図1に本発明の一実施形態のシステム構成を例示する。図示のシステムは、POSレジスタ100、複合機200、決済サーバ300、ネットプリントサーバ400、地図サーバ500を含む。このシステムは、商品(サービス等も含む)の販売促進キャンペーンのために対象の商品を購入した客(ユーザ)に特典コンテンツの印刷物(例えばカードやポスター)を無償で提供する場合の例である。印刷物はネットプリントサーバ400に保持された特典コンテンツの印刷データを複合機200から印刷出力される形で提供される。
このシステムにおいて、POS(Point Of Sales)レジスタ100は、POS機能を有するキャッシュレジスタである。POSレジスタ100には、電子マネーカードを読み取る装置が接続されている。
複合機200は、プリンタ、スキャナ、コピー機、ファクシミリ装置、ネットワーク通信機能、ウェブブラウザその他の情報処理機能を併せ持つ装置である。
POSレジスタ100と複合機200は、コンビニエンスストア等の店舗10内に設置されている。
決済サーバ300は、ユーザ(客)が商品等の代金の支払いを電子マネーカードを用いて行った場合の決済情報を収集し、決済を行うサーバである。付随的な処理として、電子マネーカードでの支払いに応じてユーザにポイントを付与する等の処理を行ってもよい。
ネットプリントサーバ400は、ユーザに対してインターネット経由での印刷サービスを提供するサーバである。ネットプリントサーバ400のサービスの流れは以下の通りである。すなわち、ユーザは、自分の端末からインターネット上のネットプリントサーバ400にアクセスし、印刷データをアップロードする。ネットプリントサーバ400は、一意な予約番号を生成し、その予約番号に対応付けてその印刷データを保存すると共に、その予約番号をユーザの端末に応答する。ユーザは、ネットプリントサーバ400に登録されたプリンタが設置された身近な店舗まで出向き、その店舗内のプリンタ(複合機200等)にその予約番号を入力する。プリンタは、ネットプリントサーバ400にアクセスしてその予約番号に対応する印刷データをダウンロードし、印刷出力する。
ネットプリントサーバ400に印刷データ(コンテンツ)を登録するユーザと、その印刷データを店舗のプリンタで印刷するユーザとは同一でなくてもよい。例えば、企業がネットプリントサーバ400にコンテンツを登録し、ユーザの何らかの行為(例えば商品購入、ユーザについての情報の登録)に対する対価としてそのコンテンツの印刷のための予約番号をそのユーザに提供することも可能である。その具体例として、企業が商品の販売促進キャンペーンのために、その商品を購入したユーザに特典画像を複合機200で無料で印刷するための予約番号を付与することも行われている。この実施形態では、キャンペーン対象商品の代金支払いに電子マネーカードが用いられた場合に、電子マネーカードのカード番号をキャンペーン特典コンテンツの無料印刷権とリンクすることで、ユーザが予約番号を複合機200に入力する手間をなくす。
地図サーバ500は、地図に基づく位置情報サービスを提供するサーバである。この例では、地図サーバ500は、ネットプリントサーバ400のサービスに対応したプリンタ(複合機200等)を設置した店舗の位置情報(緯度及び経度)を保持している。そして、ネットプリントサーバ400からの問合せに応じて、問合せに係る位置に近い(例えばその位置から所定(すなわち予め定めた)距離以内)店舗の店舗コード等の情報を返す。
POSレジスタ100(あるいはこれが接続された店舗内ネットワーク)は、専用線22を介して決済サーバ300に接続されている。また、決済サーバ300は専用線24を介してネットプリントサーバ400に接続されており、ネットプリントサーバ400は専用線26を介して店舗内の複合機200(又は店舗内ネットワーク)に接続されている。
図2は、POSレジスタ100のうち、本実施形態の制御に関係する機能要素群を示す図である。POSレジスタ100は、カード情報読取部102、決済処理部104、決済情報送信部106を含む。
カード情報読取部102は、商品等の代金の支払いのためにユーザから提示された電子マネーカードの情報を、例えばNFC(Near Field Communication)規格に準拠した通信により、読み取る。読み取る情報には、その電子マネーカードの識別番号であるカード番号が含まれる。また、読み取る情報には、そのカードが持つ電子マネーの残高が含まれていてもよい。なお、カード情報読取部102が読み取る電子マネーカードは、プラスチック製のカードの形態に限らない。NFC等の近接通信機能を備えた携帯端末(例えばスマートフォン)に、電子マネーカードの規格に従った通信及び決済の処理を行うアプリケーションをインストールしたものも、カード情報読取部102が読み取り可能な電子マネーカードの一形態である。
