JP2019039902A - リニアスキャン超音波探傷装置およびリニアスキャン超音波探傷方法 - Google Patents

リニアスキャン超音波探傷装置およびリニアスキャン超音波探傷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アレイプローブで広範囲のリニアスキャンを行う。
【解決手段】実施形態によれば、リニアスキャン超音波探傷装置100は、超音波アレイプローブ10と、電位差印加部21と、超音波の送受信の相互のタイミングをずらすための遅延時間を検査対象の表面形状に基づいて算出する遅延時間演算部33と、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置と第2プローブ設置位置との重畳する領域における重畳画像を得るための条件を設定する重畳領域調整部36と、長手方向深さ画像データを生成する統合画像演算部35を備える。重畳領域調整部は、第1プローブ設置位置および第2プローブ設置位置のいずれか一方において遅延時間演算部33が遅延時間の算出に用いる表面形状を、第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、リニアスキャン超音波探傷装置およびリニアスキャン超音波探傷方法に関する。
超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)は、非破壊で構造材の表面および内部の健全性を確認できる技術であり、様々な分野で欠かせない検査技術となっている。小型の超音波送受信用の超音波素子として圧電素子を並べ、圧電素子ごとにタイミング(遅延時間)をずらして超音波を発信することにより任意の波形を形成できるフェーズドアレイ超音波探傷試験(PAUT:Phased Array UT)は、工業用途でも広く用いられている。フェーズドアレイ超音波探傷技術は、所定の角度しか超音波を発信できない単眼プローブに比べ、1回の探傷で広範囲を探傷したり、複数の角度で探傷したり、複雑形状に対応したりすることができる可能性がある。このため、フェーズドアレイ超音波探傷技術は、作業工数を低減することが可能な点が大きな魅力となっている。
特許第5889742号公報
リニアスキャン法においては、フェーズドアレイで一定方向に超音波ビームを形成しながら、駆動させる素子を電子走査させていく。このリニアスキャン法を用いる場合、アレイプローブのチャンネル数が多いほど、得られるリニアスキャン結果の深さ方向画像の面積が広く、より明瞭な評価が可能となる。
しかし、プローブ設置位置の制限などから素子数の少ないアレイプローブを用いざるを得ない場合は、評価に十分な面積のリニアスキャン結果が得られない。そのため、アレイプローブを中心にしてビームを扇状に走査するセクタスキャンでの運用が主体となる。セクタスキャンの場合、例えば異方性を持った材料などでは、ビームを走査する角度によって音速が異なってくるため、揃った角度で測定が可能なリニアスキャンの方が有効な場合がある。
そこで本発明の実施形態では、広範囲のリニアスキャンを可能とすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置は、検査対象に超音波を送信し検査対象で反射した超音波を受信する第1の方向に沿って配された複数の超音波素子を有する超音波アレイプローブと、前記複数の超音波素子のそれぞれに超音波を発生する振動を生ぜしめる電位差を印加可能な電位差印加部と、前記複数の超音波素子のそれぞれによる前記超音波の送受信のタイミングを相互にずらすための遅延時間を前記検査対象の表面形状に基づいて算出する遅延時間演算部と、前記第1の方向に互いにずれた前記超音波アレイプローブの第1プローブ設置位置と第2プローブ設置位置との間に重畳する領域があるときに、前記重畳する領域における重畳画像を得るための条件を設定する重畳領域調整部と、前記重畳する領域を含めた範囲について前記第1の方向および前記検査対象の深さ方向に拡がる平面上の長手方向深さ画像データを生成する統合画像演算部と、を備え、前記重畳領域調整部は、前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置のいずれか一方において前記遅延時間演算部が前記遅延時間の算出に用いる前記表面形状を、前記第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および前記第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する、ことを特徴とする。
また、本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法は、検査対象の表面に沿った第1プローブ設置位置において、複数の超音波素子を有する超音波アレイプローブにより得られた第1の探傷データを記憶部が記憶する第1探傷データ取得ステップと、前記第1プローブ設置位置と一部重畳する領域を含む第2プローブ設置位置において、前記超音波アレイプローブにより得られた第2の探傷データを記憶部が記憶する第2探傷データ取得ステップと、前記一部重畳する領域における画像データの作成のための条件を重畳領域調整部が設定する条件設定ステップと、前記第1の探傷データ、前記第2の探傷データおよび前記設定された条件に基づいて前記一部重畳する領域を含む前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置に対応する探傷画像データを統合画像演算部が演算する画像データ作成ステップと、を有し、前記画像データ作成ステップは、前記複数の超音波素子のそれぞれによる超音波の送受信のタイミングを相互にずらすための遅延時間を前記検査対象の表面形状に基づいて算出する遅延時間演算ステップを含み、かつ、前記条件設定ステップは、前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置のいずれか一方において前記遅延時間の算出に用いる前記表面形状を、前記第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および前記第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する、ことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、広範囲のリニアスキャンが可能となる。
第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置におけるアレイプローブ駆動装置の構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の形状取得部の例を示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の形状取得部の例を示す側面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における手順を示すフロー図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第1の組み合わせを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第2の組み合わせを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第3の組み合わせを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の各送受信の状態を示す、左側は、ブロック図、右側は、第1の圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の各送受信の状態を示す、左側は、ブロック図、右側は、第2の圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の各送受信の状態を示す、左側は、ブロック図、右側は、第Nの圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の送信受信の状態を示す、左側は、ブロック図、右側は、エコー波形の一部を示す波形図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の送信および受信時の遅延時間を説明する波形図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法によるエコーの合成波形を示す波形図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波の進行方向を説明するための概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷結果の例を示す長手方向深さ探傷画像である。 超音波アレイプローブの2つの設置位置で検査対象の表面形状データが得られた場合の画像の統合を説明する概念的な縦断面図である。 重畳領域調整部の機能を説明するブロック図である。 超音波アレイプローブの2つの設置位置で検査対象の表面形状データが得られた場合の画像の統合に関して超音波の進行状態を示す概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第1の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第2の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第3の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第4の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第5の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による曲面状の表面を有する検査対象についての第1の探傷方法を説明する概念的な縦断面図である。 