JP2019044033A - 導電膜形成用組成物、導電膜の製造方法、ギ酸銅錯体 - Google Patents

導電膜形成用組成物、導電膜の製造方法、ギ酸銅錯体 Download PDF

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Abstract

【課題】低温焼成性に優れる導電膜形成用組成物、上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法、および、上記導電膜形成用組成物に含まれるギ酸銅錯体を提供する。【解決手段】ギ酸銅と、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなるギ酸銅錯体、および、ギ酸銅粒子を含む、導電膜形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電膜形成用組成物、導電膜の製造方法、および、ギ酸銅錯体に関する。
基材上に金属粒子または金属化合物粒子の分散体を印刷法により塗布し、その後、焼成処理を実施することで、基材上に配線等の導電膜を製造する技術が知られている。
上記方法は、従来の高温条件での真空プロセス(スパッタ)またはめっき処理による配線形成法に比べて、簡便で、省エネルギーで、省資源であるため次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
上記方法として、例えば、特許文献1には、金属酸化物微粒子と、還元性有機ポリマーを含有する金属酸化物微粒子分散体が開示されている。
特開2005−002418号公報
近年、各種デバイスの製造プロセスにおける省エネルギー化の要求がますます強くなっており、焼成温度が低い場合でも導電性が優れた導電膜を製造できること(以下「低温焼成性」ともいう)が求められている。
本発明者が、特許文献1に開示された金属酸化物微粒子分散体を具体的に検討した結果、求められる低温焼成性を実現できないことが知見された。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、低温焼成性に優れる導電膜形成用組成物、上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法、および、上記導電膜形成用組成物に含まれるギ酸銅錯体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ギ酸銅とポリエチレンイミン誘導体とからなるギ酸銅錯体およびギ酸銅粒子を用いることで、本発明の課題を達成できることを知見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
〔1〕 ギ酸銅と、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなるギ酸銅錯体、および、ギ酸銅粒子を含む、導電膜形成用組成物。
〔2〕 上記ポリエステル鎖が、ラクトン化合物に由来する繰り返し単位を有する、〔1〕に記載の導電膜形成用組成物。
〔3〕 上記ギ酸銅錯体の含有量と、上記ギ酸銅粒子の含有量との質量比が、3/97〜10/90である、〔1〕または〔2〕に記載の導電膜形成用組成物。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の導電膜形成用組成物を基材上に塗布して、塗膜を形成する工程と、上記塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する工程と、を有する導電膜の製造方法。
〔5〕 上記加熱処理の加熱温度が、210℃以下である、〔4〕に記載の導電膜の製造方法。
〔6〕 上記基材の材質が、シリコン、ガラス、金属、セラミック、および、樹脂のいずれかである、〔4〕または〔5〕に記載の導電膜の製造方法。
〔7〕 上記導電膜の膜厚が200〜4000nmである、〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電膜の製造方法。
〔8〕 ギ酸銅と、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなる、ギ酸銅錯体。
本発明によれば、低温焼成性に優れる導電膜形成用組成物、上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法、および、上記導電膜形成用組成物に含まれるギ酸銅錯体を提供できる。
