JP2019044090A - 熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、樹脂付金属箔、樹脂フィルム、金属張積層板及び配線基板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、樹脂付金属箔、樹脂フィルム、金属張積層板及び配線基板 Download PDF

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晃 入船
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佑季 北井
佐藤 幹男
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征士 幸田
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Hiroaki Fujiwara
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Abstract

【課題】誘電特性を維持したまま、加工性やハンドリング性に優れ、かつ成型後の反りをも抑制でき、さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できる熱硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)下記式1で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテル化合物と、(B)分子量10000以下で官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤と(C)重量平均分子量1万以上の水添スチレン系熱可塑性エラストマーと、(D)硬化促進剤と、(E)無機充填材と、(F)難燃剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。(式(1)中、R1は、水素原子又はアルキル基を示す。)【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、並びに、それを用いた樹脂ワニス、樹脂フィルム、樹脂付金属箔、金属張積層板及びプリント配線板等に関する。
近年、電気機器は信号の大容量化が進展しているため、半導体基板などには、高速通信に必要とされる低誘電率や低誘電正接といった誘電特性が求められる。
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れ、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電特性が優れていることが知られている。このため、ポリフェニレンエーテルは、例えば、高周波用成形材料として用いられることが検討されている。より具体的には、高周波数帯を利用する電子機器に備えられるプリント配線板の基材を構成するための基板材料等として用いられることが検討されている。
このようなPPE樹脂としては末端変性PPE樹脂が使用されている(特許文献1)。この特許文献1記載の技術では、末端変性PPE樹脂とTAIC(トリアリルイソシアヌレート化合物)を組み合わせることで、低誘電性と高耐熱性という特性を両立させている。
また、特許文献2記載の技術では、2官能性ビニル変性PPEと高分子量体(スチレン系熱可塑性エラストマー)を必須成分として含む樹脂組成物によって、タック性のない、低誘電率、低誘電正接で耐熱性に優れた硬化物を与える樹脂組成物を提供している。
特開2015−86330号公報 特開2006−83364号公報
しかしながら、上記特許文献1記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物では、その三次元架橋密度が高くなるに伴い樹脂の熱硬化収縮率が高くなり、ガラスクロスを使用しない樹脂付金属箔とすると成型後の片面金属張積層板が大きくカールしてしまうという問題が起こることがわかった。また、三次元の高架橋密度による樹脂の伸びが悪くなるため、靱性にも乏しく、エッチングで割れるという問題も生じる。
そして、上記特許文献2記載の樹脂組成物は、樹脂流動性が悪いため成形性に乏しく、硬化物には酸化されやすいビニル基(PPE由来)と不飽和2重結合(架橋材エラストマー由来)を有しているため、高温放置(120℃以上)の場合は誘電正接(Df)の熱劣化性が悪いという課題がある。熱劣化すると基板の比誘電率であるDk値、及びDf値が高くなるという問題がある。高Dk化は伝送速度の低下、高Df化は伝送ロスの悪化につながり基板としての品質悪化となる。
近年では、車載のミリ波レーダー用途等では、配線板に実装されるチップの発熱が問題なっているという実情もある。また、接合温度(ジャンクション温度)で100℃を超えるような高温下にさらされることから、配線板に、高温下での、電気特性の安定性も求められるようになってきている。このことから、配線板の基材としては、例えば、誘電特性に対する熱的劣化が発生しにくいことが求められる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電特性を維持したまま、強靱性を備えることによって加工性やハンドリング性に優れ、かつ成型後の反りをも抑制でき、さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できる熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記熱硬化性樹脂組成物を用いた樹脂付金属箔、樹脂フィルム、前記樹脂付金属箔または樹脂フィルムを用いた金属張積層板、及び前記樹脂付金属箔または樹脂フィルムを用いて製造されたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)下記式1で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテル化合物と、(B)分子量10000以下で官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤と、(C)重量平均分子量1万以上の水添スチレン系熱可塑性エラストマーと、(D)硬化促進剤と、(E)無機充填材と、(F)難燃剤とを含有することを特徴とする。
Figure 2019044090
(式(1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物において、前記(A)成分:[前記(B)成分+前記(C)成分]の配合比が80:20〜20:80であることが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂組成物において、上記(C)水添スチレン系熱可塑性エラストマーが、重量平均分子量10000〜300000であり、かつ、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン/ブチレン)メチルスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)メチルスチレン共重合体、水添スチレンイソプレン共重合体、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(エチレン/ブチレン)スチレン共重合体、水添スチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)スチレン共重合体からなる群から選択される1種もしくは2種以上を有することが好ましい。
さらに、前記(D)硬化促進剤が有機過酸化物を含むことが好ましい。