第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による曲面状の表面を有する検査対象についての第2の探傷方法を説明する概念的な縦断面図である。 第2の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による長手方向、奥行方向深さ探傷画像の第1の例を概念的に示す説明図である。 第2の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による長手方向、奥行方向深さ探傷画像の第2の例を概念的に示す説明図である。 第2の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置によるノズルの探傷を説明する概念図である。 ノズルの周方向の探索の場合を示す概念的な説明図である。 ノズルの軸方向の探索の場合を示す概念的な説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置、およびリニアスキャン超音波探傷方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重畳説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。リニアスキャン超音波探傷装置100は、超音波アレイプローブ10、アレイプローブ駆動装置80、形状取得部90、および監視盤110を有する。超音波アレイプローブ10と監視盤110とは、伝送部10aで結ばれている。また、形状取得部90は監視盤110の入力部70に接続されている。リニアスキャン超音波探傷装置100は、検査対象1に内在する欠陥2を非破壊的に検出することを目的としている。
超音波アレイプローブ10は、複数(N個)の超音波素子11およびこれらを保持する保持部12を有する。超音波素子11は、互いに所定の間隔である素子ピッチにしたがって長手方向に1次元的に配列されている。
超音波素子11は、セラミクス製や複合材料、またはそれ以外の材料の圧電効果により超音波を発生することができる圧電素子や高分子フィルムによる圧電素子またはそれ以外の超音波を発生できる機構、超音波をダンピングするダンピング材、超音波の発振面に取り付けられた前面板の一部、または全てを有する構成とし、一般的に超音波探触子と称されるものとする。
超音波素子11は、電位差を印加すると超音波を発するとともに、超音波を受けると電圧信号を発生させる。したがって、超音波素子11は、超音波の発信機能とともに受信機能も有する。
なお、超音波アレイプローブ10が、1次元的に配列されている超音波素子11を有する例を説明したが、これに限定されない。たとえば、リニアアレイプローブの奥行き方向に圧電素子を不均一な大きさで分割した1.5次元アレイプローブ、圧電素子が2次元的に配列されたマトリクスアレイプローブ、リング状の圧電素子が同心円状に配列されたリングアレイプローブ、リングアレイプローブの圧電素子を周方向で分割した分割型リングアレイプローブ、圧電素子が不均一に配置された不均一アレイプローブ、円弧の周方向位置に素子を配置した円弧状アレイプローブ、球面の表面に素子を配置した球状アレイプローブなどでもよい。
また、これらのアレイプローブを、種類を問わずに複数組合せて使用する所謂タンデム探傷でもよい。また上記のアレイプローブはコーキングやパッキングにより気中、水中を問わず利用できるものも含まれる。
検査対象1の検査時に、超音波アレイプローブ10と検査対象1との間に、楔ともよばれる音響伝搬媒質5が設けられている。音響伝搬媒質5は、指向性の高い角度で超音波を検査対象1へ入射するためのものである。音響伝搬媒質5としては、超音波が伝搬可能で音響インピーダンスが把握できている等方材を用いる。なお、検査対象1の面が平坦である場合などでは、音響伝搬媒質5は使用しなくともよい。
音響伝搬媒質5として用いる等方材としては、たとえば、アクリル、ポリイミド、ゲル、その他高分子などがある。超音波素子11の前面板(図示せず)と音響インピーダンスが近い、もしくは同じ材質を用いることもできるし、検査対象1と音響インピーダンスが近い、もしくは同じ材質を用いることもできる。また、段階的もしくは漸次的に音響インピーダンスを変化させる複合材料でもよい。
また、音響伝搬媒質5内の多重反射波が探傷結果に影響を与えないように、音響伝搬媒質5内外にダンピング材を配置したり、山型の波消し形状を設けたり、多重反射低減機構を有する場合もある。なお、以下の説明では、超音波アレイプローブ10から検査対象1へ超音波を入射させる際の説明図において音響伝搬媒質5の表示を省略している場合もある。
超音波アレイプローブ10から検査対象1に至る経路の接触部、すなわち、超音波アレイプローブ10と音響伝搬媒質5との接触部、および音響伝搬媒質5と検査対象1との接触部、あるいは、音響伝搬媒質5を使用しない場合の超音波アレイプローブ10と検査対象1との接触部には、超音波を伝搬させるために音響接触媒質(図示せず)が用いられる。音響接触媒質5は、例えば水やグリセリン、マシン油、ひまし油、アクリル、ポリスチレン、ゲル等、超音波を伝搬できる媒質である。
図2は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置におけるアレイプローブ駆動装置の構成を示す斜視図である。図2においては、形状取得部90の図示を省略している。
リニアスキャン超音波探傷装置100の超音波アレイプローブ10が、検査対象1上に設置されている。アレイプローブ駆動装置80が、超音波アレイプローブ10を駆動する。アレイプローブ駆動装置80は、超音波アレイプローブ100を、検査対象1の探傷のための所定の設置位置に固定支持する。また、複数の設置位置で探勝する際の、設置位置間の移動駆動を行う。移動の際は、基本的に、超音波の受発信は停止している。
アレイプローブ駆動装置80は、駆動軸82、第1支持部83、第1支持部駆動軸83a、第1支持部駆動部83b、第2支持部84、第2支持部駆動軸84a、第2支持部駆動部84b、およびこれらを支持する架構81を有する。
今、説明のための座標軸を設定する。具体的には、超音波アレイプローブ10の長手方向をx方向(第1の方向)、超音波アレイプローブ10から検査対象1に向かう深さ方向をz方向、x方向およびz方向に垂直な奥行き方向をy方向(第2の方向)とする。以下、検査対象1は、その広い側の一方の表面をxy平面に沿うような方向に設置されているものとして説明する。
超音波アレイプローブ10は、z方向に延びた駆動軸82の一端にパッド82aを介して結合している。駆動軸82が直接に超音波アレイプローブ10と結合可能であれば、パッド82aは不要である。駆動軸82は、x方向に延びた第1支持部83とy方向に延びた第2支持部84の交わる部分で、x方向およびy方向に拘束されるように支持されている。駆動軸82は、軸方向すなわちz方向に移動可能である。
第1支持部83は、棒状にy方向に延びた第1支持部駆動軸83aを介して第1支持部駆動部83bによってy方向に移動可能である。第2支持部84は、棒状にx方向に延びた第2支持部駆動軸84aを介して第2支持部駆動部84bによってx方向に移動可能である。第1支持部83と第2支持部84とが互いに交わる部分においては、第1支持部83と第2支持部84とが互いにスライド可能である。なお、第1支持部83と第2支持部84とが互いに交わる部分が一定箇所、すなわち互いにある箇所で固定していて、全体が平行移動することでもよい。
監視盤110は、図1に示すように、受発信部20、演算部30、記憶部40、制御部50、表示部60および入力部70を有する。
受発信部20は、電位差印加部21、入り切り部22、およびAD変換部23を有する。電位差印加部21は、電位差を印加可能に接続された超音波素子11に対して、超音波素子11に振動を生ぜしめる電位差を印加する。
入り切り部22は、制御部50からの指令に基づいて、超音波素子11の1つまたは複数について、電位差印加部21に接続される状態と電位差印加部21に接続されない状態、すなわち、電位差を印加した状態と印加しない状態との間の相互の切り替え、すなわち電位差の印加の入り切りを行う。1つの超音波素子11から送信して、各超音波素子11がその反射波を受信し、減衰すれば、次の超音波素子11からの送信が行われても、前回との識別が可能である。したがって、超音波アレイプローブ10がある設置場所において固定されている場合、入り切り部22による入り切りの間隔は、電子回路で自動的に実施できるので、たとえば、それぞれの超音波素子11の送信間隔を0.1秒程度とすれば、N=20の場合で、その設置場所での送受信時間は2秒程度と言うことになる。
AD変換部23は、超音波素子11のそれぞれが受信した信号(エコー信号)のディジタル化を行い、ディジタル超音波波形として記憶部40に出力する。
なお、電位差印加部21は、入り切り部22によって導通された超音波素子11に対して、任意波形の電位差、電圧を印加させる機能を有している。印加電圧の波形は、正弦波、のこぎり波、矩形波、スパイクパルス等が考えられ、正負両極の値をもついわゆるバイポーラでもよいし、正負どちらか一方のユニポーラでもよい。また、正負どちらかにオフセットを付加してもよい。また、波形は単パルス、バーストもしくは連続波など印加時間や繰り返し波数を増減させることもできる。
演算部30は、設置位置演算部31、表面形状演算部32、遅延時間演算部33、合成演算部34、統合画像演算部35、および重畳領域調整部36を有する。
設置位置演算部31は、検査対象1と超音波アレイプローブ10との相対位置を演算する。ここで、相対位置とは検査対象1と超音波アレイプローブ10との間の相対的な位置である。具体的には、アレイプローブ長手方向をx軸とした座標軸(図2)を設定した場合の、x方向、y方向、z方向のそれぞれにおける間隔、あるいは、x軸、y軸およびz軸それぞれの周りの回転角度差などである。