以下に、本発明の導電膜形成用組成物、および、上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、数平均分子量は、東ソー社製ゲル透過クロマトグラフ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算で測定する。より具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、ガードカラムとして、TSKguardcolumn Super HZM−Hを用い、カラムとして、TSKgel Super HZ 2000、TSKgel Super HZ 4000、TSKgel Super HZ−M(東ソー製、4.6mm(内径)×15.0cm、3種カラムを直列連結)を用い、溶離液として、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)含有)を用いる。また、条件としては、サンプル濃度を0.3質量%、溶離液流速を0.35mL/分、サンプル注入量を10μL、カラム温度を40℃、インレット温度を40℃とし、屈折率(RI:Refractive Index、測定温度:40℃)検出器を用いて行う。
[導電膜形成用組成物]
本発明の導電膜形成用組成物(以下、単に「本組成物」または「組成物」とも言う)は、ギ酸銅とポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなるギ酸銅錯体、および、ギ酸銅粒子を含む。
以下、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体を「PEI誘導体」とも言う。
本組成物の特徴点の1つとしては、ギ酸銅とPEI誘導体とからなるギ酸銅錯体、および、ギ酸銅粒子を併用している点が挙げられる。
ギ酸銅粒子は単独では低温焼成性を発現しない。また、単にポリエチレンイミンとギ酸銅粒子とを組み合わせても低温焼成性は実現できなかった。
そこで、本発明者は、ポリエチレンイミンにポリエステル鎖を導入してなるPEI誘導体を作製し、これとギ酸銅とからなるギ酸銅錯体(以下、単に「ギ酸銅錯体」ともいう)を得た。さらに、得られたギ酸銅錯体とギ酸銅粒子とを併用したところ、低温焼成性を実現できることを見出した。
上記のような構成で、低温焼成性を実現できるメカニズムは必ずしも明確ではないが、ギ酸銅錯体のポリエステル鎖部分がギ酸銅粒子を還元する現象と、ギ酸銅錯体中の窒素原子とギ酸銅とが錯形成している部分でギ酸銅が還元される現象との両方が生じていると本発明者は考えている。
また、ギ酸銅粒子を用いることは、低温でもギ酸銅錯体を完全に熱分解させ、導電性を阻害するポリマー残渣を生じさせない効果も有していると考えられている。
また、本組成物によれば導電膜の銅含率を高くできるため、本組成物を用いて形成した塗膜を加熱して導電膜を製造する際の体積変化が少なく、大面積の導電膜を製造する場合および微細加工をする場合に有利である。
以下、本組成物に含まれる各成分について詳述する。
<ギ酸銅粒子>
本組成物に含有されるギ酸銅粒子は、粒子状のギ酸銅であれば特に制限されない。
粒子状とは小さい粒状を指し、その具体例としては、球状および楕円体状等が挙げられる。ただし、完全な球または楕円体である必要はなく、一部が歪んでいてもよい。
ギ酸銅粒子の平均一次粒子径は特に制限されないが、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。平均一次粒子径の下限は特に制限されないが、10nm以上が好ましい。ギ酸銅粒子の平均一次粒子径が1000nm以下であれば組成物中におけるギ酸銅粒子の分散安定性がより優れ、また、得られる導電膜の平滑性および導電性もより良好である。
なお、上記平均一次粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて撮影された画像から任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(円相当径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、円相当径とは、観察時の粒子の投影面積と同じ投影面積をもつ真円を想定したときの円の直径である。
ギ酸銅粒子としては、銅イオンをカチオン種とし、ギ酸をアニオン種とする銅塩の粒子であればよく、特に制限されない。例えば、1価の銅イオン、2価の銅イオン、および、3価の銅イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、ギ酸とからなる銅塩の粒子が挙げられる。これらのなかでも、安定性および入手の容易さから、2価の銅イオンとギ酸とからなる銅塩の粒子が好ましい。
ギ酸銅粒子の純度については特に制限はなく、導電膜の導電性がより優れる観点から、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましい。
ギ酸銅粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、ギ酸銅粒子の粗粉末を機械的粉砕により粉砕する方法、および、銅イオンとギ酸とを含む溶液からギ酸銅粒子を析出させる方法等が挙げられる。なかでも、銅イオンとギ酸とを含む溶液からギ酸銅粒子を析出させる方法が好ましく、具体的な方法の例が特開2011−032558号公報で詳述されている。