決済処理部104は、商品等の代金の決済のための処理を行う。ユーザから決済手段として電子マネーカードが提示された場合、決済処理部104は、そのユーザが購入する商品群の価格の合計をその電子マネーカードの残高から引き去る処理を行う。残高情報を電子マネーカード内のチップに持たせる場合は、決済処理部104は引き去り後の残高をNFC等により電子マネーカードに書き込む。また、電子マネーカードが残高情報を持っていない態様では、読み取られたカード番号に対応する残高を決済サーバ300から受け取り、代金の引き去りを行う。
決済情報送信部106は、決済処理部104が行った決済処理の情報(決済情報)を決済サーバ300に送信する。送信される決済情報には、電子マネーカードのカード番号、購入(支払い)の日時、支払いが行われた店舗の識別情報である店舗コード(決済店舗コード)、購入された各商品の識別情報である商品コード、支払額(購入された商品の金額の合計)等の情報が含まれる。購入された各商品の価格の情報、及び/又はカード残高の情報が更に含まれていてもよい。
図3は、決済サーバ300のうち本実施形態の制御に関係する機能要素群を示す図である。決済サーバ300は、決済情報受信部302、決済情報管理部304、通知送信部306を含む。
決済情報受信部302は、POSレジスタ100が送信した決済情報を受信する。
決済情報管理部304は、決済情報受信部302が受信した決済情報を決済履歴管理用のデータベースに保存する。また、そのデータベースが保持するカード番号に対応する残高の情報を、その決済情報に従い最新の残高額に更新する。
通知送信部306は、決済情報受信部302が受信した決済情報の中に、キャンペーン対象商品の商品コードが含まれていた場合、ネットプリントサーバ400に対して検出通知を送信する。この通知には、カード番号、日時、店舗コード、キャンペーン対象商品の商品コード(該当する物が複数あれば複数の商品コード)が含まれる。
図4は、ネットプリントサーバ400のうち本実施形態の制御に関係する機能要素群を示す図である。ネットプリントサーバ400は、通知受信部402、店舗情報管理部404、印刷データ管理部406、照会処理部408及び印刷データ送信部410を含む。
通知受信部402は、決済サーバ300から送信された検出通知を受信する。
店舗情報管理部404は、ネットプリントサーバ400に登録されているプリンタ(複合機200等)が設置された店舗(登録店舗と呼ぶ)の情報を管理している。図5に、店舗情報管理部404に保持される店舗管理情報のデータ内容の例を示す。この例では、店舗管理情報には、登録店舗毎に、店舗コード、その店舗に設置された複合機200のIPアドレス、店名、位置情報(例えば緯度と経度の組)が含まれる。なお、各登録店舗の店舗コード、店名、位置情報は、地図サーバ500にも保持されている。
印刷データ管理部406は、登録された印刷データ(コンテンツ)に関する情報を管理する。印刷データ管理部406は、印刷データ管理情報(図6)、予約番号管理情報(図7)、キャンペーン管理情報(図8)を保持している。
印刷データ管理情報は、ネットプリントサーバ400にカード番号に対応づけて登録された印刷データについての管理情報である。印刷データ管理情報の個々のレコード(図示のテーブルの1行)には、図6に示すように、カード番号、キャンペーン対象商品コード、決済店舗コード、周辺店舗、予約番号の項目が含まれる。カード番号は、登録された印刷データ(キャンペーン特典のコンテンツ)に対応する販促キャンペーンの対象商品をユーザが購入した際に決済に使用した電子マネーカードのカード番号である。キャンペーン対象商品コードは、その対象商品の商品コードである。
決済店舗コードは、そのカード番号の電子マネーカードを用いてそのユーザが最後(すなわち最新)に決済を行った店舗の店舗コードである。そのユーザがある店舗でその対象商品を購入してその代金をその電子マネーカードで決済した時点では、決済店舗コードの欄には、その店舗の店舗コードが登録される。その後、そのユーザが持つその印刷データの無料印刷権が無くなる(例えば印刷可能な枚数の印刷が完了した場合、又はキャンペーン期間が過ぎた場合)までに、そのユーザが電子マネーカードを用いて別の商品(キャンペーンの対象商品でなくてもよい)の購入を行うと、その決済店舗コードの欄の情報は、その別の商品を購入した店舗の店舗コードに変わる。すなわち、決済店舗コードは、電子マネーカードを用いた決済によりネットプリントサーバ400が認識することが可能な、ユーザの最新の所在位置(最後に買い物をした店舗)を示している。