これらの座標および角度に関わる設置位置情報データは、後述する記憶部40の信号処理情報記憶部41あるいは設置位置情報記憶部42に保存されており、設置位置演算部31は、これらから設置位置情報データを読み出し、検査対象1と超音波アレイプローブ10との相対位置を演算する。
表面形状演算部32は、超音波アレイプローブ10の設置位置近傍の検査対象1の表面形状を演算する。表面形状の演算に当たっては、必要な情報を外部から得る必要がある。
表面形状演算部32が検査対象1の表面形状を算出するための情報源は、基本的に、設置位置演算部31と同様である。すなわち、第1は、形状取得部90によって取得され、設置位置情報記憶部42に保存された形状情報データである。また、第2は、信号処理情報記憶部41に保存されたディジタル超音波波形データ(エコー波形信号データ)に含まれる表面波に関する情報である。これらのいずれか、あるいは両者を用いて、表面形状演算部32は、検査対象1の表面形状である取得形状を算出する。
図3は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の形状取得部の例を示す縦断面図である。また、図4は、図3の装置の側面図である。形状取得部90は、検査対象1の表面形状に関する情報、および検査対象1と超音波アレイプローブ10との位置関係に関する情報を取得するために設けられている。
図3、図4は、形状取得部90として、2つのカメラ8が、超音波アレイプローブ10の保持部12の端部に取り付けられている場合を示している。カメラ8の映像信号は、入力部70に受け入れられて、設置位置情報記憶部42に保存される。
なお、カメラ8の設置台数は2台に限らず、1台あるいは3台以上でもよい。また、カメラ8は、保持部12の他の位置に設けてもよいし、あるいは、超音波アレイプローブ10以外、たとえば、アレイプローブ駆動装置80の駆動軸82あるいはその他の部分に取付けてもよい。2台のカメラ8によるステレオ視等を用いれば、複数画像の特徴量が画角のどの位置に存在するかで、撮像前後での位置関係が推定できる。また、画角の範囲から超音波アレイプローブ10と検査対象1がどれだけ離れているかの計測も可能となる。
その他、形状取得部90として、規定ピッチで駆動可能なスキャナや、エンコーダを用いてもよい。これらを用いることにより、基準となる開始位置から超音波アレイプローブ10がどれだけ移動したかが判別できる。これらの形状取得部90により取得された形状情報データは、入力部70により読み込まれ、設置位置情報記憶部42に保存される。あるいは、既存の図面等の形状情報データを、入力部70が読み込んで設置位置情報記憶部42が保存することでもよい。なお、形状情報データは、検査対象1の表面形状に関する情報を含んでいる。
設置位置演算部31および表面形状演算部32は、設置位置情報記憶部42から必要な形状情報データを読み出して、それぞれ、設置位置の演算および表面形状の演算を行い、取得形状を得る。
あるいは、超音波アレイプローブ10から照射した超音波により生じ、信号処理情報記憶部41に保存されたディジタル超音波波形データを用いてもよい。図6ないし図8を引用して後述するように、検査対象1の厚さに傾きがある場合は、均一な平板であれば各超音波素子11で共通した伝搬パスになるはずのエコーに時間差が生じる。このため、音響伝搬媒質5の音速と遅れ時間の積で圧電素子間にどの程度距離差が発生しているかが判定できる。同様に平板に設置した超音波アレイプローブがどのような傾きを持つかも測定が可能である。
また、ディジタル超音波波形データに含まれる表面エコーに関する情報を用いれば、検査対象1と超音波アレイプローブ10との間の距離の分布を算出できる。表面形状演算部32は、信号処理情報記憶部41からディジタル超音波波形データを読み出し、検査対象1の表面形状である取得形状を演算できる。
以上のように、記憶部40の信号処理情報記憶部41に保存されたディジタル超音波波形データ、設置位置情報記憶部42に保存された形状情報データのいずれか、あるいは両者を、必要に応じて読み出して、設置位置演算部31は設置位置の演算を、また、表面形状演算部32は、取得形状を得るための演算を行う。
遅延時間演算部33は、超音波ビームを、焦点に集束して照射および受信するための遅延時間を演算する。実際に複数の超音波素子11を時間差で照射する場合には、この遅延時間に基づいて、入り切り部22は切り替えを行い、それぞれの超音波素子11を、電圧印加状態とする。また、超音波素子11を個別に駆動する場合には、後述する合成演算部34が、この遅延時間を加味した上で各ディジタル超音波波形の合成を行う。
遅延時間演算部33は、超音波アレイプローブ10と検査対象1との相対位置関係(座標軸方向の差と角度差)、探傷屈折角β、フォーカス深さ(焦点)、検査対象1についての取得形状、音響伝搬媒質5および検査対象1における音速に基づいて、遅延時間を算出する。
この際、検査対象1についての取得形状が一般的な平面や傾いた平面でなく曲率や凹凸部があっても、それを考慮した幾何計算を行うこともできる。検査対象1の表面形状は、前述のように、表面形状演算部32が、超音波素子11から発せられた超音波の伝搬時間を用いて計算してもよいし、既存の図面等の形状情報データを読み込むことでもできる。また、カメラやレーザ距離計等の形状取得部90を、超音波アレイプローブ10に付属させたり、その近くに別途設けたりしてもよい。また、遅延時間自体、予め計算してあるものを読み込んで使用することもできる。
検査対象1を検査するにあたって、たとえば、検査対象1の領域ごとに検査する場合があり、超音波アレイプローブ10が有する全ての超音波素子11を使用するのではなく、その一部の超音波素子11を同じグループとして同時に用い、グループを順次移動する場合がある。このように、同じグループに用いられる超音波素子11のことを、前述のように、駆動素子群と呼ぶこととする。なお、駆動素子群が、超音波アレイプローブ10内の全超音波素子11の場合であってもよい。
また、遅延時間演算部33は、受信側のタイミングをずらすための遅延時間も同様に計算する。遅延時間は、設定された焦点と駆動素子群を形成するそれぞれの超音波素子11との相対的な位置座標および傾きに基づいて、この焦点に超音波を収束した後に受信するための遅延時間を演算する。ここで、焦点の位置は、例えば、超音波アレイプローブ10からみて検査対象1の裏側の面の位置に設定してもよい。あるいは、それよりも十分に遠い位置に設定してもよい。焦点の位置は、このように、状況に応じて適切に選択することができる。
合成演算部34は、駆動素子群の超音波素子11が受信して信号処理情報記憶部41に保存されたそれぞれのディジタル超音波波形のデータを用いて信号を合成する。具体的には、それぞれの超音波素子11の受信側の遅延時間にしたがって受信したそれぞれのディジタル超音波波形データを時間軸移動して、加算もしくは加算平均して合成信号(合成エコーの信号)を得る。なお、合成は、加算や加算平均以外の方法であってもよい。
統合画像演算部35は、検査対象1についての超音波アレイプローブ10の互いに重畳する2つ以上のx方向の設置位置で、それぞれ得られた波形を用いて、それぞれのx−z断面の画像用、すなわち長手方向深さ探傷画像用のデータを演算する。また、次に述べる重畳領域調整部36により設定された方法により重畳領域についての長手方向深さ探傷画像を演算した上で、統合された一つの長手方向深さ統合画像用のデータを演算する。すなわち、x軸およびz軸に平行な平面に沿った探傷画像(長手方向深さ位置画像)の表示用の長手方向深さ統合画像データを作成する。
画像化は、一般的にB−scanやS−scanと呼ばれる方法である。この画像は、探傷時の探傷条件に応じた屈折角や探傷屈折角により再構成される。以下の例についてはB−scanを用いて説明する。
重畳領域調整部36は、2つ以上の設置位置における超音波アレイプローブ10による探索領域に重畳する領域があるときに、超音波アレイプローブ10のそれぞれの設置位置で得られた検査対象1についての取得形状に基づいて、すなわち、それぞれの受発信位置による信号に基づく検査対象1についての取得形状を参照して、重畳する領域についての探傷画像の作成方式を決定する。この結果、統合画像演算部35が、それぞれの設置位置における探索の結果である2つ以上の長手方向深さ探傷画像を1つに統合した長手方向深さ統合画像を得ることができる。
ここで、超音波アレイプローブ10の異なる位置において得られた同一領域についての取得形状は、必ずしも完全には一致しない。すなわち、検査対象1の表面に曲面が存在する、あるいは、超音波素子11の長手方向(x方向)の配列と検査対象1の表面が互いに平行ではない、といった場合は、同一領域についてのそれぞれの場合における超音波探傷は、超音波素子11と入射角の関係が互いに逆になることから、その影響により、互いに異なる結果を与えることになる。したがって、両者のそれぞれにおける超音波の伝搬経路、遅延時間が異なってくる。
遅延時間の計算には、同時に駆動したい超音波素子11のグループ、すなわち駆動素子群の設定、駆動素子群を形成するそれぞれの超音波素子11の位置についての座標と角度、超音波が入射する位置の検査対象1の表面形状情報が必要である。超音波素子11の座標および角度は、設置位置演算部31により、検査対象1の表面形状Sは、表面形状演算部32により得られる。
それぞれの座標をもとに、検査対象1において形成したい焦点の座標に各超音波素子11から最短で超音波が到達する時間を算出し、超音波素子11のグループを形成する各超音波素子11間で生じる時間差分が遅延時間として得られる。この遅延時間計算時に、超音波アレイプローブ10が隣に置かれたときのディジタル超音波波形データから得られた取得形状を用いることもできる。
記憶部40は、信号処理情報記憶部41、および設置位置情報記憶部42を有する。
信号処理情報記憶部41は、受発信部20が受信した超音波のエコー信号をAD変換部23が処理して得られたディジタル超音波波形データを記憶する。
設置位置情報記憶部42は、検査対象1と超音波アレイプローブ10との相対位置関係に関わる設置位置情報データ、および検査対象1についての取得形状を含む形状に関する形状情報データを、入力部70を介して外部から受け入れて記憶する。また、設置位置演算部31に出力する。
