JP2019044122A - ポリプロピレン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた透明性、耐衝撃性、剛性を備えるシートまたはフィルムを与えるポリプロピレン組成物を提供する。【解決手段】成分(A)として、0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、成分(B)として、エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、および成分(C)として、結晶核剤、を含み、成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が0.3〜10g/10分であって、多分散指数が5〜10であり、成分(B)の共重合体の密度が0.890〜0.915g/cm3であって、MFR(190℃、2.16kg)が0.5〜5g/10分であり、成分(A):成分(B)の重量比が90〜99.5:0.5〜10であり、成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む、ポリプロピレン組成物。【選択図】なし

Description

本発明はポリプロピレン組成物に関し、詳しくは、透明性、剛性、および耐衝撃性に優れたシートまたはフィルムを与えるポリプロピレン組成物に関する。
ポリプロピレンは、優れた物理的特性を有しかつ衛生面にも優れているため食品容器等の包装用途として有用である。食品容器においては内容物を確認することができるように透明性が要求される。また食品容器には、食品を内包したまま低温で輸送および貯蔵が可能となるように、高い耐衝撃性、特に低温での高い耐衝撃性が要求される。さらに、貯蔵安定性を高めるために、食品容器には高い剛性も求められる。
特許文献1には、結晶核剤を含まないポリプロピレンとエチレン−α−オレフィン共重合体からなる組成物を特定の急冷工程に供することにより、優れた透明性、耐衝撃性、剛性を備えるシートを製造したことが開示されている。また、特許文献2および特許文献3には、結晶核剤を含むポリプロピレン組成物を用い、優れた透明性、剛性を備えるシートを製造したことが開示されている。
特許第4694475号 特開2015−000960号公報 特開2015−063678号公報
特許文献1に記載の組成物は特定の急冷工程に供するという製法上の制限を受ける。しかし、このような製造上の制限を受けることなく優れた透明性、耐衝撃性、剛性を与える組成物は、工業的な利用価値がより高い。また特許文献2や特許文献3で得られるシートについては、低温での耐衝撃性が必ずしも十分でないという問題があった。かかる事情を鑑み、本発明は優れた透明性、耐衝撃性、剛性を備えるシートまたはフィルムを与えるポリプロピレン組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、特定のポリプロピレン組成物が前記課題を解決することを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]成分(A)として、0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
成分(B)として、エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、および
成分(C)として、結晶核剤、を含み、
成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が0.3〜10g/10分であって、多分散指数が5〜10であり、
成分(B)の共重合体の密度が0.890〜0.915g/cmであって、MFR(190℃、2.16kg)が0.5〜5g/10分であり、
成分(A):成分(B)の重量比が90〜99.5:0.5〜10であり、
成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む、
ポリプロピレン組成物。
[2]前記成分(A)が、マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して得たプロピレン(共)重合体である、[1]に記載の組成物。
[3]前記成分(B)におけるα−オレフィンの炭素数が8である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記成分(A)中のエチレン含有量が0.3〜2重量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が2〜7g/10分である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物から製造したシートまたはフィルム。
本発明により、優れた透明性、耐衝撃性、剛性を備えるシートまたはフィルムを与えるポリプロピレン組成物を提供できる。
本発明において、シートとは厚みが200μm以上の部材であり、フィルムとは厚みが200μm未満の部材をいう。本発明においてシートまたはフィルムを「シート等」と記載することがある。また、本発明において「X〜Y」は、両端の値すなわちXとYとを含む。
1.ポリプロピレン組成物
本発明のポリプロピレン組成物は、以下の成分を含む。
成分(A):0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
成分(B):エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、
成分(C):結晶核剤
(1)成分(A)
成分(A)は0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体である。共重合体が0重量%のエチレンを含有するとはホモポリプロピレンであることを意味する。また共重合体が2重量%のエチレンを含有するとは共重合体におけるエチレン由来単位の量が2重量%であることを意味する。他の共重合体においても同様である。当該エチレンの量が上限を超えるとシート等としたときの剛性が低下する。また、当該エチレンの量が0.3〜2重量%であるとシート等としたときの透明性が向上するので好ましい。この観点から、当該エチレンの量は0.3〜1.5重量%であることがより好ましい。
成分(A)の230℃、荷重2.16kgにおけるMFRは0.3〜10g/10分である。MFRが下限未満であるとシート等の成形時に成形機への負荷が高くなって成形性が低下し、上限を超えるとドローダウンが生じやすく二次成形性が低下する。この観点から、MFRは2〜7g/10分であることが好ましい。
成分(A)の多分散指数(PI)は5〜10である。多分散指数は分子量分布の指標であり、粘弾性測定を行い、複素弾性率より求められる。具体的には、G’(貯蔵弾性率)とG”(損失弾性率)が同じ値となるときのクロスオーバー弾性率(単位:Pa)をGcとし、PI=10/Gcの式から求められる。PIが下限未満であるとドローダウンが生じやすく二次成形性が低下し、上限を超えると成分(A)を製造すること自体が困難となり、かつシート等の外観が悪化する。この観点から、PIは5〜7であることが好ましい。