本発明のさらなる他の一態様に係るプリプレグは、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物と繊維質基材とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る樹脂付金属箔は、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と金属箔とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る樹脂フィルムは、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層とフィルム支持基材とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る金属張積層板は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを有することを特徴とする。
また、本発明のさらなる他の一態様に係る配線基板は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、配線とを有することを特徴とする。
さらに、本発明のさらなる他の一態様に係る配線基板は、上述の樹脂付金属箔の表面に配線を有することを特徴とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物において、強靱性と優れた誘電特性と耐熱性を有し、さらに、得られる基板(樹脂付金属箔)内における基板の反りが抑制され、さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できる。また、本発明によれば、当該優れた樹脂組成物を用いたプリプレグ、樹脂付金属箔、樹脂フィルム、金属張積層板及び配線基板等を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリプレグの構成を示す概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る金属張積層板の構成を示す概略断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る配線基板の構成を示す概略断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂付き金属箔の構成を示す概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムの構成を示す概略断面図である。
本発明の実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)下記式1で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテル化合物と、(B)分子量10000以下で官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤と、(C)重量平均分子量1万以上の水添スチレン系熱可塑性エラストマーと、(D)硬化促進剤と、(E)無機充填材と、 (F)難燃剤とを含有することを特徴とする。
Figure 2019044090
(式(1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)
このような構成を有する本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、強靱性と、優れた誘電特性及び耐熱性を有し、かつ、得られる成型後の片面金属張積層板反りを抑制することができる。特に、本発明の樹脂組成物は強靱性を備えるため、当該樹脂組成物の硬化物を用いて加工する際に割れにくいためハンドリング性やプロセス加工性等に非常に優れている。さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できるという利点も備える。

以下、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の各成分について、具体的に説明する。
本実施形態で用いる変性ポリフェニレンエーテルは、下記式(1)で表される基を末端に有するポリフェニレンエーテルであれば、特に限定されない。
Figure 2019044090
式(1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。また、前記アルキル基は、特に限定されず、例えば、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、及びデシル基等が挙げられる。
このような変性ポリフェニレンエーテルを使用することにより、耐熱劣化性、耐熱性、低誘電特性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
また、前記式(1)で表される基としては、例えば、アクリレート基、及びメタクリレート基等が挙げられる。
また、本実施形態に係る変性ポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル鎖を分子中に有しており、例えば、下記式(2)で表される繰り返し単位を分子中に有していることが好ましい。
Figure 2019044090
また、式(2)において、mは、1〜50を示す。また、R〜Rは、それぞれ独立している。すなわち、R〜Rは、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。また、R〜Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。この中でも、水素原子及びアルキル基が好ましい。
〜Rにおいて、挙げられた各官能基としては、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
アルキル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、及びデシル基等が挙げられる。
また、アルケニル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、及び3−ブテニル基等が挙げられる。
また、アルキニル基は、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキニル基がより好ましい。具体的には、例えば、エチニル基、及びプロパ−2−イン−1−イル基(プロパルギル基)等が挙げられる。
また、アルキルカルボニル基は、アルキル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜18のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、及びシクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
また、アルケニルカルボニル基は、アルケニル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜18のアルケニルカルボニル基が好ましく、炭素数3〜10のアルケニルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びクロトノイル基等が挙げられる。
また、アルキニルカルボニル基は、アルキニル基で置換されたカルボニル基であれば、特に限定されないが、例えば、炭素数3〜18のアルキニルカルボニル基が好ましく、炭素数3〜10のアルキニルカルボニル基がより好ましい。具体的には、例えば、プロピオロイル基等が挙げられる。
また、本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、下記式(3)で表されるポリフェニレンエーテルの末端に、前記式(1)で表される基を有するものが挙げられる。前記ポリフェニレンエーテル共重合体としては、具体的には、下記式(4)で表される変性ポリフェニレンエーテルが挙げられる。
Figure 2019044090
Figure 2019044090
