JP2019038155A - 乗物用内装材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物性繊維を含む基材に対する表皮材の接合強度を高めることが可能な乗物用内装材の製造方法を提供する。【解決手段】乗物用内装材10の製造方法は、植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維とを含んでなる繊維マット21に不織布30を積層し、熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、熱可塑性樹脂を不織布30に含浸させるとともに、熱可塑性樹脂が固化することで表面20Aに不織布30が貼着された基材20を成形するプレス成形工程と、プレス成形工程の後に行われ、熱溶融性の接着剤45Pを介して不織布30の表面30Aに表皮材40を積層し、基材20に表皮材40を圧着する表皮材圧着工程と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、乗物用内装材の製造方法に関する。
車輌用ルーフライニングの製造方法として、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に開示の車輌用ルーフライニングの製造方法は、樹脂シートを加熱溶融した後に不織布を中間層に位置させて該不織布並びに表皮材の積層材と樹脂シートとを相互に重ね合わせ、それを成形型で一体に圧縮成形させて接着固定する。そして、特許文献1には、表皮材には不織布が予め接着されていること、加熱膨張性の樹脂シートの接着面側には更に低融点の樹脂フィルムを積層することが記載されている。
特許第3364737号公報
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、表皮材と不織布が接着される接着・接合メカニズムや、樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂と、樹脂シートの接着面側に積層された低融点の樹脂フィルムとの関係が不明であり、ポリプロピレン等の難接着性の熱可塑性樹脂を含む樹脂シートにおいては、各層間が十分な接合強度を有して接合されないことが懸念される。
また、近年、乗物用内装材の技術分野においては、軽量であり且つ環境負荷の少ない繊維材料として、植物性繊維を用いることのニーズが高まっている。そして、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む基材に対して、熱可塑性樹脂の性状によらず、表皮材を十分な接合強度で接合する技術が求められている。
本明細書に開示の技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、植物性繊維を含む基材に対する表皮材の接合強度を高めることが可能な乗物用内装材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、基材と表皮材とを備える乗物用内装材において、基材に含まれる熱可塑性樹脂と表皮材を接着するための接着剤が互いに接触し易い条件下では、熱可塑性樹脂の性状に依存して、基材に対する表皮材の接合強度を十分に確保できない場合があることをつきとめた。
そして、本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維を含有する繊維マットを加熱プレスする際に、表面に浸み出す熱可塑性樹脂を不織布に含浸させ、これが固化した後に、熱溶融性の接着剤により表皮材を圧着することで、基材に対する表皮材の接合強度を飛躍的に高めることができることを見出し、本発明の完成に至った。
上記課題を解決するために、本発明の乗物用内装材の製造方法は、植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維とを含んでなる繊維マットに不織布を積層し、前記熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、前記熱可塑性樹脂を前記不織布に含浸させるとともに、前記熱可塑性樹脂が固化することで表面に前記不織布が貼着された基材を成形するプレス成形工程と、前記プレス成形工程の後に行われ、熱溶融性の接着剤を介して前記不織布の表面に表皮材を積層し、前記基材に前記表皮材を圧着する表皮材圧着工程と、を備える。