成分(A)の密度は限定されないが、0.890〜0.915g/cm程度であることが好ましい。
成分(A)は任意の方法で製造してよいが、マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して製造されることが好ましい。このように製造することでシート等の剛性を向上できる。また、このように製造することで多分散指数(PI)を前記の範囲にできる。
(2)成分(B)
成分(B)はエチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体である。当該共重合体の密度は0.890〜0.915g/cmである。密度はシート等としたときの透明性に大きく影響し、下限未満であっても上限を超えても、シート等の透明性が低下する。当該密度を達成するようにα−オレフィンの量は調整される。α−オレフィンは炭素数が8以上であれば限定されないが、産業上の入手容易性やコスト等、経済性の観点から炭素数は8または9であることが好ましく、1−オクテンであることがより好ましい。炭素数が8のα−オレフィンを用いる場合、共重合体におけるその量は15〜30重量%程度である。
成分(B)の190℃、荷重2.16kgにおけるMFRは0.5〜5g/10分である。MFRはシート等としたときの透明性に大きく影響し、下限未満であっても上限を超えても、シート等の透明性が低下する。
シート等の透明性には、成分(B)の密度とMFRが大きく影響する。この理由は限定されないが、成分(B)の密度とMFRが前記範囲であると、成分(A)の密度とMFRとのバランスが良くなり、シート等とした場合に透明性を良好にする相構造を達成できるためであると推察される。
(3)成分(C)
結晶核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、およびキシリトール系核剤等の有機系核剤から選択されることが好ましい。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールが挙げられる。リン酸エステル系核剤として、例えば、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩等の芳香族リン酸エステル系核剤が挙げられる。トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。カルボン酸金属塩系核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。キシリトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシリトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトールが挙げられる。上記結晶核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、結晶核剤とオレフィン系ポリマーからなるマスターバッチを使用して、結晶核剤を配合することができる。マスターバッチのマトリックスポリマーが成分(A)または成分(B)を含む場合、本発明のポリプロピレン組成物における成分(A):成分(B)の重量比が後述する範囲となるようにマスターバッチの量およびマスターバッチ中の結晶核剤濃度は調整される。マトリックスポリマーが成分(A)または成分(B)を含まない場合、本発明のポリプロピレン組成物は、後述する他の成分として当該マトリックスポリマーを含むことになる。
(4)組成比
本発明のポリプロピレン組成物における成分(A):成分(B)の重量比は「90〜99.5」:「0.5〜10」である。成分(A)の重量比が下限未満であるとシート等の剛性が低下し、上限を超えるとシート等の耐衝撃性が低下する。成分(B)の重量比が下限未満であるとシート等の耐衝撃性が低下し、上限を超えるとシート等の剛性が低下し、かつ経済性も低下する。この観点から、成分(B)の重量比は1〜10が好ましい。
本発明の組成物は、成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む。成分(C)の添加量が下限未満であるとシート等の透明性が低下し、上限を超えると経済性が低下する。この観点から、成分(C)の添加量は0.015〜0.45重量部が好ましい。
(5)他の成分
本発明のポリプロピレン組成物には、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料などのオレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また前述のとおり、本発明においてはオレフィン系ポリマーと結晶核剤からなるマスターバッチを使用して、結晶核剤を配合することができる。マスターバッチのマトリックスポリマーが(A)成分および(B)成分とは異なる場合、本発明のポリプロピレン組成物は当該マトリックスポリマーを含んでいてもよい。
2.ポリプロピレン組成物の製造方法
1)成分(A)
前述のとおり、成分(A)は原料モノマーを、マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体化合物としてスクシネート系化合物を含有する固体触媒、有機アルミニウム化合物、必要に応じて外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で製造されることが好ましい。
内部電子供与体化合物としてスクシネート系化合物を含有する触媒(以下「Suc触媒」ともいう)を用いて重合されたポリマーは、広分子量分布(高PI)でありかつ高分子量成分と低分子量成分が均一に分散している。分子量分布は物理量であり測定により決定できる。しかしながらこの測定値では、高分子量成分と低分子量成分の分散度合いを表すことはできない。例えば、パウダーやペレット性状で与えられる高分子量成分と低分子量成分とを押出機等を用いて溶融混練する、あるいはSuc触媒以外の触媒を用いて分子量の異なる成分の多段重合を行うことにより、一見、Suc触媒を用いて重合して得たポリマーと同等の分子量分布(測定値)を有するポリマーを得ることも可能である。しかしこのようにして得たポリマーと、Suc触媒を用いて重合して得たポリマーでは高分子量成分と低分子量成分の分散度合いが異なり、後者は均一な分散度合いが達成されている。その差は、例えば剛性、耐衝撃性、加工性、外観等の性能において顕著である。
1−1)固体触媒(成分(i))
成分(i)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
成分(i)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4−gで表される4価のチタン化合物が好適である。式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的にはTiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(OisoC)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−Cなどのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタンである。