上記式(3)及び式(4)中、s,tは、例えば、sとtとの合計値が、1〜30となるものであることが好ましい。また、sが、0〜20であることが好ましく、tが、0〜20であることが好ましい。すなわち、sは、0〜20を示し、tは、0〜20を示し、sとtとの合計は、1〜30を示すことが好ましい。また、Yは、直鎖状、分岐状、又は環状の炭化水素基を示す。また、Yとしては、例えば、下記式(5)で表される基等が挙げられる。
Figure 2019044090
前記式(5)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。また、式(5)で表される基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、及びジメチルメチレン基等が挙げられる。
あるいは、本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、下記式(6)で表されるポリフェニレンエーテルの末端に、前記式(1)で表される基を有するものであってもよい。前記ポリフェニレンエーテル共重合体としては、具体的には、下記式(7)で表される変性ポリフェニレンエーテルが挙げられる。
Figure 2019044090
式(6)中、s,tは、前記式(3)のs,tと同様である。
Figure 2019044090
式(7)中、s,tは、前記式(3)のs,tと同様である。また、式(7)中、Rは、上記式(1)のRと同様である。
さらには、本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテルの末端に、前記式(1)で表される基を有するものであってもよい。前記ポリフェニレンエーテル共重合体としては、具体的には、下記式(9)で表される変性ポリフェニレンエーテルが挙げられる。
Figure 2019044090
式(8)中、s,tは、前記式(3)のs,tと同様である。
Figure 2019044090
式(9)中、s,tは、前記式(3)のs,tと同様である。また、式(9)中、Rは、上記式(1)のRと同様である。
本実施形態において用いられる変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。具体的には、500〜5000であることが好ましく、800〜4000であることがより好ましく、1000〜3000であることがさらに好ましい。なお、ここで、重量平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。また、変性ポリフェニレンエーテルが、式(2)で表される繰り返し単位を分子中に有している場合、mは、変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量がこのような範囲内になるような数値であることが好ましい。具体的には、mは、1〜50であることが好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量がこのような範囲内であると、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を有し、硬化物の耐熱性により優れるだけではなく、成形性にも優れたものとなる。このことは、以下のことによると考えられる。通常のポリフェニレンエーテルでは、その重量平均分子量がこのような範囲内であると、比較的低分子量のものであるので、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。この点、本実施形態に係る変性ポリフェニレンエーテルは、前記式(1)で表される基を末端に有するので、硬化物の耐熱性が充分に高いものが得られると考えられる。また、変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量がこのような範囲内であると、比較的低分子量のものであるので、成形性にも優れると考えられる。よって、このような変性ポリフェニレンエーテルは、硬化物の耐熱性により優れるだけではなく、成形性にも優れたものが得られると考えられる。
また、本実施形態において用いられる変性ポリフェニレンエーテルにおける、変性ポリフェニレンエーテル1分子当たりの、分子末端に有する、前記式(1)で表される基の平均個数(末端官能基数)は、特に限定されない。具体的には、1〜5個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1.5〜3個であることがさらに好ましい。この末端官能基数が少なすぎると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくい傾向がある。また、末端官能基数が多すぎると、反応性が高くなりすぎ、例えば、樹脂組成物の保存性が低下したり、樹脂組成物の流動性が低下してしまう等の不具合が発生するおそれがある。すなわち、このような変性ポリフェニレンエーテルを用いると、流動性不足等により、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じるおそれがあった。
なお、変性ポリフェニレンエーテルの末端官能基数は、変性ポリフェニレンエーテル1モル中に存在する全ての変性ポリフェニレンエーテルの1分子あたりの、前記式(1)で表される基の平均値を表した数値等が挙げられる。この末端官能基数は、例えば、得られた変性ポリフェニレンエーテルに残存する水酸基数を測定して、変性前のポリフェニレンエーテルの水酸基数からの減少分を算出することによって、測定することができる。この変性前のポリフェニレンエーテルの水酸基数からの減少分が、末端官能基数である。そして、変性ポリフェニレンエーテルに残存する水酸基数の測定方法は、変性ポリフェニレンエーテルの溶液に、水酸基と会合する4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)を添加し、その混合溶液のUV吸光度を測定することによって、求めることができる。
また、本実施形態において用いられる変性ポリフェニレンエーテルの固有粘度は、特に限定されない。具体的には、0.03〜0.12dl/gであることが好ましく、0.04〜0.11dl/gであることがより好ましく、0.06〜0.095dl/gであることがさらに好ましい。この固有粘度が低すぎると、分子量が低い傾向があり、低誘電率や低誘電正接等の低誘電性が得られにくい傾向がある。また、固有粘度が高すぎると、粘度が高く、充分な流動性が得られず、硬化物の成形性が低下する傾向がある。よって、変性ポリフェニレンエーテルの固有粘度が上記範囲内であれば、優れた、硬化物の耐熱性及び成形性を実現できる。
なお、ここでの固有粘度は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度であり、より具体的には、例えば、0.18g/45mlの塩化メチレン溶液(液温25℃)を、粘度計で測定した値等である。この粘度計としては、例えば、Schott社製のAVS500 Visco System等が挙げられる。
また、本実施形態において用いられる変性ポリフェニレンエーテルの合成方法は、前記式(1)で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテルを合成できれば、特に限定されない。
次に、本実施形態において用いられる(B)成分、すなわち、数平均分子量10000以下であって、官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤について説明する。
このような架橋剤を使用することにより、低粘度であり、成形性、耐熱劣化性に優れ、反りの発生を抑制できる、樹脂組成物を得ることができる。
分子量が数平均分子量10000以下と低く、かつ、官能基当量が500以上であるため、官能基が硬化反応に寄与する反応性がより高い。
分子量は、数平均分子量10000以下であれば特に限定はないが、ワニスの乾燥工程での揮発、加えてプリプレグ成形時の樹脂流動性という観点から、好ましくは、1000以上である。より好ましい数平均分子量は1000〜3000の範囲である。一方、官能基当量は成形時の硬化収縮による基板の反り、また硬化物の高温環境下での熱的劣化抑制という観点から、好ましくは2000以下である。より好ましい官能基当量の範囲は、500〜1000程度である。