また、上記の乗物用内装材の製造方法において、前記プレス成形工程は、前記繊維マットに前記不織布を積層し、前記熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、前記不織布が貼着された平板状のプレボードを成形する一次成形工程と、前記不織布が貼着された前記プレボードを前記熱可塑性樹脂の溶融状態において前記積層方向にプレスして、前記不織布が貼着された前記基材を成形する二次成形工程と、を含んでいてもよい。このような構成によれば、平板状のプレボードを成形する一次成形工程において不織布を貼着することで、基材の形状によらず、不織布に対して十分にかつ均一に熱可塑性樹脂を含浸させることができる。
また、上記の乗物用内装材の製造方法において、前記基材は、前記熱可塑性樹脂として少なくともポリオレフィン系樹脂を含んでおり、前記不織布は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の繊維を含んで構成されていてもよい。このような構成によれば、基材に含まれる熱可塑性樹脂よりぬれ性が高い不織布の繊維に対して熱溶融性の接着剤を接着させることができ、基材に対して熱溶融性の接着剤を接着させる構成に比べて、接着剤の接着力を向上することができる。
また、上記の乗物用内装材の製造方法において、前記表皮材圧着工程では、前記不織布の表面に前記接着剤を塗布する第1塗布工程と、前記表皮材の裏面に前記接着剤を塗布する第2塗布工程と、を含んでいてもよい。このような構成によれば、第1塗布工程と第2塗布工程のいずれか一方しか含まない場合に比べて、接着層が表皮材と不織布の双方に密着し易く、表皮材と不織布の接合強度を向上することができる。
本発明によれば、植物性繊維を含む基材に対する表皮材の接合強度を高めることが可能な乗物用内装材の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態1に係るドアトリムを示す正面図 ドアトリムの一部断面図(図1のII−II線で切断した図に対応) プレス成形工程における一次成形工程を説明する説明図 プレス成形工程における二次成形工程を説明する説明図 図4の不織布が貼着された基材を示す一部拡大断面図 表皮材圧着工程における第1塗布工程を説明する説明図 表皮材圧着工程における第2塗布工程を説明する説明図 表皮材圧着工程において、基材に対して表皮材を圧着する態様を説明する説明図 本発明の実施形態2に係るドアトリムの一部断面図 表皮材圧着工程における第1塗布工程を説明する説明図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8によって説明する。本実施形態では、乗物用内装材としてドアトリム10の製造方法について例示する。なお、以下の説明では、図1の紙面手前側及び図2の上側を表側とし、図1の紙面奥側及び図2の下側を裏側として各部を説明する。
ドアトリム10は、図1に示されるように、トリムボード11を主体として構成されている。トリムボード11は、ドアトリム10の上部を構成するアッパーボード11Aと、ドアトリム10の下部並びに前端部及び後端部を構成するロアボード11Cと、アッパーボード11Aとロアボード11Cの間に位置するミドルボード11Bとに分割して構成されている。ドアトリム10には、アッパーボード11Aとミドルボード11Bとの間において、アームレストの上方にオーナメント13が配設されている。オーナメント13は、その周縁部が車室外側に向けて立ち上がり、隣接するトリムボード11との取付部を構成する屈曲形状を有している(図5参照)。
オーナメント13は、図2に示されるように、ボード状の基材20と、基材20の表面20Aに積層された不織布30と、不織布30の表面30Aに接着層45を介して積層された表皮材40と、を有している。言い換えれば、オーナメント13は、基材20からなる第1の層と、不織布30からなる第2の層と、接着層45からなる第3の層と、表皮材40からなる第4の層がこの順に積層された積層構造を有している。以下、各層の表面を符号の末尾に「A」を付して示し、各層の裏面を符号の末尾に「B」を付して示す。このオーナメント13は、表皮材40の表面40Aが車室内に臨んで、ドアトリム10を加飾する加飾部材としての役割を果たす。
基材20は、ケナフ等の靭皮植物繊維、あるいは繊維木材等を解織して得た木質繊維等の植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むボード部材とされている。基材20は、後述する繊維マット21をプレス成形することで得られ、熱可塑性樹脂が植物性繊維を結着するバインダーとして機能する。本実施形態では、基材20として、ケナフから得られた植物性繊維とポリプロピレンを含むものについて例示する。