成分(i)の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、マグネシウム−炭素結合やマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状であっても固体状であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
成分(i)の調製に用いられる電子供与体化合物は、一般には「内部電子供与体化合物」と称される。本発明においては、広い分子量分布を与える内部電子供与体化合物を用いることが好ましい。一般に、ポリマーブレンドや多段階で重合を行うことにより分子量分布を大きくできることが知られているが、当該触媒を用いて重合された組成物は、別の触媒を用いて重合されたポリマーをパウダーやペレット性状でブレンドして得た同じ分子量分布を有する組成物、さらに多段重合して同じ分子量分布を有する組成物に比べて優れた剛性、耐衝撃性、加工性、外観等を示す。これは、当該触媒を用いて製造した組成物は高分子量成分と低分子量成分が分子レベルに近い状態で一体となっているが、後者の組成物は分子レベルに近い状態では混ざり合ってはおらず見かけ上同一の分子量分布を示しているにすぎないためと考えられる。しかし、このことを請求項において言葉で表現することは現実的でない。以下、好ましい内部電子供与体化合物について説明する。
本発明において好ましい内部電子供与体化合物はスクシネート系化合物である。本発明でスクシネート系化合物とはコハク酸のジエステルまたは置換コハク酸のジエステルをいう。以下、スクシネート系化合物について詳しく説明する。本発明で好ましく使用されるスクシネート系化合物は、以下の式(I)で表される。
Figure 2019044122
式中、基RおよびRは、互いに同一かまたは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一かまたは異なり、水素、或いは場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合している基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい。
およびRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基である。RおよびRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なRおよびR基の例は、C〜Cのアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、およびネオペンチルが特に好ましい。
式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基であるものである。このような単置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−エトキシカルボジイソブチルフェニルスクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。具体的には、RおよびRが水素とは異なる基であり、RおよびRが水素原子である化合物である。このような二置換スクシネートの好ましい具体例は、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2、2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートである。
さらに、水素とは異なる少なくとも2つの基が異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。具体的にはRおよびRが水素と異なる基である化合物である。この場合、RおよびRは水素原子であってもよいし水素とは異なる基であってもよいが、いずれか一方が水素原子であること(三置換スクシネート)が好ましい。このような化合物の好ましい具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネートである。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特表2002−542347に挙げられている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5一ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2一メチルシクロへキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば国際公開第2009/069483に開示されているような3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。他の環状スクシネート化合物の例としては、国際公開2009/057747号に開示されている化合物も好ましい。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号に開示される化合物が挙げられる。一方、基R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号に開示される化合物が挙げられる。
この他に、スクシネート系化合物と同等の分子量分布を与える内部電子供与体化合物を用いてもよい。そのような化合物としては、例えば特開2013−28704号公報に記載のジフェニルジカルボン酸エステル、特開2014−201602号公報に記載のシクロヘキセンジカルボン酸エステル、特開2013−28705号公報に記載のジシクロアルキルジカルボン酸エステル、特許第4959920号に記載のジオールジベンゾエート、国際公開第2010/078494に記載の1,2−フェニレンジベンゾエートが挙げられる。
1−2)有機アルミニウム化合物(成分(ii))
成分(ii)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
1−3)電子供与体化合物(成分(iii))
成分(iii)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルt−ブトキシジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i−ブチルセク−ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2−イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i−ブチルi−プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt−ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