本実施形態において、架橋剤の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
また、官能基当量は、例えばヨウ素価を測定することなどによって、測定することができる。
本実施形態の架橋剤は、上述したような構成を備えていれば特に限定はされないが、具体的には、例えば、多官能のメタクリレート、アクリレート、からなるオリゴマー体が挙げられる。
中でも、メタクリレート体を使用することが、低誘電正接な硬化物が得られるという観点から好ましい。
このような架橋剤としては、市販のものを使用することもでき、例えば、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートである、BPE−900(新中村化学工業株式会社製、分子量(Mn)1112、官能基当量556)やBPE−1300N(新中村化学工業株式会社製、分子量(Mn)1684、官能基当量842)、ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレートである23G(新中村化学工業株式会社製、分子量(Mn)1136、官能基当量568)等が好適な例として挙げられる。
次に、本実施形態において用いられる(C)成分、すなわち、重量平均分子量10000以上のスチレン系熱可塑性エラストマーについて説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物に使用される重量平均分子量が10000以上の高分子量体は、上述の(A)成分である変性ポリフェニレンエーテル化合物の低誘電特性や耐熱性を損なうことなく、フィルム形成能、靱性や耐熱分解性を付与できるようなスチレン系熱可塑性エラストマーであれば特に限定はされない。このようなエラストマーを使用することにより、強靱性を備え、耐熱劣化性及び密着性に優れ、反りの発生を抑制できる、樹脂組成物を得ることができる。
具体的には、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体等のブタジエン系熱可塑性エラストマー;スチレンブタジエンスチレン共重合体(SBS)、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、スチレンイソプレンスチレン共重合体(SIS)、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。これらの高分子量体のなかで、スチレンブタジエンスチレン共重合体、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、特にスチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体が、より高い耐熱性を有しかつ酸化劣化しにくいため、さらに好ましい。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は10000以上であれば特に制限はないが、大きすぎるとポリフェニレンエーテル化合物との混合が困難になることから、10000〜300000程度であることが好ましい。
本実施形態の(A)成分と(B)成分と(C)成分は、その配合比が、(A)成分:[(B)成分+(C)成分]=80:20〜20:80であることが好ましい。このような配合比とすることにより、耐熱性、可とう性、強靭性、低誘電率、低誘電正接にすることができると考えられる。より好ましい配合比は、(A)成分:[(B)成分+(C)成分]=30:70〜70:30であり、そのような範囲であれば、(A)成分と(B)成分の相溶性に優れる。さらに、よりフィルム可撓性や製膜性に優れ、かつ、反りの発生もより確実に抑えることができると考えられる。
なお、本実施形態において上述した「配合比」とは、樹脂組成物を調整する際に各成分を配合するときの配合比率や、ワニス状態での成分比率をさす。
次に、(D)硬化促進剤について説明する。本実施形態で使用される硬化促進剤としては、上記熱硬化性化合物の硬化を促進するものであれば、特に限定はない。
好ましくは、熱硬化性化合物である(A)末端変性ポリフェニレンエーテル化合物に対する当量比が0.1〜2となるように、硬化促進剤を用いる。
本実施形態の硬化促進剤の好ましい具体例としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物、ジハロゲン化合物などから選択される少なくとも1種が挙げられる。また、硬化促進剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、反応性が良好であるという観点から有機過酸化物を使用する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、(E)無機充填剤を含有する。
本実施形態で使用できる無機充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、球状シリカ、硫酸バリウム、酸化ケイ素粉、破砕シリカ、焼成タルク、チタン酸バリウム、酸化チタン、クレー、アルミナ、マイカ、ベーマイト、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、その他の金属酸化物や金属水和物等が挙げられる。このような無機充填材が樹脂組成物に含有されていると、積層板等の熱膨張を抑制でき、寸法安定性を高めることができるものである。
さらに、シリカを用いることが、積層板の耐熱性や誘電正接(Df)を良化させることができるという利点もあるため好ましい。
樹脂組成物中における(E)成分の含有量は、前記(A)、(B)および(C)成分の合計を100質量部として、前記(E)成分が10〜400質量部の範囲で含有されていることが好ましい。無機充填材が10質量部未満となると、熱膨張率、基板の寸法安定性が悪化するおそれがあり400質量部を超えると、樹脂流動性が悪化の恐れがある。
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、さらに難燃剤(F)を含有する。そうすることによって、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の硬化物の難燃性をさらに高めることができる。
本実施形態で使用できる難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル;環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物;及びジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等のホスフィン酸塩系難燃剤が挙げられる。また、ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤が挙げられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物が(F)難燃剤を含む場合、その含有量は、(A)+(B)+(C)の合計100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましい。また、前記難燃剤の含有量としては、前記樹脂組成物における、リン原子の含有量が上記範囲内になるような含有量であることが好ましい。このような含有量であれば、ポリフェニレンエーテル共重合体の有する優れた誘電特性を維持したまま、硬化物の難燃性により優れた樹脂組成物になる。
