JP2019038974A - 樹脂組成物および樹脂製造用組成物 - Google Patents

樹脂組成物および樹脂製造用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂組成物無機フィラーを配合すると、樹脂組成物の重量が大きくなってしまうという問題がある。たとえば、樹脂組成物への無機フィラーの配合量を調整したとしても、樹脂組成物の難燃性と軽さとを両立させることは困難である。また、樹脂組成物への無機フィラーの配合により、樹脂組成物の誘電率が許容できる範囲を超えて上昇してしまうという問題もある。そこで、無機フィラーによる重量の増加を抑えながら難燃性を向上させ、かつ誘電率を抑えた樹脂組成物、および樹脂製造用組成物を提供する。【解決手段】樹脂組成物は、樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および樹脂製造用組成物に関する。
結露や汚染から保護するために、ポリウレタン等の樹脂組成物を用いて電気電子部品等の対象物を封止することが行われている(特許文献1)。このような樹脂組成物には、難燃性を向上させるための無機フィラーを配合することが多い。
特開2008−231348号公報 特開2001−352156号公報
しかしながら、無機フィラーを配合すると、樹脂組成物の重量が大きくなってしまうという問題がある。たとえば、樹脂組成物への無機フィラーの配合量を調整したとしても、樹脂組成物の難燃性と軽さとを両立させることは困難である。また、樹脂組成物への無機フィラーの配合により、樹脂組成物の誘電率が許容できる範囲を超えて上昇してしまうという問題もある。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、無機フィラーによる重量の増加を抑えながら難燃性を向上させ、かつ誘電率を抑えた樹脂組成物、樹脂製造用組成物を提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ある種の材料を用いることにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。
また、本発明の樹脂製造用組成物は、他の材料と混合することによって樹脂組成物を製造可能な組成物(Y)であって、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。
本発明により、樹脂組成物の重量の増加を抑えながら難燃性を向上させ、さらに樹脂組成物の誘電率を抑えることができる。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記する。
(1)本発明の実施の形態に係る樹脂組成物は、樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。このような構成により、たとえば、樹脂組成物に無機フィラー(C)による難燃性を与えつつ、樹脂組成物全体の重量を軽くすることができる。また、中空フィラー(D)の内部は、樹脂(X)に比べて比誘電率が低い気体であるため、樹脂組成物の誘電率を低下させることができる。したがって、樹脂組成物の重量の増加を抑えながら難燃性を向上させ、さらに樹脂組成物の誘電率を抑えることができる。
(2)好ましくは、前記樹脂組成物は、前記無機フィラー(C)を前記樹脂組成物100質量部に対して45〜70質量部含み、前記中空フィラー(D)を前記樹脂組成物100質量部に対して0.5〜5質量部含む。このような構成により、樹脂組成物に難燃性を与えつつ、樹脂組成物を適度に軽量化し、かつ誘電率を抑えることができる。
(3)好ましくは、前記中空フィラー(D)の平均粒子径は30μ〜100μmである。このような構成により、樹脂組成物に難燃性を与えつつ、樹脂組成物を適度に軽量化し、かつ誘電率を抑えることができる。
(4)好ましくは、前記樹脂組成物は、電気電子部品の封止に用いられる。このような構成により、電気電子部品を含むユニットの重量増加を抑えつつ、電気電子部品を適切に保護し、さらに当該ユニットの発火を抑制することができる。また、誘電率が抑えられることにより、樹脂組成物による高周波回路ならびに無線通信ユニット等への影響を抑えることができる。
(5)本発明の実施の形態に係る樹脂組成物は、前記(4)に記載の樹脂組成物によって封止された電気電子部品である。このような構成により、電気電子部品を含むユニットの重量増加を抑えつつ、電気電子部品を適切に保護し、さらに当該ユニットの発火を抑制することができる。また、誘電率が抑えられることにより、樹脂組成物による高周波回路ならびに無線通信ユニット等への影響を抑えることができる。
(6)本発明の実施の形態に係る樹脂製造用組成物は、他の材料と混合することによって樹脂組成物を製造可能な組成物(Y)であって、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。このような構成により、組成物(Y)を用いて、樹脂組成物の重量の増加を抑えながら難燃性を向上させ、さらに樹脂組成物の誘電率を抑えた樹脂組成物を製造することができる。
(7)好ましくは、前記無機フィラー(C)を前記樹脂製造用組成物100質量部に対して50〜80質量部含み、前記中空フィラー(D)を前記樹脂製造用組成物100質量部に対して0.5〜5質量部含む。このような構成により、難燃性を与えつつ適度に軽量化し、かつ誘電率を抑えた樹脂組成物を製造することができる。
(8)好ましくは、前記中空フィラー(D)の平均粒子径は30μ〜100μmである。このような構成により、難燃性を与えつつ適度に軽量化し、かつ誘電率を抑えた樹脂組成物を製造することができる。
(9)好ましくは、前記中空フィラー(D)は、熱膨張性を有する。このような構成により、たとえば樹脂組成物を製造する際に加えられる熱により適度に膨張するため、難燃性を与えつつ適度に軽量化し、かつ誘電率を抑えた樹脂組成物を製造することができる。また、加熱前の樹脂製造用組成物の体積を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、本発明に係る樹脂組成物の一例として、ポリウレタン樹脂組成物について説明する。本実施の形態におけるポリウレタン樹脂組成物は、水酸基含有化合物(A)、無機フィラー(C)、中空フィラー(D)およびイソシアネート基含有化合物(E)を配合して形成される。