表示部60は、信号処理情報記憶部41および設置位置情報記憶部42に保存されているデータ、演算部30の各部分での演算結果を表示する。なお、表示部60は、さらに、超音波エコーの合成信号、映像化結果、超音波アレイプローブ10の座標および検査対象1との相対位置、遅延時間、焦点深さ、探傷屈折角等の探傷条件などをさらに表示してもよい。表示部60は、超音波アレイプローブ10の、ある設置位置における長手方向深さ探傷画像、長手方向深さ統合画像、検査対象1についての取得形状の1つ以上、もしくはその組合せを表示可能とする。
表示部60は、デジタルデータを表示できるものであればよく、いわゆるPCモニタ、テレビ、プロジェクタ等が考えられ、ブラウン管のように一度アナログ信号化してから表示させるものでもよい。また、表示部60には、設定した条件に応じて音や発光によりアラームを生じさせたり、タッチパネルとして操作を入力したりするユーザインタフェース機能を有してもよい。
入力部70は、前述の設置位置情報データおよび形状情報データを外部から受け入れるとともに、演算部30における演算に必要な物性に関するデータ、音響特性に関するデータ等を外部から受け入れる。
制御部50は、受発信部20、演算部30、記憶部40、表示部60、および入力部70を制御し、これらの相互間のタイミングの整合を図る。制御部50は、いわゆるPC(パーソナルコンピュータ)に代表されるような汎用的に演算やデータ通信を行える機能を有する装置でよい。この場合、PCは、超音波アレイプローブ10、アレイプローブ駆動装置80および形状取得部90を除く部分、すなわち、監視盤110が有するものを、内包もしくは通信ケーブルで接続できる構成とする。
図5は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における手順を示すフロー図である。以下、本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法について、順次、説明する。
検査対象1を検査するに際して、超音波アレイプローブ10を設置して超音波の受発信を行う。この場合、超音波アレイプローブ10に比べて検査対象が大きな場合、超音波アレイプローブ10をx方向の複数個所に順次移動して測定を行うことになる。したがって、まず、超音波アレイプローブ10の設置位置を選定する(ステップS01)。次に、選定された箇所に超音波アレイプローブ10を設置する(ステップS02)。
次に、設置位置および表面形状の演算を行う(ステップS03)。すなわち、設置位置演算部31が、検査対象1と超音波アレイプローブ10との相対位置を演算する。また、表面形状演算部32が、超音波アレイプローブ10に対向する範囲の検査対象の表面形状を演算し、取得形状を得る。以下、設置された超音波アレイプローブ10による超音波を用いた場合の例を用いて、ステップS03について具体的に説明する。
図6は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第1の組み合わせを示す縦断面図である。
図7は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第2の組み合わせを示す縦断面図である。図7に示す場合は、検査対象1の厚さが長手方向(x方向)に変化している。
また、図8は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波アレイプローブと平板状の検査対象との第3の組み合わせを示す縦断面図である。図8に示す場合は、超音波アレイプローブ10がx軸方向にx軸に対して傾いて設置されている。
まず、超音波アレイプローブ10は、音響伝搬媒質5を介して検査対象1の面に対向するように設置される。次に、N個の超音波素子11の1つずつに順次、電位差を印加し、反射波を、N個の超音波素子11で受信する。ここで、n番目(n=1,2,・・・,N)の超音波素子11から発信し、同じn番目の超音波素子11が検査対象1の表面からの反射波を受信するまでの時間間隔を対表面時間間隔t1nとする。また、n番目の超音波素子11から発信し、同じn番目の超音波素子11が、検査対象1の底部すなわち、検査対象1における超音波の入射面(表側の面)と反対側の面(裏側の面)からの反射波を受信するまでの時間間隔を対裏面時間間隔t2nとする。
この結果、たとえば、全てのn(n=1,2,・・・,N)について、対表面時間間隔t1nのそれぞれ、および対裏面時間間隔t2nのそれぞれが測定精度の範囲内で一致する場合は、図6に示すような、超音波アレイプローブ10と検査対象1の表側の面1aおよび裏側の面1bとの間隔が一定の場合に相当する。
たとえば、nが1からNに近づくにつれて、対表面時間間隔t1nが単調に減少する一方、対裏面時間間隔t2nはそれほど変化しない場合は、検査対象1の表側の面1aとの間隔はnが1からNに近づくにつれて狭まる一方、検査対象1の裏側の面1bとの間隔はnが1からNとなっても変化しないことになる。これは、図7に示すように、nが1からNに近づくにつれて、検査対象1の厚みが増大しており、かつ、超音波アレイプローブ10が検査対象1の裏側の面1bと平行に設置されている場合に相当する。
たとえば、nが1からNに近づくにつれて、対表面時間間隔t1nが単調に減少し、かつ、対裏面時間間隔t2nも同じ傾きをもって単調に減少する場合は、検査対象1の表側の面1aおよび裏側の面1bとの間隔はnが1からNに近づくにつれて狭まっており、かつ、検査対象1の厚みは変化していないことになる。これは、図8に示すように、厚みが一定の検査対象1に対して、超音波アレイプローブ10が傾いて設置されている場合に相当する。
超音波アレイプローブ10の超音波素子11は長手方向(n=1からNの配列の方向)に凹凸なく配列されているので、以上のように、超音波アレイプローブ10に対向する範囲において、検査対象1の表側の面1aおよび裏側の面1bの凹凸、すなわち、長手方向の表面形状を計測することができる。また、同様に、超音波アレイプローブ10と検査対象1との相対的な位置関係も計測できることになる。
対表面時間間隔t1nおよび対裏面時間間隔t2nは、受発信部20のAD変換部23からのディジタル超音波波形を保存する信号処理情報記憶部41に収納されたデータに基づいて、設置位置演算部31および表面形状演算部32が算出する。
いま、図7および図8に示す場合のn=1の箇所の超音波素子11から超音波アレイプローブ10の長手方向に垂直な方向(z方向)に向かう超音波の、検査対象1の表側の面1aにおける反射を考える。この場合、反射に関する法線が長手方向の外側(図7における左側)にあるため、反射波は長手方向の外側(図7および図8の左側)に向かうことになる。
この場合、n=1の超音波素子11からの超音波の反射波の戻りが相対的に他より弱くなる。したがって、この場合の、n=1の超音波素子11から発信する超音波については、設置位置演算部31および表面形状演算部32での演算用のデータとしては信頼性がない場合がある。検査対象1の表面の凹凸の程度が大きな場合には、さらにn=1に隣接するn=2等も信頼性がない場合も出てくる。
このように、検査対象1の表側の面1aおよび裏側の面1bの凹凸、すなわち、長手方向の表面形状を計測する上では、超音波アレイプローブ10の端部に対応する検査対象1の領域についての測定をどのように行うかが重要となってくる。このため、超音波アレイプローブ10を長手方向にずらした次の設置位置とするにあたり、前回の設置位置との間で、互いに重畳する領域(重畳領域)を生ずるように設置位置を設定する。このため、重畳領域については、複数の取得形状データが得られる。
図9は、超音波の各送受信の状態を示す、左側はブロック図、右側は、第1の圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。図10は、超音波の各送受信の状態を示す、左側はブロック図、右側は、第2の圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。また、図11は、超音波の各送受信の状態を示す、左側はブロック図、右側は、第Nの圧電素子から送信した場合の各圧電素子での受信信号を示す図である。
超音波を送信する際には、超音波アレイプローブ10の中の1つ以上の超音波素子11から超音波を送信し、1つ以上の超音波素子11でそれぞれ超音波を受信するシーケンスを、超音波を送信する超音波素子11を変えながら、送受信を行うことにより、応答波形を得ることができる。すなわち、使用する超音波素子11は、図9に示すように超音波アレイプローブ10の有する超音波素子11の全てのN個であってもよいし、その一部であってもよい。
図9では、受発信部20の入り切り部22は、使用する全ての超音波素子11、すなわち、第1素子ないし第N素子について、1つずつ順番に超音波の送信を行う場合を示している。
図9のように第1素子からの送信を行うと、n=1からNまでの各超音波素子11は、図9の右側に示す信号を受信する。次に、図10のように第2素子からの送信を行うと、n=1からNまでの各超音波素子11は図10の右側に示す信号を受信する。最後に図11のように第N素子からの送信を行うと、n=1からNまでの各超音波素子11は図11の右側に示す信号を受信する。
N個の超音波素子11を有する超音波アレイプローブ10を使用した場合、送信する超音波素子11を変えていくと、最大でN×Nパタンの基本波形が収録される。ここで、受信は超音波素子11ごとに独立した状態で波形を保持する機能を維持したまま、送信に用いる超音波素子11だけを複数化することも可能である。この場合、遅延時間をかけて超音波の平面波化、集束、拡散などを行うこともできる。
検査対象1に入射された超音波は、検査対象1の表面、検査対象1の内部や表面に存在するき裂や介在物などに代表される欠陥2によって反射・散乱され、その反射された超音波は超音波アレイプローブ10の超音波素子11で受信される。
