JP2019035585A - 代表データ選択装置、機器診断装置、プログラム及び代表データ選択方法 - Google Patents
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Abstract
Description
診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択装置であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段と、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段と、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段と、
を備えた代表データ選択装置である。
コンピュータに、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択させるためのプログラムであって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択方法であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップによって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加ステップと、
を含み、前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する代表データ選択方法を構成しても良い。
前記繰り返し制御手段は、前記新たな分析結果データ群のデータ数と、前記異常判定処理手段により異常と判定された前記新規データの数との比率に基づいて、前記繰り返し条件を満たすかを判定する、
代表データ選択装置である。
初期の分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する代表データ群初期選択手段であって、
前記初期の分析結果データ群の各データ(以下このデータを「初期データ」という。)のうちから、当該分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定する原始データ群選定ステップと、
前記初期の分析結果データ群のうち、前記原始データ群に対する当該原始データ群以外の初期データについて前記異常判定処理を適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップにおいて異常と判定され、且つ、前記指標値が前記最小条件を満たす前記初期データを、前記原始データ群に追加する追加ステップと、
前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させて前記初期の代表データ群を決定する繰り返し制御ステップと、
を実行する代表データ群初期選択手段、
を備えた代表データ選択装置である。
前記診断対象機器が正常状態にあるときの前記分析結果データ群から前記代表データ群を選択する、代表データ選択装置である。
第4の発明の代表データ選択装置と、
前記代表データ選択装置によって選択された代表データ群に対する、前記診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、前記異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段と、
を備えた機器診断装置である。
図1は、本実施形態の機器診断システム1の適用例である。図1に示すように、機器診断システム1は、振動センサ3と、代表データ選択装置5とを備えて構成され、鉄道車両7に搭載されて使用される。
(A)振動データに対する分析
図2は、振動データに対する分析を説明する図である。図2に示すように、時系列データとして得られる振動データに対する分析として、先ず、オクターブバンド分析を行う。オクターブバンド分析では、振動データに対する所定のバンドパスフィルタ処理を連続的に行い、単位期間Δt毎のオクターブバンド分析結果として、周波数帯域(オクターブバンド)毎の振動の大きさ(振動実効値)が得られる。次いで、単位期間Δt毎のオクターブバンド分析結果に対する主成分分析を行って主成分を求め、求めた主成分を特徴ベクトルとする。この主成分分析結果として得られる特徴ベクトルを、分析結果データとする。つまり、単位期間Δt毎に1つの分析結果データが得られることになる。
診断対象機器の異常有無の診断には、近傍法を利用するが、本実施形態では近傍法の一種であるNNDD(Nearest Neighbor Data Description)法を利用することとして説明する。
近傍法(本実施形態の具体例でいえばNNDD法)に基づく異常有無診断では、図2に示したように、診断対象機器を搭載した鉄道車両の走行中の振動データに基づく単位期間Δt毎の分析結果データ群を学習データの集合Gとして用いるが、この学習データの集合Gは膨大な量の分析結果データの集合となる。そこで、本実施形態では、現時点までの走行によって得られた振動データに対する分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択し、この代表データ群を学習データの集合Gとして、駆動用機器の異常有無の診断に用いることにする。