本実施の形態における水酸基含有化合物(A)としては、特に限定されないが、例えば、ヒマシ油系ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、低分子量グリコール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ダイマー酸ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、または水添ポリイソプレンポリオールの等を使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
水酸基含有化合物(A)としては、耐熱性向上の観点から、ヒマシ油系ポリオールを含むことが好ましい。ヒマシ油系ポリオールと他のポリオールとを併用する場合、ヒマシ油系ポリオールの配合量は、使用するポリオール全体の30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
ヒマシ油系ポリオールとしては、特に限定されないが、ヒマシ油、水添ヒマシ油、ヒマシ油とその他の油脂のエステル交換物、ヒマシ油と多価アルコールとの反応物、ヒマシ油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物、これらにアルキレンオキサイドを付加重合したもの等を使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコシド、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を開始剤として、アルキレンオキシド(以下、「AO」と記載することがある。)の開環重合により得られたものなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。開始剤としては、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好ましく、AOとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが好ましい。
ポリマーポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等。)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオールなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
低分子量グリコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環族ジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の水酸基含有化合物などを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、多価水酸基含有化合物とポリカルボン酸(芳香族ポリカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸)又は無水物及びこの低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(無水フタル酸及びテレフタル酸ジメチル等)との縮合反応生成物;ポリラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール;並びにヒマシ油誘導体[ヒマシ油脂肪酸と多価アルコールやポリオキシアルキレンポリオールとのポリエステルポリオール(ヒマシ油脂肪酸のモノ−またはジグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールプロパンとのモノ−、ジ−またはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリオキシプロピレングリコールとのモノ−またはジエステルなど);ヒマシ油にアルキレンオキサイド(炭素数2〜4)を付加したもの;ヒマシ油とジフェニルメタンジイソシアネートとから誘導された水酸基末端プレポリマーなど]などを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
ダイマー酸ポリオールとしては、特に限定されないが、たとえば、ジオール、トリオール、ポリアルキレングリコールまたはポリアルキレントリオールとダイマー酸との反応生成物や、ダイマー酸の還元物等を使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。ダイマー酸ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、300〜50000であるものが好ましい。また、ダイマー酸ポリオールの1分子当たりの平均官能基数は2〜4であることが好ましい。ダイマー酸ポリオールの水酸基価は、2mgKOH/g以上であることが好ましく、30mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、ダイマー酸ポリオールの水酸基価は、800mgKOH/g以下であることが好ましく、500mgKOH/g以下であることがより好ましく、300mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオールおよび水添ポリイソプレンポリオールとしては、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂組成物に通常用いられるものを使用することができる。
本実施の形態において、水酸基含有化合物(A)は、たとえば、水酸基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを反応させることにより得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであってもよい。