なお、本組成物中において、ギ酸銅粒子は一部が凝集していてもよい。
本組成物中におけるギ酸銅粒子の含有量は、組成物の全質量に対して、1〜10質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
ギ酸銅粒子の含有量が、組成物の全質量に対して5質量%以上である場合、得られる導電膜がより優れ、10質量%以下である場合、組成物中のギ酸銅粒子の分散安定性が優れる。
ギ酸銅粒子は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<ギ酸銅錯体>
(PEI誘導体)
本組成物に含まれるギ酸銅錯体の製造に用いられるPEI誘導体は、ポリエステル鎖を有する。
PEI誘導体がこのようなポリエステル鎖を有するため、PEI誘導体を用いて作製されるギ酸銅錯体は、ギ酸銅粒子を還元する能力に優れ、低温焼成性に優れる。
PEI誘導体は、ポリエチレンイミンにポリエステル鎖を導入して得られる化合物である。
ポリエステル鎖の構造は特に制限されず、ポリエステル鎖は式(I)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(I)中、Lは炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。Lの炭素数は1〜6が好ましく、4〜5がより好ましく、5がさらに好ましい。
ポリエステル鎖中における式(I)で表される繰り返し単位の数は特に制限されないが、平均値として10以上が好ましく、10〜18がより好ましい。
ポリエステル鎖の数平均分子量はポリスチレン換算値で1000〜10000が好ましく、5000〜10000がより好ましい。
PEI誘導体中のポリエステル鎖の含有量の合計は、PEI誘導体中のポリエチエレンイミンに由来する構造の質量に対して、100〜10000質量%が好ましく、1000〜6000質量%がより好ましく、3000〜6000質量%がさらに好ましい。
上記ポリエステル鎖は、ラクトン化合物由来の繰り返し単位を有することが好ましい。ラクトン化合物としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナントラクトン、および、η−カプリロラクトンが挙げられ、本発明の効果がより優れる点で、ε−カプロラクトンが好ましい。
PEI誘導体は上記ポリエステル鎖を有していればその構造は特に制限されない。PEI誘導体は、ポリエステル鎖を側鎖に有していてもよいし、主鎖に有していてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、PEI誘導体は式(II)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(II)中、Lは、単結合または2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−NRF−(RFは、水素原子、又はアルキル基を表す。)、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基(例:−CH=CH−)、アルキニレン基(例:−C≡C−)、及びアリーレン基)、又は、これらを組み合わせた基(例えば、−アルキレン基−NH−)が挙げられる。
なかでも、Lとしては、単結合、−CO−、−O−または−アルキレン基−NH−が好ましい。
Xは、ポリエステル鎖を有する基を表す。ポリエステル鎖は、上記式(I)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(II)で表される繰り返し単位の含有量は、PEI誘導体の全繰り返し単位に対して、20〜60モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましく、30〜40モル%がさらに好ましい。
PEI誘導体は、上記式(II)で表される繰り返し単位以外に、式(III)で表される繰り返し単位または式(IV)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
式(IV) −(CHCHNH)−
式(III)で表される繰り返し単位の含有量は、PEI誘導体の全繰り返し単位に対して、10〜50モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましく、25〜35モル%がさらに好ましい。
式(IV)で表される繰り返し単位の含有量は、PEI誘導体の全繰り返し単位に対して、0.1〜30モル%が好ましく、0.5〜25モル%がより好ましく、0.5〜5モル%がさらに好ましい。
PEI誘導体の数平均分子量はポリスチレン換算値で4000〜20000が好ましく、4000〜10000がより好ましく、5000〜8000がさらに好ましい。