1−4)重合
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合温度は常温〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3〜6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5〜3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
また、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いてもよい。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法は、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体または液体混合物を下降管中に導入する。上記の重合方法として、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
2)成分(B)
成分(B)の製造方法は限定されない。成分(B)は、チーグラーナッタ触媒(「ZN触媒」ともいう)やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて公知の方法で製造してよい。
3)ポリプロピレン組成物の製造方法
本発明のポリプロピレン組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて他の成分を混合または溶融混練して製造できる。混合または混練の方法は限定されないが、押出機等の混練機を用いる方法が好ましい。混練する場合の条件は特に限定されないが、シリンダ温度を180〜250℃とすることが好ましい。このようにして得られたポリプロピレン組成物は、特定成分の分級や分散不良を防止する観点からペレット状であることが好ましい。
3.シート等
(1)シート等の製造方法
本発明のシート等は、上記ポリプロピレン組成物からなる層を少なくとも1層有する。当該シート等が、上記ポリプロピレン組成物以外の層を有する場合、その他の層は特に限定されないが、プロピレンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、または、これらのいずれかの重合体を主成分とし、ポリプロピレン以外の樹脂を含有する組成物などが挙げられる。
本発明のシート等は本発明のポリプロピレン組成物を押出成形することで製造できる。あるいは、本発明のシート等は、成分(A)〜(C)、必要に応じて他の成分をドライブレンドした後に、そのまま押出成形して製造することもできる。このときの成形温度は公知のとおりとしてよいが、シリンダ温度を180〜250℃とすることが好ましい。また、このようにして得たシート等を真空成形や二軸延伸などの二次加工に供することもできる。二次加工における温度も限定されないが、140〜170℃であることが好ましい。
(2)シート等の特性
本発明のシート等は透明性、剛性、耐衝撃性に優れるという特性を有する。本発明のシート等は、JIS K7136に従って測定したヘーズが3.0%以下であることが好ましい。また、本発明のシート等はJIS P8125に従って測定したテーバーこわさ(スティフネス)が1200MPa以上であることが好ましい。
(1)成分(A)
以下のようにして製造したものを使用した。物性を表1に示す。
[製造例A1]
特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分(1)を調製した。具体的には以下の通りである。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(米国特許4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、および9.1mmolのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇し、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄して、固体触媒(1)を得た。
上記で得られた固体触媒(1)と、トリエチルアルミニウム(TEAL)と、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)とを、固体触媒(1)に対するTEALの重量比が11であり、TEAL/DIPMSの重量比が3となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(S)とした。
予重合触媒(S)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内のエチレン濃度が0.118mol%、水素濃度が700molppmとなるように少量のエチレンおよび分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を70℃、重合圧力を3.0MPaに調整することによってプロピレン−エチレン共重合体を合成した。得られた重合体100重量部に対して、酸化防止剤(BASF社製B225)を0.2重量部および中和剤(カルシウムステアレート)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を溶融混練し、押出したストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状の重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0.5重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
[製造例A2]
重合反応器内のエチレン濃度を0.296mol%、水素濃度を770molppmとした以外は製造例A1と同様にして重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は1.3重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
[製造例A3]
重合反応器内の水素濃度を1050molppmとした以外は製造例A1と同様にして重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0.5重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は6.0g/10分、多分散指数(PI)は6.0であった。
[製造例A4]
欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により固体触媒成分(2)を調製した。当該固体触媒は、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
上記で得られた固体触媒(2)と、TEALおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が8であり、TEAL/CHMMSの重量比が32となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(P1)とした。
