト信号Sの磁界が携帯機3を中心として線対称となり、強度比が同じとなってしまうケースでも、同位相で同時に送信したリクエスト信号Sの合成磁界の強度比を比較の対象に加えることで、リレーアタックの誤判定を防ぎやすくなる。さらに、逆位相と同位相の同時送信の両方を行うことで、磁界が携帯機3において平行となるケース(図3参照)と線対称となるケースのどちらにおいても、リレーアタックの誤判定を防止しやすくなる。
なお、変形例1では、同位相と逆位相の両方の同時送信の例を説明したが、合成磁界が平行になるケースが少ないような場合には、例えば、同位相の同時送信のみを第2のリクエスト信号S2a、S2bとして行うようにしても良い。
[変形例2]
変形例2では、携帯機3の推定位置に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相で送るか、または逆位相で送るかを決定する例を説明する。変形例2において、車載機1のキーレスコントローラ10のメモリ12には送信方法情報が記憶されている。送信方法情報は、リクエストスイッチ5ごとに、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかを予め決定した。
図11は、変形例2に係る車載機1のメモリ12に記憶された送信方法情報の一例を示す図である。
送信方法情報は、携帯機3を所持する使用者が操作されたリクエストスイッチ5の近傍に居ることを前提として決定されている。すなわち、送信方法情報は、操作されたリクエストスイッチ5の近傍のエリアを携帯機3の推定位置とし、携帯機3と各送信アンテナ7a、7bとの位置関係に基づいて予め決定されたものである。送信方法情報は、送信アンテナ7a、7bから送信されたリクエスト信号の磁界が、携帯機3の推定位置において平行となる可能性が高ければ、第2のリクエスト信号S2a、S2bは逆位相で送信するように決定する。送信アンテナ7a、7bから送信されたリクエスト信号の磁界が、携帯機3の推定位置を中心として線対称となる可能性が高ければ、第2のリクエスト信号S2a、S2bは同位相で送信するように決定する。図11は、あくまで一例であるが、送信方法情報は、DRSW5aとBKSW5cは逆位相、ASSW5bは同位相で送信するように決定されている。
以下、変形例2の車載機1の処理を説明する。なお、車載機1の処理で、実施の形態と同様の部分は、詳細な説明は省略する。
図12は、変形例2に係る車載機1の処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、使用者によりリクエストスイッチ5が操作されると(ステップS31)、スイッチ判別部21が、DRSW5a、ASSW5b、およびBKSW5cのどれが操作されたのかを判別して、メモリ12に記憶させる。
制御部20は、リクエスト信号Sに含ませる暗号Cを生成するとともに、メモリ12に記憶された送信方法情報を参照して、操作されたリクエストスイッチ5に応じた、第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信方法を取得する(ステップS32)。
暗号処理部23は、制御部20の処理指令に従って暗号Cを計算処理し(ステップS33)、信号生成部22は、信号生成指令に従ってリクエスト信号Sを生成する。信号生成部22はLF送信部13を制御して、送信アンテナ7a、7bのそれぞれから、第1のリクエスト信号S1a、S1bを、順番に送信させる(ステップS34)。
信号生成部22は、続いて、LF送信部13を制御して、送信アンテナ7a、7bのそれぞれから、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同時に送信させる(ステップS35)が、その際、送信方法情報の送信方法に従って、逆位相または同位相で送信する。ステップS36以降の処理は、図8のステップS36以降の処理と同じなので、説明は省略する。携帯機3での処理も、実施の形態と同じであるため、説明は省略する。
以上のように、変形例2において、
(4)車載機1は、携帯機3の推定位置に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する制御部20(決定部)を備える。
具体的には、車載機1のLF送信部13は、車両に配置された複数のリクエストスイッチ5(スイッチ)への操作に応じて第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信し、
車載機1は、操作されたリクエストスイッチ5に応じて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する制御部20(決定部)を備える。
さらに具体的には、車載機1は、
リクエストスイッチ5ごとに、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかを予め決定した送信方法情報を記憶するメモリ12(記憶部)を備える。制御部20は、送信方法情報を参照して、操作されたスイッチに応じて第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかを決定する。
変形例2では、操作されたリクエストスイッチ5に応じて、リクエスト信号Sの同時送信を、同位相または逆位相でのいずれか一方のみで行うため、リレーアタックの誤判定を防ぎつつ迅速な処理が可能となり、利便性を向上させることができる。
[変形例3]
変形例3でも、変形例2と同様に、携帯機3の推定位置に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相で送るか、逆位相で送るかを決定する例を説明する。ただし、変形例3では、車載機1は、携帯機3が検出する第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度から携帯機3の推定位置を決定する。車載機1は、決定した推定位置に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相または同位相のいずれかで同時送信するかを決定する。変形例3では、車載機1のキーレスコントローラ10のメモリ12は、携帯機3の推定位置に応じて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかを予め決定した送信方法情報を記憶している。なお、携帯機3の推定位置は、ピンポイントでなくても良く、一定のエリアごとに同位相または逆位相で送信するかを決定しても良い。