基材20に含まれる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず種々のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、更には、ポリオレフィン系樹脂のなかではポリプロピレンがより好ましい。
繊維マット21は、植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維を含んでなる部材であって、これらの繊維を混繊したウェブや、そのウェブを構成する繊維同士を交絡させた交絡物を適宜用いることができる。繊維マット21を構成する植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維との割合は特に限定されないが、植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維との合計を100質量%とした場合に、植物性繊維は10〜95質量%(好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%)とすることが好ましい。植物性繊維と熱可塑性繊維の配合比率は、厚み方向に徐々に変化する構成であってもよく、例えば、表面側と裏面側では中央部に比べて熱可塑性繊維の配合比率が高い構成であってもよい。また、繊維マット21には、熱膨張性カプセルを含むことができる。熱膨張性カプセルは、熱可塑性樹脂からなる殻壁(カプセル)と、殻壁内に収容された発泡剤とを有し、加熱により体積膨張するカプセルである。即ち、熱膨張性カプセルは、加熱されると、発泡剤が発泡(膨張)されて、その発泡によって、軟化された殻壁が押し広げられて、体積膨張するカプセルである。
「不織布」は、繊維シート、ウェブ又はバットで、繊維が一方向又はランダムに配向しており、交絡、及び/又は融着、及び/又は接着、によって繊維間が結合されたものである。本実施形態では、不織布30として、機械的特性に優れた、熱可塑性樹脂の繊維が交絡したシート状のものを用いている。不織布30は、熱可塑性樹脂の繊維間に空隙を有している。不織布30は、例えば、樹脂シート等に比べて、シート面の方向に伸縮し易く、また、厚さ方向に弾性変形し易い構成とされている。
不織布30は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の繊維を含んで構成されている。不織布30は、接着剤45Pの接着力を向上するという観点から、基材20に含まれる熱可塑性樹脂よりぬれ性が高い熱可塑性樹脂の繊維からなるものが好ましい。また、不織布30は、後述するプレス成形工程において溶融し難いという観点から、基材20に含まれる熱可塑性樹脂より溶融温度が高い熱可塑性樹脂の繊維からなるものが好ましい。本実施形態では、不織布30として、比較的熱に強く、嵩高性や弾力性が良好な、ポリエチレンテレフタラート繊維で構成されているものを用いている。
不織布30は、目付(単位面積当たりの質量)150〜300g/mのものが好ましく、180g/m程度のものが最も好ましい。不織布30の目付が150g/m以上の構成では、不織布30の表面30Aに基材20の熱可塑性樹脂が浸み出し難く、熱可塑性樹脂の浸み出しに起因して、不織布30の表面30Aのぬれ性が低下する事態を抑制可能となる。さらに、不織布30の目付が300g/m以下の構成では、熱可塑性樹脂が不織布30に十分に含浸されることで、熱可塑性樹脂が不織布30内の繊維のバインダーとして機能して、不織布30内の繊維がちぎれ難くなる。このため、不織布30繊維のちぎれに起因して、表皮材40が基材20から剥離することを抑制可能となる。そして、不織布30の目付が180g/m程度の構成では、不織布30の厚さ方向について、裏面30Bから概ね2/3程度まで熱可塑性樹脂を含浸させることができ、熱可塑性樹脂によるアンカー効果と、接着層45によるアンカー効果とのバランスがよく、各層間の接合強度を十分に確保することが可能となる。なお、図2においては、不織布30に含浸した熱可塑性樹脂を模式的に点状に描画する。言い換えれば、不織布30は、各層間の接合強度を確保するうえで、プレス成形工程において、熱可塑性樹脂を不織布30に対して厚さ方向について1/2〜4/5程度含浸させるようにすることが好ましい。