周辺店舗の欄は、決済店舗コードが示す店舗の近傍(例えば所定距離以内)にある登録店舗の店舗コードのリストを示す。上述の通り決済店舗コードはネットプリントサーバ400が認識可能なユーザの最新の位置を示しており、周辺店舗はその最新の位置の近傍の店舗群を示す。
決済店舗コード及び周辺店舗の情報は、印刷データを事前に(すなわちユーザが要求する前に)送信しておく送信先の店舗(複合機200)を特定するために用いる。すなわち、この例では、決済店舗コード及び周辺店舗の欄に示される各店舗の複合機200に、その印刷データを予め送信しておく。これにより、ユーザがその印刷データを印刷するためにそのいずれかの店舗に来たときには、印刷データは既にその店舗の複合機200にあるので、その印刷データをダウンロードする時間が隠蔽される。
予約番号は、その印刷データに対応づけられた一意な識別情報である。ネットプリントサーバ400を利用した印刷の通常の作業フローでは、ユーザはネットプリントサーバ400から発行された予約番号を複合機200に入力することで印刷データを特定する。これに対してこの例では、ネットプリントサーバ400(印刷データ管理部406内の印刷データ管理情報)にて、予約番号が電子マネーカードのカード番号に対応づけて管理されているので、ユーザが電子マネーカードを複合機200に読み取らせれば、予約番号の入力がなくてもその印刷データが特定される。
次に、図7を参照して、予約番号管理情報について説明する。予約番号管理情報の個々のレコードには、予約番号、親番号、印刷回数、キャンペーン対象商品コードの項目が含まれる。
予約番号は、当該レコードの対象となる予約番号である。
親番号は、その予約番号に対応する一意な識別情報である。その予約番号に対応するキャンペーン特典の印刷データは、親番号に対応づけられている(図示省略)。キャンペーン特典の印刷データの印刷権(予約番号)は多数のユーザに付与されるので、印刷データを個々の予約番号に対応づけて管理する代わりに1つの親番号に対応づけて管理し、それら多数の予約番号をその1つの親番号と対応づけて管理している。
印刷回数は、その予約番号を用いてその印刷データを印刷出力した回数である。キャンペーン特典の印刷データには、例えば対象商品1つにつき印刷2回まで、というように印刷出力可能な上限回数が定められている。印刷回数の欄は、印刷回数がその上限回数に達したか否かの確認のために用いられる。
キャンペーン対象商品コードは、その予約番号に対応するキャンペーン対象商品の商品コードである。
次に、図8を参照して、キャンペーン管理情報について説明する。キャンペーン管理情報の個々のレコードには、キャンペーン対象商品コード、キャンペーン名、開始日、終了日、親番号の項目が含まれる。
キャンペーン対象商品コードは、当該レコードの対象となるキャンペーン対象商品の商品コードである。キャンペーン名は、そのキャンペーンの名称である。開始日及び終了日は、それぞれ、そのキャンペーンが開始及び終了する日付である。親番号は、そのキャンペーンの特典コンテンツの印刷データに対応づけられた親番号である。
なお、上述の通り決済サーバ300は、キャンペーン対象商品の代金を決済した場合にその旨を示す通知(前述の検出通知)をネットプリントサーバ400に送る。この処理を可能にするために、決済サーバ300には、図8に示した項目のうち、キャンペーン対象商品ごとに、キャンペーン対象商品コード、開始日、及び終了日の組の情報が登録されている。
図4の説明に戻ると、ネットプリントサーバ400の照会処理部408は、複合機200からの予約番号の照会要求を受けて、その予約番号に対応する印刷データを印刷データ管理部406から取得する処理を行う。
印刷データ送信部410は、複合機200から照会された予約番号に対応する印刷データをその複合機200に送信する。また、印刷データ管理情報(図6)のレコード内の決済店舗コード及び周辺店舗の項目に示される各店舗の複合機200に対して、そのレコードの予約番号に対応する印刷データを事前に(すなわちユーザの要求が行われる前に)送信する。
次に、図9を参照して、複合機200の機能構成について説明する。図9は、複合機200のうち本実施形態の制御に関係する機能要素群を示す図である。複合機200は、カード情報読取部202、決済処理部204、決済情報送信部206、印刷データ受信部208、印刷データ管理部210、印刷データ照会部212、印刷データ出力部214を含む。
カード情報読取部202は、複合機200の利用料金の支払いのためにユーザから提示された電子マネーカードの情報をNFC等の通信により読み取る。読み取る情報には、その電子マネーカードの識別番号であるカード番号が含まれる。更に電子マネーの残高の情報が含まれていてもよい。
