JP2019040707A - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導加熱コイル上の高温度帯を精度よく検知し電力制御する誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】鍋20を載置する位置を示す環状の載置枠19を表示したトッププレート3と、トッププレート3の下面に設けられ、載置枠19内に載置した鍋20の温度を検知する4個の温度検出器16、17と、誘導加熱コイル13の動作を制御する制御手段74と、を備え、誘導加熱コイル13は、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2の間に略環状の隙間15を有するものであり、制御手段74は、前記第4の温度検出器17cと第2の温度検出器17aとの温度差および前記第4の温度検出器17cと第3の温度検出器17bとの温度差から、鍋20が第4の温度検出器17cの上方の位置から外れていると判別して、第4の温度検出器17cの検出温度を比較する制御温度を変更して電力制御する。
【選択図】図3
【解決手段】鍋20を載置する位置を示す環状の載置枠19を表示したトッププレート3と、トッププレート3の下面に設けられ、載置枠19内に載置した鍋20の温度を検知する4個の温度検出器16、17と、誘導加熱コイル13の動作を制御する制御手段74と、を備え、誘導加熱コイル13は、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2の間に略環状の隙間15を有するものであり、制御手段74は、前記第4の温度検出器17cと第2の温度検出器17aとの温度差および前記第4の温度検出器17cと第3の温度検出器17bとの温度差から、鍋20が第4の温度検出器17cの上方の位置から外れていると判別して、第4の温度検出器17cの検出温度を比較する制御温度を変更して電力制御する。
【選択図】図3
Description
本発明は、筐体内に誘導加熱コイルを備え、その上面の耐熱ガラス製トッププレートの温度を検出する誘導加熱調理器に関するものである。
特許文献1には、誘導加熱コイルは、内側誘導加熱コイルと外側誘導加熱コイルに分割され、調理鍋の鍋底の温度の検知は、トッププレートを介して内側誘導加熱コイルの中央部に熱伝導によって検知する内側温度検出器と、内側誘導加熱コイルと外側誘導加熱コイルとの間の隙間に熱伝導によって検知する2個の外側温度検出器よりなる誘導加熱調理器が開示されている。
特許文献1に記載の誘導加熱調理器では、内側誘導加熱コイルと外側誘導加熱コイルの間の隙間に外側温度検出器が配置されているが、誘導加熱コイルはコイル上面が最も高温になるため、外側温度検出器の配置では誘導加熱コイル上の正確な温度を検知できないという課題が有る。
そのため、特許文献1では、外側温度検出器で検知した温度が誘導加熱コイルの上面に対向する位置のトッププレート下面の実温度に比べて低く、誘導加熱コイルの上面に対向する位置のトッププレート下面の実温度との間で差異が生じるため、外側温度検出器ではトッププレートが塗装の耐熱温度に及ぶ程高温の状態を検出できないため、トッププレートに通常使用温度よりも耐熱性の高い塗装を使用し、耐熱温度に裕度をもたせる必要がある。
本発明の誘導加熱調理器は、上記の課題を解決するためになされたものであり、印刷塗料で鍋を載置する位置を示す環状の載置枠を表示したトッププレートと、前記載置枠の下方に設けられ、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルを操作する操作部と、前記トッププレートの下面に設けられ、前記載置枠内に載置した前記鍋の温度を検知する第1乃至第4の温度検出器と、前記誘導加熱コイルの動作を制御する制御手段と、を備え、前記誘導加熱コイルは、内側誘導加熱コイルと外側誘導加熱コイルの間に略環状の隙間を有するものであり、前記第1の温度検出器は、前記鍋を、前記載置枠内のどこに載置しても鍋底に覆われるように前記内側誘導加熱コイルの内周側に配置され、前記第2及び前記第3の温度検出器は、前記内側誘導加熱コイルと前記外側誘導加熱コイルの隙間であって前記操作部から近い側と遠い側にそれぞれに配置され、第4の温度検出器は、前記外側誘導加熱コイルの上面に覆い被るように配置され、前記制御手段は、前記第4の温度検出器と前記第2の温度検出器との温度差および前記第4の温度検出器と前第3の温度検出器との温度差から、前記鍋が前記第4の温度検出器の上方の位置から外れていると判別して、前記第4の温度検出器の検出温度を比較する制御温度を変更して電力制御することを特徴とする。