PEI誘導体は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
PEI誘導体は、その分子中に、1級アミノ基、2級アミノ基、および、3級アミノ基の少なくとも1種を有していてもよい。なかでも、PEI誘導体は、1級アミノ基を有することが好ましい。
PEI誘導体の合成方法は特に制限されないが、例えば、ポリエチレンイミンとポリエステルとを別々に用意して、両者を結合させて得るのが好ましい。
両者を結合させる方法は特に制限されず、例えば、ポリエステルが末端に有するカルボン酸基とポリエチレンイミンのアミノ基とを脱水縮合させてアミド結合を形成させる方法が挙げられる。
以下では、上記方法で使用される原料について詳述する。
まず、末端にカルボン酸基を有するポリエステルとしては、例えば、以下の式(V)で表されるポリエステルが挙げられる。
式(V)中、Lは式(I)におけるLと同義であり、好ましい範囲も同様である。
mは1以上の整数を表し、10以上が好ましく、10〜18がより好ましい。
Rは、炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状アルキル基を表す。Rの炭素数は4〜12が好ましく、5〜10がより好ましく、7がさらに好ましい。
式(V)で表されるポリエステル鎖の数平均分子量はポリスチレン換算値で1000〜10000が好ましく、5000〜10000がより好ましい。
ポリエチレンイミンは、ポリエチレン「イミン」と一般に称されているが、エチレンジアミン、または、ジエチレントリアミンと、エチレンイミンとの共重合体を含む。ポリエチレンイミンは、公知の合成方法により得られる。具体的には、例えば、エチレンジアミン、または、ジエチレントリアミン等のベースアミンに、塩酸、硫酸、または、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒下でエチレンイミンを反応させて、ポリエチレンイミンを得られる。
また、ポリエチレンイミンとしては市販品を使用してもよい。市販品としては、エポミン(登録商標)SPシリーズ(日本触媒製)、Lupasolシリーズ(BASF社製)、および、LUGALVAN−G15000(BASF社製)等が挙げられる。
ポリエチレンイミンはPEI誘導体における主鎖を構成することが好ましい。
また、ポリエチレンイミンは、分子中に、1級アミノ基、2級アミノ基、および、3級アミノ基を有する、下記に示されるような分岐鎖状であるのが好ましい。
このような分岐鎖状のポリエチレンイミンは、1級アミノ基の含有量が、1級アミノ基、2級アミノ基、および、3級アミノ基の全体に対して20〜50モル%であるのが好ましく、30〜45モル%であるのがより好ましい。
なお、ポリエチレンイミンの、1級アミノ基、2級アミノ基、および、3級アミノ基の比率は、例えば、13C−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)法または赤外分光法で測定して求められる。
また、このような分岐鎖状のポリエチレンイミンは、エチレンイミンを開環重合して得られる。
ポリエチレンイミンの数平均分子量は、300〜70000が好ましく、300〜2000がより好ましく、600〜1800がさらに好ましい。
(ギ酸銅錯体の作製)
ギ酸銅錯体の作製方法は、上述のPEI誘導体とギ酸銅とによる錯体が形成される方法であれば、特に制限されない。
例えば、溶剤中で、PEI誘導体とギ酸銅とを混合する方法が挙げられる。より具体的には、例えば、テトラヒドロフラン中で、PEI誘導体とギ酸銅とを混合し、その後、遠心分離等で過剰量のギ酸銅を沈降させて、ギ酸銅錯体を含む溶液を得られる。
ギ酸銅錯体を形成する際は、PEI誘導体に対してギ酸銅が過剰になる混合条件が好ましい。
PEI誘導体に対してギ酸銅を過剰に混合することで、ギ酸銅錯体の形成を加速できる。余剰のギ酸銅は、ギ酸銅錯体とギ酸銅との溶剤(テトラヒドロフラン等)への溶解度の差を利用して、ろ過または遠心分離等の公知の方法を用いて除去できる。
溶剤中におけるPEI誘導体とギ酸銅との質量比(=PEI誘導体の仕込み質量/ギ酸銅の仕込み質量)は、1/5〜1/100が好ましく、1/5〜1/50がより好ましく、1/5〜1/10がさらに好ましい。
PEI誘導体とギ酸銅とが錯体を形成しているかは、赤外分光法によって分析できる。例えば、PEI誘導体がポリエチレンイミン由来の1級アミノ基を有する場合、この1級アミノ基由来のピーク(1480cm−1)の減少または消失によって確認できる。具体的には、PEI誘導体とギ酸銅とを混合した後に、上記ピークが減少または消失している場合は、ギ酸銅と1級アミノ基との間で相互作用が生じ、錯体が形成されている。
なお、PEI誘導体が1級アミノ基を有する場合、ギ酸銅錯体は、PEI誘導体中の全ての1級アミノ基とギ酸銅とが錯形成していてもよいし、PEI誘導体中の一部の1級アミノ基とギ酸銅とが錯形成していてもよい。