それぞれの超音波素子11から送信し、送信した超音波素子11自身を含めて全ての超音波素子11が受信した波形は、その都度、処理されて、記憶部40の信号処理情報記憶部41が記憶する。
図12は、超音波の送信受信の状態を示す、左側は、ブロック図、右側は、エコー波形の一部を示す波形図である。説明を簡略化するために、図12に示すように素子の数が3つの場合で説明する。また、検査対象1に欠陥2が存在する場合で、かつ、超音波が欠陥2の方向に出された場合を示す。ここで、第1素子ないし第3素子からの超音波は、ある方向のある個所に収束するように、互いに時間遅れをもって送信される。あるいは、個々に送信されその都度、AD変換部23で処理され、信号処理情報記憶部41に保存されたエコー波形に、信号処理が施された後に、互いに時間遅れをもって合成される。
超音波の送受信については、以下では、実際に互いに時間遅れをもって3つの超音波素子11から送信されるものとして説明するが、個々に送信された後に応答波形を合成してもよい。いずれの場合においても、この3つの超音波素子11からの送信の相互の時間遅れによって、方向と収束箇所(焦点)が決定される。なお、一緒に送信される超音波素子11の数は、3つに限定されず4つ以上でもよい。あるいは2つであってもよい。
この場合の焦点の位置は、前述のように、例えば、超音波アレイプローブ10からみて検査対象1の裏側の面1b上のある位置に設定するか、あるいは、それよりも十分に遠い位置に設定する等、状況に応じて適切に設定することができる。
まず、遅延時間を考慮せず、そのままの波形を基本波形と呼ぶこととする。以下、超音波送受信にて得た超音波波形の信号を、送信した超音波素子11の番号をp、受信した超音波素子11の番号をqとして、基本波形Ufp,qとして記述する。
図12に示すように、第1素子から送信し第1素子ないし第3素子で受信した超音波は、それぞれUf1,1、Uf1,2、Uf1,3と表記される。第2素子から送信し第1素子ないし第3素子で受信した超音波は、それぞれUf2,1、Uf2,2、Uf2,3と表記される。同様に、第3素子から送信し第1素子ないし第3素子で受信した超音波は、それぞれUf3,1、Uf3,2、Uf3,3と表記される。
図13は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法における超音波の送信および受信時の遅延時間を説明する波形図である。ここで遅延時間として図示されているのは、送信した超音波を焦点に集束させるのに必要な送信側遅延時間と、受信した超音波を集束するのに必要な受信側遅延時間の合算分である。このとき、送信で使用する超音波素子11と、受信で使用する超音波素子11は必ずしも同一でなくともよい。
ステップS03の後に、遅延時間演算部33は、設置位置演算部31により算出された検査対象1と超音波アレイプローブ10の駆動素子群との相対位置(座標、角度)、および焦点に基づいて、送信した超音波素子11と受信した超音波素子11のそれぞれの組合せについて、送信用遅延時間と受信用遅延時間の合計値の、基準となる時間(基準時間)に対する増減分を、遅延時間Tとして算出する(ステップS04)。
ステップS04に続いて、探傷条件に応じた超音波の送受信を行う(ステップS05)。具体的には、ステップS04おいて遅延時間演算部33が算出したそれぞれの遅延時間分だけ互いにタイミングをずらして超音波が送信される。たとえば、まず、超音波素子11の第1素子ないし第3素子から互いに所定の時間遅れをもって発信する。次に、第2素子ないし第4素子から互いに所定の時間遅れをもって送信する。このように順次、超音波アレイプローブ10の長手方向に沿って順次送信する超音波素子11の組を移動させ、最後に、第(N−2)素子ないし第N素子から互いに時間遅れをもって送信する。
次に、合成演算部34は、このようにして得られた各ディジタル超音波波形データを合成する(ステップS06)。具体的には、図13に示すように、遅延時間演算部33で得たそれぞれの遅延時間Tを、あるいは、遅延時間の基準値との差である相対遅延時間を、それぞれの基本波形にあてはめて時間軸方向にずらす。このずらし終わった同一時間における各波形を合成することにより、合成波形Mを得る。このような操作により、結果として、反射波が生ずるタイミングが互いに揃うことになる。
図14は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷方法によるエコーの合成波形を示す波形図である。この合成方法としては、加算や平均化などを用いることができるがこれに限定されず、他の合成法でもよい。
なお、この合成波形Mを得る方法は、これに限定されず、たとえば、一般的なフェーズドアレイUTに代表されるように、駆動する素子群とそれに付与する送受信用遅延時間を定め、送信および受信時に回路上で時間遅れを与えて励起、合成する手段を用いてもよい。
ディジタル超音波波形データを合成して合成波形データを作成した結果、反射波についてのS/N比が十分に大きくなり、反射波の発生時刻Tr、その結果、欠陥2の位置を精度よく求めることができる。
次に、制御部50が、超音波アレイプローブ10による走査が、全ての所定の位置で行われ、走査が完了したか否かを確認する(ステップS07)。走査が完了していないと判定された場合(ステップS07 NO)には、ステップS01に戻り、超音波アレイプローブ10の位置を、長手方向に移動した位置に選定し、ステップS02以下を実施する。この際、超音波アレイプローブ10の新たな設置位置における超音波アレイプローブ10が検査対象1をカバーする領域と、それまでの設置位置における超音波アレイプローブ10が検査対象1をカバーする領域との間に、共通する領域すなわち重畳領域が生ずるようにする。
走査が完了したと判定された場合(ステップS07 YES)には、合成波形データの画像化を行う(ステップS08)。すなわち、ステップS06において合成演算部34により算出された合成波形データに基づいて、統合画像演算部35が、表示部60が統合画像を表示するための表示用の長手方向深さ画像データを導く。表示部60は、この長手方向深さ探傷画像データに基づいて統合画像を表示する。
図15は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の超音波の進行方向を説明するための概念的な縦断面図である。探傷空間領域6のx方向の長さは、超音波アレイプローブ10の超音波素子11がカバーする範囲より長くなっている。
リニアスキャン結果である、長手方向深さ探傷画像を画像化して得るには、合成波形Mに加えて合成波形が伝搬した経路である、超音波ビーム伝搬経路Lの情報を用いる。合成波形を生成するために使用した送信元の超音波素子11が複数ある場合は、たとえば、中央の超音波素子11からの径路を合成波形の伝搬経路として使用する。
超音波ビーム伝搬経路Lは、合成波形Mの入射角α、探傷屈折角βによって定められる。
図16は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷結果の例を示す長手方向深さ探傷画像である。このように、長手方向深さ探傷画像は、統合画像演算部35の演算により得られた長手方向深さ探傷画像用データに基づいて、表示部60により図16に示されるように映像化され表示される。また、超音波アレイプローブ10の2つの設置位置で探傷を行った場合には、統合画像演算部35は、それぞれについて長手方向深さ探傷画像を演算する。
次に、重畳領域調整部36は、重畳領域についての長手方向深さ探傷画像を演算する条件の調整、設定を行う(ステップS09)。
図17は、超音波アレイプローブの2つの設置位置で検査対象の表面形状データが得られた場合の画像の統合を説明する概念的な縦断面図である。超音波アレイプローブ10の設置位置が、第1プローブ設置位置にある場合に超音波素子11がカバーする長手方向(x方向)の領域と、第2プローブ設置位置にある場合に超音波素子11がカバーする長手方向(x方向)の領域とに重畳した部分がある場合を示している。
遅延時間は、送信用遅延時間と受信用遅延時間の合計である。ここで、送信用遅延時間は、送信した超音波素子11から検査対象1に入射するまでの径路、および入射してから検査対象1内の欠陥2までの径路を、超音波が伝搬する時間である。また、受信用遅延時間は、反射源から検査対象1内を伝搬し検査対象1外に抜けるまでの径路、および検査対象1を抜けてから受信した超音波素子11までの径路を、超音波が伝搬する時間である。
これらの時間は、検査対象の表面形状に依存する。すなわち、表面形状が変化すれば、検査対象1までの距離が変化する、あるいは、法線の角度が変化することにより、伝搬経路が変化する。
遅延時間演算部33が遅延時間を計算するためには、前述のように、同時に駆動する超音波素子11のグループを形成するそれぞれの超音波素子11の座標と角度、および超音波が入射する位置の検査対象1についての取得形状Sを用いる。検査対象1の表面形状Sは、表面形状演算部32により算出される。それぞれの座標をもとに、検査対象1に形成したい焦点の座標に各超音波素子11から最短で超音波が到達する時間を算出し、超音波素子11のグループを形成する各超音波素子11の間で生じる時間差分が遅延時間として得られる。
この結果、第1プローブ設置位置において得られた合成波形データに基づいて表面形状演算部32が算出した検査対象1についての第1取得形状Saと、第2プローブ設置位置において得られた合成波形データに基づいて表面形状演算部32が算出した検査対象1についての第2取得形状Sbとの間に、領域的に重畳する範囲が生ずる。したがって、この部分の検査対象1の表面形状Scを設定する必要があり、重畳領域調整部36が、表面形状Scを決定する。
したがって、超音波アレイプローブ10の長手方向(x方向)に沿って、超音波アレイプローブ10を、互いに一部を重畳させながら超音波アレイプローブ10の位置を順次移動する場合には、遅延時間演算部33は、ステップS04で決定された重畳領域の表面形状に基づいて遅延時間を演算する。