本発明によれば、誘導加熱コイル上の最も高温となる温度を精度よく検知することが可能となり、かつ、調理鍋が外側コイル上温度検出器から外れて配置された場合でも、外側コイル上温度検出器と外側温度検出器との温度差から、調理鍋が外側コイル上温度検出器から外れて配置されていることが判別可能となり、前記の際は早期に電力を制御することができ、トッププレートの塗装の耐熱温度に裕度をもたせる必要がなく、耐熱性の低い安価な塗装を使用することが可能となる。
以下、本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1から図9は実施例1の誘導加熱調理器を示している。図1に示されている調理器は、以下に詳細に説明するが、トッププレート3上の三個所に鍋載置部6a、6b、6cを設けたビルトイン型の誘導加熱調理器である。尚、本実施例は、キッチンに嵌め込むビルトイン型でなく、キッチンに載置する据置型の加熱調理器であっても差し支えない。
加熱調理器の筐体2は、システムキッチン1の上面から落とし込んで設置することで組み込まれる。設置後は後述するロースター部4と操作パネル5がシステムキッチン1の前面部から操作できるようになっている。
調理を行う際の被加熱物である調理鍋(図4における符号20)は、筐体2の上面に配置された耐熱ガラス等からなるトッププレート3上に載置される。調理鍋20は、トッププレート3に描かれた載置部6に載置されることで調理可能となる。
載置部6は、トッププレート3の前面側に載置部右6aと載置部左6bが配置され、これら両載置部6aおよび6bの間の後部側略中央部に載置部中央6cが配置され、また載置部6には、被加熱物である調理鍋20を載置する範囲を示した環状の載置枠19が表示され、載置枠19内に調理鍋20を載置することで効率よく調理鍋20を加熱することができる。そして、トッププレート3の鍋載置部6a、6b、6cに対応した筐体2の下部には、調理鍋を加熱するための誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cがそれぞれ設置されている。
載置部中央6cは、位置的に使用者の手の届きにくい場所である。このため、載置部中央6cで行う調理の種類は、調理者があまり手を動かさなくても良い料理、主に煮込みや保温などの調理に適している。また、煮込みや保温は、出力も弱くて済み、最大消費電力も限りがあることから、載置部中央6cに設置する誘導加熱コイル中央13cの出力を、載置部右6a及び載置部左6bに対応して設置されている誘導加熱コイル右13a及び誘導加熱コイル左13bより弱くし、消費電力が小さくなるよう設定されている。具体的には、誘導加熱コイル右13aと誘導加熱コイル左13bは、略3kW、載置部中央6cに設置される誘導加熱コイル中央13cは、略1.6kWである。
図1及び図2において、トッププレート3の周囲には、端面を保護するためのフレーム14が設けられている。トッププレート3の手前の上端縁に取り付けられるフレーム前14aと、トッププレート3の後方上端縁に取り付けられるフレーム後14bと、右側上端縁に取り付けられるフレーム右14cと、左側上端縁に取り付けられるフレーム左14dから構成されている。本例は4ピースにフレームを分割しているが、一体型でも2ピースでも何ピースでも可能であり、また、トッププレート3の4辺に取り付ける必要もなく、トッププレート3の手前だけ、後方だけ、前後の2辺だけ、若しくは左右の二辺だけでも良い。
筐体2の内部には、前記した発熱部材である誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cや電子部品(図示せず)が設けられており、これらを冷却するために筐体2の後部上面の右側に外部から空気を吸込むための吸気口7が設けられている。この吸気口7は、同じく筐体2の後部上面の左側に設けた排気口8の右側に位置する。
吸気口7で吸入した空気は、筐体2の内部で発熱する誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cや電子部品を冷却した後に、排気口8から筐体2外に排出される。また、この排気口8からは、後述するロースター部4の廃熱も同時に排出される。
ロースター部4は、魚やピザ等を焼くためのもので、筐体2前面部の左側若しくは右側に配置されており(本実施例では左側)、前面に中の焼け具合を覗き見できるロースタードア32、該ロースタードア32にハンドル11を備えている。なお、このロースター部4は、魚焼き専用ではないので、グリル若しくはオーブンと呼ぶこともある。
9は上面操作部で、複数のタクトスイッチで構成され、フレーム前14aに設けられており、誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cの出力調節や調理タイマーの設定、調理メニューの呼び出し、保温や煮物、自動炊飯、揚げ物調理等の設定、加熱の開始や停止等を行うことができるものであり、筐体2の前面の操作パネル5で行わなくとも筐体2の上面で簡単に操作できるようになっている。