なかでも、ギ酸銅錯体において、全1級アミノ基のうち10〜100モル%の1級アミノ基がギ酸銅と錯形成しているのが好ましく、全1級アミノ基のうち80〜100モル%の1級アミノ基がギ酸銅と錯形成しているのがより好ましい。1級アミノ基がギ酸銅と錯形成している率は、赤外分光法によって測定した、ポリエチレンイミンの1級アミノ基由来のピーク(1480cm−1)の減少率から求められる。
また、ギ酸銅錯体は、PEI誘導体中の全てまたは一部の、2級アミノ基および/または3級アミノ基とギ酸銅とが錯形成していてもよい。
本組成物中におけるギ酸銅錯体の含有量は、組成物中の全固形分に対して、3〜10質量%が好ましく、6〜10質量%がより好ましい。
なお、上記全固形分とは、組成物中の溶剤を除く成分を意図する。
また、本組成物中における、ギ酸銅錯体の含有量と、ギ酸銅粒子の含有量との質量比(=ギ酸銅錯体の質量/ギ酸銅粒子の質量)は、低温焼成性がより優れる観点から3/97〜10/90が好ましく、導電性がより優れる観点から6/94〜10/90がより好ましい。
<溶剤>
本組成物は、さらに溶剤を含むのが好ましい。溶剤は、ギ酸銅粒子およびギ酸銅錯体の分散媒として機能する。
溶剤の種類は特に制限されないが、ギ酸銅粒子とギ酸銅錯体が均一に混合する観点からギ酸銅錯体が溶解する溶剤が好ましい。例えば、エーテル類、アルコール類、エステル類等の有機溶媒、および、水等が挙げられる。
なかでも、溶剤はエーテル類が好ましい。
エーテル類としては、アルコール由来のアルキルエーテルが挙げられ、例えば、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、および、1,4−ジオキサン等が挙げられる。なかでも、1〜3価のヒドロキシル基を有する炭素数1〜4の脂肪族アルコール由来の炭素数2〜8のアルキルエーテルが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、または、テトラヒドロフランが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、グリシドール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、カルビトール、エチルカルビトール、n−ブチルカルビトール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、へキシレングリコール、および、グリセリンが挙げられる。
エステル類としては、上記アルコール由来のアルキルエステルが挙げられ、たとえば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、および、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
溶剤として、水を用いる場合には、イオン交換水のレベルの純度を有する水が好ましい。
本組成物が溶剤を含む場合、本組成物中の溶剤の含有量は、組成物の全質量に対して50〜95質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜95質量%がさらに好ましい。
溶剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他成分>
本組成物には、上記各成分以外のその他の成分が含まれていてもよい。
例えば、本組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、ギ酸銅粒子の分散性を向上する役割および/または導電膜の平滑性を向上させる役割を果たす。界面活性剤の種類は特に制限されず、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、および、両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<組成物の製造方法>
本組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上述したギ酸銅粒子、ギ酸銅錯体、および、溶剤を混合した後、超音波法(例えば、超音波ホモジナイザーによる処理)、ビーズミル法、ミキサー法、3本ロール法、および、ボールミル法等の公知の手段により成分を分散させて調製できる。
<導電膜の製造方法>
本発明の導電膜の製造方法は特に制限されないが、基材上に上述した本組成物を塗布して、塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)と、上記塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する工程(加熱処理工程)とを有するのが好ましい。
以下に、それぞれの工程について詳述する。