以下、変形例3に係る車載機1および携帯機3の処理を説明する。
図13は、変形例3に係る車載機1の処理を示すフローチャートである。
図14は、変形例3に係る携帯機3の処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、車載機1の制御部20は、リクエストスイッチ5の操作に応じて暗号を生成し、暗号処理部23が暗号処理を行う(ステップS51〜S52)。
信号生成部22は、LF送信部13を制御して、第1のリクエスト信号S1a、S1bを、順番に送信する(ステップS53)。その後、車載機1は、携帯機3からの第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求(以下、単に「送信要求」という)を待ち受ける(ステップS54)。制御部20は、タイマを参照して、予め設定した応答待ち時間が経過しても送信要求を受信しなかった場合は、処理を終了する。なお、変形例3において、第1のリクエスト信号S1aのデータ信号(図4参照)が含む送信完了時間T1は、第1のリクエスト信号S1a、S1bのみの送信時間を示す。
図14に示すように、携帯機3の制御部40は、最初のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む送信完了時間T1を取得してタイマのカウントを開始し、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度を順次検出して、メモリ36に記憶させる(ステップS61〜S63)。
第1のリクエスト信号S1a、S1bの送信完了時間T1が経過すると(ステップS64)、携帯機3の制御部40は、メモリ36に記憶された第1のリクエスト信号S1a、S1bの各軸の受信強度を取得して、信号生成指令と共に信号生成部42に入力する。
信号生成部42は、信号生成指令に従って送信要求を生成する。送信要求は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度の情報を含む。信号生成部42は、RF送信部を制御して送信要求を送信アンテナ33から送信させ(ステップS65)、車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信を待ち受ける。なお、制御部40は、タイマを参照して、予め設定した応答待ち時間が経過しても第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信しなかった場合は、処理を終了する。
図13に示すように、車載機1が携帯機3からの送信要求を受信すると(ステップS54;Yes)、キーレスコントローラ10の制御部20は、送信要求が含む第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度を取得する。制御部20は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度から携帯機3の位置を推定する。制御部20は、例えば、公知の方法を用いて、第1のリクエスト信号S1a、S1bの各軸の受信強度の差に基づいて位置を推定する。制御部20は、メモリ12の送信方法情報を参照し、推定した携帯機3の位置に対応する送信方法を取得する(ステップS55)。
制御部20は、送信方法を含む第2のリクエスト信号S2a、S2bの信号生成指令を信号生成部22に入力する。信号生成部22は、LF送信部13を制御し、信号生成指令が示す送信方法に従って、送信アンテナ7a、7bから、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相または同位相で同時に送信する(ステップS56)。
車載機1のアンサー信号を受信してからの処理(ステップS57〜S59)の処理は、実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
図14に示すように、携帯機3は車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信すると(ステップS66)、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度を検出する(ステップS67)。制御部40は、既にメモリ36に記憶されている第1のリクエスト信号S1a、S1bの個別の磁界の強度と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度から、各軸の強度比を算出する。制御部40は、実施の形態と同様に、3つの強度比の比較を行う(ステップS68)。
ステップS68〜ステップS70の処理は、実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
以上のように、変形例3において、
(5)車載機1は、携帯機3の推定位置に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する制御部20(決定部)を備える。
具体的には、携帯機3は、
車載機1の複数の送信アンテナ7a、7bから順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の受信強度を検出する強度検出部38と、
強度部の検出結果に基づいて、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報を含む第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求を車載機1に送信するRF送信部(携帯機送信部)と、を備え、
車載機1の制御部20(決定部)は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報に基づいて携帯機3の推定位置を決定し、携帯機3の推定位置に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bを互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する。