10は上面表示部で、上面操作部9に沿ってトッププレート3の前面側に設けられており、上面操作部9で設定した出力設定や調理メニュー、タイマー値、調理温度等を使用者にわかりやすく表示する。
次に、図3を用いて誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cについて説明する。
誘導加熱コイル右13aは、環状の内側誘導加熱コイル13a1と、その外側に環状の隙間15を設けて配置された環状の外側誘導加熱コイル13a2とで形成され、誘導加熱コイル左13bは、環状の内側誘導加熱コイル13b1と、その外側に環状の隙間15を設けて配置された環状の外側誘導加熱コイル13b2とで形成し、内側誘導加熱コイル13b1と外側誘導加熱コイル13b2の両コイルで発生する磁束を分散させて鍋底の温度を均一化している。
また、誘導加熱コイル13の最外形部には、外側誘導加熱コイル13b2で発生した磁界が外側誘導加熱コイル13b2の外側へ広がるのを防止し、載置枠19内に載置した調理鍋20を効率よく加熱できるように、非磁性体のリング状の防磁リング21が設けられている。この防磁リング21の大きさと載置枠19の大きさが略等しく設けられている。なお、誘導加熱コイル中央13cについては詳細な説明は省略する。
次に、調理鍋20の加熱は、載置枠19の中央部に載置して加熱することで調理鍋20を効率よく加熱し、調理鍋20の鍋底の加熱ムラが少なくなる。しかし、実際は、調理鍋20は使用者側に近く、調理鍋20が載置されやすい筐体2の手前側に配置されやすい。また、使用者が調理鍋20の前に立ち、使用者が調理鍋20の取っ手を抑えながら、または、調理鍋20を揺すりながら、調理鍋20に入っている調理物を箸などで混ぜたりする時は、使用者の手の動きは筐体2のフレーム右14cに対して平行に手前側から奥側(奥側から手前側)へ動くことは少ない。図2の載置部右6aに調理鍋20を載置し、調理鍋20を動かした場合を例に説明する。使用者が右利きの場合は奥左側と手前右側方向へと少し斜め方向の動きが生じ、左利きの場合は奥右側から手前左側方向へと少し斜め方向の動きが生じる傾向がある。そのため調理鍋20は、載置域19の中央部に対して、奥側の左右のどちらか一方側、もしくは手前側の左右のどちらか一方側に寄る傾向がある。その調理鍋20が一方側に寄るのを検知するため、調理鍋20の載置位置が載置枠19の中央部か、もしくは載置枠19の一方方向に寄っているかを積極的に検知可能として、載置枠19に寄った場合に調理鍋20の鍋底の加熱ムラを最小限に抑えるように加熱制御する必要がある。
次に前述した調理鍋20の温度を検出することで、調理鍋20の位置を検知する方法について詳細に説明する。
誘導加熱コイル13は、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2に分割され、調理鍋20の鍋底の温度の検知は、トッププレート3を介して内側誘導加熱コイル13a1の中央部に熱伝導によって検知する内側温度検出器16と、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2との間の隙間15に熱伝導によって検知する2個の外側温度検出器17a、17bよりなる外側温度検出器17を備える。内側温度検出器16、外側温度検出器17a、17bは調理を上手にするために調理鍋20がずれたことを検出するものである。
更に、トッププレート下面3aの実温度に近い外側誘導加熱コイル13a2の上面に覆い被るように配置した熱伝導によって検知する1個の外側コイル上温度検出器17cを加えて、調理鍋20の載置位置を検知してトッププレート3が高温になった温度検出の精度を向上して制御したものである。
前述した4個の温度検出器の配置は、調理鍋20の載置位置を効率よく検知し電力制限できるように配置したものであり、詳細は後述する。
初めに、内側温度検出器16、外側温度検出器17a、17bによって調理をするための調理鍋20の載置位置を検知する大まかな方法について概略を説明する。調理鍋20の検知は、鍋底の温度を検知する温度検出器の温度上昇を検知することで可能であり、調理鍋20の載置位置の検知には、異なる位置に配置した各温度検出器の温度上昇を検知することで可能となる。但し、調理鍋20の鍋底はある程度の大きさが有るので、複数の温度検出器によって鍋底の温度を検知することで、調理鍋20が載置枠19に対してどの位置に載置されているかを推測することが可能となる。
そして、効率よく調理鍋20を加熱できる範囲を表す載置域19の中央部に使用可能な最小径の調理鍋20を載置した場合は、3個の温度検出器で鍋底の温度を検知することでその位置を推測可能となる。なお、最小径の調理鍋とは、誘導加熱調理器の取扱説明書などで定められた、安全な加熱が保障された最も径の小さい鍋のことであり、例えば、載置枠19の直径に対し60%程度の直径の鍋である。
