JP2019037205A - さのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法 - Google Patents

さのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】さのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るさのう入りアルコール飲料は、アルコール度数が1.0〜10.0v/v%であり、さのうと安定剤とを含有する。本発明に係るさのう入りアルコール飲料の製造方法は、アルコール度数を1.0〜10.0v/v%とし、さのうと安定剤とを含有させる工程を含む。本発明に係るさのう破粒低減方法は、さのう入りアルコール飲料のさのうの破粒の発生を低減させるさのう破粒低減方法であって、前記さのう入りアルコール飲料に安定剤を含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、さのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法に関する。
消費者が飲み応えや食感を楽しめるように、果肉等の固形物を含有したソフトドリンクが販売されているが、最近、アルコール飲料に関しても、様々な固形物を含有するものについて研究開発が進められている。
例えば、特許文献1には、柑橘類由来の食物繊維含有乾燥粉砕物と果汁とを含有するアルコール飲料が開示されている。
また、特許文献2には、(A)ゲル化剤を含有するゼリー細片部を、(B)アルコールを含有するアルコール液部中で貯蔵する工程を含む、ゼリー入りアルコール飲料の製造方法が開示されている。
特開2009−136159号公報 特開2009−22251号公報
アルコール飲料に含有させる固形物としては、特許文献1の乾燥粉砕物や特許文献2のゼリーの他にも、例えば、果物の果肉が考えられる。そして、果物の果肉の中でも、果肉らしさを消費者に感じさせることのできる「さのう」が挙げられる。
しかし、この「さのう」は、果汁を含んだ粒状の果肉(自然物)であり、特許文献1、2に挙げられている乾燥粉砕物やゼリーと比較して非常にデリケートであって、容易に破粒してしまう。
特に、アルコール飲料を容器に充填する前の各原料を混合する過程においてさのうが破粒してしまうと、アルコール飲料中でさのうが浮いてしまい、その結果、各容器へのさのうの充填量にばらつきが生じてしまう。
そこで、本発明は、さのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)アルコール度数が1.0〜10.0v/v%であり、さのうと安定剤とを含有するさのう入りアルコール飲料。
(2)前記アルコール度数が1.0〜6.0v/v%である前記1に記載のさのう入りアルコール飲料。
(3)前記安定剤の含有量は0.005〜0.2w/v%である前記1又は前記2に記載のさのう入りアルコール飲料。
(4)前記安定剤がジェランガムである前記1から前記3のいずれか1つに記載のさのう入りアルコール飲料。
(5)さのうと安定剤とを含有し、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1.0〜10.0であるさのう入りアルコール飲料ベース。
(6)さのう入りアルコール飲料の製造方法であって、アルコール度数を1.0〜10.0v/v%とし、さのうと安定剤とを含有させる工程を含むさのう入りアルコール飲料の製造方法。
(7)さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法であって、アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dを1.0〜10.0とし、さのうと安定剤とを含有させる工程を含むさのう入りアルコール飲料ベースの製造方法。
(8)さのう入りアルコール飲料のさのうの破粒の発生を低減させるさのう破粒低減方法であって、前記さのう入りアルコール飲料に安定剤を含有させるさのう破粒低減方法。
本発明に係るさのう入りアルコール飲料は、安定剤を含有していることから、さのうの破粒の発生が低減されている。
本発明に係るさのう入りアルコール飲料の製造方法は、安定剤を含有させる工程を含むことから、さのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料を製造することができる。
本発明に係るさのう入りアルコール飲料ベースは、安定剤を含有していることから、希釈後のさのう入りアルコール飲料のさのうの破粒の発生が低減されている。
本発明に係るさのう入りアルコール飲料ベースの製造方法は、安定剤を含有させる工程を含むことから、希釈後の飲料がさのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料ベースを製造することができる。
本発明に係るさのう破粒低減方法は、さのう入りアルコール飲料に安定剤を含有させることから、さのうの破粒の発生を低減することができる。
本発明の実施形態に係るさのう入りアルコール飲料の製造方法の内容を説明するフローチャートである。 サンプル1−1(5℃)の染色後のさのうを分類した状態を説明するための画像(写真)である。 サンプル1−2(5℃)の染色後のさのうを分類した状態を説明するための画像(写真)である。
以下、本発明に係るさのう入りアルコール飲料、さのう入りアルコール飲料ベース、さのう入りアルコール飲料の製造方法、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法、及び、さのう破粒低減方法を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
[さのう入りアルコール飲料]
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、さのうと安定剤とアルコールとを含有する。
以下、さのう入りアルコール飲料を構成する各成分について説明する。
(さのう)
さのうとは、果汁を含んだ粒状の果肉であり、砂じょうとも呼ばれる。そして、さのうの由来となる果実の種類は特に限定されないものの、従来公知の柑橘類の果実であり、例えば、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、レモン、シークワーサー、ライム、イヨカン、ブンタン、温州みかん、マンダリン、タンジェリン、タンジェロ、及び、カラマンシー等が挙げられる。