携帯機3での第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度から携帯機3の位置を推定し、推定位置に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかを決定する。第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信方法を、実際の携帯機3の位置に基づいて選択することができるため、リレーアタックの誤判定を防止しやすい。
なお、変形例3では、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報として、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度自体を送信要求に含める例を説明したが、これに限られない。例えば、携帯機3の制御部40において第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度から携帯機3の位置を推定して、推定位置を送信要求に含めても良い。
[変形例4]
変形例2では、携帯機3の推定位置に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送るかを決定する例を説明した。変形例4では、変形例2に追加して、携帯機3の推定位置に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度も決定する例を説明する。
図15は、変形例4に係る車載機1のメモリ12に記憶された送信方法情報の一例を示す図である。
変形例2と同様に、変形例4において、車載機1のキーレスコントローラ10のメモリ12は、送信方法情報を記憶する。図15に示すように、変形例4では、送信方法情報は、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送信するかの情報に加えて、各送信アンテナ7a、7bの出力強度も記載されている。これらの情報は、リクエストスイッチ5ごとの携帯機3の推定位置に基づいて予め決定されている。
各送信アンテナ7a、7bの出力強度は、操作されたリクエストスイッチ5の近傍を携帯機3の推定位置として、各送信アンテナ7a、7bと携帯機3の推定位置との距離に基づいて予め決定したものである。
同じ出力強度でリクエスト信号Sを送信した場合、送信アンテナ7a、7bと携帯機3との距離は異なるため、当然携帯機3での受信強度に差が生じる。携帯機3との距離が大きい送信アンテナからのリクエスト信号Sは、携帯機3での受信強度が弱くなる。
前記したように、第2のリクエスト信号S2a、S2bは、送信アンテナ7a、7bから同時に送信することで、携帯機3の強度検出部38において合成磁界の受信強度を検出させるものである。ところが、一方の送信アンテナから送信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの受信強度が弱すぎると、磁界を合成しても、他方の送信アンテナから送信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの受信強度とほとんど変わらない可能性がある。その場合は、制御部40が算出する第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比が、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比との差がほとんど変わらなくなってしまう可能性がある。したがって、第2のリクエスト信号S2a、S2bは、携帯機3における受信強度の差をできるだけ小さくして、合成磁界の強度比とそれぞれの磁界の強度比の差ができるだけ大きくなるようにすることが望ましい。
送信方法情報の各送信アンテナ7a、7bの出力強度は、各送信アンテナと推定位置の携帯機3の距離に基づいて、各送信アンテナから送信する信号の携帯機3での受信強度の想定値の差が所定値未満になるように予め決定したものである。所定値は、制御部40の比較処理において、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比と第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比の差が異なると判断される値とすると良い。
変形例4において、車載機1の制御部20は、操作されたDRSW5a、ASSW5b、およびBKSW5cのいずれかに応じた送信方法を、送信方法情報から取得する。第1のリクエスト信号S1a、S1bについては、実施の形態と同様に送信する。第2のリクエスト信号S2a、S2bについては、送信方法に従った出力強度で、送信アンテナ7a、7bのそれぞれから逆位相または同位相で送信させる。
以上のように、変形例4において、
(6)車載機1は、
携帯機3の推定位置に応じて、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に送信する第2のリクエスト信号S2a、S2bの携帯機3での受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定する制御部20(決定部)を備える。
具体的には、車載機1のLF送信部13は、車両に配置された複数のリクエストスイッチ5への操作に応じて第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信し、
車載機1は、
操作されたスイッチに応じた携帯機3の推定位置に基づいて、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に送信する第2のリクエスト信号S2a、S2bの携帯機3での受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定する制御部20(決定部)を備える。