決済処理部204は、利用料金の決済のための処理を行う。ユーザから決済手段として電子マネーカードが提示された場合、決済処理部204は、利用料金をその電子マネーカードの残高から引き去る処理を行う。
決済情報送信部206は、決済処理部204が行った決済処理の情報(決済情報)を決済サーバ300に送信する。送信される決済情報には、電子マネーカードのカード番号、購入(支払い)の日時、支払いが行われた店舗の識別情報である店舗コード(決済店舗コード)、支払額等の情報が含まれる。
印刷データ受信部208は、ネットプリントサーバ400から送信された印刷データを受信する。印刷データ管理部210は、受信した印刷データを管理する。図10に、印刷データ管理部210が保持する印刷データ管理情報を例示する。この例は、キャンペーン特典の印刷データについての管理情報を示している。この例の印刷データ管理情報の個々のレコードには、カード番号、キャンペーン対象商品コード、キャンペーン名、印刷回数、データ受信日時、格納場所の項目が含まれる。これら項目のうち、カード番号、キャンペーン対象商品コード、キャンペーン名、印刷回数は、既に説明したネットプリントサーバ400内の同名の項目と同じものであり、印刷データと共にネットプリントサーバ400から送信されてくる。データ受信日時は、その印刷データを受信した日時である。データ受信日時から所定の時間が経過すると、印刷データ管理部210は、そのレコード及び印刷データを削除する。本実施形態では、決済店舗コードが示す店舗及び周辺店舗の複合機200に特典の印刷データを前もって送信する方式をとっているので、実際にユーザが利用しない複合機200にもその印刷データを送ることになる。このように投機的に送信した印刷データが複合機200の記憶容量を過度に圧迫しないよう、データ受信日時から所定時間が経過した時点で、その印刷データと管理情報のレコードを削除するのである。図10において、格納場所は、複合機200のファイルシステムにおいて、その印刷データを格納した場所のファイルパスである。なお、印刷データ管理情報のレコード内に、予約番号を含めてもよい。
図9の説明に戻ると、印刷データ照会部212は、ユーザから入力された予約番号に対応する印刷データ、又はユーザから提示された電子マネーカードのカード番号に対応する印刷データ、が印刷データ管理部210に格納されていない場合に、ネットプリントサーバ400にその予約番号又はカード番号に対応する印刷データがあるかどうか照会する。対応する印刷データがネットプリントサーバ400にあれば、その印刷データが応答され、印刷データ受信部208がそれを受信する。
印刷データ出力部214は、ユーザの入力した予約番号又は電子マネーカードに対応する印刷データを印刷出力する。
次に図11及び図12を参照して、本実施形態のシステムにおける処理の流れを説明する。
図11に示すように、ユーザが店舗10で商品の購入を行い、その代金の支払いのためにPOSレジスタ100のカード情報読取部102に対して電子マネーカードを提示したとする。すると、カード情報読取部102がその電子マネーカードからカード番号等の情報を読み取り、決済処理部104が代金の決済処理を行う(S10)。そして、決済情報送信部106が、決済情報(カード番号、日時、決済店舗コード、購入された商品の商品コードのリスト、支払金額等の情報を含む)を決済サーバ300に送信する(S12)。決済情報を受け取った決済サーバ300では、決済情報管理部304がその決済情報を決済履歴のデータベースに登録すると共に、その決済情報中の商品コードのリストの中に、現在実施中のキャンペーンの対象の商品コードが含まれるか否かを判定する(S14)。この判定は、登録されているキャンペーンの情報(キャンペーン対象商品コード、開始日、終了日)を参照して行う。
S14の判定の結果が肯定(Y:キャンペーン対象商品コードが含まれる)の場合、通知送信部306が、検出通知をネットプリントサーバ400に送信する(S16)。この検出通知には、上述の決済情報に含まれる情報のうち、カード番号、日時、決済店舗コード、キャンペーン対象商品の商品コード、が含まれる。
この検出通知を受け取ったネットプリントサーバ400の印刷データ管理部406は、その検出通知に含まれるキャンペーン対象商品コードに対応するキャンペーン特典コンテンツの識別情報(すなわち上述の親番号)をキャンペーン管理情報(図8参照)から求める。また、現在、そのキャンペーン対象商品コードに対応するキャンペーンの実施期間中であることを確認する。確認がなされると、印刷データ管理部406は、新たな予約番号を発行し、その予約番号をその親番号に対応づける新たなレコードを予約番号管理情報(図7参照)に登録する。この時点では、そのレコード中の印刷回数の値は0である。また印刷データ管理部406は、上記検出通知中のカード番号、キャンペーン対象商品コード及び決済店舗コードと、先ほど発行した予約番号とを含む新たなレコードを、印刷データ管理情報(図6参照)に登録する(S18)。