さのうの含有量は、1w/w%以上が好ましく、2w/w%以上がより好ましく、3w/w%以上がさらに好ましい。さのうの含有量が所定値以上であることにより、さのうを適度に感じられる状態となり、さのう入りの飲料として好適となる。
さのうの含有量は、20w/w%以下が好ましく、15w/w%以下がより好ましく、10w/w%以下がさらに好ましい。さのうの含有量が所定値以下であることにより、さのうの含有量が適度な飲料とすることができる。一般に、さのう入りアルコール飲料においてさのうの含有量が多いほどさのうによる果実感は向上する傾向があるため、高い果実感が求められる場合にはさのうの含有量を高めることが望ましい。
さのう入りアルコール飲料におけるさのうの含有量は、例えば、飲料を20メッシュの漉し器に注ぎ、2分間静置することで液切りし、得られたさのうの質量を計量することによって特定することができる。
(安定剤)
安定剤とは、飲食品に粘性を付与する食品添加剤であり、用途に応じて、増粘剤、増粘安定剤、ゲル化剤、糊料とも呼ばれる。そして、安定剤は、例えば、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、寒天、こんにゃく粉、グルコマンナン、カシアガム、カードラン等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を使用することができるが、特に、ジェランガムが好ましい。
この安定剤が、さのう入りアルコール飲料中のさのうの破粒の発生を低減させるという効果を発揮し、冷蔵及び常温の状態だけでなく、振騰後の状態(流通後を想定した状態)や、長時間加温後の状態(長期保管後を想定した状態)であっても、当該効果を発揮することができることを本発明者らは見出した。
安定剤の含有量は、0.005w/v%以上が好ましく、0.01w/v%以上がより好ましく、0.02w/v%以上がさらに好ましい。安定剤の含有量が所定値以上であることにより、適度な粘性を持ち、さのうの破粒の発生を低減させることができる。
安定剤の含有量は、0.2w/v%以下が好ましく、0.1w/v%以下がより好ましく、0.05w/v%以下がさらに好ましく、0.03w/v%以下が特に好ましい。安定剤の含有量が所定値以下であることにより、適度な粘性の飲料とし、さのう入りアルコール飲料として好適な飲料とすることができる。
(アルコール)
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、アルコールを含有している。
アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、本発明の所望の効果が阻害されない範囲であれば、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒又は醸造酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、ラム等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。醸造酒としては、例えば、ビール、発泡酒、果実酒、甘味果実酒、清酒などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記した様々な酒類に果実等を漬け込んだ浸漬酒を使用してもよい。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
そして、さのう入りアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3−4アルコール分(振動式密度計法)に基づいて測定することができる。
(アルコール度数)
さのう入りアルコール飲料のアルコール度数は、1.0v/v%以上であることが好ましく、3.0v/v%以上であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以上であることにより、さのうの味わいと食感にアルコールに起因する風味が加わり、さのう入りアルコール飲料として好適な状態とすることができる。
さのう入りアルコール飲料のアルコール度数は、10.0v/v%以下であることが好ましく、6.0v/v%以下であることがさらに好ましい。アルコール度数が所定値以下であることにより、適度なアルコールの香味が付与された飲料とすることができる。
(果汁)
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、果汁を含有してもよい。
果汁は、各種果実を搾った汁である。そして、果汁は、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
果汁の由来となる果実は、特に限定されず、前記したさのうの由来となる果実(柑橘類の果実)と同種であってもよいし異種であってもよく、さらには、柑橘類の果実以外の果実(さのうを有さない果実)、例えば、リンゴ、梅、もも、イチゴ、ブドウ、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、ナシ、アンズ、スモモ、ベリー、キウイフルーツ、トマト、ニンジン、メロン等であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。
なお、果汁の含有量については特に限定されない。
(Brix)
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料のBrixは、特に限定されないものの、安定剤による効果(さのうの破粒の発生の低減)を十分に発揮させるべく、所定範囲であるのが好ましい。
ここで、Brixとは、屈折率計で測定した屈折率を、国際砂糖分析法統一委員会(ICUMSA)で定められた換算式により、ショ糖液100g中に含まれるショ糖のグラム数に換算した値であり、いわゆる可溶性固形分濃度である。
そして、Brixは、従来公知の屈折率計、例えば、アタゴ社製 デジタル屈折計RX−5000αを用いて測定することができる。
Brixは、7w/w%以上が好ましく、9w/w%以上がより好ましく、11w/w%以上がさらに好ましい。また、Brixは、20w/w%以下が好ましく、18w/w%以下がより好ましく、16w/w%以下がさらに好ましい。
(発泡性)
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、非発泡性であっても、発泡性であってもよい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm未満であることをいう。