表皮材40は、シート状部材とされ、ファブリック、合成皮革や本革、可撓性を有する樹脂シート等で構成されている。本実施形態では、表皮材40として、ポリエチレンテレフタラート等の熱可塑性樹脂からなる織物で構成されているものを例示する。表皮材40は、図2に示されるように、基材20の表面20Aに貼着される一般部41と、一般部41に連なるプリーツ状の折り返し部42と、を有する。そして、複数の折り返し部42が、幾何学模様を呈して並列した構成とされている。各折り返し部42は、一般部41に重なり合う面が一般部41に対して接着されておらず、つまり、一般部41に対して立ち上がり可能に重なることで、表皮材40が立体的な外観を呈する構成となっている。
接着層45は、熱溶融性の接着剤45Pが固化することで形成されている。接着剤45Pは、ホットメルトと呼ばれる熱可塑性樹脂を主成分とする接着剤とされ、例えば、基材20の熱可塑性樹脂の溶融温度より低い温度で溶融、塗布可能なものとされている。接着剤45Pとしては、特に限定されず種々の成分のものを用いることができるが、本実施形態では、ウレタン系樹脂を主成分とする反応性ホットメルト接着剤を用いている。
続いて、ドアトリム10の製造方法について説明する。ドアトリム10の製造方法は、基材20を成形するプレス成形工程と、プレス成形工程の後に行われ、基材20に表皮材40を圧着する表皮材圧着工程と、を含んでいる。
プレス成形工程では、繊維マット21に不織布30を積層し、繊維マット21と不織布30とをポリプロピレンの溶融状態において積層方向にプレスして、ポリプロピレンを不織布30に含浸させるとともに、表面20Aに不織布30が貼着された基材20を成形する。この際、繊維マット21と不織布30との間には、接着剤等の他の接着層や機能層は介在していない。本実施形態では、プレス成形工程として、繊維マット21からプレボード23を得る一次成形工程と、プレボード23から基材20を得る二次成形工程の2回プレス工程を含むものを例示する。
一次成形工程では、繊維マット21に不織布30を積層し、ポリプロピレンの溶融状態において積層方向にプレスして、不織布30が貼着された平板状のプレボード23を成形する。プレボード23を成形する方法は特に限定されず、ダブルベルトプレス法や金型プレス法等種々の方法を用いることができる。本実施形態では、図3に示されるように、ダブルベルトプレス機50を用いて、繊維マット21を一対のベルトコンベア51,52間で加熱加圧してプレボード23を得る方法を例示する。一次成形工程における加熱温度は、ポリプロピレン繊維の溶融温度以上であって、不織布30を構成するポリエチレンテレフタラート繊維の溶融温度以下に設定されている。本実施形態では、一次成形工程における繊維マット21の加熱温度は、180〜230℃程度に設定されている。なお、一次成形工程では、加熱と加圧とは同時に行ってもよく、加熱の後工程として加圧を行ってもよい。
一次成形工程では、7〜20mm程度の厚さの繊維マット21が圧縮されて、1.5〜6mm程度の厚さのプレボード23が得られる。この過程で、繊維マット21の植物性繊維の間から表面側に浸み出したポリプロピレンは、不織布30の表面30Aまで到達しない程度に、不織布30の裏面30Bから内部の空隙に浸透する。そして、繊維マット21と不織布30の積層体がベルトコンベア51,52間を通過しつつ冷却され、ポリプロピレンが固化すると、ポリプロピレンにより不織布30が貼着されたプレボード23が得られる。この際、弾性的に圧縮された不織布30は、主にポリプロピレンが浸透していない表面30A側の部分において、弾性力によりその厚さが復元する。
二次成形工程では、不織布30が貼着されたプレボード23をポリプロピレンの溶融状態において積層方向にプレスして、不織布30が貼着された基材20を成形する。基材20を成形する方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。本実施形態では、図4に示されるように、成形装置60を用いて、加熱されたプレボード23を冷間プレスする方法について例示する。まず、図4(a)に示されるように、プレボード23をポリプロピレンが溶融する温度以上にヒーター65によって加熱する。この温度は、一次成形工程の設定温度と概ね同じとされる。そして、図4(b)に示されるように、成形装置60の上型61と下型62との間に加熱された状態のプレボード23を配置し、上型61と下型62を型閉じする。これにより、プレボード23が上型61と下型62によってプレスされ、図4(c)に示されるように、キャビティの形状に賦形された基材20が得られる。