また、使用可能な最小径の調理鍋20の外形が載置枠19の一方方向に寄った場合は、2個の温度検出器で鍋底の温度を検知することでその位置を推測可能となる。さらに調理鍋20が載置枠19よりはみ出して載置された場合は、1個の温度検出器で鍋底の温度を検知し、もしくは全く温度を検知できないことで位置を推測可能となる位置に各温度検知器を載置枠19内に配置している。
次に前述した3個の温度検出器の配置について詳細に説明する。
トッププレート3には、調理鍋20を効率よく加熱するために、使用者に調理鍋20を載置する位置を知らせる載置枠19が設けられ、取扱説明書では、調理鍋20は載置枠19の中央部に載置して使用するように記載されている。また、誘導加熱調理器では使用できる調理鍋20の最小径が決められている。本実施例では、この載置枠19の径を200mm、使用できる調理鍋20の最小径を120mmと設定した条件で図7(a)(b)を用いて下記説明する。
図7は、載置枠19を示し、そこに使用できる最小径の調理鍋20を異なる位置に載置した例を示したものである。図7では、載置枠19を左右に分割する直線をY軸、前後に分割する直線をX軸とし、X正かつY正を第1象限、X負かつY正を第2象限、X負かつY負を第3象限、X正かつY負を第4象限と定めている。また、載置枠19の中央部に載置した最小径の調理鍋20を20a、載置枠19の奥側(Y)に内接載置したものを20b、載置枠19の左側(−X)に内接載置したものを20c、載置枠19の手前側(−Y)に内接載置したものを20d、載置枠19の右側(X)に内接載置したものを20eとして示す。
そして、その3個の温度検出器の配置条件の最低限の条件1は、載置枠19の中央部に載置した調理鍋20aに対しては、3個の温度検出器で鍋底の温度を検知できる位置に配置とする。条件2は、使用可能な最小径の調理鍋20の外形が載置枠19の一方方向に寄った場合は2個の温度検出器で鍋底の温度を検知できる位置に配置する。この条件を満足する配置が図3に示す配置である。
図3に示す内側温度検出器16は載置枠19の中央部に設けられ、外側温度検出器17の位置は、前述した載置枠19内の第2象限と第4象限の領域の2箇所に設けられ、外側コイル上温度検出器17cの位置は、前述した載置枠19内の第2象限と第3象限の領域の中間にある(−X)に設けられ、その配置について以下説明する。
まず初めに、内側温度検出器16と外側温度検出器17a、17bの配置について説明する。内側温度検出器16は、載置枠19内のいかなる位置に調理鍋20を載置した場合でも鍋底に覆われる略中央部に配置され、外側温度検出器17a、17bのうち一つは領域22dに配置され、他の一つは領域22bとなるに配置される(図7参照)。
内側温度検出器16は、使用可能な最小径の鍋を、前記載置枠内のどこに載置しても鍋底に覆われる位置に配置され、外側温度検出器17aは、使用可能な最小径の鍋を、前記載置枠の中央部に設置した場合、または、前記載置枠の手前側もしくは右側に内接載置した場合の何れも鍋底に覆われ、かつ、前記載置枠の奥側もしくは左側に内接載置した場合の何れも鍋底に覆われない位置に配置され、外側温度検出器17bは、使用可能な最小径の鍋を、前記載置枠の中央部に設置した場合、または、前記載置枠の奥側もしくは左側に内接載置した場合の何れも鍋底に覆われ、かつ、前記載置枠の手前側もしくは右側に内接載置した何れの場合も鍋底に覆われない位置に配置される。
以上の3つの温度検出器によって、載置域19の中央部と、載置域19と使用できる最小径の調理鍋20の位置関係から求められる配置領域23bと配置領域23dに温度検出器を配置することで、使用可能な最小径の調理鍋20が載置域19の中央部からズレて配置さても確実にこのズレを検知して誘導加熱コイルを制御することが可能となる。
また、前述した配置領域23は図に示す第2象限と第4象限で求めたが、前述に基づく同様の配置領域23を第1象限と第3象限に求めても同じ効果が得られる。
次に、外側コイル上温度検出器17cの配置について説明する。外側コイル上温度検出器17cは、図7に示す第2象限と第3象限の領域の中間にある(−X)、例えば、図9に示す位置に設けられ、かつ、外側誘導加熱コイル13a2に覆いかぶさるように配置されている。内側温度検出器16は内側誘導加熱コイル13a1の中央部に配置され、外側温度検出器17a、17bは、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2との間の隙間15に配置されいるため、誘導加熱コイル13a上面の正確な温度を検出することができないが、外側コイル上温度検出器17cは、外側誘導加熱コイル13a2に覆いかぶさるように配置することによって、誘導加熱コイル13a上面の実温度を正確に検出することが可能となる。