図18は、重畳領域調整部の機能を説明するブロック図である。図18は、重畳領域調整部36が調整する段階、および、重畳領域調整部36により設定された条件ごとの機能的な手順を示すためのものであることから、各演算部については複数の表示がされている。
重畳領域調整部36は、第1プローブ設置位置および第2プローブ設置位置のいずれか一方においてまたは両方において遅延時間演算部33が遅延時間の算出に用いる表面形状を、第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する。
図18に示すように、重畳領域調整部36が調整を行う段階は、図18に示す調整Aと調整Bの2回ある。
調整Aは、ステップS03とステップS04の間の段階である。前述のように、ステップS03において、表面形状演算部32により、2つの互いに重複したプローブ設置位置である第1プローブ設置位置と第2プローブ設置位置のそれぞれにおける第1取得形状Saと第2取得形状Sbとが得られる。したがって、第1取得形状Saと第2取得形状Sbとをどのように用いて、重畳領域における画像を取得するかを決定する必要がある。
ここで、重畳領域については、調整Aにおいて、重畳領域調整部36は、第1取得形状Saと第2取得形状Sbに基づいて、調整形状をどのように導き出すかについて、次の3つの選定方式の中から選定する。
第1選定方式は、図18の白抜き矢印1aおよび2aで示すように、第1取得形状Saを第1調整形状、第2取得形状Sbを第2調整形状として、第1調整形状と第2調整形状の両者それぞれについて、ステップS04以降を実施するという手順である。この場合は、第1取得形状Saに基づいて第1統合画像が得られ、第2取得形状Sbに基づいて第2統合画像が得られる。したがって、重畳領域については、第1統合画像と第2統合画像の2種類の画像が得られることになるので、調整Bにおいて、重畳領域調整部36が、後述するような複数の方法の中からこれらをさらに統合する方法を選択することになる。図5に示したフロー図は、この流れに基づいた手順を示している。
一方、調整Aにおける第2選定方針は、重畳領域も含めた第1プローブ設定位置での遅延時間演算の基となる表面形状の設定を、図18の白抜き矢印1bで示すように、第1取得形状Saおよび第2取得形状Sbの両者に基づいて行うものである。この場合は、調整C1において、重畳領域調整部36は、いくつかの選択肢の中から、表面形状の調整の結果としての第1調整形状を決定する。重畳領域調整部36が決定する第1調整形状については、例えば重畳領域外の部分については第1取得形状Saを用い、調整C1における選択肢として、重畳領域において第1取得形状Saを用いずに第2取得形状Sbを用いる方法、重畳領域において第1取得形状Saと第2取得形状Sbとを平均する方法、あるいは重畳領域において第1取得形状Saと第2取得形状Sbとを重み付けをして加算する方法などがある。この例では、調整C1において重畳領域の表面形状の取得方法を選択肢としているが、重畳領域に限らず、例えば第1取得形状Saの範囲における第2取得形状Sb側の予め定められた割合などの範囲を表面形状の取得方法の選択を行う部分として設定しておいてもよい。このように、特に第1取得形状Saのうちの端部側の位置で第2取得形状Sbを用いることで、第1調整形状をより正確に与えることが可能となる。第2選定方針を選択した場合は、遅延時間演算部33、合成演算部34、および統合画像演算部35での演算は、第1取得形状Saおよび第2取得形状Sbの両者を用いて設定した第1調整形状のみに基づいて行われ、最終的な調製画像も、単独で得られる。
また、調整Aにおける第3選定方針は、重畳領域も含めた第2プローブ設定位置での遅延時間演算の基となる表面形状の設定を、図18の白抜き矢印2bで示すように、第1取得形状Saおよび第2取得形状Sbの両者に基づいて行うものである。この場合は、調整C2において、重畳領域調整部36は、いくつかの選択肢の中から、表面形状の調整の結果としての第2調整形状を決定する。重畳領域調整部36が決定する第2調整形状については、例えば重畳領域外の部分については第2取得形状Sbを用い、調整C2における選択肢として、重畳領域において第2取得形状Sbを用いずに第1取得形状Saを用いる方法、重畳領域において第1取得形状Saと第2取得形状Sbとを平均する方法、あるいは重畳領域において第1取得形状Saと第2取得形状Sbとを重み付けをして加算する方法などがある。第2選定方針と同様、調整C2においての表面形状の取得方法の選択肢の対象とする範囲は重畳領域に限らず、例えば第2取得形状Sbの範囲における第1取得形状Sa側の予め定められた割合などの範囲を表面形状の取得方法の選択を行う部分として設定しておいてもよい。このように、特に第2取得形状Sbのうちの端部側の位置で第1取得形状Saを用いることで、第2調整形状をより正確に与えることが可能となる。第3選定方針を選択した場合は、遅延時間演算部33、合成演算部34、および統合画像演算部35での演算は、第2調整形状のみに基づいて行われ、最終的な調製画像も、単独で得られる。
なお、第2選定方針と第3選定方針を同時に選択しても構わない。または、第1調整形状については第2選定方針を選択し、第2調整形状のみについて第1選定方針を選択してもよく、もしくその逆に、第1調整形状についてのみ第1選定方針を選択し、第2調整形状については第3選定方針を選択しても構わない。なお、このように、第2選定方針もしくは第3選定方針に対して第1選定方針を組み合わせる場合、後に説明する調整Bにおいて調製画像を得る際には、重畳領域の画像については、第1選定方針を用いて統合した画像ではなく、第2選定方針または第3選定方針を用いて統合した統合画像を用いることが好ましい。
以下、図5に示して手順に沿って、すなわち、先に述べたように、調整Aにおいて重畳領域調整部36が第1選定方針を選定した場合の流れに沿って説明する。
図19は、超音波アレイプローブの2つのプローブ設置位置で検査対象の表面形状データが得られた場合の画像の統合に関して超音波の進行状態を示す概念的な縦断面図である。遅延時間の演算の対象の範囲に、リニアスキャン超音波探傷装置の重畳部分を含む場合には、重畳領域調整部36は、外部からの指示内容あるいは自身が有する方針に基づいて、重畳部分の表面形状を決定する。
この重畳領域について、重畳領域調整部36により設定された表面形状に基づいて、統合画像演算部35は、長手方向深さ統合画像用のデータを演算する。表示部60は、この結果に基づいて長手方向深さ統合画像を表示する(ステップS10)。
なお、重畳領域についての長手方向深さ探傷画像を演算する条件を設定することとして、表面形状を設定する場合について説明したが、これに限らない。重畳領域についての長手方向深さ探傷画像を演算する条件の設定方針は、入力部70を介して外部から指定されてもよいし、重畳領域調整部36内が保有していてもよい。
設定としては、たとえば、一方の長手方向深さ探傷画像を選択する、適切な方の結果を用いる、あるいは、両者の平均値とするなどである。適切な方の例としては、超音波素子11から検査対象1へ発信される超音波の入射方向が内側に向かっている、すなわち、図7や図8に示すような場合において、図7のn=1や図8のn=1の側ではなく、図7のn=Nや図8のn=Nの側に相当するものを採用するなどが考えられる。
以下に、重畳領域についての長手方向深さ探傷画像を演算する条件の設定について、いくつかの具体的な例を説明する。
ここで一部重畳する2つ以上の超音波アレイプローブ10のプローブ設置位置が存在する場合、各々の座標系に基づいて長手方向深さ探傷画像が描画される。その2つの長手方向深さ探傷画像の連なりが長手方向深さ統合画像であり、それぞれの長手方向深さ探傷画像の一部が重畳した部分が長手方向深さ重畳画像となる。このような、長手方向深さ統合画像の表示用のデータは統合画像演算部35によって得られる。
ここで、統合画像は、超音波アレイプローブ10の設置および移動の位置のy方向の中心に沿った、x方向およびz方向に拡がる平面状の領域についての長手方向深さ探傷画像となる。この画像のx方向の幅は、超音波アレイプローブ10の設置および移動の位置に対応する領域に対応する。また、この画像のz方向の幅は、検査対象1の表側の面1aおよび裏側の面1bに挟まれた範囲に対応する。
ステップS03ないしステップS08において、検査対象1のそれぞれの重畳領域については、超音波アレイプローブ10の互いに隣接する2つのプローブ設置位置における合成波形データがそれぞれ存在する。これら2つの合成波形データは、互いに異なるプローブ設置位置における測定の手順におけるステップS03でなされた別個の測定、演算により得られることから、表面形状は同一ではなく基本的に互いに異なるものである。
したがって、ステップS08までの手順の結果、検査対象1のそれぞれの重畳領域については、2種類の長手方向深さ探傷画像が得られている。
図18に示す調整Bにおいて重畳領域調整部36が以下に示す5つの方針の中から1つを選定することにより、重畳領域における探傷画像が得られる。なお、5つは例示であって、これに限定するものではなく、合成方法として他の適切な方法も用いることができる。
図20は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第1の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。図20のように超音波アレイプローブ10の2つの第1プローブ設置位置および第2プローブ設置位置の間に重畳領域が存在する場合に、長手方向深さ重畳画像が、双方の探傷結果情報を有する。すなわち、個別には、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて点線で示す長手方向深さ探傷画像Gaが作成され、超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて破線で示す長手方向深さ探傷画像Gbが作成される。
長手方向深さ探傷画像Gaと長手方向深さ探傷画像Gbとの間の重畳する領域については、すなわち両方の合成波形Mに基づいて、長手方向深さ重畳画像が作成され、2点鎖線で示すような全体の長手方向深さ統合画像Gtが作成される。