携帯機3で合成磁界を検出させる第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度の差を所定値未満とすることで、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比と第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比の差を大きくすることができ、リレーアタックの誤判定を防止することができる。
なお、ここでは、変形例2に変形例4を追加した例を説明したが、これに限られず、実施の形態や変形例1に適用しても良い。例えば、第2のリクエスト信号S2a、S2bは、同位相または逆位相のいずれか一方のみで送信するように予め決定しておき、操作されたリクエストスイッチ5に応じて出力強度のみを決定しても良い。また、変形例1に適用する場合には、同位相で送信する第3のリクエスト信号S3a、S3bについても、第2のリクエスト信号S2a、S2bと同様の出力強度で送信しても良い。
[変形例5]
変形例5において、車載機1は、携帯機3が検出する第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定する。ここでは、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相で送信する実施の形態に、変形例5を適用する例を説明する。
以下、変形例5に係る車載機1および携帯機3の処理を説明する。
図16は、変形例5に係る車載機1の処理を示すフローチャートである。
図17は、変形例5に係る携帯機3の処理を示すフローチャートである。
図16に示すように、車載機1の制御部20は、リクエストスイッチ5の操作に応じて暗号を生成し、暗号処理部23が暗号処理を行う(ステップS71〜S72)。
信号生成部22は、LF送信部13を制御して、第1のリクエスト信号S1a、S1bを、順番に送信する(ステップS73)。その後、車載機1は、携帯機3からの第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求(以下、単に「送信要求」という)を待ち受ける(ステップS74)。なお、制御部20は、タイマを参照して、予め設定した応答待ち時間が経過しても送信要求を受信しなかった場合は、処理を終了する。また、変形例3において、第1のリクエスト信号S1a、S1bのデータ信号(図4参照)が含む送信完了時間T1は、第1のリクエスト信号S1a、S1bのみの送信時間を示す。また、第1のリクエスト信号S1a、S1bについては、予め決定した同じ出力強度で送信する。
図17に示すように、携帯機3の制御部40は、最初のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む送信完了時間T1を取得してタイマのカウントを開始し、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度を順次検出してメモリ36に記憶させる(ステップS81〜S83)。
第1のリクエスト信号S1a、S1bの送信完了時間T1が経過すると(ステップS84)、携帯機3の制御部40は、メモリ36に記憶された第1のリクエスト信号S1a、S1bの各軸の受信強度を取得して、信号生成指令と共に信号生成部22に入力する。
信号生成部22は、信号生成指令に従って送信要求を生成する。送信要求は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度の情報を含む。信号生成部22は、RF送信部を制御して送信要求を送信アンテナ33から送信させ(ステップS85)、車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信を待ち受ける。なお、制御部40は、タイマを参照して、予め設定した応答待ち時間が経過しても第2のリクエスト信号を受信しなかった場合は、処理を終了する。
図16に示すように、車載機1が携帯機3からの送信要求を受信すると(ステップS74;Yes)、キーレスコントローラ10の制御部20は、送信要求が含む第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度を取得する。制御部20は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定する(ステップS75)。
具体的には、制御部20は、たとえば、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度の差を算出する。第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度は、第2のリクエスト信号S2a、S2bの携帯機3での受信強度の想定値となる。制御部20は、第2のリクエスト信号S2a、S2bの受信強度の想定値の差が所定値未満となるように、各送信アンテナ7a、7bの出力強度を、予め決定した出力強度から変更する。所定値は、携帯機3の制御部40の比較処理において、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比と第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比の差が異なると判断される値とすると良い。出力強度の変更方法は特定のものに限られないが、例えば、受信強度が弱かった方のリクエスト信号を送信した送信アンテナからの出力強度を増加させても良い。
制御部20は、決定した出力強度を含む第2のリクエスト信号S2a、S2bの信号生成指令を信号生成部22に入力する。信号生成部22は、LF送信部13を制御し、信号生成指令が示す出力強度で、送信アンテナ7a、7bから、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相で同時に送信する(ステップS76)。
車載機1のアンサー信号を受信してからの処理(ステップS77〜S79)の処理は、実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