外側誘導加熱コイル13a2と外側誘導加熱コイル13b2の上面が最も高温となるので、外側コイル上温度検出器17cをこのように配置することでトッププレート下面の実温度を正確に検出することができる。
誘導加熱コイル13a上面の実際の温度を正確に検出する効果を、図5のトッププレートの3積層構造を示す断面図で説明する。トッププレート3の積層構造は、プレート3の主材であるガラスの下面3aから順に主色塗料30a、耐熱塗料30bとなっており、印刷塗装30が施されている。
誘導加熱コイル13aによって調理鍋20が誘導加熱コイルに対向する部分が発熱して、トッププレート3の上面3bを加熱して耐熱ガラスの内部を伝熱し、同時に誘導加熱コイル13aの自己発熱によって、トッププレート3の下面3aが加熱されて、印刷塗装30にも熱が加わるものである。印刷塗料30は、使用条件による温度のバラツキに対して、耐熱温度に裕度をもつ耐熱性が高い塗料を用いる。
例えば、誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aが最も高温となる推奨フライパン等を載置枠19の中央に載置して無負荷で空焼きをした場合、誘導加熱コイル13a上面と対向するトッププレート下面3aの実温度が300℃付近に達する可能性がある。
外側コイル上温度検出器17cの配置個数は、複数個のほうが高温度帯の温度検出範囲が増えるため、外側コイル上温度検出器17cは1つでなくてもよい。
図9は外側コイル上温度検出器17cの配置について説明する図である。外側コイル上温度検出器17cを、誘導加熱コイル13a上面が高温となりやすい、無負荷で空焼き条件のフライパン等の底径150mmの鍋を載置する位置で示す。載置枠19の中央部に設置した場合の位置P7、または載置枠19の左側に内接載置した場合の位置P1、または載置枠19の手前側に内接載置した場合の位置P2、もしくは奥側に内接載置した場合の位置P3の何れも鍋底に覆われる。これに加え、載置枠19の右側に内接載置した場合の位置P4には鍋底に覆われない位置に配置される。さらに、外側温度検出器17aから左側に120°、外側温度検出器17bの左側60°の位置に配置される。図7で示すと、載置枠19内の第2象限と第3象限の領域の中間にある(−X)に配置される。
外側コイル上温度検出器17cの位置から調理鍋20を外されて配置された場合、図9において載置枠19の右側に内接載置した場合に、外側コイル上温度検出器17cでは直接、正確な温度を検出することができず、誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの実温度を検出することができない。
そのため、調理鍋20が外側コイル上温度検出器17cの位置から外されて配置された場合、外側温度検出器17aと外側温度検出器17bとの温度差を算出することにより、調理鍋20との距離と位置を把握し、誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの実温度を推定し、電力を制御する。
調理鍋20が載置枠の中央部に配置されたときの誘導加熱コイル13a上面、トッププレート下面3aの実温度に近づける必要がある。電力制御判定方法についての詳細は後述する。
そのため、外側コイル上温度検出器17cの位置は、外側温度検出器17aと外側温度検出器17bの中間に位置しては2つの外側温度検出器17との位置ずれ相関を把握できないため、外側温度検出器17aから左側に120°、外側温度検出器17bの左側60°の位置に配置している。
本実施例では、外側コイル上温度検出器17cの位置を図7で示す載置枠19内の第2象限と第3象限の領域の中間にある(−X)に配置する例で示しているが、載置枠19内の第1象限と第4象限の領域の中間にある(X)に配置してもよい。換言すると、外側温度検出器17aから右側に60°、外側温度検出器17bの右側に120°の位置に配置してもよい。
誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cは、表皮効果を抑制するためリッツ線を採用している。そして、これらの誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cには調理鍋20を加熱するために後述するインバータ72から数十kHz、数百Vの電圧が印加される。
次に制御について図6を用いて制御方法を簡単に説明する。なお、ロースター部4の制御については本実施例とは直接関係ないので、図では省略している。
操作・表示部75は、これまで説明した上面操作部9、上面表示部10等から構成されている。操作・表示部75の操作で入力されたメニュー、出力情報、調理のスタート・切情報等を制御手段74に入力信号80として送り、制御手段74で認識した情報、調理の進行状況などの処理状況を表示信号79として操作・表示部75に送り、上面表示部10等に表示する。
