JP2019042760A - 鋼塊転回装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この特許文献1に記載された先行技術では、鋼塊材の下側面の隅部に爪部材を係合させ、爪部材を上昇させて鋼塊材を引き上げながら鋼塊材の爪部材とは反対側を受け部材で受けることにより、鋼塊材を90度転回させる。
また、重量が30tonを超えるような大断面の鋼塊材では、鋼塊材を転回する際に、搬送装置への衝撃が大きく、設備破損に繋がることからこの衝撃を抑制するために、転回時の鋼塊材を受ける傾斜装置を設けるようにしている。
そこで、本発明は、上記先行技術の課題に着目してなされたものであり、低費用且つ短期間で鋼塊材引き上げ能力を向上させることが可能な鋼塊転回装置を提供することを目的としている。
圧延設備の中央部には水平圧延機1が配置されている。この水平圧延機1は、圧延ロール2の軸が水平方向に配置されたものであり、鋼材を往復させて所謂リバース圧延が可能なものである。
水平圧延機1の入側及び出側には、鋼材を搭載して搬送するための搬送装置3が配置されている。この搬送装置3は、一般的な搬送ロール4に鋼材を搭載し、各搬送ロール4を回転させることで鋼材を搬送するものである。本実施形態では、これらの搬送装置3の搬送ロール4上にインゴットと呼ばれる鋼塊材Sを搭載し、鋼塊材Sを水平圧延機1に往復搬送して圧延を行う。なお、本実施形態で圧延する鋼塊材Sは、一般の鋼塊材と同じく、直方体又は立方体形状である。
一方、図の右側のサイドガイド6は、搬送ロール4の数本分、搬送方向に沿って連続し、且つ図に二点鎖線で示すように、上部が鋼塊材Sから離間するように傾斜し、その傾斜状態で受け部材を構成する。
そして、爪部材7及び受け部材を含んで鋼塊転回装置10が構成されている。この鋼塊転回装置10は、図2〜図4に示すように、爪部材7と、この爪部材7を上昇させる昇降装置11と、受け部材となるサイドガイド6(図1参照)とを備えている。
また、サイドガイドを兼任する受け部材6は、爪部材7に係合されて転回される鋼塊材Sを受けるものである。
駆動軸21は、サイドガイド5の外側に搬送装置3の搬送方向に延長し、架台20に設けられた軸受25によって回動可能に支持されている。
主回動機構23は、図4に示すように、駆動軸21の下側に配置された電動モータ26と、この電動モータ26の出力軸26aにカップリング27を介して連結されたウォーム減速機28と、中央側の2本の回動アーム22に一体に形成された揺動アーム29A、29Bと、これら揺動アーム29A、29Bとウォーム減速機28の出力側との間を連結する連結アームとしてのコンロッド30A、30Bとを備えている。
したがって、主回動機構23では、電動モータ26を駆動して、出力軸26aを図4に示す矢印Aの方向に回転させることにより、ウォーム減速機28の出力アーム28d、28eが図4の矢印Bで示すように反時計方向に回転する。この出力アーム28d、28eが反時計方向に1回転する間にコンロッド30A、30B及び揺動アーム29A、29Bを介して駆動軸21が反時計方向及び時計方向に回動されて回動アーム22が図3に示す実線図示の停止位置と一点鎖線図示の回動終了位置との間を往復回動する。したがって、爪部材7が下降位置から上昇位置に達した後下降位置に戻る。
油圧シリンダ24A及び24Bは、筒状チューブとしてのシリンダチューブ24a内に直動軸としてのピストンロッド24bが伸縮可能に配置された複動形シリンダの構成を有している。シリンダチューブ24aの軸方向中央位置よりヘッド側位置が架台20に固定されたクレビス31に回動可能に支持されている。これら油圧シリンダ24A及び24Bは、キャップ側に油圧を供給することにより、ピストンロッド24bが伸長し、ヘッド側に油圧を供給することにより、ピストンロッド24bが収縮する。
ここで、油圧シリンダ24A及び24Bが停止位置すなわちピストンロッド24bが収縮した位置にある状態で、且つ爪部材7が下降位置にある状態で、補助揺動アーム33A、33Bの係合突起33aが長孔32aの油圧シリンダ24A及び24B側に係合している。
ここで、油圧シリンダ24A、24Bの押し推力は、双方合計で例えば爪部材7で例えば15tonを超える鋼塊材Sを引き上げ可能な推力に設定されている。
図5は、断面が長方形の鋼塊材Sが断面の長辺、つまり厚さ方向の端面を上下面にして搬送装置3の搬送ロール4上に搭載されている状態から、断面の短辺、つまり幅方向の端面を上下面にするように転回される様子を示している。なお、図では、搬送ロール4の上端面のみを搬送装置3と見なして表示している。
このような場合には、図5(a)に示すように鋼塊材Sの右側に接触しているサイドガイド6を図5(b)に示すように図の右方、即ち鋼塊材Sから遠ざかる方向に移動し、爪部材7が鋼塊材Sの下側面の左端隅部に係合している状態で爪部材7を上昇する。これに伴って鋼塊材Sの下側面の左端隅部が上昇し、鋼塊材Sは下側面の右端隅部を中心として回転する。この間に、右側のサイドガイド6の上端部を時計回り方向に回転させて傾斜させる。なお、爪部材7を上昇させるときには、鋼塊材Sとの係合が外れてしまわないように、爪部材7を鋼塊材S側に移動させ続ける。
このとき、図5(d)に示すように、右側のサイドガイド6が受け部材となって鋼塊材Sを受け止める。転回しようとする鋼塊材Sを右側のサイドガイド6が受け部材となって受け止めたら、図5(e)に示すように図示右側のサイドガイド6を鋼塊材Sから遠ざかるように右方に移動すると、鋼塊材Sの斜め右下側面の右端隅部が傾斜しているサイドガイド6の受け面を滑って次第に搬送ロール4の上端面に接近する。