また、印刷データ管理部406は、決済店舗コードに対応する店舗の位置を店舗情報管理部404から求め、その位置から所定距離以内にある店舗(ネットプリントサーバ400に登録された複合機200が設置された店舗)を地図サーバ500に照会する(S20)。地図サーバ500は、その照会に応じて、その条件に該当する店舗の情報(店舗コード等)をネットプリントサーバ400に返す。ネットプリントサーバ400の印刷データ管理部406は、地図サーバ500から受け取った店舗コードを、印刷管理情報の周辺店舗の欄に登録する。そして、印刷データ管理部406は、今回決済された商品に対応するキャンペーン特典コンテンツの印刷データと、検出通知に含まれるカード番号及び商品コードと、当該キャンペーンのキャンペーン名とを、決済店舗コードに対応する店舗、及び周辺店舗の欄に登録された各店舗の複合機200に送信する(S22)。この送信は、店舗情報管理部404の管理情報(図5参照)に含まれるそれら各店舗のIPアドレスの情報を用いて行う。
また、印刷データ管理部406は、印刷データ管理情報(図6参照)内に、その検出通知に含まれるカード番号を含んだ実施中のキャンペーン(図8のキャンペーン管理データの開始日、終了日から判別)の対象商品(今回決済された商品以外のもの)の商品コードを含んだレコードであって、印刷回数が上限に達していないレコードがあるかどうかを調べる。その条件に該当するレコードがあれば、そのレコード中の決済店舗コード及び周辺店舗を、その検出通知に含まれる店舗コード、及びS20の照会で判明した店舗コードのリストへと変更する。そして、変更後の決済店舗コード及び周辺店舗が示す各店舗の複合機200に対して、そのレコード内の予約番号に対応するコンテンツの印刷データを送信する(S22:事前送信)。これにより、そのユーザが得ている他の特典コンテンツについても、検知されたそのユーザの最新の所在位置及びその周辺の店舗の複合機200で印刷出力される際には、既に複合機200内にその特典コンテンツの印刷データが存在していることとなる。
S14の判定結果が否定(N)の場合、今回ユーザが購入した商品の中にはキャンペーン対象が含まれない。この場合、決済サーバ300は、決済履歴のデータベース内に、その決済情報に含まれるカード番号で実施中のキャンペーンの対象商品を購入したことを示す決済情報があるか否かを調べる(S24)。ない場合は処理を終了する。ある場合は、決済サーバ300は、S14で判定した決済情報(S12でPOSレジスタ100から送られてきたもの)中のカード番号、決済店舗コードを含む位置更新通知(更に日時を含んでいてもよい)をネットプリントサーバ400に送信する(S26)。
位置更新通知を受け取ったネットプリントサーバ400の印刷データ管理部406は、印刷データ管理情報(図6)内の、その通知に含まれるカード番号を含んだレコードの中から、対応するキャンペーンがまだ実施中で、かつ印刷回数が上限に達していないレコードを特定する。次に、特定したレコード内の決済店舗コードを、その位置変更通知に含まれる店舗コードへと変更する(S28)。次に、変更後の決済店舗コードの店舗の近傍の店舗を地図サーバ500に照会し(S20)、そのレコードの周辺店舗の情報をその照会により得られた店舗コードのリストへと更新する。そして、決済店舗コード及び周辺店舗が示す各店舗の複合機200に対して、そのレコード内の予約番号に対応するコンテンツの印刷データを送信する(S22)。
図12は、キャンペーン対象商品を購入したユーザがいずれかの店舗10内の複合機200から特典コンテンツを印刷する際の処理の流れを示す。ユーザは、特典のコンテンツを印刷したい場合、店舗10内の複合機200の操作画面上に表示されたメニューから特典コンテンツ印刷の操作を選択し、操作画面に表示される案内に従ってカード情報読取部202に電子マネーカードを提示(例えばタッチ操作)する。カード情報読取部202は、その電子マネーカードからカード番号等の情報を読み取る(S30)。特典コンテンツ印刷の操作が選択されているので、この場合の電子マネーカードの提示は複合機200の利用代金の支払いのためではない。この場合、印刷データ管理部210が、S30で読み取られたカード番号を含むレコード(すなわちそのカード番号に対応する印刷データ)が印刷データ管理部210の印刷データ管理情報(図10)にあるかどうかを判定する(S32)。上述のS22の事前送信処理によりその複合機200にその印刷データが送信されていれば、S32の判定結果は肯定(Y)となる。この場合、印刷データ管理部210は、見つかったレコードが1つだけかどうか判定する(S34)。複数ある場合は、それら複数のレコードの印刷データのいずれを印刷するか及びその印刷の回数を選択する選択画面を複合機200の操作画面に表示し、ユーザから選択を受け付ける(S36)。