制御手段74は、操作・表示部75で設定された内容及び事前に組み込まれた自動調理などのプログラムに基づき各加熱部を制御する。設定された内容に基づいて調理の開始、停止、出力の設定情報を制御信号78を経て後述するインバータ制御手段73に送る。
インバータ制御手段73は、制御手段74の指示に基づいて誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cへの電力の設定、通電の開始及び停止を行う。
さらに、制御手段74が誘導加熱コイル右13aと誘導加熱コイル左13bに設けられた内側温度検出器16、外側温度検出器17a、17bからなる温度検出器17、誘導加熱コイル中央13cに設けられた温度検出器18からの温度情報を乗せた制御信号78を受信し、インバータ72に対してインバータ制御信号76を送出することでインバータ72を制御し、誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cの消費電力を監視し補正する。
誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cの出力を監視し補正することについては、インバータ72から検出信号77によって送られてくる各加熱コイル13の入力電流及び入力電圧から消費電力を算出し、出力が設定値になるようにインバータ制御信号76によりインバータ72を制御する。
インバータ72は、誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cに出力を供給するための手段であり、インバータ制御手段73からの指示に基づいて加熱コイル13の電源の供給を行う。また、このインバータ72は、インバータ制御手段73と同様に誘導加熱コイル右13a、誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13c毎に、インバータ右72a、インバータ左72b、インバータ中央72cが設けられている。そして、各誘導加熱コイル13(13a、13b、13c)の入力電圧及び入力電流を検出して各検出信号77に乗せてインバータ制御手段73に送る。
次にその動作について説明する。一例として使用者が載置部右6aに被加熱物である調理鍋20を載置して加熱する場合について説明する。
まず、上面操作部9の出力キーを押すと、その押したキー信号が入力信号80となって制御手段74に送られ、制御手段74は、出力キーが入力されたことを認識し、この内容を表示信号79として操作・表示部75に伝達し、上面表示部10のランプを点灯させる。
次に上面操作部9の切/入キーを押すと、同じ伝達経路(以後同じ信号経路の説明は省略する)を経てランプが点灯して加熱が開始される。
制御手段74が調理開始を指示すると、制御信号右78aによってインバータ制御手段右73aに設定された出力を伝送し、これを受けたインバータ制御手段右73aは設定された出力になるようにインバータ右72aの制御を行い、誘導加熱コイル右13aの電力制御を行う。インバータ右72aは、入力電圧及び入力電流の検出値を検出信号右77aに乗せてインバータ制御手段右73aに伝達し、インバータ制御手段右73aでは検出値から消費電力を求め、設定された出力が消費電力になるように誘導加熱コイル右13aの電力制御を行う(以後同じ信号経路の説明は省略する)。
以上の動作によって調理が行われるが、これらの動作については、載置部左6bおよび載置部中央6c上に調理鍋20を置いて誘導加熱コイル左13b、誘導加熱コイル中央13cで加熱する場合においても同じである。
次に、誘導加熱コイル右13aと、内側温度検出器16、外側温度検知器17a、17b、外側コイル上温度検知器17cの関係について説明する。なお、誘導加熱コイル右13bも同様であるため、誘導加熱コイル右13bについての説明は省略する。
先ず、トッププレート3の載置部右6aに直径が略200mm程度の調理鍋20を載せて加熱する場合について説明する。
トッププレート3の載置部右6aと対応した誘導加熱コイル右13aは、コイル直径が略200mmで出力が3kW程度と大きいため、鍋底の直径が略200mm程度の調理鍋20を誘導加熱コイル右13a(載置部右6a)に合わせて載置した場合、内側誘導加熱コイル13a1と外側誘導加熱コイル13a2の間に隙間15を保持して両コイルで発生する磁束を分散させて鍋の温度を均一化するようにしているが、それでも加熱開始初期段階では、内側温度検出器16によって検知される調理鍋20の中心部の温度よりも外側温度検出器17によって検知される周辺部の方が速く早温度上昇して高温になってしまう。また、外側誘導加熱コイル13a2に覆いかぶさるように配置する外側コイル上温度検出器17cは、さらに温度上昇が速く最も高温になる。