水酸基含有化合物(A)の含有量は、成型体の成形性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。また、水酸基含有化合物(A)の含有量は、成型体の成形性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施の形態におけるイソシアネート基含有化合物(E)としては、特に限定されないが、たとえば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、またはこれらイソシアネート化合物の変性体を使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。イソシアネート基含有化合物(E)としては、脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、またはこれらイソシアネート化合物の変性体が好ましい。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネート化合物の変性体としては、イソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アダクト変性体、カルボジイミド変性体、二官能変性体等を使用することができる。また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、本実施の形態において、イソシアネート基含有化合物(E)は、たとえば、水酸基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを反応させることにより得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーであってもよい。
イソシアネート基含有化合物(E)の含有量は、成型体の成形性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましい。また、イソシアネート基含有化合物(E)の含有量は、成型体の成形性の観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施の形態において、水酸基含有化合物(A)の水酸基とイソシアネート基含有化合物(E)のイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)は、0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。当該モル比がこの範囲より小さいと硬化不良が生じる場合および得られる樹脂の耐熱性が低くなる場合がある。また、当該モル比は、1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。当該モル比がこの範囲より大きいと硬化不良が起こる場合がある。
本実施の形態における無機フィラー(C)は、たとえば、ポリウレタン樹脂組成物の難燃性を高めることができる。たとえば、ポリウレタン樹脂組成物による封止対象物が発火するおそれがある場合、ポリウレタン樹脂組成物には難燃性が要求される。無機フィラー(C)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化化合物、ならびに、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、シリカおよびアルミナ等を使用することができる。
無機フィラー(C)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の難燃性を高める観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して、45質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。また、無機フィラー(C)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の重量、ならびに製造時の混合粘度を抑える観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して、70質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましい。製造時の混合粘度が高い場合、作業性が低下する傾向がある。
本実施の形態における中空フィラー(D)は、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する。中空フィラー(D)を配合することにより、無機フィラー(C)を配合することによるポリウレタン樹脂組成物全体の重量の増加を抑えることができる。また、無機フィラー(C)の配合によるポリウレタン樹脂組成物の誘電率の上昇を抑えることができる。
中空フィラー(D)の平均粒子径は、ポリウレタン樹脂組成物の軽量化の観点から、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。また、中空フィラー(D)の平均粒子径は、ポリウレタン樹脂組成物中のムラを低減し、ポリウレタン樹脂組成物の持つ機能を均質化する観点から、100μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により計測される粒度分布における体積基準累積50%時の粒径、すなわちD50(メジアン径)をいう。粒度分布の計測には、たとえば、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製 SALD−2200)を用いる。
中空フィラー(D)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の軽量化の観点から、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、0.8質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。
中空フィラー(D)の配合割合(質量)を大きくすると、ポリウレタン樹脂組成物における絶縁性および難燃性が低下してしまう。このため、中空フィラー(D)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
中空フィラー(D)の外郭は、たとえば熱可塑性樹脂である。中空フィラー(D)としては、膨張済みのものと、未膨張のものとが使用できる。たとえば、未膨張の中空フィラー(D)は、ある程度以上の温度にさらされることにより、内部の空洞部が拡大し、中空フィラー(D)全体が膨張する。一方、膨張済みの中空フィラー(D)に、ある程度の熱を加えたり、冷却したりしても粒径はほとんど変化しない。