図13にその選択画面の例を示す。この例の選択画面には、見つかった各レコードのキャンペーン名に対応づけて、残り回数及び選択回数が表示される。残り回数は、そのキャンペーン特典の上限印刷回数から既に権利行使済みの印刷回数を引いた残りである。選択回数は、ユーザが今回そのキャンペーンの特典を印刷する回数として選択した回数である。ユーザは、表示された各キャンペーンについての選択回数の値を自分の希望する回数に選択したあと、スタートボタンを押下することで、複合機200に各キャンペーン特典の印刷を指示する。
S36の指示を受け付けると、複合機200の印刷データ出力部214が、その指示に従って特典コンテンツを印刷出力する(S38)。印刷出力した回数は、印刷データ管理部210の印刷データ管理情報(図10)内の印刷回数に反映される。また、複合機200は、ネットプリントサーバ400に対し、今回の印刷の履歴(例えばカード番号、キャンペーン対象商品コード、印刷回数を含む)をネットプリントサーバ400に送る。ネットプリントサーバ400は、受け取った印刷履歴に応じて、印刷データ管理部406内の当該カード番号及びキャンペーン対象商品コードの組み合わせに対応する予約番号を特定し、その予約番号に対応する印刷回数をその印刷履歴の情報に応じて更新する。
S32でカード番号に対応する印刷データが印刷データ管理部210内にない場合には(S22で事前送信された複合機200以外の複合機200をユーザが利用する場合)、印刷データ照会部212が、S30で読み取られたカード番号に対応する印刷データをネットプリントサーバ400に照会する(S40)。ネットプリントサーバ400は、照会されたカード番号に対応する印刷データ(ただし対応するキャンペーンが実施中で、印刷回数が上限に達していないもの)が印刷データ管理部406内にあるかどうかを調べ(S42)、あればその印刷データをその複合機200に応答する(S44)。複合機200は、その印刷データを受信して印刷データ管理部210に登録すると、S34以降の処理を実行する。S42の判定結果がN(カード番号に対応する印刷データがネットプリントサーバ400にもない)の場合は、処理を終了する。
以上に説明した処理手順により、ユーザは、電子マネーカードで代金支払いを行った商品に対応するキャンペーン特典コンテンツを印刷する場合、その電子マネーカードを複合機200のカード情報読取部202に提示するという簡単な操作で指示すればよい。複合機200の画面上の入力欄に予約番号を入力する作業は必要ない。
さて、図11の手順では、ユーザが店舗でキャンペーン対象以外の商品を電子マネーカードで購入した場合に、その店舗をそのユーザの最新位置とみなし、その最新位置の近傍の店舗でそのユーザがキャンペーン特典の印刷をする場合に備えて、対応する印刷データをそれら店舗の複合機200に送信した(図11のS24〜S28)。同様の処理は、ユーザが複合機200をコピー等で利用し、その利用料金を電子マネーカードで決済した場合にも適用可能である。この場合の手順を図14に示す。
図14の手順では、複合機200のカード情報読取部202がユーザの提示した電子マネーカードの情報を読み取り、決済処理部204がその情報を用いてそのユーザの複合機200の利用料金の決済処理を行う(S50)。次に、決済情報送信部206が、決済情報を決済サーバ300に送信する(S52)。送信される決済情報には、電子マネーカードのカード番号、日付、決済店舗コード(その複合機200が設置された店舗の店舗コード)、利用料金の額、利用の種別(コピー、プリント、スキャンなど)、利用の量(枚数等)等の項目が含まれる。
決済サーバ300は、複合機200から決済情報を受け取った場合、決済履歴のデータベース内に、その決済情報に含まれるカード番号で実施中のキャンペーンの対象商品を購入したことを示す決済情報があるか否かを調べる(S54)。ない場合は処理を終了する。ある場合は、決済サーバ300は、決済情報中のカード番号、決済店舗コードを含む位置更新通知をネットプリントサーバ400に送信する(S56)。位置更新通知を受け取ったネットプリントサーバ400は、印刷データ管理部406の印刷データ管理情報(図6)内の、その通知に含まれるカード番号を含んだレコードの中から、対応するキャンペーンがまだ実施中で、かつ印刷回数が上限に達していないレコードを特定する。特定したレコード内の決済店舗コードを、その位置変更通知に含まれる店舗コードへと変更する(S58)。次に、図11のS20と同様、変更後の決済店舗コードの店舗の近傍の店舗を地図サーバ500に照会し(S60)、そのレコードの周辺店舗の情報をその照会により得られた店舗コードのリストへと更新する。そして、決済店舗コード及び周辺店舗が示す各店舗の複合機200に対して、そのレコード内の予約番号に対応するコンテンツの印刷データを送信する(S62)。