このとき、主回動機構23で発生する推力で爪部材7を上昇させることができる鋼塊材Sであるときには、前後の油圧シリンダ24A及び24Bに油圧は供給されず、ピストンロッド24bは図3で実線図示のように収縮位置となる停止位置を保持する。
この回動アーム22の反時計方向の回動によって補助揺動アーム33A、33Bも反時計方向に回動するが、係合突起33aが油圧シリンダ24A、24Bのピストンロッド24bに連結された連携アーム32の長孔32aに係合しているので、係合突起33aは、長孔32a内を右方に油圧シリンダ24A、24Bとは反対方向に移動する。
一方、鋼塊材Sが主回動機構23の推力で引き上げることができる重量(例えば30数ton)を超える例えば42tonの大断面鋼塊材である場合には、主回動機構23の推力だけでは爪部材7を引き上げることができない。このため、主回動機構23の電動モータ26を回転駆動すると同時に油圧シリンダ24A、24Bのキャップ側に高圧油圧を供給する。このため、ピストンロッド24bが伸長し、連携アーム32を図3で見て右側に移動させる。
このため、爪部材7で42tonの大断面鋼塊材Sを上方に引き上げることが可能となる。より大きな推力を必要とする場合には、主回動機構23の両側の回動アーム22にも補助揺動アーム33A,33Bを形成し、これらに油圧シリンダ24A、24Bを連結すればよい。
しかも、油圧シリンダ24A、24Bの動作を停止している状態で、これら油圧シリンダ24A、24Bが主回動機構23の負荷となることがなく、主回動機構23の動作に支障を与えることがない。
さらに、油圧シリンダ24A,24Bを補助揺動アーム33A、33Bを介して駆動軸21に連結するだけでよいとともに、高圧油圧源は離れた位置に設置することができ、電動モータやウォーム減速機のように占有面積が大きくなることがなく、容易に設置することができる。したがって、増設工事を短期間で行うことができるとともに、増設費用を軽減することができる。
したがって、駆動軸21に新たな揺動軸を連結する必要がなく、より増設工事を容易に行うことができる。また、主回動機構23に付加する推力は個々の油圧シリンダの推力を上げるから油圧シリンダの設置台数を変更することにより、容易に調整することができる。
ちなみに、主回動機構を推力の大きな製品に交換することも考えられるが、この場合には電動モータやウォーム減速機が大型化することから既存の主回動機構との交換に制約が生じるとともに、既存の主回動機構を廃棄して新たな主回動機構を購入することになるので、爪部材7を引き上げる推力を上げるための改造設備費が高くなってしまう。
なお、上記実施形態では、直動アクチュエータとして油圧シリンダ24A、24Bを適用した場合について説明したが、水圧や空気圧を使用する流体圧シリンダや、電動シリンダなどの他の直動アクチュエータを適用することもできる。
また、補助揺動アーム33A、33Bは回動アーム22に一体に形成する場合に代えて、回動アーム22とは異なる位置で駆動軸21に取り付けるようにしてもよい。
Claims (7)
- 断面方形の鋼塊材を搬送装置上で転回する鋼塊転回装置であって、
前記搬送装置に搭載された前記鋼塊材の下側面に係合する複数の爪部材と、
前記爪部材を鋼塊材の下側隅部に係合させた状態で上昇させる昇降装置と、
前記爪部材と前記鋼塊材を挟んで対向し、当該鋼塊材を受け止める受け部材とを備え、
前記昇降装置は、前記搬送装置の搬送方向に延長して回動可能に支持された駆動軸と、該駆動軸に固定された前記爪部材の上端を回動可能に支持する複数の回動アームと、前記駆動軸を回動させる推力を発生させるに主回動機構と、前記鋼塊材が前記主回動機構の推力を超える重量である場合に前記主回動機構による前記駆動軸の回動を補助する直動アクチュエータとを備えていることを特徴とする鋼塊転回装置。 - 前記主回動機構は、電動モータと、該電動モータの回転軸に連結された減速機と、前記駆動軸に固定された前記回動アームと異なる角度で延長する揺動アームと、一端が前記減速機の出力側に固定された出力アームと、一端が前記出力アームの他端に回動可能に連結され、他端が前記揺動アームの先端に連結されたコンロッドとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鋼塊転回装置。
- 前記直動アクチュエータは、筒状チューブに伸縮可能に配置された直動軸を有し、前記筒状チューブが固定部に回動可能に支持され、前記直動軸の先端に前記駆動軸に固定された補助揺動アームに連繋する連繋アームが取り付けられている請求項1又は2に記載の鋼塊転回装置。
- 前記補助揺動アームは前記回動アームと一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の鋼塊転回装置。
- 前記連繋アーム及び前記補助揺動アームには、前記直動軸が停止位置にある状態で、前記駆動軸の前記爪部材を上昇させる回転方向の回動を許容する係合部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の鋼塊転回装置。
- 前記係合部は、前記連繋アーム及び前記補助揺動アームの一方に形成された長孔と、他方に形成された長孔に係合する突起とで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の鋼塊転回装置。
- 前記直動アクチュエータは、流体圧シリンダ及び電動シリンダの何れかで構成されている請求項1から6の何れか一項に記載の鋼塊転回装置。
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