ポリウレタン樹脂組成物の材料として未膨張の中空フィラー(D)を用いた場合、たとえば、ポリウレタン樹脂組成物を製造する際に加える熱、あるいは、ポリウレタン樹脂組成物自身が発する反応熱により、中空フィラー(D)を膨張させることができる。したがって、未膨張の中空フィラー(D)を用いた場合でも、ポリウレタン樹脂組成物の製造工程において、中空フィラー(D)の粒径を本実施の形態に好適な値にすることができる。
ポリウレタン樹脂組成物に無機フィラー(C)と中空フィラー(D)の両方を配合すると、ポリウレタン樹脂組成物中の密度にムラが生じやすい傾向があるが、無機フィラー(C)と中空フィラー(D)との比率を調整することにより、ポリウレタン樹脂組成物中の密度のムラを抑えることできる。具体的には、たとえば、無機フィラー(C)と中空フィラー(D)との比率(中空フィラー(D)/無機フィラー(C))は、密度のムラを抑える観点から、0.8%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましく、1.3%以上であることがさらに好ましいい。また、当該比率は、密度のムラを抑える観点から、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂組成物の密度のムラを抑えることにより、難燃性および絶縁性等の他の性質のムラも抑えることができる。
ポリウレタン樹脂組成物は、一般に、水酸基含有化合物(A)を含む組成物と、イソシアネート基含有化合物(E)を含む組成物とを混合することによって製造される。以下、水酸基含有化合物(A)を含む組成物およびイソシアネート基含有化合物(E)を含む組成物の一方を樹脂組成物製造用組成物(Y)とも称する。無機フィラー(C)および中空フィラー(D)は、混合前の樹脂組成物製造用組成物(Y)に配合されていても良い。その場合、無機フィラー(C)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の難燃性を高める観点から、樹脂製造用組成物(Y)100質量部に対して50質量部以上であることが好ましく、55質量部以上であることがより好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、70質量部以上であることがさらに好ましい。また、無機フィラー(C)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の重量、ならびに製造時の混合粘度を抑える観点から、樹脂製造用組成物(Y)100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、75質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂組成物製造用組成物(Y)への中空フィラー(D)の配合割合を大きくすると、ポリウレタン樹脂組成物における絶縁性および難燃性が低下してしまう。このため、前記中空フィラー(D)の配合量は、樹脂製造用組成物(Y)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましい。また、中空フィラー(D)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物の軽量化の観点から樹脂製造用組成物(Y)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、0.8質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることがさらに好ましい。
本実施の形態におけるポリウレタン樹脂組成物には、可塑剤(B)を加えることができる。可塑剤(B)としては、ポリウレタン樹脂に使用される従来公知のものを使用することができ、たとえば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等の非フタル酸エステル化合物、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、アセチル化リシノール酸トリグリセリド、アセチル化ポリリシノール酸トリグリセリドなどのヒマシ油系エステル、トリオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル、テトラオクチルピロメリテート、テトライソノニルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル、トリクレジルフォスフェート、トリスキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、トリフェニルフォスフェートなどリン酸エステル、等を使用することができる。
可塑剤(B)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。可塑剤が多いと、ポリウレタン樹脂組成物の強度等の各種物性が低下する恐れがある。
なお、本実施の形態におけるポリウレタン樹脂組成物には、触媒、酸化防止剤、吸湿剤、防黴剤、シランカップリング剤など、必要に応じて各種の添加剤を加えることができる。シランカップリング剤としては、例えばアルコキシシラン類、ビニル基含有シランカップリンク剤、エポキシ基含有シランカップリンク剤、メタクリル基含有シランカップリンク剤、アクリル基含有シランカップリンク剤などが挙げられる。
本実施の形態におけるポリウレタン樹脂組成物の製造時の混合粘度は、たとえば25℃の材料を混合する場合において、5Pa・s以下であることが好ましく、4Pa・s以下であることがさらに好ましい。混合粘度が上記数値以下であれば作業性の点で良好である。
本実施の形態におけるポリウレタン樹脂組成物により、電気電子部品、医療用品、玩具、および生活用品等の物品を封止することができる。
<実施例>
以下、実施例および比較例に基づいて、本実施の形態のポリウレタン樹脂組成物についてより詳細に説明する。本発明はこれによって制限されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
実施例および比較例において使用する材料を示す。
水酸基含有化合物(A)
・水酸基含有化合物(A−1):ポリブタジエンポリオール
(商品名:R-15HT、出光興産社製)
・水酸基含有化合物(A−2):ヒマシ油系ポリオール
(商品名:ヒマシ油D、伊藤製油社製)