以上の例では、特典コンテンツの印刷データの事前送信は、ユーザが代金を電子マネーカードで支払った店舗(決済店舗)とその周辺の店舗の複合機200に対して行った。これに加えて、ユーザの行動範囲と推定される店舗にもその事前送信を行ってもよい。ユーザの行動範囲の店舗は、そのユーザが利用する可能性が高いと推定される店舗であり、そのユーザの電子マネーカードの利用履歴から推定する。例えば、直近で電子マネー決済した店舗はその一例である。また、そのユーザの電子マネー決済の回数が閾値以上の店舗、電子マネー決済の決済額が閾値以上の店舗など、ユーザの電子マネー決済の回数や決済額から行動範囲の店舗を推定してもよい。ここでユーザの電子マネーカードの利用履歴は、決済サーバ300が持つ決済履歴のデータベースから抽出すればよい。各ユーザの行動範囲の店舗は、例えば決済サーバ300が特定し、電子マネーカードのカード番号と行動範囲の店舗との対応関係を示す情報として保管する。
また、ユーザの利用範囲の店舗の推定に、決済カードの利用履歴における利用日時の情報を加味してもよい。ユーザの電子決済の回数が閾値以上の店舗における決済の行われた日時、曜日といった時間情報を加味することで、より具体的な行動範囲の推定を行えるようになる。例えば、あるユーザの平日における店舗の利用履歴(通勤経路で立ち寄る店舗と推定される)と休日における店舗の利用履歴(自宅近辺の店舗と推定される)には偏りがあることが想定されるので、直近の電子マネー決済したときの時間情報を参照すれば、ユーザがこれから向かうであろう店舗が絞り込まれる可能性が高い。そこで、電子決済の利用日時に関する時間情報に応じて印刷データを事前送信する店舗の決定方法を変更してもよい。例えば、直近の利用日時が平日であれば、当該ユーザの平日に利用頻度の高い店舗(直近の利用店舗から離れていてもよい)に対して印刷データを事前送信し、直近の利用日時が休日であれば、直近の利用店舗から所定距離以内の店舗に対して印刷データを事前送信する。
ネットプリントサーバ400は、決済サーバ300からその対応関係の情報を入手し、印刷データ管理部210が図6にあるカード番号とキャンペーン対象商品コードとの組を含んだ新たなレコードを登録する際に、図15に示すようにそのカード番号に対応する行動範囲の店舗のリストを併せて登録する。そして、ネットプリントサーバ400は、図11のS22で、決済店舗及び周辺店舗に加え、行動範囲の店舗にも、特典コンテンツの印刷データを送信する。
以上では、キャンペーン対象商品の購入に対してユーザに付与する特典コンテンツの印刷を例にとって説明したが、本実施形態の方法の適用はそのような場合に限らない。例えば、ユーザが自分の文書をネットプリントサーバ400に登録し、店舗10の複合機200から印刷出力する場合にも、同様の方法が適用可能である。この変形例を説明する。
この例では、ユーザは自分の携帯端末からネットプリントサーバ400に印刷対象の文書データを登録する。この携帯端末には、NFCモジュールが設けられているとともに、ネットプリントサーバ400に印刷対象の文書のファイルをアップロードするためのアプリケーション(プリントアプリと呼ぶ)、及び電子マネーカードの機能を持つアプリケーション(電子マネーアプリと呼ぶ)がインストールされている。そして、プリントアプリがユーザから指定されたファイルをネットプリントサーバ400にアップロードする際、ユーザが希望すれば、電子マネーアプリが保持する電子マネーのカード番号を併せてネットプリントサーバ400に送る。これにより、ユーザは、後でその文書をいずれかの店舗10の複合機200で印刷する際に、携帯端末を複合機200にタップする等により電子マネーのカード番号を複合機200に伝えることで、予約番号を入力することなしに、その文書の印刷出力を複合機200に指示する。
図16に、この変形例においてユーザが文書をネットプリントサーバ400にアップロードする際の処理手順を例示する。