図21は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第2の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。この例では、超音波アレイプローブ10の2つの第1プローブ設置位置および第2プローブ設置位置の間に重畳領域が存在する場合に、長手方向深さ重畳画像が、一方の探傷結果情報のみを有する。すなわち2つの合成波形Mのうち、一方の合成波形Mに基づいて、長手方向深さ重畳画像が作成される。この際、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置の結果か超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置の結果のいずれかが選択される。
重畳する領域を含めて、超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて破線で示すような長手方向深さ探傷画像Gbが作成される。また、重畳する領域を除いて、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて点線で示すような長手方向深さ探傷画像Gaが作成される。長手方向深さ探傷画像Gaと長手方向深さ探傷画像Gbが、2点鎖線で示すような長手方向深さ統合画像Gtを構成する。
図22は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第3の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。超音波アレイプローブ10の2つの第1プローブ設置位置および第2プローブ設置位置の間に重畳領域が存在する場合に、それぞれの合成波形Mの加算平均や、ピークホールド等両者の情報を統合する処理を設けることもできる。
まず、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて、所定の間隔daをおいて点線で示すように合成波形Maを作成し、また、超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて、所定の間隔dbをおいて破線で示すように合成波形Mbを作成する。この際、特に重畳する領域においては、所定の間隔daと所定の間隔dbの値を合わせ、かつ、合成波形Maと合成波形Mbとを生ずる位置も同一位置となるようにし、同じ位置での両者の合成波形Mc、あるいは、合成波形を作成するための情報を用いて、情報の統合を行い、重畳部での長手方向深さ探傷画像Gcを作成する。
図23は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第4の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。図23に示すように、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置での探傷結果による合成波形Maと、超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置での探傷結果による合成波形Mbとを並列して表示することもできる。
まず、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて、所定の間隔daをおいて点線で示すように合成波形Maを作成する。また、超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置での探傷結果情報に基づいて、所定の間隔dbをおいて破線で示すように合成波形Mbを作成する。この際、特に重畳する領域において、合成波形Maと合成波形Mbとを生ずる位置が互いに異なる位置となるようにする。この結果、重畳する領域においては、合成波形Mcは、合成波形Maおよび合成波形Mbの両者を有する。重畳部での長手方向深さ探傷画像Gcは、合成波形Maおよび合成波形Mbを用いて作成される。
図24は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による探傷画像の第5の重畳方法を説明する概念的な縦断面図である。
超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置において点線で示すように合成波形Ma1などの探傷結果情報を得た後に、超音波アレイプローブ10中に配列された超音波素子11のピッチの半分、すなわち互いに隣接する超音波素子11同士の間隔の半分だけずらした第1Aプローブ設置位置において実線で示すように合成波形Ma2などの探傷結果情報を取得する。このようにすることにより第1プローブ設置位置のみの場合に比べて2倍の密度で合成波形を得ることができる。
同様に、第1プローブ設置位置と一部重畳する領域の超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置において破線で示すように合成波形Mb1などの探傷結果情報を得た後に、超音波アレイプローブ10中に配列された超音波素子11のピッチの半分だけずらした第2Aプローブ設置位置において2点鎖線で示すように合成波形Mb2などの探傷結果情報を取得する。このようにすることにより第2プローブ設置位置のみの場合に比べて2倍の密度で合成波形を得ることができる。
重畳領域における統合方法は、これまで示しているいずれかの方法によるが、いずれの場合でも、疑似的に2倍の密度の音線を持つ長手方向深さ統合画像Gtを得ることができる。
図25は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による曲面状の表面を有する検査対象についての第1の探傷方法を説明する概念的な縦断面図である。
曲面状の方面を有する検査対象1の周方向に、超音波アレイプローブ10のプローブ設置位置を順次移動している。第1プローブ設置位置において合成波形Maを得て、第2プローブ設置位置において合成波形Mbを得ており、第3プローブ設置位置において合成波形Mcを得ている。
ここで、合成波形Ma、合成波形Mbおよび合成波形Mcの検査対象1における方向が、揃っている。このように、長手方向深さ統合画像Gtは、超音波アレイプローブ10のある基準となるプローブ設置位置(たとえばB)における探傷屈折角に基づき、超音波アレイプローブ10のどのプローブ設置位置で得た結果であっても、検査対象1の内部で平行な音線を描くように描画する。
図26は、第1の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による曲面状の表面を有する検査対象についての第2の探傷方法を説明する概念的な縦断面図である。
図26に示すように、超音波アレイプローブ10の各々のプローブ設置位置において定義された屈折方向を、統一して描画する。
以上の図25および図26で示した例の場合に、長手方向深さ統合画像Gtの表示の際に、超音波アレイプローブ10のある基準となるプローブ設置位置について表示指定する角度に連動して、他のプローブ設置位置の結果も、連動して追従する機能を設けることもできる。もちろん、各アレイプローブプローブ設置位置の各々で任意の探傷屈折角を設定することもできる。
以上のように、本実施形態によるリニアスキャン超音波探傷装置100によれば、チャンネル数が少ない超音波アレイプローブ10を用いる場合でも、順次、重畳領域を設けながら超音波アレイプローブ10を移動させて超音波探傷を行えば、重畳領域の画像を適切に調整することにより、全体画像を作成することができ、広範囲のリニアスキャンが可能となる。
[第2の実施形態]
図27は、第2の実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。第1の実施形態における超音波アレイプローブ10は、x方向(第1の方向)に1列に配列された複数の超音波素子11を有する構成であるのに対して、本第2の実施形態における超音波アレイプローブ10は、x方向およびy方向(第2の方向)の2次元的に配列された複数の超音波素子11を有する。すなわち、奥行き方向へもビーム制御が可能な2次元アレイ(例えばマトリクスアレイ等)を用いている。このため、入り切り部22も2次元的に切り替えを行う。また、演算部30は、2次元配列の奥行き画像演算部37をさらに有する。この結果、表示部60は、奥行き画像までを表示可能である。その他の点では、第1の実施形態と同様である。
図28は、本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置による長手方向、奥行方向深さ探傷画像の第1の例を概念的に示す説明図である。図27に示す構成を有する本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置100によれば、2次元配列の超音波アレイプローブ10により、x方向のみならずy方向にも探傷が可能となっている。図28は、y方向に、リニアスキャンのように互いに平行なビーム走査が行われた場合を示している。
統合画像演算部35が、長手方向深さ探傷画像、すなわち、x方向およびz方向の断面(x−z方向断面)における探傷画像を表示するための長手方向深さ探傷画像データを作成するのと同様に、奥行き画像演算部37は、y方向およびz方向の断面(y−z方向断面)における探傷画像である奥行き方向深さ探傷画像Gyzの表示用の奥行き方向深さ画像データを作成する。
この結果、本第2の実施形態においては、検査対象1内のスキャンされた範囲については、3次元的に探傷画像データが作成されている。これらの探傷画像データは、信号処理情報記憶部41に保存される。
図28の(a)は、長手方向深さ探傷画像、すなわち、x方向およびz方向の断面(x−z方向断面)における探傷画像であり、超音波アレイプローブ10の第1プローブ設置位置における長手方向深さ探傷画像Gxzaおよび超音波アレイプローブ10の第2プローブ設置位置における長手方向深さ探傷画像Gxzbを示している。統合画像演算部35は、信号処理情報記憶部41から目的とするx−z方向断面についての探傷画像データを読み出して、長手方向深さ探傷画像データを作成し、表示部60が表示する。