可塑剤(B):ジウンデシルフタレート
(商品名:サンソサイザーDUP、新日本理化社製)

無機フィラー(C)
・無機フィラー(C-1):水酸化アルミニウム
(商品名:C-305、住友化学社製)
・無機フィラー(C-2):水酸化マグネシウム
(商品名:ECOMAG、タテホ化学工業社)

中空フィラー(D)
・中空フィラー(D-1):膨張済み、平均粒径33-55μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 40 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-2):膨張済み、平均粒径60-90μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 80 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-3):未膨張、平均粒径10-16μm(80℃で加熱されることにより平均粒径が35〜50μmとなる)
(商品名:エクスパンセル 031 DU 40、日本フィライト社製)

イソシアネート基含有化合物(E)
・イソシアネート基含有化合物(E―1)
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体
(商品名:デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ社製)
・イソシアネート基含有化合物(E-2):クルードMDI
(商品名:ルプラネートM5S、BASF INOACポリウレタン社製)
表1は、実施例1〜19および比較例1、2のポリウレタン樹脂組成物を形成するために用いる各材料ならびにそれらの配合量(数値は質量部)と、一部の材料の割合と、後述する各評価の結果とを示す。
(ポリウレタン樹脂組成物の製造)
イソシアネート基含有化合物(E)を除く材料の混合物をディスパー(プライミクス(株)製、機種名:TKホモディスパー2.5型)を用いて、30分間混合することにより、ポリオール組成物を製造する。その後、当該ポリオール組成物にイソシアネート基含有化合物(E)をNCO/OH=1〜1.1となるように添加し、混合及び脱泡を行い、80℃の環境下において16時間静置することにより、ポリウレタン樹脂組成物を製造する。このようにして製造したポリウレタン樹脂組成物を用いて、後述するように、密度、誘電率、難燃性、絶縁性およびポリウレタン樹脂組成物中の密度差について評価を行う。
ここで、製造したポリウレタン樹脂組成物は、水酸基含有化合物(A)およびイソシアネート基含有化合物(E)の反応によって生成されるポリウレタン樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。
また、製造したポリオール組成物は、他の材料すなわちイソシアネート基含有化合物(E)と混合することによってポリウレタン樹脂組成物を製造可能な組成物(Y)であって、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む樹脂製造用組成物(Y)である。
(密度)
ポリウレタン樹脂組成物の重量の評価として、ポリウレタン樹脂組成物の密度を測定する。密度の測定は、JIS K0061(天びん法)に従って行う。ただし、測定には、3cm×3cm×1cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が3cm×3cmの容器を用いて高さ1cmとなるように製造したポリウレタン樹脂組成物である。
評価の基準を以下に示す。
○:1.2g/cm未満
△:1.2g/cm以上1.5g/cm未満
×:1.5g/cm以上
(誘電率)
アジレント・テクノロジ社製LCRメーターE4980Aならびにテストフィクチャー16451Bを用いて、25±5℃、65±5%RHの環境下で比誘電率(1MHz)の測定を行う。測定には、6cm×6cm×0.3cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が6cm×6cmの容器を用いて高さ0.3cmとなるように製造したポリウレタン樹脂組成物である。