二次成形工程では、1.5〜6mm程度の厚さのプレボード23が圧縮されて、1〜5mm程度の厚さの基材20が得られる。二次成形工程では、基材20及び不織布30の内部に浸透したポリプロピレンが再度溶融するものの、一次成形工程より成形物の圧縮率が高くないためポリプロピレンの不織布30への浸透はそれほど進行しない。そして、プレボード23と不織布30の積層体が成形装置60内で冷却され、ポリプロピレンが固化すると、ポリプロピレンにより不織布30が貼着された基材20が得られる。この際、弾性的に圧縮された不織布30は、主にポリプロピレンが浸透していない部分において、弾性力により再度その厚さが復元する。二次成形工程の過程で、不織布30には、基材20の形状に追従して、例えば、屈曲形状の外周側では引き延ばす方向に、内周側では縮められる方向に力が作用するが、不織布30は、繊維同士の交絡を維持しつつ伸縮することで、裂けや皺を生じ難くなっている(図5参照)。
表皮材圧着工程では、熱溶融性の接着剤45Pを介して不織布30の表面30Aに表皮材40を積層し、基材20に表皮材40を圧着する。本実施形態では、表皮材圧着工程として、不織布30の表面30Aに接着剤45Pを塗布する第1塗布工程と、表皮材40の裏面40Bに接着剤45Pを塗布する第2塗布工程と、を含むものを例示する。表皮材40を圧着する方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。本実施形態では、図6〜8に示されるように、噴霧機75,76を用いて接着剤45P,45Pをスプレー塗布するとともに、圧着装置70を用いて、表皮材40を圧着する方法について例示する。
第1塗布工程では、図6に示されるように、接着剤45Pを噴霧機75により不織布30にスプレー塗布する。この際、接着剤45Pは、一部、圧縮されていない状態の不織布30の繊維間に浸透する。第2塗布工程では、図7に示されるように、接着剤45Pを噴霧機75により表皮材40にスプレー塗布する。この際、接着剤45Pの一部は、表皮材40の折り返し部42の谷の内部に進入する(図2参照)。本実施形態では、第1塗布工程及び第2塗布工程において、同種の接着剤45P,45Pを塗布している。この接着剤45Pは、単独で用いてもよく、図示しない促進剤等とともに用いてもよい。また、基材20又は/及び表皮材40は、表皮材40の圧着に先立って、接着剤45Pが塗布された状態で、図示しないヒーター等により加熱して、接着剤45Pを溶融させてもよく、また、圧着装置70内で加熱して、接着剤45Pを溶融させてもよい。
そして、接着剤45Pが塗布された基材20を、表側を下方に向けた姿勢で、圧着装置70の上型71にセットする。さらに、接着剤45Pが塗布された表皮材40を、裏側を上方に向けた姿勢で、圧着装置70の下型72にセットする。この際、下型72のピン72Aや図示しないクランプ等により表皮材40を保持してもよい。また、表皮材40の全面に十分な圧着力を作用させるとともに折り返し部42の形状がつぶれないようにするために、表皮材40と下型72との間に、図示しない粒状物又は流体等を封入した袋体や弾性体等を介在させつつ、表皮材40をセットしてもよい。そして、接着剤45Pが加熱溶融した状態で、圧着装置70の上型71と下型72を型閉じする。すると、所定の養生時間経過後に、接着剤45P,45Pが固化して接着層45が形成され、表皮材40が接着層45を介して不織布30に接着される。
続いて、本実施形態の作用・効果について説明する。
本実施形態の効果を確認するために、次のような実証実験を行った。
表皮材40の基材20に対する接合強度(垂直引張強度)を、不織布30を備えるもの(実施例)と、不織布30を備えず、表皮材40が接着層45を介して基材30に直接的に接着されたもの(比較例)について測定した。なお、比較例に係る表皮材40、接着層45及び基材20の材質・成形方法は、不織布30を有しない点を除いて、実施例の表皮材40及び基材20と同様である。測定は、以下の手順で行った。
[1]実施例3個と比較例3個のテストピースをそれぞれ作成する。
[2]測定装置に対して基材を固定するとともに、測定装置の係止部を表皮材の折り目部に係止する。
[3]測定装置の係止部を基材の表面に対して垂直方向に移動して、表皮材が基材から剥離するまで引っ張ったときの応力(N)を測定する。
測定結果は、比較例の接合強度が約10(N)であったのに対して、実施例の接合強度が200〜500(N)であった。実施例の接合強度は、ドアトリム10において要求される接合強度値を満足するものであった。