また、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(F)成分からなるものであってもよいし、これらの必須成分を含んでいれば、本発明の作用効果を阻害しない範囲でその他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分として、例えば、樹脂改質剤、酸化防止剤等が挙げられる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、その他にも、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂成分をさらに含有することが可能であるが、本実施形態の樹脂組成物における樹脂成分は熱硬化性樹脂をより多く含有することが好ましい。そのように、熱可塑性の成分が入っていないことにより、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性により優れた樹脂組成物が得られると考えられる。
次に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、金属張積層板、配線板、及び樹脂付き金属箔について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリプレグ1の一例を示す概略断面図である。
本実施形態に係るプリプレグ1は、図1に示すように、前記熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物2と、繊維質基材3とを備える。このプリプレグ1としては、前記熱硬化性樹脂組成物又はその半硬化物2の中に繊維質基材3が存在するものが挙げられる。すなわち、このプリプレグ1は、前記熱硬化性樹脂組成物又はその半硬化物と、前記熱硬化性樹脂組成物又はその半硬化物2の中に存在する繊維質基材3とを備える。
なお、本実施形態において、「半硬化物」とは、熱硬化性樹脂組成物を、さらに硬化しうる程度に途中まで硬化された状態のものである。すなわち、半硬化物は、樹脂組成物を半硬化した状態の(Bステージ化された)ものである。例えば、樹脂組成物は、加熱すると、最初、粘度が徐々に低下し、その後、硬化が開始し、粘度が徐々に上昇する。このような場合、半硬化としては、粘度が上昇し始めてから、完全に硬化する前の間の状態等が挙げられる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグとしては、上記のような、前記樹脂組成物の半硬化物を備えるものであってもよいし、また、硬化させていない前記樹脂組成物そのものを備えるものであってもよい。すなわち、前記樹脂組成物の半硬化物(Bステージの前記樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよいし、硬化前の前記樹脂組成物(Aステージの前記樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよい。具体的には、例えば、前記樹脂組成物の中に繊維質基材が存在するもの等が挙げられる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、前記プリプレグや、後述のRCC等の樹脂付金属箔や金属張積層板等を製造する際には、ワニス状に調製し、樹脂ワニスとして用いられることが多い。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、変性ポリフェニレンエーテル化合物(A)、架橋剤(B)、スチレン系熱可塑エラストマー(C)、硬化促進剤(D)、及び相溶型の難燃剤(F)等の、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、有機溶媒に溶解しない成分、無機充填材(E)及び、必要に応じて非相溶型の難燃剤等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、変性ポリフェニレンエーテル化合物(A)、架橋剤(B)、スチレン系熱可塑エラストマー(C)、硬化促進剤(D)、及び難燃剤(F)等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂ワニスは、フィルム可撓性や製膜性に優れ、取り扱い易いという利点がある。
得られた樹脂ワニスを用いて本実施形態のプリプレグ1を製造する方法としては、例えば、得られた樹脂ワニス状に調製された熱硬化性樹脂組成物2を繊維質基材3に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
プリプレグを製造する際に用いられる繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、LCP(液晶ポリマー)不織布、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
樹脂ワニス(樹脂組成物2)の繊維質基材3への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成(含有比)及び樹脂量に調整することも可能である。
樹脂ワニス(樹脂組成物2)が含浸された繊維質基材3を、所望の加熱条件、例えば、80℃以上、180℃以下で1分間以上、10分間以下で加熱される。加熱によって、ワニスから溶媒を揮発させ、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)のプリプレグ1が得られる。
また、図4に示すように、本実施形態の樹脂付金属箔31は、上述した熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層32と金属箔13とが積層されている構成を有する。そのような樹脂付金属箔31を製造する方法としては、例えば、バーコーターなどを用いて、上述したような樹脂ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を銅箔などの金属箔13の表面に塗布した後、乾燥する方法が挙げられる。
また、図5に示すように、本実施形態の樹脂フィルム41は、上述した熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層42とフィルム支持基材43とが積層されている構成を有する。そのような樹脂フィルム41を製造する方法としては、例えば、上述したような樹脂ワニス状の熱硬化性樹脂組成物をPETフィルム等のフィルム支持基材43表面に塗布した後、乾燥などによって硬化または半硬化させる方法が挙げられる。
上記金属箔13やフィルム支持基材43の厚み等は、所望の目的に応じて、適宜設定することができる。例えば、銅箔としては、12〜70μm程度のものを使用できる。樹脂ワニスの金属箔13やフィルム支持基材43への適用は、塗布等によって行われるが、それは必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする組成(含有比)及び樹脂量に調整することも可能である。
樹脂ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱して溶媒を除去することにより半硬化状態(Bステージ)の樹脂付金属箔31や樹脂フィルム41が得られる。本実施形態の樹脂組成物を用いて得られる樹脂付金属箔や樹脂フィルムは、優れた誘電特性や耐熱性に加え、反りが抑制され、ガラスクロスを使用しないことによる基板面内の誘電率のバラツキを抑制し、またハンドリング性も良好な高品質なものである。
図2に示すように、本実施形態の金属張積層板11は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物または上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層12と、金属箔13とを有することを特徴とする。
また、本実施形態の金属張積層板13は、上述の樹脂付金属箔31や樹脂フィルム41を用いて作成することもできる。
上記のようにして得られたプリプレグ1、樹脂付金属箔31や樹脂フィルム41を用いて金属張積層板を作製する方法としては、プリプレグ1、樹脂付金属箔31や樹脂フィルム41を一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔13を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みや樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を170〜220℃、圧力を1.5〜5.0MPa、時間を60〜150分間とすることができる。