評価の基準を以下に示す。
○:4.0未満
△:4.0以上5.0未満
×:5.0以上
(難燃性)
難燃性は、UL規格のUL94に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
○:V−0相当
△:V−1相当
×:V−2以下
(絶縁性)
体積固有抵抗値をJIS K6911に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
○:1×1012Ω・cm以上
×:1×1012Ω・cm未満
(密度差)
上記ポリオール組成物と上記イソシアネート基含有化合物(E)とを混合した後、底部が3cm×3cmの容器に、完成後のポリウレタン樹脂組成物の高さが10cmとなるように混合物を注ぎ入れ、ポリウレタン樹脂組成物を完成させる。完成したポリウレタン樹脂組成物の上部(以下、樹脂上部とも称する。)と下部(以下、樹脂下部とも称する。)とを切り取り、樹脂上部と樹脂下部との密度の差を比較する。樹脂上部は、3cm(縦)×3cm(横)×10cm(高さ)のポリウレタン樹脂組成物のうち、上端から1cmの部分である。また、樹脂下部は、当該ポリウレタン樹脂組成物のうち、下端から1cmの部分である。密度の測定は、JIS K0061(天びん法)に従う。評価の基準を以下に示す。
○:密度の差が10%未満
×:密度の差が10%以上
各実施例では、ポリオール組成物を製造し、その後、当該ポリオール組成物にイソシアネート基含有化合物(E)を加えてポリウレタン樹脂組成物を製造したが、ポリウレタン樹脂組成物の製造方法をこれに限定するものではない。なお、実施例18では、未膨張の中空フィラー(D)として、80℃で加熱されることにより35μ〜50μmとなる中空フィラー(D)を用いたが、加熱されることにより平均粒径が30μ〜100μmとなる中空フィラーであれば、他の中空フィラー(D)を用いても同様の効果を得られる。
表1の実施例1〜19から分かるように、ポリウレタン樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、中空フィラー(D)とを含むことにより、ポリウレタン樹脂組成物の、密度、誘電率および難燃性が良好となる。また、実施例19と他の実施例との比較から分かるように、無機フィラー(C)と中空フィラー(D)の配合量を調整することで、難燃性および絶縁性を向上させ、ポリウレタン樹脂組成物中の密度差を小さくすることができる。比較例1は、中空フィラー(D)を配合していないため、密度が大きくなってしまっている。比較例2は、無機フィラー(C)の配合量が少なく、かつ中空フィラー(D)が配合されていないため、難燃性が低く、密度がやや大きくなっている。
Figure 2019038974
ここでは、ポリウレタン樹脂組成物について説明した。次に、他の樹脂組成物について簡単に説明する。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、本発明に係る樹脂組成物の他の例として、シリコーン樹脂組成物について説明する。本実施の形態におけるシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、中空フィラー(D)とを含む。
シリコーン樹脂組成物の場合もポリウレタン樹脂組成物と同様に、無機フィラー(C)および中空フィラー(D)を配合することにより、樹脂組成物の難燃性を高めつつ樹脂組成物全体の重量増加を抑え、さらに誘電率を抑えることができる。
<実施例>
以下、実施例および比較例に基づいて、本実施の形態のシリコーン樹脂組成物について説明する。本発明はこれによって制限されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
実施例および比較例において使用する材料を示す。
オルガノポリシロキサン(P):分子鎖両末端ジメチルビニルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン

可塑剤(B):メチルオイル

無機フィラー(C)
・無機フィラー(C-1):水酸化アルミニウム
(商品名:C-305、住友化学社製)
・無機フィラー(C-2):水酸化マグネシウム
(商品名:ECOMAG、タテホ化学工業社)

中空フィラー(D)
・中空フィラー(D-1):膨張済み、平均粒径33-55μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 40 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-2):膨張済み、平均粒径60-90μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 80 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-3):未膨張、平均粒径10-16μm(80℃で加熱されることにより35-50μmとなる)
(商品名:エクスパンセル 031 DU 40、日本フィライト社製)

触媒(Q):白金族金属系触媒

オルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン(R−1):ヘキサデカメチルペンタデカンオクタシロキサン
・オルガノハイドロジェンポリシロキサン(R−2):メチルハイドロジェンポリシロキサン
表2は、実施例1〜15および比較例1、2のシ・BR>潟Rーン樹脂組成物を形成するために用いる各材料ならびにそれらの配合量(数値は質量部)と、一部の材料の割合と、後述する各評価の結果とを示す。
(シリコーン樹脂組成物の製造)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)を除く材料の混合物をディスパー(プライミクス(株)製、機種名:TKホモディスパー2.5型)を用いて、30分間混合することにより、組成物(Y)を製造した。その後、当該組成物(Y)にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)を添加し、混合及び脱泡を行い、80℃の環境下において16時間静置することにより、シリコーン樹脂組成物を製造した。このようにして製造したシリコーン樹脂組成物を用いて、後述するように、密度、誘電率、難燃性、絶縁性およびシリコーン樹脂組成物中の密度差について評価を行った。
ここで、製造したシリコーン樹脂組成物は、オルガノポリシロキサン(P)およびオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)の反応によって生成されるシリコーン樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。
また、製造した組成物(Y)は、他の材料すなわちオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)と混合することによって樹脂組成物を製造可能であって、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む樹脂製造用組成物である。
(密度)
シリコーン樹脂組成物の密度の測定はJIS K0061(天びん法)に従って行う。測定には、3cm×3cm×1cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が3cm×3cmの容器を用いて高さ1cmとなるように製造したシリコーン樹脂組成物である。評価の基準を以下に示す。
○:1.2g/cm未満
△:1.2g/cm以上1.5g/cm未満
×:1.5g/cm以上
(誘電率)
アジレント・テクノロジ社製LCRメーターE4980Aならびにテストフィクチャー16451Bを用いて、25±5℃、65±5%RHの環境下で比誘電率(1MHz)の測定を行う。測定には、6cm×6cm×0.3cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が6cm×6cmの容器を用いて高さ0.3cmとなるように製造したシリコーン樹脂組成物である。評価の基準を以下に示す。
○:4.0未満
△:4.0以上5.0未満
×:5.0以上
(難燃性)
難燃性は、UL規格のUL94に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
○:V−0相当
△:V−1相当
×:V−2以下
(絶縁性)
体積固有抵抗値をJIS K6911に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
○:1012Ω・cm以上
×:1012Ω・cm未満
(密度差)
上記組成物(Y)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)とを混合した後、底部が3cm×3cmの容器に、完成後のシリコーン樹脂組成物の高さが10cmとなるように注ぎ入れて、シリコーン樹脂組成物を完成させる。完成したシリコーン樹脂組成物の上部(以下、樹脂上部とも称する。)と下部(以下、樹脂下部とも称する。)とを切り取り、樹脂上部と樹脂下部との密度の差を比較する。樹脂上部は、3cm(縦)×3cm(横)×10cm(高さ)のシリコーン樹脂組成物のうち、上端から1cmの部分である。また、樹脂下部は、当該シリコーン樹脂組成物のうち、下端から1cmの部分である。密度の測定は、JIS K0061(天びん法)に従う。評価の基準を以下に示す。
○:密度の差が10%未満
×:密度の差が10%以上
各実施の形態では、組成物(Y)を製造し、その後、当該組成物(Y)にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(R)を加えてシリコーン樹脂組成物を製造したが、シリコーン樹脂組成物の製造方法をこれに限定するものではない。
表2の実施例1〜15から分かるように、シリコーン樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、中空フィラー(D)とを含むことにより、シリコーン樹脂組成物の、密度、誘電率および難燃性が良好となる。また、実施例15と他の実施例との比較から分かるように、無機フィラー(C)と中空フィラー(D)の配合量を調整することで、難燃性および絶縁性を向上させ、シリコーン樹脂組成物中の密度差を小さくすることができる。
Figure 2019038974
ここでは、シリコーン樹脂組成物について説明した。次に、他の樹脂組成物について簡単に説明する。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、本発明に係る樹脂組成物の他の例として、エポキシ樹脂組成物について説明する。本実施の形態におけるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、中空フィラー(D)とを含む。
エポキシ樹脂組成物の場合もポリウレタン樹脂組成物と同様に、無機フィラー(C)および中空フィラー(D)を配合することにより、樹脂組成物の難燃性を高めつつ樹脂組成物全体の重量増加を抑え、さらに誘電率を抑えることができる。
<実施例>
以下、実施例および比較例に基づいて、本実施の形態のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明はこれによって制限されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
エポキシ樹脂は、高分子内に残存させたエポキシ基で架橋ネットワーク化させることで硬化させることが可能な熱硬化性樹脂である。架橋ネットワーク化前のプレポリマー(S)と硬化剤(T)とを混合して熱硬化処理を行うことでエポキシ樹脂を製造する。実施例および比較例において使用する材料を示す。