長手方向深さ探傷画像Gxzaと長手方向深さ探傷画像Gxzbは、互いに重畳する部分を有しており、重畳する部分については、第1の実施形態と同様に、統合画像演算部35が長手方向深さ重畳画像Gxzd用のデータを作成する際の作成条件が、重畳領域調整部36によって決定される。
図28の(b)は、長手方向深さ探傷画像Gxzaのある部分においての合成波形Mを含むy軸に平行な平面上の奥行き方向深さ探傷画像Gyzaを示す。なお、この画像はy−z平面上ではなくy−z平面から傾いた平面状であるが、便宜的にGyzのように表記している。すなわち、奥行き方向深さ探傷画像Gyzaは、x−z平面に垂直で音線Paを含む平面に広がる画像データを、x方向に投影した図である。
図28の(c)は、図26の(b)と同様の図であり、長手方向深さ探傷画像Gxzbのある部分においての合成波形Mを含むy軸の平行な平面上の奥行き方向深さ探傷画像Gyzbを示す。奥行き方向深さ探傷画像Gyzbは、奥行き方向深さ探傷画像Gyzaと同様に、x−z平面に垂直で音線Pbを含む平面に広がる画像データを、x方向に投影した図である。
図29は、長手方向、奥行方向深さ探傷画像の第2の例を概念的に示す説明図である。図29は、図28と同様であるが、y方向に、セクタスキャンのように、扇状のビーム走査が行われた場合を示している。
図30は、本実施形態に係るリニアスキャン超音波探傷装置によるノズルについての探傷を説明する概念図である。ノズル4の中心軸方向をz方向、径方向をr方向、周方向をθ方向としている。
ノズル4の付け根部は、3次元的な曲面であり、超音波アレイプローブ10は、その長手方向をθ方向にして、設定されている。超音波アレイプローブ10は、所定のz方向位置において、θ方向に互いに重畳した領域を設けながら移動させる。θ方向に一周したら、z方向に重畳した領域を設けながら移動して、再びθ方向に移動させる。これを繰り返して、ノズル4の必要範囲の探索を行う。
図31は、ノズルの周方向の探索の場合を示す概念的な説明図である。すなわち、r−θ方向の第1プローブ設置位置、第2プローブ設置位置(基準)および第3プローブ設置位置の各プローブ設置位置での探索の場合を示す。また、図32は、ノズルの軸方向の探索の場合を示す概念的な説明図である。すなわち、r−θ方向でのそれぞれのプローブ設置位置において、プローブ設置位置BおよびB1というr−z方向の探索の場合を示す。
θ方向については統合画像演算部35が画像生成演算を行い、z方向については奥行き画像演算部37が画像生成演算を行う。θ方向に重畳した領域については、重畳領域調整部36が条件を決定し、統合画像演算部35に出力する。また、z方向に重畳した領域については、重畳領域調整部36が条件を決定し、奥行き画像演算部37に出力する。
条件の決定方法については、一方のプローブ設置位置において得られた表面形状を用いて遅れ時間演算移行を行う方法、両方のプローブ設置位置において得られた合成波形を用いて重畳画像を作成する方法、両方のプローブ設置位置において得られた合成波形の同一位置のもの同士を合成する方法などから、第1の実施形態で説明したように、入力部70を介して受け入れた外部からの条件、あるいは重畳領域調整部36に保管されている条件にもとづいて、適正な方法が選択される。
以上のように、本第2の実施形態によるリニアスキャン超音波探傷装置100によれば、チャンネル数の少ない超音波アレイプローブを用いながら、3次元的なリニアスキャンが可能となる。
[その他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…検査対象、1a…表側の面、1b…裏側の面、2…欠陥、4…ノズル、5…音響伝搬媒質、6…探傷空間領域、8…カメラ、10…超音波アレイプローブ、10a…伝送部、11…超音波素子、12…保持部、20…受発信部、21…電位差印加部、22…入り切り部、23…AD変換部、30…演算部、31…設置位置演算部、32…表面形状演算部、33…遅延時間演算部、34…合成演算部、35…統合画像演算部、36…重畳領域調整部、37…奥行き画像演算部、40…記憶部、41…信号処理情報記憶部、42…設置位置情報記憶部、50…制御部、60…表示部、70…入力部、80…アレイプローブ駆動装置、81…架構、82…駆動軸、82a…パッド、83…第1支持部、83a…第1支持部駆動軸、83b…第1支持部駆動部、84…第2支持部、84a…第2支持部駆動軸、84b…第2支持部駆動部、90…形状取得部、100…リニアスキャン超音波探傷装置、110…監視盤、Gxza、Gxzb…長手方向深さ探傷画像、Gxzd…長手方向深さ重畳画像、Gt…長手方向深さ統合画像、Gyz、Gyza、Gyzb…奥行き方向深さ探傷画像

Claims (8)

  1. 検査対象に超音波を送信し検査対象で反射した超音波を受信する第1の方向に沿って配された複数の超音波素子を有する超音波アレイプローブと、
    前記複数の超音波素子のそれぞれに超音波を発生する振動を生ぜしめる電位差を印加可能な電位差印加部と、
    前記複数の超音波素子のそれぞれによる前記超音波の送受信のタイミングを相互にずらすための遅延時間を前記検査対象の表面形状に基づいて算出する遅延時間演算部と、
    前記第1の方向に互いにずれた前記超音波アレイプローブの第1プローブ設置位置と第2プローブ設置位置との間に重畳する領域があるときに、前記重畳する領域における重畳画像を得るための条件を設定する重畳領域調整部と、
    前記重畳する領域を含めた範囲について前記第1の方向および前記検査対象の深さ方向に拡がる平面上の長手方向深さ画像データを生成する統合画像演算部と、
    を備え、
    前記重畳領域調整部は、前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置のいずれか一方において前記遅延時間演算部が前記遅延時間の算出に用いる前記表面形状を、前記第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および前記第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する、
    ことを特徴とするリニアスキャン超音波探傷装置。
  2. 前記重畳領域調整部は、前記重畳する領域について、
    前記第1プローブ設置位置において得られた第1の合成波形および前記第2プローブ設置位置において得られた第2の合成波形を用いて重畳画像を作成することを特徴とする請求項1に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  3. 前記第2プローブ設置位置は、前記重畳する領域における前記第2の合成波形の超音波ビーム伝搬経路が、当該重畳する領域における前記第1の合成波形の前記超音波ビーム伝搬経路と重なるような位置に設定されることを特徴とする請求項2に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  4. 前記重畳領域調整部は、前記超音波アレイプローブからの探傷データに基づいて前記第1取得形状および前記第2取得形状を得ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  5. 前記第1取得形状および前記第2取得形状を得る形状取得部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  6. 前記超音波アレイプローブを、前記検査対象を探傷するプローブ設置位置に位置決めし、複数の前記プローブ設置位置間を移動駆動するアレイプローブ駆動装置をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  7. 前記超音波アレイプローブは、前記第1の方向および前記第1の方向とは異なる第2の方向に2次元的に配列された複数の超音波素子を有し、
    前記第1の方向および前記検査対象の深さ方向に垂直な前記第2の方向に拡がる平面上の奥行き方向深さ画像データを生成する奥行き画像演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のリニアスキャン超音波探傷装置。
  8. 検査対象の表面に沿った第1プローブ設置位置において、複数の超音波素子を有する超音波アレイプローブにより得られた第1の探傷データを記憶部が記憶する第1探傷データ取得ステップと、
    前記第1プローブ設置位置と一部重畳する領域を含む第2プローブ設置位置において、前記超音波アレイプローブにより得られた第2の探傷データを記憶部が記憶する第2探傷データ取得ステップと、
    前記一部重畳する領域における画像データの作成のための条件を重畳領域調整部が設定する条件設定ステップと、
    前記第1の探傷データ、前記第2の探傷データおよび前記設定された条件に基づいて前記一部重畳する領域を含む前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置に対応する探傷画像データを統合画像演算部が演算する画像データ作成ステップと、
    を有し、
    前記画像データ作成ステップは、前記複数の超音波素子のそれぞれによる超音波の送受信のタイミングを相互にずらすための遅延時間を前記検査対象の表面形状に基づいて算出する遅延時間演算ステップを含み、かつ、
    前記条件設定ステップは、前記第1プローブ設置位置および前記第2プローブ設置位置のいずれか一方において前記遅延時間の算出に用いる前記表面形状を、前記第1プローブ設置位置において得られた第1取得形状および前記第2プローブ設置位置において得られた第2取得形状の両者を用いて設定する、
    ことを特徴とするリニアスキャン超音波探傷方法。
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