(その他)
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維、着色料など(以下、適宜「添加剤」という)を添加することもできる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。
そして、前記したさのう、安定剤、アルコール、添加物は、一般に市販されているものを使用してもよいが、さのうは、柑橘類の果実に所定の処理(漉す処理等)を施すことによって取得したものを使用してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料は、安定剤を含有することから、さのうの破粒の発生が低減されている。
[さのう入りアルコール飲料ベース]
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースは、後記する割り材で希釈されることにより前記のさのう入りアルコール飲料とすることができる。
なお、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースは、消費者や飲食店などに提供されるに際して、飲料ベースの状態(RTS:Ready To Serve)で提供された後に割り材で希釈されてもよいし、飲料ベースを割り材で希釈した後に飲料の状態(RTD:Ready To Drink)で提供されてもよい。
以下、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースを説明するに際して、前記のさのう入りアルコール飲料と共通する構成については説明を省略し、相違する構成(特に含有量等)を中心に説明する。
(さのう)
さのう入りアルコール飲料ベースのさのうの含有量をXw/w%とし、希釈倍率をD倍とした場合、X/Dは、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。また、X/Dは、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
(安定剤)
さのう入りアルコール飲料ベースの安定剤の含有量をYw/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、Y/Dは、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上がさらに好ましい。また、Y/Dは、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、0.03以下が特に好ましい。
(アルコール度数)
さのう入りアルコール飲料ベースのアルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましい。また、A/Dは、10.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましい。
(Brix)
さのう入りアルコール飲料ベースのBrixをBw/w%とし、希釈倍率をD倍とした場合、B/Dは、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、11以上がさらに好ましい。また、B/Dは、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましい。
(割り材)
割り材とは、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースの希釈に用いるものである。
割り材としては、例えば、水、炭酸水、お湯、氷、果汁、果汁入り飲料、牛乳、茶、アルコール等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、割り材を用いた希釈は、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースが1.2〜20倍、好ましくは1.5〜10倍、さらに好ましくは2〜5倍となるように実施すればよい。
以上説明したように、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベース(希釈倍率:D倍用)は、安定剤を含有していることから、希釈後(飲用時)のさのう入りアルコール飲料は、さのうの破粒の発生が低減されている。
[容器詰めさのう入りアルコール飲料、及び、容器詰めさのう入りアルコール飲料ベース]
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料、及び、さのう入りアルコール飲料ベースは、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にさのう入りアルコール飲料、又は、さのう入りアルコール飲料ベースを詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
また、各種容器にさのう入りアルコール飲料ベースを詰める場合は、その容器に、前記した割り材等によって希釈して飲んでもよい旨の表示(例えば、希釈倍率等)を付してもよい。
[さのう入りアルコール飲料、及び、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法]
次に、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料、及び、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法を説明する。
本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料、及び、さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
混合工程S1では、混合タンクに、水、さのう、安定剤、飲用アルコール、添加剤などを適宜投入して混合後液を製造する。
この混合工程S1において、さのう、安定剤、アルコール度数、X/D、Y/D、A/D等が前記した所定範囲の量となるように各原料を混合し、調整すればよい。
そして、後処理工程S2では、例えば、殺菌、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、チューブ式殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