予重合触媒(P1)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内の水素濃度が410molppmとなるように分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を75℃、重合圧力を3.0MPaに調整することによってプロピレン重合体を合成した。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は4.2であった。
[製造例A5]
製造例A4で用いた固体触媒(2)と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(P2)とした。
予重合触媒(P2)を用い、連結された二つの反応器により二段重合法を行った。一段目の反応器に触媒、プロピレンおよび水素を、二段目の反応器にプロピレンおよび水素を供給して、プロピレン重合体を得た。一段目の水素濃度を180molppm、二段目の水素濃度を7890molppmとするとともに、一段目と二段目の比率が50:50になるように滞留時間を調整した。重合温度は80℃、重合圧力は4.4MPaとした。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
(2)成分(B)
以下を使用した。物性を表2に示す。
B1:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8480
B2:ダウ・ケミカル社製 AFFINITY PL1850G
B3:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8003
B4:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8402
B5:三井化学株式会社製 タフマーA−4090S
(3)成分(C)
以下を使用した。
C1:ミリケン社製Millad NX8000J(ノニトール系核剤)
C2:ミリケン社製Millad 3988(ソルビトール系核剤)
C3:株式会社ADEKA製 アデカスタブNA71(リン酸エステル系核剤)
C4:BASF社製 IRGACLEAR XT386(トリアミノベンゼン誘導体系核剤)
ただし、結晶核剤成分の分級や分散不良を防止する観点から、以下のとおりに結晶核剤マスターバッチを調製して使用した。
C1マスターバッチ:以下のように製造したマスターバッチ用マトリックスポリマー80重量部、および20重量部のC1をヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を溶融混練し、押出したストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のC1マスターバッチ組成物を得た。
C2マスターバッチ:上記C1と同様に、80重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと20重量部のC2を混合し、溶融混練してC2マスターバッチ組成物を得た。
C3マスターバッチ:上記C1、C2と同様に、80重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと20重量部のC3を混合し、溶融混練してC3マスターバッチ組成物を得た。
C4マスターバッチ:98重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと2重量部のC4を混合し、上記C1〜C3と同様に溶融混練してC4マスターバッチ組成物を得た。
[マスターバッチ用マトリックスポリマーの製造]
製造例A5で用いた予重合触媒(P2)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内の水素濃度が2420molppmとなるように分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を80℃、重合圧力を4.4MPaに調整することによってプロピレン重合体を合成した。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体組成物(マスターバッチ用マトリックスポリマー)のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は7.5g/10分、多分散指数(PI)は4.5であった。
(4)シート成形
25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラスチック工業株式会社製)を用いて、成形温度230℃で成形し、厚み0.3mmのシート原反を得た。
(5)評価方法
[成分(A)中のエチレン含有量]
試料を1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解し、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
[MFR]
JIS K7210−1に従い、成分(A)に対しては、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。成分(B)に対しては、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
[密度]
JIS K7112に規定される水中置換法に従い、比重計(新光電子株式会社製(ViBRA DMA−220)を用いて測定した。
[多分散指数(PI)]
190℃の温度において、PaarPhysical社製UDS200を用い、0.1rad/秒から100rad/秒に増加する振動数で運転することによって粘弾性特性を測定した。多分散指数の値は、以下の式を用いてクロスオーバー弾性率から求めた。
PI=10/Gc
式中、Gcは、G’(貯蔵弾性率)=G”(損失弾性率)となる場合の弾性率(単位:Pa)として定義されるクロスオーバー弾性率である。
[透明性(ヘーズ)]
シート原反を試験片として、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。ヘーズの値が小さい程、透明性に優れる。
[加熱後の透明性(ヘーズ)]
金枠に固定した150mm×270mmのシート原反を210℃に設定したオーブンに入れ、30秒加熱した後、素早く取り出して室温(23℃)になるまで放冷した。これを試験片として、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。
[剛性(スティフネス)]
シート原反を試験片として、JIS P8125に従い、室温23℃の下でテーバー社製スティフネステスター(TB−150)を用いてシート引き取り方向(MD)とその垂直方向(TD)のテーバーこわさ(スティフネス)を測定し、平均値を求めた。スティフネスの値が大きいほど、剛性に優れる。
[耐衝撃性(面衝撃強度)]