本実施形態の代表データ群の選択方法の妥当性を、実験によって検証した。この実験では、診断対象機器を鉄道車両用エンジンとし、異常状態として、潤滑油に異物(SiC:炭化ケイ素)を混入した状態で運転させることで異常摩耗を発生させ、そのときの振動データを測定した。具体的には、先ずは異物を混入しない“正常状態”から開始し、所定時間の運転を“1回の走行”とみなして、1回の走行を終了する毎に、異物を追加することで混入濃度を段階的に増加させ、異常が徐々に進行してゆく様子を模擬した。また、振動データは、アイドリング運転させたときの振動データを用いた。そして、1回の走行毎に、当該走行によって測定された振動データに基づく分析結果データ群を生成し、代表データ群の選択・追加(更新)を行った。なお、以下では、異物の混入濃度が“n%”の時点までの走行毎の分析結果データ群に基づいて更新された代表データ群を“代表データ群(n%)”と表記している。
図7は、分析結果データ群及び代表データ群のデータ分布を示す図であり、主成分分析によって得られた分析結果データの2つの主成分(第1主成分、及び、第2主成分)に着目して、各データをプロットした図である。ここでは、説明を簡単化するために主成分は2つとした。図7(a)は、“1回目の走行”の終了時点に相当し、異物の混入濃度が“0%”である正常状態の振動データに基づく分析結果データ群(正常)、及び、この分析結果データ群(正常)ら選択した代表データ群(正常)、の各データの分布を示している。図7(b)は、“2回目の走行”の終了時点に相当し、分析結果データ群(正常)、異物の混入濃度が“0.05%”であるときの振動データに基づく分析結果データ群(0.05%)、及び、この分析結果データ群(0.05%)に基づいて更新した代表データ群(0.05%)、の各データの分布を示している。図7(c)は、“3回目の走行”の終了時点に相当し、分析結果データ群(正常)、分析結果データ群(0.05%)、異物の混入濃度が“0.10%”であるときの振動データに基づく分析結果データ群(0.10%)、及び、この分析結果データ群(0.10%)に基づいて更新した代表データ群(0.10%)、の各データの分布を示している。
図8は、分析結果データ、及び、代表データ群の各データ数を示す図である。図8(a)は、横軸を異物の混入濃度(走行回数ともいえる)、縦軸をデータ数として、走行別に、その時点における異物の混入濃度と、その時点までに得られた分析結果データの総数、及び、代表データの総数と、の関係をプロットしたグラフである。図8(b)は、図8(a)のグラフの縦軸(データ数)を、常用対数表記としたグラフである。図8(c)は、横軸を異物の混入濃度(走行回数ともいえる)、縦軸を割合として、走行別に、その時点における異物の混入濃度と、その時点までに得られた分析結果データの総数に対する、代表データの総数の割合の関係をプロットしたグラフである。
図9は、代表データ群を用いた異常有無の診断精度を示す図である。走行別(すなわち、異物の混入濃度別)の振動データに基づく分析結果データ群それぞれをテストデータとし、走行毎(すなわち、異物の混入濃度別)に選択・更新された代表データ群に対するテストデータの異常判定を行った。そして、テストデータとした分析結果データ群のデータ数のうち、異常と判定されたデータ数の割合を求めた。図9は、代表データ群毎に、テストデータとした分析結果データ群に対応する異物の混入濃度と、異常と判定されたデータ数の割合との関係をプロットしたグラフである。なお、比較のため、正常時(異物の混入濃度が“0.00%)の分析結果データ群を用いて異常判定を行った場合のグラフも併せて示している。
図10は、代表データ選択装置5の機能構成図である。図10によれば、代表データ選択装置5は、操作入力部102と、表示部104と、音出力部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータシステムとして構成される。
図11は、代表データ選択処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、診断対象機器を搭載した鉄道車両7の1回の走行が終了する毎に、当該走行による振動データに対する分析結果データ群を対象として行われる。
このように、本実施形態の機器診断システム1によれば、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を適切に選択することができる。また、新たな分析結果データ群の中から選択したデータを既存の代表データ群を追加して、既存の分析結果データ群及び新たな分析結果データ群を代表する代表データ群に更新することができる。
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
機器診断システム1は、少なくとも、振動センサ3が鉄道車両7に搭載されていれば良く、代表データ選択装置5の機能の一部又は全部を地上側の外部装置が担うこととしても良い。例えば、オクターブバンド分析によってデータ量を大幅に削減できることから、振動データに対するオクターブバンド分析までの処理を車上側の装置(車上装置)において行い、以降の処理(特徴ベクトルの生成や一連の診断など)を地上側の装置(地上装置)で行うことができる。
また、上述の実施形態では、代表データの選択を学習データの生成に適用する例を説明したが、異常診断の対象となるテストデータに対して本発明を適用しても良い。すなわち、図12に示すように、本実施形態では、診断対象機器の振動データについての分析結果データ群20の中から選択した代表データ群330を学習データとして生成した。同様に、未知状態である診断対象機器の所定期間(例えば、1走行分)の振動データについての分析結果データ群40に対して、本発明の代表データの選択を適用して、分析結果データ群40の中から選択した代表データ群42を生成することとする。そして、生成した代表データ群42の各データをテストデータとして、分析結果データ群20や代表データ群330等を学習データとして用いた異常検知を行うこととができる。