図17に示すように、携帯機3は車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信すると(ステップS86)、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度を検出する(ステップS87)。制御部40は、既にメモリ36に記憶されている第1のリクエスト信号S1a、S1bの個別の磁界の強度と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度から、各軸の強度比を算出する。制御部40は、実施の形態と同様に、3つの強度比の比較を行う(ステップS88)。
ステップS88〜ステップS90の処理は、実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
以上のように、変形例5において、
(7)携帯機3は、
車載機1の複数の送信アンテナ7a、7bから順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の受信強度を検出する強度検出部38と、
強度検出部38の検出結果に基づいて、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報を含む第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求を車載機1に送信するRF送信部(携帯機送信部)と、を備え、
車載機1は、
第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報に基づいて、携帯機3での複数の送信アンテナ7a、7bからの第2のリクエスト信号S2a、S2bの受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、各送信アンテナ7a、7bの第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定する制御部20(決定部)を備える。
携帯機3での実際の受信強度の値に基づいて第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定することによって、第2のリクエスト信号S2a、S2bの受信強度の差を小さくすることができる。結果として、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比と第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比の差を大きくすることができ、リレーアタックの誤判定を防止することができる。
なお、ここでは、変形例5を実施の形態に適用した例を説明したが、これに限られず、例えば他の変形例と組み合わせても良い。例えば、変形例2に適用して、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報に基づいて、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相または同位相で送信するか決定すると共に、その出力強度を決定しても良い。
[変形例6]
変形例6では、まず第1のリクエスト信号S1a、S1b同士の強度比の比較を行い、強度比が同じとなってリレーアタックと判定された場合のみ、第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信する例を説明する。ここでは、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相で送信する実施の形態に、変形例5を適用する例を説明する。
図18は、変形例6に係る車載機1の処理を示すフローチャートである。
図19は、変形例6に係る携帯機3の処理を説明するフローチャートである。
図18に示すように、車載機1の制御部20は、リクエストスイッチ5の操作に応じて暗号を生成し、暗号処理部23が暗号処理を行う(ステップS101〜S102)。
信号生成部22は、LF送信部13を制御して、第1のリクエスト信号S1a、S1bを、それぞれ順番に送信する(ステップS103)。その後、車載機1は、携帯機3からの返信を待ち受ける(ステップS104)。なお、ステップS104において、制御部20はタイマを参照し、予め設定した応答待ち時間が経過しても携帯機3からの返信がなかった場合は、処理を終了する。また、変形例6において、第1のリクエスト信号S1aのデータ信号(図4参照)が含む送信完了時間T1は、第1のリクエスト信号S1a、S1bのみの送信時間を示す。
図19に示すように、携帯機3の制御部40は、始めに送信する第1のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む送信完了時間T1を取得してタイマのカウントを開始する。制御部40は、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度を順次検出して、メモリ36に記憶させる(ステップS121〜S123)。
第1のリクエスト信号S1a、S1bの送信完了時間T1が経過すると(ステップS124)、携帯機3の制御部40は、メモリ36に記憶された第1のリクエスト信号S1a、S1bそれぞれの磁界の強度から、各軸の強度比を算出し、メモリ36に記憶させる。制御部40は、算出した強度比同士を比較する(ステップS125)。
制御部40は、強度比が異なれば(ステップS125:No)、最初のリクエスト信号S1aのデータ信号が含む暗号Cを、処理指令と共に暗号処理部41に入力して、計算処理させる(ステップS126)。制御部40は、暗号処理部41の携帯機側処理結果を信号生成指令と共に信号生成部42に入力する。信号生成部42は、携帯機側処理結果を含むアンサー信号を生成し、RF送信部39を制御して、アンサー信号を送信アンテナ33から送信させる(ステップS127)。
ステップS125において、第1のリクエスト信号S1a、S1bの強度比が同じになった場合(ステップS125:Yes)、制御部40は、第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求の信号生成指令を信号生成部22に入力する。