実証実験の結果について考察する。比較例では、ポリプロピレンリッチな基材20の表面に、直接的に接着層45が形成されることにより、基材20と接着層45との間の接合強度が十分ではなく、当該層間で剥離が生じたものと考えられる。一方、実施例の表皮材40の接着・接合メカニズムとしては、次のように推察され得る。本実施形態(実施例)によれば、プレス成形工程により繊維マット21から基材20に成形される過程で不織布30を貼着することで、不織布30に十分なポリプロピレンを含浸させることができるとともに、含浸したポリプロピレンのアンカー効果により、不織布30と基材20との接合強度を十分なものとすることができる。さらに、表皮材圧着工程をプレス成形工程の後に行うことで、不織布30に含浸したポリプロピレンが固化するとともに、貼着された不織布30が一部弾性復帰して不織布30の表面30A側に多くの空隙が形成された状態で、表皮材40を熱溶融性の接着剤45Pを介して圧着することができる。このため、溶融したポリプロピレンと溶融した接着剤45Pとが混ざり合うことを抑制しつつ、接着剤45Pを不織布30の内部まで浸透させることができ、接着剤45Pのアンカー効果により、表皮材40と不織布30との接合強度を十分なものとすることができる。以上の接着・接合メカニズムにより、本実施形態では、各層間の接合強度が十分に確保され、植物性繊維を含む基材20に対する表皮材40の接合強度を高めることが可能となる。
さらに、本実施形態では、表皮材圧着工程をプレス成形工程より後に行うことで、折り返し部42等の立体形状を有する表皮材40の形状が損なわれ難く、また、耐熱性に乏しい表皮材についても好適に適用することができる。このため、意匠性に優れたドアトリム10を製造することができる。また、本実施形態では、表皮材圧着工程をプレス成形工程より後に行うことで、耐熱性がそれほど高くない接着剤であっても好適に用いることができる。言い換えれば、本実施形態は、基材20の熱可塑性樹脂の性状や、表皮材40の形状や材質、接着剤45Pの性状に依存せず適用可能な、汎用性が高い技術であると言える。
また、本実施形態では、プレス成形工程は、繊維マット21に不織布30を積層し、熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、不織布30が貼着された平板状のプレボード23を成形する一次成形工程と、不織布30が貼着されたプレボード23を熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、不織布30が貼着された基材20を成形する二次成形工程と、を含んでいる。このため、平板状のプレボード23を成形する一次成形工程において不織布30を貼着することで、基材20の形状によらず、不織布30に対して十分にかつ均一に熱可塑性樹脂を含浸させることができる。
また、本実施形態では、基材20は、熱可塑性樹脂として少なくともポリオレフィン系樹脂を含んでおり、不織布30は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の繊維を含んで構成されている。このため、基材20に含まれる熱可塑性樹脂よりぬれ性が高い不織布30の繊維に対して熱溶融性の接着剤45Pを接着させることができ、基材20に対して熱溶融性の接着剤45Pを接着させる構成に比べて、接着剤45Pの接着力を向上することができる。
また、本実施形態では、表皮材圧着工程では、不織布30の表面30Aに接着剤45Pを塗布する第1塗布工程と、表皮材40の裏面40Bに接着剤45Pを塗布する第2塗布工程と、を含んでいる。このため、第1塗布工程と第2塗布工程のいずれか一方しか含まない場合に比べて、接着層45が表皮材40と不織布30の双方に密着し易く、表皮材40と不織布30の接合強度を向上することができる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図9及び図10によって説明する。本実施形態のドアトリム110は、オーナメント113の積層構造が上記実施形態と相違する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
オーナメント113は、図9に示されるように、ボード状の基材20と、基材20の表面20Aに積層された不織布130と、不織布130の表面30Aに下塗りされた下塗り層46と、下塗り層46が形成された不織布130の表面30Aに接着層45を介して積層された表皮材40と、を有している。言い換えれば、オーナメント113は、基材20からなる第1の層と、不織布130からなる第2の層と、下塗り層46からなる第3の層と、接着層45からなる第4の層と、表皮材40からなる第5の層がこの順に積層された積層構造を有している。