また、金属張積層板11は、プリプレグ1等を用いずに、フィルム状の樹脂組成物を金属箔13の上に形成し、加熱加圧することにより作製されてもよい。
そして、図3に示すように、本実施形態の配線基板21は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層12と、配線14とを有する。
そのような配線基板21の製造方法としては、例えば、上記で得られた金属張積層体13の表面の金属箔13をエッチング加工等して回路(配線)形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターン(配線14)を設けた配線基板21を得ることができる。本実施形態の樹脂組成物を用いて得られる配線基板21は、誘電特性に優れ、半導体チップを接合したパッケージの形態にしても、実装しやすい上に品質にばらつきがなく、信号速度やインピーダンスにも優れている。さらに、本実施形態の樹脂組成物の硬化物は強靱性に優れているため、加工時(エッチング、剥離など)に割れ等も生じにくく、成形性やハンドリング性に優れている。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)下記式1で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテル化合物と、(B)分子量10000以下で官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤と、(C)重量平均分子量1万以上の水添スチレン系熱可塑性エラストマーと、(D)硬化促進剤と、(E)無機充填材と、(F)難燃剤とを含有することを特徴とする。
Figure 2019044090
(式(1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)
このような構成により、その硬化物において、強靱性を備え、優れた誘電特性と耐熱性を有し、成形性に優れ、得られる基板(樹脂付金属箔)の反りが抑制でき、さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できる熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の樹脂組成物は強靱性を備えるため、当該樹脂組成物の硬化物を用いて加工する際に割れにくく、ハンドリング性やプロセス加工性非常に優れている。
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物において、前記(A)成分:[前記(B)成分+前記(C)成分]の配合比が80:20〜20:80であることが好ましい。それにより、上述した効果をより確実に得ることができる。
また、前記熱硬化性樹脂組成物において、上記(C)水添スチレン系熱可塑性エラストマーが、重量平均分子量10000〜300000であり、かつ、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン/ブチレン)メチルスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)メチルスチレン共重合体、水添スチレンイソプレン共重合体、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(エチレン/ブチレン)スチレン共重合体、水添スチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)スチレン共重合体からなる群から選択される1種もしくは2種以上を有することが好ましい。それにより、さらに溶剤溶解性や耐熱分解性に優れ、変性ポリフェニレンエーテル化合物との相溶性に優れるようになり、低誘電特性をより確実に得て、密着性も高めることができると考えられる。
さらに、前記(D)硬化促進剤が有機過酸化物を含むことが好ましい。それにより、より反応性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
本発明のさらなる他の一態様に係るプリプレグは、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物と繊維質基材とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る樹脂付金属箔は、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と金属箔とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る樹脂フィルムは、上述の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層とフィルム支持基材とを有することを特徴とする。
本発明のさらなる他の一態様に係る金属張積層板は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを有することを特徴とする。
また、本発明のさらなる他の一態様に係る配線基板は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は上述のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、配線とを有することを特徴とする。
さらに、本発明のさらなる他の一態様に係る配線基板は、上述の樹脂付金属箔の表面に配線を有することを特徴とする。
上述のような構成によれば、強靱性を備え、優れた誘電特性と耐熱性を有し、成形性に優れ、得られる基板(樹脂付金属箔)の反りが抑制でき、さらに誘電特性に対する熱的劣化の発生を充分に抑制できる樹脂付金属箔、金属張積層板、配線基板等を得ることができる。さらに、本実施形態の樹脂組成物の硬化物は強靱性に優れているため、それによって得られる基板などにおいて、加工時(エッチングなど)に割れ等も生じにくい。また、基板を高温放置した場合の誘電正接(Df)熱劣化性にも非常に優れている。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
まず、本実施例において、熱硬化性樹脂組成物を調製する際に用いる成分について説明する。
(A成分:ポリフェニレンエーテル)
・SA9000:ポリフェニレンエーテルの末端水酸基をメタクリル基で変性した変性ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製、重量平均分子量Mw1700、末端官能基数1.8個)
・m−PPE:単官能ビニルベンジル変性PPE(Mw:2800)
用いたポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティ
ブプラスチックス社製のSA120、固有粘度(IV)0.125dl/g、末端水酸基
数1個、重量平均分子量Mw2400)であった。次に、ポリフェニレンエーテルと、クロロメチルスチレンとの反応は、前記ポリフェニレンエーテル(SA120)を200g、CMSを15g、相間移動触媒(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド)を0.92g用い、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム20g/水20g)の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム10g/水10g)を用いたこと以外、変性PPE−1の合成と同様の方法で合成した。そして、得られた固体を、1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS)で分析した。NMRを測定した結果、5〜7ppmにエテニルベンジル基に由来するピークが確認された。これにより、得られた固体が、前記置換基としてビニルベンジル基を分子中に有する変性ポリフェニレンエーテルであることが確認できた。具体的には、エテニルベンジル化されたポリフェニレンエーテルであることが確認できた。また、変性ポリフェニレンエーテルの末端官能数を、上記と同様の方法で測定した。その結果、末端官能数が、1個であった。また、変性ポリフェニレンエーテルの、25℃の塩化メチレン中で固有粘度(IV)を、上記の方法と同様の方法で測定した。その結果、変性ポリフェニレンエーテルの固有粘度(IV)は、0.125dl/gであった。また、変性ポリフェニレンエーテルのMwを、上記の方法と同様の方法で測定した。その結果、Mwは、2800であった。