また、代表データ選択装置5は、更に、選択した代表データ群330に対する、診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段、を備えて機器診断装置として機能するように構成しても良い。
また、上述した実施形態では、診断対象機器を鉄道車両7の駆動用機器として説明したが、鉄道車両7以外の機器にも適用することができる。例えば、自動車やオートバイなどの他の車両の駆動用機器(エンジンや電動機、動力伝達機構など)の他、昇降機や産業用機器などに用いられる駆動用機器(エンジンや電動機、発電機など)といった、動作に伴って振動が生じる機器であれば診断対象とすることができる。特に、使用または時間経過に伴って徐々に劣化していくが、定期点検などの要検査間隔が1ヶ月以上であり、その間は検査無しに継続使用される機器が好適である。
3…振動センサ
5…代表データ選択装置
200…処理部
202…オクターブバンド分析部、204…前処理部
206…代表データ群初期選択部(代表データ群初期選択手段)
210…代表データ群追加部
212…異常判定部(異常判定処理手段)、214…追加部(追加手段)
216…繰り返し制御部(繰り返し制御手段)
300…記憶部
302…代表データ選択プログラム、310…走行データ
320…基準距離データ、330…代表データ群
7…鉄道車両
Claims (7)
- 診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択装置であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段と、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段と、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段と、
を備えた代表データ選択装置。 - 前記繰り返し制御手段は、前記新たな分析結果データ群のデータ数と、前記異常判定処理手段により異常と判定された前記新規データの数との比率に基づいて、前記繰り返し条件を満たすかを判定する、
請求項1に記載の代表データ選択装置。 - 初期の分析結果データ群から初期の代表データ群を選択する代表データ群初期選択手段であって、
前記初期の分析結果データ群の各データ(以下このデータを「初期データ」という。)のうちから、当該分析結果データ群のデータ分布領域の中心部に位置する初期データ群を原始データ群として選定する原始データ群選定ステップと、
前記初期の分析結果データ群のうち、前記原始データ群に対する当該原始データ群以外の初期データについて前記異常判定処理を適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップにおいて異常と判定され、且つ、前記指標値が前記最小条件を満たす前記初期データを、前記原始データ群に追加する追加ステップと、
前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の初期繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させて前記初期の代表データ群を決定する繰り返し制御ステップと、
を実行する代表データ群初期選択手段、
を備えた請求項1又は2に記載の代表データ選択装置。 - 前記診断対象機器が正常状態にあるときの前記分析結果データ群から前記代表データ群を選択する、請求項1〜3の何れか一項に記載の代表データ選択装置。
- 請求項4に記載の代表データ選択装置と、
前記代表データ選択装置によって選択された代表データ群に対する、前記診断対象機器の異常診断対象となる分析結果データ群の各データについて、前記異常判定処理を適用して異常の有無を診断する異常診断手段と、
を備えた機器診断装置。 - コンピュータに、診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択させるためのプログラムであって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理手段、
前記異常判定処理手段によって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加手段、
前記異常判定処理手段および前記追加手段を所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し機能させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する繰り返し制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。 - 診断対象機器の振動データをオクターブバンド分析した分析結果データの集合である分析結果データ群から、当該分析結果データ群のデータ分布領域を表す代表データ群を選択する代表データ選択方法であって、
データ間距離に基づく異常か否かの程度を表す指標値を算出して異常か否かを判定する所定の近傍法に基づく異常判定処理を、既存の分析結果データ群を代表する既存の代表データ群に対する、新たな分析結果データ群の各データ(以下このデータを「新規データ」という。)について適用する異常判定処理ステップと、
前記異常判定処理ステップによって異常と判定され、且つ、前記指標値が所定の最小条件を満たす前記新規データを、前記既存の代表データ群に追加する追加ステップと、
を含み、前記異常判定処理ステップおよび前記追加ステップを所定の繰り返し終了条件を満たすまで繰り返し実行させることで、前記既存の分析結果データ群および前記新たな分析結果データ群を代表する代表データ群を決定する代表データ選択方法。
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