そこで、この鍋底中心部の温度と鍋周辺部の温度を、内側温度検出器16と、隙間15に設けた外側温度検出器17a、17bと、外側コイル上温度検出器17cによって検知し、検出信号右77aとしてインバータ右72aからインバータ制御手段右73aに送出し、さらに、制御信号右78aを制御手段74に送出する。
ここで、検出信号77aについて詳細に説明する。検出信号右77aは、内側温度検出器16と外側温度検出器17a、17bと、外側コイル上温度検知器17cの4個の温度検出器の出力を用いて求められる。本実施例では、外側誘導加熱コイル13a2の上面に覆い被るように配置した外側コイル上温度検知器17cの制御方法を図8と次の何れかの式を用いて演算して求める。なお、以下では、内側温度検出器16、外側温度検出器17a、17b、外側コイル上温度検出器17cが検出した温度を夫々、Th16(第1の温度情報)、Th17a(第2の温度情報)、Th17b(第3の温度情報)、Th17c(第4の温度情報)とする。
誘導加熱コイル13aは、調理鍋20が高温になりすぎないよう、また、トッププレート下面3aの印刷塗料30の安全性を保障するために、実調理上調理物の焼き色が薄くなる等の影響がでない程度の制御温度を設定している。
前記の通り、誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの実温度をTh17cで正確に検知できるため、Th17cの設定制御温度を、トッププレート下面3aの印刷塗料30の耐熱温度に少しの裕度を設けた温度に設定すれば、安全性は十分保障できる。この制御温度を基準となる制御温度A93とし、制御温度A93が誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの実温度と仮定する。
しかし、調理鍋20が外側コイル上温度検出器17cの位置から外されて配置された場合に、Th17cの温度上昇勾配は低くなるため、Th17cの制御温度A93が誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの実温度と合わなくなる。そのため、Th17cとTh17aの差、Th17cとTh17bの差からズレを検出し、制御温度を下げることで、Th17a、Th17bの制御でもトッププレート下面3aの温度が、調理鍋20が載置部6中央に配置しているときのTh17cと同じ温度になるよう制御する。以下に、図8を用いて調理鍋が外側コイル上温度検知器17cから外れて配置された時の検知方法を示す。
調理を開始すると、温度監視91を行う。ここで(条件1):(Th17a−Th17c)>10℃ の判定をする(92)。条件1が成立しない場合(N)では、基準となる制御温度Aが決定されて変更はない(93)。条件1が、成立した場合(Y)は制御温度Bが決定される(94)。制御温度Bは基準となる制御温度Aよりも温度を下げた制御温度Bとすることで、トッププレート下面3aの実温度が、調理鍋20が載置部6中央に配置しているときのTh17cと同じ温度になるよう制御する。
条件1が成り立つような調理鍋20の配置は、無負荷で空焼き条件のフライパン等の底径150mmの鍋を、載置枠19の右側に内接載置した場合の位置(図9のP4)である。
また、調理鍋20を載置枠19の右側より大きく外して、載置枠19からはみ出るように配置された場合でも、誘導加熱コイル13a上面に対向する位置のトッププレート下面3aの温度を安全性が保障できる温度に保たなくてはならない。しかし、前記のように載置枠19からはみ出るように配置された場合、Th17cの温度上昇勾配が低くなるだけでなく、ほか3つの温度検出器Th16、Th17a、Th17bも調理鍋の実温度を正確に測ることができなくなるため、制御温度Bよりも過敏に電力制御をかける必要がある。そのため、以下に調理鍋20が外側コイル上温度検知器17cから大きく外れて載置枠からはみ出るように配置されたときの検知方法を示す。
(条件2):(Th17a−Th17c)>60℃
(条件3):(Th17b−Th17c)>40℃
図8の95で(条件2)かつ(条件3)が成立するかを判定する。これらが成立しない場合(N)は制御温度Bが決定される(94)。これらが成立した場合、制御温度Cが決定される(96)。制御温度Cは制御温度Bよりも温度を下げた温度とすることで、トッププレート下面3aの実温度が、調理鍋20が載置部中央に配置しているときのTh17cと同じ温度になるよう制御する。
(条件2):(Th17a−Th17c)>60℃
(条件3):(Th17b−Th17c)>40℃