信号生成部22は、信号生成指令に従って送信要求を生成し、RF送信部を制御して送信アンテナ33から送信させ(ステップS128)、車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信を待ち受ける。
図18に示すように、車載機1が携帯機3からアンサー信号を受信した場合は(ステップS104:Yes)、制御部20はアンサー信号が含む携帯機側処理結果と車載機側処理結果と照合する(ステップS105)。処理結果が一致すれば(ステップS105:Yes)アクチュエータ駆動回路15がドアロックアクチュエータ9を駆動させてドアロックを開錠する(ステップS106)。
車載機1が携帯機3から第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求を受信した場合は(ステップS104:No、ステップS107:Yes)、制御部20は、第2のリクエスト信号S2a、S2bの信号生成指令を信号生成部22に入力する。信号生成部22は、LF送信部13を制御し、送信アンテナ7a、7bから、第2のリクエスト信号S2a、S2bを逆位相で同時に送信し(ステップS108)、携帯機3からのアンサー信号の送信を待ち受ける。
図19に示すように、携帯機3は車載機1からの第2のリクエスト信号S2a、S2bを受信すると(ステップS129)、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度を検出する(ステップS130)。制御部40は第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度から、各軸の強度比を算出する。制御部40は、ステップS125で算出した第1のリクエスト信号S1a、S1bの強度比をメモリ36から取得し、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比と比較する。制御部40は、3つの強度比を比較し、全て同じであれば(ステップS131:Yes)は、リレーアタックを受けている可能性があると判定し、アンサー信号の生成を行わずに処理を終了する。
制御部40は、3つの強度比の中で、他の強度比と異なるものがあれば(ステップS131:No)、ステップS126に進み、車載機1にアンサー信号を送信する処理を行う。
以上のように、変形例6において、
(8)携帯機3は、
車載機1の複数の送信アンテナ7a、7bから、順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の受信強度を検出する強度検出部38と、
強度検出部38の検出結果に基づいて算出した、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比を比較して、車両に対するリレーアタックを判定する制御部40(判定部)と、
判定部によりリレーアタックが判定された場合に、強度検出部38の検出結果に基づいて、第1のリクエスト信号S1a、S1bの受信強度に関する情報を含む第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求を車載機1に送信するRF送信部(携帯機送信部)と、を備え、
車載機1のLF送信部13(車載機送信部)は、第2のリクエスト信号S2a、S2bの送信要求に応じて携帯機3に対して、複数の送信アンテナ7a、7bから同時に第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させ、
強度検出部38は、車載機1の複数の送信アンテナ7a、7bから同時に受信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の受信強度を検出し、
制御部40(判定部)は、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の強度比と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比とを比較して、車両に対するリレーアタックを判定する。
変形例6では、第1のリクエスト信号S1a、S1bの強度比のみの比較をまず行い、強度比が同じになった場合のみ、第2のリクエスト信号S2a、S2bを送信させる。これによって、携帯機3と車載機1の通信量を低減し、速やかに処理を行うことができる。
[変形例7]
実施の形態では、携帯機3のリモートコントローラ30の制御部40において、リクエスト信号Sの強度比を比較してリレーアタックを判定する例を説明したが、これに限られない。車載機1の制御部20が、判定部として、強度比の比較処理を行っても良い。
携帯機3は、受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bそれぞれの磁界の受信強度と第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の受信強度を検出し、それぞれの強度比を算出する(図9のステップS21〜25)。その後、ステップS26の強度比の比較処理は行わずに、ステップS27およびS28の処理を行ってアンサー信号を車載機1に送信する。車載機1に送信するアンサー信号には、算出した3つの強度比を含める。
車載機1の制御部20は、アンサー信号を受信し、アンサー信号が含む携帯機側処理結果とメモリ12に記憶させた車載機側処理結果が一致すると判定した場合に(図8のステップS16〜S17)、アンサー信号に含まれる3つの強度比の比較処理を行う。比較処理は、携帯機3で説明した処理と同様に行う。制御部20は、3つの強度比が同じであれば、リレーアタックを判定してドアロックを駆動せずに処理を終了し、他の強度比と異なる強度比があればドアロックを開錠する。
以上の通り、変形例7において、
(9)携帯機3は、
複数の受信アンテナ32a、32b、32cで順番に受信した第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の強度比と、複数の受信アンテナ32a、32b、32cで同時に受信した第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の各軸の強度比との情報を含むアンサー信号を車載機1に送信するRF送信部(携帯機送信部)を備え、
車載機1は、