(塗膜形成工程)
本工程は、基材上に上述した本組成物を塗布して、塗膜を形成する工程である。
本工程で使用される基材としては、公知の基材を使用できる。
基材の材質としては、例えば、シリコン、ガラス、金属、セラミック、および、樹脂等が挙げられる。なかでも、フレキシブル性に優れる観点から、樹脂を含む基材(樹脂基材)が好ましい。
本工程で使用される基材の材質が樹脂である場合、樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ならびに、セルロース誘導体が挙げられる。
なかでも、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましい。
基材の厚さは特に制限されないが、1〜1000μmが好ましい。
基材上に本組成物を塗布して、塗膜を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
塗布の方法としては、例えば、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコータ、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ディップコーター、ダイコータ、または、グラビアロールによる塗工法、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、および、反転印刷法が挙げられる。なかでも、簡便であり、また、サイズの大きい導電膜の製造が容易であるため、スクリーン印刷法またはインクジェット法が好ましい。なお、本明細書においては、塗布の方法として、印刷法が含まれる。
塗布の形状は特に制限されず、樹脂基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状またはドット状)であってもよい。
なお、基材上に本組成物を塗布した後、必要に応じて、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理を施すことにより、後述する加熱処理工程において、導電膜中での気化膨張に起因する微小なクラックまたは空隙の発生を抑制できるため好ましい。乾燥処理の方法としては従来公知の方法を使用できる。乾燥処理の温度は特に制限されないが、50〜100℃が好ましい。乾燥処理の時間も特に制限されないが、1〜30分間が好ましい。
(加熱処理工程)
本工程は、上記塗膜形成工程で形成された塗膜に対して加熱処理(焼成処理)を行い、ギ酸銅粒子およびPEI誘導体銅錯体を還元して、銅を含有する導電膜を形成する工程である。
加熱処理の温度は特に制限されないが、210℃以下が好ましく、185〜210℃がより好ましく、170〜200℃がさらに好ましい。
また、加熱時間は特に制限されないが、10〜120分が好ましく、10〜90分がより好ましく、30〜90分がさらに好ましい。
また、加熱処理の雰囲気は特に制限されないが、大気雰囲気、不活性雰囲気、または、還元性雰囲気(例えば、水素、一酸化炭素、ギ酸、または、アルコール)が好ましく、不活性雰囲気(好ましくは、窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気)がより好ましい。
加熱処理を不活性ガス雰囲気下で行う場合、不活性ガス雰囲気の酸素濃度は、200ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましい。
なお、加熱処理の方法は特に制限されず、焼結装置(例えばRTA(rapid thermal anneal)焼結装置)、オーブン、または、ホットプレート等の公知の加熱処理装置を用いた方法が挙げられる。なかでも、不活性雰囲気中に設置したホットプレートまたはイナートオーブンを用いるのが好ましい。
<導電膜>
上述した製造方法により、導電膜が製造される。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な平均膜厚が調整される。なかでも、導電膜の導電性がより優れる観点から、200〜4000nmが好ましく、1800〜4000nmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚さを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜は基材の全面に設けられていてもよく、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板等の導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、例えば、上述した本組成物をパターン状に基材に付与して、上記加熱処理を行う方法、および、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法が挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、例えば、公知のサブトラクティブ法およびセミアディティブ法が挙げられる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁膜(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、または、ソルダーレジスト等)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