なお、混合工程S1及び後処理工程S2にて行われる各処理は、RTD、RTS飲料などを製造するために一般的に用いられている設備にて行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料の製造方法は、安定剤を含有させる工程を含むことから、さのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料を製造することができる。
また、本実施形態に係るさのう入りアルコール飲料ベースの製造方法は、安定剤を含有させる工程を含むことから、希釈後のさのう入りアルコール飲料について、さのうの破粒の発生が低減されたさのう入りアルコール飲料ベースを製造することができる。
[さのう破粒低減方法]
次に、本実施形態に係るさのう破粒低減方法を説明する。
本実施形態に係るさのう破粒低減方法は、さのう入りアルコール飲料について、安定剤を含有させる方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「さのう入りアルコール飲料」において説明した値と同じである。
以上説明したように、本発明に係るさのう破粒低減方法は、安定剤を含有させることから、さのうの破粒の発生を低減することができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
(サンプルの準備)
さのう(グレープフルーツ)、クエン酸、果糖ブドウ糖液糖、安定剤(ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム)、原料アルコール、水を混合してサンプルを準備した。なお、比重に基づく各評価への影響を除外すべく、各サンプルの比重を一定(1.0423)とするために、クエン酸と果糖ブドウ糖液糖の含有量を若干調製した。また、各サンプルのBrixは約13.5w/w%であった。
そして、各サンプルは、以下の試験に供するために、3つずつ準備した。
(試験内容:破粒検査)
前記の方法により製造した各サンプルについて、1つは製造後の5℃の状態(表では「5℃」と示す)、もう1つは25℃で24時間振騰処理を施した状態(表では「25℃振騰」と示す)、最後の1つは60℃で48時間加温処理を施した状態(表では「60℃」と示す)とした。
なお、振騰処理は、トリプルアクションラボシェーカー(SRR−3、井内盛栄堂社製)を用い、80rpmで実施した。
前記の状態とした各サンプルについて、茶漉しで液切りし、5gのさのうを秤量した。そして、秤量後のさのう5gを0.1%メチレンブルー溶液に1分間浸漬させた。その後、浸漬後のさのうを純水で2分間水洗し、水洗後のさのうをろ紙の上に移し、染色状態を判定した。
青色に染色されているさのうを「破粒」と判断し、水色(薄い青色)に染色されているさのうを「微破粒」と判断し、染色されていないさのう、及び、薄い水色に染色されているさのうを「未破粒」と判断し、それぞれの個数を計測した。
なお、「破粒」とは、さのうの袋(じょうのう)が破れていて、さのうが飲料中において浮いてしまう状態であり、「微破粒」とは、さのうの袋が僅かに破れている(傷が付いている)ものの、さのうは飲料中において浮かない状態であり、「未破粒」とは、さのうの袋が破れておらず、さのうは飲料中において浮かない状態である。
前記の破粒検査における所定のサンプルの染色後のさのうを分類した状態を図2、3に示す。
なお、図2は、サンプル1−1(5℃)の染色後のさのうを分類した状態を示す画像であり、図3は、サンプル1−2(5℃)の染色後のさのうを分類した状態を示す画像である。
表1に、各サンプルの配合を示すとともに、各評価の結果を示す。
(結果の検討)
サンプル1−1、1−2は、安定剤の含有の有無による各評価への影響を確認したものである。
サンプル1−1、1−2の結果から、安定剤を含有させることによって、さのうの破粒の割合を大幅に減少できることが確認できた。また、安定剤を含有させることによって、製造後の状態(5℃)だけでなく、振騰後の状態(25℃振騰)でも効果が大きく、さらに、長時間加温後の状態(60℃)でも効果が有ることが確認できた。
サンプル2−1〜2−4は、安定剤の含有量による各評価への影響を確認したものである。
サンプル2−1〜2−4の結果から、安定剤を含有していないサンプルと比べるとさのうの破粒の割合が減少することが確認できた。また、安定剤の含有量を適切な量にすることによって、製造後の状態(5℃)だけでなく、振騰後の状態(25℃振騰)でも効果が大きく向上し、さらに、長時間加温後の状態(60℃)でも効果が向上することが確認できた。
サンプル3−1〜3−4は、安定剤の種類による各評価への影響を確認したものである。
サンプル3−2〜3−4の結果をサンプル3−1の結果と比較すると、いずれの安定剤であっても、さのうの破粒の発生を低減させる効果が発揮できることが確認できた。そして、安定剤の中でもジェランガムを含有させたサンプル3−2の結果が特に優れることが確認できた。
S1 混合工程
S2 後処理工程

Claims (8)

  1. アルコール度数が1.0〜10.0v/v%であり、さのうと安定剤とを含有するさのう入りアルコール飲料。
  2. 前記アルコール度数が1.0〜6.0v/v%である請求項1に記載のさのう入りアルコール飲料。
  3. 前記安定剤の含有量は0.005〜0.2w/v%である請求項1又は請求項2に記載のさのう入りアルコール飲料。
  4. 前記安定剤がジェランガムである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のさのう入りアルコール飲料。
  5. さのうと安定剤とを含有し、
    アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dは、1.0〜10.0であるさのう入りアルコール飲料ベース。
  6. さのう入りアルコール飲料の製造方法であって、
    アルコール度数を1.0〜10.0v/v%とし、さのうと安定剤とを含有させる工程を含むさのう入りアルコール飲料の製造方法。
  7. さのう入りアルコール飲料ベースの製造方法であって、
    アルコール度数をAv/v%とし、希釈倍率をD倍とした場合、A/Dを1.0〜10.0とし、さのうと安定剤とを含有させる工程を含むさのう入りアルコール飲料ベースの製造方法。
  8. さのう入りアルコール飲料のさのうの破粒の発生を低減させるさのう破粒低減方法であって、
    前記さのう入りアルコール飲料に安定剤を含有させるさのう破粒低減方法。
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