・PPE−2F:2官能ビニルベンジル変性PPE(Mw:1900)
まず、変性ポリフェニレンエーテル(PPE−2F)を合成した。なお、ポリフェニレンエーテル1分子当たりの、分子末端のフェノール性水酸基の平均個数を、末端水酸基数と示す。
ポリフェニレンエーテルと、クロロメチルスチレンとを反応させて変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE―1)を得た。具体的には、まず、温度調節器、攪拌装置、冷却設備、及び滴下ロートを備えた1リットルの3つ口フラスコに、ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA90、固有粘度(IV)0.083dl/g、末端水酸基数1.9個、重量分子量Mw1700)200g、p−クロロメチルスチレンとm−クロロメチルスチレンとの質量比が50:50の混合物(東京化成工業株式会社製のクロロメチルスチレン:CMS)30g、相間移動触媒として、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド1.227g、及びトルエン400gを仕込み、攪拌した。そして、ポリフェニレンエーテル、クロロメチルスチレン、及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイドが、トルエンに溶解するまで攪拌した。その際、徐々に加熱し、最終的に液温が75℃になるまで加熱した。そして、その溶液に、アルカリ金属水酸化物として、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム20g/水20g)を20分間かけて、滴下した。その後、さらに、75℃で4時間攪拌した。次に、10質量%の塩酸でフラスコの内容物を中和した後、多量のメタノールを投入した。そうすることによって、フラスコ内の液体に沈殿物を生じさせた。すなわち、フラスコ内の反応液に含まれる生成物を再沈させた。そして、この沈殿物をろ過によって取り出し、メタノールと水との質量比が80:20の混合液で3回洗浄した後、減圧下、80℃で3時間乾燥させた。
得られた固体を、H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS)で分析した。NMRを測定した結果、5〜7ppmにエテニルベンジルに由来するピークが確認された。これにより、得られた固体が、分子末端において、エテニルベンジル化されたポリフェニレンエーテルであることが確認できた。
また、変性ポリフェニレンエーテルの分子量分布を、GPCを用いて、測定した。そして、その得られた分子量分布から、重量平均分子量(Mw)を算出した結果、Mwは、1900であった。
また、変性ポリフェニレンエーテルの末端官能数を、以下のようにして測定した。
まず、変性ポリフェニレンエーテルを正確に秤量した。その際の重量を、X(mg)とする。そして、この秤量した変性ポリフェニレンエーテルを、25mLの塩化メチレンに溶解させ、その溶液に、10質量%のテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)のエタノール溶液(TEAH:エタノール(体積比)=15:85)を100μL添加した後、UV分光光度計(株式会社島津製作所製のUV−1600)を用いて、318nmの吸光度(Abs)を測定した。そして、その測定結果から、下記式を用いて、変性ポリフェニレンエーテルの末端水酸基数を算出した。
残存OH量(μmol/g)=[(25×Abs)/(ε×OPL×X)]×106
ここで、εは、吸光係数を示し、4700L/mol・cmである。また、OPLは、セル光路長であり、1cmである。
そして、その算出された変性ポリフェニレンエーテルの残存OH量(末端水酸基数)は、ほぼゼロであることから、変性前のポリフェニレンエーテルの水酸基が、ほぼ変性されていることがわかった。このことから、変性前のポリフェニレンエーテルの末端水酸基数からの減少分は、変性前のポリフェニレンエーテルの末端水酸基数であることがわかった。すなわち、変性前のポリフェニレンエーテルの末端水酸基数が、変性ポリフェニレンエーテルの末端官能基数であることがわかった。つまり、末端官能数が、1.8個であった。
・SA90:末端2官能水酸基PPE(Mw:1700 SABIC社製)
・BMI2300:4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン (Mn:440、大和化成社製)
(B成分:架橋剤)
・BPE−900:両端メタクリレート芳香環(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、Mn=1112、新中村化学工業株式会社製)
・BPE−1300N:両端メタクリレート芳香環(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、Mn=1684、新中村化学工業株式会社製)
・23G:メタクリレートエチレンエーテル、(ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレート、Mn=1136、新中村化学工業株式会社製)
・Ricon181:スチレンブタジエン共重合体(CRAY VALLEY社製、Mn3200)
・ハイブラー5125:スチレンイソプレンスチレン共重合体(株式会社クラレ社製、Mn12000)
・BPE−4:メタクリレート芳香環(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、Mn=540、新中村化学工業株式会社製)
(C:スチレン系熱可塑エラストマー)
・セプトンV9827:水添スチレンブタジエン共重合体(SEBS)(クラレ株式会社製、Mw:94000)
・ハイブラー7125:水添スチレンイソプレンスチレン共重合体(SEPS)(クラレ株式会社製、Mw:120000)
・セプトン8007:水添スチレンブタジエン共重合体(SEBS)(クラレ株式会社製、Mw:83000)
・BI3000:水添ポリブタジエンエラストマー(日本曹達株式社製、Mw:3300)
(D:硬化促進剤)
・過酸化物:「パーブチルP(PBP)」(日本油脂株式会社製)
(E:無機充填材)
・球状シリカ:「SC2300−SVJ」(株式会社アドマテックス製)
(F:難燃剤)
・臭素系難燃剤:「SAYTEX8010」(ルベマール株式会社製)
<実施例1〜7、比較例1〜15>
[調製方法]
(樹脂ワニス)
まず、(A)変性ポリフェニレンエーテル共重合体とトルエンとを混合させて、その混合液を80℃になるまで加熱することによって、(A)をトルエンに溶解させて、(A)の65質量%トルエン溶液を得た。その後、得られた(A)のトルエン溶液に、表1または表2に記載の割合になるように、(B)架橋剤、(C)スチレン系エラストマー及び(D)硬化促進剤を添加した後、30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、(E)無機充填材、(F)難燃剤を添加して、ビーズミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
(樹脂付銅箔)
上記ワニスを用いて樹脂付銅箔(RCC)を作成し、後の評価に用いた。