プレポリマー(S)
・プレポリマー(S−1):ビフェニル型エポキシ樹脂
(商品名:NC-3000S-H、日本化薬社製)
・プレポリマー(S−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(商品名:EPICLON850、DIC社製)

無機フィラー(C)
・無機フィラー(C-1):水酸化アルミニウム
(商品名:C-305、住友化学社製)
・無機フィラー(C-2):水酸化マグネシウム
(商品名:ECOMAG、タテホ化学工業社)

中空フィラー(D)
・中空フィラー(D-1):膨張済み、平均粒径33-55μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 40 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-2):膨張済み、平均粒径60-90μm
(商品名:エクスパンセル 920 DE 80 d30、日本フィライト社製)
・中空フィラー(D-3):未膨張、平均粒径10-16μm(80℃で加熱されることにより平均粒径35-50μmとなる)
(商品名:エクスパンセル 031 DU 40、日本フィライト社製)

触媒(Q)
(商品名:DBU(1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7)、サンアプロ社製)

硬化剤(T)
・硬化剤(T−1):フェノール樹脂系硬化剤
(商品名:フェノールノボラック樹脂HFシリーズ、明和化成社製)
・硬化剤(T−2):酸無水物系化合物
表3は、実施例1〜16および比較例1〜3のエポキシ樹脂組成物を形成するために用いる各材料ならびにそれらの配合量(質量部)と、一部の材料の割合と、後述する各評価の結果とを示す。
(エポキシ樹脂組成物の製造)
硬化剤(F)を除く材料の混合物を混合することにより、組成物(Y)を製造する。その後、当該組成物(Y)に硬化剤(F)を添加し、混合及び脱泡を行い、130℃で60分プレキュアを行い、180℃で60分ポストキュアを行うことにより、エポキシ樹脂組成物を製造する。このようにして製造したエポキシ樹脂組成物を用いて、後述するように、密度、誘電率、難燃性、絶縁性およびエポキシ樹脂組成物内の密度差について評価を行う。
ここで、製造したエポキシ樹脂組成物は、プレポリマー(S)および硬化剤(T)の反応によって生成されるエポキシ樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む。
また、製造した組成物(Y)は、他の材料すなわち硬化剤(T)と混合することによって樹脂組成物を製造可能であって、無機フィラー(C)と、内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む樹脂製造用組成物である。
(密度)
エポキシ樹脂組成物の密度の測定はJIS K0061(天びん法)に従って行う。測定には、3cm×3cm×1cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が3cm×3cmの容器を用いて高さ1cmとなるように製造したエポキシ樹脂組成物である。評価の基準を以下に示す。
○:1.2g/cm未満
△:1.2g/cm以上1.5g/cm未満
×:1.5g/cm以上
(誘電率)
アジレント・テクノロジ社製LCRメーターE4980Aならびにテストフィクチャー16451Bを用いて、25±5℃、65±5%RHの環境下で比誘電率(1MHz)の測定を行う。測定には、6cm×6cm×0.3cmのサンプルを用いる。当該サンプルは、底部が3cm×3cmの容器を用いて高さ0.3cmとなるように製造したエポキシ樹脂組成物である。評価の基準を以下に示す。
○:4.0未満
△:4.0以上5.0未満
×:5.0以上
(難燃性)
難燃性は、UL規格のUL94に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
○:V−0相当
△:V−1相当
×:V−2以下
(絶縁性)
体積固有抵抗値をJIS K6911に従って測定する。評価の基準を以下に示す。
評価の基準を以下に示す。
○:1012Ω・cm以上
×:1012Ω・cm未満
(密度差)
上記組成物(Y)と硬化剤(T)とを混合した後、底部が3cm×3cmの容器に、完成後のエポキシ樹脂組成物の高さが10cmとなるように注ぎ入れて、エポキシ樹脂組成物を完成させる。完成したエポキシ樹脂組成物の上部(以下、樹脂上部とも称する。)と下部(以下、樹脂下部とも称する。)とを切り取り、樹脂上部と樹脂下部との密度の差を比較する。樹脂上部は、3cm(縦)×3cm(横)×10cm(高さ)のエポキシ樹脂組成物のうち、上端から1cmの部分である。また、樹脂下部は、ポリウレタン樹脂(X)のうち、下端から1cmの部分である。測定はJIS K0061(天びん法)に従う。評価の基準を以下に示す。
本実施の形態では、組成物(Y)を製造し、その後、当該組成物(Y)に硬化剤(F)を加えてエポキシ樹脂組成物を製造したが、エポキシ樹脂組成物の製造方法をこれに限定するものではない。
表3の実施例1〜17から分かるように、エポキシ樹脂(X)と、無機フィラー(C)と、中空フィラー(D)とを含むことにより、エポキシ樹脂組成物の、密度、誘電率および難燃性が良好となる。また、実施例17と他の実施例との比較から分かるように、中空フィラー(D)の配合量を調整することで、難燃性および絶縁性を向上させ、エポキシ樹脂組成物中の密度差を小さくすることができる。
なお、本開示で述べない他の樹脂組成物についても、無機フィラー(C)および中空フィラー(D)を配合することにより、同様の効果を得ることができる。
Figure 2019038974

Claims (9)

  1. 樹脂(X)と、
    無機フィラー(C)と、
    内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む、樹脂組成物。
  2. 前記無機フィラー(C)を前記樹脂組成物100質量部に対して45〜70質量部含み、前記中空フィラー(D)を前記樹脂組成物100質量部に対して0.5〜5質量部含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記中空フィラー(D)の平均粒子径は30μ〜100μmである、請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 電気電子部品の封止に用いられる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の樹脂組成物によって封止された電気電子部品。
  6. 他の材料と混合することによって樹脂組成物を製造可能な組成物(Y)であって、
    無機フィラー(C)と、
    内部に空洞部を有し、かつ樹脂の外郭を有する中空フィラー(D)とを含む、樹脂製造用組成物。
  7. 前記無機フィラー(C)を前記樹脂製造用組成物100質量部に対して50〜80質量部含み、前記中空フィラー(D)を前記樹脂製造用組成物100質量部に対して1〜5質量部含む、請求項6に記載の樹脂製造用組成物。
  8. 前記中空フィラー(D)の平均粒子径は30μ〜100μmである、請求項6または請求項7に記載の樹脂製造用組成物。
  9. 前記中空フィラー(D)は熱膨張性を有する、請求項6または請求項7に記載の樹脂製造用組成物。
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