また、配線保護のために用いられる絶縁膜の材料の1種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報および特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により適用できる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、例えば、太陽インキ製造社製PFR800、PSR4000(商品名)、および、日立化成工業社製 SR7200Gが挙げられる。
上記導電膜は種々の用途に使用でき、プリント配線板の配線および有機薄膜トランジスタの電極(例えば、ソース電極およびドレイン電極)として特に有用である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されない。
[実施例1]
<ギ酸銅粒子の調製>
特開2011−032558号公報の段落[0149]に記載の方法に従ってギ酸銅粒子を調製した。得られたギ酸銅粒子をSEM(走査電子顕微鏡、S−5200、日立製作所社製)で観察し、一次平均粒子径を求めたところ200nmであった。
<ポリエチレンイミン誘導体−ギ酸銅錯体(ギ酸銅錯体)の調製>
(ポリエチレンイミン誘導体(PEI誘導体)の調製)
n−オクタン酸(16.8質量部)、ε−カプロラクトン(200質量部)、および、モノブチルすずオキシド(2.2質量部)を混合した。得られた混合物を160℃で8時間加熱した後、室温まで冷却し、ポリエステルを得た。
GPCを用いて測定されたポリエステルの数平均分子量は、ポリスチレン換算値で、5800であった。
得られたポリエステル(100質量部)、および、ポリエチレンイミン(日本触媒製エポミンSP−006、分子量:600(カタログ値))(2.4質量部)を混合した。得られた混合物を110℃で3時間加熱して、側鎖にポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体(PEI誘導体)を得た。GPCを用いて測定されたPEI誘導体の数平均分子量は、ポリスチレン換算値で、7000であった。
(ポリエチレンイミン誘導体−ギ酸銅錯体(ギ酸銅錯体)の調製)
得られたPEI誘導体(1.4質量部)、無水ギ酸銅(10.0質量部)、および、テトラヒドロフラン(2.6質量部)を、乳鉢を用いて30分混合した。得られた固形物に、テトラヒドロフラン(26質量部)を添加し、さらに撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーを遠心分離して、沈殿物と上澄み液に分離した。得られた上澄み液をフィルター(孔径:0.45μm)でろ過して、深青色の溶液を得た。得られた溶液をエバポレーターで濃縮して深青色の粘体を得た。
得られた深青色の粘体を赤外分光法で測定した結果、ポリエチレンイミンの1級アミノ基由来のピーク(1480cm−1)が消失しており、ギ酸銅由来のピーク(1600cm−1)が観測された。この結果からPEI誘導体中の全ての1級アミノ基が、ギ酸銅と錯形成していると判断した。
(組成物の調製および塗膜の作製)
ギ酸銅錯体(10質量部)、ギ酸銅粒子(90質量部)、および、テトラヒドロフラン(THF)(1000質量部)を、乳鉢を用いて混合し、組成物を得た。得られた組成物をガラス板にコイルバーで塗布して塗膜を得た。
乾燥後の塗膜の膜厚を測定したところ3700nmであった。なお、膜厚は、塗膜の任意の3箇所を金属へらで削り取ってガラス面を出し、塗膜とガラス面の段差をULVAC社製Dektak3030で測定し、得られた数値を算術平均して求めた。
<評価>
(熱分解性)
得られた塗膜の一部を削り取り示差熱熱重量同時測定装置(SII社製、TG−DTA6200)を用いて熱重量減少を測定した(窒素雰囲気下、昇温速度:10℃/分、試験温度:30〜400℃)。94℃から重量減少が始まり、200℃で重量減少は終了した。
(導電膜の製造)
塗膜を窒素雰囲気下において、200℃で60分間加熱して、導電膜を製造した。
(導電膜の評価)
導電膜の膜厚は、塗膜の膜厚と同様の方法で測定したところ1800nmであった。