RCCには、厚さ18μmのHVLP銅箔(古河電気工業株式会社製)を用いた。そして、上記の樹脂ワニスを銅箔表面に硬化後の樹脂厚みが50μmとなるように塗布し、これを半硬化状態となるまで130℃で3分間加熱乾燥することによってRCCを得た。
(金属張積層板)
上記のRCCを2枚貼り合わせて、真空条件下、温度200℃、圧力40kg/cm2の条件で120分加熱・加圧して両面に銅箔が接着された、厚み100μmの銅張積層板(CCL)(評価基板)を得た。
<評価試験>
上記のように調製された各樹脂ワニス及び評価積層板を、以下に示す方法により評価を行った。
[反り量(カール、片面板)]
上記で得られたCCL(評価基板)において、片面の銅箔をエッチングして、片面に銅箔がついている状態のCCLを用いた。反り評価基板サイズは200mm×200mmである。その後、120℃で30分乾燥させた後反り量を以下の基準で評価した。
反り評価基準:
◎:端部と底面の差が3cm以内
○:端部と底面の差が3〜5cm
△:端部と底面の差が5〜10cm
×:完全にカールしてしまう
[ハンドリング性]
CCLの端部2cmをエッチングし、亀裂が入るかどうかを確認した(エッチング水圧0.2MPa)。割れ評価基準は以下の通りである。
◎:亀裂なし
○:0.1〜1cmの亀裂あり
△:1〜2cmの亀裂あり
×:2cm以上の亀裂や、完全に樹脂が欠落する
[成形性]
上記でRCCを貼り合わせる際、以下の基準で顕微鏡観察(SEM)により成形性を評価した。
成形性評価基準:
◎:RCC貼りあわせ断面にボイドなし、筋状の樹脂分離なし
○:RCC貼りあわせ断面にボイドなし、筋状の樹脂分離あり
△:RCC貼りあわせ断面にボイドあり、筋状の樹脂分離なし
×:RCC貼りあわせ断面にボイドあり、筋状の樹脂分離あり
[誘電特性(比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df))]
10GHzにおけるそれぞれの評価基板(上記で得られた銅張積層板)の比誘電率及び誘電正接を、空洞共振器摂動法で測定した。具体的には、ネットワーク・アナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のN5230A)を用い、10GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を測定した。
[Df熱劣化性]
評価基板を、150℃で1000時間放置。その後、上記と同様の方法で、評価基板の誘電正接を測定した。前記加熱前後の誘電正接の変化率を、誘電正接の耐熱劣化率(%)として、算出した。そして、以下の基準で評価を行った。
熱劣化評価基準:
◎:Dfの増加率が0〜5%以内
○:Dfの増加率が6〜50%以内
△:Dfの増加率が51〜100%以内
×:Dfの増加率が101%以上
以上の試験結果を表1及び表2に示す。
Figure 2019044090
Figure 2019044090
(考察)
以上のことから、本発明により、優れた誘電特性と耐熱性を有し、さらに過酷な条件におけるDf熱劣化の抑制効果、加工性やハンドリング性に優れ、得られる基板材料の反りを抑えることのできる樹脂組成物を提供できることができることが示された。それに対し、本発明の構成成分とは異なる成分によって調製された樹脂組成物を使用した比較例においては、少なくともいずれかの評価項目において実施例よりも劣る結果となった。
特に、(A)成分として異なるPPEまたは樹脂を用いた比較例1〜4では、耐熱劣化性が十分に得られないか、反りおよびハンドリング性が劣化していた。
(B)成分として、官能基当量の低い架橋剤を使用した比較例5や比較例7並びに比較例13では十分な耐熱劣化性が得られないか、反りや成形性が劣化した。そして、分子量の大きすぎる架橋剤を使用した比較例6では、耐熱劣化性に加えて反りや成形性の評価も悪くなっていた。
一方、(C)成分として分子量の低いエラストマーを使用した比較例8では、反り、ハンドリング性および成形性においても劣っていた。
また、主剤である(A)成分のみを含む樹脂組成物を用いた比較例9では、反りが発生し、ハンドリング性や耐熱劣化性に劣る結果となり、架橋成分である(B)成分のみを含む樹脂組成物を用いた比較例10では反りが発生し、誘電特性にも劣る結果となった。
(C)成分を含んでいない比較例11では、ハンドリング性および成形性に劣り、耐熱劣化性も得られなかった。一方(B)成分を含んでいない比較例12では反りが発生し、成形性にも劣っていた。
(A)成分として異なるPPEを用い、かつ(B)成分として、官能基当量の低い架橋剤を使用した比較例14〜15においても、耐熱劣化性が十分に得られなかった。
1 プリプレグ
2 樹脂組成物又は樹脂組成物の半硬化物
3 繊維質基材
11 金属張積層板
12 絶縁層
13 金属箔
14 配線
21 配線基板
31 樹脂付き金属箔
32、42 樹脂層
41 樹脂付きフィルム
43 支持フィルム

Claims (10)

  1. (A)下記式1で表される基を末端に有する変性ポリフェニレンエーテル化合物と、
    (B)分子量10000以下で官能基当量500以上のエチレン性不飽和2重結合を有する架橋剤と
    (C)重量平均分子量1万以上の水添スチレン系熱可塑性エラストマーと、
    (D)硬化促進剤と、
    (E)無機充填材と、
    (F)難燃剤とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2019044090
    (式(1)中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。)
  2. 前記(A)成分:[前記(B)成分+前記(C)成分]の配合比が80:20〜20:80である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 上記(C)水添スチレン系熱可塑性エラストマーが、重量平均分子量10000〜300000であり、かつ、水添スチレンブタジエンスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン/ブチレン)メチルスチレン共重合体、水添メチルスチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)メチルスチレン共重合体、水添スチレンイソプレン共重合体、水添スチレンイソプレンスチレン共重合体、水添スチレン(エチレン/ブチレン)スチレン共重合体、水添スチレン(エチレン−エチレン/プロピレン)スチレン共重合体からなる群から選択される1種もしくは2種以上を有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(D)硬化促進剤が有機過酸化物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物と繊維質基材とを有するプリプレグ。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と金属箔とを有する、樹脂付金属箔。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物又は前記熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層とフィルム支持基材とを有する、樹脂フィルム。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は前記請求項5に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを有する、金属張積層板。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は前記請求項5に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、配線とを有することを特徴とする、配線基板。
  10. 請求項6に記載の樹脂付金属箔の表面に配線を有する、配線基板。
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