携帯機3から、アンサー信号を受信するRF受信部14(携帯機受信部)と、
アンサー信号を参照して、第1のリクエスト信号S1a、S1bのそれぞれの磁界の各軸の強度比と、第2のリクエスト信号S2a、S2bの合成磁界の強度比の情報に基づいて、車両に対するリレーアタックを判定する判定部と、を備える。
変形例7においては、実施の形態と同様に、リレーアタックと誤判定されることを防止してリレーアタックの判定の精度を高め、セキュリティと利便性を向上させることができる。さらに、車載機1で強度比の比較処理を行うため、携帯機3での処理負荷を低減することができる。
なお、ここでは、強度比の算出まで携帯機3で行う例を説明したが、携帯機3は受信強度の検出のみを行い、検出した受信強度の情報を車載機1に送るようにしても良い。車載機1の制御部20が、受信強度の情報から強度比を算出して、比較処理を行っても良い。なお、変形例7は、他の変形例に適用することも可能である。
[変形例8]
前記の実施の形態および変形例1〜7において、携帯機3の制御部40は、第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bの各軸の強度比を比較してリレーアタックの判定を行ったが、比較の対象はこれに限られない。たとえば、第1のリクエスト信号S1a、S1bおよび第2のリクエスト信号S2a、S2bの各軸の受信強度から、それぞれの信号の角度を算出し、角度の比較を行っても良い。あるいは、強度比と角度の両方の比較を行っても良い。
[変形例9]
前記の実施の形態では、リクエストスイッチ5の操作に応じて車載機1がリクエスト信号Sを送信する例を説明したが、車載機1がリクエスト信号Sを送信するケースは、リクエストスイッチ5の操作に応じたものに限られない。例えば、車載機1は、携帯機3の位置検出を行った後に、リクエスト信号Sの送信を行うことがある。携帯機3の位置検出は、例えば、携帯機3を用いて車両の移動等のリモートコントロールを行っている間、携帯機3が車両の近傍に所在しているかを確認するために行われる。
携帯機3の位置検出は、車載機1と携帯機3の通信によって行う。車載機1の信号生成部22は応答要求信号を生成して、LF送信部13を制御し、送信アンテナ7a〜7eのそれぞれから応答要求信号を出力する。携帯機3が、いずれかの送信アンテナの出力範囲内に位置していれば、携帯機3はその送信アンテナからの応答要求信号を受信する。携帯機3の信号生成部42は、応答要求信号に対する応答信号を生成して、RF送信部39を制御し、送信アンテナ33から応答信号を送信する。
車載機1の制御部20は、応答信号を受信すると、推定部として携帯機3の位置を推定する。そして、携帯機3の推定位置に基づいて、変形例3と同様の処理を行い、第2のリクエスト信号S2a、S2bを同位相または逆位相で送るかを決定しても良い。あるいは、携帯機3の推定位置に基づいて、変形例5と同様の処理を行い、第2のリクエスト信号S2a、S2bの出力強度を決定しても良い。
また、前記の実施の形態では、リクエストスイッチ5の操作に応じて車載機1が送信するリクエスト信号Sの構成を図4に示しているが、あくまで一例であり、リクエスト信号Sの構成は特定のものに限られず、通信の目的に応じて適宜変更可能である。例えば、車載機1と携帯機3で既に暗号処理結果の照合を完了した後の通信等では、最初のリクエスト信号S1aにウエイクアップ信号およびデータ信号を含めず、全てのリクエスト信号Sをバースト信号のみで構成しても良い。
1 車載機
3 携帯機
5 リクエストスイッチ
5a DRドアリクエストスイッチ(DRSW)
5b ASドアリクエストスイッチ(ASSW)
5c BKドアリクエストスイッチ(BKSW)
7、7a、7b 送信アンテナ(アンテナ)
8 受信アンテナ
9 ドアロックアクチュエータ
10 キーレスコントローラ
11 CPU
12 メモリ
13 LF送信部13(車載機送信部)
14 RF受信部14(車載機受信部)
15 アクチュエータ駆動回路
20 制御部(決定部、判定部)
21 スイッチ判別部
22 信号生成部
23 暗号処理部
30 リモートコントローラ
32(32a、32b、32c) 受信アンテナ
33 送信アンテナ
35 CPU
36 メモリ
37 LF受信部(携帯機受信部)
38 強度検出部
39 RF送信部
40 制御部(判定部、送信順序変更部)
41 暗号処理部
42 信号生成部
51 ID
V 車両
S リクエスト信号
S1a、S1b 第1のリクエスト信号
S2a、S2b 第2のリクエスト信号
S3a、S3b 第3のリクエスト信号

Claims (13)

  1. 車両に設けられリクエスト信号を送信する車載機と、前記リクエスト信号に応答してアンサー信号を送信する携帯機とを有し、前記車載機が前記アンサー信号に応じて車両の動作を制御するキーレスエントリーシステムであって、
    前記車載機は、
    車両にそれぞれ配置された複数の送信アンテナと、
    前記携帯機に対して、前記複数の送信アンテナのそれぞれから第1のリクエスト信号を送信すると共に、前記複数の送信アンテナから同時に第2のリクエスト信号を送信させる車載機送信部を備え、
    前記携帯機は、
    異なる軸線方向を向いた複数の受信アンテナと、
    前記複数の受信アンテナによって前記車載機から前記第1および第2のリクエスト信号を受信する携帯機受信部と、を備えることを特徴とするキーレスエントリーシステム。
  2. 前記車載機送信部は、前記複数の送信アンテナから同時に、互いに逆位相となる前記第2のリクエスト信号を送信させることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  3. 前記車載機送信部は、前記複数の送信アンテナから同時に、互いに同位相となる前記第2のリクエスト信号を送信させることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  4. 前記車載機送信部は、前記複数の送信アンテナから同時に、互いに逆位相となる前記第2のリクエスト信号を送信させると共に、前記複数のアンテナから同時に、互いに同位相となる前記第3のリクエスト信号を送信させることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  5. 前記車載機は、