この手順では,まず携帯端末のプリントアプリは、ユーザからネットプリントサーバ400への文書ファイルのアップロードの指示を受け付ける(S70)と、その携帯端末内に電子マネーアプリがインストールされており、その電子マネーアプリに電子マネーのカード番号が登録されているかどうかを判定する(S72)。この判定の結果が肯定(Y)の場合、プリントアプリは、ユーザに対して、その文書ファイルの印刷の指示の方式として、電子マネーカード(携帯端末)のタッチによる方式を用いるか否かを問い合わせる(S74)。例えば、プリントアプリは、携帯端末の画面に図17に例示する問合せダイアログを表示する。図示のダイアログには、電子マネーカードのカード番号を登録すれば、電子マネーカード又はそのカード番号が保持された携帯端末を複合機200にタッチする操作で文書ファイルの印刷が指示できる旨の説明が表示され、カード番号の登録を行うか否かを指定するボタンが表示される。ユーザが登録する旨のボタンを押すと、S74の判定結果は肯定(Y)となる。この場合、プリントアプリは、アップロードを指示された文書ファイル(又はそれから生成した印刷データ)、電子マネーのカード番号、及び当該携帯端末の位置情報(例えば内蔵のGPSシステムから取得した緯度と経度の組)をネットプリントサーバ400に送信する(S76)。
これらの情報を携帯端末のプリントアプリから受信したネットプリントサーバ400(印刷データ管理部406)は、受信したファイルを一意な予約番号と対応付けて保存すると共に、そのファイル(あるいはこれに対応する印刷データ)又は予約番号をその情報に含まれる電子マネーのカード番号と対応付けて記憶する(S78)。このとき印刷データ管理部406が生成する印刷データ管理情報のレコードの例を図18に示す。例示のレコードには、カード番号、決済店舗コード又は位置情報、周辺店舗のリスト、予約番号の項目が含まれる。カード番号の項目には、プリントアプリから受け取った情報の中のカード番号の値が登録される。決済店舗コード又は位置情報の項目には、プリントアプリから受け取った情報の中の位置情報が登録される。なお、今後ネットプリントサーバ400におけるその文書ファイルの保存期間が過ぎるまでに、そのユーザがそのカード番号の電子マネーカードを用いて、ネットプリントサーバ400に登録されたいずれかの店舗10で買い物をすると、決済店舗コード又は位置情報の値は、その店舗10の店舗コードにより上書きされる。また、その文書ファイルの登録の後、ユーザが別の場所から携帯端末のプリントアプリを用いて別の文書をネットプリントサーバ400に登録した場合、先に登録した文書のレコードにおける決済店舗コード又は位置情報の値は、新たな文書と共にプリントアプリからネットプリントサーバ400に送信された最新の位置情報に更新される。このように決済店舗コード又は位置情報の項目には、ネットプリントサーバ400が知得可能な、その携帯端末のユーザの最新の位置を示す位置情報又は決済店舗コードが保持される。周辺店舗のリストは、決済店舗コード又は位置情報が示す位置から所定距離以内にある、ネットプリントサーバ400に登録された複合機200を有する店舗10の店舗コードのリストである。予約番号は、当該文書に対してネットプリントサーバ400が付与した一意な番号である。
図16の説明に戻ると、ネットプリントサーバ400は、携帯端末から受信した情報に含まれる位置情報をキーとして含む周辺店舗の照会要求を地図サーバ500に送る。これに応じて地図サーバ500は、その位置情報から所定距離以内の店舗の店舗コードのリストを返す。ネットプリントサーバ400は、受け取ったリストを印刷データ管理情報(図18参照)の周辺店舗の欄に登録する(S80)。そして、ネットプリントサーバ400の印刷データ送信部410は、それら周辺店舗の各複合機200に対して、S70で受信した文書の印刷データを送信する(S82:事前送信)
なお、ユーザがネットプリントサーバ400に登録した文書を店舗10の複合機200から印刷出力する際の処理手順は、図12に示したものと同様である。
以上に説明した実施形態及び変形例はあくまで一例に過ぎない。上記実施形態及び変形例では、電子マネーカードを用いたが、この代わりに、クレジットカードやデビットカードなどのように、一意なカード番号を持ち、かつ決済機能を持つ、他の種類の決済カード(又はこの機能を持つ携帯端末)を用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明した。以上に例示したPOSレジスタ100、複合機200、決済サーバ300、ネットプリントサーバ400は、コンピュータに上述の各機能を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の固定記憶装置を制御するコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバス等を介して接続された回路構成を有する。それら各機能の処理内容が記述されたプログラムがネットワーク等の経由でフラッシュメモリ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。