不織布130は、実施形態1と同様の材質であって、その目付量が小さいものを用いている。不織布130は、目付70〜300g/mのものが好ましく、110g/m程度のものが最も好ましい。言い換えれば、不織布130は、ポリプロピレンが表面30Aに少し浸み出す程度の厚さとされることが、不織布130の目付量を低減しつつ、各層間の接合強度を確保するうえで好ましい。
下塗り層46は、基材20に含まれる熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)と接着剤45Pの双方に親和性がある塗料からなり、不織布130の表面30Aを改質して、接着剤45Pの不織布130に対する接着力を高める構成とされる。
本実施形態では、表皮材圧着工程として、不織布130の表面30Aに上記塗料を塗布する下塗り工程と、当該塗料が乾燥した後に、不織布130の表面30Aに接着剤45Pを塗布する第1塗布工程と、表皮材40の裏面40Bに接着剤45Pを塗布する第2塗布工程と、を含んでいる。本実施形態の表皮材圧着工程は、下塗り工程において、塗料を塗布する他は、実施形態1の表皮材圧着工程と同様であり、その説明を省略する。
本発明者らは、不織布130の目付が110g/m程度では、不織布130の表面に熱可塑性樹脂が一部浸み出しており、そのような状態では、実施形態1の構成に比べて、表皮材40の接合強度がやや低下することを確認した。そして、本発明者らは、鋭意検討した結果、そのような状態であっても、下塗り層46を備えることで、表皮材40の接合強度が実施形態1と同等の接合強度に改善されることを新たに見出し、本実施形態の技術を開発するに至った。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、プレス成形工程として、一次成形工程と二次成形工程を含むものを例示したが、プレス成形工程では繊維マットから直接的に基材を成形してもよい。
(2)上記実施形態以外にも、基材、不織布、表皮材の材質、形状、構成は適宜変更可能である。例えば、表皮材として折り返し部を有するものを例示したが、表皮材は平坦なシート状部材であってもよい。
(3)上記実施形態では、乗物用内装材として車両用内装材であるドアトリムを例示したが、乗物用内装材はドアトリム以外のクォータトリムやインストルメントパネルであってもよく、また、船舶や航空機等の乗物の内装材であってもよい。
10,110…ドアトリム、20…基材、20A…表面、21…繊維マット、23…プレボード、30,130…不織布、30A…表面、40…表皮材、40B…裏面

Claims (4)

  1. 植物性繊維と熱可塑性樹脂の繊維とを含んでなる繊維マットに不織布を積層し、前記熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、前記熱可塑性樹脂を前記不織布に含浸させるとともに、前記熱可塑性樹脂が固化することで表面に前記不織布が貼着された基材を成形するプレス成形工程と、
    前記プレス成形工程の後に行われ、熱溶融性の接着剤を介して前記不織布の表面に表皮材を積層し、前記基材に前記表皮材を圧着する表皮材圧着工程と、を備える乗物用内装材の製造方法。
  2. 前記プレス成形工程は、
    前記繊維マットに前記不織布を積層し、前記熱可塑性樹脂の溶融状態において積層方向にプレスして、前記不織布が貼着された平板状のプレボードを成形する一次成形工程と、
    前記不織布が貼着された前記プレボードを前記熱可塑性樹脂の溶融状態において前記積層方向にプレスして、前記不織布が貼着された前記基材を成形する二次成形工程と、を含む請求項1に記載の乗物用内装材の製造方法。
  3. 前記基材は、前記熱可塑性樹脂として少なくともポリオレフィン系樹脂を含んでおり、
    前記不織布は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂の繊維を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の乗物用内装材の製造方法。
  4. 前記表皮材圧着工程では、
    前記不織布の表面に前記接着剤を塗布する第1塗布工程と、
    前記表皮材の裏面に前記接着剤を塗布する第2塗布工程と、を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用内装材の製造方法。
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