抵抗率計(三菱ケミカルアナリティック社製、低抵抗低効率計ロレスタGP MCP−T610)を用いて四探針法で、導電膜の抵抗値を測定した。膜厚から断面積を算出し体積抵抗値[Ωcm]を算出したところ、導電膜の体積抵抗値は1×10−3Ωcmであった。
X線構造回折法(XRD)によって導電膜中の銅の酸化状態を測定したところ、酸化銅由来のピーク(2θ=35.5°)および亜酸化銅由来のピーク(2θ=36.4°)は見られず、銅由来のピーク(2θ=43.3°)を観測した。
結果をまとめて下記表1に示す。
[実施例2〜3]
ギ酸銅錯体とギ酸銅粒子との添加量を、下記表1に示す通りにした以外は実施例1と同様に塗膜を得て、評価を行った。
[比較例1〜5]
表1に示す配合でポリマー、銅化合物粒子、および、溶剤を混合して組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。
比較例の組成物の調製に使用した原料は以下のとおりである。
<ポリマー>
PEG:ポリエチレングリコール(和光純薬社製、分子量:600(カタログ値))
PEI:ポリエチレンイミン(日本触媒製エポミンSP−006、分子量:600(カタログ値))
<銅化合物粒子>
ギ酸銅:上述の通り
酸化銅:1次粒径15〜25nm(特開2005−002418号公報の段落[0040]に記載の方法で調製)
<溶剤>
DEG:ジエチレングリコール
TEF:テトラヒドロフラン
以下の表1に各組成物の配合と評価結果を示す。
表1中、「部」の欄は、各原料を添加した質量部数を示す。
表1中、「熱分解性」の欄は、各組成物で形成した塗膜の熱重量減少を測定した際の、熱重量減少の開始温度と終了温度とを示す。
表1中、「塗布後」の欄は、上記(組成物の調製および塗膜の作製)の手順によって得られた塗膜の膜厚を示す。
表1中、「加熱後」の欄は、上記(導電膜の製造)の手順によって得られた加熱処理後の膜の膜厚を示す。
表1中、「体積抵抗値」の欄は、上記(導電膜の製造)の手順によって得られた膜の体積抵抗値を示す。「O.L.」は、体積抵抗値が大きすぎて値を測定できなかったことを意味する。なお、体積抵抗値の値が低いほど、導電性は良好である。
表1中、「XRD」の欄は、上記(導電膜の製造)の手順によって得られた膜をXRDで測定して検出された銅の酸化状態を示す。Cu(0)は、非酸化状態の銅を示し、Cu(1)は亜酸化銅を示し、Cu(2)は酸化銅を示す。
表1中、「銅含率」の欄は、実施例1〜3においては以下の式で求められる値である。
銅含率(%)=100×(ギ酸銅錯体中の銅原子の質量+ギ酸銅粒子中の銅原子の質量)÷(ギ酸銅錯体の質量+ギ酸銅粒子の質量)
また、比較例においては以下の式で「銅含率」を求めた。
銅含率(%)=100×(塗膜に含まれる固形分中の銅原子の質量)÷(塗膜に含まれる固形分の質量)
表1に示す結果から、本組成物は低温加熱(200℃)でも良好な導電性を示す導電膜を製造でき、低温焼成性に優れていることが確認された。
一方で、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンイミンを使用した場合は、銅化合物粒子として酸化銅粒子を用いた場合でもギ酸銅粒子を用いた場合でも、200℃では導電膜を得られず、低温焼成性を実現できないことが確認された。
なお、比較例1の組成物は、特許文献1(特開2005−002418号公報)の実施例6に記載の金属酸化物微粒子分散体に類似する。

Claims (8)

  1. ギ酸銅と、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなるギ酸銅錯体、および、
    ギ酸銅粒子を含む、導電膜形成用組成物。
  2. 前記ポリエステル鎖が、ラクトン化合物に由来する繰り返し単位を有する、請求項1に記載の導電膜形成用組成物。
  3. 前記ギ酸銅錯体の含有量と、前記ギ酸銅粒子の含有量との質量比が、3/97〜10/90である、請求項1または2に記載の導電膜形成用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物を基材上に塗布して、塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する工程と、を有する導電膜の製造方法。
  5. 前記加熱処理の加熱温度が、210℃以下である、請求項4に記載の導電膜の製造方法。
  6. 前記基材の材質が、シリコン、ガラス、金属、セラミック、および、樹脂のいずれかである、請求項4または5に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記導電膜の膜厚が200〜4000nmである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  8. ギ酸銅と、ポリエステル鎖を有するポリエチレンイミン誘導体とからなる、ギ酸銅錯体。
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