    前記携帯機の推定位置に基づいて、前記第2のリクエスト信号を互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する決定部を備えることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  6. 前記車載機送信部は、車両に配置された複数のスイッチへの操作に応じて前記第1および第2のリクエスト信号を送信し、
    前記車載機は、
    操作されたスイッチに応じた前記携帯機の推定位置に基づいて、前記第2のリクエスト信号を互いに同位相または逆位相で送信するかを決定する決定部を備えることを特徴とする請求項5記載のキーレスエントリーシステム。
  7. 前記携帯機は、
    前記車載機の複数の送信アンテナからそれぞれ受信した前記第1のリクエスト信号の各磁界の各軸の受信強度を検出する強度検出部と、
    前記強度検出部の検出結果に基づいて、前記第1のリクエスト信号の受信強度に関する情報を含む前記第2のリクエスト信号の送信要求を前記車載機に送信する携帯機送信部と、を備え、
    前記車載機の前記決定部は、前記前記第1のリクエスト信号の受信強度に関する情報に基づいて前記携帯機の推定位置を決定し、前記携帯機の推定位置に基づいて前記第2のリクエスト信号を互いに逆位相または同位相で送信するかを決定することを特徴とする請求項5記載のキーレスエントリーシステム。
  8. 前記車載機は、
    前記携帯機の推定位置に基づいて、前記複数の送信アンテナから同時に送信する前記第2のリクエスト信号の前記携帯機側での受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、前記第2のリクエスト信号の出力強度を決定する決定部を備えることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  9. 前記車載機送信部は、車両に配置された複数のスイッチへの操作に応じて前記第1および第2のリクエスト信号を送信し、
    前記車載機は、
    操作されたスイッチに応じた前記携帯機の推定位置に基づいて、前記複数の送信アンテナから同時に送信する前記第2のリクエスト信号の前記携帯機側での受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、前記第2のリクエスト信号の出力強度を決定する決定部を備えることを特徴とする請求項8記載のキーレスエントリーシステム。
  10. 前記携帯機は、
    前記車載機の複数の送信アンテナからそれぞれ受信した前記第1のリクエスト信号の各磁界の受信強度を検出する強度検出部と、
    前記強度検出部の検出結果に基づいて、前記第1のリクエスト信号の受信強度に関する情報を含む前記第2のリクエスト信号の送信要求を前記車載機に送信する携帯機送信部と、を備え、
    前記車載機は、
    前記前記第1のリクエスト信号の受信強度に関する情報に基づいて、前記携帯機側での前記複数の送信アンテナからの前記第2のリクエスト信号の受信強度の想定値の差が所定値未満になるように、各送信アンテナの前記第2のリクエスト信号の出力強度を決定する決定部を備えることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  11. 前記携帯機は、
    前記車載機の複数の送信アンテナからそれぞれ受信した前記第1のリクエスト信号の各磁界と、同時に受信した前記第2のリクエスト信号の合成磁界の、各軸の受信強度を検出する強度検出部と、
    前記強度検出部の検出結果に基づいて算出した、前記第1のリクエスト信号のそれぞれの磁界の強度比または角度と、前記複数の受信アンテナで同時に受信した前記第2のリクエスト信号の合成磁界の強度比または角度とを比較して、前記車両に対するリレーアタックを判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  12. 前記携帯機は、
    前記車載機の複数の送信アンテナからそれぞれ受信した前記第1のリクエスト信号の各磁界の各軸の受信強度を検出する強度検出部と、
    前記強度検出部の検出結果に基づいて算出した、前記第1のリクエスト信号のそれぞれの磁界の強度比または角度を比較して、前記車両に対するリレーアタックを判定する判定部と、
    前記判定部によりリレーアタックが判定された場合に、前記第2のリクエスト信号の送信要求を前記車載機に送信する携帯機送信部と、を備え、
    前記車載機送信部は、前記第2のリクエスト信号の送信要求に応じて前記携帯機に対して、前記複数のアンテナから同時に第2のリクエスト信号を送信させ、
    前記強度検出部は、前記車載機の複数の送信アンテナから同時に受信した前記第2のリクエスト信号の合成磁界の各軸の受信強度を検出し、
    前記判定部は、前記第1のリクエスト信号のそれぞれの磁界の強度比または角度と、前記第2のリクエスト信号の合成磁界の強度比または角度とを比較して、前記車両に対するリレーアタックを判定することを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
  13. 前記携帯機は、
    前記複数の受信アンテナでそれぞれ受信した前記第1のリクエスト信号の各磁界の各軸の強度比または角度と、前記複数の受信アンテナで同時に受信した前記第2のリクエスト信号の合成磁界の各軸の強度比または角度の情報を含むアンサー信号を前記車載機に送信する携帯機送信部を備え、
    前記車載機は、
    前記携帯機から、前記アンサー信号を受信する携帯機受信部と、
    前記アンサー信号が含む前記第1のリクエスト信号のそれぞれの磁界の各軸の強度比または角度と、前記第2のリクエスト信号の合成磁界の強度比または角度の情報に基づいて、前記車両に対するリレーアタックを判定する判定部と、を備えることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリーシステム。
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