シート原反から100mm四方の正方形の試験片を切り出し、株式会社東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスター(型式3J.−30+100)を使用して面衝撃強度を測定した。条件は以下のとおりとした。
先端形状が1インチ径半球を使用
振り子エネルギー:3J
クランプ径:50mm
雰囲気温度:0℃
[二次加工性(ドローダウン時間)]
金枠に固定した150mm×270mmのシート原反を、210℃(ポリプロピレンの平衡融点である約186℃を超え、真空成形における予熱温度付近である温度)に設定した試験用オーブンに入れ、融解後、シートが張り戻った時刻t1から自重によりシート中央部が1.5cm垂れ下がるまでの時刻t2までの時間(t2−t1)によりドローダウン性を評価した。ドローダウンは製品肉厚の不均一を招く原因になる。ドローダウン時間(t2−t1)が長いほどドローダウンし難いので、二次加工性に優れる。
[成形品外観(フィッシュアイ)]
シート原反の表面に含まれるフィッシュアイ(未溶融物やゲル化物を核とする直径0.1mm以上の球形欠陥)の数を目視により観察して、以下の5段階の基準で評価した。
1:フィッシュアイが極めて多い
2:フィッシュアイが多い
3:フィッシュアイを確認できる
4:フィッシュアイが少ない
5:フィッシュアイが全く見られない
[実施例1]
重合体A1:重合体B1を98:2(重量%)の比率とし、重合体A1と重合体B1の合計100重量部に対して結晶核剤C1が0.4重量部となるようにマスターバッチC1を2重量部配合してドライブレンドした。ドライブレンド物を、前述のフィルム・シート成形機に供給し、厚み0.3mmのシート原反を得て、評価した。
[実施例2、3]
重合体A1の代わりに重合体A2およびA3をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例4]
重合体A1:重合体B1の配合比を92:8(重量%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例5]
重合体B1の代わりに重合体B2を使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例6]
結晶核剤C1の代わりに、結晶核剤C2を使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例7]
結晶核剤C1を0.4重量部の配合とする代わりに、結晶核剤C3が0.25重量部となるようにC3マスターバッチを1.25重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例8]
結晶核剤C1を0.4重量部の配合とする代わりに結晶核剤C4が0.02重量部となるようにC4マスターバッチを1重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[実施例9]
実施例1で用いた組成物(A1のMFR=3.0g/10分)が表層に、実施例3で用いた組成物(A3のMFR=6.0g/10分)が中間層となるように、これらを共押出にて層比1:5:1の2種3層で厚み0.3mmの未延伸シートを製造し、評価した。実用上、シート端材を再生材として用いる工程内リサイクルを考慮し、本実施例では中間層にMFRの高い材料を用いた。
[実施例10]
重合体A1の代わりにエチレン成分を含まない重合体A5を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例1]
重合体A1の代わりに多分散指数が小さい重合体A4を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例2]
重合体A1:重合体B1の配合比を99.7:0.3(重量%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例3]
重合体B1の代わりに密度が小さい重合体B3を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例4]
重合体B1の代わりにMFRが大きい重合体B4を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例5]
重合体B1を2重量%配合する代わりに、エチレンと炭素数が4のα−オレフィンとの共重合体である重合体B5を3重量%配合した以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
[比較例6]
結晶核剤C4の配合量が0.02重量部から0.01重量部となるように、C4マスターバッチの配合量を0.5重量部に変更して配合した以外は、実施例8と同様にしてシート原反を得て、評価した。
Figure 2019044122
Figure 2019044122
Figure 2019044122
Figure 2019044122
評価結果を表3に示す。本発明の組成物を用いて得られたシートは、透明性、剛性、および耐衝撃性に優れていることが明らかである。さらに当該シートは二次加工性や外観も良好であることが明らかである。

Claims (6)

  1. 成分(A)として、0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
    成分(B)として、エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、および
    成分(C)として、結晶核剤、を含み、
    成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が0.3〜10g/10分であって、多分散指数が5〜10であり、
    成分(B)の共重合体の密度が0.890〜0.915g/cmであって、MFR(190℃、2.16kg)が0.5〜5g/10分であり、
    成分(A):成分(B)の重量比が90〜99.5:0.5〜10であり、
    成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む、
    ポリプロピレン組成物。
  2. 前記成分(A)が、マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して得たプロピレン(共)重合体である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記成分(B)におけるα−オレフィンの炭素数が8である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記成分(A)中のエチレン含有量が0.3〜2重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が2〜7g/10分である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物から製造したシートまたはフィルム。
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