図8の95で(条件2)かつ(条件3)が成立するかを判定する。これらが成立しない場合(N)は制御温度Bが決定される(94)。これらが成立した場合、制御温度Cが決定される(96)。制御温度Cは制御温度Bよりも温度を下げた温度とすることで、トッププレート下面3aの実温度が、調理鍋20が載置部中央に配置しているときのTh17cと同じ温度になるよう制御する。
(条件2)かつ(条件3)が成り立つような調理鍋20の配置は、無負荷で空焼き条件のフライパン等の底径150mmの鍋を、載置枠19の中央から右側に40mmずらした載置枠19からはみ出るように配置された場合である。
調理鍋20が載置枠19の中央に配置する場合はTh17cにより制御温度A93で電力制御する。調理鍋20が載置枠19の右側に内接載置した場合はTh17aまたはTh17bにより制御温度B95で電力制御する。調理鍋20が外側コイル上温度検知器17cから大きく外れて載置枠からはみ出るように配置された場合はTh16またはTh17aまたはTh17bにより制御温度C97で電力制御され、制御信号78を検出信号右77aが生成され、インバータ右72aからインバータ制御手段右73aに出力され、誘導加熱コイル右13aの電力が制御される。
以上説明したように、本実施例によれば、誘導加熱コイル上の最も高温となる温度を精度よく検知することが可能となり、かつ、調理鍋が外側コイル上温度検出器から外れて配置された場合でも、該外側コイル上温度検出器と前記外側温度検出器との温度差から、調理鍋が外側コイル上温度検出器から外れて配置されていることが判別可能となり、前記の際は早期に電力を制御することができ、トッププレートの塗装の耐熱温度に裕度をもたせる必要がなく、耐熱性の低い安価な塗装を使用することが可能となる。
1・・・システムキッチン、2・・・筐体、3・・・トッププレート、6・・・載置部、9・・・上面操作部、10・・・上面表示部、13・・・誘導加熱コイル、13a・・・誘導加熱コイル右、13b・・・誘導加熱コイル左、13c・・・誘導加熱コイル中央、13a1・・・内側誘導加熱コイル、13a2・・・外側誘導加熱コイル、16・・・内側温度検出器(第1の温度検出器)、15・・・隙間、17(17a、17b)・・・外側温度検出器、17a・・・外側温度検出器(第2の温度検出器)、17b・・・外側温度検出器(第3の温度検出器)、17c・・・外側コイル上温度検出器(第4の温度検出器)、19・・・載置枠、20・・・調理鍋、21・・・防磁リング、23・・・配置領域、30・・・印刷塗料、72・・・インバータ、73・・・インバータ制御手段、74・・・制御手段、75・・・操作・表示部
Claims (1)
- 印刷塗料で鍋を載置する位置を示す環状の載置枠を表示したトッププレートと、
前記載置枠の下方に設けられ、前記鍋を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルを操作する操作部と、
前記トッププレートの下面に設けられ、前記載置枠内に載置した前記鍋の温度を検知する第1乃至第4の温度検出器と、
前記誘導加熱コイルの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記誘導加熱コイルは、内側誘導加熱コイルと外側誘導加熱コイルの間に略環状の隙間を有し、
前記第1の温度検出器は、前記鍋を、前記載置枠内のどこに載置しても鍋底に覆われるように前記内側誘導加熱コイルの内周側に配置され、
前記第2の温度検出器及び前記第3の温度検出器は、前記内側誘導加熱コイルと前記外側誘導加熱コイルの隙間であって、前記操作部から近い側と遠い側にそれぞれに配置され、
前記第4の温度検出器は、前記外側誘導加熱コイルの上面に覆い被るように配置され、前記制御手段は、前記第4の温度検出器と前記第2の温度検出器との温度差、及び前記第4の温度検出器と前第3の温度検出器との温度差から、前記鍋が前記第4の温度検出器の上方の位置から外れていると判別して、前記第4の温度検出器の検出温度を比較する制御温度を変更して電力制御することを特徴とする、誘導加熱調理器。
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JP2017160739A JP2019040707A (ja) | 2017-08-24 | 2017-08-24 | 誘導加熱調理器 |
Applications Claiming Priority (1)
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-
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- 2017-08-24 JP JP2017160739A patent/JP2019040707A/ja active Pending
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